東京地検特捜部が狙いをつける「復興利権」の疑惑と闇
「最強の捜査機関」の復活は成るのか
・伊藤博敏(ジャーナリスト)
週刊現代:2016年12月1日
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50330
(全文は掲載元でどうぞ)

狙うは政財界の闇

東京地検特捜部が、自ら事件の端緒を掴んで捜査着手する特殊直告班を動かし、捜査着手したのは10月17日である。
以降、関係各所の家宅捜索を行い、関係者の事情聴取を続けてきた。

捜索容疑は貸金業法違反――。

愛媛県松山市の業者が、都道府県知事の貸金業登録を受けていないにもかかわらず、埼玉県で建設業を営むT建設グループなどに金銭を貸し付けて無登録営業を行ったという事件である。

2010年、証拠を改竄したとして特捜部長以下が逮捕された大阪地検事件以降、新たな検察捜査の方向性を示せず、独自案件に踏み込めない状態が続いているにせよ、いかにも軽量級の事件である。
政官財を監視する「最強の捜査機関」の名が泣く。

だが、やはり狙いは他にあった。松山の業者に近い関係者が証言する。

「貸金業法違反は入口だと聞かされているそうです。
狙いは、急成長しているT建設グループが、東北の復興工事でゼネコンや地元業者の“前捌き”でやっていること。
つまり、東北復興の除染作業を中心とする利権の解明が狙いで、(松山の業者は)捜査協力をしているという認識です」

確かに、17日から数日間行われたという家宅捜索、今も精力的に続けられている事情聴取は、T建設グループに力点が置かれている様子で、
「貸金業法違反については被害者なのに、なんでウチが狙われるんだ」と、同社には不満が広がっているという。

バブル時代、関西を中心に企業の倒産整理、債権回収、地上げなどで一世を風靡したY商事という会社があった。
「表」にも「裏」にも強いことで知られたが、松山の業者を率いるH女史は、そのY商事でノウハウを学んだやり手である。

そのH女史にT建設を紹介したのがS氏で、T建設はS氏を顧問に迎え、除染など東北復興に本格的に関わるようになってから急成長した。

当初は、事業拡大に合わせて「急ぎのカネ」が必要で、それをH女史に頼っていたが、次第に高利に加えて「別名目の請求」が多いH女史との関係を切ろうとしてトラブルが発生。
今年初め頃から民事刑事の争いに発展するようになった。

(中略)

それを東京地検特捜部が受理したのは、T建設の監査役に関西検察の大物OBがついていたこともあるが、T建設が急成長する過程で行ったとされる次のような工作があり、それが検察の興味を引いたという。

都内の料亭で、S顧問、大手ゼネコン役員、元代議士、現職代議士が集まってドンチャン騒ぎをした。
除染請負に伴う謝礼の接待。
現金が渡ったし、それを裏付ける会話録音や写真も存在する――。

(以下省略)

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伊藤 博敏
ジャーナリスト。1955年福岡県生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業。
編集プロダクション勤務を経て、1984年よりフリーに。経済事件などの圧倒的な取材力では定評がある。
著書に『「カネ儲け」至上主義が陥った「罠」』 、『トヨタ・ショック』(井上 久男との共著)、『 金融偽装―米国発金融テクニックの崩壊』 (いずれも講談社刊)など

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