しずく「せつ菜売りの少女」
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昔々、あるところに雪の降る夜の街に
見窄らしい服を着たせつ菜売りの少女が寒さに凍えて一生懸命に道を通る人々に声を掛けていました
しずく「せつ菜さんはいかがですか。どなたか、せつ菜さんを買ってください」
何度も呼びかけても誰も立ち止まってはくれません
しずく「お願いします、1つだけでもいいんです。どなたかせつ菜さんを買ってください」 せつ菜を売らなければ家へ帰れない少女
今日はまだひとつも売れていません
1つでも売って帰らないと家に入れてもらえないのです
しずく「はぁ……ダメ。凍えて死んでしまいそう…」
雪の降る夜の街、温度はとても低い
手袋など持っていない少女の手はしもやけで真っ赤っかになっていました
売る場所を変えようと歩いていると高級そうなレストランから温かい食べ物の匂いがしてきました しずく「私もあんなご馳走が食べれたらなぁ…」
時刻はさらに遅くなり寒さも増してきました
このままでは少女は凍死してしまいます
しずく「うぅ寒っ……そうだ、せつ菜さんで暖を取ろう」
と言い、少女は売り物のせつ菜を1つ使用しました
ペカー!
『スカーレット☆ストーム!!!』 ー
ーー
せつ菜「おかえりなさい」ニコッ
しずく「ここは……」
せつ菜「ふふっ、外寒かったでしょう?温かい料理を沢山作ったので食べましょう!」
しずく「…! はい!」
せつ菜「私の特製シチューですよ。冷めないうちにどうぞ」
しずく「いただきます!」パクッ
しずく「……うぐ!?」
ーー
ー しずく「」チーン
ザワザワ
倒れている少女に数人の人集りが出来ていました
しずく「……はっ! あれ、私は一体…」バッ
少女が料理に口をつけた途端、見えていたものは全て消えてしまいました
少女に見えていたのは幻だったのか夢だったのか
同時に手に持つせつ菜の灯も消えてました
しずく「うぅ…なんだかさっきより身体が冷えてきた気がする…」ブルブル ふと、温泉の宣伝の看板が少女の目に入りました
ほかほかで気持ち良さそうな温泉の看板でした
しずく「いつかあんな温泉入ってみたいなぁ……」
そんな願いを込めながら
少女はまた売り物のせつ菜を使用してみました
ペカー!
『スカーレット☆ストーム!!』 1つ使用するとかいう漠然とした表現に草
どうやって使ったんだよ ー
ーー
カポーン
しずく「はぁ〜…あったかい…」
せつ菜「温まりますねぇ…」
しずく「温泉なんて久しぶりですよ…」
せつ菜「日頃の疲れを癒すには温泉が1番ですねぇ」
せつ菜「そうだ、しずくさん、背中を流してあげますよ」
しずく「いいんですか?」
せつ菜「ええ、せっかく来たのですから」
しずく「じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」 コシコシ
せつ菜「どうですかー?」
しずく「あ〜いいですね〜」
せつ菜「ふふ、よかったです。では、流しますね」
しずく「はい」
シャワーーー
しずく「……っ冷た!?」
せつ菜「す、すみません!冷水になっていました!」
ー
ーー マッチ売りの少女とか最近の子供は知らなかったりするのかね しずく「…………冷たッッ!!」ガバッ
積もった雪に直接肌を付けてしまい思わず叫ぶ少女
しずく「はぁはぁっ……なんで私、雪に埋もれてるの……ハ、ハックチョン」
しずく「ぐすっ、寒いよぉ……」
雪のせいでさっきよりも寒くなった少女は温もりを求めて
再びせつ菜を使用しました
ペカー!
『スカーレット☆ストーム!!』 jΣミイ˶º ᴗº˶リ せつ菜さんあったかいです💙 ーー
ー
せつ菜「しっかりと捕まってて下さいよー!」
しずく「わぁあ!せつ菜さん!スピード出し過ぎじゃないですか!?」
せつ菜「この道で自転車はスピードを出してこそです!この道を一気に駆け抜けますよ!」
しずく「安全運転でお願いします…」
せつ菜「はい!あの太陽に向かって一直線です!」
しずく「ひゃあー!」
ビューーン ・・・
せつ菜「ゴクゴク……ぷはーっ!気持ちよかったですねー!」
しずく「ふぅ…最後は私もちょっとあの速さはクセになりそうでした」
しずく「でも自転車の2人乗りなんてバレたら大変ですよ」
せつ菜「まぁそうですけど……2人乗りは今しか出来ないことですから」
しずく「……そういうことじゃありません」
せつ菜「えへへ」
ー
ーー マッチ売りの少女って、松岡修造がもっと声出せって怒って、少女が大声でマッチいりませんかって修造に聞いて即答でいらない!!!って言う話だっけ またせつ菜の灯は消えており、少女はがっかりしていました
しずく「はぁ……」
少女はため息を吐きながら周りを見渡します
アハハ ウフフ キャッキャッ ワイワイ
道を通るのは談笑をしながら歩く2人組、笑顔を向け合い歩く家族、寄り添いながら歩く恋人達etc.
しずく「温かい料理やお風呂じゃなくてもいい……私も……温もりが欲しい……」 今の子供っていうか読んでる人でも知らない人いそうだな 少女はひとりぼっちでした
ずっとずっとひとりぼっちでした
周りは誰かと一緒なのにどうして自分は1人なのか
しずく「……」
少女は道に座り込みました
敷くものもない為、少女のお尻はどんどん冷えていきます
そんな寒さと孤独の気を紛らわす為に再びせつ菜を手に取り使いました
ペカー!
『スカーレット☆ストーム!!』 ーー
ー
「わうっ!」
しずく「あなたは…?」
オフィーリア「ヘッヘッヘッ」
しずく「そうだ…オフィーリア…!」
オフィーリア「わう」
しずく「ふふ、ごめんねオフィーリア探しに来てくれたの?」ナデナデ
しずく「オフィーリア、疲れたでしょう。私も疲れたんだ。なんだかとっても眠いんだ」
オフィーリア「くぅん…」
ー
ーー しずく「…」
少女は座り込んだまま動かなくなってしまいました
寒くて震えていた小さな身体はもう微動だにしません
少女の周りには再び人が集まっていました
街の人達はみんな悲しい顔をしていました
しかし少女の手に持っていたせつ菜の灯はまだ消えていませんでした ーー
ー
せつ菜「探しましたよ、しずくさん」
しずく「んん……あなたは確か……?」
せつ菜「さあ、元の世界に帰りましょう」
しずく「えっ…元の…?」
オフィーリア「わうっ」
せつ菜「手を」
しずく「あの、何処へ行くんですか?」
せつ菜「私達の場所です」
ー
ーー ──朝──
しずく「マッチ売りの少女ってあるじゃないですか」
せつ菜「はい、有名な童話ですね」
しずく「そうです。昨日夜、部屋を少し片していたら幼い頃に読んでいたマッチ売りの少女の本が出てきたんです」
しずく「懐かしくって嬉しくなってしまって。本当は読みたかったんですけど時間も時間でしたので…」
しずく「それで、枕の下に本を入れて寝るとその本の夢が見れるって言う話あるじゃないですか」
せつ菜「ありますね」
しずく「それで、その本を読む時間がなかったので、寝てる間に読めればいいなって思いマッチ売りの少女を枕の下に入れて寝たんですよ」
しずく「でも結局その夢は見られませんでした…あはは…」 せつ菜「……あくまで噂程度ですが、主人公が最後に死んでしまう話を枕の下に入れない方がいいと言いますよ」
せつ菜「もしかしたら夢の中で死んでしまうとか……」
しずく「え、えええええ!そうなんですか!?」
せつ菜「ふふっ、噂程度ですけどね。まあ夢を見れなくって正解でしたね」
しずく「朝から怖いこと言わないでくださいよ…」
せつ菜「あはは、すみませんしずくさん」
せつ菜「そうだ!もしその夢が見たかったらこれを一緒に枕の下に入れてください」スッ
しずく「なんでしょうか?」
せつ菜「私の写真です。もし夢の中でしずくさんが死にそうになったら、私が夢の中で助けて差し上げます」
しずく「写真を枕の下に入れたらグチャグチャになってしまうのでは…」
せつ菜「せ、せめて本に挟んだりしてください…」 jΣミイ˶º ᴗº˶リ !!!!!!
無自覚イケメンムーブするせっつーすき 年の瀬も押し迫ったクリスマスの夜
今日もマッチの売り上げは散々だった
むなしく響くマッチはいりませんかの声
無言で帰り始める人達の中、マッチ売りの小さな少女は独り道端で泣いていた
家族の団らん、喜び、感動、そして何より大好きだったおばあちゃん・・・
それを今の家族に得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすればいいの・・・」少女は道端に座り込んで涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、少女ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい雪の感覚が現実に引き戻した
「ぐすん、早くマッチを売らなくちゃ」少女は涙を拭いながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、少女はふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
少女が目にしたのは、周りを埋めつくさんばかりの客だった
マッチは飛ぶように売れ、あっという間に売り切れてしまった
どういうことか分からずに呆然とする少女の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「おやこんなとこにいたのかい、早く帰ってパーティーを始めるわよ」声の方に振り返った少女は目を疑った
「お・・・おばあちゃん?生きていたの?」 「なんだいこの娘は、かってにおばあちゃんを殺すんじゃないよ」
「おばあちゃん・・・」 少女は半分パニックになりながら空を見上げた
暫時、唖然としていた少女だったが、全てを理解した時、もはや彼女の心には雲ひとつ無かった
「おばあちゃん・・・会いたかった!」
おばあちゃんの胸に飛び込む少女、その目に光る涙は悲しさとは無縁のものだった・・・
翌日、道端で冷たくなっている少女が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った おつぺか
夢の話だったか
それにしてもよく思いつくなこんな話 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています