「美術館女子」は何が問題だったのか。「美術界のジェンダー格差を強化」「無知な観客の役割を女性に」
6/15(月) 21:52配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/1a1ea66276bca47908a38b0331350b9c96109a79

美術館連絡協議会(以下、美連協)と読売新聞オンラインによる新企画「美術館女子」が、開始早々SNS上で大きな批判に晒されている。

この企画に対し、6月12日の公開後の週末、SNS上では批判の声が相次いだ。指摘されている主な問題は、「〇〇女子」という言葉に含まれるジェンダーバランスへの意識の欠如と、美術館がいわゆる「映え」のみの場所としてとらえられかねない見せ方をした点にある。

美術手帖で「統計データから見る日本美術界のジェンダーアンバランス
」を執筆した社会学者の竹田恵子は、美術館の楽しみ方は多様であることが前提としつつ、「『美術館女子』企画は、ほとんどの女性が美術のなかで『描かれる側/視られる側』=客体化されてきたという議論を無視しているかのように、女性観客をも客体化したつくりになっている」と指摘。
さらに、以下のように続ける。

「美術界自体は女性のほうが多い業界であるにも関わらず、女性は低い地位にある傾向が強い。『~女子』という言葉は基本的に男性主体の文化に女性が参入する場合、有徴化するための言葉です。
ゆえに当該企画は美術界のジェンダー格差を強化していると考えます。 女性(観客)の主体性を無視し、『無知』の側に(のみ)置いていることも問題です。
美術館に普段来ない層を呼び込むためならば、これらの構造的・歴史的背景を勘案していれば、もっと違うやり方ができたはずだと思います。
ぜひ事前に、ジェンダーの専門家に聞いていただければ、違ったアプローチをご提案できたのになあ、と残念です」。

 キュレーターとしてジェンダーの問題に多角的に取り組んできた小勝禮子は、「今回の『美術館女子』は読売新聞社の企画を、美術館関連ということで美連協も関わることになったのだろう、美連協には気の毒なところもある」としながら、「企画者側のおじさん目線から考えられているため、残念ながらアウトな部分しかありません」と批判する。

「アイドルの可愛さ、魅力が中心で、美術館やアートはただの背景に過ぎない。そこには、美術館という空間やそこにある美術作品との出会いによる新たな発見や、美術を観る者の感動や思索が、まったく伝わってきません。『アートの力』の発信が視覚化されていないのです」。

(以下長くてめんどくさい話が続くので略)