http://www.excite.co.jp/News/politics_g/20170629/Shueishapn_20170629_87162.html?_p=5
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混迷を極める昨今の政治状況を、外国人ジャーナリストはどう見ているのか? 
「週プレ外国人記者クラブ」第82回は、フランス「ル・モンド」紙の東京特派員、フィリップ・メスメール氏に話を聞いた――。


メスメール 私の個人的な見解ですが、小池氏は将来的に「日本初の女性首相になる」という野心を抱いているのだと思います。ただし、私はマクロン大統領と小池都知事を重ねて見てはいません。彼女はマクロンにはなれないとも思っています。その理由は、彼女には「明確なビジョン」が感じられないことです。

東京都知事として小池氏は非常に良いスタートを切りました。東京オリンピックの見直しや市場移転の見直しは政策として間違いではなかったと思うし、従来の都政の問題点を浮き彫りにしたという点でも彼女の支持を高める要素になったでしょう。ただし、それらの問題の解決にあまりにも長い時間をかけすぎてしまったし、結果的に多くの妥協を強(し)いられたことで、「小池知事には明確で現実的なビジョンがない」という印象が有権者の中に広まりつつあります。

都政においてすらそうなのですから、彼女が「この国の明確なビジョン」を持っているとは思えないし、事実、これまで国家的なビジョンをほとんど示していません。むしろ自分自身の将来に対する野心から、目に見える形で安倍政権と対立することを避けようとしているようにすら見えます。…

─確かに、小池氏は自民党都議連や自民党執行部への痛烈な批判はしても、安倍政権に対する直接的な批判はあまりしませんし、安倍首相もあれだけ小池知事と自民党都議連が対立しているのに、表立って小池批判をすることはほとんどないですね。

メスメール 私はむしろ小池新党、つまり都民ファーストの会は安倍政権にとって「民進党を弱体化させるための格好の道具」になっているのではないかと見ています。東京のような大都市では一般的にリベラル層が多いですが、彼らの票が都民ファーストの会に集まれば、結果的にそのあおりを食うのは民進党である可能性が高いからです。

─なんだかその景色、以前「大阪維新の会」が生まれた時にも見たことがあるような…。

メスメール その通りです。当初は既存政党、既存政治とは違う新たな選択肢として名乗りを上げたはずの維新の会が、紆余曲折を経て、今や実質的に「第二の自民党」みたいになっている。将来的にそれと同じことが都民ファーストの会にも起きることはあり得ると思いますね