http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201706/CK2017062802000268.html

政策だけでなく人柄にも注目してみよう−。七月二日投開票の東京都議選に向け、若者の投票率アップを呼び掛ける学生団体が候補者の横顔を分かりやすく紹介するインターネットサイト「やわらか選挙公報」を作った。メンバーが取材して集めた情報を基に、都議の仕事を身近に感じてもらえるよう工夫した。 (石原真樹)

 「やわらか選挙公報」では候補者一人につき、二枚の写真を載せている。一枚目は選挙ポスターに使っていそうな肖像写真だったり、議会質問していたりする「硬め」の写真。二枚目はスイーツを味わっていたり、愛犬と遊んでいたりとリラックスした写真が多い。中には、街頭や集会で演説する姿を寄せて、生真面目さをアピールする候補も。

 「やわらか選挙公報」を作ったのは、二〇〇八年に発足し、各地で模擬投票や選挙の出前授業などを開いている学生団体「ivote(アイ・ヴォート)」。代表の東京学芸大二年の別木萌果(べっきもえか)さん(19)は「選挙に行けと言われても、誰に投票していいか分からないという若者が多い。みんなが聞きたいことを、自分たちで聞いてみた」と話す。

 選挙のたびに候補者の公開討論会を企画している日本青年会議所を通じて依頼したところ、都内八選挙区でほとんどの候補者から協力が得られた。十五人のメンバーが手分けして取材し、公開討論会での発言を抜き出したり、インタビューしたりしてサイトに載せる情報を集めた。

 選挙区ごとに構成は異なるが、候補者の主張を説明する欄と、人柄を紹介する欄を設けているのは共通する。例えば杉並区選挙区は、政治活動の実績と公約をまとめた「ここがポイント♪」のほか、「アナタが当選したら?」「オリ&パラ(東京五輪・パラリンピック)、どうしよ?」「こんな人」の計四コマがある。

 学生時代の思い出や失敗談など、若者が親しみを持てそうなエピソードを集めるよう心がけた。「予算」を「お金」とするなど、行政用語も分かりやすく言い換えた。「どうも、キャリアウーマンです」「ミスター防災」など候補者の特徴を一言で表すキャッチフレーズは、メンバーたちが考えた。別木さんは「候補者が自分でつけると、みんな『都民のために』なんてなる。つまらない」。

 メンバーたちは都議選を前に「都議って何でいるの」ということを真剣に考えた。取材して初めて、組織も権限も巨大である都の仕事を監視する役割の大切さを実感した。

「やわらか選挙公報」は、アイ・ヴォートのホームページで見られる。