<防衛省離任式>稲田氏「反省」言及せず 注文に反発も
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170801-00000011-mai-pol
8/1(火) 6:40配信

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題で引責辞任した稲田朋美前防衛相は31日、防衛省での離任式に臨んだ。幹部を前にしたあいさつで「風通しの良い組織文化を醸成してもらいたい」と注文を付けたが、自身の組織運営を反省する言葉は一切なく、省内には改めて反発も出た。稲田氏は花束を手に笑顔で離任したが、残された職員にはしらけた空気が漂った。

 稲田氏は、防衛省・自衛隊の幹部を前に、マティス米国防長官ら各国の閣僚と会談した実績を挙げることに多くの時間を割いた。日報問題は最後に触れ、「情報公開への対応が不適切だった。国民の信頼を揺るがし、隊員の士気を低下させかねず、極めて重大かつ深刻だった」と述べ、自身の関与の有無には言及しなかった。「風通し良く」発言には、日報問題で情報公開に後ろ向きな同省の体質や、背広組と制服組とのすきま風が露呈したことが背景にある。ただ、黒江哲郎前事務次官や岡部俊哉陸上幕僚長らが辞任する事態に発展したことへの弁解はなかった。

 稲田氏の後、豊田硬次官があいさつし、「特別監察の結果は大変厳しい、反省すべきものだった。全職員を代表し、国民のみなさまに深くおわび申し上げる」と陳謝。防衛省幹部は「おわびは本来、稲田氏がすべきだった。本人は『全て官僚と自衛官が悪い』と思っているのだろう」とつぶやいた。稲田氏は歴代防衛相と同様、儀仗(ぎじょう)隊から栄誉礼を受けて同省を後にした。稲田氏を見送る列に立った自衛隊員は「こんな盛大に送り出す必要はあったのか。複雑な心境だ」と漏らした。

 野党からは、自民党が稲田氏の国会招致に応じないことへの反発が強まっている。共産党の小池晃書記局長は記者会見で「稲田氏の辞任は最悪の隠蔽(いんぺい)工作だ。一番風通しが悪いのは稲田さんであり、安倍晋三首相を先頭とする内閣、官邸だと言わざるを得ない」と批判した。