2017年11月8日22時45分 朝日新聞
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自民党は8日、安倍晋三首相が打ち出した教育無償化など「人づくり革命」の制度設計に党の意見を反映させるため、「人生100年時代戦略本部」の初会合を開いた。だが、出席者からは、消費増税の使い道の変更や経済界への負担要請など一連の動きが首相主導で進んでいることへの不満が相次いだ。

 戦略本部は岸田文雄政調会長の肝いりで設置。自ら本部長に就いた。岸田氏は「党が議論をリードしていく」とあいさつ。党から政府に、制度設計について提言する考えを示した。今月中のとりまとめを目指す。

 しかし、既存の社会保障費を賄う借金の返済に充てる予定だった消費増税分を教育無償化にも回す衆院選公約について反対論を唱えていた橋本岳厚労部会長が「部会長として『反対だ』と言ったことが当たり前に公約になった。そんなことなら、部会なんていらない」と不満を表明。

 保育園の費用無償化の先行で入園競争が激化し、待機児童が増えると懸念する声や、不足分の財源3千億円について党で議論する前に経済界に負担を求めた首相の手法に疑問を呈する意見も出た。戦略本部の小泉進次郎事務局長は記者団に「足りないのが3千億円だから、どこが出してくれるかなと見付けるのは順番が違う」と首相を批判した。

 一方、経団連の榊原定征会長は8日の記者会見で、「3千億円という数字ありきではない。企業が納得できる内容を積み上げる調整はこれからだ」と指摘。高等教育の無償化分まで経済界が負担することについては「想定していない」と述べた。