歩夢「今日から高咲歩夢かぁ...」
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₍₍ @cメง*˶ˆ ᴗ ˆ˵リว ⁾⁾
誕生日に上原歩夢と高咲歩夢の両方になる私?????ありだね 仕事を終わらせて、ふう、と一息ついた後にスマホを取り出す。
お母さん:お疲れ様。今日迎えに行くね、いつものところでいい?
母からメッセージが来ていた。
40分も前だ。多分もう着いて待っている。
上司「上原さーん」
歩夢「はーい」
上司「あっ、上原さんって呼んじゃった...ごめんなさい」
歩夢「いえ、気にしてませんから」
上司「えーっと、高咲さんは明日からお休みね」
上司「高咲さんの晴れ着、私とっても楽しみにしてるからね」
上司「お仕事は私達に任せて、ゆっくりするんだよ?」
歩夢「はい。すみません、私なにも出来なくて...」
上司「いいからいいから、早く上がって」
足早に職場を後にする。
心の中で、ありがとうを反芻しながら、階段を一歩一歩降りて行った。 @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ 書いてくれるんだね!期待 場所の指定はなかったけど、いつもの場所に止まっているんだろうな。
歩夢「あったあった」
歩夢「ごめんね、遅くなっちゃった」
母「いいわよ。まだいないってわかったから、ぐるっとドライブしてきたの」
歩夢「ドライブ?珍しいね」バタン
歩夢「シートベルトつけてっと...」
歩夢「ねえ、今日はどこか寄るの?」
母「そうねえ...どうしましょうか、お父さん」
父「んー、俺歩夢と一緒にお酒が飲みたい!」
歩夢「あっ、お父さん乗ってたの?」
母「じゃなきゃ、ドライブなんて行かないわよ」
歩夢「はー、びっくりしたぁ...気づかなかったから一瞬心臓止まりかけた」
父「俺は歩夢が侑ちゃん連れて来た時心臓止まりかけた」
母「はいはい、3丁目のスーパーでいいかしら?」
歩夢「うん」 母「歩夢、今日はなにが食べたい?」
歩夢「うーん、なんでもいいかな」
母「明日明後日、その次も忙しくなるんだから、体力つける為に食べといた方がいいわよ」
母「特にお化粧なんかは、時間が長いし、ガツガツ食べるのだって式中は憚られるんだから」
歩夢「そう考えると...そうだね」
歩夢「ねえ、お母さん」
母「なあに?」
歩夢「今日は私が作るよ。なんだか今日はそういう気持ち」
母「...そうね。お願いするわ」
母「思い出したら、私も同じ事したわね。やっぱり親子って似るわね」
歩夢「...うん」
父「おー、歩夢もママもいたいた!」
父「ビール♪ビール♪これ!」カゴにポイ
母「はぁ...」
母「雰囲気ぶち壊しにしないで...」 歩夢「今日は、うん、肉じゃがとだし巻き卵作る」
歩夢「じゃがいも、にんじん、さやいんげん、糸こんにゃく、牛肉」
歩夢「お出汁、卵...」
歩夢「これで大丈夫かな?」
母「あとは?お菓子とかいる?」
歩夢「ううん、余計な物は食べない」
母「そっか」
母「おゆはん作ってくれるなら、今日はちょっとだけ呑んじゃおうかしら」
母「歩夢も何か呑む?」
歩夢「2人が呑むなら、私も」
歩夢「あんまり度数がないのならなんでもいいよ」
母「なら、これかしらね」 歩夢「ただいま〜」
母「おかえり〜」
歩夢「はぁ...」
父「やっぱり感慨深いな、我が家は」
父「これから我が家が広くなってしまうって考えたら、寂しいなぁ」
父「偶には顔見せてね」
歩夢「それはちょっと考える...」
歩夢「それよりも夕ご飯作るね」
歩夢「じゃがいももにんじん先に少しだけ茹でとこう」
母「今日は本当に歩夢が作ってくれるのね?」
歩夢「うん。今まで誰かの為に料理作るって、侑ちゃんのためだった」
歩夢「だけど今日は、日頃の感謝を込めて、お父さんとお母さんに」
母「ありがとうね...」
父「ちょっとママ!涙目になってる!」
母「逆にお父さんはどうして涙目にならないの!」
歩夢「ははは...」 トントントン。
トントン。
私にとっての料理って、いつも誰かの為だった。
初めは、簡単な物をお父さんとお母さんに。
次第に色々出来る様になったら、侑ちゃんに。
自分の為か、誰かの為か。
それだけを考えるだけで、切り方とか、味の付け方って変わる。
歩夢「お母さんはちょっとだけ大きく切ってたな」トントン
歩夢「お父さんは、侑ちゃんに比べたら、塩っぱいのが好きだな」カチャカチャ
料理はもう何回も作ってるから、自分で言うのもなんだけど、すごく手際はいいと思う。
最近は圧力鍋まで使いこなせるんだから。
でも今日は違くて、ちょっとだけ長く台所に立ってたい気分だから、圧力鍋は使わない。 @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵三*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
保守だよ 歩夢「....」コトコト
母「歩夢、味見てあげよっか」
歩夢「...うん、お願い」
母「どれどれ?じゃあこのちっちゃいじゃがいも」パク
母「いいんじゃない?」
母「それにしても....」
母「私の味と一緒に思えて、歩夢オリジナルの部分があるっていうか」
母「貴方も、誰かの為に料理をする様になったのね」
歩夢「やっぱり味、違う?」
母「そんな心配しないでもいいわ。お袋の味って言うけど、本当は好みなんて人それぞれなんだから」
母「好みを思いやれる相手が出来たって事よ」
母「さて、もう十分味が染みた頃ね」
母「卵焼きもできてるし、お皿テーブルに出しとくわよ」 「「「いただきまーす!」」」
歩夢「どうかな...?美味しい?」
母「さっきも味見たけど、十分美味しいわよ」
父「卵焼き」ぱくっ
父「...モグモグ」
父「...」うるうる
父「...まずい」
歩夢「えっ?」
父「まずい、卵焼きも肉じゃがも、味噌汁もぜーんぶまずい!」
母「そんな事!」
父「こんなまずい飯出す奴は、結婚なんてできない!」
父「だから、ずーっとこの家にいてくれ」ポロポロ
歩夢「お父さん...」
母「なんてこと言いながら泣いてるのよ」
母「ほら、ビールも一緒に呑むんだって言って買ったんでしょ?さっさと飲みなさい」
父「...うぅ」
歩夢「ま、まあ、お父さん、私も一緒に呑むからね?」プシュ
歩夢「ほらかんぱーい」
母「乾杯」
父「か、かんぱ〜」ぐすっ お父さん結婚式でさらに号泣しそう。これはぜひ続きが見たい 父「歩夢、一生この家にいてくれ」
父「お前がいないとこの家が寒くなっちゃうんだ!」オロオロ
母「はぁ、そういうのは式で言うまでとっておくものよお父さん」
母「でも寂しくなるわね」
母「荷物整理は早めにしておきなさい。片付けるものって案外たくさんあるのよ」
父「片付けないで。俺が全部持っとくの!」
母「その調子じゃちり紙まで取っておく気ね」
歩夢「お父さん心配しないで。新しいマンションはこのすぐ近くでしょ?」
歩夢「どっちにとってもすぐ近くなんだから、偶には顔出すから、ね?ね?」
父「歩夢ぅ、行くなぁ〜」ギュッ
歩夢「もー、お父さんってば」
母「はぁ、これは重症ね」 母「お父さんは私があしらっておくから、今日は早く寝なさい」
歩夢「う、うんよろしくね」
泣きついてる父というのはなんだか新鮮だ。いつも笑顔を絶やさない、芯の強い人であったのに、今日はふにゃふにゃしている。
歩夢「...はぁ」
ベッドへ倒れ込む。
このベッドは、確か5歳の頃に買ってもらった。
あの時も大きいって感じたけど、今でも2人が寝れるぐらい十分大きい。
大きく息を吸い込むと、いろんな匂いがした。
悲しい時、嫌な事があった夜、ワクワクしながら過ごした日、何度も何度も、このベッドにお世話になった。
ベッドの縁を撫でる。
これからもよろしくね。 ピコン!
歩夢「なんだろう...あっ、菜々ちゃんからメッセージ」
菜々:歩夢さん、この度はおめでとうございます....
菜々ちゃんからメッセージが来ていた。
大学に入ってからは、せつ菜と呼ばれるのがちょっと恥ずかしい様で、いつの間にか菜々ちゃん呼びになっていたっけ。
昔を思い出して、偶にはせつ菜ちゃん呼びしてもいいよね。
なんて返そっか。5日前にも一回会ったけど、明日もお祝いしたいから会いたいって書いてあったな。
私はそんなに返信を早く返せるタイプじゃない。
一回考えないと、上手く返信を返せない。
歩夢「なんて返そっか?」
ベランダに出て、一旦考えてみよ」
歩夢「...」カラカラカラ
ここから見る景色も全然変わってない。
沢山の人たちのたくさんの営みが、色を作って、光を放ってキラキラ星の様に煌めく。
歩夢「この景色も、いつかは...」
新しい住居では、こんな綺麗な景色は見れない。
景色が日々変わっていく様も、気づかないで過ごしてしまうかも...
ちょっとナーバスになりながら、返信の内容を考える。
「...歩夢!」 歩夢「...へ?」
歩夢「侑ちゃん?」
侑「あーゆむっ!今日はもう帰って来てたんだ!」
歩夢「侑ちゃんこそ、今日は早めに帰れたんだね」
侑「私も早く帰れ〜って言われちゃってさ!」
歩夢「そっかぁ、おんなじだね」
侑「ねえ、歩夢は今何考えてたの?すごく考え事してたけど」
歩夢「菜々ちゃんからメッセージ来てて。また会おうよって」
歩夢「なんだかね、昔の事を揶揄いたくなって、せつ菜ちゃんって呼んで送り返したいんだけど、思いつかなくて」
侑「あー、それ私にも来てた!」
侑「あれかな?当日流すメッセージ的な撮影会なのかな?」
侑「私は適当に返しちゃったんだけど、せつ菜、ちゃんかぁ...」 歩夢ちゃんみたいな娘が嫁に行くならそうなっちゃうよな。侑ちゃんのお父さんの方はどんな感じだろう
昔から知ってる子だから娘がもう一人増えるみたいにウキウキしてたり 侑「歩夢は、さぁ...」
侑「あの頃に帰れるとして、何か特別な事、したい?」
歩夢「うーん、過去に戻れるとしたらかぁ」
歩夢「意外かもだけど、何か特別な事はしないと思う」
歩夢「今がとっても大切で、昔があるから今がある」
歩夢「何かしよう、特別な事をやろうって考えると、それだけで別の方向に進んでしまう」
歩夢「今がとっても大事だから、出来ないよ、そんなの」
歩夢「それに特別な思い出ばっかりだしね」
侑「そっかぁ」
歩夢「あ、その顔、侑ちゃんは別の事するって顔してる」
侑「気づいた?」
侑「私だったら別の事しちゃいそう」
侑「未来を知ってる分、よりよくしたい。歩夢ともっと深い仲になりたいから」
歩夢「侑ちゃんらしいね」 歩夢「侑ちゃんと私って、似ている様で、ちょっと違う」
歩夢「でもそんなところが、パズルのピースみたいにかっちりあってて」
侑「そう言う所にあらためて気づき始めたのが、あの頃だったね」
侑「私ね、高校の頃は、歩夢とずーっと友達止まりでいるんだなって思ってた」
侑「そう言う事にも、自分の事なのに自分でも気づきもしないで、モヤモヤしたままで」
侑「でもね、歩夢と本気でぶつかり会えたから、今こうやってお互いを自覚して」
侑「時々もっと早くに自覚してればなって思っちゃう」
侑「だから、過去を、未来を更に良くしたいって思っちゃうんだろうな」 歩夢「こうやって私達の運命が交差したのって奇跡だね」
歩夢「ふぅ...ところで菜々ちゃんになんて返そっかな?」
侑「あっ、それ忘れてたよ」
侑「うーん、せつ菜ちゃんへ、もう一度せつ菜ちゃんの料理が食べたいです、とかどう?」
歩夢「それはちょっと...菜々ちゃんになってから頑張ってるってこの前自分でも言ってたし...」
歩夢「無難に、あの頃の服装がもう一度見たいです。とかでいいかな?散々悩んでこれとか、少し味気ないけど...」
歩夢「さて、せつ菜ちゃんに送信っと」
歩夢「これでよし」
歩夢「侑ちゃんはこの後どうするの?」
侑「うーん、お風呂入って、曲ちょっと作って、寝る!」
歩夢「いつものルーティンだね。少し寂しいけど、私もすぐに寝ようかな?」
侑「これからに備えて、睡眠睡眠!」
侑「ちょっと早いけど、じゃあおやすみ!また明日!」
歩夢「おやすみ。明日もよろしくね!」
侑「うん!」 今が変えたくないから過去に戻っても特別なことはしないというのは、すごく歩夢らしいと思う 歩夢「ん〜お水でも飲んで、お風呂入ろう」
お酒は人並みだけど(侑ちゃんほど弱くないけど)今日は少し顔が熱る。
お風呂に入ろうと決めたら、行動は早かった。
すぐに着替えを持ってきて、髪の毛を解いて。
歩夢「はぁ〜」
歩夢「ん〜」ノビー
歩夢「このお風呂も随分とちっちゃくなったなぁ」
本当に小さくなったんじゃない。私が大きくなったんだ。
ホールの様に大きく見えたリビングも、100m競争だって出来そうだって思ってた廊下も、全部、全部。 歩夢「...」
歩夢「肩まで浸かって、100数えて」
歩夢「いーち、にーい...」
懐かしい思い出と共に、恥ずかしい思い出もふつふつと湧き上がってくる。
そんな記憶に整理を改めてつけたくて、大きめな声で、ゆっくりゆっくり数字を数えた。
歩夢「ひゃーく」
歩夢「....」
100を数えても、まだお風呂から上がれない。
