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穂乃果「1億2600万人」
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0001名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 21:26:47.61ID:885sBZfv
部室 冬

穂乃果「最近絵里ちゃん達も部室来なくなっちゃったね」

ことり「ラブライブも優勝出来たし、アイドルフェスティバルも終わったし……受験に専念するのが遅すぎたってにこちゃん愚痴ってたよ」

海未「浦の星や虹ヶ咲も三年はとっくに部活には来ていないみたいですし、仕方ないですよ」

海未「学校ではなく自宅で勉強しているみたいですし、次に会えるのは例のゲーム会場ですね」

穂乃果「ゲーム会場? 何それ、学校でゲーム大会でもやるの?」

ことり「ま、まさか穂乃果ちゃん知らないの!? あれだけニュースやってたのに!?」

穂乃果「ニュースあんまり見ないし……」
0002名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 21:33:51.12ID:885sBZfv
海未「今度、日本政府主導のゲーム大会が全国で行われるそうなんですよ」

穂乃果「政府って……デスゲームでもやるの?」

海未「漫画の読みすぎです! スマートフォンに入っている漫画アプリ、全部消しておきましょう」ポチポチ

穂乃果「あぁ! 酷いよ、頑張ってポイント貯めてたのにっ!」

ことり「流石にデスゲームじゃないと思うけど……私達もよく分からないんだよね」

海未「今の所発表されている内容も『国民全員に参加を義務付ける』『優勝者には賞金10億円』の二つだけですし」

穂乃果「しょ……賞金10億円!?」

穂乃果「それ絶対怪しいやつだよ!? 間違いなく殺し合いさせられるよ!」

穂乃果「海外のお金持ちがスポンサーについてるやつだよっ!」

海未「いやいや……政府主導ですよ? 流石にそんな日本を滅ぼすような真似はしないかと」
0003名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 21:40:53.18ID:885sBZfv
穂乃果「うーん……でも、何だか怖いんだよね」

ことり「そんなに心配なら、今日の夜だけはニュース見た方がいいよっ」

ことり「確か、今日の夜に総理大臣がゲーム内容発表するんじゃなかったかな?」

海未「そう聞いていますが……恐らく穂乃果が心配しているようなことは起こりませんよ」

穂乃果「私もそう思うけどさ……もしデスゲーム開幕なんて総理大臣が宣告したら、多分クーデター起こされて終わりだろうし」

海未「きっと新しい政策の一環とか、そういうのですよ。ほら、今は日本も……えっとゲームの……」

ことり「プロゲーマー?」

海未「そう、プロゲーマーの育成に力を入れていますし。きっとそういったものかと」

穂乃果「確かに……そう考えたら10億円でもおかしくないもんね。プロゲーマーとしての契約金みたいなもんなのかな?」

穂乃果「何だかそう考えたらワクワクしてきたよ! 優勝して10億円貰ったら何に使おうかなぁ」

海未「日本国民全員参加ですから、流石に優勝は厳しそうですね……」
0005名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 21:46:56.62ID:885sBZfv
穂乃果「わからないよ? 私達だって、何も知らないところからラブライブに優勝したんだし」

穂乃果「きっとまた優勝できるよ!」

海未「ふふっ、穂乃果は前向きですね」

ことり「穂乃果ちゃんがそう言うなら、ことりも優勝狙って頑張っちゃいます♪」

あはは……ははは……

ーーーー
ーーー
ーー

ガヤガヤ……ガヤガヤ……

穂乃果(ん……何……?)

穂乃果(人の声……? なんで私の部屋に、こんなに人が……?)

穂乃果「……」ガバッ

穂乃果「……っう。頭痛い……」

「ああ、目が覚めたか?」

穂乃果「へ? きゃっ、な、なんで男の人が……!?」

穂乃果「……あれ?」

穂乃果(ここ、私の部屋じゃない?)
0006名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 22:00:30.28ID:885sBZfv
穂乃果(広い……真っ白な部屋? 周りに人がいっぱいいる……百人くらいいそうだけど)

穂乃果「あ、あの……ここは?」

「いや、それが分からないんだ。僕も他の人達も、目を覚ましたらここにいて……」

穂乃果(何それ……もしかして、誘拐? けどこんなに大勢の人が……?)

穂乃果(周りも真っ白だしもしかして死後の世界とか……?)

「あれ? 君の顔、どこかで見たような……」

穂乃果(けど、周りの人も目の前の男の人も幽霊には見えないし……私にも足がちゃんとある)

穂乃果「私、スクールアイドルをやっているので、それで見たんだと思います」

「ああ、そうだ。μ'sだっけ? ニュースで見たよ、確か海外に呼ばれたとか秋葉原でお祭りやったとか、色々流れてた気がする」

穂乃果(スクールアイドルに興味ない人にも知られてるなんて、我ながら有名になったもんだなぁ……)タハハ

「そんな有名人と話せるなんて、よく分からない状況だけど不幸中の幸いかな、後でサインでも……」


『皆さん、お目覚めですかな?』
0007名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 22:08:14.53ID:885sBZfv
穂乃果「へ……!?」

穂乃果(不意に頭上から聞こえた声に、思わず顔を上に向ける)

穂乃果(白い部屋の天井付近に、一人の男が立っていた)

穂乃果(いや、立っていた……というよりは浮いていた。ぷかぷかと、そこに足場でもあるかのように何もない空間で静止している)

穂乃果「あ、あの人って……確か、総理大臣の」

『内閣総理大臣の天王寺と申します。皆さん、この度はゲームへのご参加誠にありがとうございます』

穂乃果(そうだ……やっぱり現総理大臣の天王寺公造だ。前にバラエティ番組で写真を見た覚えあったんだよね)

穂乃果(それに、ゲーム? やっぱりあのゲームって怪しいやつだったんだ……)

『それでは、ただ今から最初のゲームを説明……』

「おい、ふざけんな! なんで俺達をこんな場所に閉じ込めてんだ!」

「舐めてんじゃねえぞコラァ! 降りてきやがれ!」

穂乃果(続けて、何かを言おうとした総理の声を遮って怒号が飛ぶ。当たり前だ、こんな場所に急に連れてこられて怒らないはずが無い)
0009名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 22:17:53.74ID:885sBZfv
『説明をしますので、皆さんお静かに……』

「何が説明だ! ふざけんじゃねえよ!」

「これは明らかに我々の人権を無視しています! 今すぐに解放を要求……!」

穂乃果(私に声をかけてきた男性もその怒号に加わる。しかしある程度の理性は残っているのか、解放を要求します、と交渉じみたことを言おうとして)

ベ タ ン

「……じ?」

穂乃果(無くなった)

穂乃果(今まで話していた男性の顔が、腹が……身体の前半分が綺麗に無くなっている)

穂乃果(いや、無くなったんじゃない。いきなり、何かに叩きつぶされたように前半分が削げて、地面にこそげ落ちた肉塊が……)

穂乃果「ひっ……」

「きゃああああっ!!」

『……説明をよく聞かないからです。皆さんはもうゲームの中にいるのですから、この青年のようにならない為にもしっかりと聞いておいた方がよろしいと思いますが』
0011名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 22:30:04.77ID:885sBZfv
穂乃果(総理に向かって怒鳴りつけていた人達が皆シンと押し黙る。叫び声をあげている女性を、説明が聞こえないだろうと殴りつけている男が見えた)

穂乃果(けれど、誰もその男を止めようとはしなかった。説明を聞かなければマズいと、べたりと地面に倒れ込んだ身体の前半分がない男性を見て理解していたからだ)

『えー、実は皆さんが目覚めた時点で既にゲームは始まっています。まずは……二人一組を作ってください』

『3分以内に作れなかった方は彼と同じ末路を辿っていただきます』

穂乃果「二人一組……!?」

穂乃果(総理の言葉を聞き、周りが次々と二人一組を作っていく)

穂乃果(わ、私も早く誰かとペアを組まないと……!)

穂乃果「あ、あの! 私とペアになってください!」

「ごめんね、もうこの子と組んじゃってるの」

穂乃果「あの……私とペアになってください!」

「すまないが、既にペアなんだ……!」

穂乃果(起きたままの体勢で、しかもすぐ近くで男性が殺害されたことで腰が抜けていた私は明らかにスタートが遅かった)
0012名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 22:35:29.92ID:885sBZfv
穂乃果「やばい……やばい……!」

穂乃果(どんどん周りがペアを作っていく! 何分経ったの? 残りは何分!?)

穂乃果(頭が回らない。もしこのままペアを作れなければ……私もあの男性みたいに潰される!?)

穂乃果「嫌だよ、そんなの……! 誰か、誰かまだペアを組んでない人……!」

「穂乃果さんっ……!」

穂乃果「っ!?」

穂乃果「……ダイヤ、さん?」

ダイヤ「良かった……先程の男性が潰される際、穂乃果さんが近くにいるのに気付きまして」

ダイヤ「ペアを組もうとしたのに走り出してしまったものですから、焦りましたわ」

穂乃果「ダイヤさんもここに誘拐されてたんだ……」

穂乃果(彼女は黒澤ダイヤ。浦の星女学院の生徒会長で、私と同じスクールアイドルだ)

穂乃果(こんな状況の中、知った顔に出会えて少しホッとしている自分に笑ってしまった)
0014名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 22:46:19.98ID:885sBZfv
穂乃果「ペア……組んでくれる?」

ダイヤ「勿論ですわ! その為に追っていたんですから」

『3分が経過しました。現時点で組めていない方は……』

穂乃果(ホッとしたのもつかの間、総理の声が部屋の中に響く)

『そこの男性、一人だけのようですね。最初から誰にも声をかけていなかったようですが?』

「う……うるしゃい! ぼぼっ、ぼくは、部屋からでっ、出るのは20年ぶりなんでゃぁ! こここっ、たにっ、他人に声なんっ……かけれっるかぁ!」

『……なるほど、引きこもりというやつですか』

「ばば、バカにしやがって! ぼっ、ぼくはなぁ! ゆっ、夢があったんだぁっ! そっ、それを否定してっ、心を折ったのはっ、お前らじゃないかっ!」

『……バカになどしておりませんよ』

「え……?」

『引きこもりであろうが、外に出ていようが……貴方は私の大切な国民の一人です。私は全ての国民を平等に、愛しております。勿論、貴方のことも……息子のように愛しておりますよ』

「……そ、そんな、誰がそんな口車なんかに……」

べ た ん

穂乃果(少し照れたように引きこもりが頬をかいた瞬間、彼の身体はべたりと潰れ地面のシミとなった。今度は完全に潰されたようで、肉と臓器が絨毯のように地面に貼り付いている)

『ルールはルールなので。それに、最初に一人死んだ時点で誰か一人は死ぬことになっていたんですよ。この部屋には100人しかいませんので』

ダイヤ「……最低ですわ」

穂乃果「うん……あんな人だったんだ、総理って……」
0015名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 23:00:06.63ID:885sBZfv
『さて……ペアが決まったところで、皆さん部屋にお入りください!』

穂乃果「部屋? 壁には何もないしそんなもの、ここには……」

穂乃果(言って、気付く。壁に……先程までは無かったドアが出現していることに)

穂乃果(ご丁寧にそれぞれのドアの上には二人分の名前が掘られている。私のすぐ後ろの壁には『ほのか・だいやのおへや』と可愛らしい字が踊っていた)

穂乃果「何を、やらされるんだろうね……」

穂乃果「私も……死んじゃうのかな。あの人達みたいに……」

ダイヤ「……入りましょう。大丈夫ですわ、穂乃果さん。そんなに心配しなくても、貴女の事は私が守りますわ」

穂乃果「ダイヤさん……」

ダイヤ「そんな泣きそうな顔しないでくださいまし。どんなに恐ろしいゲームが待っていたとしても、私と穂乃果さんなら余裕ですわ!」

穂乃果「えへへ……そうだよね。二人で力を合わせて頑張ろうね!」
0016名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 23:05:15.53ID:885sBZfv
穂乃果(ドアの先は……先程の無機質な白い部屋とは打って変わって普通の部屋だった。丸いテーブルと、二つのソファ。テレビもあるし、ベッドまで置いてある)

穂乃果「ホテル……? みたいな感じだね」

ダイヤ「そうですわね。二人用のビジネスホテルといった感じですわ」

『それでは第一のゲームのルールを説明しましょう』

ダイヤ「おほっ!?」

穂乃果「そ、総理!? ……のミニチュア?」

穂乃果(小さい総理がテーブルの上で手を振り回している。人形……なのかな?)

『皆さんに最初に遊んでもらうゲームは……【NGゲーム】!』

穂乃果「NGゲーム?」

『ルールは簡単です。皆さんには先程ペアになった方と、一対一で会話をしてもらいます』

ダイヤ「会話する……ただそれだけですの?」

『勿論それだけではありません!』
0018名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 23:18:44.51ID:885sBZfv
『会話をする前に、両者ともに10のNGワードを設定してもらいます。一文字では駄目ですよ、ちゃんと言葉として意味を成す単語でお願いします』

『お互い設定したNGワードを相手に見せないようにして……会話開始! ……一応言っておきますが、10秒以上黙り込んだ場合は自動的に負けになりますのでお気をつけて』

『会話の中でもし相手のNGワードを口にしてしまった場合は……その時点で負けが確定します。その会話が終わった時点で、NGワードを口にした方はべたり! と潰されてしまいます』

『もし両者ともにNGワードを口にした場合は引き分けとなり、ゲームは仕切り直しとなります。……では、NGワードを設定してください!』

穂乃果「……」

ダイヤ「……」

穂乃果(お互い、一言も発することが出来なかった)

穂乃果(これは確実にどちらかが死ぬゲームだ。なんで予想できなかったんだ……あれだけデスゲーム漫画を読んでいたのに)

穂乃果(親しい人間とペアを組んだら、ペア同士で殺し合うゲームだった。よくある展開だったのに……ダイヤさんがいた嬉しさでそこまで考える事ができなかった)

ダイヤ「……穂乃果さん」

穂乃果「だ……大丈夫だよっ! きっと何か抜け道があるに決まってる! だから、お互い協力して……」

ダイヤ「……そう、ですわね。引き分けかNG無しか……とにかく会話を続けて、脱出方法を探しましょう」

ダイヤ「NGワードを設定しませんと……」

穂乃果(ダイヤさん、大丈夫かな。顔色がかなり悪いけど……)
0019名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 23:26:17.14ID:885sBZfv
穂乃果(……よし、と)

『脱出』『μ's』『ゲーム』『ルビィ』『沼津』『内浦』『浦の星』『ホテル』『ダイヤ』

穂乃果「引き分け狙いでいいんだよね?」

ダイヤ「ええ、勿論ですわ」

ダイヤ「お互い相手に教えることは禁止されていますけど、私も会話の中で確実に出そうな単語を選びましたから」

穂乃果「そっか……よしっ、NGワードを踏めるように頑張るよ!」

ダイヤ「ふふっ、何だかおかしいですわね。普通はNGを避けたくなるのに……お互い踏もうと頑張るなんて」

『10のNGワードを確認しました。それでは……会話、スタート!』

ダイヤ「さて、探しますわよ」

穂乃果「うんっ、会話中に動いちゃいけないとは言われてないもんねっ!」
0020名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 23:31:53.83ID:885sBZfv
書いてなかった。ゲームは5分で1サイクルです



ダイヤ「穂乃果さんは、どうですの?」ガサゴソ

穂乃果「へ? どうって……スクールアイドルのこと?」ガサゴソ

ダイヤ「受験ですわ」

穂乃果「受験かぁ……まだ来年のことだしなぁ。今の絵里ちゃんとか希ちゃんを見てると、自分が来年あんなに勉強するなんてっ! ってゾッとするよ」

ダイヤ「分かりますわ」

穂乃果「ダイヤさんはどうなの? 確か、東京の方に来るって言ってたよね? これからは電車を乗り継がなくても遊びやすくなるねって、ワクワクしてたんだ」

ダイヤ「私はもう受かりましたわ」

穂乃果「えっ!? もう受かったって……受験まだだよね? もしかして推薦!? 凄いねダイヤさん!」
0021名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 23:37:13.32ID:885sBZfv
『2分経過』

穂乃果「んー……ここから脱出する手がかりも中々見つからないね。ダイヤさんの方は何かあった?」

ダイヤ「私の方も、なにも」

穂乃果「そうだよね。まぁまだまだ時間はあるから大丈夫だよ。どうしよう? 二手に別れる?」

ダイヤ「それでは10秒る……っ」

ダイヤ「……」

穂乃果「ダイヤさん?」

ダイヤ「じゅ、10秒……を、超えると危ないですわ」

穂乃果「あはは……そうだよね!」

穂乃果「ところでさ、ダイヤさん。一つ聞いていい?」

ダイヤ「なんですの?」

穂乃果「なんで今、ルールって言わなかったの?」
0022名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 23:43:53.09ID:885sBZfv
ダイヤ「……」

穂乃果「……」

穂乃果「どうしたの、ダイヤさん。10秒経っちゃうよ?」

『3分経過』

ダイヤ「……ちょっとした言い方の違いですわ。別に他意があったわけではありません」

ダイヤ「ルール。言いましたわ、もしかして私がNGワードを踏まないようにしていると思ったんですの?」

ダイヤ「この腐っても黒澤家の者です。黒澤ダイヤという名に恥じない生き方をしていますわ」

穂乃果「……あははっ、そうだよね! 別にダイヤさんが裏切るなんて思ってないよ!」

穂乃果「ごめんね、ちょっと意地悪に聞こえちゃった?」

ダイヤ「大丈夫ですわ! 穂乃果さんがそんな風に思うなんて、此方も思っていません」

穂乃果「……じゃあ、探索に戻ろっか」

ダイヤ「……そう、ですわね」

穂乃果(……まさかとは思ってたんだよね。私の言葉に、最初から「かなり短い文章」でしか答えてなかったから)

穂乃果(しかもなるべく単語が入らないようにしてさ……)
0023名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/07(水) 23:55:57.34ID:885sBZfv
『5分経過しました。お互いNGワードを口にしている為、ゲームは仕切り直しになります』

『ゲームの再開は1時間後になります、ごゆっくり休憩してください』

穂乃果「1時間後……」

ダイヤ「これなら会話中に脱出の手がかりがないか探す必要もありませんですわね」

ダイヤ「今のうちに探してしまいましょう」

穂乃果「うん、そうだね……」

穂乃果(……ダイヤさん、私を殺す気なのかな)

穂乃果(脱出する方法が見つからなかったら、どちらかが死ぬまでやるしかない)

穂乃果(引き分けを続けて助けを待つって手もあるけど……)

『もしかして、引き分けを続けて助けを待とうなんて考えていませんか?』

穂乃果「!」

ダイヤ「……」

『無理ですね。この部屋の中は他の空間とは時間の流れが違うんです』

『貴女達が老人になるまで引き分け続けても、外では1秒も経ってはいません』

穂乃果(……そんな非現実的な。と言いたいところだけど)

穂乃果(男性達を潰した見えない何か……あれを考えると、私達の理解よりも裏では遥かに科学技術が進んでいる可能性がある)

穂乃果(もしかしたら精神と時の部屋のように時間の流れが違う空間を作ることも、可能なのかもしれない)

ダイヤ「……穂乃果さん」
0024名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:00:14.75ID:hQQrN0DF
穂乃果「どうしたの、ダイヤさん?」

穂乃果「もしかして脱出の手がかりを見つけ――」

ダイヤ「次のゲームで、死んでもらえませんか」

穂乃果「……」

穂乃果「な、何言ってるの? 死んで、とか怖い言葉が聞こえてきたような気がしたけど……気のせいだよね?」

ダイヤ「気のせいではありませんわ」

ダイヤ「私もそんなことはしたくありません。引き分け続けて助けを待つ手もあるかと思ったんですが……」

ダイヤ「それが不可能なら、私はどうしてもこの部屋を出なければならないんです。申し訳ありませんが、死んでもらいます」

穂乃果「……」

穂乃果「それは、ルビィちゃんの為?」
0025名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:06:31.42ID:hQQrN0DF
ダイヤ「……」

穂乃果「……私が知ってるダイヤさんは、他人を犠牲にして生き残ろうとする人じゃない」

穂乃果「ルビィちゃんのことが心配なんだよね?」

ダイヤ「……これは恐らく、政府が主導の『例のゲーム』ですわ」

ダイヤ「繰り返しニュースで見ましたもの。これは『国民全員』の参加が義務付けられている、と」

ダイヤ「ルビィも今頃こうして、私達と同じようにゲームをしている。そう思うだけで、もう、もう……心が張り裂けそうなくらい痛いんです」

穂乃果「ダイヤさん……」

ダイヤ「あの子は確かにスクールアイドルを始めて成長しました。けれど、まだまだ子供なんです」

ダイヤ「こんな殺し合いなんて……私が側にいてあげなければ、きっとすぐに死んでしまう……!」

穂乃果「……私を殺してでも?」

ダイヤ「……きっとこれから、ルビィを守る為にたくさんの人を殺すことになりますわ。だから……」

ダイヤ「もう、躊躇ってはいられないんですわ……」
0026名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:11:17.89ID:hQQrN0DF
穂乃果「そっか……」

