梨子「狙った獲物は逃がさない、怪盗リリーなんだから♡」
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〜十千万旅館〜
千歌「ねえねえ!二人とも今朝のニュース見た?またリリーがすごかったんだって!」
梨子「ねー。博物館から華麗に宝石を盗んじゃったんでしょ?」
千歌「うんうん!おっきな満月を後ろにしてさ!こう、しゅぱーん!って!ちょ〜カッコよかったんだよ曜ちゃん!」
曜「……」
千歌「よーちゃん!!………曜ちゃん?聞いてる?」
曜「はぁ……」
曜(私の名前は渡辺曜。大切な幼馴染に十年来の恋をする、ただの普通の警察官です)
曜(この春からは捜査一課に配属されることが決定して、いよいよ念願の刑事さんに。生活も少しは安定するだろうし、いよいよ千歌ちゃんとも結婚かな。なんて考えていた矢先に……)
曜「はぁ……」
千歌「どしたの。おっきなため息なんかついちゃって」
曜「どうしたもこうしたもないよ。こっちはそのリリーに毎日悩まされてるんだから」
梨子「曜ちゃんたち、いっつもリリーを取り逃がしてるものね」
曜「た、たまたまだし!まだ捕まえられてないってだけだし」
千歌「えー!?捕まえちゃうの!?人気者なのに?」
曜「人気者でも悪いヤツは捕まえなくちゃなの!他人に迷惑かけちゃいけないんだからね!」 千歌「リリー、リリー♪ニュースで特番やってないかな〜」ピッ!
梨子「千歌ちゃんってばすっかりリリーのトリコね」
千歌「えへへ〜♡」
曜(はぁ……)
曜(私が怪盗リリーを捕まえなくちゃいけない理由はもう一つあって、それは千歌ちゃんの心を取り戻すこと)
曜(この前テレビで怪盗リリーのニュースを見てから、千歌ちゃんはすっかりリリーにお熱みたいで、いつも私と梨子ちゃんにリリーの話を持ち掛けてくる。こっちは取り逃がしてる側の警察官だっていうのに……)
千歌「すごいよね〜リリーって!それに知ってる?リリーって百の声をもつ大怪盗なんだよ!」
梨子「確か声のプロフェッショナルで、誰の声でも自由に真似できるのよね」
千歌「プロフェッショナルか〜。ふふっ、まるで梨子ちゃんみたいだね」
梨子「もう、からかわないで。私はそんなんじゃないってば」
千歌「でも素顔も素性もわかってなくて、わかってるのは女性だってことだけだなんて不思議だよね〜。いつか直接会ってみたいな〜」
曜(でもきっと私がリリーを逮捕出来た暁には、千歌ちゃんは目を覚ましてくれるって信じてる。これは一過性の軽い病気みたいなもので、本物の愛はここに、私との間にあるんだもん) 千歌「はわぁ〜♡かっこいいなぁ〜♡」
梨子「そうね、無能な警察さんとは大違いよね」チラリ
曜「んなっ!?」
ガタッ!
曜「む、無能なんかじゃないもん!私が絶対にこの手でリリーを捕まえて見せるんだから!!」
梨子「ほんとに?」
千歌「おぉ〜!」パチパチ
梨子「……」
梨子(ふーん……)
曜「ほんとのほんと!約束する!」
曜「千歌ちゃん、私約束するよ!必ず千歌ちゃんにリリーの素顔を見せてあげるって!もちろん牢屋の中でになると思うんだけど……だ、だから!だからさ!!」
志満「千歌ちゃーん?郵便受けに千歌ちゃん宛ての封筒入ってたわよー!」
千歌「はーい!今行く!」テテテッ!
曜「だ、だからさ!ほら!!//私たちもう知り合って長いし、そ、そろそろ、その……け、結婚とか、二人暮らしとか考えてもいいのかな、なんて………でへへ♡」
梨子「……」
曜「……あれ?千歌ちゃん?」キョロキョロ
梨子「千歌ちゃんなら志満さんに呼ばれて下に行っちゃったわよ」 梨子「はぁ……そんなんじゃいつまで経っても捕まえられやしないわよ」
曜「そ、そんなことないもん!日本の警察は優秀で
梨子「違うわ。そっちじゃなくて千歌ちゃんの方」
曜「ち、千歌ちゃん!!?///どどどどうして千歌ちゃんの名前が
梨子「だって好きなんでしょ?」
曜「すすす好きってより!!そ、その、すごく好きって言うか……///」テレテレ
梨子「……」
曜「も、もしかして狙ってるの!?だめっ!!私がずーっとキープなんだからね!!」
梨子「ずっとっていつから?」
曜「しょ、小学校くらいの時から……//」
梨子「……はぁ、まあいいわなんでも」
梨子「でもこれだけは言える。この世の中に盗めないものなんて一つも存在しないってこと。どんなに固く鍵をかけたって、魔法でするりと解き明かされていくの」
曜「……」
梨子「だから曜ちゃんも油断しない方がいいわよ?うじうじしてるといつか誰かに盗まれちゃうんだから」
曜「……わかってるもん。私は私で色々考えてアタックしてるつもりで
千歌「たいへーん!!大変だよ二人とも〜っ!!!」ドタドタ!! 梨子「千歌ちゃん?どうかしたの?」
千歌「見て見て!!これ!!ついにウチにも来たんだよ〜っ!!」
曜「来たって何が?」
千歌「じゃじゃーん!!怪盗リリーからの予告状!!」
曜「んなっ!?」
梨子「予告状?」
千歌「二人にも見せてあげるね!これがその……」ビリビリ
曜「だめ!触らないで!!」
千歌「えっ?」
曜「何か仕掛けが施されてるかも!それにこういうのは証拠品として
梨子「大丈夫よ、爆弾とかじゃなさそうだし。貸して」ヒョイッ!
曜「あっ!」
曜(指紋とか調べたかったのに……)
梨子「ふぅん、これがその予告状なのね。へぇ……」
曜「と、とにかく!!これは警察で預かるから!!あと千歌ちゃんは警察に連絡して大人しくしてて!!ね?」 〜静岡県警〜
曜「あっ、ルビィちゃん警部補!鑑識の結果どうだった?」
ルビィ「やっぱりリリーの指紋は出てこなかったって。千歌ちゃんと梨子ちゃんと曜ちゃんと、それと志満さんの指紋くらいで、他の人のは……」
曜「わかった。ありがと、ルビィちゃん」
曜(やっぱり出なかったか……まあリリーがそんな単純なミスなんてするわけないもんね)
善子「ふわぁ〜……おはよ、曜」
曜「こら!勤務中にあくびしない!それと仕事中は曜ちゃんじゃなくて曜ちゃん警部だよっ!」
善子「いいじゃないあくびくらい、許しなさいよ。それで、肝心の予告状にはなんて書いてあったの?」
曜「『十六夜の闇の中、橙の宝珠、蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫を頂きに参上します。怪盗リリー』……だって」
善子「ふーん……十六夜っていつ?」
曜「明日の夜だね」
善子「明日!!?」 ルビィ「何か特別なことでもあるのかな?」
曜「十千万とホテルオハラが共同して、ミニ展覧会をやるんだって。多分その機を狙ってるんじゃないかな?」
善子「展覧会?」
花丸「地域振興の一環行事ずら」
善子「ふーん……」
ルビィ「じゃ、じゃあその展覧会を中止か延期にしてもらうようにお願いすれば……」
曜「ん〜、それがどうも無理そうなんだよねー。千歌ちゃんこの日のためにすっごく色々頑張ってきてたみたいだし、中止にするのもなんか可哀想だし」
ルビィ「せめて宝石の展示だけでも無しにしてもらうとかは……」
曜「それも美渡姉が反対してて……十千万の一番のお宝を展示しないようじゃホテルオハラと釣りあいが取れないって……」
花丸「まあ千歌ちゃん家の旅館ってそんなに見せられるものなさそうだもんね」
曜「あはは……でも大丈夫!そのために警察がいるんだよ!!」
曜「入念に対策すればだいじょーぶ!時間はあと残り少ないけど、必ず団結してリリーを捕まえるよ!いいね!!」
ルビィ「はいっ!」 〜そしてホテルオハラ〜
ルビィ「わぁ……!!」
善子「これが、蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫……」
ルビィ「きれい……」
花丸「見てるだけで吸い込まれていっちゃいそうずら〜……」
善子「そうね。オレンジの暖かい光が、まるで新しい太陽みたい……」
ルビィ「なんかね、天然由来のものでここまでオレンジなのはすっごく珍しいの!」
花丸「そうなの?」
ルビィ「うん!宝石ってもともと鉱石の一種なんだけど、特定の波長の光を吸収する性質を持つんだって!それでたまたま鉱物の成分に良い条件が重なると、こうやって綺麗なオレンジの光になるんだよ〜」
花丸「未来ずら〜」
善子「ふーん……ってあんたなんでそこまで詳しいのよ」
ルビィ「えへへ、この前お昼のワイドショーでやってた!」 花丸「それにしても一生見ていられそうなほどキレイだよね〜……」
ルビィ「うゅ〜……」
善子「よはぁ〜……」
曜「はいはい、見終わったら元の場所に戻る!今日はちゃんとしたお仕事なんだからね」
曜「花丸ちゃんたちは外、私たちは内側だよ。ほらほら持ち場について」グイグイ
ルビィ「えぇ〜?」
花丸「マルたちだってもうちょっと宝石見ていたいずら」
曜「今はそれよりも宝石の死守だよ。ほら、職務に戻る!」
ルビまる「はーい……」トボトボ
善子「……何よ、一人で千歌の宝石独占するつもり?」
曜「そんなんじゃないってば。ほら、善子ちゃんはあっち、私はこっち!ちゃんと見張っといてよね!」
鞠莉「そうデース!この展覧会は内浦にとって地域の宝!ちゃんと警備してくれないと困りマース!」 曜「ま、鞠莉ちゃん社長!お勤めご苦労様であります!!」ビシッ!
鞠莉「ハーイ、ぽりぃ〜すの方々もご苦労様デース!」キャルン♪
善子「……」
鞠莉「この地域振興展覧会はもともとこの地にやってきたホテルオハラ主導の下に行われてきた由緒正しきエキシビション!失敗に終わるなどあり得ませーん!!」
鞠莉「ビッグなジュエルだけでなく、我がオハラ家に代々伝わる家宝を数多く展示しているのデース!ちゃんと守ってくれマースよね、日本のぽりぃ〜すウィメンの皆さん〜?」
善子(どうして難しい日本語を使いながら英語の方はカタコトなのよ……)
鞠莉「え?マリーのオススメの展示物?ん〜、そうね〜……あ、これとかどう?マリーのスケール2/1のおっきなチョコレート像とか!」
鞠莉「去年パパがマリーの誕生日にプレゼントしてくれたの!中までぜぇ〜んぶチョコで出来てるのよ?すごくない!!?上から食べても下から食べても、最後までチョコたっぷり!なんちゃって〜、むふふふふふ………♪」
善子「いや誰もそんなの興味ないから。ビッグなジュエルだけで十分だから」
鞠莉「なんですって!!!?」ギロッ!
善子「ひっ!?」
曜「!!?」ガバッ!!
善子「もがっ!!?」
曜「す、すみません!!ウチの部下が飛んだ失礼を!!!」ペコペコ!!
鞠莉「はぁ……まあいいわ別に。マリーは寛大だから許してあげる。それより展覧会の方は無事に成功させてよね。我がオハラ家としても命運をかけたものなんだから」 曜「はぁ〜………って善子ちゃん!!!」
善子「なによ」
曜「鞠莉ちゃんのことあんまり刺激しないで!!!あれでも名家のお嬢様なんだから!!!」
善子「知ってるわよそれくらい」
曜「それに鞠莉ちゃん今回の展覧会の件で、リリーのことも合わさって千歌ちゃん家の方に話題とられっぱなしなことに若干ご立腹みたいで……」ヒソヒソ
善子「はぁ、色々複雑なのね。名家のお嬢様ってのも」
志満「ふふふっ、二人とも頑張ってるみたいね。お疲れ様」 曜「志満姉!そちらこそ色々とご苦労様であります!!」ビシッ!
志満「二人とも宝石の監視中?頑張ってくれてるのね」
曜「はいっ!千歌ちゃんのためにいつもいかなるときも全速前進でありますから!!お義姉様!!」ビシッ!!
志満「はいはい。でもね曜ちゃん、重要なことを忘れないで欲しいの」
曜「……?」
志満「もちろんお金も宝石もとっても大事だけど、一番大切なのは人の命。亡くなった人は戻っては来ないもの」
志満「だからね、私の大切な二人の妹。なにがあっても頼んだわよ、刑事さん」
曜「モチのロンであります!!誰よりも大切な千歌ちゃんの命だけは!渡辺曜!この命に代えてでも守り通して見せるでありますっ!!」ビシッ!!!!
志満「あ、うん私的には美渡の方もよろしくお願いしたいんだけどね」 ◇———◇
曜「いよいよ決戦の夜……」
善子「予告時間ね」
曜「うん。気を引き締めて行こう」
曜(もう日も落ちてからだいぶ時間が経ってきたし、ここからはいつリリーが現れてもおかしくない……)
曜「……」キョロキョロ
曜(……あれ、そういえばリリーってどうしていつも夜に出てくるんだろう?)
曜(確か千歌ちゃんの話でも)
千歌『おっきな満月を後ろにしてさ!こう、しゅぱーん!って!ちょ〜カッコ良かったんだよ!!』
曜(やっぱりリリーは夜に暗躍する……怪盗には夜が似合うから?でも他に、もっと合理的な理由が……)
「「きゃぁぁぁぁぁっ!!!」」
曜「!?」
善子「なに今の!!?」 曜「落ち着いて!!まずは状況確認!!持ち場を離れないで!!」
パシュッ!!!
善子「わっ、まぶしっ!!!」
曜(もしかして閃光弾!!?)
ブォン!!!
善子「こ、今度は停電!!?」
曜「善子ちゃん一歩も動かないで!!確認したように!!まずは人を通さないこと!!大丈夫!!動かなければ絶対守れる……」
プシューッ!!!!
曜(今度は煙!?もしかしてこれって……)
善子「麻酔、ガス………」
曜「なっ……」
ルビィ「だ、大丈夫ですか!!?」バタン!!!!
花丸「ずらっ!?」
ルビィ「ぴぎぃっ!!これってもしかして眠くなるやつ……」
曜「ル、ルビィちゃん、だめっ、扉開けたら……ガス……ルビィちゃん、お願い……」
曜(ね、眠るな私!!ここで意識を失ったら、全部が全部、リリーの思うつぼ……)
………
……
… ??「……」
ギィィーッ…
??「ふぅ……んん〜っ!!今日も月明かりが綺麗よね。まさに絶好の睡眠日和って感じかしら?」キョロキョロ
テクテク
梨子「さてと、蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫は……あら?」
梨子(ヘンね。事前の下調べの時は確かにここに展示されてたのに)
梨子「いったいどこに……」
曜「そこまでだ!!!怪盗リリー!!!」 曜「お前の計画は全てお見通しだ!!大人しく私に逮捕されてもらうよ!!」
梨子「へぇ……曜ちゃんは起きてたのね。周りの娘たちはみ〜んな寝ちゃってるのに」
曜「私はあんなチンケな仕掛けには引っかからないよ!それに千歌ちゃんが教えてくれてたからね」
曜「リリーは夜に暗躍する。思わぬ停電に備えて目を慣らそうとしてたんだけど……つぶってたのが功を奏したみたいだね」
梨子「……」
曜「だから床のガスの仕掛けにもいち早く気付いたってわけ。タネがわかればあとは簡単だよ、息を止めるだけだもん。それに私、肺活量にはちょっとだけ自信があるんだ」
梨子「ふふっ、驚いた。まさか曜ちゃんが私の罠を破るだなんて」
曜「どうやら私の勝ちみたいだね。観念してもらおうか?」
梨子「そうね、私の負けよ。大人しくお縄についてあげる」
曜「……へ?」 曜「……」
梨子「……?」
梨子「逮捕しないの?」
曜「あ、うん。今する。するけど……」
梨子「ほら、じゃあさっさと手錠かけてよ」
曜「あ、うん……」
カチッ!
曜「……ありゃ」
曜(おっかしいな〜、普通ならここで逃げる犯人を華麗に追い詰めるシーンが入ると思ったんだけどな〜……) 梨子「はい、これで私は捕まりました。それじゃあなんでもしていいわよ」
曜「へ、なんでも?」
梨子「ん、今なんでもって言ったわよね?」
曜「言い出したのはそっちの方だよ!?」
梨子「やめてぇ!!私に乱暴する気でしょう!?エロ同人みたいに!!」
曜「警察官はそんなことしないよっ!!!///」
梨子「……しないの?エッチなことが目的じゃなかったの?」
曜「ただ犯人を捕まえたかっただけなんだから!!//」
梨子「そう。じゃあ捕まるわけにはいかないわね」
スルッ!!
曜「!?」 曜「ど、どうして!?さっき手錠かけたはずなのに!!」
梨子「怪盗だもの、手錠の一つや二つ外せて当然だわ」
曜「ぐぬぬぬぬ………!!!!」
梨子「それと〜♪」コチョッ
曜「わひゃっ!//」
梨子「んっ……あなたが大切に持っていたこの蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫はしっかりと頂いてくわ」
曜「んなっ!?」
曜(さ、さっきまでポケットの中に入れて守ってたのに………!!あんな一瞬で!)
梨子「じゃあまた会いましょうね、可愛い刑事さん♡」シュタッ!
曜「ま、待て!!怪盗リリー!!」
梨子「それと下着はもう少し大人っぽいものにしとかないと、大切な幼馴染に求めてもらえないわよ?」
曜「よ、余計なお世話だっ!!!!///」 〜翌日 静岡県警〜
善子「……で、リリーを取り逃がしたと」
曜「はい……」
善子「まったく、肝心なところで役に立たないのね」
曜「床でおねんねしてた善子ちゃんには言われたくないもん」
善子「ま、でも別にいいんじゃない?宝石にはちゃんと仕掛けをしておいたはずだし」
曜「そうだけど、なんか悔しさが残るって言うか……」
善子「にしてもリリーってほんとにすごい策を使うのね。ビックリしちゃった」
曜「……」 善子「そういえばリリーと言えばさ、こんな都市伝説知ってる?」
曜「都市伝説?」
善子「ええ。なんでもリリーを直接目にした女性はその瞬間必ず恋に落ちるって言うのよ。いま女子高生の間でまことしやかに囁かれてるんだって」
曜「……善子ちゃんも?」
善子「いや、ってか私はリリーに直接会えてないし。そういう曜はどうなのよ」
曜「ふぇっ!?//わ、わたしぃ!!?」
善子「直接対決できたんでしょう?どんな感じだった?何か特徴とか感じたこととか」
曜「あ、いや、なんか、ちょっとふざけた空気感になっちゃったってだけで……///別に多分向こうも本気だったってわけじゃなくて……//」
ガチャッ!
ルビィ「た、大変ですっ!!大変です〜っ!!!」 曜「何があったの、ルビィちゃん警部補?」
ルビィ「あ、あのっ!!これが!!リリーからの封筒が直接!!県警のポストの中に!!!」
善子「ええっ!!?」
曜「ルビィちゃんは今直ぐ鑑識にそれ回して!!善子ちゃんは警視にこのことを連絡して!!」
ルビィ「は、はいっ!!」テテテッ!!
曜「……」 ◇———◇
曜「中身は、一つのタブレット……」
花丸「予告状じゃなかったね」
善子「そういうのは直接宝石の持ち主に出すんじゃない?前回もそうだったみたいだし……」
曜「……」
花丸「じゃあいったい何の意図があるずら……?」
ルビィ「あ、見て!タブレット、誰か映ってる!!」
ピッ!
梨子『あ、ん、んん〜っ……聞こえるかしら、刑事さんたち?』
曜「!?」
善子「怪盗リリー!!?」
梨子『そう、私。怪盗リリーよ。今日もお勤めご苦労様』
ルビィ「もしかしてテレビ電話?」
花丸「未来ずら〜!」 梨子『さて、今日電話した要件なんだけど……頭の良い警察さんなら察しがついているのよね?』
曜「……」
梨子『そう、これよ。昨日いただいた蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫』
梨子『これ、まさかとは思ったけど……』
パキッ!
花丸「ずらっ!?」
ルビィ「壊しちゃったよぉ!!?」
梨子『やっぱり、その反応……精巧な偽物にすり替わっていたのね、最初から』
曜「……」 梨子『で、本物の蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫は県警の金庫に保管してあるってわけね。違う?』
善子「んなっ!!?ど、どうしてそれを……!!それは警察しか知らないはずなのに!!!」
梨子『ふふっ、やっぱり。じゃあ今日の日付が変わる時間までに必ず頂きに参上するわ。首を長くして待っててね、曜ちゃん♡』
曜「……応じられるわけないじゃん。そんな提案」
梨子『うふっ、そう言ってくれると思って曜ちゃんのために素敵なプレゼントを用意しておいたの♡じゃじゃーん!!』
プツッ!
花丸「急に真っ暗になっちゃったずら」
善子「何よ、急に電波不良?」
ルビィ「ううん、よく見ると誰か映ってるような……」
曜(うっすら見えるオレンジの三つ編み、幸せそうな可愛い寝顔……まさか!!?)
曜「千歌ちゃん!!?」 梨子『やっと気づいた?本当に可愛いもんね、千歌ちゃんって♡』
曜「千歌ちゃん!!千歌ちゃん!!!返事して!!!」
梨子『無駄よ。そっちの声は伝わらないようにしてあるの』
曜「ぐぬぬぬぬ……!!!」
梨子『それと知ってる?怪盗リリーにまつわる都市伝説』
ルビィ「都市伝説?」
善子「知ってるわよ。怪盗リリーを直接見た女の子は全員リリーに惚れちゃうってやつでしょ?」
梨子『そう、知らないのなら教えてあげるわ。実は私ね、女の子を魅了しちゃう不思議なエッセンスを持っているの。あはっ♡』
曜「……」
梨子『まあ私もほんとは噂程度にしか思ってないんだけど……この娘はいったいどうなっちゃうのかしらね?こんな可愛い娘が私のモノになるだなんて、想像しただけでドキドキしてきちゃ〜う♡きゃっ!//』
梨子『……ってそういえば確か千歌ちゃんはもう既に私に恋をしてくれてるのよね?じゃあもう千歌ちゃんは私のモノってことに……』スーッ…
曜「うるさいっ!!!!卑怯だぞ怪盗リリー!!人質を使うだなんて!!!」
梨子『あら、ズルいだなんて昨日偽物を使った警察さんたちにだけは言われたくはないわよ』 梨子『まあでもこのままファーストキスを奪っちゃうってのも味気ないし、ここは一つ勝負なんてどう?』
ルビィ「勝負?」
梨子『ええ。ルールは単純、ここに千歌ちゃんの居場所を記したメモリーカードがあるわ』
梨子『日付が変わるまでに私を追い詰められたならあなたの勝ち、おとなしく千歌ちゃんのことは諦めてあげるわ。でも、もし私と捕まえられなくて、蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫も守れなかったら……』
ルビィ「守れなかったら……?」
梨子『あはっ♡千歌ちゃんはどうなっちゃうのかしらね〜?じゃあね〜♡』
善子「あ、こら待ちなさい!!怪盗リリー!!」
ピッ!
花丸「切れちゃったずら……」
曜「……」
ダンッ!!!
ルビィ「ぴぎっ!?」
曜「許せない……関係ない千歌ちゃんまで巻き込むなんて……!!!」
善子「曜……」 ◇———◇
ガチャッ!
善子「ただいま」
曜「善子ちゃん!どうだった?」
善子「ダメね。中からプログラムが破壊される仕組みになってたわ。どこから繋げてたかはわからずじまいよ」
曜「そっか……じゃあわかった、ありがと!みんなを集めて!」 AqoursのこういうSS久々だからワクワクする
期待 花丸「マルたちだけで宝石を守る!?」
曜「うん、この四人だけ。だから一人の負担が重くなっちゃうけど……みんなのこと、信じてるから」
善子「増員とかはしないの?ちょうど警察署なんだし」
曜「リリーは変装の達人。前回は展覧会だったから仕方なかったけど、人をむやみに増やしても相手のチャンスを作るだけだよ」
善子「なるほど……」
曜「というわけで少なくとも日付が変わるまでは全員この部屋から出ないこと、それと誰も部屋には入れないこと!」
ルビィ「ト、トイレもだめなの?///」
曜「ん〜……まぁ部屋を出ていく分には問題ないかな。ちゃんと出る前に宝石を持っていないか身体検査は受けてもらうけどね!おっけー?」
ダイヤ「うふふっ、入念に準備が成されているようですね。感心ですわ」 花丸「ダイヤさん!」
ルビィ「ダイヤお姉ちゃん!」
曜「黒澤警視!お勤めご苦労様です!!」ビシッ!
ダイヤ「はい、ご苦労様ですわ。なんてったって今夜は警察の威信を賭けた大戦……抜かりの無いようにしてくれないと困ります」
ダイヤ「わかっておられるのですわよね、渡辺警部?」
曜「もちろんであります。警視の方こそ、例の件、よろしくおねがいしますね」
ダイヤ「ええ、ではまた後程」カツカツ
善子「……例の件?」
曜「ふふっ♪それは後からのお楽しみだよ」 【23:17】
曜「……」
善子「リリー、いつまで経っても現れないわね」
曜「そうだね、もうすぐ日付が変わる時なのに」
ルビィ「ぴゃぁ〜……ルビィもうねむいよぉ……」コシコシ
花丸「マ、マルはちょっとお手洗いに……//」
曜「わかった。一応宝石持ってないか身体検査させてね」
花丸「う、うん……」
サワサワ
曜「………よし、大丈夫。行ってきていいよ」 善子「ねえ、それより宝石は確認しなくて大丈夫なの?」
曜「大丈夫、厳重な金庫に何重にも守られてるし。暗証番号は私たち四人とダイヤさんしか知らないはずだから」
善子「でも……」
曜「その考えがリリーの思うつぼだよ。金庫を開けた瞬間に宝石を盗られちゃうかもしれないもん」
曜「善子ちゃん、ルビィちゃんも安心して。私を信じてよ、ね?」
ルビィ「う、うん……」ドキドキ
ガチャッ!
花丸「ふぅ〜……」
ルビィ「花丸ちゃんおかえり!」
曜「外は変わった様子はなかった?」
花丸「う、うん。部屋を出たらずっとダイヤさんに見張られてて緊張したけど……」
ブーッ!!!ブーッ!!!
ルビィ「ぴぎっ!?」 善子「何の音!!?」
花丸「もしかして火事とかずら!!?」
プシューッ!!!
ルビィ「ぴぎゃっ!!け、煙まで出てきた!!」
曜「大丈夫!!ただの目くらましだから!!少し待ってれば落ち着くはずだよ!!!」
………
……
… 善子「けほっ!!けほけほっ!!」
花丸「ううう〜っ!!肺の中がむかむかするずら〜……」
ルビィ「うゅぅ……」
善子「ってそんなことより宝石よ、宝石!!金庫の中身は無事なのよね!!?」
花丸「開けて中身を確認してみるずら!」
ルビィ「うん……ぴぎっ!?」
善子「どうしたのルビィ!?」
ルビィ「蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫が……なくなってる!?」
善子「なんですって!?」 花丸「ほんとだ……まさか、さっきの煙に乗じてリリーに!?」
善子「追わなくちゃ!」
ルビィ「そ、そうだね!!まだ遠くには逃げてないはずだから……」
曜「待って!!」
プルルルル…
ダイヤ『はい、私ですわ』
曜「ダイヤさん、部屋の外は無事なんですよね?」
ダイヤ『ええ。人っ子一人通していませんわ』
曜「警察署の外にも?」
ダイヤ『手筈通りに。問題ありませんわ』
曜「そっか、ありがと。引き続きよろしくお願いします」
ピッ!
善子「な、何よ……?」
曜「この部屋の外にはダイヤさんがいて、部屋に出入りする人がいないか監視してくれてるんだ」
曜「そして出入りする人はいなかった。ということは……」
ルビィ「……ということは?」
曜「怪盗リリーは、まだこの部屋の中にいる」
よしルビまる「……」 曜「さてと、それがわかれば簡単だね」
花丸「何するずら……?」ドキドキ
曜「身体検査だよ。金庫の中にないってことはリリーが今も宝石を持っているはずでしょ?」
ルビィ「ル、ルビィたちのお洋服を脱がせるの!!?///」
善子「んにゃっ!!?///乱暴するつもり!!?エロ同人みたいに!!」
曜「はいはい、そういうのいいから曜ちゃん先輩に身体触らせてよね〜」 ◇———◇
曜「……ない」
善子「結局誰の体からも蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫なんて出てこないじゃない」
ルビィ「うゅ」
花丸「曜ちゃんの体も調べたけど何も出てこなかったよ」
ルビィ「お部屋の中からも見つからなかったびぃ」
曜「……」
善子「ちょっと、アンタの推理本当に合ってるの?」
曜「まあまあ、もう一回みんなの持ち物確認しつつ確かめてみようよ。ね?」 花丸「マルの持ち物はこれだけずら」
曜「本と、栞……」
善子「ほんとあんたそれ好きね……本だけに」
ルビィ「うっわ、善子ちゃんさっむ!」
善子「……///」カァァァッ!!!
曜「花丸ちゃんと言えばさっきトイレに行ってたけど……」
花丸「あ、怪しいことは何もしてないずら!!//」
曜「それにしてはちょっと長くなかった?」
花丸「それは鏡の前で髪型をちょっと直してたからで……ほ、ほら、今日のマルいつもと違って簪だし……」
曜「ちょっと見せてもらってもいい?」
花丸「うん、大丈夫だよ」スルッ!
曜「……」
曜(花丸ちゃんのかんざしにも、特に怪しい仕掛けはなし……) ルビィ「次はルビィだね。ルビィはこれだよ」
曜「化粧ポーチ?」
ルビィ「うん。お化粧崩れちゃったときに使う用だよ」
善子「ルビィが化粧ねぇ……」
ルビィ「だってお仕事っていつも長いしずっと可愛く見られていたいじゃん」
曜「中身確認させてもらってもいい?」
ルビィ「うん、大丈夫だよ」
曜「……」
曜(口紅、マスカラ、ファンデーション……特に変わったものは入ってないか……) 善子「最後は私。ヨハネの持ち物はこれだけよ」
ルビィ「スマホだね」
花丸「ケータイずらね」
善子「ええ、現代人の必需品よ」
曜「善子ちゃんは時たまスマホの画面ちらちら見てたけど、誰かに連絡してたとか?」
善子「もしかしてヨハネを疑ってるの?」
曜「一応確認だよ、一応」
善子「はぁ……違うわよ、ソシャゲの周回。交換所イベントも最終盤だもの」
ルビィ「それは勤務時間中にやることじゃないんじゃないかな?」
曜「一応軽く確認させてもらっても大丈夫かな?」
善子「ええ、通話履歴くらいなら問題ないわよ」
曜「……」
曜(善子ちゃんのスマホにも、怪しい履歴はなし……) 善子「それよりあなたも容疑者の一人なんだけど?」
曜「え、私?」
善子「あんただって部屋の中にいた人の一人じゃない」
曜「ん〜、けど私は警察手帳とお守り代わりの千歌ちゃんとの写真くらいしか持ってないから……」
善子「煙をすぐに無害だって確認できたのはどうして?」
曜「元からリリーの仕掛けは把握してたからね。発煙装置が置かれてたこともダイヤさんと一緒に確認済みだよ」
ルビィ「じゃあどうしてルビィたちには教えてくれなかったの?」
曜「ごめんね。でもおかげで容疑者をこうして四人に絞れたわけだしさ、それくらい多めに見て欲しいな」
花丸「怪しい……」
曜「あ、怪しくないって!!」
善子「そう言えば、いつもの曜より若干胸が大きいような……」
ルビィ「ぴぎっ!?もしかしてリリーの変装ってこと!?」
曜「ち、違うよっ!!これはその、今日だけその……///」
曜(き、昨日リリーにあんなこと言われちゃったし!!今日は勝負下着つけてきただけなんだから!!!///) 曜「はい!!私の分はおしまい!!このお胸も本物です!!//」
善子「じゃあこの中の誰が犯人………待って、もう一人だけいるじゃない。今回の容疑者が」
花丸「ずら?」
ルビィ「だあれ、善子ちゃん?」
善子「ダイヤよ。彼女だって暗証番号を知ってるはずだもの」
曜「でも、ダイヤさんは部屋に入って……」
善子「入ってるわ、最初に視察に来た時に。その時に既に宝石を盗み終わっていると考えれば、部屋の中から宝石が出てこないことも説明がつく」
花丸「ということは……」
善子「決まりね、犯人は黒澤ダイヤよ」
ルビィ「ダイヤさんに決まりだびぃ!」
花丸「完全に決定ずらね」
曜(え?)
善子「そうと決まればさっそくダイヤを捕まえて刑務所の中に……」
曜「待って!!出ちゃダメ!!!」
善子「はぁ?あんたヨハネの見事な推理が
曜「ありがと善子ちゃん、おかげで全ての謎が解けたよ」
曜「リリーはまだこの部屋の中にいる…………そうだよね?」
ビシッ!!!
曜「黒澤ルビィちゃん!!!いや、怪盗リリー!!!」 ルビィ「ぴぎっ!?」
花丸「ずらっ!?」
善子「ルビィが怪盗リリー!!?」
ルビィ「や、やだなぁ曜先輩。ルビィが犯人なわけないじゃないですかー」
花丸「そ、そうだよ!だってルビィちゃんは今日ず〜っとマルと一緒で……」
善子「それに!昼のリリーのテレビ電話!あれ見てるときルビィもそばにいたじゃない!ダイヤはいなかったけど!」
曜「ううん、あれはテレビ電話じゃないよ。事前に録画してたのを流してただけ。それならルビィちゃんに変装しながらでも会話が出来るでしょ?」
花丸「ええっ!?」
ルビィ「……」 曜「その証拠にあの映像にはところどころ会話が成り立たない不自然な箇所があった……ルビィちゃんの問いかけには答えてくれてたけどね。事前にタイミングを練習してたんでしょ?」
善子(確かに、私のセリフが一瞬だけ無視されたような記憶が……)
花丸「ま、待ってよ曜ちゃん!!宝石は!?もしルビィちゃんが犯人だとしたら、蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫は今も肌身離さず持っていなくちゃ……」
曜「宝石なら今もきっと金庫の中にあるはずだよ?」
善子「はぁ?」
花丸「それは無いずら。だってマルもルビィちゃんと一緒に金庫の中身を確認したもん」
曜「うん。でもね、その時にはルビィちゃんがとっさに宝石を見えなくしてたんだよ。そうだよね、ルビィちゃん?」 善子「見えなく?どうやって?」
曜「鏡を使った簡単なトリックだよ。ほら、小さな金庫みたいな箱型のものって、こうやって斜めに鏡を入れちゃえば後ろ半分が見えなくなっちゃうでしょ?ちゃんと45度に鏡を入れれば金庫の形も崩れないし」
曜「こうすれば宝石を上手に隠すことができるんだ。マジックとかでよく使われるトリックだよ」
花丸「へぇ〜……」
曜「ねえルビィちゃん、その化粧ポーチ……手鏡が入っているはずだよね?」
ルビィ「……」
曜「化粧ポーチの中になら、お化粧用のコンパクトミラーが入っていてもおかしくない……それを犯行につかったんでしょ?違う?」
ルビィ「……」
曜「それに私の推理が正しければ、まだ金庫の中に宝石が……」
曜「……ない」 曜(あれれ〜、おっかしいな〜……)
ルビィ「……ふふふふふっ」
ルビィ「あははっ!あははははははっ!!」
善子「んなっ!?」
花丸「ルビィちゃん……?」
ルビィ「バカね、いつまでもおんなじところに置いておくはずないじゃない」
曜「なっ!?」
善子「こっ、この声!?」
花丸「ルビィちゃんじゃない!!」
ルビィ「でもさすがは曜ちゃん、見事な推理ね。私、ちょこっとだけ見直しちゃった♡」
ファサッ!!
梨子「うふふっ♡本物の蜜柑の輝き≪オランジェット・プリズム≫、確かに頂戴したわ!」キラン!
よしまる「怪盗リリー!!」 梨子「さてと、お仕事も無事に終了したし、お家に帰らせてもらおうかしら?」
善子「ま、待ちなさいよ!!」
花丸「本物のルビィちゃんはどこずら!!?」
梨子「ああ、あの娘だったら今頃スイートポテトでも頬張ってるんじゃない?美味しいものあげるって言ったら快く協力してくれたくらいだし」
ルビィ『わ〜い!ポテトポテト!ルビィお芋さんだ〜いすき!』
善子「……」
花丸「警視の妹だとはとても思えない性格ずら」 梨子「話はそれで終わりかしら?それじゃあ私はおいとまさせてもらうわよ」
曜「待って!まだ私の話が終わってないよ!!」
ガシッ!
曜「私はこうしてお前の正体を見破り捕まえた。この手は二度と放さないよ。大人しく千歌ちゃんの居場所を教えなさい!!」
梨子「あら、ずいぶんあの娘にご執心なのね」
曜「当たり前だよ、だって幼馴染だもん」
曜「お前にとっては一人の女の子かもしれないけど、私にとってはたった一人の大事な千歌ちゃん。過ごした重みが違うんだよ」
梨子「……ふーん」
曜「ちゃんと償ってもらうからね。窃盗も、千歌ちゃんの心を奪った罪も!」
梨子「……」
曜「怪盗リリー!!」
梨子「……ふふっ、それはどうかしら?」
プシュッ!
花丸「ずらっ!?」
善子「この香り……麻酔ガス!!?」
曜「同じ手に引っかかるものか!今度こそは絶対に!!」
曜「この手でリリーを、捕まえるん、だ……」ガクッ
梨子「……」
梨子(……また会いましょうね。私のカワイイ刑事さん♡) ………
……
…
曜「ん、んんっ、千歌、ちゃん……千歌ちゃん!!!」
曜「そうだリリー!!右手はまだ握って……マネキン!?」
曜「くそっ!逃げられた!!」
ペチッ!
曜「いてっ!これは、メモリーカード……そうだ千歌ちゃん!!!」
曜「善子ちゃん起きて!!善子ちゃん」ユサユサ!!
善子「んっ……」
曜「ヘリ!!急いでヘリを手配して!!!千歌ちゃんが大変なんだから!!!」 ◇———◇
千歌「……」
千歌(……どれくらいの時間が経ったんだろう?私はここにひとりぼっち)
千歌(志満姉たちは心配してくれてるかな?梨子ちゃんは、そしてみんなは……)
曜「千歌ちゃん!!!!」
千歌「……え?」
曜「千歌ちゃん!!!無事!!!?良かったぁ……!!!!」
千歌「よう、ちゃん……?」 曜「うん。そうだよ、私。ごめんね遅くなっちゃって」
千歌「……」
曜「千歌ちゃん……?」
千歌「ふぇっ、えぐっ………」
曜「わああああっ!!?泣かないで千歌ちゃん!!!」
千歌「ばかぁ!!!ばかばか!!曜ちゃんのばか!!遅い!!遅すぎるよ!!」
曜「千歌ちゃん……」
千歌「ばかばか!!曜ちゃんってばいつもそう!!肝心な時に役に立たない!!」
曜「うん、ごめんね。役立たずだよね、私って」ポンポン
千歌「こわかった!!!暗いところで!!一人で!!さみしかった!!つらかったの!!!」
曜「うん、つらかったよね。ごめんね」ポンポン
千歌「いつもずっと言ってんじゃん!!!私を一人にしないでって!!」
曜「ごめんね。私ってば約束も守れてないよね」
千歌「だからずっと曜ちゃんといるの!!曜ちゃんはもうチカのそばを離れちゃだめなの!!一生の約束なの!!!」
曜「わかった。千歌ちゃんのこと守ってみせるよ、絶対」ギュッ!
千歌「ひぐっ!うぇーん!!!!」
曜「……」ポンポン
梨子「……」
梨子(……何よ、奪ったなんて言ってるけど最初から盗めてすらいないじゃない)
梨子(あーあ、難しいなぁ。幼馴染に勝つのって……)
梨子「……」
梨子(まあいいわ。いつかまとめて、み〜んな私のモノにしてあげるから♡うふふっ♡♡)
梨子「だから——その日が来るのを、待っててね。二人とも♡」
狙った獲物は逃がさない、怪盗リリー
世界中の女の子を虜にするために、今日も彼女は暗躍する———♡♡ 終わりです。お粗末様でした
代行&コメントして下さった方々誠にありがとうございました おつでした。梨子ちゃんはみんなを狙ってたのか。さすがだ 乙乙
面白かった
キャッツアイ的なノリかと思ったら違ってた
松浦刑事長(デカちょう)の出番まだですか? おつ
pixiv小説でよく似たタイトルのシリーズがあるからそれかと思ったら違ってた おつ
オチを知ってからテレビ電話の下り読むと面白いな こういうのもいいね。もっとAqoursのSSが見れるといいな。乙! この絶妙に緊張感が漂ってない雰囲気がたまらなく好きだな、ルビィがポテトで買収されてるくだりとか
果南の出番も含めて続編期待してます おつおつ!怪盗リリーと曜ちゃん警部という配役がすごく好き! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています