かすみ「サンパチマイク」
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しずく「かすみさん進路決まった?」
かすみ「うーん……やりたい事とか別にないし」
しずく「まだそんな事言ってるの!?もう2月だよ!」
しずく「先輩達が見たら呆れちゃうよ?」
かすみ「へーそー」
しずく「今からでも滑り込めるとこ探さないと」
しずく「一緒に探してあげるから話だけでも聞きに行ってみよう?」
かすみ「めんどくさい」
しずく「かーすーみーさん……」ギロッ
かすみ「ひ、ひぃっ!分かった分かったからぁ」
かすみ「てか、しず子は女優志望でしょ?大学なんて行かなくたっていいのに」
しずく「それとこれとは別!良い演技をする為には深い見聞と教養が必要なの」
かすみ「へー」
とまぁ、こんな具合に高三のかすみは何をするにしても無気力。気の抜けた風船です。
どのくらい無気力かと言うと、使い古したゲームボーイアドバンスSPのパカパカする部分くらい無気力。もうユルユルのフニャフニャです。
え?例えが分かりづらい?養成所で嫌と言うほど聞いた言葉です。こんなんだから売れないんでしょうか?
ちなみに、平成生まれの癖にDSではなくゲームボーイで例えてしまうというような青さも私達の中ではあるあるです。 かすみ「しず子ってば急なんだから」
しずく「パンフレットで見た感じより広いね、この校舎」
しずく「なかなか綺麗だしいいんじゃない?ここなら入試も……
かすみ「ごめんしず子ちょっとトイレ!!」
しずく「もう」
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かすみ「ふぅー…漏れるとこだった」
かすみ「…………」ポチポチ
かすみ(あれ?今日24日だったっけ)
かすみ(……やばっ!せつ菜先輩の大ライブの日じゃん!)
かすみ(行かなきゃ) ・
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しずく(かすみさんったらいつまでトイレしてるの……)
しずく「かすみさーん?」
しずく(全部空室……)
将来を案じて説明会に付いて来てくれた友達をひとり置いて行ってしまう疑いようもないクズ。
しかし、幸か不幸かこの時の大ライブこそがこのクズの人生を左右する大きな転機となるのです。 「「NSC東京25期生大ライブ!首席は”スカーレット・かしまし”だぁぁあ!!」」
「「”スカーレット・かしまし”に大きな拍手を!!」」
かすみ「はわぁーっ!!」パチパチパチ
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かすみ「せつ菜先輩!!凄いです!!ピンで優勝しちゃうなんて!!」
せつ菜「ありがとうございます」
かすみ「やっぱりこれからTVとか出ちゃうんですか!?」ワクワク
せつ菜「ははは、大ライブに優勝したくらいでTVなんて出られませんよ」
せつ菜「一応この後正式に事務所所属となるのですが、卒業さえ出来れば皆そうですよ」
せつ菜「最初はカメリハやエキストラ等の裏方の仕事。暫くは下積み生活です」 かすみ「大変そうですね……」
せつ菜「かすみさんも良かったら入りませんか?」
かすみ「へ?」
せつ菜「NSC」
かすみ「へ、はぁぁあ!?」
せつ菜「ちょうど相方を探していたところなんです」
かすみ「無理無理無理!かすみんそんなの無理ですぅ!」
せつ菜「かすみさんの事ですから進路も決まってないんでしょ?」
かすみ「とは言ってもですねぇ……」
せつ菜「他に大好きな事ないんでしょ?」
かすみ「それはぁ……」
せつ菜「お笑いの話をしている時くらいですよ。今のかすみさんが笑顔を見せてくれるの」
そんなこんなで乗せられて今に至ります。はい、チョロい。
せつ菜先輩さえいなければ、かすみんはこんな泡(あぶく)みたいな稼業に手を出す事なんてなかったでしょう。
せつ菜先輩さえいなければ、四畳半のボロアパートで二人、わんわん泣いたあんな夜もなかった事でしょう。
このお話はそんな天才芸人・優木せつ菜と無気力系クズ・中須かすみの、泥臭くも輝かしい十年間の記録です。
さて、フリが長くなってしまいましたがいよいよ開演です。
明転飛び出しでお願いします!! 「「どうもー無敵級*ポテトフライですーお願いしまーす」」
かすみ「最近電車とか乗ると思うんですけど、マナー悪い人って多くないですか?」
せつ菜「あ、分かります。お化粧してる人とか……」
かすみ「そうそう」
せつ菜「ほんとにやめて欲しいですよね……」ペッ
かすみ「へいへいへい!?」
せつ菜「……?」
かすみ「あんたの事です!まさしく!今何吐いた!」
せつ菜「このガム味がしなくなったので……」
かすみ「化粧よりタチ悪いから!!」
せつ菜「……?」
かすみ「まぁいいです、後で恥かかないようにここで練習しときましょ」
せつ菜「練習はさっきしましたよね?今はオーディションの本番ですよ……」
かすみ「マ・ナ・アの練習!!私がマナー悪い人やるんで、ちゃんと注意してください」
かすみ「…………」ピロリロリン♪ピロリロリン♪
せつ菜「なんですかその音は..」
かすみ「何よ、別にいいでしょ」
せつ菜「今時そんなの使う人いませんよ!完全にポケベルの音じゃないですか!」
かすみ「どこ突っ込んどんねん」
かすみ「とっさに関西弁出ちゃったじゃないですか、出さすな恥ずかしい」
かすみ「こういうのは演技だから!擬音なんてこれでいいんですよ」
せつ菜「え、演技だったんですか…………私とお笑いやるって言ってくれたのも」
かすみ「遡りすぎぃ!もういいです」
「「どうもありがとうございましたーー」」 審査員「………はいありがとうございましたーー」
かすみ「…………」
せつ菜「…………」
かすみ「あ、あのぉ……」
かすみ「どうでしたか……?」
審査員「うん、なんか見たことあるよね」
審査員「あとメタ多すぎ、リアリティに欠けるというかさぁ……」
せつ菜「参考になります……」
審査員「次あるから、はやく帰って」
かすみ「あ、ありがとうございましたー」
せつ菜「ありがとうございました!」
審査員「…………」 かすみ「なんですかあの審査員…ムカつく」
せつ菜「そんな事言うと聞こえてしまいますよ」
かすみ「別にいいです、せつ菜先輩のネタは世界一面白いのに……」
せつ菜「メタが多いのは確かです。反省しなければ」
せつ菜「バイトあるのでもう行きますね」
かすみ「行ってらっしゃい」
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かすみ「ただいまー」 しずく「おかえりかすみさん」
かすみ「どうだった?オーディション」
かすみ「全っ然ダメ、やっぱり舞台に立った事もない審査員に私達のネタなんて分かりっこないんだよ」
しずく「言うねwかすみさん」
かすみ「そっちのオーディションこそどうだったの?」
しずく「この時間に家にいるってことは見れば分かるでしょ」
かすみ「あら失礼」
しずく「このっ」コツコツ
かすみ「ちょっやめてよー」アハハハ
かすみ「はぁーー……」
かすみ「売れたいねぇ……」
しずく「売れたい」 は!?何故かめちゃくちゃ回線が切り替わる
見づらかったら失礼 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています