日刊ゲンダイ 2017年9月22日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/214092

 疑惑の幕引きを図る政府に住民は怒り心頭だ――。安倍首相の“腹心の友”が理事長を務める加計学園の獣医学部新設をめぐる問題。文科省の大学設置・学校法人審議会(設置審)は8月末に「認可保留」を下したが、来年4月の開学に向けて愛媛県今治市のキャンパス建設は着々と進んでいる。

 10月末に改めて設置審の認可判断があるものの、獣医学部新設をめぐる「建築費水増し疑惑」や「バイオハザードリスク」といったさまざまな問題は解明されていないままだ。

 野党から森友学園や加計学園問題を追及されたくないのか、安倍首相は28日召集の臨時国会で所信表明なしの冒頭解散に打って出る。まるで“森友・加計隠し解散”。野党の臨時国会召集に応じる姿勢を見せたかと思いきや、議論する気は全くないのである。

 この“加計隠し解散”に待ったをかけようとしているのが、渦中の今治市民だ。23日、獣医学部新設に反対する市民が市内でデモを行う。呼びかけ人は「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川敦彦氏で、他に森友問題を追及している木村真豊中市議や山本太郎参院議員、元共同通信記者の浅野健一氏らが参加する予定だ。突然持ち上がった衆院解散について、黒川氏は「安倍首相の“丁寧な説明”はどこにいったのでしょうか」と憤慨しながらこう言う。

(つづき)
「政府も市も学園も、一連の疑惑について何ら説明していない。市と学園側は、設置審の認可後に事情を説明するとしているが、つまり“今は説明しない”ということです。デモ参加者は約300人を見込んでいます。市内での住民デモは30年ぶりで、規模を考えると、数百人集まるデモは今治史上『初』でしょう。四国4県に加えて、東京や大阪、九州からも参加者が集まっています。今治市民だけでなく、あらゆる人が怒っているのです」

 獣医学部キャンパスの建設地や市役所周辺を行進した後、中央公民館で加計獣医学部問題を住民に向けて説明する予定だ。

「市役所内で加計問題をうまく乗り切った役人に重役ポストが用意されているとの情報もあります。論功行賞を与えて口封じするつもりでしょうか」(黒川敦彦氏)

 何も説明しないことで“アメ”が与えられるのならば、怒れる市民の火に油を注ぐだろう。疑惑の幕引きはより一層難しくなるだけだ。“加計隠し解散”で逃げ切りは許されない。