<都議選>「復興五輪」小池氏触れず
6/29(木) 10:04配信 河北新報

都議選候補の応援に駆け付けた小池知事=27日、東京都立川市
 東京都議選(7月2日投開票)は投票まで3日となった。小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファースト」の支持
勢力が過半数を獲得するかどうかが最大の焦点に浮上。国政への影響もささやかれ「劇場化」の様相だ。その陰で東日
本大震災からの「復興五輪」のように小池氏が一時は重要視したが、忘れ去られたテーマもある。(東京支社・小木曽
崇、片山佐和子)

【都議選】首都決戦に東北議員続々

 告示された23日午前、地域政党「都民ファーストの会」を率いる小池氏は市場移転問題で揺れる中央区でマイクを握
ったが、そこは築地ではなかった。

 「都議会は(新市場整備)予算を増やす方向に後押ししたとしか思えない」と触れただけ。中心は待機児童対策など
の実績だった。

 その3日前、新施設が建つ豊洲(江東区)と現在の築地を併存させる案を発表。世論の動向は不透明だった。演説で
市場問題に言及しなかった候補者は「ここに住む人は市場関係者と違う層」と弁明した。

 26日の新聞各紙は「豊洲・築地併存」に賛意を示す世論調査結果を伝えた。「風」を感じ取った小池氏は一気に攻勢
を強める。

 「豊洲の市場整備費はいつの間にか6000億円にまで膨らんだ。情報公開に取り組み、意味のある賢い支出をしたい」
。台東区の雷門前で28日夕、大勢の人を前に小池氏が訴えた。

 約1時間後。近くの小学校であった党公認候補の集会には安倍晋三首相が参加。「国会では政策的議論ができなかっ
た。私の姿勢にも大きな原因があった」と反省の弁を語った。

 小池氏得意の劇場化戦略。都政運営でも「奇策」を繰り出してきた。その一つが東京五輪・パラリンピックのボート
、カヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」の見直しだ。

 「海の森だって1000億円にまで膨らんでいた」。唯一の日曜の25日、墨田区内では整備費高騰を抑制できなかった議
会を批判。「古い議会よさようなら、新しい議会こんにちは」と勢力拡大を訴えた。

 小池氏は昨年10月、海の森の代替候補地に挙がった宮城県長沼ボート場(登米市)を視察する直前、「忘れかけてい
た復興五輪への関心を呼び起こす」と会場見直しの意義を強調した。

 今回は自身が忘れかけているのか、「劇場」の舞台が違うのか。復興五輪を口にする気配はない。

 もちろん、1300万首都の論点は多様であっていい。地方をリードする政策力と知恵を示すべきだ。そう割り切っても
、小池氏の発言に振り回された東北の被災者や住民を思うと、やるせなさが残る。
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170629-00000010-khks-pol