寒い訳でもなんでもなかったけど、入った時とは逆に、出るのがとっても億劫だ。
歩夢「...はぁ」
歩夢「お水飲もう」バシャ 家の大きさの感じ方で昔を懐かしむというのはちょっと切なくていいね。子供の頃はお風呂で溺れたりしたしな ようやく水を飲むためにリビングへ向かう。
歩夢「あれ?お母さん、何してるの?」
母「ああ、これはね」パラパラ
母「あなたのアルバムとついでに私のアルバム見返してて」
歩夢「アルバムかぁ...小さい頃の私の写真は見た事あるけど、お母さんのはあんまりなかったね」
歩夢「私お母さんのアルバム見たい!」
母「いいわよ」
母「これがお母さんの小さい頃」
歩夢「目元が今と変わんないね」
母「そうかしら?....」 母「こっちは学生の頃のね。これお父さん。若いでしょ?」
歩夢「髪の毛ふさふさだね」
母「今でもふさふさよ」
母「あの頃はちょっとナヨナヨした人だったけど、ここまで芯のある人に変わるなんて」
母「懐かしいわ...赤いナデシコの花束持ってきて、好きです〜結婚してくださいって」
母「あそこで押され気味に告白されなかったら今頃どうなってたんだろうね」
歩夢「お父さんの事あんまり好きじゃなかったの?」
母「当然好きだったわよ。でも中々思いを伝えきれなくて」
母「そこら辺は歩夢達と一緒か」
母「侑ちゃんに感謝しないとね」 侑ちゃんに告白された時を思い出す。
喧嘩別れしちゃった日から3日後の放課後、部室で。
侑ちゃんは喧嘩をすると仲直りの際に必ず何か持ってくる。お菓子だったり、侘びの品という訳だ。
でも今回は違くて、手に何にも持ってきてない。
それが気に入らなくて、持ってきてないのか?とケンカ腰で聞く私。
黙る侑ちゃん。 男性が存在する世界でも両親は同性婚祝福してくれるのね 最初は色々と思うところがあっただろうけど、二人の真剣な想いを理解して認めるようになったのかもね 私はちょっと拗ねて無口になる。
そんな時に侑ちゃんが口を開いた。
侑「ねえ、歩夢」
侑「今日忘れてるかもだけど、歩夢の誕生日だよね」
侑「あの、その...」
侑「歩夢と喧嘩しちゃって...些細なことで...」
侑「それはごめんなさい。私から謝るね」
歩夢「そう...」
侑「あのね、歩夢」
歩夢「...?」 侑「私、歩夢の事、ずーっと考えてて」
侑「そしたらね、自分の中に特別な気持ちがあるって気づいたんだ」
侑「歩夢の事をこんなにもこんなにもずーっと思ってる自分がいるのに!」
侑「なんでだろう、歩夢と喧嘩しちゃったり、モヤモヤしちゃう自分がいるの」
歩夢「喧嘩の言い訳?」
侑「違う。ねえ、どうしてこんなに心がモヤモヤするんだろう」
侑「歩夢と一緒に笑顔でいたいのに!」
侑「歩夢の事がすっごく大好きなの!私っ!」
侑「誰にも負けないぐらい、目一杯の気持ちを持ってるのに!」
歩夢「...侑ちゃん」
歩夢「私だって、本当は侑ちゃんの事大好きだよ!」
歩夢「でもね、日常の些細な事が気になっちゃうの」
歩夢「他の人と笑顔で話してたり、一緒に居たり」
歩夢「誰にもそんな顔しないでよ!」 侑「私歩夢の事が好き。友情以上に、likeじゃなくてloveなの」
侑「断言する。私の見てる先はいつも歩夢」
侑「私、高咲侑は上原歩夢を愛しています!」
侑「だからこの先も、ずーっとそばにいて」
侑「私と一緒に、ずーっとそばにいて」
歩夢「....」
歩夢「私も高咲侑の事が大好きです」 そんなこんなで侑ちゃんに押されっぱなしで付き合って、お父さんに紹介したり、侑ちゃんのお母さんを訪ねたり。
お父さんもお母さんも、最初はすごく驚いてた。
一応法改正されてるけど、やっぱりそうなるよね。
でも、公表してからのみんなの態度は何も変わらない、自然なものだった。
職場も、家族も、友達も、みんなみんな祝福してくれた。
1番に祝福してくれたのはやっぱり侑だけど。 誤字かと思ったけど、何か特別な意味があるのかも?って思って 侑ちゃんもどちらかと言えば祝福される側の一人だから自分もちょっと分からなくなった 歩夢「懐かしさを感じてたらなんだか眠くなって来たかも」
母「あら、そうなのね。今のうちによく寝なさい」
歩夢「うん、おやすみ」
母「おやすみ」
部屋に戻り、スマホを取り出す。
こうやって、寝る前に侑ちゃんにメッセージを送るのがいつもの日課だ。 歩夢:おやすみ
すぐにピコンと返信が返って来た。
侑:おやすみ
コミュニケーションアプリを閉じる。
スマホの画面から洩れる、少し刺激の強い光がベッドの周りを照らす。
歩夢「はぁ...」
勢いよくベッドに倒れ込む。
今日は少し疲れたなぁと思いながら少し伸びをした。
暖かい毛布に身を包み、隣の壁に目線を向け、おやすみと心の中で呟いた。 〜次の日〜
歩夢「侑ちゃん、これ持つの手伝って」
侑「はーい」
侑「うわっ、重っ!持てるかなこれ?」
歩夢「大丈夫、侑ちゃんなら持てるって」
歩夢「せーの!」
私達は新しいマンションに荷物の搬入をしている。
私のベッドは大きいから、持ち上げるだけで大変だ。
歩夢父「おーい、イスここでいいかな?」
歩夢「あっ、お父さん来てくれたんだ。ありがとう」
父「女の子2人じゃキツそうだから」
父「お父さんになんでも言ってな。なんでも持って来ちゃうから」 一緒に暮らすようになったら変わる習慣かもだから、ちょっと切ない 歩夢「お父さん、しばらく侑ちゃんとベッド組み立ててるね」
父「その間に色々家から持ってくればいいんだな」
父「付箋ついてるのだっけ?」
歩夢「うん、赤い付箋ついてるやつ」
父「わかった。じゃあ家往復してくるから」
父「下の人の迷惑にならない様に、あんまり派手にしないんだよ?」
侑「大丈夫ですよお義父さん」
父「お義父さんなんて堅苦しいなぁ。昔みたいにおじさんでよかったのに」
歩夢「そういう気分もあるんだよ」
歩夢「はいはい、お父さんは荷物持ってきて〜」
父「なんだか除け者にされた気分」 侑「ここのネジはどこにあるの?」
歩夢「多分私が今持ってる」
歩夢「はい、あとそれとドライバー」
侑「ありがとう」
歩夢「運ぶのは少しだけ大変だったね」
侑「うん、ごめんね、私あんまり力ないからさ」
歩夢「それは私も同じ。気にしないで」
侑「...」キコキコ
侑「これでいいかな?」
歩夢「うん、バッチリ。私右面やるから、侑ちゃん後のもお願いできる?」
侑「任せて!」 自分の部屋から運んできたということは、同じベッドというわけじゃないんだな 侑「よしっ、完成!」
侑「歩夢、早速ベッドマット敷いて寝てみようよ!」
侑「ほら、歩夢もここ持って!」
歩夢「う、うん」
侑「せーの!それっ!」
侑「ひゃー、ベッドマットが乗るともう9割できたよね」
侑「ゴロゴロゴロ〜」
侑「ぴょんぴょんはできないけど、相変わらずいい寝心地」
侑「歩夢も一緒に寝よう」
歩夢「う、うん...」
侑「2人で寝ても十分余裕あるね」
歩夢「このベッド、昔から大きかったから」 なるほど、ちょっと大きめだった。逆にキングサイズみたいに大きすぎない方がくっついて眠れるね 歩夢「...広いね」
侑「ベッドが?」
歩夢「ベッドもそうだけど、色々と」
歩夢「私達の部屋より、ここの部屋は広い」
歩夢「だからちょっとだけ、寂しい」
侑「...そうだね」
侑「一畳しか変わらないはずなのに、大きく見える」
歩夢「たったそれだけの違いのはずなのに...」
歩夢「ここが私達の我が家になるまで、どれくらいかかるかな?」
侑「最初は違和感を感じると思う。でもすぐだよ」
侑「すぐに我が家だって思う様になるし、部屋だってポカポカする様になる」
歩夢「....うん」
侑「寂しいって感じたら、私の事いつでもぎゅーってしていいからね」
歩夢「ありがとう」ギュッ 歩夢「これで全部かな」
侑「今日のところはね」
侑「お義父さん、ありがとうございます」
父「どういたしまして!」グゥ〜
父「あっ、荷物運んだらお腹空いてきちゃった」
侑「ちょうどお昼ですし、今日は一緒にどうですか?私が作りますよ」
父「いいの?じゃあご一緒させてもらおうかな」
侑「今日は腕によりをかけて作っちゃいます!」 父「ひゃ〜、このオシャレなのはなに?」
侑「カオマンガイです。マレーシアとかの東南アジアの料理です」
侑「今日は歩夢が食べたいって言ったのを作ってみたんです」
父「美味しそうだねぇ。俺エスニックとか食べるの初めててで...」
父「でも歩夢が好きな料理なんだから、きっと俺も好き」
歩夢「はい、お水」
父「ありがとう」
侑「それでは、3人揃って」
「「「いただきます」」」
父「ぱくっ、はむっ」
父「....」
父「....」うるうる
父「....うまい」ポロポロ 侑ちゃんも歩夢ちゃんのために料理作ってあげるのね
お互いがお互いのために料理してあげるのっていいね 侑「あっ、お義父さん、泣いて」
歩夢「どうしたの急に?」
父「や、侑ちゃんの作る料理がすごく美味くってさ」
父「初めて食べるのに、なんでこんなに食べ慣れた味なんだろう」
父「侑ちゃんの料理は、歩夢の事がとっても、とっても考えられてて」
父「ああ、この人なら、やっぱり歩夢を預けてもいいんだなって」
歩夢「お父さん...」
侑「そ、それほどでも...って、ティッシュティッシュ!」
侑「お父さん、泣かないでください!」
父「うまい、うまいよ....」ポロポロ 歩夢「もう、お父さんったら最近は涙もろいんだから」
父「ごめんな。自分でも人前で泣くのはどうなのかって思うけど...」
父「この家のはじめての思い出が、俺の男泣きになってしまった。ごめんごめん」
侑「いえ、あまり気にしません」
侑「逆に思い出が一つ増えて、こうやって家族になってくんだなって」
歩夢「家族ね...」
歩夢「家族の在り方って人それぞれだけど、この家では色んな思い出が作れたらいいなって」
歩夢「お父さんみたいな、泣いたり笑ったり、一緒にできる事って幸せだね」
侑「お義父さんの男泣きも私達の一ページです」
父「ありがとう。そういう事言ってくれると、俺も幸せ」 親だったら泣いちゃうよね。本当に自分の娘のことを想って作ってくれてるのがわかるんだから。すごくいいな 父「それじゃあまた明日?」
父「今日はここに泊まってくんでしょ?」
歩夢「うん、夕飯はいらないってお母さんに言っといて」
父「了解」
侑「式の時はよろしくお願いします」
父「うん、俺もママも楽しみにしてるからね」
父「バイバイ、さようなら」
侑「さようなら」
歩夢「さようなら」 侑「式、楽しみだね」
歩夢「うん、楽しみだけど、それまでにやる事いっぱいあるね」
侑「うん。今日はどの辺までやろうか?」
歩夢「洗濯機も冷蔵庫も、買い出しも思ったよりも早く終わって」
歩夢「ねえ、今日は一緒にお風呂入らない?」
侑「いいよ。でも変な事しないでね?」
歩夢「しないよ。そもそも変な事ってなに?」
侑「いつもの、アレ!」
歩夢「アレってなに?」
侑「冗談冗談、それじゃあお風呂掃除しておくからゆっくりしててね」
歩夢「ありがとう。久しぶりにファミコンでも出して、ジーコサッカーしようかな?」
侑「ちょっと待って、ジーコサッカーするの?」
侑「それ私もやりたいから早くお風呂掃除済ませる!」 いくら歩夢ちゃんとでもジーコサッカーはちょっと…… 侑「月がぁ〜出た出た♪月がぁ出たぁ♪あよいよい」
歩夢「侑ちゃんお風呂入る時いつもその歌歌ってるよね」
侑「私もこの節しか知らなぁ〜い」カポン
歩夢「さて、侑ちゃん頭洗いますよ」
歩夢「シャンプーハットつける?」
侑「もー、歩夢は私をおこちゃま扱いして!」
歩夢「でも高校入るまでつけてたよね」
侑「便利だからいいじゃん!」
歩夢「はいはい、じゃあ洗うから目をつぶって」
侑「....!」ギュッ
侑「顔に泡がなるべくかからないようにお願いします...」
歩夢「さあどうでしょう?」
侑「えー!?」 歩夢「痒いところはありませんか?」わしゃわしゃ
侑「特にないです」目ギュッ
歩夢(ふふっ、侑ちゃんかわいい)
歩夢(このまま正面まわっても気づかれないだろうな...)
歩夢(こうやって少しづつだけど、正面にまで動いて)
歩夢(やっぱりお目目ギュッてしてる顔かわいい) 歩夢(ここでこうやって気づかれないなら)
歩夢(キスしちゃってもいいよね)
侑「....ゴシゴシ」
歩夢「...ゴクリ」
歩夢(ヤバ、顔近い。でも勇気を出して)
歩夢「ちゅ」
侑「!?!?」 歩夢「チュッ」
侑「!?」お目目パチリ
侑「....!!」かぁ〜
歩夢「あれ?赤くなってる。のぼせちゃった?」
侑「そんな事急にされたら誰だって!」
侑「不意打ちはなし!ちゃんとした時にして!」
歩夢「こういう侑ちゃんもかわいい」
歩夢「はい流すから目瞑って」
侑「瞑らない...」
侑「歩夢が変な事しない様に見張ってるから瞑らない!」
歩夢「今日はちょっと頑固だね」
侑「いっつも歩夢のペースに乗せられてるからたまには逆らいたくなるの!」
侑「目瞑っらないで流して。それで大人だって所見せてあげるんだから!」
歩夢「はいはい」バシャー
やばっ、目に入った!痛い!
だから目瞑っればよかったのに...大袈裟だなぁ.... 侑「ひゃあ〜」ぼふん
侑「おっきぃベッドっていいよね」
歩夢「下の階の人に迷惑だから、あんまり跳ねないでね」
侑「うん、わかってますって」
侑「クロール、平泳、バタフライ」ゴニョゴニョ
侑「そして歩夢」ギュッ
歩夢「わっ、いきなりギュッとしないでびっくりしたじゃん!」
侑「さっきのお返し〜」ぎゅー
侑「こうやってさ、2人で寝るの久しぶりだね」
歩夢「うん、お互い最近仕事が忙しかったから」
歩夢「隣に誰かを感じられる」
歩夢「それが侑ちゃんで、とっても幸せ」 歩夢「いっつもメッセージ送ってたでしょ?おやすみって」
侑「うん」
歩夢「その相手が目の前にいて、直接おやすみって言えるんだもん。嬉しいよね」
侑「私も、おんなじ」
侑「大切な人に、いつでも大好きって伝えられる」
侑「物理的な距離が近くなって、いつでも触れ合える」
侑「ねえ歩夢、キスしよっか」
歩夢「今度は侑ちゃんからだね」
侑「チュッ」 歩夢「侑ちゃん、大人ってなんだろう?」
侑「どうしたの急に?」
歩夢「私たちって、大人になれたのかな?」
侑「こうやって結婚してるから、年齢的には大人だけど...」
侑「私はね、大人って思いやれる人がいる、守りたい人がいるって事だと思うよ」
侑「同性でも、異性でも」
歩夢「侑ちゃんってたまに真面目な事返すよね」
侑「それどういう意味ー!?」
歩夢「私の思いやれる人、守りたい人」
歩夢「そういうひとの輪がどんどん増えてって」
歩夢「いつかそういう人たちに看取られながら星になって」
歩夢「私が星になるまでに、どれほどたくんさんの人に会えるんだろう」
侑「会えるよ。沢山」
侑「これまでも、沢山の人に会ってきたんだから、これからもきっとそう」
歩夢「変な話振ってごめんね」
侑「ううん、気にしてない。逆に深いなって思った」
歩夢「侑ちゃん、おやすみ」
侑「うん、おやすみ」パチン メイク「お綺麗ですね」
歩夢「ありがとうございます」
メイク「ルージュは何色にしますか?」
歩夢「ピンク系の、これでお願いします」
メイク「はい、わかりました♪」
メイクさんはリップブラシを取り出して、私の唇にぽんぽんと色を乗せていく。
白薔薇をイメージしたウェディングドレス。
胸元には、金の刺繍が施してある。
その色とピンク系のルージュが柔らかな雰囲気を生み出している。
メイク「はい、完成です」
歩夢「綺麗....」
メイク「本当、惚れ惚れしちゃうぐらいお綺麗ですね」
メイク「一枚お写真お取りしちゃいます♪」
メイク「はいこっち向いて〜」パシャっ コンコンとノックされてドアが開く。
お父さんとお母さんだ。
侑ちゃんとは、お互いサプライズにしたいって、式の直前で打ち合う事になってる。
母「歩夢、入っていいかしら?」
歩夢「うん、いいよ〜」ガチャ
父「....!!」
父「...すっごい綺麗」
母「よく似合ってるわよ」
メイクさんにお礼を言って立ち上がる。
今一度自分の姿をよく見たかった。
ティアラとか、小さい頃はお姫様みたいで憧れてた。
それを今つけてるんだよ。どう思う?信じられる?
母「ねえ、これ、お母さんからのプレゼント」
歩夢「??」
母「ネックレス。私のお母さんから貰ったものなの。歩夢にもつけてあげる」モゾモゾ
歩夢「ありがとう」
歩夢「似合ってるかな?」
父「うん、うん、母さんよりも似合ってるぞ」オロオロ
母「ちょっとそれどういう意味よ」
歩夢「あははは」 父「歩夢、本当に、本当に素敵になったな」ポロポロ
歩夢「もう、お父さん泣くのが早いよ」
父「小さい頃は、お父さんと結婚するって言ってたのに」
父「いつも後ろをひっついて回って、お父さん、お父さんって言ってたのに」
父「いつのまにか、こうやって大きくなって」
父「それに侑ちゃんと結婚までしちゃうなんて」
父「歩夢、今まで大きく育ってくれてありがとな」
父「寂しいけど、こうやって結婚式開いてくれてありがとう」
父「お父さんもいっぱい泣くけど、これは嬉し泣きだから!」
歩夢「お父さん....」うるうる
母「ほら、新婦さんはまだまだやる事あるんだから泣いちゃダメよ」
母「せっかくのお化粧が崩れちゃうじゃない」
母「もうすぐ式が始まるわ」
歩夢「うん」
歩夢「お父さん、お願いがあるんだけど...」 歩夢「お父さん、お母さんと一緒にベールダウンしてくれないかな?」
歩夢「本当はお母さんやるものなんだって。母親はいつでも子供の事を思ってるっていう意味で」
歩夢「でもね、それはお父さんでも同じだと思うの。だからね...」
父「....う、うん」ポロポロ
歩夢「それじゃブライズルームに行くよ」
父「うん...」ポロポロ 侑「歩夢っ!」
歩夢「侑ちゃん...綺麗だね」
侑ちゃんのウェディングドレスも私とおんなじ白。
でも侑ちゃんのは白百合をイメージしたものだ。所々緑の刺繍が作り込まれている。そして私より少しだけ裾が長い。
私はティアラだけど、侑ちゃんのはお花の髪飾り。
そしてミドルロングのベールが既にかけられていた。
歩夢「侑ちゃんはもうベールダウンしたんだね」
侑「うん、お母さんがね、ベールかける時に撫でてくれてね、あなたを産んでよかったって言ってくれたんだ」
侑「私、それでもう感動しちゃって....」
歩夢「うん、私もさっき化粧室で泣きそうになっちゃって...」
歩夢「私今からベールかけるの。お父さんとお母さんと一緒に」
歩夢「侑ちゃんも一緒に見ててね」
侑「うん!」 少し跪く。
そこにお父さんとお母さんがベールをかけてくれる。
母「歩夢、幸せになってね」
父「歩夢、泣くんじゃないぞ」ポロポロ
お父さん、泣きながらそんな事言わないでよ。笑っちゃうでしょ?
でも私を笑顔にさせようとそんな事言ってくれたのかな?
スルスルと私の顔の前にベールが降りてくる。
お父さん、お母さん、私を育ててくれてありがとう。
侑ちゃん、私を選んでくれてありがとう。 歩夢父「はぁ〜ふぃ〜」
歩夢父「泣くな、俺、泣くな俺!」
歩夢「...ふふっ」
侑父「侑、俺変な所ないよね?」
侑「大丈夫。お父さんもうすぐ扉が開くから、転ばないでね」
新婦2人の入場です〜! 会場は空にも届きそうなほど、天井が高い。
ピアノのゆったりとした和音が館内に響き渡る。
いつかの、懐かしいあの楽曲だ。
果てしない道でも一歩一歩。
みんなとここまで、果てしない道だった。
色々な人に支えられて、今ここにいる。
牧師「新婦高咲侑、あなたは病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
侑「誓います」
神父「新婦上原歩夢、あなたは病める時も健やかなる時も、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
歩夢「誓います」
牧師「それでは両者誓いのキスを」 跪くと、侑ちゃんの手が私に迫ってくる。まずは私からベールをあげる。
細くて白い侑ちゃんの手。
ウェディングドレスのおかげで、もっと華奢に見える。
少し見惚れてしまって、ベールが上がってもそのままでいた。
侑「ほら、歩夢、今度は歩夢の番」小声
歩夢「あっ、ごめん」
こんな時にも失敗しちゃうなんて...
今度は侑ちゃんが跪く。
ゆっくり、優しく。
ベールを上に。
侑「....ニコッ」
侑「....チュッ」
侑ちゃんが少し微笑む。
私は緊張しすぎて微笑みを返す事は出来なかった。
私、どんな顔してたかな? かすみ「侑先輩、歩夢先輩、おめでとうございます」
果林「まあ2人は多分くっつくんだろうな〜って思ってたけど」
璃奈「エマさんからもエアメール来てたね。おめでとうって」
しずく「先輩達、すっごくお綺麗でした」
歩夢「ありがとう。ティアラとかはすぐ返しちゃったんだけど...この真珠のネックレスはね、お母さんからので」
彼方「親子代々ってやつだね。羨ましいなぁ」
愛「菜々の動画も良かったよ」
侑「まさかあのシーンがこんな風に使われるなんて思ってなかったよ」
菜々「最後の動画と一体になった隠し芸は滑っちゃったから恥ずかしかったんですけど...」
菜々「まあ皆さん気にしないでください」
歩夢「私は面白かったと思うよ?」
歩夢「みんな、写真撮るから中央に集まって」
侑「すみません、お願いします!」
はいチーズ! 侑「歩夢、今日はどうだった?」
歩夢「とっても楽しかった」
歩夢「全員って訳じゃないけど、久々に集まれて...」
歩夢「懐かしい思い出とか語り合えて...」
侑「私も懐かしさに浸れて、ちょっと感慨深かった」
歩夢「あっ、流れ星!」
侑「どこどこ?」
歩夢「消えちゃった」
侑「歩夢は流星になにお願いしたのかな?」
歩夢「ひーみつっ!それは叶ったら教えてあげる」
侑「いつか願いが叶う日が楽しみだなぁ」
侑「ただいま〜」ガチャ
歩夢「ただいま〜」
侑「ひゃー、今日はもう色々とお腹いっぱい!」 歩夢「今日から高咲歩夢かぁ...」
侑「高咲歩夢...でも歩夢は歩夢」
侑「私も上原侑にしようかな?」
歩夢「えー、今更?」
侑「うん、今更」
歩夢「私は、侑ちゃんの事大好きだから、この名前も大好きなの」
歩夢「今は結婚も、姓名も選べる時代だけど、それでもこの苗字を選んだんだ」
歩夢「伝統とかじゃない、私の意思で」
歩夢「でもしばらくは上原って書類にサインしちゃうかも...なんてね」
侑「じゃあ練習しないと」
侑「高咲歩夢さーん!」
歩夢「はーい」
侑「....ふふっ」
歩夢「....あははっ」
侑「それじゃあ寝よっか」
歩夢「....うん」
侑歩夢「「おやすみなさい」」 パチン おしまい
1週間の長きに渡り、保守してくださった方、途中でレスくださった方、ありがとうございます おつでした。メッセージのやり取りはなくなるけど、直接おやすみと言い合えるようになるって、新しい生活の始まりを象徴しててすごくいいね
結婚式前夜にこれまでとこれからの人生を語るのも、一つの大切な節目を迎えてるのがすごく伝わってくる
結婚式もすごく綺麗で目に浮かぶようでした。すごくよかったので、また何か書いてくれたら嬉しい @cメ*˶˘ ᴗ ˘˵リ これからもよろしくね侑ちゃん 🌸cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ お疲れ様!素晴らしいSSをありがとう ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています