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 民進党の蓮舫代表は「二重国籍」をめぐる説明が二転三転したことをめぐって党内外の追及を受け、7月18日に臨時記者会見を開いた。ここで初めて戸籍謄本を見せたが、そこには予想通り国籍選択の日付が「2016年10月7日」と書かれていた。それより問題は、彼女の提出した台湾政府の「国籍喪失許可証書」である。

 これは「2016年9月13日」に許可されたことになっているが、蓮舫事務所が日本の台湾代表処(大使館に当たる)に申請したのは9月6日だった。通常は国籍審査には2カ月以上かかるが、わずか1週間で国籍喪失が許可されたことになる。これ以外にも、彼女の話には矛盾や疑問点が多い。

「多様性」や「排外主義」に話をすり替える蓮舫代表

 問題の発端は2016年8月に、私の主宰する言論プラットフォーム「アゴラ」で、八幡和郎氏が「蓮舫氏は二重国籍ではないか」と疑問を呈したのがきっかけだった。彼女が過去に「私は台湾籍」とたびたび発言していたからだ。

 これに対して彼女の説明は「私は生まれながらの日本人だ」とか「18歳で日本に帰化した」などと二転三転したが、そのうち二重国籍だったことを認め、「台湾政府に国籍離脱を申請した」と説明した。これは9月15日に行われた民進党代表選挙の直前で、党内でも「延期すべきだ」という意見があったが、彼女は代表選に圧勝した。

 その後も「違法状態の解消に努めている」という曖昧な説明を続けたが、証拠を見せなかった。これでは選挙が戦えないので、党内から不満が噴出し、ここに来てやっと戸籍謄本を見せ、これまで指摘された違法行為を認めた。

 ここまで重大な違法行為を認めたら辞任するのが常識だが、彼女は「民族差別だ」とか「排外主義」などと問題をすり替えて辞任を拒否した。「二重国籍だと知らなかった。故意ではない」というのだが、それは本当だろうか?

去年9月の「国籍喪失証明」がなぜ今ごろ出てきたのか

 日本の国籍法は複雑で、特に蓮舫氏は国籍法の改正にともなう経過措置(附則第5条)で父親が日本国籍を取得したので、そのあと3年以内(1988年まで)に台湾国籍を取得しないといけないとは知らなかったと思われる。その後は二重国籍の違法状態だった。

 これは彼女が芸能人なら大した問題ではないが、彼女は2004年に参議院議員になった。そのとき選挙公報で「1985年に台湾籍から帰化」と書いたが、これは明らかに経歴詐称(公職選挙法違反)で、今週の会見で彼女も認めた。

 これは彼女が記者会見で言った「多様性」とは無関係だ。この話は「蓮舫氏が東大卒と学歴詐称して参議院選挙に当選した」と置き換えても同じで、過去に学歴を偽った国会議員が2人、辞職している。

 さらに深刻なのは、彼女の出した書類は本物かという問題である。国籍喪失許可証書は昨年9月13日付だが、わずか1週間で許可が下りることは考えられない。これは台湾政府の政治的配慮だったと思われる。

 台湾政府の公式ウェブサイトでは、次のように「民国105(2016)年10月17日に内政部で審査が終わって外交部に送った」となっていたが、この表示は12月17日に消え、その後は「謝蓮舫」についての記録はすべて消えてしまった。

 つまり少なくとも昨年10月17日まで台湾政府が審査していたはずだが、それが今ごろになって昨年9月13日に遡及して許可されたのだ。これは台湾政府の事情ではなく、蓮舫側の事情だったと思われる。

 彼女が昨年9月15日の代表選で当選したとき、まだ二重国籍問題の決着はついていなかった。本当に13日に許可証が出ていたのなら、代表選のとき見せることができたはずだ。国籍喪失許可は、戸籍謄本とは無関係の公的書類である。

 ところが彼女は、そのときは何も証拠を出せないまま当選し、今ごろ「代表になる前に二重国籍は解消していた」という。残念ながら、それが嘘だということは、上のネットに残った台湾政府の公式サイトの記録で証明されているのだ。

「1984年に失効した旅券」で国籍離脱できるのか

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