11/7(火) 7:00配信 AERA
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171106-00000089-sasahi-pol

安倍晋三首相が「蜜月の仲」を誇るトランプファミリーの来日で日本は上を下への大騒ぎ。だが、“おもてなし”の陰では武器の“爆買い”などが着々と進行していた。「北朝鮮危機の利用」という思惑で一致した両首脳の“ヒソヒソ話”の中身とは──。

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■「トランプはゴルフの話ばかり。ゴルフをやりたくて仕方ないようだよ。2月にフロリダで回ったときから、ず〜っと同じことばっかり言ってくるんだからさあ……」

 安倍首相はトランプ米大統領の公式初来日直前、周辺にこう苦笑交じりに語ったという。

 11月5日にはトランプ大統領が名指しでリクエストしたプロゴルファー、松山英樹選手を交え、埼玉県の霞ケ関カンツリー倶楽部を貸し切りにして安倍首相ご一行がラウンドした。

 ゴルフの間、昭恵夫人がメラニア夫人を誘って真珠のミキモトなどを案内し、銀ブラ。

 さらには「日本の高級牛肉が食べたい」というトランプ大統領側の要望を受け、首相自らセレクトし、昭恵夫人とメラニア夫人らと一緒に銀座の高級鉄板焼き店「うかい亭」で「トランプ仕様の特別ディナー」(首相周辺)で夕食を共にし、6日には東京・元赤坂の迎賓館で首脳会談を行うなど、文字どおり、“日米蜜月”を演出した。

■官邸主導のこうした外交に煮え湯を飲まされてきた外務省幹部はこう言う。

「内政で苦境のトランプ氏にとって、リスク承知でゴルフに興じてくれる安倍首相はもはや貴重な存在です。お互い政権浮揚にこれといった打開策が北朝鮮以外にない、ある意味似た者同士。しかし、2人の蜜月が北朝鮮情勢でいい結果につながるとは限らない」

 安倍首相は拉致家族とトランプ氏との面会も演出した。蓮池透さんがツイッターで「意味がない。(略)これ以上横田さんを利用するな。かわいそうだよ」と酷評したが、国際ジャーナリストの春名幹男氏が解説する。

「トランプ氏の拉致問題に対する言及は、政府が頼んで言ってもらったのだろう。だが、トランプ氏が何を言っても意味はなく、日朝が交渉しないと現実的には何も進まない」

■元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。

「トランプ政権の安全保障政策はマティス国防長官ら軍部に丸投げ状態です。対北朝鮮強硬派といわれるボルトン元米国連大使でさえ、『北朝鮮は脅威でも何でもない』とツイートし、実は相手にしていません」

 トランプ米大統領は訪日中の6日、都内の駐日米大使公邸で日米の企業トップらを前に演説し、「米国の対日赤字は年間700億ドルに達している」と指摘。

 その解消策として、「我々には世界で最高の軍需品がある。日本周辺で起きていることを考えると、(安倍政権の)米国製の防衛装備品購入は正しい選択」と話し、弾道ミサイル防衛システムの導入を強く促した。

 さらに首脳会談でも、米国製の防衛装備品購入が議題となり、会見でトランプ大統領は「F35は世界最高の戦闘機だし、さまざまなミサイルも製造している。米国に多くの雇用が生まれるし、日本が安全になる。重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ」と念押し。

 安倍首相は「F35Aや新型迎撃ミサイルのSM3ブロック2Aなどを米国から導入する」とした上で、「イージス艦の量、質を拡充していくうえで、米国からさらに購入していくことになるのだろう」と応じた。