侑「Persona」
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プロローグ。
体がまるで燃えているようだ。
目の前にいる、2メートルはある漆黒の化け物にさっきまで臆していたのに、今は怖くない。
全身の血液は燃えたぎるように勢よく循環しているのが分かる。
頭の中で誰かが語りかけている。
すぐ近くで倒れている歩夢を守るように化け物の目の前に立ち、私は着ている服を掴む。
額に汗が滲み出て、滴る。
だが、眼光は強く鋭く刺すように化け物へと向いている。
・・・汝は我、我は汝。
侑「歩夢、大丈夫!私が・・・なんとかする」
力いっぱい服を引っ張ると私のどこにそんな力があったのかと疑問に思うぐらい簡単に破け、避けた服を宙に投げる。
侑「・・・ペルソナ」
なぜこの言葉が自然と出たから分からない。
だが言わなければならない気がした。
それよりも。
普通ならば私は下着姿になるはず、アニメのヒーローの変身シーンのように光が私を包み、収まり。
私はスーツ姿に。
そして、宙を舞う服は人の形になり。
服から形成されたそれは完全に形をなし、胸に大きく描かれている旭日旗を輝かせていた。
・・・ヒューペリオン。
脳内で告げられた名前だ。 4/11
長い休み明けはとにかく気怠く、私は始業式が始まってから終わるまでに何回欠伸をしただろう。
他の生徒はクラス替えに騒いでる中、私は張り出されたクラス名簿を見て一喜一憂もせずに教室へと向かった。
すでに教室には何人かは徒党を組んでおり、どの人も忙しそうにスマホを片手にラインの交換をしている。
ふっ、馬鹿馬鹿しい。
私は名簿に書かれていた自分の席へ座ると、鞄からアメコミを取り出して読み始める。
侑(あぁ、なんて素晴らしい絵なんだろう)ホヤホヤ 1ページ1ページ丁寧に時間をかけて読む。
もう何回も読んだのだが何回読んでもかっこいい。
ざわざわとクラスメイトの声が大きくなっていく。
これは私をにとってとても気分を害する雑音で、アメコミの世界に浸っていたのにすぐに引き戻される。
クラスメイトA「あ、ねぇねぇ」
この声は私に向けられた声だと気付くのに20秒は掛かった。
侑「は、はひっ!?」
クラスメイトA「あ、ごめんびっくりした?」
侑「あ、あのあのえと・・・あの」
クラスメイトA「一年の時、隣のクラスだったよね?今年は同じクラスだね。よろしくね」
侑「あ、は・・・はい!よ、よよよよろしくお願いします!」
クラスメイトB「あ、ねぇその子・・・」
クラスメイトA「ん?」
クラスメイトB「静かな人だから、あ!ねぇ、あの人!」
クラスメイトA「きゃー!まさか一緒のクラスだなんて!」
侑「・・・・・・」 なんだったのだ一体。
静かな人とは私の事なのか?
私は静かなんじゃなくて必要な事意外は喋らないようにしているだけだ。
初対面なのに失礼な人だ。
だいたい、学生の頃に出来た友達なんてみんな上辺だけの付き合いしかしないとネットで見た。
みんな、なんでそんなに友達を作りたがるんだ。
それに危険意識も足りていない。
もし、この学校に異形の生物が現れたりしたら冷静に対処出来るのは私ぐらいだろう。
勿論、そんな事はあり得ない。
前に流行ったテレビに将来の運命の人が映る事なんて有り得ないし。
夜中の12時になると化け物も現れたりしないし、噂が現実になる事も悪人を改心させたり出来る事もない。
全てフィクションの話で、私はそれを分かっているが、私はかっこいいヒーローになるのが夢だ。
このアメコミのヒーローのように。 ・・・それにしても。
さっきから更に教室が騒がしいぞ。
本当に化け物が攻めて来てるんじゃと思い辺りを見渡すと、一人の女の子に何人も群がっている。
歩夢「もう、みんな密だよ」
きゃーかわいい。
歩夢ちゃんと同じクラスになれて幸せー!
歩夢ちゃん・・・す、好き。
そんな声が一人の女の子に浴びせ続けられている。
本人は困ったようにはにかみながらそんなことないよーとか言っている。
そんな事あるくせに。
取り囲まれている人物。
苗字は・・・えーと分かんないや。
同じクラスじゃなかったしみんな歩夢ちゃんと呼んでいるし。
とにかくこの歩夢ちゃんはみんなのアイドルであり、圧倒的な清純ビジュアルで学年のヒエラルキートップに君臨する人だ。
まぁ、もっとも私は学校のヒエラルキーなんて社会に出たら関係ないし一瞬の輝きだと思っている。 歩夢「もう、みんな先生来ちゃうよ〜」
彼女は身振り手振りで囲みを追い払おうとしているが囲みは山のように動かない。
とても困っている。
その困っている顔はとても愛らしく、彼女が人気なのも分かる気がした。
囲みにたどたどしく対応する彼女を何となく見ていると、彼女も私の視線に気付いたようで、目が合う。
侑「こっちこっち!」
・・・え?
私は声高らかに何を言った・・・?
無意識に出た彼女を呼ぶ声に囲みは私を一斉に見て、私は思わず委縮してしまう。
どうしたんだ私・・・。
歩夢「あ、ありがとー!」
と言い、動きが止まった囲みの隙を見逃さず。
彼女は囲みをかき分けかき分け、私の隣の席へと座った。
歩夢「あ、ありがとう。えーと私の隣の席だから・・・」
彼女は席の名簿を見た。
歩夢「高咲侑さん?」
侑「わわわっ、あのあのすみません」
歩夢「えっ、なんで謝るの。助けてくれたんだよね?」
侑「た、助け?え、助け・・・?」 歩夢「あ、ほら。こっちこっちって!」
侑「あ、あのあれはその・・・」
歩夢「ふふふ。ありがとう!お隣同士仲良くしようね!」
侑「は、はいぃ・・・」
アップテンポの曲のように私の心臓がバクバクとビートを刻んでいるのが聞こえてないかと不安になりながら絞り出した返事がとてもか弱い。
まさか学年の人気者と隣の席で、しかも仲良くなるだなんて・・・。
私の静かな学園生活は今年は騒がしくなりそうな予感がした。
【コミュ 上原歩夢:悪魔】
レベル1 もしかして安価とかでルート選ぶタイプか
だとしたら面倒だな 4/12(火)
侑「はぁ」
早朝、早々にため息が天に昇ったのは彼女のせいだ。
あのあと、私と歩夢さんはラインを交換した。
意気投合したとまではいかないし、歩夢さんの一方的な会話だったが仲良くなったらしい。
歩夢さん曰く私はとても話しやすいらしく。
一緒にいると、とても落ち着くらしい。
それは私も何故か感じた事だった。
陰と陽。
決して交わる事がないこの二つが噛み合う事なんてないと思っていたのに。
いや、そもそも私が避けてただけで歩夢さんのような陽の人は誰でも分け隔てなく接する事が出来るから誰とでも噛み合う事が出来るんじゃないだろうか。
そんな事を考えながら、私は昨日歩夢さんと登校する約束を一方的にされたので仕方なく待ち合わせ場所で待っている。 歩夢「おはよう!侑ちゃん!」
侑「お、おはようございます!」
手を可愛らしく小さく振りながら近付いて私にぴたりとくっ付いた。
侑「わぁっ!えぇぇっ!」
歩夢「・・・?どうしたの?」
侑「あ、あのあのえとえと・・・ち、近くないですか?」
歩夢「・・・あっ!ご、ごめんね!」
侑「い、いえ・・・」
急なスキンシップにドキッとして思わず顔が火照る。
陽の人はみんなこうなのだろうか?
歩夢「行こっか!」
未だに距離は近いまま、私達は歩きだす。 歩夢「ふふふっ!」
なんだか歩夢さんとても楽しそうだ。
昨日何かいい事があったのだろうか・・・。
それにとても良い匂いがする。
侑「こ、香水ですか?」
頑張って私から声を掛けてみた。
歩夢「香水?」
侑「あ、いえ。良い匂いがするなと思ったので」
歩夢「そうかな?多分、ボディソープ変えたからかなぁ」
侑「昨日の夜からこんなに匂いが持続するボディソープあるんですね」
歩夢「朝入って来たんだよ」
侑「えっ、朝お風呂入るんですか?」
歩夢「侑ちゃんは入らない派?」
侑「そんな派閥あるんですか・・・」 歩夢「入ったほうがいいよ?気持ちいいよ」
侑「でも、お風呂入る時間あるならちょっとでも長く眠りたいです」
歩夢「そうかなぁ?寝不足なの?」
侑「あ、いえ。寝る時間いつも遅いので」
歩夢「いつも何時に寝てるの?」
侑「えーと。3時とかですかね」
歩夢「えぇっ!?いつも?」
侑「まぁはい」
歩夢「でもすごく肌が綺麗だよ!」
侑「あ、ありがとうございます・・・」
意外と会話続くもんだ。
私はこんなにスムーズに人と会話出来る事に驚きつつ、学校が見えて来て。
この二人だけの登校が終わる事に落胆してる自分に更に驚いた。 歩夢「ねぇ、侑ちゃん・・・?」
侑「・・・はい?」
歩夢さんは立ち止まる。
歩夢「ちょっと変な事言っていい?」
侑「変な事とは・・・?」
歩夢「私、侑ちゃんと凄く親しい友達だったような気がするの」
侑「わ、私とですか・・・?」
歩夢「う、うん。こうして登校するの初めてだよね?でも、ずっと前から侑ちゃんと登校してたような気がするの」
侑「・・・?」
歩夢「あはは。ごめんね。そんな気がしただけだから・・・」
璃奈「こら、そこ。・・・遅刻するよ。早く行け」
歩夢「あ、ごめんなさい!」
侑「い、行きましょう!」 侑「さ、さっきの人誰ですか?」
歩夢「うーん。名前は分かんないけど、結構噂になってる人みたいだよ。入学してすぐ風紀委員長になったって聞いた」
侑「竹刀持って守り神みたいにしてましたね。怖かったです」
歩夢「だねー。あ、さっきの話なんだけど気にしないでね」
侑「は、はい」
歩夢が感じた事。
私には良く分からなかった。
でも、昨日私が歩夢さんに声を掛けたあの時。
まるで昔から知っているみたいに私は声を掛けていた。 4/13(水)
朝
歩夢「侑ちゃんおはよー!」
侑「あ、おはようございます!」
歩夢「んー!今日も良い天気だね!さ、行こっか」
昨日も今日も歩夢さんと登校だ。
もしかしたらこれが毎日続くと思うと学年の人気者を独り占めしているみたいでなんだか悪い気がしたが、しばらく続けば気にならなくなるだろう。
歩夢「あ、侑ちゃん今日私のお家に来ない?」
侑「えっ、えっーー!お家にですか?」
歩夢「うん!侑ちゃんとしたいゲーム沢山あるんだ!」
侑「歩夢さんゲーム好きなんですね」
歩夢「うん!古いゲームが特に好きなの!あ、それにサスケも侑ちゃんに会いたがってたの」
侑「さ、サスケェ?」
歩夢「飼ってる蛇の名前なんだぁ」 侑「えっ、歩夢さん蛇飼ってたんですか!?」
歩夢「うん!こーんなに大きくてかわいいんだよ!」
歩夢さんは両手目一杯広げている。
侑「何だか意外でした・・・」
歩夢「そうかなぁ?あ、蛇苦手?」
侑「苦手というよりかは初めて見ます」
歩夢「じゃあ見に来て!お目目もくりくりでかわいいんだよ」
侑「あの、ゲームは何やるんですか?」
歩夢「私のコレクション!侑ちゃんにも触って欲しいんだぁ・・・来てくれる?」
侑「は、はい。暇ですし良いですよ」
歩夢「ありがとう!」
まさか歩夢さんのお家に招待されるとは・・・。
そして私今日お風呂入ってきたのに気付いてくれない・・・。 【昼休み】
侑「・・・・・・」
歩夢さんは囲いに囲まれて身動きが取れていない。
この前みたいに声掛ける勇気はでないし、収まるまでネットでも見ようとするとラインに通知が入った。
最初は歩夢さんかなと思ったけど、知らない人でアイコンは青一色。
タップしてみると、ようこそベルベットチャットルームへとメッセージが届いていた。 侑『誰ですか?』
『ほう、これは一際特別なお客様がおいでのようですね』
侑『間違えてます』
『ここはベルベットチャットルーム。電子と現実、精神と肉体の狭間の世界』
侑『間違いです』
『間違いではありません。あなたは断固たる契約をしこちらへいらしたのです』
侑『私は高咲侑です』
『ある存在の影響により文字でしかあなたと干渉できない事をどうかお許しください。あなたは今、決定付けられた運命により、この世界の時に縛られています。時を元に、偽りの人生を本来の人生に戻すのです。それがあなたを縛る運命へ抗う一つの道。それではまたお会いしましょう』
侑「・・・スパム?」 スクフェスくんが何かを言いたそうにこちらを見ている 侑「何だったんだろう・・・」
恐らくいたずらだろう。
そもそも私のラインには家族以外は歩夢さんしか登録されていないはず。
こんな不気味なの登録した覚えがない。
歩夢「侑ちゃん?」
侑「わあっ!」
歩夢「あ、ごめんね。びっくりさせて。どうしたの?なんかボーってしてたよ」
侑「うん、ちょっと・・・」
どうやら歩夢さんは囲いにようやく解放されたらしい。
侑「なんか変なラインが来てたんです。ほら」
と言って画面を見せるも、さっきまでやり取りしていたベルベットチャットルームとやらは消えていた。
歩夢「うん?私だけだよ?」
侑「本当だ・・・あ」
それよりも家族と歩夢さん以外いないラインの画面を見せてしまった事に気付いて恥ずかしくなる。
侑「な、なんでもないです!やっぱり!」
歩夢「そ、そっかぁ。今日楽しみだね!」
侑「はい!」
本当に楽しみだ。
歩夢さんのお家はどんなかんじなのだろう。 >>40
ペルソナは異性全員と恋人になって股かけられるぞ 基本男主人公だけどないな
唯一女主人公が選べたP3Pではヒロインの一番大事な所を触らせてもらえたりするぞ PSPでまたpersonaやりたくなった
ペルソナ3以降も好き 【放課後 上原歩夢の家】
歩夢「さ、入って入って〜」
侑「お邪魔します!」
同性なのに何故か緊張している私の事なんか知らずに歩夢さんは手を引いて自宅へと招き入れてくれた。
ワンルームの部屋の中は割とスッキリしていてある物を除いて必要な者しか置いていないと言う印象だ。
もっと言うなら女の子の部屋らしくない部屋だった。
歩夢さんの部屋だから、なんかぬいぐるみとか沢山あってオシャレな部屋だと思っていた。
ぬいぐるみやオシャレな小物なんかはなく、テレビの前に置かれた複数のゲーム機。
大きなガラスケースに入れられた大蛇がかなり異質で、この部屋だけを見たら誰も歩夢さんの部屋だと思わないだろう。
歩夢「えへへ、女の子っぽくないよね」
侑「まぁ、はい・・・」
こう言う時にそんな事ないよと言える人になるべきだと思うが、私にそんな勇気はない。
でも、私はこう言う誰に媚びるでもない。
自分の趣味だけが大半を占めている部屋はとっても好きだ。 歩夢「あはは、だよねー。だから他の人とかは入れれないんだー。学校のみんなは私の事をイメージでしか接してくれないから・・・」
歩夢さんは悲しそうに呟いていた。
彼女が学校で持たれてるイメージはオシャレで可愛く学年のアイドルだ。
この部屋にはそれらが全く無い。
歩夢「あ、ごめんごめん見てサスケって言うんだよ!」
侑「おーおっきいですねー」
蛇は微動だにしない。
でも、歩夢さんをじーっと見つめている。
歩夢「サスケ友達連れて来たよ。侑ちゃんって言うんだ」
侑「あ、よろしくです」
びっくりしたのは私の言葉に反応するかのようにサスケはコクリと会釈した事だ。
なんて紳士的な蛇。 侑「餌とかはどうしてるんですか?」
歩夢「ネズミとか食べさせてるよー。あ、冷蔵庫とか勝手に開けちゃダメだよ。サスケのご飯が入ってるから慣れてない人はびっくりしちゃうかも」
キッチンに置かれた冷蔵庫を見てみる。
あの中にネズミの死骸が沢山・・・それを想像して少し身震いした。
侑「あ、あのあの。どうして私をこの部屋に呼んでくれたんですか?」
歩夢「それは・・・侑ちゃんなら私に勝手なイメージを持っていないかなって思ってたから」
侑「そ、そんな事は・・・」
歩夢「ううん。あるんだ。侑ちゃんは私を特別扱いしていない。普通のクラスメイトとして接してくれてるから・・・それに侑ちゃんかわいいし」
侑「ぴょえーっ!私がかわいい!?」
歩夢「ぴょえー?・・・かわいいよ侑ちゃんは」
侑「うぅ・・・ゲーム好きなんですか?」
何だか恥ずかしさで死にそうになり、話題を無理矢理切り替える。 歩夢「うん、毎日やってるよ。まだ最新ゲーム機は気になるゲームが出ていないから買っていないんだけど、一通りはあるよ」
侑「私も結構ゲームやるんですよねー」
歩夢「うん!そうだろうなぁって思ってた!」
侑「えーとどれどれ・・・」
テレビ横の棚に綺麗に入れられているゲームソフトを見て私は愕然とした。
全てクソゲーと呼ばれるゲームだ。
歩夢「あはは、ちょっとおかしいよね」
侑「な、なんでクソゲーばかり?」
歩夢「ふふ、私クソゲーオタクなんだ」
歩夢さんのような人からクソゲーって言う言葉が出たのも驚きだが、えらく尖った趣味を持っている事に更に驚いた。 侑「でも、何がどうなってクソゲーを集め始めたんですか?常人じゃ考えられない境地ですよ!」
歩夢「うーん。なんか初めてやったゲームがクソゲーでね。すっごく苦労してクリアしたの!そこからもうクソゲーの虜になったの!」
侑「その初めてやったゲームとは?」
歩夢「えっとねー」
歩夢さんは棚から一本のゲームを取り、ジャジャーンと私に見せる。
歩夢「これ!海未の挑戦状!」
侑「で、伝説のクソゲーだ!」
このゲームの内容は一言で言えばあまりにも理不尽でめちゃくちゃ。
攻略本が無いとクリア不可能と言われていて、ゲーム開発者でタイトルの名前にも使われている園田海未と言う人がゲームの開発中にぬるいぬるいこれじゃだめです!と口出しして出来た結果がこれだ。
園田海未はクソゲーだと思っていないらしい。 歩夢「ふふふ、やっぱり知ってたんだね。このゲームを・・・あのね。私ね。会いに行ったの!園田海未さんに!」
侑「えぇっ!?」
歩夢「とてもいい人だったよ!サインもくれてμ'sの中にも入れてくれたんだ!」
侑「えぇっ!?あのμ'sに!?」
μ'sとはゲームソフト開発会社で、そんなに有名なメーカーでは無いがコアなファンがおり、よく言われているのはμ'sのゲームは音楽がいいとの評判だ。
歩夢「開発者のみんなもすっごく優しくて・・・私もμ'sに入りたいなぁ」
侑「歩夢さんなら入れるよ!」
歩夢「本当?」
侑「はい!絶対入れます!」
歩夢「ありがとう!」
歩夢さんは私の手を取り感謝してくれた。
歩夢「あれ?侑ちゃん腕時計なんてしてたっけ?」 侑「あれ、本当だ」
私はアクセサリーの類いは一切付けない。
今日も何も付けていないはずだが・・・。
黒い革製のベルトに銀のフレーム、そして白い文字板。
普通の時計だ。
でも、腕時計の針は今の時間と大きくズレている。
侑「私はこう言うの気になっちゃうんだよね」
いつの間にか着いていた得体の知れない時計をダイヤルを使って時刻を合わせて始める。
歩夢「それ、合わせ終わったら一緒にゲームしよ?」
侑「うん!」
今は18時丁度だ。
短針を6に長針を12に合わせる。
侑「・・・!?」
瞬間、世界が暗転する。 序盤ですでにおもしろいから完走するまで頑張ってくれ 書き溜めてない感じか?
これは時間掛かりそうな予感 歩夢「えっ・・・えっ・・・?」
まるで高い所から落ちているような感覚だ。
世界が暗転した瞬間、私達が立っている地面が消え、アスファルトの地面に着地した。
歩夢「あいたたた・・・」
歩夢さんは上手く着地出来なかったようで尻餅を着いている。
侑「だ、大丈夫ですか!?」
すかさず駆け寄り、手を差し出すと歩夢さんは私の手を握り私は歩夢さんを引き上げた。
歩夢「あ、ありがとう・・・。何が起こったの・・・?」
侑「分からない・・・」
目の前の景色はまず階段。
一段一段、ライトアップされている。
歩夢「ここは、この場所は・・・」
侑「あ、歩夢さん・・・!?」
歩夢さんは握っていた手を離し、何かに導かれるように階段を上がる。 ベルベットルームは条件さえ満たせば誰でも入れるんだっけ 歩夢「ここは・・・私が・・・」
歩夢さんは頭を抱えてその場にうずくまる。
侑「歩夢さん・・・!?」
私達に何が起こったのかは分からない。
さっきまで歩夢さんのお部屋にいたのに、急に何も見えなくなるぐらい部屋が暗くなったと思ったら知らない場所にいた。
様子がおかしい歩夢さんに近付く為に階段を登る。
記憶が・・・私が経験していないような記憶が一段登るごとに次々と甦る。
歩夢さんとコッペパンを食べた事。
歩夢さんとお隣のお部屋だった事。
歩夢・・・さんとスクールアイドル同好会に入った事。
歩夢が歌ってるのを見て感動した事。
そう、歩夢と私は親友だった。
昨日今日の話じゃない、私は毎日毎日歩夢と一緒だった。
登校も下校も、放課後に毎日二人で街をぶらぶらして何をするときもずっと一緒だった。
小さい頃からずっとずっと・・・。
侑「歩夢っ!」 歩夢にも記憶にある場所か
何か不穏な感じになってきたな 私は何で忘れていたんだろ・・・。
大切な事をどうして忘れてしまっていたんだろう。
歩夢の事も、同好会の事も何もかも忘れていた。
いや、忘れていたと言うよりは消えていた。
私がみんなと過ごした日々はこの世界では無かった事になっているんだ。
私はずっと一人だった。
斜に構えて友達なんていらないと思っていた。
でも、違う。
本当の私はそうじゃない。
みんなと、歩夢と過ごした日々を思い出してこれまでの一人ぼっちの時間がとても空虚のように思える。
歩夢「・・・・・・」
頭を抱えていた歩夢は事切れるようにその場に倒れる。
侑「歩夢っ!!!」
私は歩夢を抱き抱える。
侑「歩夢、全部思い出したよ!私と歩夢は親友だったんだよ!」
目を瞑ったまま歩夢は動かない。
街灯と月夜に照らされた私達に大きな影が包む。
2メートルはある黒い化け物が覗き込むようにして私達を見ている。 本能でこの化け物は私達の命を奪う恐ろしい存在だと分かった。
だけど、このまま歩夢を抱えて逃げる事はとても難しく。
かと言って歩夢だけを残して逃げようだなんて考えは私には無かった。
体が震えている。
死の恐怖に直面して私は歩夢を抱えたままの私はどうにかしてこの場から逃れようとしても体が言う事を聞かない。
せっかく思い出したのに・・・歩夢の事を思い出したのに、私はここで歩夢と二人で死んでしまう。
私にはまだ歩夢と喋りたい事もやりたい事も沢山ある。
100年生きたって叶えられないぐらい沢山ある。
私は私は・・・。
また思い出した。
歩夢の事や同好会のみんなの事じゃない。
それは、今まで生きてきた私の到底叶えられそうにない夢。
私は私は・・・。
かっこいいヒーローになりたい。
歩夢を守るかっこいいヒーローに私はなるんだ。
侑「歩夢は私が守る!!!」 体がまるで燃えているようだ。
目の前にいる、2メートルはある漆黒の化け物にさっきまで臆していたのに、今は怖くない。
全身の血液は燃えたぎるように勢いよく循環しているのが分かる。
頭の中で誰かが語りかけている。
すぐ近くで倒れている歩夢を守るように化け物の目の前に立ち、私は着ている服を掴む。
額に汗が滲み出て、滴る。
だが、眼光は強く鋭く刺すように化け物へと向いている。
・・・汝は我、我は汝。
侑「歩夢、大丈夫!私が・・・なんとかする」
力いっぱい服を引っ張ると私のどこにそんな力があったのかと疑問に思うぐらい簡単に破け、避けた服を宙に投げる。
侑「・・・ペルソナ」
なぜこの言葉が自然と出たから分からない。
だが言わなければならない気がした。
それよりも。
普通ならば私は下着姿になるはず、アニメのヒーローの変身シーンのように光が私を包み、収まり。
私はスーツ姿に。
そして、宙を舞う服は人の形になり。
服から形成されたそれは完全に形をなし、胸に大きく描かれている旭日旗を輝かせていた。
・・・ヒューペリオン。
脳内で告げられた名前だ。 侑ちゃんだけじゃなくて歩夢も記憶を取り戻したのかな
続きが楽しみ まず私には考えなきゃならない事が沢山ある。
スーツ姿になってるのもそうだし、私の服が変身したこのヒューペリオンについてもだ。
何故、歩夢や同好会の事を忘れていたのかも考えなきゃならないし。
急に何の前触れもなくここにワープしたのも大きな疑問だ。
だが、それよりも先に優先すべき事がただ一つ。
そう、一つだけ。
それは目の前の異形の化け物をぶっ倒す。
侑「いけっ!ヒューペリオンッ!!!」
私の背後に召喚されたこの不思議な生物は私の合図と共に化け物に殴り掛かる。
侑「私の歩夢に指一本触れさせない!!!」 ヒューペリオンは雄叫びをあげ、拳を大きく振りかざす。
侑「ど、どうしたの・・・?」
が、おかしい。
ヒューペリオンは拳を振りかざしたままピタリと止まってしまった。
侑「な、何で・・・」
次の瞬間、黒い化け物は大きく後ろの吹き飛ぶ。
いや・・・まだヒューペリオンが殴っていない,
が化け物の顔面は大きく凹みその巨体が地面に沈んだ。
侑「な、何がどうなって・・・」
変わらずヒューペリオンは止まったままだ。
そして、やっと動く。
空を殴る動作をして、それから私の背後に瞬間移動をした。
な、何で・・・?
さっきまでそこにいたのに・・・。
訳も分からないまま、考えていると私はいつの間にか銃を右手に握ってる事に気付く。
黒い化け物がまた立ち上がる。
私には何が起こっているか分からない。
だけど、さっき怪物を吹き飛ばしたのは間違いなくこのヒューペリオンの仕業だ。
でも、何で遅れて殴る動作を・・・?
黒い化け物はまたこちらへ襲いかかる。
侑「ヒューペリオン!」
何が起こっているのか分からないが、化け物にダメージを与えたのは間違いなく私だ。
だったらもう一度。 今度はヒューペリオンは一度も動いてすらいない。
だが、化け物はさっきよりも大きく吹き飛び。
その巨体は私が見上げる程高く浮いた。
私は銃を化け物に向かって構える。
使い方は分からない。
だが、引き金を引けば弾があの化け物の脳天を貫く事は理解出来ている。
ヒューペリオンはさっきまで怪物がいた場所へ移動し空を殴る動作をしてまた私の背後に瞬間移動する。
この一連の動き、何かで経験した事があるなと思った。
なんだろう・・・。
いいや、今はあの化け物を倒す事だけを考えよう。
私は化け物の頭部目掛けて引き金を引く。
バンッ。と音と共に銀色の弾丸が真っ直ぐ化け物の脳天を貫き。
化け物は地面に激突する間もなく、黒い塵となって空に消えて行った。 侑「はぁはぁ。た、倒した・・・?」
他にも化け物がいないか辺りを見渡すが私達以外は何もいないようで一先ず安心してその場にへたり込む。
侑「あ、歩夢・・・?」
体を揺らし問い掛ける。
歩夢「・・・んっ」
微かに息遣いが聞こえる。
どうやら寝ているみたいだ。
それにしても・・・。
ヒューペリオンを見上げる。
本当に危なかった。
ヒューペリオンがいなかったら今頃死んでいた。
いつの間に握っていた銃も消えて、私の力じゃ歩夢を持ち上げられないのでヒューペリオンに歩夢を担ぐように命令する。
ヒューペリオンはカクカクと左右に揺れ動いたかと思うとコマ送りのような動きで歩夢を担いだ。
そこで私は気付いた。
このヒューペリオンの動きはまるで・・・ゲームで凄くラグい相手と戦っている時に見た動きだ。
侑「とりあえずここから脱出しなきゃ・・・」
そう口に出した瞬間。
眩い光が私達を包み込み、私達は歩夢の部屋へと戻っていた。 【高咲 侑】
武器:銃
属性:貫通
ペルソナ:ヒューペリオン
破壊力B
スピードB
射程距離C
精密動作性B〜E
能力:ラグを自由自在に操る能力
実際は動いているのに相手からは止まって見える。
止まっているのに相手からは動いて見える。
移動の際は瞬間移動しているかのように見える。
(全てそう見えているだけで、実際にはきちんと動いている)
その他、カクカクとコマ送りのような動きをしたかと思えばスムーズに動いたりできるし、ゆっくり動いているかと思えば急に速く動く事も出来る。
もちろん普通に動く事も出来る。
攻撃のタイミングを掴むのは難しく避ける事は安易ではない。
ただし、侑にも相手と同じようにスタンドが見えているのでラグを使えば使う程、ヒューペリオンの実際の位置や動きを把握するのが難しくなり最終的には完全にヒューペリオンの動きを見失ってしまうので適度に普通に動かし位置や動きを把握する事が大切。
複雑な動きでラグを使うと途端に操作が難しくなる。
故にラグを使う際は直線的な動き単純な動きになってしまうのでこれを見破る事が出来れば避けるのはグッと楽になるだろう。
普通に動かした場合の精密動作性はB
ラグをフルに活用した場合はE かなりトリッキーなスタンドだな
使いこなすのが難しそう すいません。
スタンドと書いてますがペルソナです。
姿形はペルソナですが、能力はペルソナのように魔法を使わずに一人一人ジョジョのスタンドのように固有の能力を持っています。
それとかなり長くなりそうなので、春夏秋冬と四部に分けて考えてます。 意図的にラグを引き起こすのってチートみたいで面白いな 侑「な、なんだったんだろう・・・」
まるで夢でも見ていたみたいだ。
でも、夢ではない。
とても夢のように感じられない。
歩夢「・・・んんっ」
すぐ側で横たわっていた歩夢が目を擦りながら起き上がる。
侑「あ、歩夢っ!大丈夫っ!?」
歩夢「侑ちゃん・・・?ちょ、えっ!?えぇーっ!?」
侑「ど、どうしたの!?」
歩夢は信じられない物でも見たかのように、目をパチクリと瞬きさせている。
そして、私から少し距離を取り近くにある毛布で体を隠した。
まさか、特に違和感はないが私の身に何か起きているのかもしれない。
歩夢の顔はまるで信じられないといった様子だったが、まるで温度計が上がってくかのように顔が赤くなっていくのが見て分かった。
歩夢「ど、どうして下着姿なの!?も、もしかして・・・侑ちゃんのえっち!!!」
そう言われながら枕を投げられ顔面に直撃する。
そういえば私、服を破り捨てたんだったっけ・・・。
まずは私達に起きた不思議な出来事を話すよりもこの誤解を解くのが先になりそうだ。 まず最初に歩夢にやましい事は何もしていないと説明した。
何とか誤解を解いた所で、違う場所にワープした事や黒い怪物のこと。
私の服がヒューペリオンになった事で私が下着姿になってしまった事を説明した。
歩夢は途中気絶していたので、黒い化け物と私が戦った所は見ていなかったが、ワープした所までは意識があり。
自分の身に起きた不思議な体験を少し経験しているので、一から順を追って説明したらすぐに信じてくれた。
これらの事は私にも理解出来ていないのでこれ以上話しても何も分からないままなので、切り上げるとして一つだけ歩夢に確認したい事がある。
歩夢「はい、侑ちゃん」
歩夢からTシャツを受け取り着る。
説明が終わるまで、私はずっと下着姿のままだった。
歩夢「ご、ごめんね・・・」
侑「う、うん。まぁしょうがないよ・・・ねぇ歩夢?」
歩夢「・・・記憶の事だよね。思い出したよ全部」
それは私の今までの人生で体験した覚えがないのに体験した覚えがあり。
歩夢とずっと一緒に過ごしていないのに一緒に過ごしていた記憶。 歩夢「なんか変な気分・・・まるで二つの人生を同時に経験したみたい」
私も歩夢と同じ気持ちだった。
今まで過ごして来たアメコミ好きのちょっとだけ痛い一人ぼっちだった私と。
歩夢と二人で過ごして来た記憶の中の私。
そのどちらも嘘や偽りのない、間違いなく歩んで来た私の人生。
歩夢「他のみんなもそうなのかな?」
侑「どうだろう・・・友達いなかったし誰とも関わろうとしてなかったから分かんない」
歩夢「明日、みんなに会ってみない?もしかしたら私や侑ちゃんのように何か思い出すかも!」
侑「うん、そうだね!」 記憶あるかはともかくこれでぐっと広がっていきそうだね 4/13(水)
【放課後】
歩夢「ごめんごめん。お待たせ」
侑「相変わらず人気だねー」
歩夢はいつものように人気者で、囲んでる人達が帰るまでは身じろぎ出来ずにいて、ようやく解放された所だ。
侑「まず誰から会いに行く?」
歩夢「んー。同じ学年の愛ちゃんからがいいかなぁ・・・」
侑「そうだね。私達と同じ普通科だし同じクラスじゃないのは分かってるから他のクラスみてみよっか」
歩夢「うん!」 クラスメイトは二人が急に仲良くなってて内心びっくりかな ・・・数十分後。
侑「ど、どうして・・・」
誰も知らない。
愛ちゃんの事を誰も知らない。
歩夢「な、何でだろうね・・・」
愛ちゃんはかわいくてスポーツ万能で誰にでも親しく接する事ができる。
だから、誰も知らない訳がない。
少なくとも私のようになってる訳がないはずだ。
侑「・・・あっ」
歩夢「どうしたの?」
侑「私は一人ぼっちだったし、歩夢はクソゲー好きで大蛇飼ってる」
歩夢「う、うん。そうだね。あ、でも大きな蛇のぬいぐるみは持ってたよ。名前も同じサスケ」
侑「あ、あったねー。ってそうじゃなくて。必ずしもこの学校に通ってるって事じゃないのかも!」
歩夢「確かにそうかも・・・私も侑ちゃんもまるで違う人生を歩んでいたから、愛ちゃんも虹ヶ咲に通っていない可能性もあるね。他の学校かなぁ?」
侑「そうなってくると・・・愛ちゃんを探すのはかなり難しそうだね」
歩夢「他のみんな探してみる?」
侑「他ってなると・・・かすみちゃんやせつ菜ちゃんそれに・・・」
せつ菜「おっ?おっ?何か?何か?何ですかー???」 歩夢「えっ、せ、せつ菜・・・ちゃん?」
せつ菜「はーいそうだよーん!私がせつ菜ことせっつーですっ!きゃぴーんっ!」
侑「・・・・・・」
せつ菜「またの名をー中川菜々でっす!せっつーって呼んでねっ!」
せつ菜ちゃんはウインクしながら敬礼している。
・・・凄い変わりようだ。
何がどうなってあのせつ菜ちゃんがこうなってしまったんだ。
侑「こ、こんにちは」
せつ菜「お、いい挨拶だねー。ディモールトディモールト良いぞッ!生徒会長として褒めてあげよう!」
歩夢「せ、せつ菜ちゃん・・・」
せつ菜「せっつー!」
歩夢「せっつー・・・生徒会長なんですか?」
せつ菜「ううん。違うよ。生き物係」
侑「・・・歩夢っ!」
歩夢「えっ!?あっちょ・・・侑ちゃんっ!?」
私は歩夢の手を握って走り出した。
少し、心の整理がしたい。
せつ菜「ばいばい!またねーっ!」 侑「はぁはぁはぁはぁ・・・」
歩夢「ど、どうしたの?急に?」
侑「ご、こめん。あのせつ菜ちゃんが変になってたからちょっと心が追い付かなかった」
歩夢「そ、そうだね。私もびっくりした」
侑「やっぱりみんな違う性格になったりしてるんだね。これはせつ菜ちゃんだけじゃないかも・・・にしても変わりすぎだよ!あれは!」
歩夢「あはは・・・」
歩夢(侑ちゃんもすっごく変わってたんだけどなぁ・・・)
侑「私、他のみんなと会うのがちょっと怖くなって来たかも・・・」
歩夢「私は違う一面が見れて新鮮味感じるかも・・・」
侑「いやいや、オリジナルが一番だよ。や、記憶の中も今もどちらもオリジナルなんだけどさ・・・あれは変わりすぎだよ・・・。びっくりしたもん。それに私達の事、覚えていなかったね」
歩夢「うん、そんな感じだったね。それに生徒会長でもなかった」
侑「だね。うちに生き物係なんてあった?」
歩夢「・・・ない。
侑「はぁ、どうやったら私達との記憶思い出させる事出来るんだろう」 こちらの世界の子達にしてみたらこれがせつ菜ちゃんなんだよな 仲間が増えていくの楽しみ
他の子たちはどうなってるのかな 歩夢「私達との記憶・・・私ねちょっとだけわかった事があるんだ。確信はないけどそうなんじゃないかって事が」
侑「うん、話してみて?」
歩夢「今まで過ごした私や侑ちゃんの性格。そして忘れていた記憶の中の私達の性格。どっちが優先されると思う?」
侑「記憶の中の性格・・・だよね。現に私はこうやって普通通り喋れてるし。前は誰かと喋るの凄く苦手だったもん」
歩夢「うん。それに性格だけじゃないの。思い出や考え方もそうだけど、記憶の中の自分が優先されたって事にならないかなぁ」
侑「ただ良い方を取ったとかじゃないの?」
歩夢「うーんどうだろう。ここからは私の仮定だよ?絶対そうだと言い切れないけど・・・そうだとしたらつまり記憶の中の私達が本来の私達って事にならないかな?」
侑「・・・って事は今まで過ごした私の人生は違うってこと?思い出した記憶が正しいって事?」
歩夢「う、うーん。違うって事じゃないと思うけど・・・ただ、思い出した記憶が本来の私達の記憶な気がするの」 歩夢はペルソナ発動してないからそれが条件というわけでもないのかな もとの人格は消えてしまってる感じだとしたら少し怖い 侑「本来の私達の記憶・・・あっ!」
歩夢「ど、どうしたの?何か分かった?」
私は少し前に不思議なラインが来てた事を思い出した。
侑「ううん!分かんない・・・けど!聞けばいいんだよ」
歩夢「聞くって私達の身に起こってる事を?誰に聞くの?」
侑「前に不思議なラインが来てたことがあるんだ。ちょっと待ってて」
ポッケからスマホを取り出して真っ青のアイコンをタップした。
前のやりとりはそのままだ。
侑「ほら、見て」
歩夢にスマホを見せる。
歩夢「時を元に?偽りの人生を元の人生に戻す・・・?あ、これって・・・」
侑「そう、今私達の身に起こってる事だと思う」
歩夢「な、何か送ってみる?」
侑「うん!多分この人は今の私達の事を説明出来るかも!」 前に歩夢に見せたときには消えてたけど今度は見られるんだね 試しにこんにちはと送ってみる。
『ようこそベルベットチャットルームへ』
侑「返信速いね。うーんと何から聞けばいいんだろう」
『ふむ。なるほど、あなたは今の時間に抗いペルソナ能力を身に付けたみたいですね』
侑「なるほどって・・・どこかで見ているみたいな言い方だね」
歩夢「ど、どうだろう?怖いね」
侑「でも、聞いてみるしかないよ!えーと、とりあえずペルソナ能力って何だろう?」
侑『ペルソナ能力とは?』
『ペルソナ能力とは困難に立ち向かう人格の鎧。本来ならば人の奥底に眠るもう一人の自分が実体化したもの。ですが、あなたのペルソナはそれとはまた違うもの。この世界に生きる自分の殻を破る事によって時間に抗う力を得たと私は考えています』
侑『時間に抗う力?』
『本来ならばあなたが思い出した記憶の世界が正しい時間です。が、何らかの力により時間はリセットされ、あなた達や更にはこの地球、全ての人類や動植物、更には無機物まで作り変えられました。一から作り直せばまた同じレールを進むとは限らない。それがこの世界に起きている異変なのです』
歩夢「地球が作り変えられたって・・・」
侑「スケールが大きいね・・・。やっぱりただのスパムかな」
『発現したペルソナはその作り変えられ全く違う人生を歩んだあなたを元に戻す。今の時間に抗う事が出来る唯一の力なのです』 歩夢「でも、もしこのラインがスパムやいたずらじゃなかったら私の仮説は合ってたって事だよね?」
侑「うん、でも信じられる?つまり時間がリセットされた今のこの時間は間違いで本当はリセットされる前の時間が正解だって事だよ・・・そんなの漫画やアニメの世界だよ」
『私はペルソナ能力をもう一人のあなただと言いました。服を破り捨てる行為。それはすなわち今の自分の殻を破る。いえ、脱ぎ捨てる事により。脱ぎ捨てたこの世界のあなたの人格や精神はペルソナとなり、元の世界のあなたが時間に抗う力になったのです。他のペルソナ使いとは発現方法が違うので、固有のかなり変わった力を持っているのです』
昨日私が化け物を倒したあの力はペルソナと言うらしく、この時間に抗う事が出来る力らしい。
私にはどうしてもこの時間に抗うって部分が理解出来ない。
ペルソナ能力が発現した事は事実。それは昨日、誰よりも私が体験した事だ。
でも、その他の時間がリセットされたや地球が作り変えられたって話は信じられない。
いや、想像の域を遥かに超えている話だ。
『あなたの側にいる上原歩夢さんもペルソナ能力を使えるようになっています』
歩夢「私も・・・?どうやったら使えるのかな?」
侑「それは・・・あ、破けてもいい服ってある?」
歩夢「お家にならあるかも・・・」
侑「ここだとやれないから後で歩夢の家に行って試してみよう!」 ペルソナ使うたびに毎回服を破かないといけないなら大変だな 歩夢「う、うん。あ、どうして私達の記憶戻ったのかな?」
侑「それも聞いてみよう!」
侑『どうして前の時間軸の記憶が戻ったんですか?やっぱりペルソナ能力を発現した事が原因ですか?』
『全ての人間が前の時間軸の記憶を持っています。今はただ眠っているだけです。例えば、実際は体験した事がないのにすでに体験した事がある様に感じたり、行った事のない土地なのに行った事がある様に感じたり。初対面の人に運命的な何かを感じたりと言った。こう言う様々な直感は全て前の時間軸で経験した事であり。人類全てが前の時間軸を思い出す切っ掛けを持っています。が、飽くまで切っ掛けだけです。こう言った現象はただの既視感で終わり。今の時間軸の人生を多くの人は歩むでしょう』
歩夢「私も侑ちゃんが声を掛けてくれた時、運命を感じた・・・。何だか話しかけなきゃって思ったの」
侑「わ、私は無かったかなぁ・・・」
歩夢「むぅー!私だけ!?」
侑「ご、ごめん。人見知りだったから・・・」
『完全に思い出すには、前の時間軸に戻り思い出の地に行く事です。
そこに行く事により鮮明に思い出が蘇り。今の時間軸は否定されて元のあなたに戻る事が出来ます。
ペルソナ能力とは飽くまで時間に抗う力。ペルソナ能力が記憶思い出すトリガーではありません。
この時間に抗うとは前の時間軸。言い換えれば今の時間軸の影に隠れた本来の時間に戻ることにより異変を察知した時の番人シャドウがあなたを襲い。
二つの時間軸を併せ持つあなたを排除しようとします。ペルソナはそれから守る力なのです』 腕時計を操作してあの階段に行ったようにアニガサキのそれぞれのシーンを巡っていくのかな 侑「シャドウ・・・あの化け物はそんな名前だったんだ」
歩夢「侑ちゃんが言ってた黒い化け物の事だよね?確か2メートルはあるって・・・そんな化け物から守ってくれて本当にありがとう侑ちゃん。侑ちゃんは私のヒーローだよ!」
侑「う、うん。改めて言われるとなんか恥ずかしいなぁ・・・」
歩夢「えへへ・・・ん?あれ、何だろう。誰か立ってない?」
歩夢が指さした方をみる。
屋上だ。
フェンスを背に誰かが屋上に立っている。
暗い表示で、今にも飛び降りそうだ。
侑「えっ、あの人って・・・」
歩夢「ね、ねぇ、侑ちゃん・・・」
私達のほかに屋上にいる人に気付いている人もいるようで複数の会話が聞こえる。
「自殺?」「あの人って一年だよね?」「ヤバいってあれ」「あの人名前なんだっけ?」「先生呼んだ方が良くない?」
それは徐々に感染するかの様に騒がしくなり、人も徐々に集まり始めみんな屋上を見上げる。
侑「あれ、かすみちゃんだ。かすみちゃんだよ歩夢!!!」
歩夢「ど、どうしてあんなところに・・・」
【中須かすみ編】 違った人生を歩めば性格が変わるだけでは済まずこうなる可能性もあるんだな 今、私の友達が目の前で自殺しようとしている。
屋上から地面を見下ろすかすみちゃんの表情は暗く、あんな表情をしたかすみちゃんは私は見たことがない。
元の時間軸ではとっても明るく、表情豊かでかわいいあのかすみちゃんが自らの命を絶とうとしている事に驚いた。
きっと今の時間軸で何か酷い事が起こりそれが彼女が追い詰めているんだ。
ここで私はかすみちゃんだけじゃない。
他のみんなも必ずしも幸せな人生を送っていないのかもしれない可能性がある事を知る。
歩夢「ゆ、侑ちゃんどうしよう!?」
侑「も、元の時間軸を思い出させればやめるかも・・・でも分からない。思い出させ方まだ聞いてない!」
そう、記憶を思い出させる方法が分からない。
ベルベットチャットルームに聞けば教えてくれるかも知れないが今にも飛び降りそうなかすみちゃんを見てると、とてもそんな時間はなさそうだ。 この世界では赤の他人でかすみの境遇や性格も違ってるから
同じように踏み込んで上手くいくかわからないしね かすみもせつ菜も真逆すぎて記憶戻ったあとも心配になる これはある意味シャドウ達との戦いよりもずっと困難だな 焦りだけが先走り。
どうにかして、かすみちゃんの自殺を止めようと考えても何も思い浮かばない。
結果、私達は周りの生徒や先生達のように下から大声でかすみちゃんの事を引き留める事しか出来なかった。
かすみちゃんが私達の事を思い出してさえいれば、声は届くのかもしれない。
だけど、ベルベットチャットルームが教えてくれた真実を鵜呑みにするのなら確実に私達の事を忘れている。
だから私達がいくら叫んでも涙ながらに訴えても、かすみちゃんの耳には自殺を止めるその他群衆の声の域を超える事はなく。
かすみちゃんは一歩踏み出し、屋上から身を投げる。
私は小さな悲鳴と共に目を瞑って奇跡を信じた。 誰かに止めに来て欲しいとか自分を見て欲しいだけじゃなくて本当に飛び降りてしまうとは。どうなるんだろう 侑「・・・・・・っ!!!」
集まっていた生徒達がざわめく。
きっと、かすみちゃんは何も奇跡は起きずにそのまま地面に激突してしまったんだ。
目を開けるのが怖い。
この場から逃げたかった。
せっかくみんなの事を思い出したのに、この世界でもみんなと仲良くする事が出来るかもしれないと思ったのに・・・。
そう思うと涙が溢れ出して来て、止まらない。
もうかすみちゃんとは仲良くする事が出来ない。
私は・・・この時間軸を初めて嫌いになれた。
少なくとも前の時間軸ならこんな事はなかった筈なのに。
歩夢「ゆ、侑ちゃん!?」
侑「あ、歩夢・・・私はかすみちゃんを・・・」
歩夢「まだ大丈夫!まだ落ちてないよ!」
恐る恐る目を開ける。
屋上にはかすみちゃんの姿はない・・・だがその下の階にかすみちゃんはぶら下がったままじたばたと暴れている。
何かに引っかかったのか・・・いや、誰かが掴んでいる。
かすみちゃんが飛び降りる事を想定して、下の階で誰かが身構えていたんだ。
かすみちゃんの襟を掴んでいる手を追うと、私達が知っているよく見慣れた顔がそこにはあった。
侑「り、璃奈ちゃん!?」 落ちてくる人間一人捕まえるとかすごいな
璃奈ちゃんだから何ができても不思議はないけど 璃奈ちゃんが窓から半身を出してかすみちゃんを掴んでいる。
歩夢「侑ちゃん!私達も助けに行こう!」
侑「う、うん!」
間に合うかどうかは分からない。
けど、何もやらずに見ているよりかはマシなはずだ。
璃奈ちゃんの小さな体でかすみちゃんを引き上げるのはとても無理だと思う。
落ちてくる人一人を掴んでいる事さえも奇跡に近いのに・・・。
私達は璃奈ちゃんの助けになろうとその場から離れ、璃奈ちゃんの所へと走り出す。 校舎の中に入り、階段を駆け上がる。
途中、足がもつれてこけそうになるけれど少しの遅れが大惨事になるこの状況でこけるわけにはいかない。
なんとか踏ん張り、私達は璃奈ちゃんの元へと辿り着く。
侑「り、璃奈ちゃん!かすみちゃん!」
璃奈「・・・だれ?知り合い?」
かすみ「し、知らないからあんな人達!そ、それよりも何で私を助けたの!?」
もう、璃奈ちゃんはかすみちゃんを引き上げていた。
璃奈ちゃん以外の人は一人もいないから恐らく一人でだ。
姿や体型はまるで変わってない。
いつもの璃奈ちゃんだ一体どこにそんな力が・・・。
璃奈「当たり前、私はこの学校の番長。私が番長でいるうちは何人足りとも死者出さない」
歩夢「ば、番長・・・?」 いきなりすぎて色々考える間がなかったから出たとこ勝負で大変そう 侑「り、璃奈ちゃんが番長って・・・どう言う事?」
歩夢「そ、そういえば聞いた事がある・・・この学校で入学と同時に番長になったとんでもない人がいるって・・・」
侑「と言うかこの学校に番長とかって概念あったの?」
歩夢「学校自体も違う時間軸だから、変わってるところもあると思う」
人だけじゃない学校自体も前の時間軸違う所がある。
もしかしたら、文化や風習なんかも前の時間軸と変わってる事があるかもしれない。
かすみ「ば、番長とか知らないけど止めないでよ!あなたには関係ないでしょ!」
璃奈「・・・うるさい」
璃奈ちゃんはかすみちゃんの頬をビンタする。
侑「ちょ・・・璃奈ちゃん!?」
璃奈「関係ないとか私には知らない。この学校の生徒はみんな私の舎弟。舎弟を守るのが番長。それ以上文句があるなら」
璃奈ちゃんはスケッチブックにスラスラと何かを書き出す。
そこは前と変わってないらしい。
璃奈「璃奈ちゃんボード『ボコボコにするぞ』」 かすみんを一人で引き上げくらいパワーあるなら
入学すぐに番長になっても不思議じゃなさそう かすみ「ぼ、ボコボコって・・・なによ!何でわざわざスケッチブックに書くの!?」
こっちの璃奈ちゃんも本来の時間軸と大分違うらしいく、璃奈ちゃんのスケッチブックからこんな攻撃的な言葉が出るとは思わなかった。
しかも、顔文字じゃなくて普通に文字だ。
文字で今の感情を表しているらしい。
璃奈「パパとママに言われてる。女の子は汚い言葉を使ったらダメ。だから汚い言葉を使う時はスケッチブックに書くようにしてる」
かすみ「そ、そんな事聞いてるんじゃない!」
かすみちゃんは叩かれたからか更に璃奈ちゃんに詰め寄っている。
一体何が彼女を自殺するまで追い詰め、こんなに攻撃的にさせるのか・・・かすみちゃんと一度ちゃんとお話してみたいと私は思った。 かわいい理由で草
表情はこの璃奈ちゃんも出せないのかな かすみんはどうしようもなく追い詰められてというより自暴自棄になってる感じかな 歩夢「ゆ、侑ちゃんどうしよう・・・」
歩夢は取っ組み合いが始まりそうな二人を見て完全に動揺している。
侑「ど、とりあえず・・・落ち着かせなきゃ!」
かく言う私もそうで、言ったはいいが言葉が見つからない。
この世界ではかすみちゃんと璃奈ちゃんは完全に赤の他人で私達が二人の間に入っても関係ないの一言で一蹴されるに違いない。
だけど、大切な私達の友達がこのまま取っ組み合いを始めるのも見ていられない。
私は意を決して二人に話しかける。
侑「あ、あの!お、落ち着きませんか・・・?」
璃奈「私は落ち着いてる」
かすみ「あなた達誰よ!関係ないんだからあっち行っててよ!」
侑「かすみちゃんも璃奈ちゃんも喧嘩は良くないよ!」
璃奈「・・・?」
かすみ「な、何で私の名前・・・名乗った覚えないんだけど」
侑「そ、それは・・・とにかく喧嘩は良くないよ!」 璃奈「・・・まだ殴り合いじゃないから喧嘩はしてない」
こっちの璃奈ちゃんは口調は知ってる璃奈ちゃんなんだけど言う事が凄く物騒だ。
歩夢「ふ、二人共仲良くしよ?」
ここで歩夢も入って来た。
正直、一人は心細いからありがたい。
かすみ「つ、次から次に・・・」
侑「かすみちゃん。一体何があったの?私で良かったら話聞くよ?」
かすみ「だから・・・あなたには関係ないでしょ!」
侑「で、でも・・・」
向こうから先生達が血相を変えて走ってくるのが見える。
あれだけの騒動を起こしたんだ無理もない。
と言うか来るのが遅すぎる。
とりあえずは二人が喧嘩せずに済んだ。
先生達はかすみちゃんの肩を掴む。
二人がかりでかすみちゃんをどこかへ連れて行ってしまう。
かすみちゃんが見えなくなるまで私達三人は見送っていた。
見えなくなるまでかすみちゃんはずっと暴れていた。 飛び降り騒動なんて起こしたらしばらく会えなくなる可能性もありそう かなり多くの注目も浴びちゃったしどうなるのか楽しみ 璃奈「・・・あなた達」
かすみちゃんが連れ去られてしばらくの沈黙の後、最初に喋ったのは璃奈ちゃんだった。
璃奈「あの人と知り合い?」
侑「あ、えーと。知り合いって言うか・・・」
歩夢「知り合いなんだけど・・・」
璃奈「歯切れが悪い。あなた達はあの人の事知ってるようだったけど、あの人はあなた達の事知らなかったように見える。どうして?」
侑「り、璃奈ちゃんはかすみちゃんの事知ってる?」
璃奈「質問を質問で返さないで。礼儀に反する」
歩夢「ご、ごめんね。でも、何か知ってる事ないかなって・・・私達かすみちゃんの友達だったから」
璃奈「だった・・・?さっきからずっと歯切れが悪い。それに、私はあなた達に名乗った覚えない」
侑「そ、それは璃奈ちゃんが番長だから私達も名前ぐらいは知ってるよ!ね、歩夢!」
歩夢「う、うん!」 正直に話せばと思ったけど璃奈からしたら自分達が消える可能性あるわけだし話すのは博打かもね 璃奈「もういい。私は忙しい。・・・さっきの質問だけどあの人の顔は見た事がある。その程度」
侑「そ、そっかぁ・・・」
歩夢「かすみちゃんとちゃんとお話出来ないかな・・・」
璃奈「お話・・・?あの人とどうなりたいの?」
侑「救いたい。かすみちゃんは私達にとって大切な人だから」
璃奈「・・・分かった。調べて見る。ラインしてる?」
侑「う、うん!ありがとう璃奈ちゃん!やってるよ!」
璃奈「何か分かったら連絡する」
私達は璃奈ちゃんとラインの交換をする。
璃奈ちゃんのラインのアイコンは番長の文字だけのアイコンだ。
璃奈「あの人をよろしく。・・・本当は私がどうにかするべき何だろうけど、あなた達に任せる。私ではない気がする。あなた達ならあの人を救う事が出来る。理由はないけどそんな気がする」
歩夢「あ、ありがとう!」
侑「うん、本当に助かるよ!!!」
璃奈「よろしく」
璃奈ちゃんは踵を返して私達から離れる。
その、小さな背中がとても大きく見え番長と呼ばれているのも納得が出来る。
璃奈(・・・あの人達。不思議。あの人達ならこの問題任せられる。それにあの人達と話していると、とても懐かしい気分になる) 運命的な理由もあるんだろうけどさすが番長は器がでかい 【放課後 住宅街】
かすみちゃんの事が気になりその後の授業に全く集中出来ないまま放課後を迎える。
璃奈ちゃんからの連絡はまだ無く。
ベルベットチャットルームに時間軸の戻し方を聞いても既読すら付かない。
足踏み状態の私達はこのまま何か分かるまで待っている事なんて出来るはずもなく。
かすみちゃんの事について調査をする事となった。
歩夢は学校でかすみちゃんの事を聞いている。
私が聞いても良かったが、歩夢は学校の人気者だ。
だから、情報もすぐに集まりそうだ。
私はと言うと、前の時間軸の記憶を頼りにかすみちゃんの家を探している所だが、あてには出来ない。
この世界の人は全く違う時間を歩んでいる。
と言う事はかすみちゃんの両親も違う人生を歩んでいると言う事。
そうなると住所も前と違ってる可能性の方が高い。
事実、記憶の中にあるコンビニやコッペパン屋さんはこの時間軸では無かったり別の場所に出来たりと言う事が多々あった。
侑「確か・・・ここに」
かすみちゃん家があったはずだが、目の前に広がっているのは何もない。ただの空き地だ。
侑「やっぱり変わってるか・・・」
せめて家が分かってかすみちゃんとコンタクト取れればいいなと思っていたが、結局、璃奈ちゃんや歩夢の情報待ちになりそうだ。 ベルベットルームもラインだから向こうの都合次第なのがきついね 【公園】
結構、歩いたので自販機でスポーツドリンクを買ってベンチに腰掛ける。
キャップを開けて、流し込むと空っぽの胃に冷たいスポーツドリンクが満たされていくのが分かる。
侑「お腹減ったなぁ・・・」
かすみちゃんの事があったのでお昼から何も食べてない。
と言うか、ご飯を食べようって事が頭になかった。
それくらい、あの出来事は衝撃的でもし璃奈ちゃんがかすみちゃんを助けなかったらと考えるとゾッとする。
・・・とりあえず。
何もしないで待つ事は出来ない。
学校に戻り、歩夢と一緒に聞き込みをしよう。
今は一刻を争う。
自殺するまで追い込まれてるんだかすみちゃんは、一人になったらどこかで自殺してしまうかもしれない。
侑「・・・よし!」
スポーツドリンクのキャップを閉めてカバンの中へ押し込む。
ベンチから立ち上がると、目の前で誰かが躓いてこけた。
侑「わっ、ちょ・・・!大丈夫ですか?」
海未「あ、いたたたっ・・・」 侑「だ、大丈夫ですか!?」
青髪の女性は恥ずかしそうに起き上がる。
こけた際に、手を擦りむいたみたいで血が滲んでいる。
海未「す、すみません・・・」
顔を見ると、かなりの美人だ。
侑「あ、あの・・・えーと」
私は鞄の中から絆創膏を取り出して彼女に渡す。
海未「す、すみません・・・」
いくつぐらいだろう?
私よりかは年上なのは分かる。
子供っぽくこけてはいたが絆創膏を受け取った表情はどこか大人っぽさがある。
侑「一枚で大丈夫ですか?」
海未「あっ、はい。すみません。親切な方ですね」
侑「いえいえ。他に怪我は無いですか?」
海未「手の平だけだと思います。・・・恥ずかしい所を見られてしまいましたね」
照れ笑いする彼女の胸にはネームプレートがある。
園田海未と書かれている。
この名前どこかで聞いたような・・・。
侑「あ、あーーーっ!!!」
海未「ど、どうしたんですか!?」 侑「も、もしかしてですけど・・・ゲームとか作ってたりしますか?」
海未「え、私を知ってるんですか?」
侑「は、はい!いや、友達があなたのゲーム大好きで名前だけなんですが・・・」
そう、園田海未さん。
この人は確か歩夢が好きと言っていたゲームを作った人だ。
海未「へぇ、私のゲームをですか・・・」
侑「確か全クリしたって言ってました!」
海未「中々、見所のある友達ですね」
侑「わぁ〜歩夢がいたら喜んでただろうなぁ」
海未「そのお友達の歩夢さんと言うのですね。よければ今度お会いしましょうか?」
侑「えっ!きっと喜びます!」 激ムズなゲーム作ってる自覚あるんだな海未ちゃん
歩夢もこっちの記憶あるから嬉しいのかな 海未「いえいえ、私も私が作ったゲームのユーザーと話せるいい機会ですし」
侑「じゃ、じゃあ連絡先を・・・」
海未「はい!よろしくお願いします」
私達はスマホを取り出してラインを交換する。
海未「あ、申し遅れました。って名前はもうネームプレート見たから知ってますね。改めまして園田海未です。あなたは?」
侑「高咲侑です!」
海未「ここで知り合えたのはもしかしたら何かの縁があるのかも知れませんね」
侑「は、はい!」
海未「すみません。絆創膏ありがとうございました。次は私達のオフィスμ'sでお会いしましょう!では、また」
侑「ありがとうございます!」
海未さんは去って行った。
μ's・・・園田海未。
どこかで聞いた事あるような。
この世界じゃなくて、前の時間軸で・・・。
侑「ああっ!」
μ'sの園田海未さん!
あのラブライブで優勝したスクールアイドルだ!
この時間軸ではゲーム会社をやってるみたいだ。
まさか、そんな凄い人と知り合えるだなんて・・・ときめいちゃう!
【コミュLV1 園田海未: 剛毅】 一刻を争うとか考えてたのにときめいてるの侑ちゃんらしい コミュで他の子出てくるのかもね。メインだけじゃなくてそっちも楽しみ
多すぎると大変そうだけど 【学校】
歩夢「侑ちゃんおまたせ!」
侑「ううん。ごめんね。こっちは何にも進歩なくて・・・で、何か分かった?」
歩夢「う、うん・・・。あのね」
歩夢の表情はとても暗い。
その表情の暗さからこれから語られる事の重さを察してしまい、耳を塞ぎたくなる。
でも、かすみちゃんはこっちの世界で困っていて私達が何か助けになるかもしれないと、私は覚悟して歩夢の次の言葉を待つ。
歩夢「かすみちゃんのお父さん人を殺したって・・・」
侑「・・・え?」
歩夢「人を殺して警察に捕まったってみんな言ってた。多分それで追い詰められて・・・自殺を考えたんだと思う」
侑「そ、そんな・・・嘘だよね?」
歩夢「・・・本当だよ。私も信じられなくて・・・でも友達からネットで調べれば出てくるよって言われたから調べたの。そしたら・・・本当だった」 侑「そ、そんなの・・・」
どうにもならない。
かすみちゃんの記憶を元に戻していつものかすみちゃんに戻したら自殺はやめてくれるだろう。
だが、父親が人を殺した現実は変わらない。
変わるのはかすみちゃんだけで、何も変わらない。
私はどこかこの問題を軽く見ていた。
自殺するぐらい追い詰められていても、記憶を取り戻して元の元気なかすみちゃんに戻って貰えれば全て解決すると思っていた。
歩夢「かすみちゃん、精神的なショックがあるだろうから。学校からしばらくは学校に来なくていいって言われてたらしくて、転校も進められてたって・・・」
侑「・・・・・・」
ふとラインの通知音が鳴る。
璃奈ちゃんかも知れないと思い、スマホを鞄から取り出す。 侑「ベルベットチャットルームだ・・・」
そういえば時間軸の戻し方を聞いていたのを思い出した。
『時間軸の戻し方は、あなたを受け入れさせた上で腕時計の短針をあなたに長針を対象に向ける事でその人の前の時間軸に行く事が出来ます。
そこは、対象の眠っている記憶の世界。そこで思い出の場所行く事によって対象はやっと記憶を取り戻す事が出来る』
侑「何だか難しそうだね・・・」
歩夢「仲良くなればいいって事かな・・・?仲良くなれば前の時間軸に行けて、そこで思い出の場所に行けば元の記憶を思い出すって事じゃないかな」
『受け入れさせるとはこの世界であなたの事を認めさせると言う事。つまりはコミュニティを築く事です。前の時間軸で親しい間柄であればそんなに難しい事じゃありません。
全く知らない中なら相当親しくならないと難しいでしょう。
親しくならずに前の時間軸に行く事は可能です。ですがそれは土足で人の家を歩くような行為。たちまち対象の記憶や精神を汚してしまい。最終的には自分が何者かさえも忘れてしまいます』
侑「そんなハイリスクな事やったんだ私って・・・」 『そしてあなた達がいる。この星の時間軸を元に戻す事も可能です』
侑「この星の時間軸・・・?」
『この星、つまりは地球の時間軸を戻し記憶を蘇らせる事によって、この世界は本来の時間軸に戻る事が出来るでしょう』
歩夢「ねぇ、それって・・・」
侑「う、うん。この世界が元に戻るって事だと思う・・・」
『全てを元通りにする鍵は東京ビックサイトにあります。まずはそこへ行きましょう』
侑「・・・行ってみよう」
歩夢「・・・ねぇ侑ちゃん」
侑「どうしたの?」
歩夢「もしこの話が本当だったら、世界を元に戻すの?」
侑「うん、かすみちゃんのお父さんは人を殺さないって事になるから。それに同好会のみんなとまた一緒に過ごしたいし・・・」
歩夢「そ、そうだよね。行こっか!」 逆にこの世界でしか救われない人もいたらかわいそう
どうしようもないけど 【東京ビックサイト】
東京ビックサイトとは日本最大の国際展示場だ。
それに、コミケの開催地でもあり。
時期になると数万人もの人達がここに集まる。
侑「・・・着いたね」
特徴的な逆三角形が並んだ建物を見上げながら、何故ここに呼んだのか疑問に思う。
特におかしい所はない、いつものビックサイトだ。
『着いたようですね。私が先程言ったように短針を自分へ長針を地面に向けて下さい』
歩夢「ね、ねぇ。私腕時計ないよ?」
『歩夢さんは侑さんの体のどこかを触っていれば一緒に行く事ができます』
歩夢「そ、そっか・・・」
歩夢は私の手を握る。
侑「・・・行くよ」
腕時計の短針を自分に長針を地面に向ける。
世界が暗転ししばらくの間浮遊感を感じた後、私は全く同じ場所に立っていた。
目の前にはさっきと同じように東京ビックサイト・・・そこで私は目を疑った。
侑「えぇぇっ!?」
ビックサイトの逆三角形四つが宙に浮いている。 最初に18時だったのはものすごく運が良かったんだな 歩夢「な、何が起こっているの・・・?」
空が赤い。
夕焼けの風情を感じる赤さではなく、赤く濃い絵の具でただただ塗り潰したような赤さ。
恐怖や不安を煽る赤さ。
逆三角形がコマのように回転し始める。
侑「わ、分かんない・・・」
『地球の記憶を思い出させるにはまず地球の内部に入る必要があります』
侑「地球の内部?地中って事?」
『地球は機械仕掛けで動いています。その内部に入り、地球の核に辿り着く事が出来れば地球の記憶は蘇り全て元に戻ります』
更に回転を強める逆三角形は下降し始め、地面を掘り進んで行く。
侑「ちょ、ちょっと待って!頭が追いつかない!」
『この地球の時間軸を戻すには下に降りるしかありません』
掘り進む音は止まり、私達の目の前には巨大な穴が空く、底が見えない暗い大きな穴。
侑「下に降りるって・・・階段もないしどうやって!?」
歩夢「ねぇ、見てあれ」 空から光の帯が伸び、穴の中へと続く。
『エレベーターです。その光に触れれば掘り進んだ地点まで連れて行ってくれます』
赤い空に地面を掘り進むビックサイト。
更には空から差し込む光のエレベーター。
もう何がなんだかわからない。
侑「本当に地球の核に行けば全て元通りになるの・・・?」
『はい、全て元通りになります』
歩夢「ゆ、侑ちゃん・・・」
侑「い、行こう歩夢!行って元の時間軸に戻しに行こう!」
歩夢は私の服をぎゅっと握る。
手の震えが伝わる。
私も体が震えている。
深く深呼吸をし、光の帯に触れる。 エレベーターと言うよりはまるで滑り台だ。
滑るように、地中の送って深くへ下降すると硬い地面に私達は降り立った。
侑「こ、ここは・・・?」
歩夢「・・・ゆ、侑ちゃん後ろ!!!」
歩夢が後ろを指さす。
黒い怪物が私の背後に、そして強い衝撃・・・私は吹き飛ばされる。
侑「・・・っ!!!」
歩夢「侑ちゃん!!!」
シャドウ。
確か、時間軸を戻そうとしている私達を襲う存在だとベルベットチャットルームは言っていた。
歩夢に解放されながら、何とか立ち上がる。
まともに攻撃を喰らってしまった。
と言うか下に降りて早々、背後にいるとか反則が過ぎる。
歩夢「だ、大丈夫!?」
侑「う、うん。痛みはあるけど一人で立てそう」
華奢な私が2メートルの巨体の全力のパンチを受けて吹き飛ばされて、痛いだけで済んでる事に驚いた。
歩夢「・・・・・・よくも」
侑「・・・歩夢?」
歩夢「よくも侑ちゃんを!!!」 歩夢は制服のボタンを外し始める。
歩夢「服を抜けばいいんだよね!?」
侑「えっ、あ、歩夢!?」
歩夢はペルソナを出そうとしている。
侑「わ、私がペルソナ出すよ!歩夢は初めてだし!」
シャドウはゆっくりとこちらに歩いて来てはいるがシャドウとの距離はまだある。
私も体勢を戻す時間はある。
歩夢「侑ちゃんは休んでて!怪我してるかも知れないから!」
言い終えて歩夢は制服のボタンを全て外す。
歩夢「侑ちゃんを傷付けたあなたを許さない」 (その怒りを燃やせ、太陽を傷付けられたのなら立ち向かえ。我は汝、汝は我)
歩夢「ペルソナッ!!!」
歩夢は服を脱ぎ捨てる。
宙を舞う服は光輝いて人形に・・・。
歩夢「これが・・・私のペルソナ。伝わってくる・・・想いの重さ」
歩夢のペルソナはとても歩夢から出たとは思えないぐらい禍々しく、かっこよかった。
赤いマントを翻し、鬼の様な形相でシャドウを睨んでいる。
歩夢「行くよ・・・ヴィシュヌ!!!」
歩夢のペルソナがシャドウを殴る。 シャドウは大きく仰け反り、怯んだ。
ペルソナはその隙を見逃さないと、更なるラッシュを浴びせる。
歩夢の方を見る。
手にはいつの間にか、大鎌が握られていた。
いや、大鎌と呼ぶにはあまりにも西洋的でサイスと呼んだ方がいいだろう。
身の丈程あるサイスを手に持ち構える歩夢はどこか悪魔のようで、妙に似合っていた。
ラッシュを打ち込まれたシャドウは消滅しない。
私が倒したシャドウよりも耐久力があるらしい。
だが、その場から動かない。
すぐ目の前に攻撃をした相手いるのに、長い腕を伸ばせばすぐに反撃が出来るのに、片膝を着いたまま動かない。
歩夢のペルソナはシャドウの体に人差し指で触れる。
一回、二回、三回、四回、五回。
片膝を着いていたシャドウの巨体は、まるで平伏すかのように地に沈む。
歩夢「これが私のペルソナ・・・」 歩夢はシャドウに近付く。
歩夢「もうあなたは動けない」
シャドウは何とか足掻いてはいるが、歩夢が近付いて来るのをただ見てるだけだ。
歩夢が持っているサイスの刃がゆらゆらと揺れている。
歩夢「侑ちゃん傷付けたのが悪いんだよ」
シャドウは何とか持ち上がる頭だけを動かし、歩夢の動向を追っている。
その様子はまるで謝っているようにも見える。
言葉も喋れない、私達を殺す事しか考えられないであろう怪物は、地に平伏し頭を差し出している。
自らの犯した過ちに気付き歩夢に土下座をしているかのようだ。
歩夢はシャドウの背に立ち、後ろから首筋にサイスの刃をあてる。
歩夢「・・・・・・っ!」
サイスを後ろに引くと、シャドウの首が飛び私の前まで転がった後、黒い塵となって消えた。
侑(歩夢・・・怖すぎるよ。歩夢だけは怒らせないようにしなきゃ) 【上原歩夢】
武器:サイス
属性:呪怨
ペルソナ:ヴィシュヌ(女神異聞録ペルソナ)
破壊力A
スピードC
射程距離C
精密動作性B
能力:触れた相手の重さを5k増やす
触れれば触れる程、5kずつ増えて行く。
この能力はシャドウや人の他に物にも有効。
腕だけ、足だけといった部分的に重くする事も出来る。 能力は想いが重い女だからか
侑ちゃんが無事ならここまでキレなかったんだろうけど 歩夢「・・・侑ちゃん大丈夫?」
先程の黒い歩夢と打って変わって、今の歩夢は元通りになり心配そうに私を見つめている。
侑「う、うん。大丈夫。それよりも歩夢。似合ってるね」
歩夢「え、何が?」
侑「ほら、スーツ姿。ペルソナを出すとスーツ姿になるみたいだね。それに時計も、どう言う仕組みかな?」
歩夢「わっ!本当だ」
雑談も束の間、シャドウが一体二体と増えてくる。
侑「またシャドウが・・・」
歩夢「ど、どうする?」
二体なら何とかなると思い私もペルソナを出そう身構える。
が、シャドウは三体四体五体と次々と増える。
侑「こ、これはちょっと危ないかも・・・」
歩夢「侑ちゃん逃げよう!怪我の手当もしなきゃだし!」
侑「う、うん!」
私と歩夢は走り出して光の帯に触れる。
下から上へあっという間に地上に脱出し、シャドウが追って来てないことを確認すると緊張が解けたのかその場に座り込んでしまう。 歩夢「シャドウってあんなに沢山いるんだね」
侑「う、うん。びっくりした。ゲームで言うところのまだ序盤みたいなもんじゃん私達って・・・本気で止めに来てる」
歩夢も座り込み、心を落ち着かせる為だろうか何度か深呼吸をする。
ラインの通知音が鳴る。
ベルベットチャットルームからだ。
『おかえりなさい。セキュリティが働き掘り進みが止まってしまったようですね』
侑「セキュリティってどう言うこと?」
『あなた達の前に現れたシャドウは、今の地球の時間軸を守ろうとする門番と言ったところでしょうか。門番を倒すことによって、またビックサイトは動き出し、地中を進めるでしょう』
歩夢「あの数を倒さなきゃだめなの・・・」
『はい、ですが今のあなた達ではかなり難しいでしょう。仲間を増やす必要があります』
侑「仲間か・・・」
『ちなみに、ペルソナ使いはこの世界でのみ身体能力が上がり、ペルソナとは別に魔法が使えるようになります』
侑「だから私はそんなにダメージ受けて無かったんだね。それに魔法って?」
『侑さんは弾を無制限に撃つことができ、歩夢さんは呪怨属性の魔法を操る事が出来ます』
侑「あの銃何発でも撃てるんだ」
歩夢「呪怨属性って・・・何だろう?」
侑「あまりパッと来ないね」 歩夢はヤバそうな属性みたいだね
闇堕ちしないといいけど 『仲間を増やすと言いましたが、同好会の皆さんを仲間にする事をお勧めします。彼女達はあなた達に最も関係が近く、ペルソナ使いになる事が出来ます』
歩夢「みんなを仲間に・・・」
侑「そ、そんなの出来ないよ!」
私と歩夢は自覚なしにペルソナ使いになった。
確かに地球の時間を元に戻すには仲間が必要だ。
私達二人では限界がある。
でも、死ぬかも知れないのにみんなを巻き込む事は出来ない。
『考えて置いて下さい。それに、彼女達の殆どは時間を元に戻す事を望んでいるでしょう。ここから帰る方法は強く念じれば元の場所へと帰る事が出来ます』
侑「帰るのは割と簡単なんだね」
『Burn My Dread。恐怖を燃やせ』
歩夢「・・・どう言う意味だろ?」
今日はそのラインを最後にベルベットチャットルームから通知は来なかった。 命懸けだからゲームみたいに少人数制限プレイやるわけにもいかないしな ベルベットルームの主は同好会のことなんかも詳しく知ってるんだね 4/14(木)
【朝】
侑「おはよう。歩夢」
歩夢「うん、おはよう。体は大丈夫?」
侑「うん、大丈夫だって。ほら」
腕をぶんぶん振って何ともないことを証明してみせる。
歩夢「あぁっ!肩が外れちゃうよ!」
侑「こんな事で外れないよ!ほら、私だって歩夢達のマネージャーだったんだから体力着いて来たし!」
歩夢「それは前の時間ででしょ!ほら、行こ!」
侑「はーい」
昨日は色々ありすぎた。
ふわぁっと欠伸をすると歩夢も釣られて欠伸をする。
侑「あはは、移った」
歩夢「ごめん。なんだか疲れてて・・・」 侑「私も・・・あ、体は痛くないんだけどね。なんか気だるいよね」
歩夢「うん・・・。体、重いね」
侑「あの世界に行ったからかな?」
歩夢「うーん。どうだろう。昨日は色々な事があったし精神的なとこもあるかも」
侑「そうだよね昨日は色々あったね・・・本当に」
かすみちゃんの自殺未遂にシャドウに襲われて歩夢がペルソナを出せる様になった事。
あと、他にも色々な事があった。
本当に同じ一日に起きた出来事なのかと疑ってしまうぐらいだ。
スマホを見る。
ベルベットチャットルーム、璃奈ちゃんからはラインは無い。
歩夢「今日はどうする?」
侑「また、かすみちゃんについて調査かな。じっとしてられないから・・・」
歩夢「うん、そうだね。何とかお話出来れば良いんだけど・・・その前に授業で寝ないようにしなきゃだね!」
侑「そうだね。よしっ!今日も頑張ろう!」
歩夢「うん!」 【昼休み】
果林「きゃっ!」
かすみちゃんの聞き込みをしてる真っ最中で、前を歩く生徒に話しかけようとした所、転んでしまったからだ。
果林「あぁっ・・・痛い痛いですぅ・・・」
侑「だ、大丈夫ですか・・・?」
果林「ふぇぇ。だ、大丈夫です」
侑「え、あれ?か、果林さん・・・?」
果林「えぇぇっ。な、なんで私の名前知ってるんですかぁ?」
侑「か、果林さん・・・だよね?」
果林「そ、そうですぅ!」
侑「本当に?」
果林「はぁい。果林ですよぉ」
侑「け、怪我はない?」
果林「大丈夫なのですぅ!あ、あのぉ。じっと見つめないで下さい。恥ずかしぃ・・・」 侑「ご、ごめんなさい。た、立てます?」
果林「ふぇ?立てます!果林はこのぐらいでへこたれません!」
侑「そ、そっか・・・」
立ち上がった果林さんの膝は擦りむいている。
侑「け、怪我してるよ!?」
そこだけじゃない。
太ももや、腕色々な箇所に絆創膏が貼ってある。
果林「わ、私よく転ぶので・・・このくらい大丈夫ですぅ。ご心配ありがとうございまーす!」
侑「う、うん。保健室とか行かなくていい?」
果林「大丈夫ですぅ!唾つければ治りますので・・・あのぉ私先生から呼び出されてるんで・・・そのぉ」
侑「あっ、あぁ!ごめんなさい!」
果林「いえ〜。心配ありがとうございましたぁ〜ばいばーい」
手を振りながら去って行く果林さんに合わせて私も手を振り返す。
果林ちゃんもまた凄い変わり様だが、元気そうで良かった。
本当に・・・凄い変わり様だ。 みんな人格や状況のギャップがすごい
歩夢は普通設定だからこっちでも普通よりだったんかな 歩夢だけがあんまり変わってないのは何か意味があるのだろうか… 【放課後】
結局、かすみちゃんの情報は目新しい物はなく。
日が落ちるまで、聞き込みをして職員室にも行き住所も聞いたが昨日の自殺未遂とお父さんの事が原因だろうか教えて貰えなかった。
璃奈ちゃんにも校内で会ったが、思った以上に情報は集まらないらしく、警察が絡んでいるからかもと言っていた。
早いとこかすみちゃんにコンタクトを取らないとまた自殺しかねない。
だけど、情報は全く集まらない。
歯痒い中、帰宅していると私のお腹が鳴り丁度近くのラーメン屋さんでご飯を食べる事にした。
かのん「しゃっせーーーいっ!!!」
店に入るや否や怒号のようなお出迎えにびっくりしてしまった。
かのん「何名様ですかーーーっ!?」 可可「かのんお客はんびっくりしてますデス!」
かのん「はっ・・・!さーせんっ!!!」
侑「い、いえ・・・」
かのん「何に致しやしょう!?」
歩夢「ど、どうする?」
侑「えーとえーとラーメンで」
歩夢「あ、私も同じので!」
かのん「固さはどうしましょう!?」
侑「普通でお願いします!」
歩夢「わ、私も普通で!」
かのん「あいさーっ!ラーメン普通ーっ!にちょーっ!!!うぃっすー!」
可可「うぃっすー!」
千砂都「ういっすー!!!」
奥からもう一人出てきた。 バイトなのかμ'sみたいにみんなでラーメン屋してるのかどっちかな 侑「元気なラーメン屋さんだね」
歩夢「うぃっすーってなにかな?」
侑「はいよー!とかわかったー!とかみたいなものじゃないかな?」
ちゃっちゃっと麺の湯切り音が聞こえる。
湯切りをしているのはさっき奥から出てきたお団子の女の子だ。
侑「いくつぐらいだろ?」
歩夢「三人共、私達と同じくらいに見えるね。アルバイトさんかな?」
侑「アルバイトの人しかいないのかな?」
歩夢「うーん。どうだろう。奥にまたいるかも」
かのん「へい!お待ちーっ!ラーメン、カタ二丁です。うぃっす!」
可可「うぃっすー!」
千砂都「うぃっすー!!!」
誰かがうぃっすと言うと他もうぃっすと言わなきゃ行けないシステムのようだ。 歩夢「ありがとうございます!」
侑「みんな元気ですね!」
かのん「はい!元気が売りなので!どうぞ召し上がって下さい!」
侑「はい!いただきます!」
歩夢「いただきます!」
白濁とした豚骨スープだ。
盛り付けもチャーシューとネギだけのシンプルな物で、豚骨スープ特有の臭みもそんなにない。
むしろ、食欲を掻き立てる匂いだ。
割り箸を割って麺を持ち上げる。
艶々と輝いており、それにかなりの細麺。
こんなに細い麺は食べた事がない。
可可「ちょっと待つとデス!」
侑「は、はい?」
千砂都「あ、可可ちゃん!ダメだよ!」
可可「ごめんなさい千砂都。こればっかりはプライドが許さんとデス!スープから飲んでクダサイ!」
かのん「お、お客さんの好きな食べ方の方がいいよ!」
可可「ちゅみません!でも、これがこのラーメンで、いっちゃん美味しい食べ方やケン!」 ネットの記事とかでこう言うの見た事があるけど私達が遭遇するとは思わなかった。
持ち上げた麺を戻し、レンゲでスープをすくって飲む。
歩夢「・・・!!!」
侑「お、美味しい!!!」
可可「博多から修行したとデス!師匠の味デス!」
かのん「あはは、すみません」
侑「い、いえ・・・本当に美味しいです!」
次に麺を食べる。
細麺で、縮毛矯正したのかってぐらいにストレートなのにスープによく絡みこれも絶品だ。
歩夢「麺も美味しいね!」
侑「うん!」
千砂都「私が湯切りしましたっ!」
ずるずる。ずるずると手と口が止まらない。
あっという間に麺は無くなり、スープも飲み干してしまった。
本当に美味しかった。
食べ終わった後、もう無いのかと落胆してしまうほどだ。
可可「気に行って貰えて嬉しいとデス!」 かのん「あ、スープまで飲みました?足りないなら、替玉もあったんですが・・・」
歩夢「替玉って・・・?」
かのん「あ、麺のおかわりみたいな感じです」
歩夢「お腹いっぱい麺を食べれるんですね!」
侑「いいシステムだねー」
かのん「あ、あの。また来て貰えますか?」
侑「もちろん!」
かのん「ありがとうございます!」
歩夢「これだけ美味しいと毎日来ちゃいそうだね!」
侑「流石にそれは太っちゃうよー。でも、常連さんになりそうだね私達!」
可可「えっ!?」
千砂都「えぇっ!?」
かのん「常連さんになってくれるんですか!?」
侑「はい!また食べたいです!」
かのん「わぁーっ!ありがとうございます!」 歩夢「そ、そんなに喜んで貰えるなんて・・・こっちまで嬉しくなるね!侑ちゃん」
侑「本当だね!すいませんお会計は?」
かのん「二人で千円です!」
歩夢「二人で千円って事は・・・」
侑「一人五百円!?普通、900円とかじゃない!?」
可可「師匠のお店がそうやったとデス。安くて美味しいラーメンをお客様に提供するにゃが口癖でシタ!だから、私達の店もそうシマス!」
かのん「あ、でもこれから常連さんになるから常連さん記念日でタダにしない?」
千砂都「あ、それ私も賛成!」
可可「可可もいいと思いマス!」
侑「えぇっ!?そ、それは悪いですよ!」
かのん「いいですいいです!その代わりまた来て下さいね!」
歩夢「で、でも・・・」
かのん「私達のありがとう受け取って下さい!」
可可「あなた達、いい食べっぷりでシタよ!」
千砂都「次はバリカタなんかもいいかもねー!」
半ば押し切られる形でお金を払わず無料でラーメンをいただいてしまった。
三人からありがとうございます頭を下げられ、いえいえこちらこそと私達もお礼を言ってお店を出る。
侑「いいお店だったね!」
非常に満足度が高いお店だった。
お店の中からはうぃっすと楽しげな声が聞こえる。
【コミュLV1 ラーメンLiella!:刑死者】 美味そうだけど経営無理そう
すみれと恋はコミュ進むと出てくるのかな 店名や可可のセリフからしてLiella!の店なのな
それにしても物騒なアルカナ 4/15(金)
【朝】
結局、昨日は美味しいラーメン屋さんを見つけただけでかすみちゃんの事は何も進展しなかった。
璃奈ちゃんからの連絡も無いし、かすみちゃんの事が心配で夜も余り眠れない。
今日こそは何か進展して欲しい。
歩夢「おはよう侑ちゃん」
侑「おはよう、歩夢。さ、行こっか」
歩夢「うん」
思えばついこの間までは歩夢と一緒に登校はおろか、会話だってしていなかったのに今はこうやって仲良く登校している。
これは、私達が前の時間軸の記憶を思い出したからではないと思ってる。
事実、思いだす前に仲良くなった。
私と歩夢はどの世界にいても違う時間を過ごしていても、きっと仲良くなる。
そんな運命的な何かがあるに違いない。
かすみちゃんときっとそうだろう。 今のところ何もない日がないだけで1日にこなしてるイベント自体はそこまででもなさそう 学校に着いた私達は校門の前で璃奈ちゃんが竹刀を持って厳しい目で生徒達を見ていた。
侑「あ、璃奈ちゃんおはよう!」
歩夢「おはよう!昨日はいなかったね?」
璃奈「昨日はあの人の事、調べてた。今の所特に情報無し、何か分かった事ある?」
侑「私達も特にないんだ・・・」
璃奈「せんこー達、口が硬い。思った以上に、住所すら教えてくれない」
侑「そ、そっか・・・」
璃奈「明日は休みだから色々調べてみる」
侑「私達も一緒にいいかな?」
璃奈「ダメ」
侑「だ、ダメなの?」
璃奈「一人の方がいい。もういい?」
侑「う、うん。璃奈ちゃんよろしくお願いね!」
璃奈「うん、分かった」 番長なことをのぞけば淡々とした口調でわりと元の璃奈ちゃんに近い気がしないでもない 歩夢「璃奈ちゃん一つ聞いてもいい?」
璃奈「なに?」
歩夢「そこで何してるの?」
璃奈「悪い奴がいないから見張ってる」
侑「悪い奴・・・?この学校にそんなの来るの?」
璃奈「来たことない。でも、何かあったらじゃ遅い」
侑「偉いねー!」
前と同じで表情こそは変化しないが、眼光は鋭い。
まるで番長じゃなく、番犬のようだ。
璃奈「別に偉くない」
侑「ううん!そんな事ないよ!璃奈ちゃんがこの学校を守ってくれてるんだね!」
璃奈「・・・もういい。早く行け」
侑「うん!またね!」
歩夢「頑張ってね!」 番長に憧れて腕組んでるちっちゃい子想像すると可愛いな 【放課後】
侑「こんなのあんまりだー!!!」
私は近くの公園で思わず叫んでしまった。
隣にいた歩夢が心配そうに私を見ている。
歩夢「も、もう。旧急にどうしたの?びっくりした〜」
侑「歩夢、この時間軸にないものがあるんだ。何か分かる?」
歩夢「ないもの・・・?うーんと何かなぁ?」
侑「ヒント、私達にとって大切な事だよ」
歩夢「私達にとって・・・?何だろう?幼馴染じゃなくなってるとか?」
侑「それも大事な事だけど、違う!」
歩夢「もー教えてよー!」
侑「スクールアイドルの文化がないんだよ!この時間軸では!」 こちらの世界の侑ちゃんが好きだった物で我慢するしかないね そういう趣味や嗜好も変わってるのかな
食べ物の好みなんかも変わるほどだったら結構大変そう 歩夢「そう言えば・・・あんまり聞かないね。スクールアイドルの話」
侑「そうだよね!私もおかしいと思ってたんだよ!今ね。まだ会ってない同好会の人達、スクールアイドルやってる人いないかなと思って動画漁ってたんだけど、全然無かった」
歩夢「ラブライブも?」
侑「そう、ラブライブも無かったの。歴代の優勝者もぜーんぶ無かった事になってた!」
歩夢「なんか不思議だね。あれだけ身近にあったスクールアイドルがこの世界にないなんて・・・」
侑「本当だよね。でも、これってチャンスじゃない?」
歩夢「チャンス・・・?」
侑「まだ誰もやって無いって事はスキマ産業って事だよ!私達がスクールアイドルやれば、他の学校も始めるはず!」
歩夢「うーん。根付いてないなら難しいんじゃ無いかなぁ」
侑「私には見える。また歩夢たちがステージでキラキラ光る姿が!」 ビッグサイトの探索は夜だから一応時間的にも大丈夫なのかな こんな細切れになるくらいならもうちょっとまとめて出してほしい 自分は少しずつでも読めた方が嬉しいかな
どちらでも作者さんの書きやすいように書いてくれたらいいけど リアルの都合もあるだろうしちょっとずつでも更新あった方が安心かな 歩夢「キラキラした姿かぁ。みんなまた同好会やってくれるかな?」
侑「やってくれるよ!記憶を戻したら尚更協力してくれると思う!だから、みんなの記憶とこの地球の時間を戻したいと私は思ってる」
歩夢「・・・それって本当に正しい事なのかなぁ?」
侑「なんで?」
歩夢「・・・ううん。私の考えすぎだと思う。なんでもない」
侑「う、うん」
少し引っ掛かる言い方だっただけに、気になったが間髪入れずに歩夢がまた喋りだす。
歩夢「そう言えばどこの動画サイトでみんなの事探してたの?」
侑「あ、えーと。ほらここだよ」
歩夢に色々な動画が並んでいるスマホの画面を見せる。
歩夢「あー。そこ私もよくそこで蛇の動画とかよく見てる。つい見過ぎて夜更かししちゃうよね」
侑「だよねー」
歩夢に画面を見せながら、サイトを下にスクロールする。
歩夢「・・・えっ!?」
侑「ど、どうしたの?」 歩夢「ちょっと戻って!」
侑「う、うん。ここぐらい?」
歩夢「もうちょっとだけ!」
歩夢は私のスマホを人差し指でスワイプし始める。
歩夢「ほら、ここ!この動画!」
侑「うーん?この動画がどうかしたの?」
帽子を被った女の子二人がマイクを持って向かい合っているサムネイルだ。
他のおすすめで出ている動画はプロのアイドル達の動画ばかりなのでこの動画だけ少し異質な感じだ。
何が異質かと言うと、アイドルのようなキラキラした服装は着ていないと言う点だ。
向かい合ってる女の子二人共、なんだろう・・・ラッパーっぽい服と言うのだろうか?パーカーとジーンズを着ていて、一人は帽子の上にパーカーのフードを被っている。
もう一人の方はと言うと、履いてるジーンズが凄く特徴的で、ダメージジーンズなんだけど穴が空いてる箇所が膝だけじゃない。
太ももや至る所に虫に喰われたような穴が空いている。
歩夢「これ、エマさんだよ!」
歩夢はその帽子の上にフードを被ってる女の子を指差して言った。
侑「えー。違うよー」 どちらの世界が偽物とか間違ってるというのは違うだろうしね 歩夢「絶対そうだよ!ほら、胸も大きいよ?」
侑「確かに大きいけど・・・って言うかエマさんの事胸で判断してるの?」
歩夢「もう!違うよ!とにかく、動画再生してみて!」
侑「私は違うと思うんだけどなー。エマさんのイメージとかけ離れてるし」
動画の説明文には国立音ノ木坂学院代表エマヴェルデVS私立浦の星学院代表小原鞠莉と書いてある。
侑「わっ、本当にエマさんだった」
歩夢「ね、言ったでしょ?」
侑「それにしても代表の前の高校って出身校って事かなぁ?」
歩夢「多分、そうだと思う。エマさんはこの時間軸では虹ヶ咲に通っていないみたいだね」
侑「なんか悲しいね・・・」
歩夢「とにかく動画見てみようよ!」 司会『先行MCシャイニーマリー後攻MC卵かけご飯。ファイトッ!!!』
鞠莉『イェー!みんな手を上げてー!いいからみんな手を上げて!みんな手を上げてー!いいからみんな手を上げてー!見て見て!この人手を上げていない。つまりはこいつは仲間外れ!カナダから来た外国人?日本来てラップしてる。どこ言ったの愛国心?ステージの上で私があなたを殺しますそりゃもう酷いくらいに残酷に!』
エマ『はいはい、全く入ってこない。こいつの話。だから棒立ち。まるでカカシ。見てると何だか私の方まで悲しい。こいつはまだまだ剥けてない蛹。いい?形より中身、見据える高み。どう?この硬い韻?サンシャインつまりは太陽。私に勝つなんてまるでファンタジー。今日あなたはだいぶアンラッキー』
鞠莉『結局韻だけじゃん!それじゃ変わらない審査員の審査結果!あなたを倒して私は一攫千金にちっちゃく前進する。こいつのラップ全然ダメ!そんなんで勝つだなんて千年早ぇ。それじゃ減点だね!シャイニー!眩い光で掴む明るい未来!』
エマ『もうすぐ消える眩い光!そうだなまるで線香花火!優勝すると心に誓い。明るい未来は手の中に!みんな私の声を聞いてくれ!私はこの場所から独立直立で立って行くスタイル!すでに保ってるモチベーション!優勝候補にノミネート!エマon the microphone!バイバイ鞠莉さんごきげんよう!』 Aqoursはラップグループなのかな
スクールアイドルの代わりにラップバトルかw 二人のラップが終わる。
観客達は盛り上がっております、歓声が中々止まない。
侑「す、すごいね!」
歩夢「何だかよく分かんないけど二人共かっこよかったね!」
司会の人が勝敗を付けますと言っている。
どうやら、勝敗は観客が決めるようで声が大きかった方が勝ちみたいだ。
まずはエマさん。
観客の声がはかなり大きい。
そして対戦相手の鞠莉さん。
こちらもかなり大きい・・・がエマさんよりかは若干小さいように私は聞こえた。
司会の人は悩みもう一度聞く。
声の大きさは変わらない。
勝者はエマさんに決まり、なんと優勝したようだ。 スクールアイドルがない世界だしラップバトルに憧れて留学してきたのかな 歩夢「エマさん凄いね!」
侑「うん!何だか私まで熱くなって来ちゃったよ!会えないかなぁ?」
歩夢「うーん。音ノ木坂だから会えなくは無いと思うけど・・・あ、その動画っていつの?」
侑「えーと。去年のだ。去年の9月」
歩夢「去年かぁ。こんなに大勢の観客がいるしエマさん人気者になってそうだね」
侑「確かに、でも会ってみたいなぁ。こっちのかっこいいエマさんにも」
歩夢「私も!エマさんが他の学校に通ってるって事はまだ会ってない人も他の学校に通ってる可能性あるのかなぁ?」
侑「愛ちゃんはそうっぽいよね。あとは彼方さんとしずくちゃんだね」
歩夢「逆に同じなのは果林さんに璃奈ちゃんあとはかすみちゃん」 最悪エマさんは留学してきてない可能性もあったと考えると音乃木坂でよかったね しずくとかも地元の高校に通ってても不思議はなさそう 侑「あ、もしかしたらさ・・・嫌な事考えちゃったんだけどもしかしたらだよ?東京にいないって可能性もあるよね・・・」
歩夢「確かに・・・。学校も性格もみんな違うもんね・・・」
侑「・・・あれこれ考えると頭がパンクしそうだね。ただでさえ非現実な事ばかりだから・・・。何にしても今はかすみちゃんを助ける事が先だね」
歩夢「かすみちゃんを助けた後はどうするの?もし私達と同じようにペルソナ能力が覚醒したとしたら、ビックサイトを手伝ってくれるかなぁ?」
侑「そこは分かんない。危険だし強要は出来ないもんね」
歩夢「でも、かすみちゃんはきっと前の時間軸の方が良いって思うよね」
侑「まぁ・・・ね」
歩夢「・・・とりあえず何か食べに行かない?お腹が膨れればいい考えが浮かんで来ると思う」
侑「甘い物がいい!どうする?」
歩夢「パンケーキ食べたいかな?」
侑「お、いいねぇ〜。じゃ行こっか!」
歩夢「うん!」 そもそも生きてない可能性もありそうだけどかすみの自殺も止められたし
シャドウ絡み以外なら運命から外れる死は避けるように世界が動くのかな 情報収集も探索も仲間が増えないことにはなかなか捗らないね 4/16(土)
【夜】
今日も一日、璃奈ちゃんからの連絡はなさそうだと思った矢先、璃奈ちゃんから連絡が来た。
送られて来たライン。
それはかすみちゃんの住所だった。
それと、あとはあなた達に任せると一文も添えられていた。
歩夢とも連絡を取り、明日かすみちゃんの家へ伺う事が決定した。
対して面識がない私達ががいきなり家に押し掛けて困惑するだろうけど、かすみちゃんを救う為だ。
歩夢と協力してかすみちゃんの記憶を元に戻さなきゃならない。
まずは私達をかすみちゃんに受け入れさせる所から・・・。
果たして出来るだろうか?
この世界のかすみちゃんは色んな事に精神的に追い詰められていて、しかも私達は赤の他人だ。
赤の他人の私達がかすみちゃんに何か励ましの言葉を言っても余計嫌われるような気がする。
悪い方へ考えてしまうのはきっとこの世界の私の記憶をのせい。
だからこれ以上、考えるのはよそう。
・・・明日は出来る事をやるだけだ。 素人だと報道されてる以上のことは難しそうだしあとはもう出たとこ勝負だね 変に詳しすぎても警戒されそうだから勢い重視でもよさそう 1です。
更新が遅くなり申し訳ないです。
行き当たりばったりで書いており、この先の展開を考えながら書いてしまうとどうしても更新が今より遅くなってしまいます。
当初はかすみちゃんが自殺未遂したり、キャラの性格の大幅な変化は考えておらず、虹ヶ咲でペルソナを書きたいと勢いで立ててしまいました。
なので一度スレを落として話を練ってからまた書きたいと思っておりますので一度スレを落として下さい。
読んでいただいて支援して下さった方ありがたいです。
話を書くのはとても楽しいのでお待たせするかもしれませんが続きを書きたいのですみませんが時間を下さい。 面白く読んでたから残念だけどまた続き始まるのを楽しみにしてます ここまで面白かった
戻ってくるのを楽しみにしてます ペルソナの設定とかスーツ設定とかカッコよくて好きだから頑張ってくれー ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています