コラムニスト・勝谷誠彦氏(56)が兵庫県知事選に出馬した。同氏とニコニコ生放送で時事放談を行ってきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、「まさか」と思ったというが、このたび発表された「目標」を見て納得がいったという。同氏にとって勝谷氏の人物像はどう映っているのか。中川氏がつづる。

 * * *
 今回勝谷さんは「明るく楽しい兵庫県」という「公約」を立てましたが、厳密には公約ではありません。勝谷さんのホームページの「政策データベース」欄にはこうあります。

〈4年の任期の間には、さまざまなことが起きるでしょう。天災もあるだろうし、県だけではどうしようもない国政の上での変化もあるかもしれません。それらを予測して、いいかげんな「公約」をする勇気が私にはない。

「目標」を掲げようと思います。私が知事にいる間には達成できなくとも、いつかはそこに到達したいという輝く星を掲げたいのです。県民と県職員がみんなでその星を見つめて、あそこに行くのだと思えるような。〉

「公約」というものは本来は容易に言えないということですね。だから「目標」にした。政治家は選挙期間中のみ夢を与えがちで、その後は「状況が許さなかった……」「想定外の事態が発生した……」などと言い、公約を守れないことはよくあります。有権者は失望し、「あの時公約してくれたからあなたに投票したのに」と思ってしまう。だからこそ「目標」という言い方をしたのでしょう。私は政治家は現実的な思考の持ち主であって構わないと思っています。
その目標をするためには「監査」が必要だと勝谷さんは述べます。つまり、県民が払った税金がいかにして使われたのか、儲かったのか? ということを県民に示すことが必要だということです。

〈惰性で垂れ流している死んだお金を、未来、将来のために活用する。すると、まちがいなく「明るく楽しい兵庫県」になるのです。私は知事という「名前」が欲しいわけではなく「監査」ができれば、それでいいくらいのつもりでいます。〉

 現在の喫緊の課題としては、「厳しい財政状況」「情報発信力の不足」「県政の凋落」の3つを掲げ、細かい取り組むべき課題も多数挙げています。正直、あの酔っ払いの勝谷さんがこんなことを考えていたのか! と驚く面も多かったのですが、もしも通ってしまったらあぁ、遠くへ行ってしまうのかなぁ、という若干の寂寥感も持ちつつ、勝谷さんの「目標」である「明るく楽しい兵庫県」について勝手にその思いを汲み取ってみます。