そのイバンカ氏を先に来日させ、自分自身の来日を日本に大きく印象付ける。
さすが、才覚ひとつで巨額の富と大統領の地位を獲得したトランプ氏である。巧みなパフォーマンスである。

安倍首相はイバンカ氏が設立を主導した女性起業家を支援する基金に5000万ドル(約57億円)を拠出すると表明した。
さらに日米の蜜月ぶりをアピールしたいのか、官邸の記者団に「歴史的な訪問を歓迎したい」と述べていた。

しかし、日本国民はだまされてはならない。

トランプ氏は米国第1主義を掲げる。その政策は濃厚な保護主義だ。メキシコとの間に巨大な壁を作るなど強硬な手段も辞さない。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対しては「ロケットマン」とからかう。
ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズなど米国のクオリティーペーパーが自分に都合の悪いことを書くと、
「フェイクだ」と平気でののしる。
こんなトランプ氏はやがて大統領選をめぐる「ロシアゲート」でその身を滅ぼす、と沙鴎一歩はみている。
つい最近、このロシアゲートで初めての起訴があった。11月1日付の東京新聞の社説が、それについて読み応えのある社説を書いている。
ぜひともトランプ氏に読ませたい内容だった。ここで紹介したい。

東京新聞の社説は、リードで「ロシアゲート疑惑の捜査が新たな局面に入った。
昨年の米大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたマナフォート氏ら3人が起訴された。これを突破口に疑惑の徹底解明を期待したい」とまとめ、
その見出しも「捜査の突破口が開いた」と前向きだ。

なかなかやる。主張の論拠がしっかりしている。いいぞ、東京新聞と褒めたくなる。東京社説はその後半でさらにトランプ氏を批判する。
最後にこの沙鴎一歩はトランプ氏にこう言いたい。

「北朝鮮への圧力を最大化する方針を今回の来日で安倍首相と確認するつもりなのでしょう」
「あなたのいう『圧力』には経済制裁だけではなく、武力攻撃も入っていると聞きます」
「しかし『目には目を、歯には歯を……』では憎しみの連鎖が生まれるだけです。
そのことを十分に理解したうえで軍事優先の北朝鮮に対する抑止を行うべきです」

http://president.jp/articles/-/23563?page=2
http://president.jp/articles/-/23563?page=4