歩夢「バッテリー」
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SS、野球ネタ
話の都合上、一部キャラクターの学年などが異なります 主人公サイドの選手で左投げと明示された人物は、そういえば上原が初やね。 キャッチャーは子供たちから不人気ポジションだったりするのかな 白球の人は割と間の空く人。どうしてもダメなら言ってくるので気長に待つべし。 そういえばファウルとかホームランで手をぐるぐる回す人か ◆
かすみ「歩夢先輩! そろそろいいですか?」
歩夢「う、うん」
歩夢(とりあえず肩はできたけど)
歩夢(そもそもアップの段階からミットでの捕球が怪しいというか)
歩夢(小さくて細いから、防具装備した姿があんまり似合わないかも)
しずく「かすみさん、本当に大丈夫?」
かすみ「ドンとこいです!」
歩夢(でも可愛いな……) 歩夢「じゃ、じゃあ行くよー」シュッ
かすみ「っと」ポロッ
歩夢(ありゃ)
かすみ「ごめんなさい! 次お願いします」シュッ
歩夢「う、うん」シュッ
かすみ「ふんっ」ポロッ
歩夢(やっぱり、いきなりじゃ難しいのかな)
かすみ「あ、あれ、変だな……」 歩夢「かすみちゃん、最初は基本を侑ちゃんから教えてもらった方が」
かすみ「平気です! それじゃあ今、歩夢先輩が困るじゃないですか」
歩夢「でも」
かすみ「次は捕ります!」シュッ
歩夢(まあ、私のボールじゃ怪我をすることはないだろうし……)
歩夢「いくよ!」シュッ
かすみ「確か、侑先輩はこうやって――」
かすみ「こう!」
スカッ――ドスッ
歩夢「なっ!?」
歩夢(捕れずに直接身体に!?)
かすみ「っ〜〜〜〜〜」
歩夢「か、かすみちゃん!」
かすみ「か、考え過ぎていたら上手く捕れませんでした……」 璃奈「……かすみちゃん、大丈夫?」
かすみ「り、りな子」
色葉「凄い声出てたよ」
今日子「びっくりした」
かすみ「ど、どうしてみんな」
愛「かすかすが騒がしいからさ、集まってきちゃったみたいで」
璃奈「私たちも、協力する」
かすみ「で、でも、練習」 侑「かすみちゃんだけじゃない。私たちだって、歩夢の力になりたいし」
歩夢「ゆ、侑ちゃん」
侑「果林さんがさ、見ていられないから助けてあげようって」
果林「歩夢も含めてよ。全然腕をふれていないじゃない」
歩夢「そ、そうですか?」
果林「ちょっとみてあげるからこっちに来なさい」
歩夢「は、はい!」
侑「かすみちゃんは私が、とにかく基礎からね」
かすみ「侑先輩……お願いします!」
歩夢(みんながまとまっていく感じる)
歩夢(去年までとは違う)
歩夢(ちゃんとしたチームになっている、そんな気がする) 【数日後・都内グラウンド】
歩夢(今日は春の大会1回戦)
歩夢(予選リーグ初戦の相手はUTX)
バッターアウト!
かすみ「あ、あれ?」
歩夢(試合は7回表の私たちの攻撃が終わって、1−7)
歩夢(スコア、点差を考えれば、試合的には厳しい状況)
侑「ドンマイ、切り替えていこう!」
かすみ「はい!」
歩夢「頑張って!」
歩夢(だけど、雰囲気はいい感じ)
歩夢(みんな落ち着いてプレーできている証拠かな) 歩夢(一緒に練習をして、試合を観ていく中で、侑ちゃん以外のみんなのスタイルが分かってきた)
果林「やっ!」シュッ
歩夢(果林さんはストレートしか投げないけど球速は女子野球トップクラス)
カキーン!
愛「よっと」パシッ
侑「ナイス愛ちゃん!」
歩夢(愛ちゃんは野球に専念し始めたのが今年からとは思えないほど上手)
歩夢(打撃、守備ともにハイレベル。パワーと肩の強さはちょっと足りていないかも) キンッ
歩夢(璃奈ちゃんは分析力が高くて適切なポジショニングで堅実な守備が売り)
璃奈「あぅ」ポロッ
歩夢(時々簡単なボールをエラーするのは気になるけど……)
かすみ「りな子、ドンマイ!」
歩夢(かすみちゃんはどこでも守れるユーティリティプレイヤー)
歩夢(打撃はそこまで得意じゃないけど、脚が速くて)
歩夢(やっぱりムードメーカーとして、チームを支えてくれている)
しずく「璃奈さん、落ち着いてね」
璃奈「う、うん」
歩夢(しずくちゃんは……まだちょっとわからない?)
歩夢(ボールを投げるのは苦手みたいだけど、捕るのは結構上手) 『四番キャッチャー村神さん』
歩夢(あ、UTXの主砲)
歩夢(今日はこの人にホームランを含む4打点をあげられている)
カキ―――――ン!
歩夢(いい当たり――だけど押し切った?)
今日子「え、えっと」ポロッ
浅希「し、しまった!」
歩夢「あっ……」
歩夢(外野の3人は、まだまだ修行中というか、うん)
歩夢(一生懸命プレーをしているけど、UTXの打球スピードだと厳しい、のかな)
歩夢(それでも私の外野手守備より全然上手だけど……) 侑「歩夢!」
歩夢「う、うん」
歩夢(そっか、一塁ランナーが帰っちゃってこれでコールド)
歩夢(果林さん、怒って――)
璃奈「あ、あの、ごめんなさい、私たちがエラーをしたせいで」
果林「仕方ないわよ、璃奈ちゃんには試合中何度も助けられたし、最後の外野フライも難しい打球だったわ」
歩夢(果林さん)
歩夢(変わったな。何だか精神的に落ち着いたみたい) かすみ「うぅ、負けちゃいましたぁ」
歩夢「かすみちゃん、お疲れ様」
かすみ「歩夢せんぱぁい」シクシク
歩夢「よしよし」
しずく「もう、かすみさんったら」
歩夢(だけど、私は)
歩夢(今日は出番、なかったな……)
歩夢(コールド負けの試合でも機会がない)
歩夢(侑ちゃんは投げるかもって言っていたけど、やっぱりないのかな)
歩夢(それとも、次の試合の方が……) 【スタンド某所】
栞子「最終的にはコールドでしたが、どうですか?」
??「意外とやるじゃないか。聞いていたよりは良いチームだよ」
ランジュ「そう? このランジュに比べれば全員たいしたことのない選手にみえるけど」
栞子「あなたは別格ですから」
ランジュ「ふふん、当たり前よ」
??「やれやれ、ボクに言わせれば君だって穴がいっぱいの選手だけどね」
ランジュ「な、なんですって」
栞子「二人とも、喧嘩をしないでください」 ランジュ「はあ、気分を害されたわ。私は帰るわね」
栞子「そうですね、もうお目当ての試合は終わりましたし」
??「ボクはもう少し観ていこうかな。この国のベースボールについて勉強したいから」
ランジュ「熱心ね」
栞子「明日も虹ヶ咲の試合があるので、無理なくお願いします」
??「分かっているよ」
??「でも好きなんだ、野球を観るのが」
??「例えそれが、子どものお遊戯レベル、リトルリーグのような試合であってもね」 【虹ヶ咲学園野球部部室】
『落ちた落ちた!』
歩夢(試合後、侑ちゃんの提案で学校に戻って静真を分析することにした私たち)
歩夢(侑ちゃんが手に入れたという去年の夏の全国大会の決勝戦の映像)
『セーフ! セーフ! サヨナラです!』
『浦の星女学院! 最初で最後の夏大会で優勝という奇跡を起こしてみせました!』
歩夢「……凄い」
歩夢(侑ちゃんが手に入れたというのは、去年の夏、全国大会の決勝戦の映像)
歩夢(そこに映っていたのは、私が知っていた野球とはまるで別の競技)
璃奈「……」
果林「……」
歩夢(みんな、声も出せないみたいで)
愛「……改めて映像で見ると、ヤバいなぁ、これ」
歩夢(愛ちゃんですら、こんな状態) 侑「レベル、高いよね」
歩夢「うん」
歩夢(正直、今の私たちではまるで勝てる気がしない)
歩夢(大人と子ども、それぐらいの差がある)
果林「ねえ、少し巻き戻してもいい?」
果林「浦の星のエースの投球、観たいのよ」
侑「果林さん、その投手はみても」
歩夢(そう、エースの渡辺曜さんは静真にはいないはずなのに)
果林「分かっているわ。だけど、ちょっと気になることがあるのよ」 かすみ「はぁ、去年も生中継で観たけど、改めても……」
しずく「ちょっと、想像もできない世界の人たちだね」
侑「自分だけで観たときは試合展開に興奮して気づかなかったけど、試合前に、マズかったかな。」ヒソヒソ
歩夢「うーん。でも知らずに挑むよりはよかった、かも?」ヒソヒソ
愛「まー、これはもう当たって砕けるしかないっしょ」
璃奈「……うん」
しずく「とにかく明日、精一杯頑張りましょう」
歩夢「う、うん」 【翌日・球場付近】
歩夢「あわわ、遅刻遅刻」
歩夢(今日、投げるかもしれないと考えたら、緊張で眠れなくて)
歩夢(もー、侑ちゃんも起こしてくれてもいいのに……)
歩夢(現地集合とはいえ、せっかくお隣なんだから)
歩夢(昨日、一緒に行く約束をし忘れちゃったのがいけなかったかなぁ)
歩夢(時間――一応大丈夫そう? 場所は……)
??「しまったぁ、迷ったずらぁ……」
??「こ、ここはどこだろう」 歩夢(あれ、どうしたんだろう)
歩夢(可愛い2人組、制服を着ているから、一応高校生みたいだけど)
歩夢「あの、大丈夫?」
??「え、えっと」
??「お、落ち着くずら」
歩夢「えっと……」
??「あ、あの、この地図の場所、この道をまっすぐで合っていますか?」
歩夢「ここは……」
歩夢(私の目的地と同じ球場、だよね) 歩夢「うん、大丈夫だと思うよ」
??「ほ、本当ですか」
??「良かったねルビィちゃん、間に合ったずら」
歩夢「えっ」
歩夢(ルビィ、ちゃん)
歩夢(赤い髪、目的地が球場)
歩夢(もしかして、この子が打率5割の)
ルビィ「あ、あの、ルビィの顔に何か付いていますか?」
歩夢「う、ううん、別に」
歩夢(もっと鬼みたいな子をイメージしていた……)
歩夢(というか、同級生に見えないぐらい可愛い)
ルビィ「ありがとうございました――急ごう、花丸ちゃん!」ダッ
花丸「ま、待つずら〜」ダッ 歩夢(行っちゃった……)
歩夢(って、私も早くいかないと)
歩夢「えっと、集合場所は」
?「あゆむー、ちょっと待って!」ダダダ
歩夢「ん?」
歩夢(この声と走ってくる足音は)
侑「よっしゃ、セーフ!」
歩夢「あれ、侑ちゃん」
侑「おはよう!」
歩夢「ギリギリだね」
侑「いやー、あの強敵に相手にすると思うと、トキメキでなかなか眠れなくてさ」
侑「歩夢も起こしてくれればよかったのにー」
歩夢「えっと、実は私も遅刻で」
侑「え、そうなの? お揃いだ!」
歩夢(侑ちゃんとお揃いは嬉しいけど)
歩夢(遅刻じゃ喜べない、かな?) 果林「遅いわよ、2人とも」
歩夢「ごめんなさい」
愛「大丈夫、前の試合が長引いていて、まだ時間はあるっぽいから」
侑「よかったー、キャプテンが遅刻じゃ洒落にならないよね」
かすみ「そうそう、今日はかなりの数のお客さんがいるらしいですよ! もしかしたら満員かもだって」
果林「私たちじゃなくて、静真効果だけどね」
しずく「き、緊張するね」
璃奈「平常心、大事」 歩夢(でも)
歩夢(満員のお客さんの前でプレー、考えただけで……)
璃奈「歩夢さん、大丈夫?」
歩夢「へっ?」
璃奈「緊張、しているみたいだったから」
歩夢「あ、あはは、ばれちゃった?」
璃奈「そういう時は私みたいに無表情でいると、平常心を取り戻せるよ」
歩夢「へっ」
歩夢(これ、璃奈ちゃんなりのジョークなのかな)
歩夢(緊張をほぐしてくれようとして。いい子だな) 侑「もう全員集まっているよね?」
果林「ええ」
侑「よし、それじゃあ1回状況を整理しよう」
侑「上位2チームが勝ち上れるリーグ戦の2試合目」
侑「初戦に敗れているから、負けた時点で私たちの敗退は決定」
愛「だね」
侑「静真は勝てば突破が確定の試合、日程を考えても相手はエースの桜内さんが登板するはず」
果林「そうね、他のメンバーもレギュラーを持ってくるでしょうし」 侑「その時点で厳しい戦いになるけど、私は突破を諦めたくない」
侑「だから、今日の先発は予定通り果林さんにお願いします」
果林「ええ」
侑「それで、状況をみてリリーフで歩夢が投げる予定です」
歩夢「う、うん」
かすみ「おお、歩夢先輩が!」
愛「おっ、歩夢もついに本格的なデビューか」
璃奈「それで、緊張していたの?」
歩夢「ま、まあ」 侑「打順はこれで」
1:三・かすみ
2:二・璃奈
3:捕・侑
4:投・果林
5:遊・愛
6:一・しずく
7:右・色葉
8:中・今日子
9:左・浅希
果林「概ねいつもどおりね」
しずく「まあ、変えられるほど層が厚いわけではないすから……」
侑「歩夢が投げる時は果林さんがライトに入る形でお願いします」
果林「ええ」
侑「初戦の第2球場と違って、今日はプロの試合もおこなわれる第1球場」
侑「勝手が違う部分もあるはずですけど、少しずつ慣れていきましょう」 愛「ちなみに相手のメンバーとかは分からないの?」
侑「静真高校についての情報はちょっと」
侑「新チームになってから、記録の残る試合に出るのは初めてらしくて」
かすみ「私も調べてみたんですけど、練習試合をした程度の噂しかつかめなくて」
しずく「あの浦の星の、新チームの初陣。かなり注目されそうですね」
侑「いやー、トキメキが止まらないよね!」
果林「ふふっ、そうね」
歩夢(いい感じ、みんな気持ちをうまく整理できているみたい)
かすみ「あ、前の試合、終わったみたいですよ」
侑「じゃあ、みんな準備して」
歩夢「うん」
侑「頑張ろうね、みんな!」
「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」 キリが良いのでこの辺りで
長期間の保守ありがとうございました。
かなり久しぶりの投稿になってしまって申し訳ないです
時間は基本的に今日のように深夜になると思いますが、更新できるめどが立ったのでゆるりと再開していこうと思います。 物語が進んできたので、選手やチームについてなど時々設定を載せていこうと思います。
とりあえず今日は対線チームの簡単な紹介を。
UTX学園
強豪校だが、翌年度からの野球部の新規部員募集の停止が決定。
既存の部員の多くが転校し、非常に厳しい状況に立たされている。
エースの前川と主砲でもある捕手の村神が中心選手。
静真高等学校
沼津にある高校。
学校としてスポーツに力を入れているが、野球部は新設、強化のために廃校となった前年度夏の優勝校、浦の星女学院の生徒を受け入れた。
最強の高校である音ノ木坂の打倒を目標に掲げ、全国優勝を目指している。 続きが来てた、嬉しい。今のところ、部員が抜けてるUTXにもボコボコにされるくらいのチーム力なんだね。これからどうなるのか楽しみ UTXは現1年生が主力か?「白球」のころの1、2年生部員は何処に去ったかにも触れられるのか、どうか。 当時の3番セカンドだった田山などはプロ入りもありそう。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています