【鬱注意】歩夢「もう戻れない」
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あゆあいです。
人によってはあいりなゆうぽむって感じるかもしれない
>>1 代行ありがとうございます。 「私、そんな侑さんのことが好き」
「私も璃奈ちゃんのこと大好き」
侑…ちゃん……?
私が見たのは璃奈ちゃんに告白される侑ちゃんと、
それを笑顔で受け入れる侑ちゃんだった。 決して2人のことを覗いていたり尾行していたりなど断じてない。授業が終わり、部室に入ろうとしてドアを開けようとしたらその一部始終を見てしまった。
そしてこのことに2人は気付いていなかった。
そして、その日に侑ちゃんや璃奈ちゃんから付き合うことになったという事実を聞かされることはなかった。 言い方悪いけど傷の舐めあいから始まる関係っていうのも話としては好き それに、練習も全く身に入らなかったから体調が悪いって嘘を付いて途中で同好会も抜けてきてしまった。
あの子に隠し事をされている事実が、偶然とはいえそれに気付いてあの子から逃げてしまった私自身がとてつもなく醜く感じて、私は帰宅してからすぐに布団に頭から潜り込んでしまった。
練習が終わったあたりの時間になると、スマートフォンには同好会のみんなから私を心配してくれるメッセージが届いた。みんなが心配してくれるのは嬉しかったけど、どうしても今はそれを読む気にもなれなかったし、放っておいて欲しいという欲求のほうが勝った。 次の日の夜、侑ちゃんから「ベランダに来てほしい」っていうLINEを貰った。
きっとその事を聞かされるんだ。
断りたい衝動に駆られたが、断ったらきっと"その事"─璃奈ちゃんからの告白を受け入れたこと─を私が気付いてしまっていることを侑ちゃんはきっと気付いてしまう。
侑ちゃんは私の事になると何だかんだ言ってすぐ気付くほうだから。
でも、私の本当の気持ちには気付いてくれないくせにね。 きっと、だから私は…負けたんだ。最も侑ちゃんに近いところにいるからこそ、それにあぐらをかいてしまっていたから─。
30分くらい経ってからメッセージに既読を付けて「わかった」とだけ返事した。
きっとこれは昔の時代でいう処刑される前に市中を引き回される時の気持ちなんだ、とそう思いながら私はベランダに出た。そして、当の侑ちゃんは、返事に気付かないのか、なかなか出て来てはくれなかった。
はやくひと思いに私を斬ってほしい思いと、このまま出て来ないで私に打ち明けないでほしいという思いの両方が交錯しながら、どんどん時が流れてゆく。
「お風呂に入ってたからメッセージ気付かなかった、ごめん歩夢」 「それと、体調は大丈夫?」
「うん、だいぶ落ち着いたよ」
もちろん嘘だけど。
「ところで急にどうしたの?」
「歩夢に伝えなければいけないことがあるんだ」
あぁ…。この時が来てしまった。 嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
聞きたくない。お願いだから聞きたくないよ…… 「私、璃奈ちゃんと付き合うことにしたんだ」
知ってる。
私見ちゃったから。
「だからこれから歩夢と2人で過ごせる時間は減ると思う」
「でも、恋人が出来ても、歩夢が大好きな幼馴染だってことは変わらないから」
「そっか、侑ちゃんおめでとう!」
「私の事は気にしないで良いから、璃奈ちゃんのこと、よろしくね?」 歩夢が大好き、いつもならこの単語だけでも胸が高鳴る。
でも、この大好きは私から侑ちゃんに向ける気持ちとは違う。LikeとLoveの差。この差が絶対にもう届かないということを痛感させられた。
そして、笑っておめでとうって言えたかな?
大好きな侑ちゃんにこの私の想いはもう知られてはいけない、2人の邪魔になってはいけないから笑って祝ってあげなきゃいけないんだ。
でもそこからの侑ちゃんとの会話は正直あまり覚えていない。 @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ......
@cメ*´•̥ _ •̥ リ 「りなりー!同好会終わったら愛さんとカラオケ行かない?」
「今日は用事があるからごめんね、愛さん」
最近りなりーの付き合いが明らかに悪くなった。
同好会が終わったあと、毎週何度も遊びに行ってたのが急にその頻度が減った。下手すると1週間で1度も遊べないこともあった。 アタシ、りなりーになんか嫌なことしちゃったのかな。
でも、りなりーは嫌なことがあると露骨に顔に出るし、嫌だともはっきり言ってくれる。だからこの状況がホントに謎だった。
それにこんなことは初めてだから、アタシもどうすれば良いかが全くわからない。
でもきっとアタシにも話しにくい何かがあることは察しがついた。だからきっとりなりーが落ち着いたら話してくれるだろうとアタシはそう軽く考えてた。 りなりーの方は話してないんだな。と思ったけどずっと一緒にいる関係じゃなければそれでもおかしくないのか けど、そんな軽く済まされる話ではなかったことを後から思い知った。
いや、重い知らされた。 ある日突然アタシはりなりーに呼び出された。
その時は単に遊びの誘いかなって思っていたから純粋に嬉しかったことは覚えてる。
そして普段通り遊んで、別れる直前に。
りなりーが震えてたことに気付いた。
こんなりなりーは初めて見た。多分伝えたい何か大切なことがあるのだろうとは思ったから
「ゆっくりで良いよりなりー、愛さんは待ってるからさ」 「愛さん、ごめんね」
そしてしばらくの沈黙のあと
「私、侑さんと付き合うことになった。」 「愛さんだけには、そのことは伝えないといけない思ったから」
考えうる限りの、最悪な内容を聞かされてしまった。
アタシは言ってる意味を理解するのに少しの時間を要した。
アタシの脳が受け入れることを拒否した。 「おめでとうりなりー!最近付き合いが悪くなったから心配したんだぞ〜」
「でもそういうことだったのか〜、愛さんが嫌われてなくて良かったよ」
アタシは失恋した。
だからアタシは道化を演じた。
だからアタシは笑顔で祝ってあげようとした。 でも上手く行かなかった。演劇部も兼部しているしずくなら上手く隠し通すできたんだろうか?
なぜなら───。
「どうかしたの?」
「愛さん、泣いてる」
どうしてもこの時ばかりは、りなりーの優しさを心の底から恨んだ。
"知らない"ということは時としてここまで残酷になることを知った。
そしてりなりーの曲じゃないけど、思いを伝える事はこんなにも難しいんだということも…… りなりーがごめんねって言ってるのは、愛さんの気持ちに気が付いてたのかな 次の日、私は侑ちゃんからのLINEを全て無視してしまった。
もちろん理由なんて言えるわけがない。
ここで本当の事を言ってもきっと侑ちゃんは私の事を心配してくれる。
侑ちゃんは優しいから。私を大切にしてくれてたから。
事実、休んだ初日に「私も学校休んで看病するよ!」って言ってくれた。
けどそれに甘えるわけにはいかなかったし、そんなことを聞いてしまった以上は余計甘えるわけにもいかなくなってしまった。
とにかく今は侑ちゃんのその優しさが残酷だった。 だから断った。
本当は看病して欲しい。もちろんそんなことは絶対に言えるわけなんてないけど。
侑ちゃんがいない1日ってとてつもなく長く感じる。
寂しいよ…侑ちゃん……
そしてこの日から、私にある習慣が1つ増えた。 あの後、りなりーにいろいろと根掘り葉掘り聞かれたけれどなんとか誤魔化すことはできた。
けど、アタシ相手だと、りなりーはすぐに何でも気付くから少し苦しかったようにも思う。
いや、もしかすると何か気付いているのかもしれないけれど。
当然アタシが知る術はない。 1ヶ月ほど前、歩夢が3日ほど学校を休んでいたことがあった。
きっと傷心で休んでしまったんだと今なら分かる。
もちろんアタシも歩夢にお見舞いのメッセージを送ったんだけど今になってから意味合いを理解すると、どうしても悪いことをしたなあという気分になった。
当時、アタシは二人の、ゆうゆとりなりーの関係を知らなかったとはいえ───。 [22:11] 歩夢って今週暇な日ある?愛さんとどっか遊びに行かない?
だから歩夢を遊びに誘うことにした。
もちろん歩夢が少しでも気を紛らわすことが出来ればという思いがあったのは間違いない。
でも…本音は……。 それから1ヶ月くらい経っただろうか?
侑ちゃんとはまだ正直気まずい。
侑ちゃんはいつも通り私に話しかけてくれるけど、どうしても私の方が璃奈ちゃんがチラついてしまってどうしても気まずくなってしまう。
だから最近は一緒に登校しても無言とまでは行かないけど、私から会話を打ち切ってしまうことが増えたように思う。 学校でも同好会でも侑ちゃんとあまり話せていないことをみんなから心配される始末。
クラスの子に関して言えば、私と侑ちゃんは付き合ってると思っていた子もいた。
休み時間になるたびに侑ちゃんが私の所に来る、あるいは私が侑ちゃんの所に行く。
それに毎日のように侑ちゃんとお昼ごはんを食べたり、登下校したりだったり。
更には私のクラスでは公認カップルみたいな扱いを受けてたから。
侑ちゃんと同じクラスではないけど。 でも付き合ってるとは当時も一度も言ったことがない。
けど私たちかそういう扱いをされることを嫌だと思ったことはない。
むしろ、大好きな侑ちゃんとならと思う私すらいた。結局は侑ちゃんは私には矢印を向けていなかったわけだけど。 \ピロン/
「うん?愛ちゃん?どうしたんだろ…」
愛さん > 歩夢って今週暇な日ある?愛さんとどっか遊びに行かない? [22:11] そんな折、愛ちゃんから遊びに行かないかという誘いが来た。
愛ちゃんも、私が間違っていなければだけど、璃奈ちゃんに私が侑ちゃんに向けている感情と同じものを向けていたように思う。
まず明らかに璃奈ちゃんと話す時は声の高さがほんの少しだけ高くなること、スキンシップをする時愛ちゃんの表情がほんの少しだけ赤くなっていたこと、璃奈ちゃんがその場にいないと無意識に璃奈ちゃんを探そうとしていたこと。
正直挙げればキリがない。 これで私を誘ったのはきっと…侑ちゃんと璃奈ちゃんに関する話をしたいから、だと思う。
だから、私は…
[22:19] 週末は暇だから、良いよ Ayumu.U > 週末は暇だから、良いよ [22:19]
歩夢から返事が来るのは思ってたよりも早かった。
正直断られる、あるいは無視されるんじゃないかなって思ってた。
同好会でもちょっとだけみんなから距離を取ってるように感じるし。
以前はゆうゆがいるところにはどこにでも顔を出すような感じだったから、それがなくなってきっと、みんなとは話しにくくなっちゃったんじゃないかなって思う。 アタシはりなりーに関しては吹っ切れたとまでは言わない。
でも、歩夢に関しては、何もかもがゆうゆありきだったし、どうしても見てて悪い意味で不安になるから同じ学年のアタシがなんとかしなきゃいけない。 それに、同じ学年だからせっつーにも力を貸してもらおうとも思った。
けど、せっつーは多分だけど、歩夢の異変には正確な意味では気付いていない。
なんらかの違和感は感じ取っているかもしれないけどね。
せっつーには申し訳ないけど、彼女は良くも悪くも、他人を深くまで見て何かに気付くタイプではないと、アタシは思ってる。
もしせっつーを頼って、せっつーがこの事を知らなかったら、歩夢の傷口を拡げることに繋がるかもしれない。 そう思ってるから、アタシ一人で何とかするしかないんだ────。 意外と時間が過ぎるのは早かったみたいで、気付いたら愛ちゃんと遊びに行く日になった。
侑ちゃん以外の友達と2人で遊ぶなんて本当に久しぶりだから、少しだけ楽しみなのは内緒。
これで少しは吹っ切れればいいなあ Ayumu.Uって歩夢上原だけじゃなくて歩夢・侑をかけてたんだろうなあ。辛すぎ 「おーい歩夢〜!こっちこっち〜!」
「愛ちゃん!今そっちに行くね!」
待ち合わせ場所には集合時間の5分くらい前に着くように行った。
でも、愛ちゃんはもう既に待ち合わせ場所にいた。
私を待っていてくれる友達がいる、その事実がとてつもなく嬉しかった。 今まで気まずさを一人で抱えてたんだからそりゃあねぇ… 「待たせちゃってごめんね?」
「んーん、愛さんも今来たばっかりだからへーきへーき」
「じゃ、愛ちゃん行こっか」
「まずは映画でも見に行かない?」
「どんな映画にする?」
「アクションモノにしない?歩夢ってこういうの絶対に見なさそうだしどうかな?」
「うん、いいよ」 正直愛ちゃんが勧めてくれた映画が、ラブストーリーじゃなくて良かった。
ラブストーリーを見たら私はきっと私と侑ちゃんで重ねて見てしまうだろうから。
それは愛ちゃんも同じだろうから、きっとそうしなかったんだろうなって感じた。 そして、見た映画はとても面白かった。
けと、侑ちゃんと一緒に見たかったなあ。きっと、侑ちゃんは笑顔で気に入った部分をちょっと早口で語ってくれる。
ううん、今は侑ちゃんとじゃない。
今は愛ちゃんと一緒にいるんだから、侑ちゃんのことを考えないようにしないと、
愛ちゃんにも失礼だもんね。 歩夢が笑顔になってよかった。
1日連れ回したけど、ちょっと前の歩夢の表情と比べると明らかに作ったような、明らかに無理をした笑顔は減った。
まだ自然な笑顔とまでは言えないけど……
でも、どうしても腑に落ちない感じがある。
なんだろうこの違和感。 「愛ちゃん!愛ちゃん!」
「ごめん、ぼーっとしてたね」
「愛ちゃん、今日夜ご飯食べに来ない?」
「今日はお母さんもお父さんも出掛けてるから、私1人なんだ」
「え?歩夢の家行っていいの!?行く行くー!」
「じゃ買い出しして行こうか、夜ご飯、何が食べたい?」
「歩夢の作ったものなら何でも良いよ!」
「も〜そうじゃなくて〜!」
そうしてアタシ達は歩夢の家に向かった。 「歩夢の作ったものなら何でも良いよ!」
愛ちゃんのこの言葉を聞いて、真っ先に思い浮かんだのは侑ちゃんだった。
今日の愛ちゃんを見てると、どうしても侑ちゃんの姿がチラついてしまう。
意図して侑ちゃんに近付こうとしてくれているのか、素でこうなのかは正直私にはわからない。
けど、きっと侑ちゃんならそう言ってくれるんだろうな…… けど、あまりにもそう感じることが多いと、どうしても寄りかかりたくなってしまう。
私が最低なのはわかってる。
でも、これじゃ愛ちゃんをもう絶対に振り向いてくれない侑ちゃんの代わりとして見たくなってしまうよ…。 そして買い出しを済ませた私たちは、家に向かった。
侑ちゃんは週末は大体璃奈ちゃんのおうちにいるから、変に顔を合わせて気まずくなることもない。
それは愛ちゃんにとっても同じ、変に璃奈ちゃんと顔を合わせることもない。 「じゃご飯作るから、愛ちゃんは私の部屋で待ってて」
「漫画なら本棚にあるし、好きに読んでくれてて良いよ」
「え〜?そんな寂しいこと言わないでよ!愛さんも手伝うからさ!」
「じゃこの野菜を切って、コンソメスープを作ってもらっても良いかな?」 でもここは侑ちゃんとは違う。
侑ちゃんはきっとこういう時には手伝ってはくれないから。
いや、手伝ってくれるとしても、私が絶対に手伝わせないんだけどね。
こういう時だけは、いつもカッコいい侑ちゃんに私のカッコいい所を見せたいと思ってたから。 「美味しかったよ!ごちそうさま!」
「お粗末様でした」
歩夢は、夕飯にオムライスを作ってくれた。
ウチでは食べる機会がなかなかないから少し新鮮に感じた。
それに歩夢ってほんと料理上手なんだなあとも思った。
これをゆうゆは定期的に食べてたってワケだよね、少し妬いちゃうかも…。
そういう意味じゃないけどね! 歩夢が作ってくれたご飯を食べたらアタシはなんだか
"今日は歩夢と離れたくない"
って、そう思っちゃったんだ。
「歩夢、今日泊まって行ってもいい?」
「それに、聞きたい話もあるからさ」 愛ちゃんから真剣な顔で聞きたい話がある、と聞かれた。
どんな話をされるのかなって思っていたけど、それは私が思うほど深刻な話でもなかった。
愛ちゃんにとっては深刻な話なのかもしれないけど…。
「歩夢、ゆうゆとりなりーの話だけど、ホントに大丈夫?」 「愛ちゃんも気を遣ってくれてありがとう」
「でもまだ正直、侑ちゃんと璃奈ちゃんが付き合い始めた現実を受け入れられてない。」
「もう1か月くらい経ってるけど、私が侑ちゃんと付き合ってる夢を見ちゃうんだ。」
「そして目が覚めると、どうして私じゃないんだろうって、なんで璃奈ちゃんなんだろうって」 私が侑ちゃんと付き合ってる世界線、存在してるのかな?
璃奈ちゃんが告白しなかったら、侑ちゃんがその告白を受け入れていなかったら、あるいは私が先に侑ちゃんに告白していたら、そして、その告白を侑ちゃんが受け入れてくれたら、
違った今を、私が望んだ今を過ごしていたんだろうか? 夢ってその人の深層心理を示すものって聞いたことがある。
だからきっと私は、侑ちゃんに告白しなかったことを後悔しているんだと思う。
そうでもなければきっと、こんな夢を何度も何度も見ることはないはずで…
そして、今頃侑ちゃんは璃奈ちゃんとデートしてるのかな、それともお家で一緒にゲームでもしてるのかな、それとももう一線を越えていて…。
これ以上はやめよう、考えるだけで涙が出そうだから。 それはきっと愛ちゃんも似たような感情を持ってると思う。
だから、こうやって聞いてくれたんだろうし。 「そっか、夢に見ちゃうくらいつらいんだね歩夢も」
「愛さんも、いやアタシもそうなんだよね、夢に見ちゃうくらいではないけど」
「正直、現実を受け入れられてるかって聞かれたら、きっとそれはYesとは言えない。」
「愛ちゃんもやっぱりそうだったんだね…私は愛ちゃんと璃奈ちゃんは相思相愛だと思ってたから…」 「まあ結局告白しなかったアタシが悪いんだけどね(ハハ」
「でも、普通に考えたらアタシが告白してもフラれちゃうよね。りなりーはゆうゆに告白した側なわけだし、ゆうゆは何を思ってりなりーの告白を受け入れたかはわからないけどさ」
「愛ちゃん…」
「やっぱり、近過ぎると気付かない、気付けない。それに失ってから初めて気付くこともあったんだよ……」 「私も…侑ちゃんとずっと一緒にいたから、気付けなかったのかな…」
「あれ、おかしいな…そんなつもりじゃないのに涙が止まらないや…」
愛ちゃんもきっと相当つらかったと思う。
私と同じように一番大好きな子が、手の届かない所に行ってしまったわけだから。 「ねえ、愛ちゃん。」
「夜、一緒に寝ても良いかな。」
「いいよ、一緒に寝よっか」
どうしても今は人の温もりが欲しくて、寂しくて、愛ちゃんに一緒に寝ようって誘った。
それにこんな泣いてる愛ちゃんを放っておくわけにもいかない。
でも、これくらいは許してくれるよね? 夜中、アタシは寝苦しくて目を覚ました。
そしたら聞いてしまった。
隣で寝ているはずの歩夢の寂しそうな"声"を。
今にも泣きだしそうな"声"を。
そして必死に我慢している、"そういう声"を────。 そしてその声は、"アタシではないある人"に向けられたものだった。
そしてそれは、歩夢の心からの悲鳴に感じられた。 さっきの会話でアタシは泣いてしまったけれど、歩夢は涙を見せなかった。
アタシとりなりーと過ごした期間は短いけど、歩夢の場合はゆうゆと人生の大半を過ごしているわけだから。
歩夢の受けた心のダメージも相当なものだと思う。それこそ計り知れないくらいに 歩夢は、"そういうこと"をすることでゆうゆへの感情を圧し殺そうとしていたんだ。 文字通りの意味で自分を慰めてるんだろうけど、終わった後の虚しさもすごそう もちろんだけど、アタシも人並みにそういう欲求はある。
もちろんだけど、アタシもりなりーのことはそういう目で見てたから、1度や2度どころではないくらい、りなりーを想ってシたことはある。
でも、そんな声を聞かされたらさ、アタシだってそういう気分になっちゃうよね。
それが絶対に正しくない答えだとしても、
それが人の道を踏み外すような、最低な行為だとしても。 歩夢、ごめん…。
「歩夢…」
そしてアタシは有無を言わせずに歩夢を押し倒した────────。 侑ちゃんが璃奈ちゃんの告白を受け入れ、それが理由で私が学校を休んだ頃を境目に私には"ある習慣"が出来た。
侑ちゃんと付き合っている夢を見て夜中に目が覚めた時は、必ず、侑ちゃんを想って…。 もうこの想いは叶わないから、これくらいは許してね、という思いでシてしまったのが最初だった。
それからはそういう夢を見て目が覚めたら、必ず…。
もちろんシたあとの虚無感は相当なものだけど、シてる時は現実を忘れることが出来るから その夜、夢を見た。
いつも通り、侑ちゃんとデートして。別れ際にキスをしてお互いの家に帰る。
内容こそ差があれど、別れ際にキスをするのだけは毎回変わらない。
でも今回はいつもとは少しだけ違う。ここにいるのは私1人ってわけじゃない。愛ちゃんがとなりにいる。
でも、私は欲求には抗えなかった。 時間も夜中3時過ぎだから当然今は愛ちゃんは寝てるし、声を抑えればバレないよね?
愛ちゃんに悪いから早く終わらせて、私も寝ようと思ってた。
でもそうはいかなかった。 愛ちゃんに名前を呼ばれた気がした直後、
愛ちゃんに押し倒されてしまったから。 そして、絶対に踏み越えてはいけない一線を越えた。
この世で一番最低な、お互いにとって初めてのセックスだった。
お互いに、お互いの名前を呼ばない。想い人の名前しか呼ばない。
お互いに気持ちいいかもわからない。
そんな最低なカタチで お互いに、鳴かせあうのではなく
お互いに、泣きながら。 あの日から、定期的に私は愛ちゃんとお泊りするようになった。
私の家か、愛ちゃんの家か。
私の家の方が多かったように思う。
心が悲鳴をあげたらどちらかが、どちらかを誘う。 愛ちゃんとそういうことをする時、私は愛ちゃんの名前を一度も呼んだことはない。
私はもう完全に愛ちゃんを侑ちゃんの代わりとして見ちゃっているから。
もちろん、体格や見た目は全然違うけど。 でも、それはきっと愛ちゃんも同じで、
きっと私の事を"上原歩夢"としてではなく、"天王寺璃奈"としてしか見ていない。
当然だけど、愛ちゃんも私と同じように、その時だけは私の名前を呼んではくれることもない。 そうやって私たちは溺れていく。
いつか私の侑ちゃんへの、愛ちゃんの璃奈ちゃんへの想いが完全に断ち切れるその日まで。 そして、お互いにそんな日は二度とは来ないことを薄々と理解しながら────────。 以上になります。
駄文、乱文のそれですが、読んでくださった方、最後まで読んでいただきありがとうございました。 あとゆうぽむはとても好きなので、今度はハートフルなゆうぽむも書けたら良いなと思います。
それと過去作です。
彼方「掴んだ手は、二度と離さない」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1612524898/ あゆあいすき
二人とも良い子なのに退廃的な空気がよく似合う おつでした。雰囲気あってすごく良かった。このままいつか本物の関係になれるのか、それとも歪なまま落ちていくのか >>113
ゾロ目スレのぎょうざくんだったか、それも良かった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています