歩夢「息を我慢してるせつ菜ちゃんかっこいい……」
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私の目の前でせつ菜ちゃんが潜ってる。
静かな水面に綺麗な髪が漂う。
この髪に触りたいけど……邪魔になっちゃうかな?
時々口元からは泡が出ていく。
タイマーを見ると──せつ菜ちゃんが潜ってから1分を過ぎたところ。 あのプールに行った日、せつ菜ちゃんが潜水をしてるのを見て……。
この子はどれくらい息を止めていられんだろうかってワクワクした。
しばらくして浮き上がってきたときの表情と息遣いにドキドキした。
苦しそうで……それでも満足そうで……
あの時のせつ菜ちゃんをまた見たい──
だから私の家でのお泊りで、一緒にお風呂に入った時にお願いしてみた。 せつ菜ちゃんはあっさり受けてくれた。
「私も時間を計ってみたいと思ってましたから」
むしろやる気だった。
「目標は……1分半くらいでしょうか」
それがどのくらいの長さかはよくわからないけど──私だったら無理な気がする。
「歩夢さんが見ていてくれるなら頑張れる気がします!」 せつ菜ちゃんと向かい合って見つめ合う。
「いきます……すーっ」
ちゃぽん。
せつ菜ちゃんは大きく息を吸って、顔をお湯につけた。
私の家のお風呂はあんまり大きくないから、2人で入るとちょっと狭い。
正座した私のふとももの上あたりにせつ菜ちゃんの顔がくる。
せつ菜ちゃんは目をつぶってるのかな?開けてるのかな?どっちだろう。
まあ、ふとももを見てても別にいいんだけど。 ──1分20秒。
水面が揺れてくる。せつ菜ちゃんが体を小さく動かしてるんだ。
苦しいのかな?
吐き出される息が大きくなってきた。
息を止める限界まで頑張ってるせつ菜ちゃん。
見てるだけでドキドキする。抱きしめてあげたくなっちゃう。 大きく空気がこぼれて──止まった。
吐ける息がなくなったのかな。
それでもせつ菜ちゃんは潜り続ける。
どこまでいけるの?
息ができなくて苦しいよね?
いつまで我慢できるの──? 「ぷはぁっ……」
限界になったのか、せつ菜ちゃんが顔を上げた。
「はぁっ……どう、ですか?」
タイマーを見ると、目標時間は余裕ですぎていた。
「1分……41秒」
「ほんとですか?」 「すごいね!」
せつ菜ちゃんの綺麗な髪を撫でながら言う。
「やりました!」
せつ菜ちゃんが嬉しそうに笑う。
かわいい。
呼吸を我慢して頑張ってるせつ菜ちゃんもすてき。笑ってるせつ菜ちゃんもすてき。 「こうなると、キリのいい時間……1分45秒を目指したくなりますね」
息が整ってきたらせつ菜ちゃんが言い出した。
「そのために……今度は時間になるまで私の頭を押さえててもらえますか?」
「そんなことして大丈夫?」
「もちろん、本当に危なくなったら自分から止めます」
確かに、私がせつ菜ちゃんの頭を抑えてても、どかすだけなら難しくないかも。 さっきと同じ姿勢でせつ菜ちゃんが潜った。
その頭の上に両手を乗せて軽く力を入れる。
私のふとももにせつ菜ちゃんの鼻や口が少し当たった。
ちょっとびっくりして手を緩めちゃったけど、力加減を調整しなおす。
そのまませつ菜ちゃんを眺めながら待つ。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています