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 日本海沿岸に漂着、漂流した北朝鮮籍とみられる木造船を巡り、処分する自治体が困惑している。「所有者」が名乗り出る可能性は低く、海上保安庁から引き渡しを受けた自治体は、処分費用の一部を負担しなければならないからだ。

 「連絡がない場合は処分します」。山形県鶴岡市の海岸で、木造船(全長約10メートル)に知事名の文書がくくり付けられていた。11月21日に無人で漂着したが、酒田海上保安部は事件性はないとして、船を県に引き渡した。

 県庄内総合支庁によると、12月8日までに所有者が現れない場合、産業廃棄物として処分する方針だ。費用は150万〜200万円。9割以上は国が補助し、県の負担は4%だが、船が流出しないようロープでつなぎ留めたり、見回ったりするなど職員の負担は大きいという。「北朝鮮に請求することもできない」。担当者はため息をついた。

 環境省によると、木造船を含む海岸漂着物の処分費用は2014年度までは全額が国負担だった。しかし、漂着物の増加が予算を圧迫。15年度に海岸漂着物等地域対策推進事業による補助金を創設。17年度の当初予算は4億円。追加補正も見込まれる。

 海上保安庁によると、朝鮮半島から漂着、漂流したとみられる木造船は、今年は11月30日現在で59件確認している。同庁政策評価広報室は「保管スペースがないうえ、資料としての価値はない」とする。