真姫「私の願い」
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初めてそれを目にして以来、真姫は密かにソレにずっと憧れていた。
穂乃果「ねえ!今日、何か食べて帰らない?」
穂乃果が言い出した時、真姫はチャンスが巡って来たと思っていた。
花陽「私は良いよ。お腹…空いたし…」
にこ「いつも空いてるじゃない」
凛「凛も良いよ〜」
真姫「私も別に構わないけど」 にこ「食べに行くのは良いけど…どこに行くのよ?」
穂乃果「ん〜…そうだねぇ…」
凛「ラーメン!」
にこ「またラーメン?」
凛「ラーメン食べたいにゃ〜かよちんも好きだよね〜?」
花陽「うん。そうだね。美味しいよね」
凛「じゃあ、ラーメンに」
真姫「身体壊すわよ」
凛「え?」 真姫「ラーメンばかり食べてると塩分の摂りすぎで身体壊すって言ってるのよ」
凛「いや…でも…ラーメンばかりって言ってもそんなに…」
真姫「一昨日も昼にカップラーメン食べてたわよね?」
凛「うっ…それは…」
絵里「確かに真姫の言う通りね」
凛「え…絵里ちゃん…」
海未「凛は少しバランス良く食事を摂らないといけませんね」
凛「海未ちゃんまで…」
海未「ラーメンばかり食べていると…穂乃果の様にダイエットするハメになりますよ?」 凛「そ、それは嫌にゃ〜」
海未「でしょう?」
穂乃果「あまり私を引き合いに出すのはやめて欲しいな」
真姫「と言う事でラーメンはなしね」
凛「ぶー。じゃあ、他に何か候補があるの?」
真姫「そうね…まあ、消去法だけど…」
希「焼肉は?」
穂乃果「あっ!食べたい!」
花陽「焼肉!!!」
凛「あっ!かよちんと穂乃果ちゃんの目の色が変わった!」 にこ「いや…焼肉って…いくら掛かると思ってんのよ」
穂乃果「え?」
希「まあ…それもそっか」
穂乃果「でも、食べ放題とかなら」
真姫「食べ放題だって2千円はするわよ?今月始まったばかりだけど…平気なの?」
穂乃果「確かに…お小遣い半分無くなっちゃう…」 真姫「じゃあ、焼肉も無しね」
希「仕方ないね」
穂乃果「じゃあ、何にしようか」
ことり「あの〜…」
穂乃果「ことりちゃん何か食べたいものあるの?」
ことり「私は今日は遠慮しておこうかな…お家にご飯あると思うし」
穂乃果「え?そうなの?」
海未「私もそうします」
穂乃果「え?海未ちゃんも?海未ちゃん食べに行く感じじゃなかった?」
海未「そんな事ないです」
絵里「私も亜里沙が家で待ってるから今日はやめておくわ」
穂乃果「あれ?皆んなそんな感じなの?」 にこ「私もやめておこうかな」
穂乃果「え〜にこちゃんもそんな事言うのぉ。じゃあ…今日はやめる?」
希「う〜ん。そうやねぇ」
真姫「別に行ける人だけで行けばいいじゃない」
穂乃果「え?でも…」
海未「私達に気を遣わなくても大丈夫ですよ」 穂乃果「じゃあ…行ける人だけで行く?」
真姫「それで良いんじゃない?」
凛「凛達それで良いよ」
花陽「うん」
希「ウチもええよ」
穂乃果「じゃあ、5人で」
真姫「例えば…穂乃果はお肉が食べたいの?」
穂乃果「え?まあ…そうだね。希ちゃんがお肉の話しするから」
希「いや〜ごめんごめん」 真姫「そう。でも、焼肉は無理だものね。何か…手頃な価格でお肉が食べれるお店とかあったら穂乃果も満足なのよね」
穂乃果「手頃な価格でお肉が食べれるお店かぁ。ん〜…そうだなぁ。あるかなぁ」
真姫「花陽はやっぱりご飯が食べたいんでしょ?」
花陽「うん…出来れば…」
真姫「何かあるかしら…?」
にこ「なんかヤケに口数多くない?真姫」
絵里「確かに…」 穂乃果「ファミレスは?」
真姫「え?」
希「そうやね。ファミレスならお肉の料理もあるし他にも色々あるからええんやない?」
穂乃果「じゃあ、ファミレスに…」
真姫「ま、待って」
穂乃果「え、何?」
真姫「ファミレスなんていつでも行けるじゃない」 穂乃果「そうだけど…ダメなの?」
真姫「ダメって言うか…別にいつでも行けるんだし…今日じゃなくたって…」
穂乃果「う、うん……真姫ちゃん行きたい所あるの?」
真姫「へ?」
穂乃果「いや…なんか行きたい所あるのかなぁって思って」
真姫「べ、別に…ないけど?」 穂乃果「そっか…」
真姫「うん…」
花陽「あの…牛丼屋さんとかは…どうかな?」
穂乃果「牛丼?」
希「なるほど。牛丼なお肉もご飯も食べれるね」 花陽「うん。値段も安いし…良いかなって。あっ…でも、女の子だけで入るの恥ずかしいかな?」
真姫「………良いんじゃない?今時、女の子だからとかそんな時代じゃないでしょ」
花陽「だ、だよね」
穂乃果「じゃあ、牛丼にしようか」
この時、真姫は心の中でガッツポーズをしていた。
牛丼。真姫は生まれてこの方、牛丼屋に入った事がなかった。もちろん、その存在は知っていた。真姫はどちらかと言うと裕福な家庭で育ち、家族で外食する時はもっぱら高級料理店であり、牛丼チェーン店に行く事など皆無であった。 そんな真姫が牛丼チェーン店に憧れを抱く様になったのは中学三年生の時。傘を忘れた父を迎えに行くと、牛丼屋から出て来るのを目撃し衝撃を受けた。まさか、父が自分達に隠れて牛丼を食べているなんて思わなかったのだ。それ以降、真姫は牛丼屋の事が気になり、目の前を通る度に店内の様子を伺っていた。最初は父が居ないかを確認していたのだが、次第にそれが牛丼屋への憧れへと変わっていった。
アツアツのご飯の上に肉を敷き詰め、その上に卵を落とす。店内にいる人間は夢中でソレをかきこんでいる。今まで食べて来たどんな高級料理店のメニューよりも美味しそうに見えた。 だから、真姫は今日こそは牛丼屋へ行って牛丼を食べたかったのだ。
しかし、素直に牛丼屋へ行きたいと言えないのが真姫である。牛丼屋に行きたいなど言えば西木野真姫像が崩れる。ましてや、にこの前でそんな事いったら絶対にイジられるに決まっている。実際、気にしているのは本人だけなのだが、それが真姫なのである。
むしろ、強引な誘導のせいでその場にいた数人は真姫が実は牛丼屋に行きたいのだと勘づいてしまっていた。
しかも、こう言う時に限って一番に気がつくのが矢澤にこだったりする。 にこ「あんた…もしかして、最初から牛丼屋に行きたかったんじゃいの?」
真姫「え?」
穂乃果「そうなの?」
図星をつかれた真姫はここでまたしてもくだらない謎の見栄を張ってしまう。
真姫「そ、そんな訳ないじゃない」 にこ「いや…別にそん…」
真姫「どうして、私が牛丼を食べたがってるなんて話になるのよ。私は穂乃果や希がお肉を食べたいって言うから仕方なく…」
素直に認めればすんなり牛丼を食べに行けたのに。真姫はそれが出来ない。何故なら、真姫は非常に面倒くさい女だからだ。いつも否定して、逆張りをして心の中では反省をしている。今現在、真姫は心の中ではこう呟いている。
真姫(私のバカ。素直に牛丼が食べたいって言えば良かっただけなのに。どうして私はこうなのかしら。素直になれないし、本当に可愛くない女。はあ…私って本当バカ)
にこ「食べたいの見え見えなんだから素直に食べたいって言えば良いのに。バカね」
真姫「誰がバカよ。食べたいなんて一言も言ってないでしょ」
こう言う時、まずフォローに入るのが真姫とは正反対の素直な性格をしている穂乃果や花陽。
穂乃果「真姫ちゃん。牛丼を食べたいってのは別に恥ずかしい事じゃないんだよ」
花陽「そうだよ。牛丼って凄く美味しいんだよ。ホカホカのご飯の上に甘く煮込んだお肉を…想像しただけでお腹すいてきたよぉ」 しかし、それも逆効果だったりする。
真姫「だから私は別に牛丼屋に行きたい訳じゃないってば」
真姫はあくまで仕方なくと言う程で牛丼屋に行きたいのだ。穂乃果達のフォローは素直過ぎるのだ。本当に面倒くさい。
絵里「良いわね、牛丼」
穂乃果「絵里ちゃん!!?」
こうなった時、次に動き出すのが、かしこいかわいいエリーチカ事、絢瀬絵里。彼女は常に冷静にその場を見渡し、どう対応するのがベストなのかを即座に判断する。
絵里「紅生姜を乗せて食べると美味しいのよね」
穂乃果「私は紅生姜乗せない」
にこ「私も」
絵里「………そう。ま、まあ、でも本当に牛丼って美味しいのよ」
真姫「な、何で私の方を見て言うのよ」
絵里「穂乃果達が牛丼食べたいみたいだから付き合ってあげてくれない?本当なら私も行きたかったんどけど。ね?」 絵里にこう言われれば真姫も素直に頷く。
真姫「う、うん。別にいいわよ」
もちろん、絵里が上手くお膳立てしてくれたと言う事を真姫もちゃんと理解している。だからこそ、真姫も甘んじてそれを受け入れる。
流石、絵里。その場に居る誰もがそう思った。一人を除いて。
希「ん〜、でも真姫ちゃんは乗り気じゃないんやろ?牛丼屋に行くの」
真姫「え?」
絵里「ちょっ…希?」 希と言えば真姫の面倒くさい性格にいち早く気がつき、なかなか仲間の輪に入れない彼女をフォローした過去がある。そんな彼女が何故、再び場をかき乱す様な事を口にしたのだろうか。
絵里「ちょっと希。どう言うつもりよ。せっかく私が…」
希「だって、真姫ちゃんは別に食べたくないんやろ?それなら無理して牛丼屋さんに行くよりもファミレスとかにした方がいいやん?」
絵里「いや…だから…分かるでしょ?」
希「ん?何が?」
希が真姫の性格を理解していない訳がない。何か考えがあっての行動なのか。絵里は思考する。
絵里(そうよね。希の事だからきっと何かあるんだわ。ただの悪ふざけでこんな事………いや、もしかしたら真姫を揶揄って楽しんでる可能性もなくはない…どっち?)
そう、希は思慮深い反面、悪ふざけも大好きだったりする。そんな希の性格が絵里を混乱させた。 希「と言う事でファミレスにしよう。何食べようかなぁ」
真姫「え…」
穂乃果「いや…希ちゃん…流石にそれが違うのは私でも分かるよ…」
希「どうして?牛丼屋さんに行きたいの?真姫ちゃん」
真姫「だ、だから…私は別に…穂乃果達がどうしてもって言うなら」
穂乃果「どうしても食べたい!食べたいよね!」
花陽「うん。うん。牛丼食べたいです!」
希「でも、真姫ちゃんは」
絵里「希!冗談が過ぎるわよ」
海未「そうですよ。どうしてそんな意地悪をするんですか」
希「意地悪?」
絵里「だって、分かっててやってるんでしょ?」 希「真姫ちゃん。真姫ちゃんは本当は何が食べたいの?」
真姫「だから…私は…別に何でも…」
絵里「希…いい加減に…」
希「えりちはちょっと黙ってて」
絵里「え…ええ…」
希「真姫ちゃん。牛丼屋に行きたいんやろ?」
真姫「だから…私はそんな事言ってない」
希「そうやって、自分の気持ちを隠してこの先もえりちに上手い事フォローして貰うの?」
真姫「そ…それは…」 希「別に良いやんか。女の子が牛丼屋に行きたいって言ったって。自分が食べたい物も言えない方がよっぽど恥ずかしいとウチは思うよ」
真姫「……それは」
にこ「これは希の言う通りね。いつまでも私達が居る訳じゃないんだから」
凛「え?にこちゃん真姫ちゃんの事フォローしてたっけ?煽ってなかったかにゃ?」
にこ「うるさい」
真姫「……食べたい」
希「ん?」
真姫「牛丼を食べたいの。子供の頃からずっと憧れてたのよ。牛丼に」
希「ふふっ、やっと言えたやん」
真姫「……だって」 希「何でもかんでも好き放題言うのはダメやけど、自分の食べたい物くらいちゃんと言えなきゃ。ね?」
真姫「………うん」
絵里「結局、美味しい所は希に持っていかれたわね」
希「何が?」
絵里「ふふっ、別に」
希「まっ、えりちに出来ない事はウチが。ウチに出来ない事はえりちが。相互フォロー的なね」
絵里「それ意味が違うわよ」
希「そうやっけ?」 穂乃果「さて、そうと決まれば牛丼屋さんに行こう!」
真姫「うん」
穂乃果「と、言う事で私達は牛丼を食べに行って参ります!」
海未「はい。楽しんで」
穂乃果「は〜い」
凛「行ってらっしゃい〜」
穂乃果「うん?」
にこ「凛…あんたも食べに行くんじゃなかったの?」 凛「凛はやっぱりラーメンを食べたいから。希ちゃんの話を聞いて一人でラーメンを食べる事に決めたにゃ!」
穂乃果「ええ…なんで…」
ことり「凛ちゃん…」
希「それは違うやん…凛ちゃん…」
絵里「本当…まとまらないわね…」 まきちゃんがμ'sのみんなとサイゼ行く話ぶりに面白かった
乙 μ'sを感じた
アニメが見たくなった、キャラがよく掴めてる
久しぶりに良作だとおもった 面白かったわ、乙
穂乃果と花陽の素直なフォローが真姫にとって逆効果になる心情描写がキャラの特徴をうまく捉えてるなと思った ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています