【SSコンペ】花帆「さやかちゃん、スクールリングって知ってる?」さやか「スクールリング、ですか?」
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さやか「まあ、知ってはいますけど……。確か卒業記念にもらえるんですよね?」
花帆「そう、そうなんだけど、そうじゃないの!」
さやか「そうだけど、そうじゃないってどういうことですか……?」
花帆「実はね、蓮ノ空の伝統でね、大切な人にスクールリングを渡すんだって」
さやか「卒業式の日にですか?」
花帆「それもロマンチックだよね! でも、在学中に渡すこともあるみたいなの」
さやか「そういえば、購買部で申請すれば購入することも可能と聞いたような……」
花帆「そう! そうなの!」
花帆「さやかちゃん、そのこと知ってるかなーって思って」
さやか「まあ、なんとなく聞いたことがある程度ですが……。しかし、なぜ急にそんなことを?」 花帆「実はね、見ちゃったんだ」
さやか「見たって、何をですか?」
花帆「校舎裏でね、1年生がセンパイにスクールリングを渡してたの!」
さやか「えっ」
花帆「すごく素敵でね、だけどその時あたしスクールリングのことあんまり知らなかったから、あとで梢センパイに聞いたらそういう伝統なんだって、教えてくれたんだ」
さやか「なるほど、それでわたしにも共有してくれたと」
花帆「うん、さやかちゃんもいつか渡したい人がいるかも、って思って」
さやか「そうですね……」
花帆「渡す時は相談してね、あたしも一緒に選ぶの手伝うから!」 さやか「……花帆さん」
花帆「どうしたの、さやかちゃん?」
さやか「少し、購買部まで付き合ってもらってもいいですか?」
花帆「えぇっ!? も、もしかして早速頼みにいくの!?」
さやか「善は急げと言いますから」
花帆「さやかちゃんがあげたい人……」
花帆「そっか、わかった!」
花帆「いこう、さやかちゃん!」
さやか「ありがとうございます」 ──
さやか「あの、スクールリングを──」
花帆(まあ、選ぶって言っても、サイズだけなんだけどね)
花帆「あれ、そういえば綴理センパイの指のサイズどうなんだろう……」
花帆「さやかちゃんはわかってるのかな……?」
さやか「花帆さーん、こっちに来てもらえますかー」
花帆「んー、なにー?」
さやか「左手の薬指を出してください」
花帆「こう?」
さやか「このサイズです」
花帆「えっ、いや、さやかちゃん、指のサイズって人によって違うよ!?」
さやか「これでいいんです。お願いします」
花帆(もしかしてあたしと綴理センパイって指のサイズ同じなのかなあ……?) さやか「お待たせしました」
花帆「頼めた?」
さやか「はい。お陰様で」
花帆「本当にサイズあれでよかったの?」
さやか「はい、ピッタリなはずです」
花帆「さやかちゃんがそういうならいいんだけど……」
さやか「できるのは2週間後だそうです」
花帆「へぇ、結構早くできるんだね」
花帆「もっとかかるのかと思ってた」
さやか「わたしも1ヶ月は覚悟していましたが、思っていたより早く渡せそうでよかったです」ニコニコ 花帆「あ、ねえねえ。よかったら渡す時隠れて見ててもいい?」
さやか「言われなくても花帆さんには来てもらう予定ですよ」
花帆「じゃあ、今度はスクールリングができてからだね」
さやか「はい!」
花帆(さやかちゃん、本当に嬉しそうでよかった)
花帆(……)
花帆(……よかったんだよね?)
花帆(さやかちゃん、あんなに嬉しそうなんだもん)
花帆(じゃあ、なんであたしはこんなに嬉しくないんだろう……)
花帆(……)
さやか「花帆さん? どうかしましたか?」
花帆「う、ううん、なんでもない!」
花帆「……」ズキッ ──
花帆「あっ! さやかちゃんからメッセージ届いてる!」
花帆「スクールリング、今日渡すので校舎裏に来てください」
花帆「……スクールリング届いたんだ」
花帆「……」
花帆「約束したもんね、いかなきゃ」
花帆「…………」
花帆「あれ、なんであたし椅子から立てないんだろう……」
花帆「………………」
花帆「……そっか、あたし──」
花帆「さやかちゃんのこと、好きだったんだ」 花帆「今更気付いても遅いよね……」
花帆「さやかちゃんは綴理センパイにスクールリングをあげるんだもん……」
花帆「……。『ごめんね、やっぱりあたし行かない方がいいと思うから行かない。頑張ってね。』っと」
花帆「……」ポロッ
花帆「さやかちゃんが──好きな人が幸せになるんだから、嬉しいはずなのに……」
花帆「あたし、さやかちゃんのことこんなに好きだったんだ……」
花帆「……」
花帆「ちょっと横になろうっと……」 コンコンコン
花帆(誰だろう……)
花帆(今出る気になれないから居留守使っちゃおう)
さやか「花帆さん! 花帆さん! いないんですか!?」コンコンコン
花帆「って、さやかちゃん!?」
さやか「開けてください、花帆さん!」
花帆「えっ、スクールリング渡してるんじゃ──」
さやか「いいから! 開けてください!」
花帆「えっ、う、うん……」 花帆「さ、さやかちゃん、なんでいるの……?」
さやか「花帆さんが来てくれないからです」
花帆「え、だって、あたしがいなくても──」
さやか「いなきゃダメなんです」
花帆「……。あたし、さやかちゃんが他の人にスクールリング渡すの見たくなくて──」ツーッ
花帆「っ!」クルッ
花帆「だから、心細いかもしれないけど、1人で頑張って──」
さやか「花帆さん」
花帆「ま、回り込んでこないでよ、顔見せたくないのに……!」
さやか「後ろから渡すのはよくないかと思って」
花帆「? 渡すって何を……?」 さやか「花帆さん、受け取ってください」
花帆「えっ……?」
さやか「……」
花帆「ち、違うよ、これ綴理センパイにあげるやつ──」
さやか「いつ、誰がそう言いました?」
花帆「だ、だって──」
さやか「これ、花帆さんの指のサイズで作ったんですよ?」
花帆「あっ……」
花帆「えっ、うそ、えっ……?」
さやか「だから、花帆さんが来てくれないので渡しにきちゃいました」
花帆「うそ、あたしに……?」ポロポロ
さやか「わたしは、最初から花帆さんしか思い浮かびませんでしたよ」ニコッ 花帆「つけてみてもいい……?」
さやか「待ってください」
さやか「わたしがつけてあげます。手を出してください」
花帆「……こう?」
さやか「花帆さんはいいんですか?」
花帆「……うん」
花帆「お願い、さやかちゃん」
さやか「……」スッ
花帆「……」ジッ
さやか「どう、ですか?」
花帆「……素敵。ありがとう、さやかちゃん」
さやか「気に入ってもらえたならよかったです」ニコッ 花帆「……ごめんね、さやかちゃん」
さやか「えっ……?」
さやか「や、やっぱりスクールリングは返却ですか……?」
花帆「そ、そうじゃなくてね!」
花帆「あたし、さやかちゃんにあげるスクールリング用意してないから……」
さやか「あっ、そういうことですか」
花帆「さやかちゃんがあたしに渡してくれるって知ってれば用意してたんだけど……」
さやか「ふふ、それではサプライズにならないじゃないですか」
さやか「花帆さんがいい感じに勘違いしているようだったのでサプライズにしたんですよ」クスクス
花帆「もう! そのせいで胸がきゅってなったんだからね!」
さやか「ごめんなさい、花帆さん」クスクス 花帆「……」ジーッ
さやか「ずっとスクールリングを眺めてますね」
花帆「うん、すっごく嬉しくて」
さやか「そこまで喜んで貰えたのなら嬉しいです」
花帆「でも、やっぱり学校にこれつけていったら変かなあ……?」
さやか「あー、そうかもしれないですね。左手の薬指ですし」
花帆「うーん……」
さやか「そう言うと思って、用意しておきましたよ」
花帆「ネックレスチェーン……?」
さやか「これに通して、こう首にかければ」
花帆「あっ! これだったら目立たないし、ずっと身につけてられる!」 花帆「……えへへ」
さやか「今度はネックレスを触りながらどうしたんですか?」
花帆「なんだか、2人だけの秘密って感じがしていいなあって」
花帆「授業を受けてる時もさやかちゃんと一緒なんだって」
さやか「そもそも席が隣同士じゃないですか」
花帆「そうだけど! 違くて!」
さやか「わかってますよ、からかっただけです」クスクス
花帆「もう、さやかちゃん!」 花帆「ごめんね、あとちょっとだけ待っててね」
さやか「いつまでも待ちますよ」
さやか「そもそも、受け取ってもらえるかも心配だったんですし」
花帆「……さやかちゃん」
さやか「はい?」
花帆「……んっ」チュッ
さやか「ちょ、ちょっと、花帆さん!?」
花帆「今は、なにも返せないからスクールリングのお礼」
さやか「ふ、不意打ちすぎます!」 さやか「……覚悟はしておいてくださいね?」
花帆「えっ、なんの?」
さやか「わたしが花帆さんにスクールリングをもらったときは──」
さやか「ほっぺじゃ済みませんからね」チョン
花帆「っ!?//////」
さやか「だから、今のうちから心の準備をしておいてくださいね」ニコッ
花帆「お、お手柔らかにお願いします/////」
おわり 可憐な花が2輪咲いたわね
時が流れ関係が変わってもきっと2人の絆は永遠だと思えるの 朝練からお風呂まで1日一緒にいるんですもの 好きにならないわけがないわよね 一方綴理先輩はジェスチャークイズで領域展開していた ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています