都議選惨敗が号砲 内閣改造どころか“安倍降ろし”に発展も
2017年7月1日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/208508/1

 歴史的な大惨敗になりそうだ。7月2日投開票の都議選で、自民党が現有57議席から大幅に減らすのは確実。民主党旋風が吹き荒れた2009年に記録した過去最低の38議席を割り込む可能性が高くなってきた。

■一気に党内政局へ
「加計学園問題で有権者が安倍政権に対する疑念を募らせ、内閣支持率が急落している中での都議選です。ただでさえ苦戦を強いられているのに、稲田防衛相の大失言と『週刊文春』の下村都連会長のヤミ献金報道がトドメを刺した。これで自民党に投票しろという方が無理ですよ。候補者自身に問題がなくても、自民党の公認というだけで落選の憂き目に遭うケースが続出し、壊滅状態になる。怒りの矛先が安倍官邸に向かって党内はガタガタになるし、支持率もますます低迷していくでしょう」(政治評論家・本澤二郎氏)
 党内からは「都議選が終わったら、すぐに内閣を改造すべきだ」という声も上がっている。8月に予定されている内閣改造を7月に前倒しして、稲田などの問題大臣をごっそり交代させる。同時に目玉人事でイメージアップを狙うしか政権浮揚の材料がないからだ。だが、いまの安倍首相に内閣改造なんてやれるのか。都議選で38議席を割り込んだら、一気に政局だ。
「従来、都議選で負けて責任を問われるのは都連会長や党幹事長クラスでした。しかし、今回は安倍首相の責任問題になってくる。加計疑惑は安倍首相自身の問題だし、惨敗ムードを決定づけた稲田防衛相と下村都連会長は首相の側近中の側近です。都議選で惨敗すれば、内閣改造どころか安倍降ろしですよ。ポスト安倍の最右翼とみられている麻生副総理がナリを潜めているのも、都議選後の安倍降ろしに備え、意図的に距離を置いているように見えます」(本澤二郎氏)

 麻生は告示日には千代田区、中野区、足立区の3カ所を回ったが、その後はほとんど応援に入っていない。くしくも都議選投開票の翌日には、麻生派と山東派などが合流し総裁派閥の細田派に次ぐ新派閥を旗揚げする。その準備で忙しいのか。
 4年前、前回の都議選では25カ所で街頭に立ち選挙の顔を自ら買って出た安倍首相も、批判ヤジを恐れているのか、今回は一度も街頭演説をしていない。党トップが堂々と街頭に立てないなんて異常事態だが、ついに出てくる気になったようだ。
 「『逃げている』という批判があまりに多いことに総理がブチ切れ、最終日の7月1日の夕方、秋葉原駅前で街頭演説する方向で調整を始めました。『ぜひ麻生さんも一緒に』と言って、日程を組んでいるそうです。麻生さんと一緒に秋葉原に立つと、聴衆の反応が違うんだとか。これまで大勝してきた国政選挙で、最終日は秋葉原に立つのが総理の恒例パターンになっています。日の丸を掲げた支持者で埋め尽くされ、非常に盛り上がる。総理にとって縁起のいい場所なのです」(官邸関係者)
 ブチ切れて街頭演説をやるというのも大人げない話だが、都議選で安倍首相が街頭に立つとしても、“ホームグラウンド”の秋葉原で一度きり。自分に好意的な支持者の前でしか演説できないのは、それだけ政権が弱体化している証拠だ。
 もっとも、安倍首相が最終日の街頭演説に麻生財務相を引っ張り出そうとしているのは、「都議選敗退の連帯責任を負わせて党内政局を封じるための深謀遠慮」(自民党ベテラン議員)という見方もある。
 水面下では、都議選後を見据えたつばぜり合いが激しくなってきた。内閣改造に着手する前に安倍退陣という展開も十分あり得る。都議選惨敗が安倍降ろしの号砲になるのか。