東京都議選の応援演説で稲田朋美防衛相が「自衛隊としてもお願いしたい」と発言、その後に撤回した問題をめぐり、政府・自民党は28日、野党の罷免要求を拒否、火消しを急いだ。
これに対し、民進党など野党4党は安倍晋三首相の任命責任を厳しく追及する方針を確認。
地域政党「都民ファーストの会」代表の小池百合子都知事も稲田氏批判の輪に加わっており、都議選の結果を左右しかねない情勢だ。

 菅義偉官房長官は28日の記者会見で、首相から稲田氏続投の意向が示されたことを説明。菅氏も「しっかり説明責任を果たし、今後も誠実に職務に当たってもらいたい」と述べ、辞任は必要ないとの認識を示した。

 稲田氏の発言について、菅氏は「都議選に影響を与えることはない」と強調。「都民が直面する地域の問題について候補が具体的な政策を訴え、地元の皆さんが判断する選挙だ」と語り、国政課題の争点化を狙う民進党などをけん制した。

 これに対し、民進、共産、自由、社民の野党4党は28日、国会内で国対委員長会談を開き、4党首の連名で稲田氏罷免を改めて要求する方針で一致した。
 小池氏は都庁で記者団に、稲田氏の発言について「あり得ない」と述べ、自民党との対決姿勢をさらに鮮明にした。 

 政府・自民党内には、学校法人「加計学園」の問題を発端とする逆風が、稲田氏の発言でさらに強まることへの懸念が広がっている。
岸田文雄外相は東京都内で記者団に「都議選などに影響が出ないことを望みたい」と述べ、稲田氏の進退については「今後の推移を注視していきたい」と述べるにとどめた。

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