穂乃果「うん、分かった。ダイヤさんの気持ちは分かったけど、私はまだ死にたくない」

ダイヤ「……」

穂乃果「正々堂々、殺し合おうよ」

ダイヤ「……穂乃果さんは優しいんですわね。このゲームはルール上、かなり引き分けに持ち込みやすいゲームですわ」

ダイヤ「永遠に引き分け続けることも出来ましたのに」

穂乃果「休憩1時間でしょ? そのうち眠くて眠くて死んじゃうよ!」

穂乃果「それにご飯も無いし……あーあ、これならおやつのほむまん食べとけばよかった」

ダイヤ「……っぷ。あはは……これから殺し合うのに、緊張感がないですね」

穂乃果「あっはは、お互い様だよ。どっちが勝っても恨みっこなしだよ?」

ダイヤ「分かってますわ。知略の限りを尽くして、NGワードを言わせてみせますわ!」

『1時間が経過しました。ゲームを再開します、NGワードを設定してください』
0027名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:17:08.31ID:hQQrN0DF
ダイヤ「さ……NGワードを設定しますわ」

穂乃果「うん……」

穂乃果(小さい総理がどこからともなく取り出した、10枚の小さな紙とボールペンを受け取る)

ダイヤ「……」

穂乃果(ダイヤさんの顔は真剣そのものだ。その頭の中でどんな考えが渦巻いているのか、私には想像もつかない)

穂乃果(どんなNGワードを出せば、私が引っかかるか)

穂乃果(どんな会話をすれば、NGワードを踏まずに済むのか)

穂乃果(ダイヤさんは、恐らく今現在この世で一番……私を理解しようとしている)

穂乃果(私の考えを理解しようと)

穂乃果(そんなもの、意味はないのに)

穂乃果「ねぇ、ダイヤさん」

ダイヤ「なんですの……?」

穂乃果(だから私は、そのお礼として。顔を上げた、どこか疲れたようなダイヤさんの)

穂乃果(眼球に思い切りボールペンを刺しこんだ)
0028名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:23:31.64ID:hQQrN0DF
穂乃果(ずぶりと、音を立てて)

ダイヤ「ぴ……」

穂乃果(ボールペンがダイヤさんの眼球の奥へ奥へと入り込んでいく)

ダイヤ「ピギャァアアアアアアッ!!」

穂乃果「あー動かないでよ、抜けちゃったじゃん」

穂乃果(ダイヤさんが大きく仰け反ったせいで、眼球に突き刺さったままのボールペンが眼球ごとずるりと取れた)

穂乃果(視神経をぶちぶちと千切り、眼球からボールペンを引き抜くとドボドボと水のようなものが溢れ出る)

穂乃果(前に授業で聞いてはいたけど、本当に中身液体なんだ。あんなに硬いのに)

ダイヤ「痛い……いだいぃ……!」

穂乃果「ダイヤさん、駄目だよ。ルールはちゃんと聞かなきゃ」

穂乃果「ちび総理の話したルールの中には、禁止事項が含まれてたけど……暴力禁止とは言ってなかったんだよね」
0029名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:31:17.66ID:hQQrN0DF
穂乃果「こんな引き分け続けそうなだらだらとしたゲーム、おかしいと思ったけど……最初から暴力で解決することを前提としてたんだよ、このゲーム」

ダイヤ「目が、私の目がぁ……」

穂乃果「……うん、やっぱりダイヤさんが勝ち抜かなくて正解だったよ」

穂乃果(うずくまり、震えるダイヤさんの首筋に私はボールペンを突き刺す。何度も、何度も……ダイヤさんが動かなくなるまで)

穂乃果「自分を殺しに来てる人間を前にして、がたがた震えてたら殺されて終わりだよ。せっかくボールペン持ってたんだから、ダイヤさんも刺しにきたらよかったのに」

穂乃果「大丈夫だよっ! ルビィちゃんは、私が代わりに守ってあげるから! 敵対しない限りは、どんな敵からも守ってあげるからね」

穂乃果(……もう、聞こえてないだろうけど)

穂乃果「……で、どうなのちび総理。相手死んじゃったけど」

『ちび総理とは失礼な……しかし、おめでとうございます。貴女は第一のゲームに勝利しました』

『どうぞ、あちらのドアから外に出てください』

穂乃果「……」

ダイヤ「……」

穂乃果「……ごめんね、ダイヤさん」

穂乃果「私も死にたくなかったんだ。それにね」

穂乃果「……漫画読んでる時からずーっと思ってたの」

穂乃果「デスゲームに参加してみたい、って」
0030名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:37:45.57ID:hQQrN0DF
穂乃果(ドアを開ける。目の前にはあの真っ白な部屋が……)

穂乃果(無かった。ここはどこかの庭だろうか、200mほど先に大きなお屋敷が見える。広大な花壇には薔薇が咲き乱れ、場違いなほどいいニオイが辺りを包み込んでいた)

穂乃果「……」

ルビィ「穂乃果さん!」ドンッ

穂乃果「げふぅ!?」

穂乃果「る、ルビィちゃん!? 何処から……!?」

ルビィ「ど、ドアを開けたらすぐ近くに穂乃果さんが見えて……よかったぁ」

ルビィ「知ってる人に会えて……うぅ……」シクシク

穂乃果「……」

ルビィ「と、ところで穂乃果さん……服に血が……」

穂乃果「ああ、これ……前のゲームでちょっとさ。色々あって……」
0031名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:45:11.15ID:hQQrN0DF
ルビィ「そ、そうだ! お姉ちゃんを見ませんでしたか?」

穂乃果「ダイヤさんを?」

ルビィ「ルビィと一緒の部屋にはいなくて……今頃お姉ちゃん、心配してるんじゃないかなって」

穂乃果「……」

穂乃果「見たよ、ダイヤさん。私と一緒に白い部屋に誘拐されてた」

ルビィ「ほ、本当ですか!」

穂乃果「うん……けどね、お互い別の人とペアを組んじゃって」

穂乃果「別れ際に、ルビィにあったらよろしくお願いしますって言われたよ。待ってたら、きっとここに出てくるんじゃないかな?」

ルビィ「お姉ちゃん……自分の命が危ない時でも心配性なんだから、もう!」

穂乃果「そういえばルビィちゃんのところはゲームなんだったの?」

穂乃果「私のところはNGゲームっていう、NGワードを避けながら会話するゲームだったけど」

ルビィ「ルビィのところも同じゲームです。ペアになった相手が男の人で……怖かったけど頑張りました」
0032名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/08(木) 00:49:02.71ID:hQQrN0DF
穂乃果「へぇ……じゃあ、相手にNGワード踏ませたんだ」

ルビィ「ううん、説得したの」

穂乃果「説得……?」

ルビィ「ルビィはどうしても生き残りたくて、お姉ちゃんに会いたいって……お願いですから負けてください、って」

ルビィ「引き分けの度にお願いし続けたの。大変だったぁ……」

穂乃果「それで、相手が根負けして負けてくれたんだね。中々凄い人もいるもんだね」

ルビィ「ううん、その人は自殺しちゃったの」

ルビィ「自分の耳の穴にボールペンを突き刺して、おかしくなっちゃったんです」

穂乃果「……」

ルビィ「……」

穂乃果(……別に守らなくても生き残りそうな気がするなぁ、ルビィちゃん)
0035名無しで叶える物語(SB-Android)
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2021/07/08(木) 12:18:05.45ID:OTJu1yi5
2億5200万の瞳
0038名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/07/08(木) 13:35:59.75ID:x7GL7X1Z
このルビィちゃん絶対強キャラだろ
人が死んでも動揺してないし死んでくださいってお願いしてるし
0041名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 00:45:03.17ID:tFRgAOkd
ーーーーーー
ーーーー
ーー

「おっ……どこだ、ここ?」

「やったわ……あはは……殺してやった、殺してやった……あはは……」

「許してくれ……やめてくれ、どこかにいってくれよ……お前はもう死んだのに、なんで話しかけてくるんだ……」

「どこもかしこも、獣ばかりだ……貴様もどうせ、そうなるのだろう?」

ルビィ「……お姉ちゃん、出てこないですね」

穂乃果「うーん……そうだね。もしかしたら他にもゲーム会場があって、そっちに行ってるとか?」

ルビィ「……」

ルビィ「そう、なのかな。もしかしたら……お姉ちゃん、負けちゃったのかも……」

穂乃果「……それは違うよ!」

穂乃果「ダイヤさんがルビィちゃんを置いて死ぬわけないじゃん! きっと、別のゲームに参加してるだけだよ!」

ルビィ「穂乃果さん……」
0042名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 00:55:32.58ID:tFRgAOkd
穂乃果「ね……信じようよ。次のゲームか、その次かは分からないけど……きっとダイヤさんにはまた会える」

穂乃果「今は、ゲームを生き残ることだけ考えようよ。私がルビィちゃんのこと、守るから」

ルビィ「……そう、ですね。そうですよね!」パシッ

ルビィ「こんな泣きそうな顔してちゃお姉ちゃんにまだ子供だって笑われちゃうもん! 次のゲームも頑張ルビィ!」

穂乃果「あはは、いつものルビィちゃんだ。どんなゲームか分からないけど、一緒に頑張ろうね!」

穂乃果(……まぁ、ダイヤさん私が殺したんだけどね)

穂乃果(いつか気付かれるにしても、今は信用してもらっておこう。私も……もう、あんな思いしたくないし。ダイヤさんもルビィちゃんも、好きだもん……)

ルビィ「この庭には何も無いみたいですし、お屋敷の方に行きましょうか」

穂乃果「うんっ、そうだね! 皆もお屋敷に向かってるし!」
0043名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 01:06:33.81ID:tFRgAOkd
穂乃果(薔薇の香る庭を抜け、まっすぐに進む)

穂乃果(とぼとぼと歩いていく人達の流れに沿って、ゆっくりと、ゆっくりとお屋敷に近付いていく)

穂乃果(近付くにつれ、そのお屋敷が私の想定よりも巨大なものだと分かった。窓から察するに6階建て……ビルの横幅を無理やり広げたような奇妙な建物だ)

穂乃果「随分と立派だけど……」

ルビィ「古めかしいというか、廃墟みたい……」

穂乃果「壁にヒビ入ってるし、ツタも巻き付いてるし……薔薇園はあんなに綺麗に手入れされてたのに」

『あー、あー……マイクテス、マイクテス』

穂乃果(ふと、声が聞こえた。拡声器を通したような、不自然な声……)

穂乃果「……? あれ、この声……どこかで聞いたことが」

穂乃果「ある、よう……な……?」

ルビィ「ほ、穂乃果さん……あ、あの人って……」

穂乃果(ルビィちゃんが震える声で、空中を指差す。つられてそちらへと視線を向けて)

穂乃果(身体が、固まった)

しずく『問題なし……さっさと集まりやがれテメェらァ! ああ……悲しいよ、こんなにも呼んでいるのに……』

穂乃果「虹ヶ咲の……しずく、ちゃん……?」
0045名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 01:18:37.92ID:tFRgAOkd
穂乃果(私と同じスクールアイドル……桜坂しずくちゃんが、空の上で何やら怒鳴り散らしている)

穂乃果(その隣には……)

エマ『駄目だよしずくちゃん、皆が焦って怪我しちゃったら大変だよ』

穂乃果(同じように浮いている、エマ・ヴェルデさん……彼女もまた、しずくちゃんと同じ虹ヶ咲のスクールアイドルだ)

穂乃果「な、なんであの二人が……」

ルビィ「一体どういうこと……?」

穂乃果(皆がお屋敷前の、グラウンドのように広い敷地に集まると同時に二人は空中から私達の前に降り立つ)

しずく「あー、あー……聞こえてるよね?」

しずく「皆さん、第一のゲームクリアおめでとうございます! 私もゲーム内容は知っています……きっと、大変な苦悩があったに違いありません」

しずく「まァ、あぁんな簡単なゲームクリア出来ない雑魚は死んで当然っつー感じだァけどォ?」

しずく「そ……それでも勝ち上がってきた皆の熱い思い……か"ん"と"う"し"た"よ"ぉぉぉ!」

「な……なんだあいつ? 話し方がどんどん変わって……」

「あれって……確か桜坂しずくじゃないか? 演劇界の鬼才って呼ばれてるスクールアイドルの……」

しずく「……というわけで、第二ゲームのゲームマスターを務める『千の仮面を持つ例外(イレギュラー)』桜坂しずくと申します。以後お見知りおきを」

穂乃果「ゲーム、マスター……?」
0046名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 01:27:10.96ID:tFRgAOkd
エマ「あはは……皆ごめんね? しずくちゃん、常に演技をしてなきゃ気がすまない人なんだ」

しずく「人を変人みたいに言わないでください。エマさんよりはマシです」

エマ「ええっ……私はおかしい人じゃないよ!?」

「な……なんだこいつら……? 政府側の人間なのか?」

「なぁ、こいつら殺しちまえばゲームなんかやらなくてすむんじゃ……」

エマ「もう、しずくちゃんったら」バァンッ

穂乃果(何でもない風に)

穂乃果(当たり前のように、エマさんは懐からおもちゃのような拳銃を取り出し、ぼそぼそとクーデターじみた話をしていた男達目掛けて……弾丸を放った)

「……」

「……あ?」ドロォッ

穂乃果(悲鳴が上がった。鋭い悲鳴が……エマさんの目の前にいた男性の身体が、弾丸に当たった場所からドロドロと溶けていく)

「た、助け……」

穂乃果「ひいっ……!」

しずく「ほら、やっぱり。今の撃たなくてもよかったのに、なんで撃ったんですか?」

エマ「えっ……うーん、だってあの人達、私達を殺そうとしてたんだよ? 酷いよねぇ、そんなことしようとするなんて」
0047名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 01:38:21.77ID:tFRgAOkd
しずく「私達は『いじってある』んですから、プレイヤーに殺されることはありませんよ? 聞いたじゃないですか」

エマ「あはは……そうだったね。だってね、あの人達隙だらけだったんだよ? いつでも殺せそうだったんだよ?」

エマ「それに、この武器触るの初めてだし……私、飛び道具は苦手だから。使用感確かめておきたくって」

しずく「もう、プレイヤーを必要以上に減らすと怒られちゃいますからね?」

エマ「気を付けるよ。……私もしずくちゃんと同じ、第二ゲームのゲームマスターのエマ・ヴェルデだよ。確か璃奈ちゃんは……『悪意無き例外(イレギュラー)』とか言ってた気がする」

エマ「あんまり隙を見せないでね。殺せそうだと思っちゃうから」

穂乃果「しずくちゃん……エマさん……?」

しずく「……あれっ、穂乃果さんとルビィさん?」

エマ「二人ともうちの受け持ちだったんだ。何だか恥ずかしいところ見られちゃったね」

しずく「あゆぴょんになった歩夢さんに比べればあんなくらい平気ですよ」

ルビィ「な、なんでこんな酷いゲームに協力してるんですか!? そ、それにエマさん……人を、殺して……!」

しずく「……」

エマ「えっと……積もる話は後にして、第二ゲームをそろそろ始めようよ。二人が生き残ったらその辺の理由、話してあげるから」
0048名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 01:47:21.83ID:tFRgAOkd
穂乃果「……」

穂乃果(今の短いやりとりでも、分かったことは少しだけある)

穂乃果(璃奈ちゃん、歩夢ちゃんの名前がそれぞれ出てきたということは……虹ヶ咲はこのゲームの運営側に関わっている?)

穂乃果(勿論、四人だけがゲームに関わっているだけという可能性はあるけれど、それよりは虹ヶ咲のスクールアイドル全員が敵側にいると考えた方が自然かもしれない)

ルビィ「穂乃果さん……? 説明、始まりますよ。ちゃんと聞かないと……」

穂乃果「ああ、ごめん……そうだよね」

穂乃果(まぁ、いいや。もし虹ヶ咲が私の敵になったのなら……)

穂乃果(殺すだけだから)

エマ「さてさて、第二ゲームなんだけど……皆安心してもいいよ! 今度のゲームは殺し合いなんかじゃないの、皆で生き残る方法があるゲームだから!」

「殺し合いじゃない……?」

「も、もう人を殺さないでいいの……?」

しずく「そうさっ! 皆で笑って生還できる素敵なゲーム……あぁ、鬱になってきた、生まれてきてごめんなさい……」

エマ「第二ゲームはその名も……『マナーゲーム』!」
0049名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 01:58:21.20ID:tFRgAOkd
しずく「ゲームの内容はこうです。第一のゲームで疲労した皆さんに英気を養ってもらう為に、この屋敷の主人……『マザー・ハウス』が皆さんをこの屋敷にご招待したんです」

しずく「素敵なマザーはとってもお金持ち。このお屋敷にあるフカフカのベッドも、大量のごちそうも、温泉のように広いお風呂も皆様の為に用意しました。どうぞ、ご自由に使い、食べ、疲労を回復してください」

「……ほ、本当に休めるのか?」

「食事……そういえば、攫われてからなんにも食べてないもんな」

「うちなんか25回も引き分けたからまる一日以上食べてないし寝れてない……お風呂も入りたいなぁ」

エマ「本当に休んで大丈夫だよ。だって皆は招待客だもん、楽しまなきゃ損ってもんだよ」

エマ「……ただ、ひとつだけ守ってほしいことがあってね」

しずく「マザーはさ……マナーを守らない奴がだぁぁいっ嫌いなんだよォォォ! マナーに違反した奴は……マザーがオシオキしにやってくるぜぇ!」

穂乃果「オシオキ……?」

ルビィ「……た、多分このゲームのことだから……死ぬやつだと思う……」

しずく「ちなみに、第二ゲームのクリアー条件は……」

「クリアー条件は……?」

「なんなんだよ……?」

エマ「……秘密でーすっ!」

穂乃果「……はぁ?」
0050名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 02:04:53.11ID:tFRgAOkd
しずく「この屋敷のどこかにクリアー条件の書いた紙があるので、まずはそれを探してください」

しずく「もし探しても探しても見つからなかったら……マナーに違反しないようにこの屋敷で暮せばいいんじゃないですかね? 食べ物も寝るところもありますし」

エマ「大丈夫だよ、何年かかっても。この空間は時間の流れが違うから、クリアーしたら他のゲームが終わったタイミングで出してあげるよ」

ルビィ「ということは……もし3年間このお屋敷にいたら」

ダイヤ『ぴぎゃー、るびぃほねぇちゃー、どこですのぉ』

ルビィ『やれやれ、全くダイヤは子供だなぁ……ルビィお姉ちゃんがいないと何も出来ないんだから』

ルビィ「ちょ、ちょっといいかも……」

穂乃果「ルビィちゃん?」

ルビィ「ピギャッ!? な、なんでもないです……」


エマ「それじゃあ早速……第2ゲーム【マナーゲーム】の」

しずく「始まりですっ!」カァンッ
0051名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 02:14:22.26ID:tFRgAOkd
穂乃果「……始まっちゃったね、どうしよっか」

ルビィ「えっと、まずは……ルビィ、ご飯食べたいです」

穂乃果「いいねっ! 私もちょうどお腹空いてたんだ、マナーは怖いけど他の人を見ながら食べればいいし」

穂乃果「ちょっとくらい休憩してもいいよね」

穂乃果(私は軽く考えていた。マナーゲームの指すマナーの意味を)

穂乃果(テーブルマナーを守ればいい、それくらいの優しいゲームだと)

穂乃果(その考えは、次の瞬間粉々に打ち砕かれた)

ぐ ち ゃ り

穂乃果「え……?」

ルビィ「へ……?」

穂乃果(背後で肉の潰れるような音が聞こえた。間の抜けた声を出しながら、私は振り向く)

「……が、あが……」

マザー「……」

穂乃果「……っ!」

穂乃果(身長2mほどだろうか、巨大な女が……ゲーム参加者の男性を長い腕で叩き潰しているのが見えた)

「な……なんで、こ、こいつ……何もしてないのに……!」

穂乃果(潰れた男性の隣にいた中年の男が、へたり込み震えながら言う。女の動きが止まり、冷たい目が地面の染みとなった肉塊から中年男へと向けられた)

マザー「彼はポケットに手を入れました。マナー違反です」
0052名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 02:20:48.99ID:tFRgAOkd
「ぽ、ポケットに手を……?」

マザー「ポケットに手を入れるのはマナー違反です」

穂乃果(言い終わると同時に、女は中年男を叩き潰す。飛び出た目玉が虚しく地面を転がる)

マザー「地面に座り込むのはマナー違反です」

穂乃果(これがマザー? けど、ポケットに手を入れたり地面に座るのがマナー違反って……もしかして、マザーの中ではマナーがかなり厳しいんじゃ……)

穂乃果「……ルビィちゃん、やっぱり食事は無しにしよう」

穂乃果「このゲーム……想像以上にヤバい。早くクリアしないと……」

「ひいっ、やめっ、俺は何も……がばぁっ!」ベタァ

マザー「目やにのついた顔で人前に出るのはマナー違反です」グニャ

マザー「貴方は鼻毛が出ていますね、マナー違反です」グチィ

マザー「私を見て悲鳴を上げましたね、人に対して悲鳴とは失礼な……マナー違反です」ベトォン

穂乃果「全員生還どころか、全滅するっ……!」
0053名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 02:29:21.52ID:tFRgAOkd
ルビィ「ぜ、全滅……!?」

穂乃果「今の見たでしょ? 無茶苦茶だよ……最早マナーどころか難癖といっていいものまであった」

穂乃果(放心しているルビィちゃんを引き摺るようにして、無理やり屋敷の中に連れ込む。外ではまだマザーが猛威を振るっている、何があるか分からないとはいえ屋敷の中の方がまだマシだ)

穂乃果「屋敷の前に集まっていたのは数百人……今の一瞬だけで5人近くやられてる! 何がいつまでも生活を、だよ……今日1日生き残るかも怪しいじゃん!」

ルビィ「は……早くクリアー条件を見つけないと……!」タッ

穂乃果「待って!」

ルビィ「ぴぎっ!?」

穂乃果「ルビィちゃん……絶対走らないで。マザーがこっちを見てる」

マザー「……」

ルビィ「な、なんで……」

穂乃果「多分、マザーの決めたマナーに【廊下を走ってはいけない】ってのがあるんだと思う」

穂乃果「学校みたいな話だけど……もし廊下を走ったら、殺されるかもしれない」

ルビィ「そ、そんなことで……殺されるなんて……」

穂乃果「……歩こう。マナー違反にならないように、意識しながら」

穂乃果「幸いマザーの決めてるマナーは子供によく聞かせる『これこれこうしましょう』の範囲みたいだし、意識すれば回避できる……筈だよ」

ルビィ「うゆゆ……」
0054名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 02:33:37.73ID:tFRgAOkd
ーーーー
ーーー
ーー

廊下

穂乃果「……広い!」

ルビィ「さっきからもう10分も歩き続けてるのに、まだ廊下があるの……?」

穂乃果「部屋もいっぱいあるし、これ本当に探しきれるの……?」

穂乃果「それにもしマナーに『人の部屋に入っちゃいけない』ってのがあったらと思うと怖くて入れないし!」

ルビィ「マザーは……遠すぎて米粒みたいになってる」

マザー「……」

ルビィ「まだ外にいるみたいだけど、何してるんだろ?」

穂乃果「どうかしたの?」

ルビィ「よく見えないけど……凄い勢いでくるくる回ってる?」

穂乃果「えっ……何それ?」
0055名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 02:47:47.61ID:tFRgAOkd
穂乃果「あ……本当だ、くるくる回ってる。何してるんだろ」

「あ、おいあんたら! 部屋の中を探してくれ!」ダダダッ

穂乃果「え……な、なんでお兄さん廊下走ってるんですか!? マナー違反でやられたら……!」

「マナー違反は大丈夫だ! マザーに見られていないとマナー違反は発生しない、田舎の信号無視みたいなもんだよ!」

穂乃果「そ、そうなんですか?」

ルビィ「しゅごい……そこまでもう判明してるんだ」

「今はあいつらがマザーを封じてくれてる! 今のうちにそこらの部屋という部屋探しまくってクリアー条件を見つけないと……!」

穂乃果「あいつら……?」

「シカバネ兄弟だよ!」

穂乃果(シカバネ兄弟……確か聞いた覚えがある。イタズラ系ユーチューバーの二人組だっけ。自宅を巨大水槽にして父親泣かせてみた、って動画が炎上してた気がするよ)

「彼らがマザーを中心に少し離れて正反対の方向に立って、マナー違反を連続し続けてるんだ。次々マナー違反が上書きされるもんだから、マザーはどちらから叩けばいいか分からず回ってるんだよ」

ルビィ「す、凄い……あの一瞬で、マザーを封じ込める策を思い付いたなんて」

穂乃果「それなら、気にせず部屋の中を調べられるね!」

「あぁ! 俺は、まだこれを知らない人達に知らせてくる! この辺の捜索は頼んだっ!」ダダダッ

穂乃果(凄い……皆順応してきてる。目の前で人が殺されてるのに、対抗策を思い付いたシカバネ兄弟って人達も、今の男の人も……)

穂乃果(……あぁ、なんだろう。マザーが封じ込められて、私達は勝てそうで……)

穂乃果(……すっごく、つまんない)

穂乃果「えっ……?」

ルビィ「穂乃果さん?」

穂乃果「う、ううん。何でもない! この部屋から調べよっかなー、あはは……」ガチャッ

穂乃果(つまんない? いやいや、おかしいよね。死ぬ心配がなくなったんだよ? 勝てそうなんだよ? 喜ばしいんだよ?)

穂乃果(なんで、つまんないなんて思ったんだろ……)
0056名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 02:54:33.07ID:tFRgAOkd


マザー「マナー違反で……マナー違反で……マナー違反で……」クルクル

「おらっ、マザー見やがれ! 鼻ちょうちんだ!」

マザー「鼻ちょうちんを出すのはマナー違反で……」

「おいマザー! 俺は地面にツバ吐いてやったぜ!」

マザー「地面にツバを吐くのはマナー違反で……」

「マザー! こっちは……」




エマ「……うーん」

しずく「どうしよう。これ完全に璃奈さんの調整不足ですよね」

エマ「しずくちゃん、素が出てるよ」

しずく「あっ……ククク、璃奈の野郎どう落とし前つけてくれんだ?」

エマ「まぁまぁ……仮に璃奈ちゃんがミスをしたんだとしても、それを挽回する為に私達ゲームマスターがいるんだから」

エマ「そうだなぁ……本当はもっとゲームが進んでからの予定だったけど、そろそろやっちゃおっか」

しずく「無理ゲーになっちゃったねえ。あのマザーをからかってる馬鹿二人のせいで……フフフ」
0057名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 03:01:33.84ID:tFRgAOkd
マザー「マナー違反……マナー違反……マナー……」

「おいおい、どうしたマザー! こっちは次は……」

マザー「……」

「……マザーが止まった?」

「なんだよ、ひょっとして壊れちまったのか?」

「やりぃ! 俺達シカバネ兄弟の勝利じゃん! 次の動画はこれで決まりだな弟っ!」

「そうだな兄貴、動画タイトルは『マザーにマナー違反を繰り返した結果www』で……べっ」ドグチャッ

「……おい、なんだよそれ。なんで……マザーが二人……がぼっ!?」ベチャアッ

マザー「……」

マザー2「……」

マザー3「……」



エマ「マザーはね、3人いるんだよ。言ってなかったっけ? あぁ、言ってなかったね」

エマ「それに……あれもいっとこうか」ピッピッ

しずく「あれも? エマさん、それはかなり性格が悪いような……」

エマ「いいのいいの。どうせ皆死んじゃうんだから」ピッピッ

しずく「まぁそれもそうですね。早く全滅してくれた方が私達も休憩増えますし」
0058名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 03:08:06.55ID:tFRgAOkd
屋敷

穂乃果「うーん……何も無いなぁ」

ルビィ「このベッドふかふかだぁ……お日様の匂いがするよぉ」

穂乃果「もー、ルビィちゃんもちゃんと探してよ」

穂乃果「……といいつつ、身体がベッドに惹かれちゃう」ドサッ

穂乃果「わぁ! すっごいふかふかだよっ!」

ルビィ「ですよね、ふぁ……ルビィ、何だか眠くなってきちゃった」

穂乃果「ルビィちゃんは第一のゲームで、説得できるまで引き分け続けてたんだっけ?」

ルビィ「はい……5ゲームくらいかな。5時間も知らない人といたから緊張しちゃって、今になって眠気が……ふぁぁ」

穂乃果「うーん……どうしよう。ちょっとだけ寝ちゃう?」

ルビィ「で、でも……他の人が探してるのにルビィだけ……」

穂乃果「このゲームは体力も必要になりそうだしさ、眠れる時に寝といた方がいいかもしれないよ。マザーも足止めされてるし……」

ルビィ「う、うん……じゃあ、少しだけ……」

ルビィ「……」スヤスヤ

穂乃果「は、早い……」
0059名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 03:15:16.16ID:tFRgAOkd
ルビィ「……」スヤスヤ

穂乃果「……」

穂乃果(可愛い寝顔。ここにダイヤさんがいたら、可愛さの余り失神してたんじゃないかな)

穂乃果(……守ってあげなきゃなぁ。ルビィちゃん)


マザー「……」

穂乃果「……っ!?」

穂乃果(マザー!? なんで……足止めは!?)

穂乃果(いやっ、それよりも……ルビィちゃん! 靴は脱いでるけど……シャワーも浴びてない、制服のままでベッドで寝てる!)

穂乃果(これは……間違いなく『マナー違反』だ。まずい……このままじゃ、ルビィちゃんが……)

マザー「……制服のまま、ベッドに寝ている」

マザー「マナー違反です」グォッ

穂乃果「だ、駄目……待ってくださいっ!」

マザー「……」ピタッ

穂乃果(……マザーの手が、止まった?)

穂乃果(ぎりぎりと音を立てて首が此方を向き、冷たい視線が私を射抜く。待ってくださいと言ったものの……まさか本当に止まるとは思わなかった)
0060名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/09(金) 03:27:08.79ID:tFRgAOkd
マザー「……」

穂乃果(けどこれはチャンスだよ! 何か……何か言わないと!)

穂乃果「そ……そこに寝ている黒澤ルビィちゃんは、具合が悪いみたいで……」

穂乃果「失礼とは思いましたが、着替えさせる間もなくベッドに寝かせたんです。お、お許しください……」

マザー「……」

穂乃果(何だこの言い訳……そもそも言い訳が通るの?)

穂乃果(マザーはマナー違反を取り締まるだけ。もし理由問わず、マナー違反者を潰しているだけならこんなことを言っても意味が……)

マザー「そうでしたか。後で薬を飲ませてあげてください」

マザー「引き出しに入っていますから」スタスタ

穂乃果「……」

穂乃果「と……通った。そっか、マナー違反でも理由を付けることが出来ればマナー違反じゃなくなるんだ……」

穂乃果「理由付けが出来る違反でよかったぁ……」

ピッ

穂乃果「……ん?」

穂乃果(ポケットの中で振動……? スマートフォン? 確か取り上げられてると思ったけど……)ヒョイッ

穂乃果(何この端末……スマートフォンじゃない。それに、これって……)


 密告したい人の名前【】
 マナー違反の内容【】
 あなたの現在の密告ポイント【0】
 密告ポイントが10になれば、あなたはこのゲームをクリアできます』

穂乃果(……これって)

穂乃果(他人のマナー違反をマザーに報告して、ポイントを貰ってクリアする抜け道……?)

穂乃果「……なるほどね」

穂乃果「中々最悪なこと考えるじゃん、エマさん、しずくちゃん」

穂乃果(これでマナー違反をする際に気にするのはマザーの視線だけじゃなくなった)

穂乃果(この屋敷にいる自分以外のプレイヤー全てが……)

穂乃果(敵だ)
0062名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/07/09(金) 09:27:16.84ID:5zYZ9UoU
この穂乃果わりとサイコな考えしてるしルビィのことちゃんと守ってくれるかと思ってたけど
ここで切り捨てられるのは避けられないな
0068名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 20:02:52.18ID:8jSuVmRj
ーーーーー
ーーー


3時間後

穂乃果(さっきの走ってたお兄さんが引き返してきて教えてくれた、マザーが三人に増えたって……それにこの密告システム)

【密告ポイントが10になれば、あなたはこのゲームをクリアできます】

穂乃果(あなたは、なんだよね)

穂乃果(このゲームに参加している人数は、屋敷の前に集まった数から考えても多くて500人程度……この抜け道でクリア出来るのは最大でも50人。もう死んだ人も多いからもっと少ないかもしれないけど)

穂乃果(密告ポイントが9になった人間を密告して殺す、最悪の密告スパイラルに陥ったら……誰も勝ち上がれない可能性があるね)ヘッ

穂乃果(現状はまだ全員での生き残りを目指そうとしてる人が多いかもしれないけど……)

穂乃果「クリアー条件の書いた紙が見つからなかったら、きっと全員密告勝ち抜けに切り替える」

穂乃果「その前に何としてでも見つけなきゃ……!」

穂乃果(密告者からルビィちゃんを守りきれないかもしれないし……)
0069名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 20:09:09.73ID:8jSuVmRj
ルビィ「んぅ……」

ルビィ「……あれ? ここ、どこ……?」

穂乃果「あ、起きた? ぐっすり眠ってたね」

ルビィ「ふぁ……なんで穂乃果さんがルビィの部屋……」

ルビィ「ぴぎゃっ!? す、すいません……寝ぼけてました!」

穂乃果「大丈夫だよ! 私も最初のゲームが始まる前に、寝ぼけて自分の部屋だと勘違いしたもん」

ルビィ「ルビィ、何時間くらい寝てました?」

穂乃果「3時間くらい……? とりあえずまずは、今のゲームの状況を説明するね」


…………………………………


ルビィ「ま……マザーが3人!?」

ルビィ「それに密告って……それじゃあ穂乃果さん以外誰も信じられないよぉ……」

穂乃果「うん……特に問題なのは、まだクリアー条件が影も形も分からないこと」

穂乃果「もしかしたらもう誰か見つけてるのかもしれないけど、それならさっきから走り回ってたお兄さんが教えに来てくれそうだし」
0071名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 20:16:28.92ID:8jSuVmRj
ルビィ「け、けど……もしかしたらあのお兄さんも密告側に回ったんじゃ……」

穂乃果「密告システムが出来てからも、マザーが増えたこと教えに来てくれてたからそれは……」

穂乃果(ない、とは言い切れないけど)

ルビィ「うゆゆ……」プルプルビィ

穂乃果(こんなに震えてる子に、そんな残酷なこと言うのも何だか気の毒だよ……疑心暗鬼に陥って私も信用してくれなくなったら困るし)

穂乃果「大丈夫だと思うよ。あのお兄さんはマナー違反を指摘される密告システムの中でも、私達が増えたマザーに襲われてないか気にして走ってきてくれた」

穂乃果「それに……マザーにやられちゃったみたいだけど、自分が殺されるかもしれない中マナー違反を繰り返した「シカバネ兄弟」達も、皆の為に命を懸けてくれたんだよ」

穂乃果「きっと悪い人達じゃないよ。第一ゲームを勝ち上がってきてるとはいえ、皆が皆人殺しをどうとも思ってない連中ばかりじゃない!」

ルビィ「……穂乃果しゃん」

穂乃果(私は自分が死ぬくらいなら殺すけど、どうとも思ってないわけじゃないしセーフだよね?)

穂乃果「行こっか。信用出来る人と、クリアー条件を探しに」

ルビィ「分かりました……ルビィも、信じてみる……」
0072名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 20:25:58.10ID:8jSuVmRj
穂乃果(……と、意気揚々と部屋から出たはいいけど)

ルビィ「……」

穂乃果「……これ、さっきのお兄さんだよね」

ルビィ「カーペットみたいになってる……」

穂乃果(部屋を出てすぐのところで、床に叩きつけられてトラの毛皮のようになっている男性を見つけた)

穂乃果(潰れていてよく分からないけれど、廊下の端に転がったひしゃげた赤い眼鏡は、あの走っている男性が付けていたものだ)

ルビィ「それにこれ、って……この、背中に浮かんでる文字って、そういうことなんだよね……?」

穂乃果「【私はマナー違反を密告されました】……」

穂乃果「誰かがたちの悪いイタズラをしたんじゃなければ」

穂乃果「密告されてマザーに殺された人間はこういう文字が浮かび上がるのかな……?」

ルビィ「も……もう、密告が始まってる……?」

ルビィ「やだ……やだよ、ルビィ密告されたくない……潰されたくないよぉ……!」

穂乃果「……」
0073名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 20:34:12.76ID:8jSuVmRj
穂乃果「……まずいかも」

ルビィ「え……?」

穂乃果「あ……ううん、なんでもないよっ!」

穂乃果(いや……まずいんだよ。この人は明らかに『全員で勝ち上がる』為に動いていた)

穂乃果(ただマナー違反でマザーに潰されてたんならまだ良かったけど、この背中の文字を信じるなら彼は密告で殺されてる)

穂乃果(全員で勝ち上がろうとする……むしろ生き残って欲しい人間を密告して殺した。それはつまり、全員勝ち抜けを捨てている人間の手によるものだ)

穂乃果(明日になってクリアー条件が分からなければ、そうなる人間も出てくると思ってたけど……あんまりに早すぎる! まだ始まって3時間だよ!?)

穂乃果「ルビィちゃん、これからはこれまで以上にマナーに気を付けて」

穂乃果「マザーの思っているマナーは「子供に言い聞かせる」程度のもの。そんなに難しいものじゃない筈だから」

ルビィ「……はい」
0074名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 20:45:14.08ID:8jSuVmRj
ーーーー
ーー


2階

「こんにちは!」ニコッ

穂乃果「こんにちは!」ニコッ

ルビィ「こ……こんにちは」

「どう? そっちは何か見つかった?」

穂乃果「1階の客室は大体見て回りましたけど、何も……クローゼットにパジャマが入っていますから、部屋で寝る時はマザーに「お先に休ませていただきます」って伝えてからそれに着替えて寝るといいですよ」

「そいつは良い情報だね……じゃあこっちも。この先に食堂があるんだ、テーブルマナーはそこまで細かく問われないけど、とにかく食材と料理人に感謝して食べた方がいい。仮に嫌いな物を口にしても、飲み込んだ後に美味しいって言いなよ」

穂乃果(密告システムが出来てから、この屋敷は模範人間の集まりになった)

穂乃果(誰かとすれ違えば挨拶する。『人と会ったら挨拶する』のはマナーだからだ)

穂乃果(猫背も許されない。『背筋を伸ばして歩く』のはマナーだから)

穂乃果(そして、有益な情報を持っていたら共有する。といってもクリアに関連したことは誰も持っていない、屋敷で過ごすのに必要な情報を交換するんだ)

穂乃果「……今の人、行った?」

ルビィ「うん……」

穂乃果「そっちは、ってことは2階も駄目みたいだね……どうしよう、次は3階に行く? それとも6階から攻めてみる?」
0076名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 20:56:03.97ID:8jSuVmRj
ルビィ「スマホの屋敷脱出ゲームアプリしゃんなら、こういうのは大体一番上にあるけど……」

穂乃果「あはは、脱出ゲームって……これは」

穂乃果「……?」

穂乃果(……いや、これゲームじゃん。目の前で人が殺されたり、殺したりしてるからゲームだって言いつつゲームの印象が無かった)

穂乃果(もしこれが、本当に運営側の言う通りゲームなら……)

穂乃果「ルビィちゃん」

ルビィ「や、やっぱり脱出ゲームなんて言うのは不謹慎でした……?」

穂乃果「マザー探そう。今すぐ」

ルビィ「……?」

ルビィ「えっ……ええっ!?」
0077名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 21:01:14.88ID:8jSuVmRj
穂乃果「……」テクテク

ルビィ「な、なんでマザーを……? あんな背が高くて怖いのに……もし機嫌損ねたら殺されちゃうよぉ!」

穂乃果「ううん、マナー違反をしなければマザーは何もしてこない」

穂乃果「それに……」

マザー『そうでしたか、では薬を飲ませてあげてください』

穂乃果「ある程度、マナー違反を見逃すこともあるし」

ルビィ「け、けどなんでわざわざマザーを探すの……? クリアー条件を探すんじゃなかったんですか?」

穂乃果「ルビィちゃんのおかげだよ」

ルビィ「ルビィの?」

穂乃果「だってこれはゲームなんだよ? ゲームマスターがいて、プレイヤーがいて……ルールに縛られながら屋敷の中を探索するゲーム」

穂乃果「当然……」

マザー「……」トスットスッ

ルビィ「ま、マザー……!」
0078名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 21:08:28.61ID:8jSuVmRj
穂乃果「ルビィちゃん、一応先に言っとくけど……」

穂乃果「もし死んだら、ごめん」

ルビィ「死っ……えっ……!?」

穂乃果「マザー! この度はお招きいただきありがとうございます!」

マザー「……いえいえ、気にしないでください」

穂乃果「一つお願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」

ルビィ「……!?」

マザー「なんでしょう……?」

穂乃果(これがゲームなら当然……)

穂乃果「このお屋敷はとても大きく、立派な作りをしています。しかしどこにどういった部屋があるのか、頭の悪い私では覚えきれず……申し訳ありませんが、屋敷の地図などあればいただけないでしょうか?」

ルビィ「!!?!!?!?」
0079名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 21:13:42.87ID:8jSuVmRj
マザー「……」

穂乃果「……」ゴクッ

マザー「構いませんよ」ゴソゴソ

マザー「この図面に1階から6階まで全ての部屋が載っています。どうぞ……」スッ

穂乃果「あ、ありがとうございます!」

穂乃果(当然……ヒントがある筈だから!)

マザー「いいえ、確かにこの屋敷は広い……」

マザー「だから、私の子供も……」

マザー「……」タッタッタッ

穂乃果「あ、あれ……? 誰かが密告されたのかな……?」

ルビィ「ほ……穂乃果さーんっ!」ドグォンッ

穂乃果「ごべるへぁ!?」ボグォォッ

ルビィ「な……なんであんな危ないことするんですかぁ……!」

穂乃果「ごめんごめん……けど、やったよ」

穂乃果「この屋敷の地図……これがあれば何かが……!」

穂乃果「……」

ルビィ「……」

穂乃果「日本語じゃないよこれ……部屋の名前読めない……」
0080名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 21:23:45.13ID:8jSuVmRj
穂乃果「なんで日本国民しか参加してないゲームで、日本語以外出してくるの……!?」

穂乃果「何語か分からないけどとにかく読める人探して……あぁもう!」

ルビィ「……穂乃果さん」

ルビィ「ルビィには読めるけど……ひょっとして別の文字に見えてる?」

穂乃果「へ……!?」

ルビィ「ここからまっすぐ行ったここがキッチンで、3階には図書室があるみたい。1階は私達が向かったのと反対側に温泉浴場が……」

穂乃果「いやいや、なんでこんなの読めるの? ミミズがのたくったような文字なのに!」

ルビィ「ふ……普通に日本語だよぉ!」

穂乃果「……」

穂乃果「……多分、なんだけど。地図を貰った人間には文字が読めなくて、それ以外の人には読めるってシステムなんだと思う……」

穂乃果「密告、裏切り推奨のシステムで協力ゲー必須……すっごいねこのゲーム。悪意しかないよ……」

ルビィ「あはは……あっ!」

ルビィ「ほ、穂乃果さん……ここ! マザーの私室って……!」

穂乃果「……! 本当!?」

穂乃果(マザーの部屋……何かありそうな気がするね)
0081名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 21:32:50.85ID:8jSuVmRj
5階 マザーの部屋前

穂乃果「……」

ルビィ「……」

穂乃果「酷いね、これは……」

穂乃果(マザーの私室は5階に上がる階段からすぐのところにあった。確かにありはしたんだけど……)

ルビィ「何人潰されてるの……?」

穂乃果(階段を上がってすぐに気付く、異常なまでに赤い廊下と場違いに広がる平べったい肌色。そしてその全ての背中に浮いた密告済の文字)

穂乃果(幾人もの人間が、マザーの部屋の前で潰れていた)

穂乃果「なにこれ……?」

穂乃果「それに密告死した死体ばかり……ルビィちゃん、一旦離れよう。ここまずいよ」


「そうはいかないなぁ」ガシッ

穂乃果(……っ!? 男の人……ニヤニヤした笑いを浮かべてる!)

穂乃果「だ……誰!?」

「この部屋、マザーの部屋なんだってね。頭の回るプレイヤー達が、地図を頼りに何かヒントが無いか探しに来てるんだよねぇ」

「だからねぇ、僕が密告してあげてるんだよねぇ。人の部屋に勝手に入ってるってさぁぁ……」

穂乃果「貴方が……この人達を密告したの!?」

ルビィ「そんな……なんでそんなことするの!? ここにクリアー条件があるかもしれないのに!」
0082名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 21:41:23.58ID:8jSuVmRj
「うふふ……そんな不確かなことに、命を懸けられないよぉ。僕はねぇ、密告で1抜けするんだよぉ」

「ほらぁ……見てよこれ、今の密告ポイントはねぇ、8だぁ……! 君達二人を密告すればさぁ、僕はさぁ、ゲームクリアーなんだよぉ!」

穂乃果「密告……出来るわけないじゃん、私達は部屋に入らない」

ルビィ「マナー違反もおかしてないもん!」

「マナー違反? 今からするでしょぉ?」

穂乃果(言って、男は私とルビィちゃんの手を掴んだまま……)

穂乃果「……っ!?」

ルビィ「ま……待って……!?」

穂乃果(ずんずんと、部屋の扉に向かって歩いていく。まさか、この男は……)

「今から君たちをねぇ、部屋に放り込んで密告してあげるからねぇ。僕の為に死ねるんだから、君たち幸せ者だねぇ」

穂乃果「なっ……!」

穂乃果(武器……この男を殺せそうなもの! 手の届く範囲には無い……せめてボールペン持ってきておけばよかった!)

穂乃果「やめろっ! このぉっ!」ボコォッ

「効かないよぉ。僕、身体鍛えてるから。一応言っておくけど泣き落としも駄目だし色仕掛けも効かないからね。僕の生命の方が大事だもん」

穂乃果(まずいまずいまずい! 目潰し……届かない! 金的も体制が悪すぎる……! 噛みつき!? 振り払われた衝撃で部屋の中に放り込まれたら……!)

穂乃果(くそぉっ……!)




ルビィ「あの……お願いがあるんです」
0083名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 21:51:31.05ID:8jSuVmRj
「んんー? なんだい、悪いけどねぇ、見逃してくれってお願いなら……」

穂乃果(ルビィちゃん? 何か策が……………っ!?)ゾクッ

ルビィ「あの……会ったばかりの人にこんなこと言うのも変なんですけど」

穂乃果(なんて……冷たくて、恐ろしい顔……! これがあのルビィちゃん……!?)

ルビィ「ルビィの為に、死んでくれませんか?」

「はぁ? 何を言って……」

ルビィ「ルビィはお姉ちゃんに会わなきゃいけないんです。だから、このゲームに勝たなきゃいけない……だから、ルビィの為に死んでください」

「はっはっは……なんで僕がそんなことぉ……」

「……あ?」

穂乃果(不意に、男の動きが止まった。ルビィちゃんを見つめる彼の顔がどんどんとひきつっていくのが見える)

「お前っ……なんっ……なんで……!」

「やめろ……違う、そんなことを言わないでくれ……僕はっ、僕はただ……違う、お前を裏切ったわけじゃないんだぁ!」

「ひいっ……!!」ダダダッ

穂乃果「おわっ!?」

穂乃果(ほ、放り出された……けど、なんなのあの表情。それに、今の言葉……)

ルビィ「……」ピッピッ

穂乃果「ルビィちゃん……!?」

「くそっ、くそぉっ! 僕は死なない……死んでたまる」

マザー「……」

「がぁっ!?」ベゴリォ

穂乃果(階段を登ってきたマザーに……潰された。けど)

穂乃果(あの背中……!)

【私はマナー違反を密告されました】
0084名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 21:58:40.20ID:8jSuVmRj
ルビィ「あはっ……」

穂乃果「ルビィ、ちゃん……?」

ルビィ「あはははははははははっ!」

ルビィ「残念だよねぇ……8ポイントも稼いだのに。もうすぐクリアーだったのに」

ルビィ「あっ、1ポイント増えてる。やったぁ! 後9ポイントで勝ち抜けだよぉ!」

穂乃果「ルビィちゃんっ!」ガッ

穂乃果「どうしたの? なんで急に……!?」

ルビィ「……あれ、穂乃果さん?」

ルビィ「あぁ、そうだ。穂乃果さんも勝たないと、一緒に勝たないと……」

ルビィ「穂乃果しゃん……怖かったよぉ……!」ギュッ

穂乃果「……」

穂乃果(なんなの、これ……今はいつも通りのルビィちゃんだけど)

穂乃果(さっきのは一体……?)
0085名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 22:01:12.09ID:8jSuVmRj
ーーーー
ーーー


しずく「あっ!」

エマ「どうしたの、しずくちゃん?」

しずく「見てくださいエマさん、これ、これ!」

しずく「ルビィちゃん、」
0086名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/10(土) 22:07:31.07ID:8jSuVmRj
>>85ミス


ーーーー
ーーー


しずく「あっ!」

エマ「どうしたの、しずくちゃん?」

しずく「この映像見てくださいエマさん、これ、これ!」

しずく「ルビィちゃん、やっぱりこっち側ですよ!」

エマ「んー……」

ルビィ『ルビィの為に、死んでください』

『お前っ……なんで……!』

エマ「ああ、本当だ。ルビィちゃんが引いたんだ、運がいいなぁ」

エマ「じゃあルビィちゃんはこのゲーム、勝ち抜け確定かな?」

しずく「穂乃果さんは……まだよく分かりませんね。こっち側かどうか」

エマ「璃奈ちゃんは……確か、μ'sとAqoursに3人ずつ与えたんだっけ? 知った顔だからってサービスで。誰が引いたかは分からないけど……二人も同じゲームにいるっていうのは、流石に確率が低いんじゃないかな」

しずく「そうですよね……けど、そうですか。ルビィさんも……」

しずく「私達と同じ例外(イレギュラー)なんですね」

エマ「しずくちゃん、また素が出てるよ。演技演技」

しずく「えっ、あっ……我は素など出さぬ」

エマ「あっはは……」
0088名無しで叶える物語(光)
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2021/07/11(日) 09:30:58.67ID:9iiTsBXM
江ノ島盾子もびっこり
0089名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 16:48:38.37ID:VWNiNnu2
ーーーー
ーー


穂乃果「落ち着いた?」

ルビィ「うゆ……ごめんなさい、ルビィびっくりしてて……」

穂乃果「びっくりどころの騒ぎじゃなかったような気がするけど」

穂乃果(ルビィちゃん、第一ゲームでも相手を自殺させたって言ってたもんね)

穂乃果(けど……私の知ってるルビィちゃんはあんな冷たい表情をする子じゃない)

穂乃果(……それを言ったら、私もどうなんだろう。私はダイヤさんを殺した。眼球を刺して、首を刺して……)

穂乃果(ダイヤさんも私を殺そうとした。……なんだかおかしくない?)

穂乃果(普通はもっと躊躇ったり、泣き叫んだり暴れたり……このゲームでもそうだよ。目の前で人が死んでるのに、私もルビィちゃんも、それに他の参加者も……ほとんど動揺してない)

穂乃果「……自分が自分じゃないみたい」

ルビィ「? 穂乃果さんは穂乃果さんだと思います」

穂乃果「あはは……そうだよね」

穂乃果「ルビィちゃん、どうするの? このまま密告を続けてクリアする? もしそうなら私も付き合うけど」

ルビィ「んー……プレイヤーの残り人数が分からないし、もし穂乃果さんが死んじゃったら嫌だから……ルビィも皆でクリアする方法を探したい、です」

穂乃果「そっか。じゃあ……」

穂乃果「入ろっか。マザーの部屋」
0091名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 16:54:44.87ID:VWNiNnu2
ルビィ「ええっ!? だ、だって入ったら……」チラッ

「……」ペタコーン

ルビィ「潰されちゃうよぉ!? 皆ぺったんこになってるもん」

マザー「……」

ルビィ「それにマザーもこっちガン見してるよ……? 入らないかそわそわしてる……」

穂乃果「大丈夫だよ、ルビィちゃん……ちょっと私の手元隠してもらっていい?」

穂乃果「マザーに見えないように」

ルビィ「へ……? は、はい」スッ

穂乃果(密告装置……これを開けっ放しになってるドアへ、っと)ポイッ

ルビィ「ぴぎゃっ!?」

マザー「……ポイ捨ては」ガシャンガシャン

穂乃果「……」

マザー「マナー違反です!」ブォンッ

穂乃果「すいません、誤って大事なものを落としてしまいました」

穂乃果「部屋の中に取りに行ってもいいですか?」

マザー「……」

マザー「どうぞ」ガシャンガシャン

穂乃果「ありがとうございます、マザー!」

穂乃果「……ルビィちゃん、うっかり物を落とすのはマナー違反じゃないんだよ」

ルビィ「うう……心臓が止まるかと思った……」
0092名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 17:06:21.96ID:VWNiNnu2
穂乃果「このマナーゲームは、マナーに違反しないゲームじゃなくてマナー違反を屁理屈で突破するゲームだったのかもしれないね」

ルビィ「屁理屈で?」

穂乃果「多分……元ネタみたいなのがあるんじゃないかな。ボードゲームとかにありそうじゃない? マナー違反を咎められたら、屁理屈で回避していくゲームとか」

ルビィ「ありそう……けど、ポケットに手を入れたり鼻毛とかは……」

穂乃果「私の生まれ故郷では目上の人の前ではこうするのが礼儀です、って言ったら多分一回は見逃してもらえるんじゃないかな。それで次にマザーに会うまでに直しておく」

穂乃果「……実際はそこまで単純な話じゃないんだろうけど」ガサゴソ

穂乃果「んー……マザーの部屋、客室とほとんど変わらないね。ベッドの下も机の上にも何も置かれてないし」

ルビィ「何かヒントになりそうなものくらい、あっても良さそうなのに」ガサゴソ

ルビィ「あっ……穂乃果さん、クローゼットの奥に本が入ってました!」

穂乃果「本当!? ……かなりボロボロだね、なんだろ」

穂乃果「ぢ……ぢあるい?」

ルビィ「穂乃果しゃん……Diaryはダイアリーって読むんですよ。日記って意味です」

穂乃果「し、知ってるよ? だいありくらい、私高校2年生だし生徒会長もやってるんだよ? それくらい読めるに決まってるじゃん!」

ルビィ「しゅ、しゅごい早口……」
0093名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 17:20:02.44ID:VWNiNnu2
穂乃果「こほん……えっと、これはマザーの日記なのかな」

穂乃果「中も英語だったらどうしよう……私、ハローしか読めないよ」

ルビィ「日記でハローから入る人、二重人格以外いないと思います……もし英語だったら、英検準二級持ってるからルビィが読みます」

穂乃果「英検準二級でネイティブの日記読むの辛くない?」

穂乃果「……と、その前に。ドア閉めておこっか」パタン

穂乃果「他人の日記を読んでいます、って密告されたりマザーに見つかったら言い訳難しそうだし」

ルビィ「ええと……あっ、日本語だ。穂乃果さんでも大丈夫です!」

穂乃果「……うん。私でも大丈夫だね、うん……」

ルビィ「なんて悲しそうな顔を……」

穂乃果「ええと……一番最初のページは」

『1968年3月6日 今まで生きてきて今日ほど嬉しい日はない! 母なる神に感謝いたします。私の可愛いシンディ、生まれてきてくれてありがとう』

穂乃果「子供が生まれたみたいだね……それを記念に書き始めたのかな」

穂乃果「2ページ目は……っと、随分と日付が飛んでる」

『1973年5月14日 あんな子、産まなければよかった。言っても言っても、何も聞きやしない。顔は泥だらけ、料理はぐしゃぐしゃ、洗濯物は脱ぎ散らかす。もう5歳なのに、何一つ言いつけを守れない。今もシンディが癇癪を起こして泣いている』

ルビィ「うゆ……酷い」

穂乃果「5歳の子に言いつけを全部守れって言っても、中々難しいよね。幼稚園児に分別を付けろって言っても無理だよ」
0094名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 17:41:31.90ID:VWNiNnu2
『1976年(かすれていて読めない) あの人が帰ってこない。シンディを連れてどこにいったの?』

『1976年8月(読めない) 私が間違っているの? なんで、あんな娼婦の女と逃げたの? 私のシンディを返して』

『1976年8月27日 あの人を見つけた。薄汚い商売女と暮らす彼は、私に『マナーを守れとうるさい、子供を虐待するな』だって。私は虐待なんてしていない。あの人は娼婦に頭をやられてしまったのだ。事実、あの人の脳みそはスカスカだった。娼婦は死ぬ間際まで私を口汚く罵っていた。マナーが悪い。とても大変だったけれど、ようやくシンディが私の元に帰ってきた』

穂乃果「……これは」

ルビィ「マザーは子供を虐待してて、旦那さんに逃げられた……怒ったマザーは旦那さんと相手の女の人を殺しちゃったんだね」

ルビィ「シンディちゃんが可哀想だよ……」

穂乃果「うん……」ペラリ

『1976年9月10日 シンディが怯えている。私は貴女があの腐りきった父親のようにならない為に、マナーを教えているのに。背ばかり伸びて何も出来ない』

『1978年3月6日 今日はシンディの10歳の誕生日、盛大にお祝いしてあげようと思ったのに。あの子は、家族絵をベッドの下に隠していた。1972年に街の油絵描きに描かせたものだ。あの薄汚い男も入っている、絵を! 叩き壊して、シンディには部屋から出ないよう言いつけた』

穂乃果「思い出を叩き壊すなんて、マザーの方がマナー違反だよ!」

『1981年8月27日 シンディはついに分かってくれた。私が正しかったと認めてくれたの! 大切なことを教えてくれたママにプレゼントがある、って……何かしら。とても楽しみだわ。早く学校から帰ってこないかしら』

穂乃果(……今のところ何も手がかりがないよ。もしかして、それっぽいだけで意味のないアイテムなのかな、これ)ペラリ

穂乃果「……っ!?」

ルビィ「ひっ!?」

『(日付なし) ママは大切なことを教えてくれた。マナーを守らない奴はこの世にいちゃいけない。ママはマナーを守らなかった。ママはマナーを守らなかった。ママの大切にしていた日記は私が貰う。パパが死んだ時のお金はまだまだある、ママが死んだからもっとお金が貰える』

穂乃果(叩きつけられたようにぐちゃぐちゃな、赤黒い文字が紙の上を踊っている。文字が明らかに違う……これは、書いている人間がシンディに変わったの?)
0095名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 17:52:54.31ID:VWNiNnu2
『私は孤児として、親戚の家に引き取られることになった。ハウス家なんていたかな。聞いたことがない。とても大きいお屋敷に住んでいるらしい』

『ハウス家の人達は皆マナー違反をおかしました』

『私がこの屋敷の主になりました。誰もこの家には近寄りません』

『身体がどんどん伸びていくのが分かります。ハウス家の人達は、私を見て新しい実験動物だと言っていました。最初に打たれた注射、あれはなんだったんでしょうか。皆死んでしまったので分かりません』

『家の中を私じゃない私が歩いています。声をかけても返事はありません。屋敷にこっそり入ってきた少年達を叩き潰しているのが見えました。勝手に家に入るのはマナー違反なので当然です』

『6階に飾ってある家族の絵を毎日見ています。そうしないと自分が誰だか分からなくなります。相変わらず私以外の私が屋敷を歩き回っています』

穂乃果「……ここから先は、読めないね。文字が文字になってない」

ルビィ「し……シンディがマザーなの!?」

穂乃果「うん、孤児になってハウス家に引き取られたシンディが……人体実験をされて異常な姿になった結果ああなったみたいだね」

穂乃果「私以外が歩いてるって言うのも……クローン技術でも研究してたのかな。マザーが3人いる理由なんだと思う……」

ルビィ「……なんだか、可哀想だよ」

ルビィ「母親が父親を殺して、虐待されて……しかも人体実験なんて。シンディは普通の子だったのに……」

穂乃果「……6階に行こう」

穂乃果「そこで、家族の絵を探そう。そこに何かある気がする」
0096名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 18:21:35.66ID:VWNiNnu2
6階

「これ、やっぱり怪しいよな」

穂乃果(6階への階段を上がり、少し歩くと壁際に1枚の絵画が飾られているのが見えた)

穂乃果(その前では同年代くらいの少年が、難しそうな顔をして腕組みしジッと絵画を睨みつけていた)

穂乃果(髪型が坊主なので、多分野球部だろう)

「少し前に見つけて……後ろにも何も貼ってないし、これ自体に何かヒントがあるのかと思ったんだけど」

穂乃果「多分そうだと思うよ。ほら、これ……」

「これは……ぢあるい!?」

穂乃果「ダイアリーだよ。日記って言うの」

ルビィ「な、なんで皆ダイアリーが読めないの……? 高校生だよね……!?」

「……」ペラリペラリ

「このシンディって奴が、マザーの正体なのか。日記の中で6階にある絵って名指ししてるし……」

穂乃果「何かあるかと思って私達も来たんだよ」

穂乃果(絵画はどこにでもあるような、家族の姿を描いたものだった。椅子に座っている母親らしき人と、その膝に座る幼い少女)

穂乃果(椅子の後ろには父親らしき男性が座っている、どこにでもあるような油絵……)

穂乃果(父親と母親の顔が、真っ黒に塗りつぶされていること以外は)
0097名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 18:30:50.03ID:VWNiNnu2
ルビィ「けど……何処にも何も無かったんですよね? これじゃ……」

「いや、この日記見て分かったことがある。試してみたいけど……」キョロキョロ

「よし、マザーはいないな。この絵は母親に叩き壊されたんだよな……つまり」ヒョイッ

ば き ぃ っ !

穂乃果「うわっ!?」

「叩き壊せばいい。えっと……おっ、あったあった。絵と額縁の間に……ほらっ!」

ルビィ「折りたたまれた紙……ま、まさかこれって!」

「クリアー条件の書いた紙だろうな。っと、先にここ離れようぜ」

「マザーに見つかったら面倒だし……言い訳が可能なルールはもう知ってるけど、絵を壊す理由なんて思い付かねぇよ」

穂乃果「うん、じゃあ……」

ダダダダダッ

マザー3「……」

穂乃果「ま……マザー!? なんでこんなピンポイントに……」

ルビィ「こっち目掛けてきたってことは……密告されたの!?」

「はぁ!? 誰にだよ、ここ俺達以外いねぇじゃねえか!」

マザー3「……」

「と……とにかく、言い訳を……すいませんマザー、僕は」

マザー3「……」グオッ

「えっ……べぎゃぉ!?」ボギャッ

穂乃果「……!?」

穂乃果(な……なんで? 今までマザーは言い訳を始めたら、とりあえず聞こうと止まってたのに……!?)

穂乃果(それにマナー違反とも言ってない……!? なんで……!?)

ルビィ「あ、あわわ……」

穂乃果「……っ!」
0098名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 18:46:48.49ID:VWNiNnu2
マザー3「……」

マザー3「……」プイッ

穂乃果「はぁー……はぁー……」ドキドキ

穂乃果「た……助かった」

ルビィ「お兄さん……潰れちゃった」

【私はマナー違反を密告されました】

穂乃果「ルビィちゃんじゃないんだよね……?」

ルビィ「る、ルビィは違うよ! ほら!」

現在の密告ポイント【1】

穂乃果「5階で密告した男の人の分だけ、だね……じゃあなんで? 何処から……?」

ルビィ「わ、分からないよぉ……」

穂乃果「私でもないよ……さっきの人の名前も知らないし」

ルビィ「そ、それはルビィも知らないけど……この機械、相手に向けると」ピッピッ

密告したい人の名前【高坂穂乃果】

ルビィ「こうやって名前が出るんです、知らなかったんですか?」

穂乃果「えっ……知らなかった。なんでルビィちゃんそんなこと知ってたの……?」

ルビィ「ヘルプが下の方にありますよ……? 5階でどうやって密告したと思ってたんですか……?」

ルビィ「一応、3m先くらいまでなら名前が届くみたいです」

穂乃果「……ってことは」

穂乃果「密告した人は、少なくとも装置を向けられる範囲……この近くにいるってことだよね」

穂乃果(けど……何処にも見えないよ、そんな人)

穂乃果(近くの部屋? 階段から? ……もしくは)

穂乃果(隠れて密告して、10ptに届いてクリアしたからこの場から消えたとか……?)

穂乃果「気に入らない……」

穂乃果「皆で勝ち上がろうとしてる人を密告して……一緒に勝ち上がればいいのに……」

ルビィ「酷いよ……こんなの」

穂乃果(紙は潰れた肉塊から少し離れた場所にあった。きっと潰される寸前に投げたのだろう)

穂乃果(血に濡れて読めなくなるのを阻止する為に……)
0099名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 19:00:07.14ID:VWNiNnu2
穂乃果(ゆっくりと、紙を開く)

穂乃果「……」

ルビィ「な、何が書いてあったの? まさかクリアー条件じゃない……?」

穂乃果「ううん、クリアー条件だよ」

穂乃果「やっぱり私達の考えは間違ってなかった、けど……」

ルビィ「……? ルビィにも見せ……」

ルビィ「えっ……?」

『第2ゲーム【マナーゲーム】 クリアー条件:マザーの死亡。マザーが死亡した時点で生存していた全プレイヤーがクリアとなる』

ルビィ「これって……」

穂乃果「あはは……あはははっ! ふざけてる……!」

穂乃果「マザーは3人もいる……しかも一体一体が人を簡単に潰せる腕力を持ってる! それを殺せって?」

穂乃果「駄目……これは他のプレイヤーには見せられない。全員クリアを目指してたプレイヤーも、これを見たら密告に切り替えて……」




しずく「とか浅ェこと思ってンだろうなァ」ポチポチッ




ルビィ「……!」

ルビィ「穂乃果さん……これ、密告装置」

穂乃果「密告装置……? えっ……!?」

【おめでとうございます! クリアー条件が判明しました!】
【クリアー条件は、マザーの死亡です。皆様頑張ってマザーを倒してください!】

穂乃果「っ……!」
0100名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/11(日) 22:10:47.46ID:VWNiNnu2
ルビィ「ど、どうしよう穂乃果ちゃん……」

穂乃果「……きっと、マザーを無力化する方法があるんだと思う」

穂乃果「ゲームだから勝ち筋は残ってる筈……なんだけど」

穂乃果(現時点でそんなものは見つかっていないし、マザーの恐ろしさは皆がその身を持って体験している)

穂乃果(自分から向かっていこうとは思わないだろう)

穂乃果「……」ウーン

穂乃果「多分、この文章書いたのってしずくちゃんとエマさんだよね?」

ルビィ「へっ?」

穂乃果「この、密告装置の文章……」

ルビィ「えっと……ゲームマスターって言ってたから、そうだと思います」

穂乃果「となると、二人は私達がこれを手に入れたことを何処かで見てる……」

穂乃果「オッケー、確信は持てないけどマザーを少なくとも2体無力化する方法は思い付いた」

ルビィ「えっ!? ほ、本当ですか!?」

穂乃果「後1体は真正面から叩かなきゃいけないけどね」
0104名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 03:30:10.27ID:CJYV58p9
ルビィ「正面から……!? あ、あんなのと戦ったらルビィ、トラックに轢かれたカエルさんになっちゃう……!」

穂乃果「私も多分そうなると思う。マザーの叩き潰しは相当早いし、相手を上から殴ってぺちゃんこにするなんてどんな腕力か分からないくらいだよ……。真正面から戦ったらまず勝てない」

穂乃果「けどさ、あの日記を信じるならマザーは元人間なんだよね? 耐久力の方は腕力ほど驚異的なものじゃない可能性もあるよ」

ルビィ「倒しなさい、って課題が出てるんだから倒せないようにはなってない筈ですけど……」

ルビィ「それでも、もしマザーに何かしてマザーが倒れなかったら……マナー違反で叩き潰されちゃう」

穂乃果「そうだよね……そこなんだよ。ねぇ、ルビィちゃん。一つだけ聞いてもいい?」

ルビィ「な、なんですか?」

穂乃果「私が人をいっぱい殺しても、ルビィちゃんは友達でいてくれる?」

ルビィ「ええっ!? いっぱい!?」

ルビィ「ルビィも……もう人を殺しちゃったから、穂乃果さんが人を殺してもルビィには責める資格なんてないです……」

穂乃果「私も第1ゲームで殺しちゃったしね……なるべく誰も殺したくはなかったんだけど、他に方法も思いつかないもん」

穂乃果「きっとゲーム的にはマザーの弱点があったり、マザーに凄く効く武器があったりするんだろうけど……話を聞いてくれないマザーが出てきた時点で、そんなの探してる暇はなくなったしね」

ルビィ「きっと探索中にマナー違反をしなきゃいけないところがあるでしょうし……」

穂乃果「うん……ゲームマスターをしてる二人には悪いけど」

穂乃果「とりあえずこのゲーム、ブッ壊しちゃおう」
0105名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 03:42:11.00ID:CJYV58p9
ルビィ「ゲームをブッ壊す……ルビィは何をしたらいいの?」

穂乃果「そうだね、まずは……」

穂乃果「他のプレイヤーにお願い、してもらおうかな」

ーーーーー
ーーー
ーー


穂乃果「……」テクテク

ルビィ「……」テクテク

ルビィ「そ……それで、どういう方法を取るんですか?」

ルビィ「言われた通り、食堂にいたプレイヤーさんに『お願い』して包丁を手に入れましたけど……」

穂乃果(ルビィちゃんのお願い……5階で見た時にもしかして、と思ったけど)

穂乃果(彼女のお願いには他者を自殺に追い込む効果がある。信じられない話だけど、現にこの目で見たのだから仕方ない)

穂乃果(その効果で、食堂にいるプレイヤーを厨房に突っ込ませ包丁を奪わせ、自殺成功を見届けると同時にプレイヤーから包丁を抜き取る)

穂乃果(……冷静に考えると滅茶苦茶恐ろしいね、この能力!?)

穂乃果(ゲームが始まる前にしずくちゃんが『いじってある』みたいなことを言ってた気がするけど……もしかしたら私達も、ゲームに適応するように何かしら変な力でも授かってるのかな)

穂乃果(私も力、あるのかな。とってもカッコいいやつだったらどうしよう……)

穂乃果『黒キ太陽ニ染マレ……』

ルビィ『て、敵が黒い太陽に飲み込まれ爆発四散してる! 穂乃果しゃん、しゅごい!』

穂乃果「ふっ、やれやれ……」

ルビィ「ど、どうしたんですか? 本当はSSランクだけどDランクを名乗ってる冒険者みたいな表情して……」

穂乃果「なっ……なんでもないよ! とりあえず今はマザーを探してほしいんだ。話の出来るマザーをね」
0106名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 03:48:54.62ID:CJYV58p9
ルビィ「話をしないマザーじゃ駄目なんですか?」

穂乃果「話をしない方のマザーは……っと」

穂乃果「こんにちは」

ルビィ「こ、こんにちは……」

マザー2「……」スタスタ

穂乃果「ハズレの方か……」

ルビィ「こっちを見もしない……けど、挨拶しなかったら多分無言で叩き潰されちゃうんだよねぇ……」

穂乃果「話の続きだけど。会話不能マザー2人は既に潰す方法を思い付いてるんだ」

ルビィ「えぇっ!?」

穂乃果「確信は持てないけど……いけると思う」

ルビィ「ど、どんな方法なんですか!?」

穂乃果「それは……」チラッ

穂乃果「……」

穂乃果「秘密かな」

ルビィ「えぇー……聞きたいのにぃ……」

穂乃果(ごめんねルビィちゃん、ゲームマスターが何処で聞いてるか分からないから)

穂乃果(ゲームマスターに知られたら対策されて失敗する可能性があるんだよね、これ)
0107名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 04:03:56.63ID:CJYV58p9
穂乃果「マザー何処にもいないなぁ……必要ない時にはすぐに湧いてくるのに」

ルビィ「これだけ広いお屋敷だもん、しょうがないよ」

穂乃果「密告しても、走ってくるのはさっきすれ違った会話不能マザーの方なんだよね……一番近いし」

穂乃果「会話可能マザーに出会ったらルビィちゃんに頑張ってもらうから、今は楽にしててよ」

ルビィ「えっ……る、ルビィがマザーに何かするの……?」

ルビィ「ルビィの『お願い』、多分マザーには効かないと思います……」

穂乃果「それは真っ先に思い付いたんだけどね」

ルビィ「思い付いてたの!?」

穂乃果「ルビィちゃんの『お願い』でマザーが自殺したら簡単にクリア出来るなー、とは思ったんだけど……効く保証がないしね」

穂乃果「それに、効くまでにかなり時間がかかる人もいるんでしょ? ルビィちゃんの第1ゲームの相手、5時間も『お願い』に耐えたみたいだし」

ルビィ「はい……NGゲーム中も休憩時間もとても苦しんでましたけど、最後は笑いながら幸せそうに死んでいきました」

穂乃果「そこなんだよね。仮にマザーに効くとして、自殺までにラグがあったら……そんな不躾なお願いをしたルビィちゃんはマナー違反で確実に殺されちゃう」

ルビィ「うゆゆ……」

穂乃果「ダイヤさんに約束したからさ、ルビィちゃんは守るって。お互い殺し合えってわけでもないんだし……2人で勝ち上がりたいじゃん」
0108名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 04:13:03.65ID:CJYV58p9
ルビィ「穂乃果しゃん……ルビィも、穂乃果さんと一緒に生き残りたいです」

穂乃果「それに、プレイヤーの皆も……今は屋敷に何人くらい残ってるんだろうね」

ルビィ「た、多分半分くらいは生き残ってる筈です……!」

穂乃果「半分……250人くらいかぁ」

穂乃果「うん……なら、そうだね。大丈夫だよね」

穂乃果「200人以上生き残るんなら、数人殺しちゃっても」

ルビィ「ほ、穂乃果さん……そんなの……」

ルビィ「当たり前じゃないですか! 犠牲は少ない方がいいに決まってます!」

穂乃果「……そうだよね」

穂乃果(……なんだろう、やっぱりおかしい)

穂乃果(私は……『ゲームが始まる前の私』は、部活の休憩中に絵里ちゃんから出されたトロッコ問題を、どっちを助けるか迷いすぎてどっちも選べないような人間だった)

穂乃果(確かあの時は、片方のレーンに海未ちゃんとことりちゃん、もう片方のレーンにそれ以外の6人だったかな。幼馴染を取るか、6人を取るか悩みすぎて泣いちゃったんだっけ。絵里ちゃんはにこちゃんに、そんな問題を出すなって滅茶苦茶怒られて泣いてたけど)

穂乃果(今なら簡単に断言出来る。6人生き残った方がいい。……私が私じゃないみたいだ。記憶を持っただけの他人が私のフリをしてるような気さえしてくる)

穂乃果「ねぇ、ルビィちゃん。やっぱり……」

ルビィ「あっ、穂乃果さん! マザーが……!」
0109名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 04:20:31.74ID:CJYV58p9
穂乃果「マザー!?」

マザー「……こんにちは」

穂乃果「っ! こんにちは……!」

ルビィ「こんにちは!」

穂乃果(来た……会話出来るマザーだ! 包丁は……)チラッ

穂乃果(よし、ちゃんと隠れてる。マザーには見えてない……マナー違反で叩き潰されてないしね)

穂乃果(とはいえ、一応聞いておかないと……)

穂乃果「マザー、質問があります」

マザー「どうぞ……」

穂乃果「もし刃物を持ってうろついている人がいたら、マナー違反ですか?」

マザー「……」

マザー「それは……マナー違反以前に法律違反……。マナー違反でもありますけど……」

穂乃果(ヤバい人に正論を言われてしまった。何だか物凄く悲しい)

穂乃果「ありがとうございます!」

マザー「いえ……」ザッザッ

穂乃果「……」

穂乃果「ルビィちゃん、オッケー。今すぐ近くに誰かいないか探そう」

穂乃果「その人には自殺してもらうことになるから、なるべく他人を密告して自分だけ勝ち上がろうとしてるような……クズを狙おうね!」

ルビィ「うんっ!」

穂乃果(あれ……私、何考えてたんだっけ)

穂乃果(まぁいいや、大したことじゃないだろうし。早く誰か見つけて自殺させなきゃ……)
0110名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 04:30:44.09ID:CJYV58p9
穂乃果(ん……早速一人、見っけ。女の人だけど……凄く怯えてるなぁ)

「ひっ……こ、こんにちは」

穂乃果「こんにちはっ!」

ルビィ「こんにちは!」

「な、なに……? なんでこっち見てるのよ、さっさとどっか行きなさいよ……!」

「まさか私を密告する気じゃ……」

穂乃果「いやいや……私は密告なんてする気ないよっ!」

穂乃果「ほら見て、私の端末。0ポイントでしょ?」

「あ……本当、ね。だ、だったら何の用なの? マザーから逃げる方法でも知りたいわけ?」

穂乃果「んー、いやそうだねぇ、私は……あっ! マザーが来てる!」ビッ

「えっ!? ……マザーなんていないじゃ」

穂乃果(……ルビィちゃん、今)チラッ

ルビィ「……んっ!」パシッ

「ないっ……!? ちょっ!? あたしの端末っ! 返してっ!」

穂乃果「……密告ポイント【4】」

ルビィ「4人も、密告したんだね」

「なっ……悪いの!? あ、あたしだって、こんなことしたくない! けど、クリアー条件がマザーを倒せなんて無理じゃない! 密告するしか……生き残る方法がないのよぉ……!」

穂乃果「……大丈夫だよ」

「えっ……?」

穂乃果「貴女が今から、マザーを倒すんだから。はい」ヒョイッ

「え? え? これ……包丁?」
0111名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 04:41:58.05ID:CJYV58p9
穂乃果「はい、っと」ピッピッ

穂乃果「銃刀法違反で密告したよ。ほら」

「は……」

「はァッ!? な、なにしてんのよっ! や、やだ……あたし死にたくないっ! あんたが持ってきた包丁じゃない!」

ルビィ「あの、お願いがあります……」

「やだっ、マザーが来るっ! マザーが……!」

ルビィ「ルビィの為に、皆の為に……死んでください。マザーのお腹にその包丁を突き刺して」

「は……? なんで、私が……」

「……」

「あ、あぁぁぁぁぁ!!! なんでっ、なんであんたが……!」

「ずっと前に、死んだのに……確かにあの山で殺したのにっ……!」

穂乃果(……山? ルビィちゃんのこれって、自殺させるだけじゃなかったの?)

穂乃果(何か……幻覚を見せてる?)

マザー「……」タッタッタッ

「ふざけないで……彼はあたしのものよ、あたしが先に好きになったのよ……! それを取った癖にっ……! あんたがいたから彼はっ……!」

マザー「包丁を持って廊下に立つのは……マナー違反です」グオッ

「うるさいっうるさいっ! あたしの前に……現れるなぁっ!」グッ

ざ く っ

マザー「……」

「ははっ……あははっ、ざまぁみろ……また地獄に送ってやっ」

マザー「……」ブォンッ

べ ち ゃ り

マザー「……人を刺すのは、マナー違反です」

穂乃果(大して効いてるようには見えないなぁ……これ、何回くらい刺したら死ぬんだろ。血は出てるし、肉は裂いてるみたいだけど)

マザー「……」ザッザッ

ルビィ「あっ……包丁お腹に刺したまま持ってかれちゃった」

穂乃果「いいよ、次は刺殺以外を試してみよう。部屋に置いてる花瓶とかで頭かち割ろうか」
0112名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 04:52:38.67ID:CJYV58p9
ーーー
ーー


穂乃果「えっと、これで何回だっけ」

ルビィ「包丁3本、ナイフ2本、花瓶6つ、素手殴り2回、焼却炉1回、首吊り罠2回、猟銃1回……ですね」

穂乃果「どうしよ、これ」【密告ポイント:9】

ルビィ「どうしようって言われても……」【密告ポイント:9】

マザー「……」テクテク

穂乃果「マザーがあんなに耐久力あるとは聞いてないよ……」

ルビィ「どうするんですか……? もう穂乃果さんもルビィも、後一人密告したら勝ち抜けですけど……」

穂乃果「んー……一応1ポイントは確実に残しときたいなぁって思ってたんだよね」

穂乃果「例の会話不能マザー殺しの為に」

ルビィ「も、もういいと思います……ルビィは皆よりも穂乃果さんの方が大事ですもん。穂乃果さんが抜けたら、ルビィも勝ち抜けますから密告クリアしようよ」

穂乃果「……そうだよね、後1ポイントだもんね」

穂乃果「私とルビィちゃんが生き残ってクリアするっていう、最低ラインは超えてるんだよねもう。後の皆を生き残らせるのは、出来ればくらいの……」

穂乃果「マザーが死んでくれてたらなぁ……こんな風に悩まなくてもよかったのに」
0113名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 05:13:25.60ID:CJYV58p9
穂乃果「まぁ、仕方ないか。会話不能マザーだけ何とかしてあげて勝ち抜け……」

穂乃果「……? あれ?」

ルビィ「穂乃果さん?」

穂乃果(クリア条件はマザーの死……)

穂乃果(けれどマザーはあれだけ攻撃を加えてもピンピンしてる。マザーの弱点は未だに不明……不明?)

穂乃果(いくら広い屋敷とはいえ、これだけのプレイヤーが探しているのに……一切不明? そこに繋がるヒントすらも? そんなの流石に……)

穂乃果(……違う)

穂乃果「ルビィちゃん、ごめん。多分マザーへのあの攻撃……意味ない」

ルビィ「えっ……?」

穂乃果「私達は……そもそもなんでマザーをマザーだって認識したの?」

ルビィ「だって、それは……しずくちゃんが最初に言ってたから。マナー違反をすればマザーがオシオキをしにくるって」

穂乃果「そう、あれを聞いて……直後に現れたのがマナー違反を取り締まるマザー・ハウス。だから、私達はマザーの死亡がクリア条件と言われて、自然とあのマザー・ハウスを倒せばいいと考えていた」

穂乃果「それ自体が罠だったんだよ」

ルビィ「どういうこと……? だってマザーはマザーでしょ……?」

穂乃果「マザーって名前、最初に聞いた時に思わなかった? マザー……お母さんなんて、変な名前だなって。それにマザー・ハウスの本当の名前はシンディ・ハウスだよ、マザーはただのあだ名にすぎない!」

ルビィ「……ま、まさか。倒すべきマザーって」

穂乃果「マナー違反を憎み、マナー違反をしたシンディにオシオキという名の虐待をした……」

穂乃果「シンディの母親だよ」
0114名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 05:19:18.15ID:CJYV58p9
ルビィ「えっ……ええええっ!?」

ルビィ「で、でも待ってよ! シンディのお母さんは……!」

穂乃果「そう、もう死んでるんだよ。あの日記によれば……」

穂乃果「けど、ここはシンディをあの恐ろしい化物に変えた屋敷だよ? 何があってもおかしくない」

ルビィ「う、うゆ……けど、もしそれが本当だとしても」

穂乃果「そう、本当だとしても『何処にシンディのお母さんがいるのか』も『誰がシンディのお母さんなのか』も分からない」

ルビィ「だ、だったら意味ないよぉ! やっぱり密告勝ち抜けを……!」

穂乃果「……なんて。私達はシンディのお母さんが誰か知ってるよ?」

ルビィ「……………」

ルビィ「……え?」

穂乃果「ううん、私達だけじゃない。このゲームの参加者は皆が知ってるよ、本物の……倒すべきマザーの招待を」

ルビィ「えっ、だっ、誰……?」

穂乃果「……玄関から外に出よっか。このゲームの開始地点……きっとそこにいる筈だよ」
0115名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 05:27:52.27ID:CJYV58p9
ーーーーー
ーーー


玄関前 ゲーム開始地点

穂乃果「……」

ルビィ「……」

しずく「……おっと」

エマ「どうしたの? 穂乃果ちゃんもルビィちゃんも……外には何もないよ? 屋敷の中で戦わなきゃ」

エマ「けど、他人を自作自演で密告してマザーに攻撃させるって手は良かったねぇ。私、こんな方法があるんだって感動しちゃったもん」

しずく「エマの字の言う通りだぜぇ、外にゃヒントなんか微塵もねぇからよぉ! さっさと屋敷に戻りなぁっ!」

穂乃果「そりゃそうだよ、ヒントなんかあるわけないじゃん」

しずく「あぁ?」

穂乃果「あるのは答えなんだからさ。ね、そうでしょ? マザー」

ルビィ「え……しずくちゃんが、マザーなの!?」

しずく「あぁん、誰がマザーだって? 私はマザーの演技をしたことは……」

穂乃果「違うよ、しずくちゃんじゃない。考えてみれば最初からおかしかったんだよね」

穂乃果「なんで『日本政府が主導して、日本国民が参加するゲーム』に……『日本で生まれたわけでもない外国人が参加しているのか』」

穂乃果「ね、なんでだろうね。エマさん」

エマ「……」
0116名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 05:39:27.62ID:CJYV58p9
エマ「……あはは、違うよ? 私はゲームマスターだもん」

エマ「別にこのゲームに参加してるわけじゃない。虹ヶ咲の皆でゲームマスターをするって話になったから、スイス人の私でもこうしてゲームの進行役として配置されたの。それだけだよ?」

ルビィ「そ、そうだよ穂乃果さん……やっぱりそれだけじゃ弱いよ……」

ルビィ「それにエマさんはまだ18歳だよ? 子供なんか産めないよ」

穂乃果「ロールプレイ」

エマ「……」

穂乃果「最初に二人は言ってたよね、私達はマザー・ハウスに招かれた招待客だって。けど私はそんな招待を受けた覚えはないよ」

穂乃果「あれは私達に『招待客』のロールプレイをさせる為の台詞だった……つまりエマさんがマザーのロール(役割)を受け持っていたとしてもおかしくない」

しずく「さっきから黙って聞いてたら……何なんですか? そんな一方的に……」

穂乃果「あのさ、しずくちゃんが一緒にいる事自体がヒントだったんだよ」

しずく「……へっ!? わ、私が?」

穂乃果「しずくちゃんはずっと……演技をしていたよね。あれは『演技』つまり『役割』って発想に至らせる為のゲームマスターからのヒントだったんだよ」

穂乃果「どうなの? エマさん……」

エマ「……」

エマ「…………」

エマ「…………………」

エマ「あのさ、それって穂乃果ちゃんのこじつけだよね?」

エマ「さっきから言ってるでしょ? 私はゲームマスターだけど、ゲームに参加してるわけじゃない。第一、仮に私がマザーならもうこのゲームはおしまいだよ?」

エマ「私達はプレイヤーに攻撃されても『死なないしダメージも負わない』ように『いじられてる』の。つまり、私がマザーなら……このゲームは密告抜けしか出来ないクソゲーってことになるよ?」
0117名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 05:46:28.14ID:CJYV58p9
穂乃果「……」

ルビィ「そ、そんな……ここまで、穂乃果さんが推理してくれたのに……倒せないなんて」

エマ「分かったら、早く屋敷に戻ってマナー違反を探したら? あと1ポイントでクリアなんだから……」

穂乃果「あはっ」

エマ「……?」

穂乃果「あはははははっ! そうだね、分かってる分かってる。覚えてたもん」

穂乃果「プレイヤーからの攻撃は通らないようにいじってあるって、言ってたもんね。あはははっ!」

エマ「……なに? その隙だらけな笑い方」

エマ「うっかり殺しちゃいそうだよ」チャキッ

ルビィ「あれは……確か、ドロドロに溶かす銃……」

穂乃果「……」スッ

エマ「じゃあね、穂乃果ちゃん。惜しかったね――」

穂乃果「……」ピッピッ

ルビィ「穂乃果さん! なんでこんな時に密告装置なんて……!」

穂乃果「……ん」




密告したい人の名前【エマ・ヴェルデ】
 マナー違反の内容【銃刀法違反】
0118名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 05:54:25.59ID:CJYV58p9
ルビィ「え……?」

しずく「……」

穂乃果「6階でさ、額縁を壊した男の子が密告されたよね」

穂乃果「けどあの時、周りには……私達以外誰もいなかった。それでふっと、思い至ったんだよ」

穂乃果「何処かから見ていたゲームマスターが密告したんじゃないか、って」

エマ「……それで?」

穂乃果「仮にゲームマスター側が密告をしたんだとすると、ゲームマスターは密告装置を持っていることになる。つまりそれは……参加者と言っても過言じゃない」

穂乃果「そりゃ誰も試さないよね……本来密告を受ける側の、ゲームマスターを密告しようなんて」

穂乃果「実際はこの通り、装置を向ければ名前が自動的に記入された。つまり、さ」

穂乃果「エマ・ヴェルデ。貴女はこのゲームの参加者だよ」

マザー2「……」

穂乃果「だから身体をいじって、他のプレイヤーの攻撃が通らなくても……」

エマ「くっ……あははっ……折角……」

マザー2「……」グオッ

穂乃果「マザーの攻撃は通る筈だよ」

エマ「また、殺し合いを楽しめると思ったのに……やるじゃん」

ぐ ち ゃ り
0119名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/13(火) 06:10:16.49ID:CJYV58p9
しずく「……」

穂乃果「……エマさん」

ルビィ「し、しずくちゃん……本当にエマさんがマザーなの?」

しずく「……はぁー」

しずく「まさかこんなに早く気付かれるとは……だから怪しまれるって言ったんですよ。日本人しかいない中にスイス人が入ってるのは……」

穂乃果「……当たりだったみたいだね」

しずく「えーえー、そうですよ。エマさんがマザーのロール(役割)です。私がマザーだった時用にルビィさんの密告ポイントも残してたみたいですし、仮に私の方でも詰んでましたね」

ルビィ「あ……そっか、最初からゲームマスターにぶつけるつもりだったんだね。だから1ポイント残したんだ……」

穂乃果「本当は、会話不能マザーをゲームマスター2人に密告って形でぶつけて破壊して貰おうと思ってたんだけどね。2人とも密告出来る筈、ってのは何となく考えてたし」

しずく「会話出来るマザーを潰そうとしてたのは?」

穂乃果「密告してもゲームマスターに言いくるめられそうだからね」

穂乃果「今も会話不能マザーが来てくれなかったら危なかった気がするよ。それに……」

穂乃果「エマさんがマザーだと分かってからは。会話出来るマザー……シンディ・ハウスに、二回も母親を殺させたくなかったってのもあるね」

しずく「はぁ……なるほど。こんなに生き残るなんて、璃奈さんに何と言われるか」

しずく「ま、いいです。他ゲームの全滅が多ければイーブンですし。マザーの死亡をもって第2ゲームは終了しました、既に屋敷の中のマザー・ハウス達も動きを止めていますよ」

穂乃果「……しずくちゃんは、エマさんが死んだのに悲しまないんだね」

しずく「お互い様でしょう? 穂乃果さんだって、ルビィさんが死んでも泣かないですよね。そしてルビィさんも、穂乃果さんが死んだところで泣きはしない」

穂乃果(そうなのだろうか。そうなのかもしれない。だって私は……このゲームに参加してからの私は)

しずく「えー……と。現時点の生存者197名、第2ゲームクリアーです!」

穂乃果(ダイヤさんが死んでも、エマさんが死んでも、私以外の皆が傷付き死んでいっても……例え私自身が死んだとしても。少しも悲しくないのだから)


第2ゲーム『マナーゲーム』終了
0120名無しで叶える物語(かつお)
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2021/07/13(火) 08:11:09.36ID:7imDoXJR
エママという大ヒントがあったのにな…
包丁持ってた時だけマザーが常識人だったのもヒントだったんだな

普通に密告で逃げられそうだったの草
0121名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/07/13(火) 08:37:48.15ID:VRasjee1
俺こんな推理できないからデスゲーム参加したら真っ先に死にに行くわ
0122名無しで叶える物語(とうふ)
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2021/07/13(火) 10:07:44.82ID:AX4jqlwX
面白いよ
0123名無しで叶える物語(茸)
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2021/07/13(火) 14:55:02.96ID:4KdqMDYV
このゲーム…必勝法があるんや!みたいなキャラがどこかの部屋にはいたんだろうな
0124名無しで叶える物語(しまむら)
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2021/07/13(火) 20:48:28.79ID:u1lvtzy6
待ってるぞ
0127名無しで叶える物語(しまむら)
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2021/07/14(水) 07:09:07.89ID:/3CMFcua
デスゲームss好き
0129名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 20:32:45.68ID:SkYkHg9J
ーーーーー
ーーー


……チャン

穂乃果「……んー」

……ノカチャン

穂乃果「……」

ことり「穂乃果ちゃん!」ブォンッ

穂乃果「ゴパァッ!?」ドボォッ

穂乃果「な、なに? 何が起こったの!?」

ことり「よかったぁ……全然起きないから死んじゃったのかと思ったよ」

ルビィ「だから疲れてるだけだって言ったのに……けど、目が覚めて良かったです」

穂乃果「あれ……ことりちゃん?」
0130名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 20:40:42.82ID:SkYkHg9J
穂乃果「よかった! 生きてたんだ……!」

穂乃果「そ、それよりここどこ? 屋敷は?」

穂乃果(第1ゲームで入った、ビジネスホテルのような部屋のベッドに私は寝かされていた)

穂乃果(思い出せるのは……私の密告でエマさんが死に、しずくちゃんが第2ゲームの終了を告げたことだけ)

穂乃果(そこから先の記憶がない……)

穂乃果「ルビィちゃん……何があったの?」

ルビィ「ゲームが終了した後、穂乃果さんが倒れちゃったんです。多分、珍しく頭を使うようなことをしたから疲れたんだと思います……」

穂乃果「遠回しに馬鹿にしてるよね?」

ルビィ「遠回しじゃないです!」

穂乃果「ならいいけど……」

ことり「いいの!? 直接バカにされただけだよ!?」

ルビィ「そのすぐ後に……なんて言えばいいんだろう。世界が歪んだというか、空間が歪んで……気付いたらこのホテルにいたんです」
0131名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 20:52:38.74ID:SkYkHg9J
穂乃果「ホテル……ここ、ホテルなんだ」

ことり「それで、プレイヤーに一人一部屋与えられて休憩するように言われたんだ。ルビィちゃんとことりがあったのはその時だよ」

ことり「気を失ってる穂乃果ちゃんをルビィちゃんが背負って、部屋に向かってたんだよね。それを手伝って……」

ルビィ「助かりましたぁ……穂乃果さんが物凄く重くて」

穂乃果「お、重くないもん! ほむまんだって最近は我慢してるし、少しでも体重増えたら海未ちゃんに地獄ダイエットさせられるし!」

穂乃果「ねっ、ことりちゃん! 私重くなかったよね!?」

ことり「……」

ことり「重くなかったよ」

穂乃果「ことりちゃん? 人と話す時は目を見ようね? なんで目線逸らすの?」

ルビィ「今の時間はゲームとは関係ないインターバルみたいです」

穂乃果「ルビィちゃんも普通に話進めようとしないでよ……というかインターバル? 今って本当にただの休憩なの?」
0132名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 21:06:08.52ID:SkYkHg9J
ルビィ「はい。総理が……」

総理『えー……最初1億2600万人いた参加者も、第1ゲームで約6000万人。第2ゲームで200万人ほどになりました』

総理『第2ゲームでは500人参加のゲーム部屋を約12万部屋作りました』

総理『えー、12万の部屋を管理していたスタッフ側から、流石に厳しいと、流石に休みがほしいと、えー……申し出があり』

総理『一旦ゲームは休止し、プレイヤーの皆様にも休息を取っていただきたく思います』

穂乃果「スタッフが理由!?」

ことり「うん……本当にそう言ってたよ」

穂乃果「そっか……デスゲーム運営って意外とホワイトなんだね……」

ことり「デスゲームしてる時点でホワイトも何もないけどね」

ルビィ「とりあえず今日は次のゲームやらないみたいだから、今のうちにゆっくりしておこうよ」

穂乃果「そうだね、次のゲームが体力必要なやつだったら怖いし……」

ことり「……ふ、二人とも意外とゲームに乗り気なんだね。私はこのまま中止になってほしいよ、こんなの」

ことり「皆……私を助けてくれた人も、ゲーム中に友達になった子も、死んじゃったもん……」
0134名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 21:28:31.08ID:SkYkHg9J
穂乃果「……私だって早く終わればいいとは思ってるよ」

ルビィ「……」

穂乃果「それより! このホテルには他にもμ'sとか、Aqoursの皆がいるかもしれないよ! 探しに行こうよっ!」

ルビィ「た、確かに! 穂乃果さんの看病とことりさんに会えた嬉しさでいっぱいになってたけど……もしかしたらほねぇちゃも、花丸ちゃんも、善子ちゃんも……皆もいるかも!」

ことり「……る、ルビィちゃん」

ことり「あの……善子ちゃんなんだけど……」

ルビィ「うゆ?」

ことり「……」

ことり「ううん……いるといいね……」

ルビィ「? うんっ! いつもの花丸ちゃんに手でハート作ってもらって、横でルビィ達がぱらぱらーってするアイドルごっこしたいなーっ」

穂乃果「あっ、いいないいな! 私もやりたい! やりたい!」

ことり「……」
0136名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 21:44:20.37ID:SkYkHg9J
ーーーーー
ーーー


ホテル内

ルビィ「駄目だよー、ハート役は花丸ちゃんだもん」

穂乃果「ええー、いいじゃん私もハート役やりたい! ルビィちゃん達にぱらぱらーってされたい!」

ルビィ「だーめっ!」

穂乃果「ううーっ! ルビィちゃんのいけずーっ!」

穂乃果「いいもんね、私も海未ちゃんとことりちゃんとぱらぱらーってやるもん! ねっ、ことりちゃん!」

ことり「……」

穂乃果「ことりちゃん? どうしたの、顔色悪いよ……?」

ことり「あ、あはは……デスゲーム中だもん、顔色くらい悪くなるよ……」

ことり「逆になんで2人はそんなに明るいの? 2人だって……人を殺してNGゲームをクリアしたんだよね。それにたくさんの人が目の前で死んだよね……?」

ことり「穂乃果ちゃん達に会えて、嬉しくて、忘れようとしてたけど……」

ルビィ「うん、死んだね。NGゲームの方は相手の人が自殺しちゃったから殺してないけど……」

穂乃果「……皆、死にたくなかったと思うんだよ。こんな訳のわからないところで」

穂乃果「だからさ、残された私達が暗い顔してちゃ駄目なんだよ。生き残った私達が、死んでいった皆の分まで笑わなきゃ」

ことり「……2人は強いんだね。私はそういう風には思えないよ」
0137名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 21:57:04.65ID:SkYkHg9J
穂乃果「それにしても人が多いね、このホテル……」

ルビィ「けど200万人はいない気がします……ひょっとしてゲーム会場みたいに、ホテルもいくつもあるのかな」

ことり「お母さん……いないかな?」

穂乃果「あっ……そっか。これ国民全員参加してるんだもんね」

穂乃果「雪穂も……お母さん達も参加してるんだよね」

穂乃果(お父さんNGゲームで多分死んでるよこれ……)

穂乃果「と、とりあえず探しながら他の人に聞いてみようよ。まずは雪穂や皆と合流したいもん」

ことり「うん……」

穂乃果「すいません、私と同じ制服着てる子見ませんでしたか?」

「見てないなぁ……僕が見た中なら女子高生なら何人かいたけど、君とは違う制服だった」

ルビィ「えっと、ルビィと同じ制服の子を……」

「分からないわね。ごめんなさい」

ことり「す、すいません。この制服を着た子を……」

「匂い立つなぁ……堪らぬ血で誘うものだ。えづくじゃあないか……」

穂乃果「……誰も見てないみたい。このホテルには音ノ木坂の子も浦の星の子もいないのかな」

ルビィ「諦めずに探してみようよ」

ことり「虹ヶ咲の子達もいないかな……?」

穂乃果「えっ?」

ことり「えっ?」

穂乃果「虹ヶ咲?」

ことり「虹ヶ咲」
0138名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 22:05:57.58ID:SkYkHg9J
穂乃果「待ってよ、虹ヶ咲はいたら逆に怖いよ」

ことり「な、なんで? 一緒にライブしたこともあるのに……」

ルビィ「……? えっと、ことりさん……第2ゲームのゲームマスターって誰でした?」

ことり「ゲームマスター? そんなのいなかったけど……『砂の聖杯』ゲームだよね?」

穂乃果「砂の聖杯……?」

ことり「うん。プレイヤー達の血を地面の砂に与えると聖杯が出来上がっていって、完成したらクリアっていう……300人分の血を吸わせたら終わりなのに、最後はパニックで殺し合いになってしっちゃかめっちゃかになってたけど……違うの?」

穂乃果(ことりちゃん、なんてデスゲームらしいデスゲームを……そりゃ顔色も悪くなるよ)

ルビィ「私達がやったのは『マナーゲーム』です……」

穂乃果「そのマナーゲームのゲームマスターがさ、エマさんとしずくちゃんだったんだよ」

穂乃果「しかも2人の話を信じるなら、少なくとも歩夢ちゃんと璃奈ちゃんもゲーム運営側で関わってる」

ことり「……そんな、エマさん達が……っ!」
0139名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 22:23:23.09ID:SkYkHg9J
ことり「話し合いとかは……出来なかった?」

穂乃果「無理だったよ。完全に狂ってた」

ルビィ「死ぬ時まで笑ってたもんね、エマさん」

ことり「エマさん……死んだの?」

ルビィ「うん、穂乃果さんが殺したよ」

穂乃果「ちょっ……ルビィちゃん!? いやっ、殺したって言ってもその……ゲームの設定を利用してだよ!?」

ことり「大丈夫だよ、穂乃果ちゃん。これはそういうゲームだもん。分かってるから」

善子『……ことり、この横穴に隠れてなさい。私がなんとかするから。そんな震えた手で何が出来るっていうのよ。かっこいい剣も見つけたし、このヨハネ様に任せておきなさい』

ことり「分かってる、から」

善子『クククッ……我が名は堕天使ヨハネ! 我が眷属たるチュンチュン・リトルデーモンに手を出そうとするなら……容赦しないわ!』ジャキンッ

善子『死ねっ! 死ねっ! 死ねぇぇぇっ!!!』ザクッザクッ

ことり「……」ギュッ

穂乃果「……ことりちゃん、ありがとう」

ルビィ「色々あったんだね……凄く、辛そうな顔して。ルビィは」

「ルビィ!」ギュオンッ

ルビィ「きゃあっ!?」ドサッ

穂乃果「敵!? ……って、あれ?」

ことり「貴女は確か……」

理亞「ルビィ……良かった、生きてたんだ」

ルビィ「理亞ちゃんっ……!」
0141名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 22:33:22.16ID:SkYkHg9J
理亞「ルビィ、ルビィ……!」ギュッ

ルビィ「い、痛いよ。背骨折れちゃう……」

穂乃果「えっと……花陽ちゃんとにこちゃんのコレクションで見た覚えが……。確かSaint Snowのしかつのりあちゃん……?」

ことり「かづの、だよ……。始めましてだよね?」

理亞「……μ's?」

ルビィ「う、うん……μ'sの穂乃果さんとことりさん。理亞ちゃんも知ってるよね……?」

理亞「知ってる、見てたから。今年のラブライブ……私と姉様は予選で落ちちゃったけど」

穂乃果「見ててくれたんだ、ありがとう!」

理亞「当然でしょ。倒すべき相手なんだから」

穂乃果「倒すべきって……あはは」

ことり「けど良かったね、ルビィちゃん。友達に会えて」

ルビィ「うんっ! 理亞ちゃん、お姉ちゃんや花丸ちゃん達見なかった?」

理亞「見てない。ルビィも姉様を見かけなかった? ……まだ、生きてるかは分からないけど」

ルビィ「見てない……けど、きっと生きてるよ。聖良さんは凄い人だもん」

ルビィ「きっと、このホテルにはいないだけで……別のホテルにいるんだよ!」

理亞「……私はもう少しこのホテルを探してみる。μ'sやAqoursに会えたら、3人がいたこと教えておくから」
0142名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 22:42:39.94ID:SkYkHg9J
ルビィ「うんっ! ありがとう、理亞ちゃん!」

ことり「次のゲームも、一緒に頑張ろうね……!」

理亞「……? ルビィ、この子馬鹿?」

ことり「……え?」

理亞「ルビィは私の友達だけど、貴女達は友達じゃない」

理亞「ルビィのことは助けるけど、貴女達のことを助ける義理もないし共闘する理由もない。もし貴女達を犠牲にしなきゃいけないギミックがあれば、躊躇わず犠牲にする」

ことり「え……え……?」

理亞「だから、頑張ろうなんて言わないで」

理亞「私、行くから。じゃあね、ルビィ」

ルビィ「あっ、理亞ちゃ……」

理亞「……」タッタッタッ

ルビィ「……ごめんなさい、理亞ちゃんは少し気難しい子なんです」

穂乃果「そう? いい子だと思うけど」

ことり「な……なんで? だってあんなこと……」

穂乃果「悪人ならむしろ、こっちと共闘する振りして親しげに近付いてきた後に利用し尽くすんじゃないかな?」

穂乃果「自分はお前を利用するかもしれない、だから近付くななんて……まともな人しか言えないよ、そんなこと」

ことり「……」
0143名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 22:51:40.91ID:SkYkHg9J
穂乃果(その後、三人でもう少しホテルを探索して)

穂乃果(また理亞ちゃんと遭遇して若干気まずい感じになって)

穂乃果(結局、部屋に戻ってくるまで誰かの家族も、部活の仲間も、学校の友達も……誰一人見つかりはしなかった)

穂乃果「やっぱりこのホテルには、もういないのかな」

ルビィ「うーん……このホテル自体も広すぎて探しきれてるとは言えないし、分からないよぉ」

ことり「……」

ことり「……あっ」

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり「ふっと思っただけなんだけどね……? フロントに聞いてみたらいいんじゃないかなって」

穂乃果「ふろんと?」

ことり「いやだって、泊まってる人の情報ならフロントに聞いた方が早いかなって……ここはプライバシーも何も無いだろうし」

穂乃果「……た、確かに」

ルビィ「目から鱗です……!」
0144名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 23:02:18.44ID:SkYkHg9J
フロント

穂乃果「あのー」

「はい、8階3号室の高坂様ですね? 何かございましたか?」

穂乃果「えっ? 顔見ただけで部屋番号まで? 凄い……」

「とんでもないことでございます。それで、どのような……」

穂乃果「えっと、友達や家族が泊まっているか調べたいんですが……」

「はい、少々お待ちください……はい、お名前をどうぞ」

穂乃果(聞いてくれた! まずは海未ちゃんを……)

穂乃果「そ、園田海未です」

「園田海未様……申し訳ございません、此方のホテルではなく別のホテルに宿泊されているようですね」

ことり「海未ちゃん、いないんだ……」

ルビィ「あの、お姉ちゃん……黒澤ダイヤはここにいますか?」

穂乃果(ルビィちゃん……普通に横からにゅっと出てきた……)

穂乃果(……ダイヤさんは泊まってないよ。私が殺したんだもん。このホテルにいるわけないじゃん)

「黒澤ダイヤ様……は……」ペラリペラリ

「申し訳ございません。黒澤ダイヤ様は第1ゲームで亡くなられているようですが」

ルビィ「……えっ」

穂乃果「ええっ! 嘘でしょ……ダイヤさん、死んじゃったの!?」

ことり「ダイヤさんが……!」

ルビィ「うそ、ですよね? お姉ちゃんが……死んだ? 第1ゲームで……?」

ルビィ「穂乃果さん……お姉ちゃん、死んじゃった……」
0145名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 23:08:31.36ID:SkYkHg9J
穂乃果「ルビィちゃん……」ギュッ

ルビィ「お姉ちゃんが……お姉ちゃんが……」グスグス

ことり「……」グスッ

穂乃果(姉を殺した女に慰められる気持ちはどうだ? 感想を述べよ!)

穂乃果(しかし……このフロント、誰が死んだかまで調べることが出来るのか。これでもし他に死んでる人がいたら、ことりちゃんやルビィちゃんがショック受けちゃうよ)

穂乃果(参ったなぁ……あんまり精神が疲弊すると、この先のゲームに影響出そうだし)

穂乃果(とはいえ……このホテルにもし他のメンバーや家族がいたら会いたいし)

穂乃果(結局、私達は最後まで家族や仲間がホテルにいるかを聞いてしまった。誰かの死を聞けば、辛くなることに見ないふりをしながら)

穂乃果(結論から言うと、このホテルには誰もいなかった……私達はただ、友人の死を知っただけに終わってしまったのだ)
0146名無しで叶える物語(茸)
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2021/07/14(水) 23:23:22.08ID:I6WCHs/J
どういう風に死んだか、誰に殺されたか、みたいな事まで教えてくるタイプだったらヤバかったな
0147名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/14(水) 23:25:30.96ID:SkYkHg9J
μ's
園田海未 別ホテル
星空凛 別ホテル
小泉花陽 第1ゲームにて死亡
西木野真姫 別ホテル
絢瀬絵里 第1ゲームにて死亡
東條希 第2ゲームにて死亡
矢澤にこ 別ホテル

Aqours
高海千歌 第1ゲームにて死亡
渡辺曜 別ホテル
桜内梨子 第1ゲームにて死亡
津島善子 第2ゲームにて死亡
国木田花丸 別ホテル
黒澤ダイヤ 第1ゲームにて死亡
小原鞠莉 別ホテル
松浦果南 別ホテル

A-RISE
綺羅ツバサ 第1ゲームにて死亡
統堂英玲奈 第1ゲームにて死亡
優木あんじゅ 別ホテル

Saint Snow
鹿角聖良 第2ゲームにて死亡



穂乃果(……私たちは最早一言も話さず解散し、黙って部屋に戻った)

穂乃果(ドアに鍵をかけ、ベッドに倒れ込む。相変わらずふかふかだ)

穂乃果(想像以上だった……とは言えない。既に1億2600万人いた日本人口が200万人まで減ってしまっている。割合から言えば私達以外全滅していてもおかしくはないくらいだ)

穂乃果(なのにμ'sもAqoursも5人も生き残ったのだから、むしろ運がいいくらいだ……ツバサさんが死んでいたのは少々予想外だったけど)

穂乃果「あの人は……何だかんだ最後まで生き残ると思ってたのになぁ……」

穂乃果「お父さんもお母さんも、雪穂も死んじゃったし……生き残っても、私これからどうなるんだろう」

穂乃果「そもそも日本はどうなるのかな、こんなに人が減ったらまともに機能しない……ふぁ」

穂乃果「……寝ちゃおう。考えても仕方ないよ……」

穂乃果「……」スゥ
0152名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/07/15(木) 09:09:09.55ID:BQ7skRPq
穂乃果も言ってるけどいきなり国民200万まで減ったらもう国を立て直すこともできないけどどうするんだろうか
0155名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 21:41:46.97ID:WObwdMYp
ーーーーー
ーーー


海未「やはりこのホテルには穂乃果達はいないようですね」

花丸「善子ちゃんが死んじゃった……千歌ちゃんも梨子ちゃんも……」グスグス

海未「……フロントが嘘を吐いている可能性もあります。まだ皆生きているかもしれません」

花丸「ううん……マルには分かるずら。本当のことを言ってるって」

花丸「だって、花陽ちゃんをNGゲームで殺したのは……」

海未「……」

花丸「なんで海未さんは一緒にいてくれるの? オラは……海未さんの友達を殺した、人殺しなのに……」
0156名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 21:50:38.01ID:WObwdMYp
海未「それを言うなら私とて、最低の人殺しです」

海未「NGゲームでの私の相手はまだ6歳の少女でした」

海未「私は……未来ある幼い子供の首を絞めたのです。暴れ、力の入っていた首筋に力がなくなって……あのぐにゃりとした感触は、一生忘れられません」

花丸「それは……だって、海未さん言ってたずら! 幼子にこの先の地獄を見せたくなかったって……!」

海未「……そんなものは詭弁ですよ」

海未「私は怖かったんです。死ぬのが怖くて、恐ろしくて……目の前の少女が死んだ瞬間、私は後悔や恐怖ではなく安堵を覚えている自分に気付きました」

花丸「海未さん……」

海未「だから、花丸を責める資格など私にはありません」

花丸「違うずら、海未さんは最低の人殺しなんかじゃない……。キズナ鬼ごっこでもマルを助けてくれたもん……」

海未「……次のゲームも頑張りましょう、生きて生きて……」

海未「罪を償うのは、それからです」
0157名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 22:15:28.68ID:WObwdMYp
花丸「そう、ずらね。……生きて帰って、皆に会って……謝るずら」

海未(しかし……解せませんね)

海未(最初のNGゲーム、次のキズナ鬼ごっこと連続で命のやり取りをさせられ混乱していましたが)

海未(休憩で冷静になってみると……政府は一体何がしたいのでしょうか。いたずらに国民を殺すことにメリットはない筈です)

海未(現時点で残りの日本国民は200万人……確か日本国民の総数が1億2600万人だった筈ですから、既に63分の1に減っています)

海未(天王寺総理は次のゲームもするようですし……ここから更に減る可能性が高い。優勝者に賞金10億円と言っていましたし、最悪の想定ではプレイヤーが残り1人になるまで殺し合いを続ける可能性もあります)

海未(殺し合いをさせて、日本を滅ぼす勢いでそれを上回るメリット……? そんなものがあるというのですか?)

海未「花丸、このゲームはなんの為に行われているのだと思いますか?」

花丸「なんの為に……」

花丸「言われてみれば、考えてなかったずらね。日本政府が主導し国民に殺し合わせる……」

海未「私は理由が全く思い付かないんです。小説を好む花丸ならば、何か分かるのでは……?」

花丸「小説読んでてもデスゲーム運営の心理が分かるわけでは……けど、考えられる可能性はいくつか」
0158名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 22:41:01.54ID:WObwdMYp
花丸「まず1つ目。日本人の数を減らそうとした……とか」

海未「数を……?」

花丸「人類管理に近い思想だけど……戦争や疫病を是とする人たちがいるんだ」

花丸「その理由は国民の数を調整する事ができるから。過去にヨーロッパで大流行したペストなんかが良い例ずら」

花丸「ペストはヨーロッパ国民の3分の1、約2500万人が死亡した恐ろしい病で今もなお憎しみや恐怖の象徴として様々な媒体で語られてるけど……もしペストが起こらなかったら余計酷いことになってた可能性があるずら」

海未「あぁ……聞いたことがありますね。確か、ペストで人が死ななければ近いうちに食糧難に陥り、ペスト以上の人数が苦しんだ可能性があるとか」

海未「待ってください……ということは、これは人数調整の為に行われた殺し合いだと?」

花丸「いや、言ってみただけずら。国民が63分の1にもなった時点でこの説が通る可能性は限りなく低い……だって、調整した結果日本が崩壊しかけてるもん」

花丸「2つ目。私達が見世物にされている可能性」

海未「見世物……?」

花丸「デスゲーム物でよくある展開ずら。悪趣味な金持ちが、殺し合いを楽しく眺める……最近はそうでもない作品も増えたけど」
0160名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 23:11:00.86ID:WObwdMYp
海未「し、しかし……政府ですよ? いくら金を積まれれば、自国民を殺し合わせようという発想にいたるんですか」

海未「それに、その……虹ヶ咲の皆さんも……お金で何とかなるような人達ではないと思います」

花丸「あぁ……うん……」

花丸「歩夢さんは凄かったね……」

海未「はい……デスゲームの恐怖で狂ったのかと思いました……」

歩夢『キズナ鬼ごっこゲームマスターのあゆぴょんだぴょーん!』

海未『なんですその際どいエロ衣装は! 乳首と大事なところしか隠れていないではないですかっ! そのウサギ尻尾はどこから生えているんです! 言いなさい! 破廉恥な!』スパーンッ

歩夢『酷い!?』

海未「あの格好で巨大なハサミ振り回してましたからね……」

花丸「……正直、歩夢さんがあんなに嬉々として人を殺すとは信じられないずら」

海未「私はあの衣装の方が信じられません。なんです、あのエロ衣装は……」

海未「どこから尻尾が生えていたのでしょうか」

花丸「けれど、あれを見て一つの可能性が浮かんだずら。『いじってある』って話も、そうなんだけど」
0161名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 23:20:29.85ID:WObwdMYp
海未「なんです? 確かにあの言い回しは妙でしたが……」

花丸「NGゲームや最初の部屋の時点でおかしいとは思ってたんだ」

花丸「総理が飛んだり何もないのに人が潰れたり、小さい総理がいたりドアの向こうが部屋だったり外だったり……」

花丸「Aqoursの皆で、協力してたからそう思ったのかもしれないけど……」

海未「きょ、協力? まさかAqoursも政府側の……!?」

花丸「違うずら! マル達が協力してたのは鞠莉ちゃんの作ったゲーム!」

海未「だからゲームでしょう!?」

花丸「ゲームはゲームでも、鞠莉ちゃんが社長をやってる小原グループの子会社が作った……内浦と沼津を舞台にしたVRMMOゲームずら!」

海未「ぶい……?」

海未「えっと、なんでしたっけ……立体的に見えるやつでしたか?」

花丸「鞠莉ちゃんが作ってたのは、意識を飛ばして仮想現実で冒険が出来るゲームずら」

海未「意識を飛ばして仮想現実で……?」

海未「……っ! まさか……!」

花丸「次元がねじ曲がったようなおかしな世界、おかしな死に方、人間とは思えない力を持ったゲームマスター」

海未「……ここは、現実ではない? 文字通りゲームの世界の中、というわけですか!?」
0162名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 23:27:32.74ID:WObwdMYp
花丸「正直なところを言うとまだ分からないずら……高度に発展した科学は魔法と見分けがつかない、って話もあるし」

花丸「けれど現実とは思えない。歩夢ちゃんの『いじってある』がパラメータや性格なんだとしたら……」

花丸「あれだけ気軽に人を殺せるのも、ここがゲームの中だと分かっているから」

海未「……つまり」

海未「現実では誰も死んでいない可能性がある?」

花丸「……けど、花陽ちゃん、本物としか思えなかったずら。あの感触も……本物としか思えなかった」

花丸「だからこれは、人を殺したオラの現実逃避なのかもしれない。ここが仮想現実の世界なんて……」

海未「……しかしそう考えれば腑に落ちますね」

海未「何故総理があれほど嬉々として我々を殺し合わせていたのか。ただのゲームだからです」

海未「人口が減るわけもありません。これはゲームなんですから」

海未「……なんだか、少し安心しました。私は支持しますよ、ゲーム世界説」

花丸「オラも……そうだったらいいな、って思うずら」
0163名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 23:36:22.68ID:WObwdMYp
海未(……確かに、総理やゲームマスター達は此方の耳にタコが出来るほど『ゲーム』という単語を連呼していました)

海未(ここがゲームの中で、死亡したら出られるというのであれば……自分で死んでも……)

海未(……いえ、やめておきましょう。まだここが本当に仮想現実と決まったわけではないのです)

海未(もし現実ならば、死ねば終わりなのですから)

花丸「とりあえずオラは休憩するずら、海未さんもゆっくり寝た方がいいよ」

海未「分かりました。次のゲームが来るまで……少し、寝ましょう」

花丸「じゃあオラは自分の部屋に……」ガシッ

花丸「ずら?」

海未「……一緒に寝ませんか?」

海未「その……心細くて」

花丸「……海未さん」クスッ

海未「わ、笑わないでください。……何かあった時にすぐに行動できますし、いいじゃないですか!」

花丸「じゃあお泊り会しよっ。一緒のベッドで2人で寝るずらー!」
0164名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 23:42:37.19ID:WObwdMYp
花丸「じゃあ、部屋からパジャマ持ってくるずら」

海未「その間にシャワーを浴びておきますね。汗をかいたままベッドに寝るわけにもいきませんし」

花丸「シャワー……なんかやらしいずら」

海未「やらし……っ!? 破廉恥です!」ブォンッ

花丸「うおおっ!? 危なっ……!!」シュバッ

花丸「破廉恥を感知すると凄い勢いでビンタしてくるのやめてほしいずら」

海未「癖になってんです、音消してビンタするの」

花丸「とにかく! マルはパジャマ持ってくるから……先に寝てたら泣いちゃうずら」

海未「大丈夫ですよ、私はシャワー長い方なので」
0165名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/15(木) 23:57:43.87ID:WObwdMYp
ーーーーー
ーーー


海未「……」シャワァァァ

海未「ふぅ……」

海未(我ながら……恥ずかしいことを言いましたね)

海未(心細い……もし我が家の道場で、日舞の門下生がそんなことを言えば叱責していたことでしょう)

海未(眠れば夢を見そうですから……あの、少女を殺す夢を……)

海未「それにしても次のゲームはいつになるのでしょうか」

海未「もしシャワーを浴びている時に第3ゲームが始まったら……全裸で参加することになります」

海未「男性が大量にいる中、全裸で駆け回り、ねっとりとした嫌らしい視線を全身に……」

海未「破廉恥なっ!」

海未「……くだらない冗談を言っても気は晴れませんね。もう花丸は戻っているでしょうか。早く身体を洗って……」

ガラガラッ

海未「……花丸、ですか? すぐに出ますから待っていてください」

花丸「……」

海未「花丸? どうかしま……ひゃっ!?」ギュッ
0166名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 00:04:40.29ID:GEjy/A51
花丸「海未ちゃん、お肌すべすべだね」サワサワ

海未(なっ……花丸が、抱きついて……!? し、しかも裸じゃないですかっ!?)

海未「ど、どうしたんですか!? お泊り会だから一緒にお風呂に、というわけですか……!?」

花丸「うん、そうだよ。身体洗ってあげるね……」スルッ

海未「んっ……ど、どこをさわっ、て……!」

花丸「どうしたの? 海未ちゃん……私は身体を洗ってるだけだよ」

花丸「そんな変な声出すなんて……」ニュルッニュルッ

海未「くっ……ふっ……も、もっと普通に洗ってください……」

海未(声が漏れ……なんてところを触ってるんですか! そんな、恥ずかしいところをっ……! ゆ、指が……!)

花丸「大事なところだから……念入りに洗ってあげるね」ニュブッニュブッ

海未「だ……だめ、です……! そんな、ところを……!」

海未「……っ! 破廉恥なっ!」ブォンッ

花丸「がふっ!?」ベゴシッ

海未「はぁーっ……はぁーっ……! なんてところを触るんです……よ、夜の慰みでも……滅多にそんな中までは……」

海未「……おや?」

あなた「っ……いったい……酷いよ海未ちゃん!」
0167名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 00:16:53.62ID:GEjy/A51
海未「あ、あなたは……虹ヶ咲の!?」

あなた「へっ? あっ……殴られた衝撃で変装解けちゃったんだ」

あなた「せっかく可愛かったのに、海未ちゃん」チュバチュバ

海未「あ……あんなところを触った指を、舐めないでください!」

あなた「海未ちゃんの味がして美味しいよ。1度でいいから直接舐めたいなぁ」チュバチュバ

海未(やっぱりおかしいです……以前あった時は、スクールアイドルに対して並々ならぬ情熱は持っていたもののこんな変態ではなかった!)

海未(彼女も歩夢達と同じように性格をいじられている……?)

海未「何の用です……? 返答によっては……」ゴオッ

あなた「いやいや、待ってよ待ってよ。私がスケベイタズラしにきただけに見える?」

あなた「海未ちゃんに伝えに来たんだよ、第3ゲームがもう始まってるって」

海未「……第3ゲームが?」

あなた「そうそう。ホテルだからさー、部屋のテレビで皆に知らせたんだけど、寝てて気付かないとかトイレに行ってて気付かないとか多くてね」

あなた「私達が知らせてあげてるんだよ。海未ちゃんも早く逃げた方がいいよ?」

海未「逃げる……?」

あなた「だって、じきにここは……」

海未(不意に……気付いた。部屋の四隅が黒く染まっていることに)

海未(その染みからぞわぞわと……何か得体のしれないものが湧き出していることに)

あなた「この子達で溢れちゃうから!」

海未(ずるり、と。染みから何かが産み落とされたかのように、這い出る)

海未(それは……人間の手のように見えた。ただ明らかに手ではない、指のように見えるのは5本のナメクジじみた目玉……手のひらには大きな口が生えている)

「キィ……キィ……」
0168名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 00:23:45.47ID:GEjy/A51
海未「ひっ……!?」

あなた「逃げないの? 食べられちゃうよ?」

海未「た、たべ……!?」

あなた「うん、だってこの子達肉食だから。手蟲って言うんだよ、悪趣味だよね璃奈ちゃん」

あなた「あの口でね、くっついた人間をちょっとずつちょっとずつかじっていくんだぁ」

海未(そう話している間にもどんどんと、染みからそれが湧いてくる……まさしく悪夢のような光景に心がどんどん恐怖に埋め尽くされていく)

海未「くっ……あ、あなたも早くっ!」

あなた「あ、私ゲームマスターだから大丈夫。生きてたらクンニさせてね、海未ちゃん」

海未「……最低です!」

海未(言って、駆け出す。脱衣所の籠から服を取り、部屋に飛び出した)

海未「っ……! 部屋の中ももう……!」

海未(先程まで快適に過ごせていた部屋は、今やあの不気味な手蟲がそこかしこで家具を齧る地獄のような空間になっていた)

海未(なんとか上の服を着込み、スカートを履き転がるように部屋の外へ飛び出す)

海未「くっ……とにかく、花丸の……」

海未「部屋、に……」
0170名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/07/16(金) 00:28:29.07ID:1zU+o+6D
あなたちゃんいるってことはスクスタ時空なのか
0171名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 00:33:24.42ID:GEjy/A51
「やめてぇぇっ! 食べないでぇぇっ!」

「ああ……カズヤ、ごめん……父さん、もう帰れないみたいだ……」

海未(私が廊下に出て見た世界は……余りに肌色と赤に染まっていた)

海未(壁にも天井にも、あの不気味な手蟲が所狭しと蠢いている)

海未(手蟲の集団がたかっているのは男だろうか女だろうか、くぐもった悲鳴の中ではそれも分からない)

海未「……この中を、走る?」

海未「っ……!」

花丸『海未さんは助けてくれたから……』

花丸『第3ゲームも一緒に生き残るずら!』

海未「う……」

海未(部屋の玄関にはおあつらえ向きにホウキがあった。こんなもの、本来ホテルの部屋にはない……何が休息だ、最初からこのゲームをやるつもりだったんじゃないですか! こんな長い獲物を置くなんて……!)

海未「うぉ……」

海未「うおおぉおおおおおおっ! どけぇぇぇえええっ!」ブォンブォンッ

海未(無理やりホウキを振り回しながら、駆け出す。目指すは花丸の部屋!)

あなた「精々生き残ってよね……第3ゲーム『爆弾探しゲーム』をさ」

あなた「あっ、手蟲やめてもう増えないで口に入ってるまずいまずい、センブリ茶の味する」
0178名無しで叶える物語(SB-Android)
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2021/07/16(金) 10:30:38.16ID:bCDFgAEg
μ'sが生き残ってるのは6人に見えるけど穂乃果が5人と言ってるのは単なる間違いなのかそれとも伏線なのか
自分を含まないのだとしてもそれもなんか不自然だし

あと>>129
>ことり「穂乃果ちゃん!」ブォンッ

>穂乃果「ゴパァッ!?」ドボォッ
の不穏な擬音も気になる
0180名無しで叶える物語(しまむら)
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2021/07/16(金) 15:01:32.55ID:YAaB5O2g
ことりが腹パンしてたとか?
0181名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 19:59:31.68ID:GEjy/A51
海未「うおおおおおおっ!」ブンブン

「キチキチ……」

「キシャァッ!」

海未(キリがない……次から次へと! 花丸の部屋は私の部屋の2階上……エレベーターは)チラッ

「……たすげ……」モゾモゾ

海未(エレベーターホールが手蟲で溢れている……階段を使うしかなさそうですね)

海未「……とはいえ、階段もっ……!」

海未(段差にも手すりにも手蟲が溢れている……文字通りびっしり貼り付いてますね。しかし、ここを通らないとどうにもならない)

海未(クリア条件を聞く前に浴室を飛び出してしまいましたから、何をもってクリアなのかも分かりませんし……!)

海未「どいて……くださいっ!」ダダダダッ

「キシィッ……」ガリッ

海未「っ……!? くっ!」バシッ

海未(太ももを噛まれた……いや、噛み千切られたっ! 肉が、抉られ……)

海未「っ……!」

海未(幸い噛み付きが甘かったのか傷は浅い……これなら、まだ走れます!)

海未「花丸……っ!」ダッ
0182名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 20:09:19.66ID:GEjy/A51
海未(止まれば死ぬ……止まれば死んでしまう……っ!)

海未(太ももから溢れた血が靴を濡らす。1歩踏み出すごとに鋭い痛みが脳を揺さぶり、涙で目の前がぼやける)

海未「ぐっ、ううっ……」バシッ

「キジィッ……!」ガリッ

海未「っ……! 腕を……!」

海未「離れろっ……! っ!」ボトッ

海未「ホウキが! 待っ……!」

海未(私の目の前で、一斉に群がった手蟲達がホウキを齧っていく。池に餌を投げられた鯉のように、一瞬でホウキは手蟲に覆われ見えなくなった)

海未「あ……ああ……っ」

海未(そして気付く。無数の手蟲達に投げられた次の餌は……私だということに)

海未(脳裏をよぎるのは部屋から出てすぐに見えた地獄絵図。彼らは手蟲にまとわりつかれても悲鳴を上げ続けていた)

海未(つまり……)

海未「すぐに、死ねない……ゆっくりと、ゆっくりと肉を齧り取られ食われていく……?」

海未「いや……やだ、やだっ……許してください……」

海未(側に寄ってきた手蟲は払っても払っても、諦めず私にジリジリと距離を詰めてくる。私は……私はこんなところで……)

海未(蟲の餌に……)

海未「うぁ……うぁぁっ……」ポロポロ

海未「助けてぇ……穂乃果、ことり……やだ、私まだ死にたくないですよぉ……」ポロポロ

「キチ……キチ……」

「キシャァァッ!」
0183名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 20:15:24.97ID:GEjy/A51
海未(私の言葉を合図にしたように、一斉に……手蟲達は私の足に飛び掛りました)

海未(肉を抉られ、齧り取られる鋭い痛みに目の前が一瞬白く飛んで)

海未(痛みに倒れ込んだ私の上に、次々とおぞましい手蟲達が飛びかかり次々と肉を抉っていく)

海未「っ……」ジタバタ

海未(痛みが思考を塗り潰していく。私に出来る事は、少しでも手蟲を払いのけようと駄々っ子のようにジタバタと暴れることだけでした)

海未「あぁぁぁ! うぁぁぁぁっ!」ポロポロ

海未「いだいぃぃっ!」

海未「あ……」

海未(私が最後に見た光景は……)

海未(私を嘲笑うように……つり上がった、真っ赤な手蟲の口でした)

ぶ ち り
0184名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 20:25:58.58ID:GEjy/A51
ーーーーー
ーーー


タッタッタッ

海未「……」

海未「……が、あ」

海未(全身が痛い……身体が動かない)

海未(足も手も……唇すらも、まともに動かない。死んだのでしょうか、私は……)

海未「ぐ……」

タッタッタッ

海未(違う……私は、生きてる? 誰かに背負われて、いる……?)

「キチ……キチ……」

海未(痛い……身体中に、熱した鉄板を押し付けられているような痛みが続いています……)

「キシャァァッ」

海未(私の身体、どうなっているんでしょうか……これがVRゲームでも現実でも、なんだっていいですから……こんな痛みが続くぐらいなら、死んだ方がマシですよ……)

海未「おっ……じ……て」

海未(手蟲の声がそこかしこから聞こえていますし、まだホテルの中なのでしょう。おろしてください、そう言おうとした唇はごぼごぼと濁った、意味をなさない単語しか吐きませんでした)

海未(なんで殺してくれないのですか。こんなに痛いのに。そう言いたいのに全身を襲う痛みと熱がそうさせてくれません)

海未「ぎ……」
0185名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 21:00:40.12ID:GEjy/A51
ギィッ

海未「ぁ……」

海未(扉を開ける音……? どこに連れて行くつもりですか……?)

海未(もうなんでもいいです、私を殺してくれるなら……)

海未「……」

「……ジュ、……っちに……せて!」

海未(目を開く。血が眼球に流れ込み、酷く染みる。世界が真っ赤に染まっている)

海未(私を背負っている誰かの顔は、ぼやけ歪んだ赤い視界では禄に見えはしなかった)

海未「が……」

海未(誰かの声が聞こえる。途切れ途切れに……痛みでまともに脳がそれを声と認識してくれない)

ズッ

海未(マッサージチェアのような、ゆったりとした椅子に身体を預ける感触と共に痛みが更に酷くなる。ぐちぐちと、私の肉が悲鳴にも似た音を上げる)

「……らっ、ら……っ……」

「わかっ……る……助け……愛さ……」

海未「い、だ……」

海未(かたん、と軽い音と共に急に視界が暗闇に染まった。ドボドボと液体が流れ込む音が聞こえる……溺死させるつもりなのでしょうか)

海未(不思議と、液体に痛みはありませんでした。染みることもない……僅かに粘性を持った液体が身体を包んでいく)

海未(何かに満たされたような、痛みが僅かに楽になったような感覚の中、私はゆっくりと……意識、を……)

海未(……)
0186名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 22:13:22.34ID:GEjy/A51
海未「……あぁっ!」ガバッ

海未「はぁ……はぁ……」

海未「はぁ……あ……?」ギュッ

海未(手が動く……足も、ある。今のは夢だったんですか……?)

海未(そんなわけがありません、私は確かに……あの手蟲達に食われた。肉を削ぎ落とされ、骨を砕かれ、鼻をもぎ取られ……あの痛みが嘘だったとは思えない……)ブルッ

海未「ぐ……っあ……はぁ」ボキボキッ

海未「ずっと眠っていたような気分ですね……身体中がこわばってる……」

海未「……ここは。まだホテルの中、ですよね? 手蟲は……」

タッタッタッ

海未「っ!?」

花丸「ふぅ……ふぅ……。中々大変ずら……あっ!」

花丸「海未ちゃん! 目が覚めたずら!? ずっと眠ってたから……!」

海未「花丸……!? 良かった、生きていたんですね……!」
0187名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 22:30:47.97ID:GEjy/A51
花丸「それはこっちのセリフずら! 海未さん、あんなに、あんなに……」

花丸「ほんとによかった……」

海未「……花丸」

海未「一体何があったのですか? 私は確かに……っ、ゲームは! ゲームはどうなったのですか!?」

花丸「第3ゲームはまだ終わってない」

花丸「けどもうすぐ終わるずら。マルが爆弾の解除コードも聞き出したから」

海未「爆弾? 解除コード……? 手蟲はどうしたのですか?」

花丸「あぁ……そっか。海未さん、シャワーを浴びてたからゲームの内容聞いてなかったんだね」

花丸「第3ゲームは【爆弾探しゲーム】、内容は単純で……手蟲から逃げながら、ホテルのどこかに隠された爆弾を見つけて解除するゲームずら」

海未「爆弾……この手蟲の群れを掻い潜りながらそんなものを……」

花丸「……大丈夫、もう爆弾の場所も、解除コードも分かってるから……」
0188名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 22:58:23.20ID:GEjy/A51
花丸「ただこのゲームにはもう一つルールがあって……制限時間があるずら。爆弾が爆発するまで3時間しかない」

海未「3時間……!? わ、私はどのくらい寝ていたんですか!? は、はやくクリアしなければ……!」

花丸「海未さんが寝てたのは……30分くらい? まだまだ時間はある」

花丸「それからもう一つ。このゲームで生き残れるホテルは20だけずら」

海未「20だけ……?」

花丸「20のホテルが爆弾を解除した時点で、残りのホテルは全て爆破される」

花丸「一つのホテルに1000人……1980個のホテルは、どう足掻いても助からない。仮に助かったホテルの全員が生存しても2万人しか生き残れないずら……」

海未「そんな……一気に人数を……」

花丸「オラ達のホテルは大丈夫ずら。むしろ1番先に爆弾を解除できるまであるから……」

海未「そう、なのですか……? 何故そんなに早く……」
0189名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 23:05:22.09ID:GEjy/A51
花丸「それはあい……」

花丸「……」

海未「……あい?」

花丸「海未ちゃん、耳を貸して……」

花丸「ここじゃ言えないずら。撮られてるから……誰が見てるか分からない」ボソッ

海未「……っ!?」

海未(カメラ……? ならばやはり、これは花丸の言っていた『悪趣味な金持ちによるデスゲーム』……!?)

花丸「終わったら……きっとチャンスがあるから。その時話すずら」ボソッ

海未「……分かりました」ボソボソ

花丸「とにかく解除しにいこうよ。爆弾なら地下のボイラー室にあるから」

海未「ま、待ってください……! しかし、手蟲がっ……!」
0190名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 23:21:53.20ID:GEjy/A51
花丸「手蟲も大丈夫だよ、この部屋にもいないでしょ?」

海未「……言われてみれば、そうですね。一体これは……?」

花丸「手蟲はオラ達の呼吸に反応してたんだよ。正確には呼吸した時に出てくる二酸化炭素らしいけど……」

花丸「だから上階の別の部屋に、引き出しに入ってたマッチで火をつけたずら。濃度が濃い方に向かうらしいから、多分ほとんどそっちに向かってるよ」

海未「それもその……」

花丸「そういうこと。だから、早くクリアするずら」

花丸「逃げ遅れてる人もいるかもしれないし……クリアさえすれば大丈夫だから。先導隊がもう地下に行ってるから……もうすぐクリアするかもしれないけど」

海未「……わかり、ました。それなら……」

ピコーン

海未「!?」

『おめでとうございます! 爆弾が解除されました!』

『このホテルは2番めに爆弾を解除しました。第3ゲーム、クリアです! ただ今より次の会場に皆さんを移動させますので、そのままお待ちください』

海未「……終わった、みたいですね。ほとんど寝ていただけなので実感はないですが……」

花丸「そっちの方がいいずらよ。外は……酷い状態だから……」

海未(……けれど、何故私は生きているのでしょうか。確かに、私の身体は……ボロボロに噛み千切られたのに)

れろん

海未「んあっ!」

花丸「な……なに急にやらしい声出してるずら!?」
0191名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 23:28:42.92ID:GEjy/A51
海未「い、今誰か私の……だ、大事なところを舐めたような……」

海未(よくよく考えたら……シャワーを浴びた後、大急ぎで服を着たせいでパンツを履いたような気がしません)

花丸「マルはそんなことしてないよ!?」

海未「で、ですよね? 気のせい……」

れるれろぉ

海未「ぃひんっ!」ビクンッ

海未「や……やっぱり誰かいます! 誰ですか!?」ガバッ

花丸「ちょ……海未ちゃん! スカートを……っ!?」

海未「……」

あなた「……」ペロペロ

海未(ベッドから舌と顔の前半分だけ生えてる……)

海未「何を……破廉恥な真似をしているんですかぁっ!」ドゴォンッ

あなた「めぎゃぁっ!?」ボムゥン

あなた「ひ、酷いよ! 第3ゲーム生き残ったらクンニさせてくれるって言ったのに! 顔を殴るなんて酷いよぉ!」

海未「言ってませんそんなこと! 不気味ですから出てきてください……!」

花丸「ど、どきどきしたずら……」

あなた「もう……折角激励に来たのにさ。花丸ちゃん、よかったねぇクリア出来て」

花丸「……」

あなた「ズルして生き残るなんてさぁ……死んでいく他のホテルに申し訳ないよねえ。いや、いいよいいよ。クリアする方法があるんだもん、使うのが当然だよね」

花丸「別に……ズルなんてしてないずら」
0192名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 23:36:50.24ID:GEjy/A51
あなた「ふーん、ズルじゃないんだ」

あなた「運営側にクリア方法を教えてもらうっていうのは」

花丸「……! そんな、ことっ!」

あなた「あっ、気にしなくていいよ。クリアした時点で映像切れてるからさ。璃奈ちゃん達にバレる可能性は0だよ」

あなた「勿論私も言わないよ。言うんだったら既に報告しに行ってるって」

花丸「……あなたは、運営側じゃないの?」

あなた「運営側だよ。ゲームマスターだもん。欲望の例外だしね」

あなた「その辺の事情も聞いてるんだよね?」

海未(いれぎゅらー……確か歩夢もそんなことを言っていた気がしますね)

海未(寂しがりやの例外とかなんとか……)

花丸「なんで運営側の人間がマル達のことを秘密にするずら? 敵なんでしょ?」

あなた「そーそー敵だよ敵。みーんな殺しちゃえって命令されてるんだよね、私達」

あなた「ただまぁ……なんていうか、皆が殺意とか嗜虐の方向に性格いじられてるのに、何故か私だけ性欲フルスロットルにいじられてて……そこまで他人殺したいとか思わないんだよね。命令だからやるけどさ」

あなた「殺人よりむしろ一晩中海未ちゃんや花丸ちゃんとレズセックスしてたいよ!」

海未「殺意の方がまだマシなくらい狂ってませんか……?」
0193名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 23:43:01.99ID:GEjy/A51
あなた「で、まぁズルはズルじゃん? 他のホテルが必死に頑張ってるのにさぁ」

あなた「愛さんにクリア方法教えてもらうなんて」

花丸「……」

海未「愛が……? そうなのですか、花丸」

あなた「そうなんだよ。この可愛い可愛い花丸ちゃんはさ、愛さんにどこに爆弾があるか、どこに解除コードがあるか、手蟲にはどう対処すればいいか……全部聞いてこのホテルを救ったんだよ。攻略サイト見る現代の若者だよ……悲しいね」

花丸「……」

海未「……失敗すれば命を失うゲームです。攻略方法を知れるなら、誰でもそうしますよ。私はズルだとは思いません」

あなた「ズル筆頭は良い事言うねぇ」

海未「ズル筆頭……!? わ、私が何をしたと言うのですか!?」

あなた「だって海未ちゃん、本当は死ぬ筈だったじゃん」

海未「……っ!?」

あなた「手蟲に食われてさ。いやー、酷いもんだったよ。人間の形してなかったからね」

あなた「あ、写真撮ってたんだった。これこれ」スッ
0194名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/16(金) 23:52:03.31ID:GEjy/A51
海未(見せられたスマートフォンの画面……その中には、気味の悪い赤い塊が写っていました)

海未(それが人間だと気付くのには、少し時間がかかりました。それは文字通り……人間の形をしていなかったから)

海未(手足が食い千切られ、全身の皮膚が引きちぎられ、鼻は無い。かろうじてまぶたと頭皮、足の先に皮膚が残っているくらいの……出来損ないの人体模型のようなものがそこにはありました)

海未「これ、は……」

あなた「これ、海未ちゃん。流石にこの状態じゃエッチなことしようって気は起こらなかったなぁ」

海未「……やはり、やはりあれは。肉を食い荒らされた痛みは……本物だったんですね……」

海未「し、しかし私はこうして五体満足でここにいます!」

花丸「海未さん、それは……」

あなた「だからズルなんだよね。死ぬ人はちゃんと死ぬ、これがこのゲームのルールなのに……ランジュちゃんに手蟲の中から引き出されて、愛さんに治療してもらって、今ピンピンしてここにいるんだから」
0196名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/17(土) 00:01:08.05ID:Pxvu93Ec
海未「ランジュまで……」

あなた「愛ちゃんが映像ごまかして、その間にランジュちゃんが映像の撮られないスタッフルームに運ぶ。治療ポッドで回復……これ璃奈ちゃん知ったら絶対怒るよ」

あなた「また愛ちゃん殺されちゃうんじゃないかなぁ!」

海未(……また?)

海未「……言わないんですよね?」

あなた「うん、言わない言わない! だって人殺しより面白そうだもん!」

海未「……」

海未「そういえば……私達のホテルは2番目にクリアした、と先程の放送で流れていましたが」

海未「運営側の人間に協力してもらった花丸より早いなんて……一体どこのホテルなのですか? そこでも愛やランジュのように、助けてくれるゲームマスターが?」

あなた「んー? まさかまさか。誰か助けようとする狂った奴なんて愛ちゃん達しかいないって」

あなた「自力でクリアしたんだよ、彼女達は……うーん、本当は私達側から説明しちゃいけないんだけどね、こういうの」

あなた「ま、海未ちゃんと花丸ちゃんならいっか。彼女達は2人と同じ学校だしね」

海未「同じ学校……ま、まさか1番最初にクリアしたのは……」

あなた「うん、穂乃果ちゃん達のいるホテルだよ」
0197名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/17(土) 00:09:56.90ID:Pxvu93Ec
海未「……だ、誰か頭の良い人でもホテルにいたのですか?」

あなた「いたよ。ハーバード卒のインテリ、エレベーターホールで死んだけど」

あなた「誰か他人がクリアしたわけじゃない。穂乃果ちゃん、ことりちゃん、ルビィちゃん、理亞ちゃん……映像見る限り正直この4人だけでクリアしたようなもんだよ」

あなた「この短時間で他のプレイヤーが全滅してる……というか4人に殺されたのも凄いけどね」

海未「穂乃果達が……殺した?」

海未(確かホテルには1つのホテルには1000人のプレイヤーがいる、と花丸は言っていました)

海未(だとすると……僅か30分ほどで996人のプレイヤーを? 穂乃果が? ことりが? ルビィが? 理亞という方は存じませんが……)

海未「嘘です……穂乃果もことりも、優しい子なんですよ? そんな……そ、それにそのような短時間で虐殺するような技術も持ち合わせておりません! あなたは嘘を吐いていますっ!」

花丸「……」

あなた「……花丸ちゃんは分かるよね? 愛ちゃんから聞いてるだろうし」

花丸「……」

花丸「……例外化、だよね?」

あなた「そういうこと」

海未「どういうことですか……? 例外というのは先程も聞きましたが……それはゲームマスターの称号のようなものでしょう? それが穂乃果達に何の……」
0198名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/17(土) 00:13:29.55ID:Pxvu93Ec
あなた「……んー」

あなた「説明するの面倒くさい。ややこしいし」

海未「なっ……!?」

あなた「花丸ちゃんから聞いてよ。多分映像に映らない隙はあるだろうからさ」

あなた「いや待てよ」

あなた「海未ちゃんか花丸ちゃん! どっちでもいいから私と貝合せをしてくれたら、例外のことを教え……」

『転送を開始します』

海未「うわっ!?」ビュン

花丸「ずらっ!?」ビュン

あなた「……て、あげる」

あなた「……」

あなた「歩夢ちゃんとやるかぁ! あの子もうさぎになって性欲強まってるし!」
0199名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/17(土) 00:18:56.49ID:Pxvu93Ec
ーーーーー
ーーー


海未「……っと」

海未「ここは……またややこしそうな。森の中、ですか……?」

花丸「……海未さん、大丈夫ずら?」

海未「私は大丈夫です、心配をおかけしました……」

海未「……」

海未(穂乃果達が人々を虐殺した……そんな筈がありません。それでは、それではまるで……殺人を楽しんでいるようではないですか)

花丸「……多分、信じられないと思うけど。あの人の言ってたことは恐らく事実ずら」

海未「花丸までそのような……ルビィもいるのですよ!? あの小動物のようなルビィが人を殺せると思いますか!?」

花丸「思うよ……」

海未「!?」

花丸「だって、だってルビィちゃんは……」

海未「花丸……」




「あっ、海未ちゃんだっ!」
0200名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/17(土) 00:29:01.13ID:Pxvu93Ec
海未「!? この声は……」

穂乃果「よかった……第3ゲームもクリア出来たんだね! 第2ゲームまでクリアしたのはフロントで聞いて知ってたけど……!」

穂乃果「もう二度と会えないかと思ったよ」グスッ

海未「えぇ……そちらも無事に突破出来たようでよかったです」

海未(やはり……いつも通りの穂乃果ではないですか。普段となんら変わりのない……)

海未(こんな優しい子が、何百人も殺そうとするわけありません! 絶対にあの人は嘘吐きです!)

ルビィ「花丸ちゃーんっ!」ギュッ

花丸「る、ルビィちゃん……」ビクッ

理亞「久しぶり、花丸」

花丸「理亞ちゃんも、ひ、久しぶり、ずら……」ビクビク

ルビィ「うゆ……会えてよかったよぉ……で、でも善子ちゃんも、お姉ちゃんも死んじゃって……」

花丸「……う、うん……そうずらね」

海未「……?」

穂乃果「ことりちゃんも来なよ! 海未ちゃんだよ、ことりちゃん!」

海未「やっと会えましたね、こと……り?」
0201名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/07/17(土) 00:34:12.41ID:Pxvu93Ec
ことり「……」ブツブツ

海未「ことり……?」

ことり「……」ギロッ

ことり「だから……って、私が……ったのに」ブツブツ

ことり「あはははははっ! トッリが飛んでるよぉっ! ひひひひっ!」ダダダダッ

海未「こ、ことりっ!?」

穂乃果「ごめんね海未ちゃん……第3ゲームが始まるまでは、ことりちゃん普通だったんだけど」

穂乃果「やっぱり……こんな恐ろしいゲームだもん、精神が壊れちゃったのかな」

海未「……」

穂乃果「でもでも、ことりちゃんは私達の親友だもんっ! ことりちゃんのこと、守ろうねっ!」

海未「……そう、ですね」

海未(おかしい……ことりが走り出す前に見せた表情は、明らかに恐怖でした。それもその視線は……穂乃果に向けられていたような気がします)

海未(……まさか、ですよね)
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