東京都議選が終盤を迎えている。
都議選は地方選挙ではあるが注目度は高く、国政の流れにも大きな影響を与える。
ここでは情勢を考察するとともに、選挙結果が与える影響についても考えてみたい。

小池百合子都知事にとって最初の都議選である。
都民が小池知事の1年の成果を見た上で、小池都政に信任を与えるかどうかという選挙と位置づけることができる。

就任当初の小池知事の支持率は高かったが、最近やや下がり気味になっており、「小池ブームは終わった」と分析する人もいる。
確かに、都道府県知事の支持率は一般的に高いところが多く、現在の小池知事の支持率は飛び抜けて高いわけではない。

しかし、他県の多くは“オール与党化”し、原発問題などを抱えていない県は、そもそも争点すら多くない。
その場合の知事は、県の象徴のような存在になり、受動的ながらも支持率は高くなる傾向にある。
否定する点があまりないからだ。

一方、東京都では豊洲市場問題などで対立点がいくつかある。
そのようななかで、小池知事の支持率は今でもかなり高いといえる。
豊洲市場問題はなかなか方向が定まらず、「決められない知事」といった批判も出ていたが、都議選の告示前に小池知事は「築地を守り、豊洲を生かす」という方針を発表した。

この方針は、具体的な部分は曖昧な状態で方向性を示した提案で、批判する側からは非常にやりにくいといえる。
築地派にも豊洲派にも展望を残しているだけに、強い反対を避けることができる。
また、肝心の財政問題などは具体案が出ていないので批判しにくいのだ。
現時点で、小池知事への“漠然とした期待感”は、まだ都民に強くある。

今回の選挙で、小池知事は自身が代表を務める都民ファーストの会と、公明党の連携を図った。
選挙において、これは非常に大きな意味をもっている。
公明党は組織力を持っており、与党が国政選挙で強い順風がない状態でも大勝してきた一要因となっている。
今回の都議選で公明党は、自民党ではなく都民ファーストと連携したわけで、特に1人区や2人区の選挙区では都民ファーストに有利な展開となっている。

都民ファーストと公明党、生活者ネットワークの、いわゆる“小池勢力”で過半数をとるかどうかが注目されているが、過半数の64議席どころか70議席を上回る勢いだ。
都民ファーストは都議会第一党の地位も獲得する可能性が出てきた。

●逆風の自民党、凋落激しい民進党

都議会自民党は昨年、築地市場の移転問題で、豊洲市場の地下空洞や地下水問題などが明らかになるにつれて劣勢に立たされてきた。
そこから徐々に挽回して、都民ファーストに真っ向勝負の体制になりつつあった。

ところが、国政のほうで森友学園問題や加計学園問題がメディアを賑わし、安倍政権の支持率も落ちてきた。
そこへ、所属議員の不祥事や閣僚の失言が相次いだ。
特に都議選の告示直前に浮上した豊田真由子議員による元政策秘書への暴力・暴言事件は、自民党のイメージを大きく傷つけた。

選挙戦に入ってからも、稲田朋美防衛相が特定候補者の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言し、ダメージが広がった。
さらに追い打ちをかけるように、下村博文元文科相が加計学園から違法献金を受けていたとの疑惑も浮上してきた。
下村氏は自民党都連会長だけに影響はさらに大きいと思われる。

自民党候補者の多くは、今回の都議選ではボーダーラインで戦っている人が多い。
前回選挙では1人区や2人区では圧勝するところもあったが、今回はそうしたところはほとんどない。
3人区以上の選挙区でも当落ラインにいる候補者が多く、これらの逆風によって自民候補者が共倒れするリスクもある。
自民党は都議会第一党を狙うどころか、大敗した2009年の都議会選挙での獲得議席38を下回る可能性さえ出てきている。

また、もうひとつ注目すべきは民進党の凋落だ。
09年の都議会選挙で前身の民主党は54議席を獲得し、都議会第一党の地位を得た。
しかし、13年の都議選では15議席と振るわず、大敗した。

ビジネスジャーナル  2017年7月1日 06時00分
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※続きます