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璃奈「出来たよ侑さん。異世界転生を行うスイッチ」
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0001名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:21:52.63ID:RrmiecW3
侑「ほ、本当に〜〜っ!?」

璃奈「かねてよりのご要望にお応えした」フンス

せつ菜「凄いじゃないですか!! 璃奈さん!!異世界転生なんてアニメ好きの夢ですよっ!!」パァァ

歩夢「えぇっ……そ、そうなの? 私、知らない世界なんて怖いと思うけど……」

侑「いや凄いよ凄いよ面白いよっ! だって異世界だよ!? まだ見ぬロマンがあるんだよ!」

璃奈「正確には異世界転生じゃなくて転移なんだけど……まあいっか。これがそのスイッチ。押したら、その人物と周辺の二人が異世界に転移する」

せつ菜「うおおおお〜っ!!!」キラキラ
0002名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:23:21.71ID:RrmiecW3
歩夢「ねぇ……私、何か嫌な予感が……」

璃奈「それの使い方と注意点について説明するから、くれぐれも軽率な使用はしないように。一度転移してしまうと簡単には戻れない。元の世界に戻るには、その世界の私を────」

侑「えい」ポチ

璃奈「は?」

侑「あっ、つい押しちゃった」

 ……ヒュゴォォオオオオオッ!‼!

せつ菜「うわああああっ!? なんだか変なっ、ポータルのようなものが!? だめです! 吸い込まれますっ!!」

歩夢「侑ちゃああああああああああん!?!?」

 シュイン…… プツン!

璃奈「………………」

璃奈「大変なことになった」ポツン…
0004名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:26:12.39ID:RrmiecW3
「────────ちゃん、────、────ん!」

「────きて、────────ださい、───!!」

侑「んっ……うぅ、く……」ムクリ

歩夢「侑ちゃん! 起きたっ!?」ヒソヒソ

侑「あ、あれ……歩夢。私、なんで寝て……」

侑「そ、そうだ、私たち異世界に!」

せつ菜「し、静かにっ」

侑「もごもごっ!?」

せつ菜「そうみたいですが、どうやら異常事態です。ゆっくり話している暇はありません」

侑「もご……もごもご、もごごごっ?」

歩夢「静かに、静かにね。あれを見て……」
0005名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:26:13.68ID:TGM2G69P
りなりーのいない世界ならどうなるんだろう
0006名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:31:10.70ID:HQc0cxJ+
期待
0007名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:33:32.34ID:RrmiecW3
 歩夢の青ざめた表情を受けて、すごすごと周囲を見渡す侑。
 自分たちは今、薄暗い洞窟の中にいるらしい。驚いたことに、辺りには金銀に輝く貨幣のようなものや、鈍く光る武器が幾つか積み上げられていた。
 そして、その奥。狭苦しい洞窟の幅が一気に広がり、天井に空いた大きな亀裂から日光が降り注いでいる。そこには……、

侑「うっ!?」

せつ菜「……見えますよね。あんな生物は、私達の知る地球上に存在しません」

 赤褐色の荒れた肌、高い鼻、醜悪に歪んだ瞳。
 身長はせいぜい1メートル程度とはいえ、どれもが片手に鉈のような凶器を握りしめている。
 焚き火を囲み、酒宴の最中といった様相だ。

せつ菜「ファンタジー系作品ではある種の定番とも言える魔物。ゴブリンか、コボルトのように見えます」

歩夢「……それは、どういう?」

せつ菜「作品によって細かな違いはありますが、一般的には洞窟や廃坑に住み、人を襲って金品を蓄えます。あまり強くない魔物ですが、何の力もない私たちにとっては……」
0009名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:37:21.98ID:RrmiecW3
侑「そんなっ。私たち、本当に異世界に来ちゃったってこと!?」

歩夢「でも、これが夢だとは思えないよ」

侑「……あれ? せつ菜ちゃん、なにそれ」

せつ菜「へっ?」キョトン

 侑が視線を移して、せつ菜の頭上に向ける。そこにはぴょこぴょことした二つの耳。

歩夢「……えっ!? 耳がある!?」

侑「し、しかもケモ耳だよ! ワンちゃんの耳がせつ菜ちゃんから生えてる! 可愛い〜ッ!」

歩夢「ゆ、侑ちゃん、しーっ!」

せつ菜「そんなまさか……うわっ、本当に!? 頭にふさふさした耳が生えてます!」サワサワ

 せつ菜がはっ、と気付く。
 腕が二本あるように当たり前のこととして脳が処理していたが、臀部のあたりにも存在感を感じる。
 せつ菜が意識を「そこ」に向けた途端、スカートの後部を持ち上げて──────、

せつ菜「ぶっ……!?」

 もふもふとした尻尾が姿を表した。
0011名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:39:01.68ID:RrmiecW3
侑「でも、どいうことっ!? なんでせつ菜ちゃんにワンちゃんの耳と尻尾がついてるの!?」ヒソヒソ

歩夢「ちょ、ちょっと可愛いかも……いいなあ」

せつ菜「わ、私にも分かりませんっ! でも、ここが異世界だとすると、こうした亜人種の存在もまた定番の一つです」

せつ菜「もしかすると、私は転移の影響で身体が変化してしまったのかも……?」

侑「た、体調に問題はないんだよね?」

せつ菜「はい。むしろ……すんすん、とっても鼻が効いて、世界が広がったように感じます。身体のほうも、いつもより元気が有り余っている感じで」

侑「うーんと、お手」

せつ菜「わおん♡ ……って、やらせないでください!」
0012名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:43:22.66ID:RrmiecW3
せつ菜「……おほん、ふざけてる場合じゃありません。問題は山積みです。ひとまず状況を整理しましょう」

せつ菜「出口は向こう側。外に出るには、魔物のいる場所を通り抜ける必要があります」

侑「まさか、ここ……あいつらが奪った金品とかを保管している場所なのかな」ジャラ

せつ菜「おそらくは。逃げ場がない以上、あの魔物達をどうするかが問題ですね」

歩夢「……ど、どうするかって?」

せつ菜「方法は二つ。一つは、このまま身を隠してゴブリン達がいなくなるのを待つ方法。もう一つは……ここにある武器で魔物を倒し、突破する方法」

歩夢「ええっ!?」

侑「む、無茶だよいくらなんでも! ここにいる全員、戦うことなんてできないよ!」

せつ菜「そうですね。……チートで無双、だなんてことを許してくれるほど、璃奈さんは甘くないようです。これは最後の手段にしましょう」
0014名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:47:16.42ID:RrmiecW3
 ……じゃり。
 硬い地面を踏む足音が聞こえ、3人は思わず身体を縮こませた。

せつ菜(に、臭いがこっちに来ます!)

侑(うそっ、もう来る!? 逃げる場所なんてない、覚悟を決めるしかないの……!?)

 侑は背後を振り返った。
 怯えの色を隠せない二人と、積み上げられたがらくたや金銀財宝、その中に混じる盗品と思しき幾つかの武器。

侑(そうだ……そうだよ、私のせいでこうなってるんだ! 私が軽率にあんなことをしたから!)

侑(しっかりするんだ! 私が、二人を守らなくちゃ……!!!)

【侑が咄嗟に掴んだのは……】

 1、直剣
 2、弓
 3、長杖

 安価下
0016名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/07(日) 18:49:12.13ID:sjHBe3i0
おちんちん
0020名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 18:57:30.85ID:RrmiecW3
侑(選んでる暇なんてない! これだ!)ガシッ

侑「一か八か! やってやるっ!」

歩夢「侑ちゃん!?」

侑「やああああああああああっ!!」

 物陰から勢いよく飛び出して、侑は目の前に立つ小さな影を睨む。
 握り締めたのは杖。掌越しに伝わってくるそこそこの硬さ。魔法だったりを撃てる気はしないものの、鈍器として振り回せば戦えそうだ。

「ギィィッ!?」

侑「喰らえっ!」

 ぶおん! と侑の握った長杖が振り回される!

【コンマ判定】
0〜80 命中
81〜99 失敗
判定下
0023名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/07(日) 19:02:07.31ID:BLn9IJyY
TRPG風か
0024名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 19:05:08.42ID:RrmiecW3
「ギャァァァッ!!」

 直撃! 不意をつかれたゴブリンの側頭部に、フルスイングされた長杖がめり込んだ! 

侑「はぁ、はぁ……やった! まずは一匹!」

せつ菜「や、やるとは言いましたが、まさか自ら突撃するとは思っていませんでしたっ!」

歩夢「侑ちゃん!?」

侑「大丈夫! 二人は守ってみせるよ!」

 焚き火を囲んでいたゴブリン達が、侵入者に気付いて騒ぎ出す。その数4匹。いずれも手にした鉈を振り上げて、不気味な瞳でこちらを睨む。

侑(か……数が多い! でも、頑張るしかない!)

侑「先手必勝だ! 2匹目っ!」

1匹目とやる事は変わらない。2匹目の小さな頭めがけて、侑は長杖を振り回す!

【コンマ判定】
0〜70 命中
71〜99 失敗
判定下
0025名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/07(日) 19:07:00.65ID:IykM+Di+
どうだ
0027名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 19:15:19.38ID:RrmiecW3
侑「どりゃぁっ!」

 続く攻撃も見事命中!
 2匹目の側頭部を殴り飛ばし、小柄な身体が地に沈む。酒宴を行っていたのが響いたか、ゴブリン達はいずれもふらふらと千鳥足。全く本来の力を出せていない。これならいける、と侑は勢いに乗ろうとするも、

せつ菜「侑さん、ダメです! うしろ!」

侑「え」

「ギィィヤァァァッ!!」

 いつの間に背後に回ったのか。ぶぉん! と横薙ぎに鉈が振われる。酩酊状態で放たれた、力も全然入っていない雑な一撃。しかし、侑にはそれを避けるだけの経験がない。

侑「い、だっ!」

歩夢「きゃぁぁぁあっ!」

せつ菜「侑さんっ!!」

侑「あ……う、ぃ、痛…………血が」

 大した傷ではない。腹を少し斬られただけで、出血もすぐに止まる程度。
 しかし、「痛み」がもたらした効果は大きい。忘れようとした恐怖心が、殺されるかもしれないという本能的な恐れが、なけなしの勇気を削り取る!

侑「あ……う、くそぉ……!」ガタガタ

せつ菜(不味い! このままでは侑さんが!)

【咄嗟にせつ菜が手にした武器は……】
1、直剣
2、弓
0030名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 19:28:38.79ID:RrmiecW3
せつ菜「ここは弓ですっ!」

せつ菜(しのごの言わずにやるしかありません!頑張れ優木せつ菜、アーチェリーで遊んだ時のことを思い出すんです!)

せつ菜「っ……!」

 怯んで後退りする侑。それをじりじりと追い詰めるゴブリン達の目に、自分は映っていない。

せつ菜「ふー…………はー……………」

 矢を番えて、引き絞る。余計なことは考えず、ひたすらに神経を尖らせて、意識を一射に集中させる。

せつ菜「撃ちますっ!」

【コンマ判定】
0〜70 命中
71〜99 失敗
判定下
0034名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 19:37:49.42ID:RrmiecW3
 ……すとん、と命中! 
 ゴブリンの頭部に、真横から放たれた矢が突き刺さった。見事なまでのクリーンヒットに、ゴブリン達よりも侑が目を剥く。

侑「えっ!?」

せつ菜「侑さん! 私も戦います!」

侑「せ、せつ菜ちゃん! 心強いよ! ありがと……うわぁっ!?」

 喜んでいる暇はない。酔いが覚めつつあるらしく、残る2匹の動きが活発になりつつある。振り下ろされた鉈を杖で受け止め、侑はなんとか攻撃を防ぐ。
 その間、もう一匹はふらふらと駆け出すと、

せつ菜「あわ、わ、私の方ですか!?」

歩夢「……っ、せつ菜ちゃん!」

 甲高い叫びをあげて、容赦なく距離を詰めてくる。それは正しい。一射目は上手くいっても、せつ菜に素早く次矢を番えられるほどの経験はない!

せつ菜「ぁ────────────」

 素早さが増した鉈が、容赦なく振り下ろされて……、
0035名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 19:42:19.11ID:RrmiecW3
歩夢「うわあああああああっ!!」

 そこに、横から走ってきた歩夢が激突!
 手にしているのは鈍く光る直剣。優しい歩夢が握るにしては物騒な武器だが、これしか残っていないと知って諦めたらしい。

歩夢「わああああ! わああああああっ!!」

せつ菜「あゆ、歩夢さんっ!?」

 半泣きで剣を振り回す歩夢。この状況に半分パニックになっているのか、そのまま立ち上がろうとするゴブリンに突撃していく!

「ギィィィィィッ!?」

【コンマ判定】
0〜85 命中
86〜99 失敗
判定下
0039名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 20:06:39.01ID:RrmiecW3
歩夢「うわあああああああああっ!」

 悲鳴とは裏腹にパワフルな一撃。型もへったくれもない一撃だったが、そも剣は鈍器として振るうだけでも十分に強い! 
 恐れを忘れて飛び込んでくる歩夢に対処できず、ゴブリンの身体が叩き伏せられる!

侑「ぐぬぬぬぬ……く、くぅ……っ」

 その間も、侑は至近距離でゴブリンとの睨み合いを続けていた。杖と鉈を噛み合わせたまま、しかし侑のほうがじりじりと押されている。
 そもそも、侑は非力である。度胸はあってもスクールアイドルではなく、体力もこの中で一番低い。そもそも近接線に向いていないのだ!

せつ菜「ふっ!」

 しかし、既に最後の一匹。
 動かない的であれば先ほどよりも楽、とばかりに放たれたせつ菜の矢が、正確に頭蓋を撃ち抜いた。

せつ菜「はぁ……はぁ……やりました!」
0041名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 20:16:36.76ID:RrmiecW3
侑「はぁ、ふぅ、はぁ……」ドサ

歩夢「侑ちゃん、大丈夫っ!?」

侑「えへへ、なんとか……でも疲れたぁ……」

せつ菜「辛うじて生きてますね、私たち……」

歩夢「う……うううっ。怖かった……侑ちゃんが飛び出していって、死んじゃうんじゃないかって……」ポロポロ

せつ菜「本当ですよ! 侑さん、一人で無茶はいけません!」

侑「ごめんごめん……元はと言えば、私があれを押しちゃったのが原因だしさ。なんとしても二人は守らなくちゃって思って」

歩夢「でも無茶はダメっ!」ギュウ

せつ菜「あまり責任を背負い過ぎないで下さい。さらに元を正せば、璃奈さんに異世界転移スイッチを頼んだのは私ですし……」
0042名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 20:17:45.53ID:RrmiecW3
侑「怪我の方も浅かったみたい。ほら、ちょっと斬られちゃったけど血は止まってるよ」ペラ

せつ菜「良かった……とりあえず、外に出てみましょうか? 早急に元の世界に帰る方法を探さないと」

侑「じゃあさ、あそこの財宝もついでに貰っていこうよ! きっと役に立つと思うよ?」

歩夢「うぅ……ぐす……侑ちゃんは昔から切り替えが早いよね……小学生の頃だって……」

侑「これとかどうかな? おっ、こっちは高そうな首飾り」

せつ菜「この世界の硬貨っぽいものは持てるだけ持っていきましょうか。転移したばかりでまとまった金額を得られたのは幸いかもしれません」

歩夢「聞いてー!」プンスコ
0043名無しで叶える物語(光)
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2021/02/07(日) 20:19:39.50ID:koUN1OQv
めっちゃ楽しみだから是非完結して欲しい
0045名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 20:21:37.56ID:RrmiecW3
【ヌマズの平原】

 長い洞窟を抜けた先。
 そこに広がっていたのは、一面に広がる緑と青のグラデーション。吹き抜けるそよ風に揺れる丈の短い草、どこまでも広がる蒼穹と揺蕩う雲。
 広大な平原の向こうには、頂に雪を被った大きな大きな山脈が姿を見せている。一目見ただけでも、富士山どころの高さではないことが理解できた。
 日本、侑たちが知る世界では見られない光景を前にして、3人は感嘆の声をあげた。

侑「すごい! 平原が、ずぅっと広がってる! あっちには森! 山もすごく大きいよ! トキメいちゃうなぁこれはっ!」

歩夢「うん、とっても綺麗……」

せつ菜「これはテンションが上がりますね!! もう我慢なりません!!!! うおおおおおーーーーっ!!!」ダダッ
 
侑「もう、さっきまで緊張で顔が真っ青だったのに。せつ菜ちゃんはこういうところでポジティブだよね」

歩夢「外に出たはいいけど、建物も何もないね。これからどっちに向かおうか?」
0046名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 20:29:56.43ID:RrmiecW3
侑「あそこに見えるの、道じゃないかな?」

 平原の草が刈り取られ、街道のようなものが続いているのが遠くに見える。どうにも、自然にできたものとは思い難い。

せつ菜「どうしました!?」タッタッ

侑「あ、うん。あそこにさ、道があるよね? 人の姿はないけど、あの道をどっちかに進めば村や街にぶつかるかも」

歩夢「あてもなく進むよりは、ずっと良さそうだね」

せつ菜「はい、私もそれがいいと思います!」

侑「よし! じゃあ、異世界探検の始まりだ!」

 こうして、三人は空の下を歩き始める。
 侑、歩夢、せつ菜。ひょんなことから知らぬ世界に辿り着いてしまった三人の冒険は、ここから幕を開けるのである。
0048名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 20:33:48.18ID:RrmiecW3
 その後、幾らか歩いた頃。

侑「ん? ……ねえ、向こうから誰か来るよ!」

千歌「おっ、こんにちはー!」

 道の向こうからやって来たのは、ダチョウのような生物に跨った少女だった。オレンジ色の髪の毛をした、素朴ながら優しそうな少女である。
 跨った生物は空の荷車を引いている。恐らく、この世界における輓獣の役割を果たしているのだろう。

侑「こ、こんにちは!」

せつ菜「だ、第一村人発見です! 初の異世界人との遭遇ですよ!」ワクワク

歩夢「せ、せつ菜ちゃん、変な目で見られるよ」

千歌「う〜ん、なんだかここら辺で見ない顔だね? 服も見たことないのを着ているし。旅人さんにしては、荷物が全然ないし」

歩夢「あの、実は、私たち……」
0050名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 20:48:01.79ID:RrmiecW3
 こういう時、歩夢はとても口が立つ。
 信じてもらえそうにない「異世界」の話を避けつつも、魔物に襲われ、行くあてもなく彷徨っていることを伝える。

千歌「……うん、事情は分かったよ。とっても困ってるなら、放っておけないよね! 私たちの村に案内するから、荷車に乗って!」

侑「あ……ありがとう!」

千歌「いいのいいの、困った時はお互い様なのだ! 血は止まってても、一応診てもらったほうがいいと思うから、とりあえずはうちに連れていくね? 志満ねえ……お姉ちゃんなら診察できるから!」

せつ菜「何から何まで……すみません。ご好意に甘えます」ペコリ

千歌「ううん、いいんだよ。私は高海千歌、よろしくね!」
0051名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 20:54:23.19ID:RrmiecW3
千歌「────────みんな、着いたよ!」

 緊張から解放され、三人が荷車に揺られながら思わずうとうとし始めたころ。千歌の軽快な声が響き、三人はぱちりと目を開けた。
 謎の生物に引かれた荷車が門をくぐる。ファンタジー小説やゲームに登場するような、オーソドックスな村だ。畑と家々が交互に点在していて、幾つかの風車がくるくると回っている。
 いつの間にか日は暮れて、時刻は日没の頃合いに差し掛かろうとしていた。

千歌「ここが私の故郷、〈ヌマズ〉村! みかんくらいしか特産品がない村だけど、まあのんびりしていってよ」ニコ

歩夢「わあ……とっても素敵!」

千歌「そうかなあ? 畑くらいしかないし、いたって平凡で……」

せつ菜「いえ! いえ! 私が妄想して思い描いていたまんまの光景です! これこそ「村」といいましょうか、寂れすぎず豊かすぎず、のんびりとした時間が漂っているような穏やかさがあって!」ペラペラ

千歌「えっと……よく分かんないけど、ありがとう♪ 私も、この村のことが大好きなんだ」ニコッ
0052名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:03:10.00ID:RrmiecW3
 荷車は、「INN」と看板のついた大きな建物の前で停まった。玄関には、「十千万宿屋」と刻まれている。どうやら、ここが千歌の実家らしい。

千歌「どうどう〜。ありがとね、はんぺん〜」

せつ菜「あの……失礼ですが、そちらの動物はなんと言うんでしょうか?」

千歌「え? ラグーグァだよ。変なこと聞くな〜……って、記憶喪失なんだっけ。それじゃあ分からないよね」

 三人は、ひとまず記憶喪失ということになっている。この世界のことを何も知らないのだから、異世界から来たと述べるよりは、そうしてしまったほうが早い。恩人を騙しているようで、ちくりと胸が痛むが。

千歌「帰ったよ〜」ガラガラ

美渡「チカ! おかえり。みかんは売れた?」

千歌「うん、完売なのだ!」
0053名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:03:14.81ID:XLAGapt3
雰囲気伝わってきていいね
0054名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:04:42.39ID:RrmiecW3
美渡「……あれ、その人らは? お客さん?」

千歌「そ、そうなんだよ! この子達が魔物に襲われて記憶喪失で、大変なんだよ〜っ! 志満ねえ呼んで! 一人怪我した子がいるから!」

歩夢「あ、あはは……」
 
 どたんばたんと、思い出したように両手をばたつかせる千歌を見て、思わず苦笑を漏らす三人。
 その必死さが彼女の性格を表しているようで、出会って良かったと思わずにはいられない。

志満「もう、他にお客さんもいるんだから静かにして?」

千歌「志満ねえ!」

志満「話は聞こえてきたわ〜。ええっと、怪我をしたっていうのはどの子かな?」

侑「は、はいっ。実はお腹をサクっと……」

志満「どれどれ。うん、血は止まってるね。この斬り口だとゴブリンあたりか……感染症が怖いから、一応癒しておきましょうか」
0055名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:16:13.58ID:RrmiecW3
志満「《ヒール》」

 その時、三人は同時に目を剥いた。
 女性が侑の傷に手を当てると、ぽう、と白く暖かな光が生まれたのである。みるみるうちに刻まれた傷が塞がっていき、数秒もした頃には、つるつるのお腹が復活していたのだった。

侑「え……ええええっ!?」

歩夢「なんですか今のh

せつ菜「ま、ま、ま、魔法ですかあああああああああああああああっ!?!?!?」ゴゥッ!

志満「え……えぇ、なんの変哲もない《ヒール》だけど。まるで初めてみたような反応ね?」

千歌「志満ねえ、それが…………」

 せつ菜の興奮ぶりにやや引き気味の志満に、千歌がさらりと説明する。
 三人は記憶喪失で、この世界に関することを全て忘れてしまっていること。行くあてがないということ。

志満「記憶喪失、か……それは困ったわねぇ。見たこともないような服だし……こういう奇抜なファッションは王都の流行りなのかしら?」

美渡「王都から旅をしてて、トラブルに……ってこともあるかもしれないね」
0056名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:23:23.31ID:RrmiecW3
歩夢(今更ウソをついたことの罪悪感が……こうした方がいい、とは分かってるけど……)

 歩夢の苦悩をよそに、二人の姉はサクサクと話を進めていく。

美渡「とりあえず、今夜はウチに泊まりなよ。部屋なら丁度空きがあるからさ」

せつ菜「い……いいんですか?」

美渡「まあ、なにもせず放り出すってのも寝覚が悪いでしょう。せっかくウチには部屋がたくさんあるんだし、一つくらいは使わせてあげるよ」

侑「や、やったぁ……いきなり野宿、なんてことにならなくて……」ホッ

歩夢「ありがとうございます! ありがとうございます!」

千歌「疲れたと思うから、ゆっくり休んでね。心細いと思うけど、チカも出来ることがあれば手伝うから!」
0057名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:29:19.34ID:RrmiecW3
【深夜 宿の廊下】

侑「……ふぅ。色々あったけど、なんとか宿を見つけて、落ち着ける場所で休むことができたね」

侑「お風呂まで使わせてもらえて……こんなに恵まれてることはないよ。千歌ちゃんには感謝しなきゃ」

侑「さて、部屋に戻れば歩夢たちがいるけど……千歌ちゃんに、この世界について聞いておくのもいいかも」

侑「もしくは、ちょっと夜のお散歩してみる?」

※今後、侑の行動が複数に分岐する場合があります。訪れる場所によって、出会う人、得られる情報、起こるイベントが変化します。

【侑の行動は……】
1、部屋に戻ろうかな。
2、千歌ちゃんとお話ししにいこう。
3、夜のお散歩だ!
0058名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:29:29.73ID:RrmiecW3
安価下
0062名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:39:15.51ID:RrmiecW3
侑「千歌ちゃぁ〜ん」フリフリ

千歌「あ、侑ちゃん。みかん食べるー?」

侑「食べる食べる! いやー、いいお風呂だったよ。みかんまで貰っちゃって……本当に、ありがとね。私だけじゃなくて、他の二人も助けてくれて」

千歌「もう、いいんだよ。そんな顔しないでさ、みかん食べてにこにこしようよ! 〈ヌマズ〉のみかんは絶品なんだから!」

侑「……うん、ありがと! いただきます!」モグ

千歌「どーお?」

侑「あ、甘い! こんな甘いみかん食べたことないよ! とっても美味しいっ!」

千歌「よかったぁ。村の外から来た人がウチのみかんを食べてびっくりするのを見るの、大好きなんだ♪」

侑「これは無限に食べられちゃいますな〜♡」モグモグ
0063名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:43:49.97ID:RrmiecW3
侑「おっと、聞きたいことがあったんだった」

千歌「え? チカに聞きたいこと?」

侑「うん。私、この世界のことを全然知らな……覚えてなくてさ。よかったら、チカちゃんにこの世界のことを教えて欲しいんだ」

千歌「あ、そういうこと。それは確かに大事だよね。わかりました、チカ先生にお任せなのだ!」

侑「ありがとう、それじゃあ……」

【侑の行動は……】
1、この国の地理について聞く
2、この国の政治について聞く
3、〈ヌマズ〉の村について聞く
4、千歌ちゃん達について聞く
5、魔物について聞く
6、魔法について聞く

安価下
0065名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:51:13.10ID:RrmiecW3
侑「千歌ちゃんは、ずっとここに住んでるの?」

千歌「え、私? うん。生まれも育ちも〈ヌマズ〉の村だよ。志満ねえも美渡ねえもいっしょ。お母さんは、王都の方に働きに出てるの。お父さんはここの料理担当」

侑「へぇ〜、なるほどねぇ。千歌ちゃんはさっき荷車を引いてたけど、あれは何をしてたの?」

千歌「隣村までみかんを売りに行ってたの。ウチはみかん農家もやってるから。ちょっと離れたところで栽培してるんだよ」

侑「あんなに美味しんだもん、そりゃ荷車がからっぽになるよね」

千歌「ふふふ、品質と美味しさには気を使ってるからね! 場合によっては、隣町を超えて王都のほうにまで売りに行くこともあるんだよ!」

侑「なるほどなぁ……」

【次の行動は……】
1、この国の地理について聞く
2、この国の政治について聞く
3、〈ヌマズ〉の村について聞く
4、魔物について聞く
5、魔法について聞く

安価下
0067名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 21:58:07.11ID:RrmiecW3
>>52
×千歌「どうどう〜。ありがとね、はんぺん〜」
○千歌「どうどう〜。ありがとね、しいたけ〜」

訂正です。
0068名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:02:35.07ID:RrmiecW3
侑「魔物についてなんだけど……ここら辺は、ゴブリンみたいな奴らがよく出るの?」

千歌「うーん、街道沿いでも出る時は出るね。ただ、流石に村の周辺には魔物も寄り付かない。私たちが魔物を怖がるみたいに、魔物も人間が怖いから。たまに出ちゃうけど、村には自警団の人たちもいるからね」

侑(なんだか、私たちの世界のクマみたいだな)

千歌「ちなみに、私はみかんを運んでる時に襲われても平気だよ。しいたけ……ラグーグァは足が早くて、大抵の魔物は追いつけないの。商人の心強い味方だね」

侑「この辺りだと、ゴブリンが一般的なのかな?」

千歌「他にもうさぎウルフとか、おばけコウモリとか……でも、どれもあんまり強くはないね。ここら辺は平和だよ。群れてるぶん、ゴブリンが一番怖いかも」

侑「なるほど……無事に切り抜けられて運が良かったよ、本当」

【次の行動は……】
1、この国の地理について聞く
2、この国の政治について聞く
3、〈ヌマズ〉の村について聞く
4、魔法について聞く
0069名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:02:46.67ID:RrmiecW3
安価下
0071名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:11:54.68ID:Wa4UQYTo
これが幻日のヨハネちゃんですか?
0072名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:17:27.83ID:RrmiecW3
侑「志満さんが私のことを治してくれたときの、魔法? についてなんだけど……」

千歌「魔法を見てびっくりしてたもんね。チカもそこまで詳しいわけじゃないけど、説明するよ」

千歌「まず、この世界の生き物はみんな「魔力」を持ってるの。その魔力を整えて、炎とか癒しの光とか、色んなカタチにして出力する行為を「魔法」と呼ぶ……だったかな」

侑「へぇ……すごいんだね、魔法って」

千歌「そうでもないよ。センスある人なら、初級魔法くらいは数日で覚えられるって志満ねえ言ってたもん。チカは向いてないそうだけど……」

侑「やっぱり、向き不向きはあるんだ?」

千歌「うん。魔力をカタチにしやすい人と、しにくい人がいるみたい。美渡ねえと私は魔法に向いてないタイプだね」

侑(私はどうなんだろう? ゴブリンに会った時は、杖を振り回すことしか出来なかったけど……今度志満さんに聞いてみようかな)

【次の行動は……】
1、この国の地理について聞く
2、この国の政治について聞く
3、〈ヌマズ〉の村について聞く

安価下
0073名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:21:15.16ID:7xJPi+f5
結局全て聞くことになりそう。3で
0076名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:31:18.83ID:RrmiecW3
侑「この村について知りたいな」

千歌「この村のこと? うーん、前の説明でだいたい語り終えちゃうくらいには何もない村だからなあ」

千歌「みかんが特産物で、人口は……だいたい300人くらいだったかな? 一応、教会だったり道具屋さんだったり、必要最低限な施設はあると思うよ」

千歌「みんないい人で、私はとっても住みやすい村だと思ってる!」

侑「うん。まだ少ししか知らないけど、それはハッキリ分かるよ」

千歌「あとは……そうだ。実はここ、大きな街道の途中にあるんだよね。だから意外と村人さんが訪れてくれて、よく泊まっていくの」

千歌「色んな人が来て、見ていて飽きないよ♪」

【次の行動は……】
1、この国の地理について聞く
2、この国の政治について聞く
安価下
0077名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/07(日) 22:32:17.32ID:YKBScbYT
侑ちゃんはゆくゆくは吟遊詩人みたいに敵味方のバフデバフ行う様になるのだろうか?
0078名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/07(日) 22:32:38.31ID:YKBScbYT
すまん1
0079名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:42:50.41ID:RrmiecW3
侑「この国のことなんだけど……ここはどこで、どんな国で、どんな場所なのかな?」

千歌「おお、なんだか記憶喪失の人っぽい! ええとね、私たちが暮らしているのは〈コーサカ王国〉っていうの。〈王都ホムラ〉を中心として、色んな首都が各地にあるんだよ」

千歌「リゾート都市〈ウラノホシ〉、大樹都市〈オトノキ〉、火山都市〈ニジガサキ〉。この三大都市と王都でこの国は成り立ってるの」

侑「へえ……ちなみにここはどのあたり?」

千歌「〈王都ホムラ〉の近くだよ。千歌が来た方角にずっと街道を進めば、2日くらいで着けると思う」

侑(王都ホムラか……行くあてもないし、とりあえずはそこに行って情報を集めるべきかな……)

千歌「ちなみに、南のほう……ずっと下ったところには国境があって、その先には魔物の帝国が広がっています!」

侑「て、帝国?」

千歌「〈ペリメニ帝国〉っていって、魔物の王様が住んでるの。二つの国はずっと睨み合いを続けてて、仲がとっても悪いんだよ」

千歌「まあ、人間と魔物じゃ共生は難しいから。戦争してないだけマシってとこかな」
0081名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:48:31.03ID:RrmiecW3
侑「最後にもう一つだけ! 王国のことについてなんだけど……」

千歌「うん、なんでも聞いて?」

侑「王国ってことは、当然王様がいるんだよね?どんな人なのかな?」

千歌「えぇっと……ありゃりゃ、チカとしたことが王様の名前を忘れちゃったよ。でも、特に不満が上がったりしないし、いい王様だと思うな」

侑「そっか。〈コーサカ王国〉は安泰なんだね」

千歌「うん。あ、お姫様の名前は思い出した! 確か、穂乃果姫っていうの。元気いっぱいで、よくお城を抜け出すから危なっかしい、みたいな記事を志満ねえの新聞で読んだっけ」

侑「穂乃果姫、かあ。一応覚えておこう」

千歌「それとね、王さまの陛下には、とっても強い「聖騎士」さまがいるの! 今は四人しかいないんだけど、みんなとっても強くてかっこよくて……」

侑「王様に、騎士かあ。ほんとに異世界って感じだなあ」

千歌「え? 異世界?」キョトン

侑「あっ……えーと、あはは、なんでもない」
0083名無しで叶える物語(光)
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2021/02/07(日) 22:53:36.20ID:koUN1OQv
ハラショー!
0084名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/07(日) 22:54:04.06ID:Lro9w32p
クッパ姫みたいな見た目してそうw
0085名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:56:46.38ID:RrmiecW3
侑「ありがとう、色々話してくれて。とっても助かったよ」

千歌「これくらいで役に立てるならお安い御用だよ。また、何かあったら頼ってね?」

侑「うんっ! まだ何もお礼はできないけど……きっと、いつか必ずお礼をするから!」

千歌「もう、だから気にしなくていいって言ってるのにな〜」

侑「えへ、ごめんね? おやすみ、千歌ちゃん」

千歌「うん、おやすみ!」

 こうして、夜は更けてゆき……。
0086名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 22:59:58.38ID:RrmiecW3
【翌朝】

千歌「ええっ!? もう出発するの!?」

侑「うん。とりあえず、千歌ちゃんに教えてもらった通りに街道を進んで、王都を目指してみようと思う。記憶のカギがあるかもしれないから」

侑(……といいつつ、実際は帰る方法を探しに行くだけなんだけどね)

せつ菜「本当にありがとうございました。一宿一飯の恩は忘れません」

千歌「ううっ……寂しくなるなあ」

侑「幸い、ゴブリンからくすねた路銀がいくらかあるから。あとは自分たちでなんとか……」

美渡「ちょぉ〜〜っと待ったあ!!」バン!

歩夢「み、美渡さん!?」
0087名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:06:22.52ID:RrmiecW3
美渡「あんた達、本当にそれで王都を目指すつもり?」

侑「えっと……はい」

美渡「はぁ……バカ。バカもバカだよ、それを止めずにお別れムードを出してる千歌! あんたもバカチカ!」

千歌「ぎえっ、な、流れ弾が!?」

美渡「ハッキリ言うよ。一丁前に武器をぶら下げてるけど、装備もロクにない、道具もない、ラグーグァも連れてないあんた達じゃ話にならない。魔物に喰われてお終いだね」

歩夢「えっ……」サーッ

せつ菜「そ、そうなんでしょうか……?」

美渡「足で旅するなら、自衛できるようになってから。これは旅人の常識だ。今のあんたたちを旅立たせるわけにはいかない。ので!」

美渡「これから一週間! 私がみっちり鍛えてあげるよ!」ドドン
0088名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:14:43.05ID:RrmiecW3
侑「み、美渡さんが……!?」

美渡「これでも、反抗期に家を飛び出して一人旅した経験はあるし。ある程度なら教えられるよ」

美渡「歩夢ちゃんは剣。せつ菜ちゃんは弓。分担が分かりやすくていい。侑ちゃんの魔法は……志満ねえにでもお任せしようかな」

せつ菜「わかりました! 必要とあらば、どんな訓練にも耐えてみせます!」

侑「ま、魔法……やれるだけ、やってみます!」

美渡「いい返事だね。歩夢ちゃんは?」

歩夢「わ……私は、戦うとか……うまくできる自信はないんですけど……でも、必要なことなんですよね?」

美渡「もちろん。特に、歩夢ちゃん以外の二人はどっちも後衛。歩夢ちゃんが誰よりもしっかりしないと、全員を危険に晒すことになる」
0089名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:17:13.58ID:RrmiecW3
歩夢「なら……やります。やってみせます!」
 
 歩夢の脳裏に、あの光景がフラッシュバックする。ゴブリンの凶刃を受け、血を出して痛みに顔を顰める侑。あの時、自分が前に立てていれば。
 もうあんな思いはしたくない。歩夢は硬い決意をこめて、しっかり目を見て宣言する。その答えに満足そうに目を細めた美渡は、よぅし、と頬を叩いた。

美渡「じゃあ、まずはウチのお風呂掃除からやってもらおうかな?」

歩夢「へ?」

美渡「体力づくりだよ、体力づくり。ほらさっさと行く、教官に逆らってもいいことないぞ〜?」

三人「「「わ、分かりましたぁーっ!」」」

千歌(美渡ねえ……鍛えるなんて言って、本当は自分の仕事を誰かに押し付けたいだけなんじゃ……)

 そうして、訓練とお手伝いの一週間が幕を開けた。
0092名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:26:23.44ID:RrmiecW3
歩夢「162、163、164……!」ブンブン

美渡「もっと腰を入れて振るんだよ。腕の力だけで斬ろうと思っちゃいけない。体重を乗せて、全身の力を使って剣を振るうの」

歩夢「は、はいいっ!」



せつ菜「ふー………………はぁっ!」シュパ!

美渡「お、また命中。せつ菜は特にセンスがいいね。昔に弓を引いてたりしたとか?」

せつ菜「ど……どうなんでしょう、それは分からないですね」

せつ菜(弓を使うアニメのキャラクターに憧れ、一人でアーチェリーの練習をしていたあの日々。まさかこの経験が生かされる時が来るとは思いませんでした……)




侑「むむむむ……むむ……むむむむむむ〜!」

志満「イメージして。体の中を流れる見えないエネルギーを、おへそから肩に、肩から手を通って指に、そして杖に流し込んで。魔法は全てイメージよ」

侑「燃えろ……燃えろ燃えろ燃えろおおおおお!燃えてくださああああい!」ムムム
0094名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:35:16.47ID:RrmiecW3
千歌「いやぁ、二人がみかん収穫を手伝ってくれるなんて助かるよぉ」

せつ菜「これくらいはやらせて下さい。それに、よっと……結構な重労働ですね、意外と! いい体力作りになりそうです!」

歩夢「千歌ちゃん、収穫したのはここに置いておくね?」

千歌「うん、ありがとう! 三人もいるし、がんがん収穫しちゃうぞ〜!」



侑「い、いらっしゃいませ〜♡ ご注文がお決まりでしたらお呼びくださ〜い♡」

志満「へえ、まだ不慣れな感じはあるけど……意外となんとかなりそうかな。引き続きオーダーよろしくね?」

志満「あ、これもイメージの訓練だから。にっこりかわいい天使の侑ちゃんを想像して、その通りに動けるよう頑張ってね?」

侑「が、頑張ります……」
0095名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/07(日) 23:35:57.49ID:QfGhYVj+
このせつ菜常に最強の自分をイメージしてそう
0096名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:42:23.47ID:RrmiecW3
 歩夢は剣を。せつ菜は弓を。侑は魔法を。
 三者三様にハードな訓練が続く。それもそのはず、美渡は一週間でそれぞれの基礎を叩き込むと言ったのだ。働いては訓練、訓練しては働いて、それを何度も繰り返してから泥のように眠る。

歩夢「…………せあぁっ! やぁっ!」カン!カン!

美渡「遅い! 剣は踏み込みが命だ! もっと力強くぶつかってくる!」

歩夢「はぁ、はぁっ……はいっ! やあああ!」



せつ菜「ふっ……ふっ……!」

せつ菜(せっかく私は亜人なんですから、ここは高い身体能力を存分に活かします! まずは走りながら一射!)

せつ菜(さらにここで、宙返り……! 素早く矢を番えて、着地と同時にニ射目! 間髪入れず、三射、四射……!)

せつ菜「はぁ、はぁ……ふ、ふふ、ふふふふっ!やりました! ついに、ついに全て当たりましたよーっ!」



侑「──────────────」クワ!

侑「燃えろ、炎よ、熱く、熱く、我が血潮よ応えたまえ。我が敵を焼き穿たんがため!」

侑「……って、本当にこれを言えば魔法が使えるんですかあ?」

志満「あら、詠唱はイメージの構築を助けてくれるのよ? 慣れたら一々言わなくてもよくなるけど、今は使っておくべきね」

侑(仕方がない。補助輪みたいなもの、と思って頑張るしかないかなぁ)
0097名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:47:09.94ID:RrmiecW3
 ……そうして、期日の一週間が経った!

美渡「みんな、お疲れ様。文句ひとつ言わず、よく私の指導についてきてくれたわね。ほんとバカチカとは大違い」

千歌「なんでそこで私を引き合いに出すかなぁ!もう!」

美渡「やれるだけ基礎は叩き込んだわ。あとはあんた達が、それぞれ好きに進化していけばいい。これで旅立ち……の前に」

歩夢「前に?」

美渡「高海式! 卒業試験を行うわよ!」

侑「そ……卒業試験、ですか? 卒業式じゃなく?」

美渡「ええ。いくらビシバシ指導しても、実戦しなきゃ意味がないでしょ。どれくらい定着したのか、旅立つには十分か。この試験で見させてもらうわ」

志満「うふふ、頑張ってね〜?」
0098名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:52:50.50ID:RrmiecW3
美渡「最近、一番離れのみかん畑がよく荒らされて困ってるのよ。ね、千歌」

千歌「あ、うん。『あばれエイプ』の仕業だよね?」

せつ菜「あばれエイプ……とは、なんですか?」

美渡「言ってしまえば巨大なゴリラよ。雑食獰猛、我が物顔で人の敷地を荒らす厄介なヤツ。ここらじゃ珍しいんだけどね」

美渡「ここらへんの魔物はあんまり強くない。でも、あばれエイプはちょっぴり強い。だから増長して、好き放題やってるってわけ」

美渡「なので、テストの相手にちょうどいいと判断したわ。三人だけであばれエイプを倒して帰ってくること。それが旅立ちの条件よ」

 ごくり、と歩夢は唾を飲み、せつ菜は武者奮いに身体を震わせる。もう、怯えながらゴブリンに立ち向かったあの時の三人はいない。多少なりとも、力をつけて強くなったのだ。
 やるしかない。侑は、ぐっと手にした長杖を握りしめた。
0099名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:55:57.88ID:Az3t1pYK
ゴリラ…あいつか?
0100名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/07(日) 23:59:40.25ID:RrmiecW3
侑「……で、志満さんが言ってたみかん畑がここだね」

歩夢「うわ……本当に、ところどころみかんの木に引っ掻いたような跡がある。このぐしゃっと潰れたみかんの皮は、そのあばれエイプが食べ散らかした跡かな」

せつ菜「本当に三人だけ、というのがやや心細いですが……ゴブリンの時のように、力を合わせればきっと勝てます!」

侑「うん。訓練の成果を見せるんだ」

 その時。ごおおおおお、と、腹の底に響くような咆哮がこだました。ガサガサと木々をかき分けて、何か巨大なものが近づいてくる気配がある。
 
侑「出たね! あばれエイプ!」

「オ゛オオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 テリトリーに侵入した、とみなされたのだろうか。
 姿を見せたのは、体高2メートルは超えているであろう巨大なゴリラだった。美渡の説明通りの特徴。身体は紫のごわごわした毛に覆われ、腕は筋骨隆々。瞳はぎらぎらと光り、邪魔者の三人を睨んでいる。

侑「ちょっと思ってたよりも怖そうだけど……私は昔の私じゃない! 二人とも、やるよっ!」

 三人は武器を抜き、勇気を振り絞って走り出した。
0101名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 00:07:32.07ID:eAaFPI9/
【同時刻 宿屋十千万】

千歌「心配だなぁ……」

志満「あの三人のこと?」

千歌「うん。みんな強くなってたけど、それでもやっぱり不安だよ。怪我なく帰ってくるといいんだけど……」

志満「いいえ、無理ね」

千歌「へっ?」

志満「だって、あの三人じゃあばれエイプには勝てないもの」

千歌「は…………な、え、ええええっ!?」

志満「魔物は強いわ。なにせ、人間とは生まれ持った力が違う。素人がちょっと訓練しただけで簡単に強くなれるほど、この世界は甘くないの」

志満「さて、あの三人はどう転ぶのかしら……」
0102名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 00:16:54.69ID:eAaFPI9/
歩夢「いきますっ! やあああああっ!!」

 歩夢は前衛らしく、勢いよく駆け出していく。ややぎこちなさは残るものの、剣士としてそれなりに形にはなっている。

「ごおおおおおおおおおおおッ!!!」

歩夢(うう、なんて大きさ……でも、私がしっかり食い止めないと! でないと後ろの二人が危ない! 一番前で戦う、それが私のお仕事!)

 至近距離。まだ敵が動く様子はない。ここからどうするべきか、一瞬の判断!

【歩夢の行動は……】
1、ごめんなさい! 思い切り斬ります!
2、攻撃より防御! 引きつけつつ回避重視で!
安価下
0105名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 00:25:35.48ID:eAaFPI9/
 歩夢は下手に攻めず、張り付いて注意を引く方向で動く。
 ぶおん! と振り下ろされる剛腕をくぐり抜けて、軽く一撃。欲張らずにそのまま離脱する。

歩夢(づ……な、なんて硬い毛なの!? まるで岩を斬りつけたみたいだった……!)

 伝わってきた感覚に戦慄する。廃品同然のこの剣では、本気で斬りつけても致命傷になるかどうか分からない。

歩夢(あれに思いきり斬りつけてたら、きっと弾かれて、今頃は……)

 攻撃をまともに受け、地面を転がっていただろう。ぞくりと背筋が粟立つ。自分の判断が正しかったことに感謝しつつ、歩夢はあばれエイプと睨み合う。

せつ菜「次は私の番です!」

【せつ菜の行動は……】
1、力を溜めて、渾身の一射です!
2、ここは、先日身につけた連射で攻めます!
安価下
0107名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 00:39:17.86ID:eAaFPI9/
せつ菜「ここは連射で……!」
 
 だっ、とせつ菜が駆け出していく。その速度は吹き抜ける風の如しだ。獣人というせつ菜のポテンシャルは、特に脚力に発揮されたらしい。

せつ菜「これでも喰らいなさいっ!」

 ぱ、ぱ、ぱ、と矢継ぎ早に、方向を変えて矢が降り注ぐ。全射命中。しかし、いずれもあばれエイプの硬い体毛に弾かれて終わる。

せつ菜(くっ……! 刺さりもしないなんて! あの硬さでは、歩夢さんの剣もさして有効にはならない……侑さんの魔法なら、あるいは!)

侑「──────────」スゥ
 
 せつ菜が矢による打倒を諦め、潔く牽制に回っている間。侑は長杖を握りしめて、全ての意識を集中させていた。
 魔法はイメージ。想像力が全てだ。湧き上がる炎を思い描き、空想の照準をあばれエイプに向ける。

【侑の行動は……】
1、温存。何かチャンスがあるかもしれない!
2、魔法を使う。あれを倒すには魔法しかない!
安価下
0109名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 00:50:54.40ID:eAaFPI9/
侑(二人がさっきから視線を送ってくれてる。引きつけるから魔法で、っていう合図だね)

侑(歩夢の剣も、せつ菜ちゃんの矢も、あまり効いてないみたい。ここは火力が出せる私の出番)

侑「……燃えろ、炎よ、熱く、熱く、我が血潮よ応えたまえ。我が敵を焼き穿たんがため」

 シュボッ、と侑の眼前に火焔が生まれる。彼女の口から言葉が紡がれるたびに、それは大きく膨らんで、その熱量をぐんぐんと上げていく。
 そして、最大熱量! 火球が直径50センチほどになったところで、侑はここぞと目を見開く!

侑「いけっ!《ラピッドファイア》!!」

 火球が疾る。狙いは正確、燃え盛る炎は吸い込まれるようにあばれエイプの胴へと吸い込まれていき、

「ガ──────ァァァゥッ!?!?」

 着弾! ズゴァ、と凄まじい爆音を立てて、膨れ上がる爆風がエイプを包み込む。その威力たるや、みかん畑の木々がばさばさと揺れて、やや距離を取っていたせつ菜と歩夢が横転するほど! 
 はぁ、はぁ、と肩で息をする侑の頭に、こつんと飛んできたみかんがぶつかった。
0113名無しで叶える物語(光)
垢版 |
2021/02/08(月) 01:59:42.81ID:SqCsBx3L
サンシャインのキャラ出すなよくそつまんねーな
0117名無しで叶える物語(たまごやき)
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2021/02/08(月) 07:33:43.39ID:sQmKzPUY
ね、すごく読みやすい
0120名無しで叶える物語(光)
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2021/02/08(月) 09:05:45.42ID:ES2YNVyz
普通に面白いから期待だわ
今後恋愛やCP要素とか入れてこられたら荒れそうだけど
0122名無しで叶える物語(光)
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2021/02/08(月) 10:57:37.96ID:OzfeRpwx
話は面白かったのにサンシャインのキャラが出てきてからだめだな
おいしいもの食べてる途中にうんこが運ばれてきたようなもん
0126名無しで叶える物語(SIM)
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2021/02/08(月) 17:17:46.68ID:39TVDp4d
夢中で読んでしまった
続きに期待してる
0127名無しで叶える物語(光)
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2021/02/08(月) 19:34:57.23ID:tjZcnF61
はようファンタジー特有の守備力と露出度が反比例したスケベアーマーに身を包んだ歩夢とせつ菜が、侑を守護るために奮闘してるにも関わらず侑は激しく動く2人の揺れる乳やチラ見えする太腿に目を奪われ魔法に集中出来ずピンチに陥るところが見たいわ
0128名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 19:43:55.18ID:eAaFPI9/
再開します
0130名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 19:45:03.60ID:eAaFPI9/
侑「や、やった……! 練習通り……!」

せつ菜「侑さああ〜んっ!」ダキッ

侑「わぷっ、せ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「凄いですっ!! 凄いですよぉっ!! まさか本当に魔法をモノにするなんて! しかもあの威力っ!! 感動しましたっ!!!」

侑「えへへ、照れるなぁ」

 興奮のあまり周囲を走り回ってから抱きついてきたせつ菜は、耳をぱたぱた、尻尾をぶんぶんと振って、全身でこれでもかと喜びの感情を表している。
 侑自身、実戦でうまくいくか不安なところはあった。成功の喜びに、自然と頬が緩む。

歩夢「む……」

 離れたところでそれを見つめるのは、歩夢。せつ菜に声をかけるタイミングを取られ、悔しげに頬を膨らませる。
 知らないもん、と視線を侑から逸らしたところで、

歩夢「……え?」

 黒煙の奥に立ち上がる、巨大な影を視界に映した。
0131名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 19:46:39.68ID:eAaFPI9/
歩夢「う、嘘……あれを受けて、なんで……」

「ア゛アアアアアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」

 どんどんどんどん、と思い音が響き渡る。ドラミング。その目的は外敵に対する威嚇か。瞬く間に立ち込める黒煙が吹き散らされていく。
 胴を焼き焦がしつつも、エイプは健在。牙の間から獰猛な唸り声をあげ、怒りの形相でこちらを睨む。

侑「……なっ!? なんで倒れてないの!?」

歩夢(この形相……まさか! 今までのは全然本気じゃなかった!?)

 最後まで考えている暇はなかった。
 信じられないようなスピードで、気がついた時には、エイプの剛腕が歩夢の眼前に迫っている!

【コンマ判定】
0〜25 回避成功
26〜50 ダメージ 
51〜99 大ダメージ
判定下
0134名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 19:52:38.15ID:eAaFPI9/
歩夢(速────うそ、避けられな────────)

 バキャァッ!! という、嫌な音が炸裂した。
 歩夢は咄嗟に剣で受けようとしたが、無意味。剣ごとエイプの大きな掌が歩夢を捉え、思い切り吹き飛ばす。
 人の身体が"飛ぶ"のを、初めて侑は目撃した。
 自分より前に立っていたはずの歩夢が、鈍い音を立てて背後に落ちる。びくん、と痙攣して、歩夢はそのまま動かなくなった。

侑「な……なに、が」

「オ゛オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

せつ菜「う……ッ、迎撃します!」

 立ち上がりざまにせつ菜が矢を放つ。しかし、エイプは小虫を払うような動作で、簡単にソレを無効化してみせた。
 一転、エイプが迫る。両腕を目一杯振り上げ、渾身の力で振り下ろす!

【コンマ判定】
0〜40 回避
41〜69 小ダメージ
70〜99 ダメージ
侑 判定下
せつ菜 判定↓2
0138名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 20:08:46.01ID:eAaFPI9/
侑「……うわあっ!?」

 反射的に跳び退いて、侑はなんとか振り下ろされる剛腕を回避。

せつ菜「く………………ぐぅっ!」

 一方、せつ菜はやや回避が遅れた。右腕を攻撃が掠め、苦しそうに顔を歪める。
 あの拳をまともに受ければ、まず間違いなく人間の身体はぐちゃぐちゃになる。

侑(どっ……どうすればいいの!? 剣も弓も通らない! 《ラピッドファイア》も効いてる様子がない! 有効打がないんだ!)

 このままでは、死ぬ。
 当たり前のことを、当たり前に実感する。

侑「はあ、はあ、はぁっ……はぁっ……!」ガタガタ

 勝てない。相手は怪物だ。魔法を受けてもぴんぴんしている怪物なのだ。
 恐怖で呼吸が加速する。喉が乾いて、足がガタガタと震えている。怖い、怖い、怖い、考えて動かないといけない筈なのに、頭の中はそれだけになって、
0139名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 20:20:19.83ID:eAaFPI9/
せつ菜「……あ、あ……うがあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

 瞬間。せつ菜が、あばれエイプの咆哮にも負けぬほどの声を張り上げた。胸を叩き鳴らすエイプに負けじと、せつ菜は全力で咆哮する!

侑「えっ……な、何!?」

 恐怖のあまり精神に異常をきたしたのか。否。彼女の瞳にはまだ光がある。
 恐怖に押し潰されそうなのはせつ菜も同じだ。負けないために、折れないために、ああやって声を出している。逆境に於いて、優木せつ菜は誰よりもしぶとく立ち続ける! 
 犬歯と獣の本能を剥き出しにして、せつ菜はエイプめがけて駆け出した。

せつ菜「うぐるあああああああああっ!!」ダッ!

歩夢「ゆう……ちゃ、ん……」ヨロヨロ

侑「歩夢!? 怪我はっ!?」

歩夢「大丈夫……ううん、うそ。痛い……車に跳ね飛ばされたみたい。すっごく痛くて、もう、座り込んじゃいたいよ……」
0141名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 20:39:17.11ID:eAaFPI9/
歩夢「でも…………それでも、まだ、やれる」

 せつ菜の勇姿が、二人にもう一度立ち上がる力を与える。せつ菜が死に物狂いで敵を引きつける間、歩夢はひとつの「提案」を侑に伝えた。

歩夢「……っていう方法なら、まだ分からない。だから、侑ちゃんは私に合わせてほしいの」

侑「無茶だ……歩夢はもう限界だよ! それに、そんなの試したことがない! できるわけがない!」

 歩夢は、立っているのも辛そうな状態だった。額が傷つき、顔を流血で汚している。体力もほとんど底をつき、今にも倒れたいと身体が悲鳴をあげている。

歩夢「ふ……ふふっ、侑ちゃん、覚えてる?」

侑「何をっ!?」

歩夢「スクールアイドルを始めたとき。侑ちゃんが、応援してくれるって言ってくれたから……だから、私は勇気を振り絞れたんだよ?」

歩夢「今だって、そう。どんな時でも、侑ちゃんは私にいつも勇気をくれるの。自分の限界を超えて、もう一歩先に踏み出す勇気を」

歩夢「侑ちゃん、私は負けないよ。あなたが背中を押してくれるなら、私はどんな敵だって倒してみせる」

侑「歩夢……」
0142名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 20:45:10.82ID:eAaFPI9/
 剣士と魔導士。二人は悠然と並び立って、吠え猛る敵を視界正面に捉える。

歩夢「チャンスは一瞬。いくよ、侑ちゃん」

侑「うん。全身全霊、ここに込めるよ!」

 だっ! と歩夢が駆け出すと同時、侑は火球を展開する。侑が唯一覚えた魔法、《ラピッドファイア》は二発が限度。これが最後の一撃になる。

歩夢(守る。守るんだ。侑ちゃんも、せつ菜ちゃんも。私がこの剣で守るんだ!)

 傷の痛みも、敵への恐怖も、全部を跳ね除けて歩夢は走る。狙うは一点、《ラピッドファイア》で焼き焦げたエイプの胸部。硬い体毛が失われたあそこしか、刃が通る箇所は存在しない!

侑(もっと! もっと強く、もっと熱く! イメージするんだ、あいつを焼き尽くせるくらいに強烈な炎を!)

 侑の前に展開される火球が、以前よりも大きさを増す。生死の狭間、極限まで研ぎ澄まされた彼女の意識は、集中をさらに上の段階へと引き上げていく。
0143名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 20:50:36.83ID:eAaFPI9/
せつ菜「がっ……は……!?」

 とうとうエイプの腕がせつ菜を捉えた。そのまま吹き飛ばされて、木の幹に叩きつけられる。
 しかし、その働きは十二分。歩夢は既に、そのすぐ懐に辿り着いている!

歩夢「っ!!!」

 最後の力を振り絞って、大地を砕かんばかりの力強い踏み込み! 美渡直伝の回転斬りだ。
 ぐるんと身体を回転させて、遠心力を乗せた必殺の一撃を放つ!

侑「《ラピッドファイア》!!」

 侑の魔法が、絶妙なタイミングで放たれた。それは歩夢が回転するのと全く同時。
 勝機は一瞬、歩夢は背後から迫る火球を受け止めて、炎を剣に纏わせる! 刹那、炎は爆ぜることなく刃に乗って……、

「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

歩夢「やああああああああああッッ!!!!!」

 ──────ズバン、と。
 炎を纏った直剣が、エイプの胸を斬り裂いた。
0146名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:01:08.49ID:eAaFPI9/
 歩夢の剣と、侑の魔法。二人分の力を乗せた渾身の一撃。どちらかが少しでも速ければ、遅ければ、成功には至らなかった大博打の一手。

「オ゛、ゴゴ、ゴ……オオオオオオオオオオ!」

 全ての力を使い果たし、歩夢はその場から動けない。エイプは憤怒のままに腕を振り上げるが、限界を迎え、びくんと痙攣して動きを止める。
 賭けは歩夢の勝ちだった。
 エイプの身体が崩れ落ちる。役割を終えた剣が半ばで折れ、エイプもまた同様に、その巨体をずずん……と地面に沈ませた。

歩夢「………………やった、ね」

せつ菜「う……げほっ、ごほ……ふふふ……お二人ならやってくれると、信じてましたよ……」

歩夢「せつ菜ちゃんこそ。ありがとう、ギリギリまで時間を稼いでくれ……て……」

歩夢「」ドシャ

侑「歩夢っ……せつ菜ちゃんっ……!」

せつ菜「……大丈夫です、歩夢さんは意識を失っただけ。呼吸に異常もありません。侑さんこそ、顔色が真っ青ですが……」

侑「私はただの魔力切れ! せつ菜ちゃんこそ、だよ! あれだけ動き回って、さっきはまともに攻撃をもらったんだから……!」
0148名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:02:54.61ID:v/QQszgl
チュートリアルのボスとは思えない強さ
0150名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:07:35.15ID:eAaFPI9/
せつ菜「そうですね……身体中痛くて、もう一歩も動けません。もしかしたら骨も……」

侑「私もだよ……魔力を使い切って、もう、立ってるのも……これじゃあ誰も帰れないや」ヘタ

せつ菜「……ふふっ。ふふふふ、あははははっ」

侑「ぷっ……ちょっと、笑うところじゃないでしょ! ふふふふ……っ、ははははははっ!」

歩夢「すぅ…………すう…………」

 傷ついた身体を擦り寄せて、二人は壊れたように笑い合った。極限状態から解放された反動と、安堵と、なによりも三人で困難を乗り越えられたという喜びと。

 いろんな感情がごちゃ混ぜになって、ただ、二人は大声で笑ったのだった。
0151名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:18:43.36ID:eAaFPI9/
美渡(──────────あり得ない)

 その姿を物陰から見守っていた美渡は、三人の戦いぶりに衝撃を受けていた。
 旅を続ける中で最も大切なことは、強靭な精神力。強敵に遭遇して、それでも生にしがみつける不屈の心。強い勇気が必要なのだ。
 故に、美渡はここから彼女らを見守っていた。本当に危なくなった頃に介入しようと考えていたからだ。これは「勝たせる」のではなく「負けさせる」ことで彼女らに学びを与える試練だった。
 その筈が……、

美渡(まさか……格上のあばれエイプを倒してみせるとはね。武器を握って一週間の素人が)

美渡(私にも見えなかった勝ち筋だった。まさか侑の《ラピッドファイア》を剣に乗せて、強引にねじ込むなんて)

美渡(いや。それだって、強固な信頼関係が無きゃ出来ない芸当だ。せつ菜の精神力も、二人を立ち上がらせるのには必要不可欠だった。この三人は、凄い素質を秘めてるのかもしれない)

美渡(こいつらはきっと……大物になるよ)
0152名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:29:13.29ID:eAaFPI9/
【十千万宿屋】

美渡「……と、いうことで。改めて、卒業試験の合格おめでとう! 私は嬉しいよ!」パチパチ

志満「めでたいわね〜♡」パチパチ

 帰還し、志満による治療を終えた後。三人は居間に並べられ、美渡による大いな賞賛を受けていた。

三人「「「……………………………」」」

美渡「どうした? せっかく私が褒めてあげてるってのに、なんだかリアクションが薄いぞ〜?」

侑「……あの。そもそもエイプに勝たせる気がなかった、って千歌ちゃんから聞いたんですけど」

美渡「げっ。……バカチカ! なんで言うかなぁ!」

千歌「当たり前でしょ!? この人でなし!」

侑「おかしいとは思ったんですよ! 強くないよ〜、みたいな雰囲気出してたくせに、実際めちゃくちゃ強いし! 全然刃が立たないし!」
0153名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:30:26.94ID:eAaFPI9/
美渡「敗北を知らない奴は強くなれない。この世界の常識よ。まだ若いんだから、何度もボコボコにされて傷だらけで成長するくらいが丁度いいのよ」

歩夢「だとしてもスパルタ過ぎますっ!」

せつ菜「どれだけ……私たちがどれだけ怖かったと思ってるんですかぁ!」

美渡「ふふ。そこよ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「へっ?」

美渡「あんた達、きっと怖くて仕方なかったよね。相手は強大。三人だけで、頼れる人はどこにもいない。死を目前として、震え上がらない奴なんていない」

美渡「でもね、あんた達はそれでも戦った。強い奴ってのは、別に腕っ節が強いとか、禁忌級魔法を使えるとか、そんなんじゃないんだ。「怖さ」を乗り越えられる奴、それを強者と呼ぶんだよ」

侑「強者……」

美渡「だから、私が太鼓判を押そう。あんた達は十分に強くなった。三人で旅立っても、あんた達三人ならなんとかできるでしょう」

志満「ふふふ。そういうことだから、今日は一日ゆっくり休むこと。明日は門出の日よ♡」
0155名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:42:28.71ID:eAaFPI9/
【夜 宿の廊下】

侑「魔力の使い過ぎで頭痛いなあ……まあ、二日酔いみたいなもの? なのかな?」

侑「外傷は《ヒール》で志満さんが治してくれたけど、こればっかりは治せないしね」

侑「さて、と。お風呂も上がったし、ここからどうしようか。このまま寝るのも味気ないしなあ」

侑「歩夢は部屋で、せつ菜ちゃんはさっき外に出ていくのを見たっけ。せっかく時間があるし、お話でもしようかな」

侑「どっちに行こう?」

※夜の選択肢では、歩夢かせつ菜、どちらかの好感度を上昇させることができます。好感度が上がると、稀に【連携技】や【スキル】を覚えることもあります。ただし、片方に構いすぎるともう一方が不調をきたし、戦闘で不利な補正がかかることがあります。
歩夢とせつ菜、二人とバランスよく絆を深め、戦闘を有利に運びましょう。

【侑の行動は……】
1、部屋に戻ってみる。(歩夢がいるね)
2、外に出てみる。(せつ菜ちゃんがいるよ)
0156名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:43:11.67ID:eAaFPI9/
安価下
0162名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 21:52:57.43ID:eAaFPI9/
侑「外に出てみよっかな……おっ?」

せつ菜「はっ! たっ! せぇい!」

 宿屋の裏手。そこから聞こえてくる声に誘われて、侑はそちらに足を運ぶ。
 小さな照明を頼りにして、積み上げた藁束を敵に見立てて矢を射る影。せつ菜だ。

侑「せつ菜ちゃん!」

せつ菜「はぁっ、はっ……侑さん! 気付きませんでした!」

侑「こんな暗いのに訓練? 頑張るねえ」

せつ菜「あはは……なんだか、身体が火照ってしまいまして。発散しているだけです」

侑「だとしても偉いよ〜。せつ菜ちゃん、あんなに頑張ってくれたのに」

せつ菜「いえ、私は……」
0163名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 22:00:16.63ID:eAaFPI9/
せつ菜「私は、あまり役に立てませんでした」

侑「えっ?」

せつ菜「あの戦いで、私の矢は全然通らず……あばれエイプを倒せたのも、歩夢さんの剣と侑さんの魔法があってこそです」

せつ菜「だから、もっと強くならないといけないんです。時間稼ぎや陽動ばかりじゃなくて、私も敵を倒し、お二人を助けられるような……そんな力が欲しいんです」

侑「力って……もう、せつ菜ちゃんは……」ヤレヤレ

侑「あのね、せつ菜ちゃん? 私たち、せつ菜ちゃんがいなかったら、きっと何もできずにやられてたよ」

せつ菜「へっ?」

侑「魔法で倒せなくて、歩夢が吹っ飛ばされて……あの時、私の心は一回ぽきって折れちゃったんだよ。足が震えて、もうここで死ぬんだ、終わりなんだってことしか考えられなくて」

侑「そんな時、せつ菜ちゃんが立ち上がったの」
0165名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 22:10:30.46ID:eAaFPI9/
侑「せつ菜ちゃんは、私たちの中で一番強いんだよ。私たちが折れても、せつ菜ちゃんは諦めないから。だから私たちは立ち上がれた」

侑「それに、せつ菜ちゃんの陽動がなかったら、あんな無茶な攻撃通らなかったと思うし……縁の下の力持ち、影の立役者? みたいな?」

せつ菜「あ、あう……」

 急に褒められたことで驚いたのか、せつ菜は頬を染めてもじもじと体を縮こませる。言葉こそ無いものの、尻尾は喜びでぶんぶんと揺れていた。

侑「だからさ、そんなこと思わないでよっ。せつ菜ちゃんは、ほんっとうに強いんだもん!」

せつ菜「お二人の支え……なれるんでしょうか、私が」

侑「うんっ!」

 ……力強い即答に、せつ菜は自信を取り戻したらしい。
 いつもの満面の笑みを浮かべて、「では、私なりに頑張りますっ!」と返答する。
0167名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 22:23:06.61ID:eAaFPI9/
せつ菜「見ていてください! 侑さん! 今であれば、練習していたあの技をモノにできる気がします!」ウオオオ

 だっ! とせつ菜が走り始める。訓練の期間にも練習を続けていた連射技、宙返りを挟んだ四連射撃だ。
 その疾さに驚く侑をよそに、せつ菜は目にも留まらず射撃を放つ。一射目、二射目、三射目……凄まじい精度。着弾地点にほとんどばらつきがない。あの戦いを経て、弓の何たるかを多少なりとも掴んだのか。
 
せつ菜「これで……最後っ!」

 そして四射! 一際強く放たれた矢が、なんと一射目で突き刺さった矢と寸分違わぬ位置に命中する!

侑「す……凄いっ!」

せつ菜「ふふっ。これも、侑さんが自信をつけてくれたおかげです! これからもどんどん成長しますよーっ! うおおおおおおーっ!!」

美渡「くぉらあんた達! 夜に騒ぐなーっ!」

【せつ菜がスキル《疾風四式》を習得しました】
【せつ菜の好感度が"0"→"10"に変化しました】
0170名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 22:25:37.61ID:eAaFPI9/
【翌朝】

三人「「「本当に、お世話になりました!!!」」」ペコリ

千歌「う゛うう〜。寂しいよお〜っ」ウルウル

志満「旅立ちは若人の特権よ、チカ。笑顔で送り出してあげて?」

千歌「うん……」ゴシゴシ

侑「チカちゃん、絶対に忘れないよ。何もかもが解決したら、またきっと会いにくるよ」

千歌「うん、私も忘れない。ほら、みかん! これだけ用意したから、持てるだけ持っていってよ!」ニコ

せつ菜「わぁ、ありがとうございます!」

美渡「チカからはみかんか。じゃあ、私からはこれをプレゼントしよう。門出祝いだよ」

美渡「ほれ!」ドサドサッ
0174名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 22:33:53.25ID:eAaFPI9/
歩夢「こ、これは……?」

美渡「旅に必要な装備と、剣と弓。あんた達、未だにゴブリンからかっぱらったボロを使ってたんだろ? 歩夢に至ってはエイプ戦で折れちゃったし」

せつ菜「い、いいんですかっ!?」

美渡「いいよ、どうせ私のお古か、客が代金代わりに置いてった中古品だ。そこまで良質なモンじゃない」

志満「私からは、これ♡」

侑「これは……杖と、ローブですか?」

志満「ええ。侑ちゃんの持ってるものとほぼ同タイプの杖ね。もっとも、質はそこそよ? 今までより魔力が流しやすくなると思うわ」

侑「あ……ありがとうございますっ!」

志満「侑ちゃん、あなたは凄い素質を秘めていると思うわ。鍛錬を重ねて、ずっと高みを目指してね」ニコ
0175名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 22:36:50.38ID:eAaFPI9/
三人「「「いってきます!!!!」」」

千歌「ま〜た〜ね〜っ!! 気をつけて! みかんは腐らないうちに食べるんだよ〜っ!!!!」ブンブン

美渡「うう……今更、ウルっときたよ……こんな短期間ですっかり逞しくなって……」

志満「まったくもう、美渡ちゃんもまだまだ甘えん坊さんなんだから……」ナデナデ

侑「本当に、ありがと〜〜〜〜〜〜っ!!!」ブンブン

 〈ヌマズ〉の村を旅立って、一行は街道を北へと進む。
 一路、目指す先は〈王都ホムラ〉。そこで何が待ち構えているのか、どんな人と出会うのか。期待に胸を膨らませつつ、千歌たちの姿が見えなくなるまで、三人は手を振り続けた。


〈序章 完〉
0176名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/02/08(月) 22:38:58.84ID:eAaFPI9/
《現時点の装備・ステータス》

【高咲侑】Lv.7 魔導士見習い
E:魔導士の杖
E:黒のローブ
《魔法》ラピッドファイア

【上原歩夢】Lv.7 剣士見習い
E:鋼の直剣
E:レザーメイル
E:旅人のマント
《スキル》なし

【優木せつ菜】 Lv7 弓兵見習い
E:白樺の弓
E:狩人のベスト
《スキル》疾風四式
0177名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/08(月) 22:40:19.17ID:Pa+Azv0j
3人しかいなくて3人とも必死に戦ってるのに誰かが曇るような展開見たくないわ
こんなんどちらかに偏るのは目に見えてるし
0180名無しで叶える物語(光)
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2021/02/08(月) 22:43:52.52ID:OzfeRpwx
虹のssは面白いの多いけどこれはつまらんなw
0181名無しで叶える物語(SIM)
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2021/02/08(月) 22:52:23.03ID:sO2jvYMv
朝からレスしてる奴がつまらんとか言ってるの笑う
ぽむせつ間も仲良くなるといいなあ
0182名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/08(月) 22:53:44.71ID:Pa+Azv0j
不利な補正とかそんなん気にしない奴いくらでもいるだろ。そんな曇らせ要素入れるくらいなら冒険要素だけの方がずっといいわ
0183名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/08(月) 22:59:51.45ID:eAaFPI9/
※好感度ボーナスはあくまで戦闘のみに関係する補正値です。メインストーリーに影響を与えることはなく、どちらかがガッツリ曇ったりということはありません。
0184名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/08(月) 23:00:36.14ID:dtcWIMAE
一度差が付いたらあとはもう残りを義務的に補正回避するだけになりそうだけど
そこは1が何とかするんじゃない。一気に50上げたりも自由なわけだし
0185名無しで叶える物語(しうまい)
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2021/02/08(月) 23:01:13.09ID:8JPZ446L
相手しなくていいよ
お前を喜ばせるために書かれたものじゃないんだわ、こんなのやだやだーって駄々こねてないでさっさと立ち去るか自分で書くかしろ見苦しい
0186名無しで叶える物語(八つ橋)
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2021/02/08(月) 23:03:05.47ID:Hd+/jch/
序章乙です
安価の出し方が見事で、気負わず選べるところが素晴らしい
今後の展開も楽しみにしています
0190名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/08(月) 23:12:40.14ID:Pa+Azv0j
不調をきたしてる時点で曇ってるだろ。露骨に競うような要素入れといて何言ってるの
0193名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/08(月) 23:20:11.98ID:U0f3GuRT
>>190
チー牛くせえぞ
うんこかと思ったわw
0197名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/02/08(月) 23:23:53.79ID:efUhTZ84
曇る曇らないとかスキル覚える覚えないとかは全部作者さん次第だから、あまり気にしても仕方ない気もする
読んでる人が空気読めば交互に選ぶみたいになるかもだしね
0202名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 00:20:27.54ID:kPLy2zG+
まあ3人チームだしぽむせつ間も含めてちゃんと3人の絆深めて行ければいいな
今の所侑ちゃんがプレイヤーキャラ扱いっぽいけど
0204名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 12:16:23.49ID:0HSd1QQ5
FEの支援効果みたいなもんだろたぶん
0205名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/09(火) 12:17:17.84ID:oEsQByiF
歩夢とはもう連携で魔法剣できる?っぽいしとりあえずせつ菜とも何かしら欲しいな
0206名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 12:45:11.75ID:0HSd1QQ5
魔法剣のシステムがFFCCみたいでええな
0207名無しで叶える物語(SIM)
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2021/02/09(火) 13:14:17.86ID:dZ+7o+OA
おつ
連携と聞いて思い出したのがクロノトリガーで火炎車輪、これも3人パーティだったな
0208名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/09(火) 17:40:59.84ID:69WOP00y
支援イラスト、レス共にありがとうございます。再開します。
0209名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/09(火) 17:42:21.03ID:69WOP00y
【王都への街道】

侑「は〜、一日中歩き通しってのも疲れるねえ」

 背負ったバッグから水筒を取り出してごくごくと飲み干し、口元の水滴を拭う。時間は既に昼と夕の狭間、半端な蒸し暑さが鬱陶しい。周囲を見渡せば平凡な森、時折鳥の囀りが聞こえてくる。

せつ菜「このままいけば、千歌さんいわく、野宿に丁度いい洞穴があるそうです。ひとまずはそこまで進みましょう、もうひと踏ん張りです!」

歩夢「路銀もまだまだ余裕があるし、今の所は順調だね」

侑「このままいけばいいんだけど……」

 がさがさ、と、少し先の茂みが揺れる。

侑「そう言ってたら出たね! 魔物っ!」

「キキイィィーッ!!」

 飛び出してきたのは、うさぎ……のような、オオカミのような。かっこよさと可愛さが融合した奇妙な生物が三匹。ここらでは比較的ポピュラーな魔物、「うさぎウルフ」である。

歩夢「前に出るよ!!」ダッ

【歩夢の行動は……】
1、まずは一匹倒す! 集中攻撃!
2、三匹ぜんぶの注意を引いて、後ろに任せる!
安価下
0211名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 18:03:22.87ID:8El3UxBn
歩夢(ここは後ろに任せて……私は注意を引くことに集中しよう!)

歩夢「こっちだよ〜っ!!」ダダッ

 歩夢はわざと声を張り上げながら、囲まれない立ち位置を確保しつつ、攻め過ぎず退き過ぎぬ立ち位置を確保。魔物の注意を集めることに成功する。

せつ菜(歩夢さんが注意を引いてくれた今、私たちで仕留めます!)

せつ菜(……習得した新技を使うのもいいですが、相手はさほど強くないようです。色々と試してみるのも手ですね)

【せつ菜の行動は……】
1、連射技、疾風四式を使います!
2、一撃で仕留められるよう、力を溜めて射ちます!
3、がるるっ! 獣人パワーで掴みかかります!
0212名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 18:03:32.32ID:8El3UxBn
安価下
0214名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 18:17:13.34ID:8El3UxBn
侑(せつ菜ちゃんは連射技の構え……私はどうしよう?)

侑(魔法を使うのもいいけど、《ラピッドファイア》は日に三発が限界……)

侑(燃費が悪いんだよね、私の魔法。なんとか新技が思いついたらいいんだけど……)

侑(どうしよう?)

【侑の行動は……】
1、《ラピッドファイア》で攻撃!
2、何か別のことを思いつくかも! 考えてみよう!
3、いっそのこと杖で殴る!
安価下
0216名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 18:43:57.33ID:8El3UxBn
せつ菜「せぁっ!」

 せつ菜の射撃! 目にも止まらず四連射を叩き込む《疾風四式》だ。狙いは正確、歩夢に飛び掛からんとしていたうさぎウルフの一匹が四矢に射抜かれ、短い悲鳴を残して地面に堕ちる!

せつ菜「……いい弓ですね、やっぱり! 以前までのものとは威力も扱い易さも段違いです!」

侑(せつ菜ちゃん、やるぅ。私も頑張らなくちゃ)

侑(私の問題点……魔法の威力は絶大だけど、燃費が悪い! 何か手頃な消費魔力で撃てる魔法が欲しい!)

侑「……燃えろ、炎よ、熱く、熱く、我が血潮よ応えたまえ。我が敵を焼き穿たんがため」

 むむ、と眉間に皺を寄せて考える。魔法はイメージ力で全てが決まる。燃費を抑えて、火力を控えめに、小さく小さく火球を圧縮させて……。

侑「いや……違うな。もうちょっと抑えて、控えめに血潮よ応えたまえ!」

侑「でぇい! これでどうだ!」

【コンマ判定】
0〜25 新魔法習得
26〜70 命中
71〜99 失敗
判定下
0218名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 18:57:24.88ID:8El3UxBn
侑(……いい感じだ! このまま火球を小さく形成して、魔力消費も抑えて、圧縮圧縮……)

侑「よ〜し、このまま行けっ!」

 魔力消費を抑え、《ラピッドファイア》のものよりも圧縮された火球が、侑の命を受けて飛翔……!

 することはなく、ずどん、とその場で爆発した。

侑「あびゃあああああああっ!?!?」

せつ菜「ゆっ、侑さん!?」

 必要以上に圧縮し過ぎたのか、魔法は放たれることなくその場で爆発し、侑を吹き飛ばしたのだ。ごろごろごろ、と転がって侑は動きを止める。

侑「失敗したあ! くそぉ、何か掴めたと思ったのに!」

歩夢(……侑ちゃんがトラブルみたい! 一匹減って余裕もあるし、ここは私がもう一匹倒す!)

 代わって、歩夢が一歩踏み込む。強敵との戦いを経て、命のやり取りを、戦うということを掴んだ歩夢。武器も変わり、その剣技は以前よりずっと鋭さを増している!

【コンマ判定】
0〜45 スキル習得
46〜99 命中
判定下
0220名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 19:10:08.22ID:8El3UxBn
歩夢「やあああっ!」

 迫って来る一匹をいなし、飛びかかる二匹目に剣を合わせる。夕日を受けてぎらり、と輝く刃。一閃、うさぎウルフの胴に歩夢の剣が直撃する!

歩夢(……まだだ。もうちょっと上手くやれたら、あのエイプ戦の時と同じ技を出せそうなんだけど)

歩夢「まあ……ちょっとずつ成長するしか、ないよね!」

 刃を押し当てたまま、斬り払う! 見事、うさぎウルフの腹を裂いて、歩夢は二匹目を撃破した。

せつ菜「ナイスです! 歩夢さん!」

歩夢「うん! 最後の一匹、合わせよう!」

 せつ菜はきりりと弓を構え、歩夢は剣を構えて突進する。挟撃、仲間を失ったうさぎウルフに勝ちの目はない。歩夢の剣がぎらりと閃き、せつ菜の矢が放たれて……、

【コンマ判定】
0〜20 歩夢がスキル習得
21〜99 撃破
判定下
0225名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 19:25:29.73ID:8El3UxBn
 せつ菜の矢が命中し、ぐらりと揺れるうさぎウルフ。歩夢の脳裏に、美渡の言葉が思い出される。

美渡『歩夢、まさか剣士は頭空っぽにして剣を振ってればいいと思ってないよね?』

歩夢『えっ……レベルを上げて物理で殴ればいいのが剣士じゃないんですか?』

美渡『何の話だ。あのね、そんなのは三流もいいとこだよ。一流の剣士は「魔力」を使う。魔導士の次に魔力を使うのは剣士だ』

美渡『剣ってのは、杖の次に魔力を通しやすいように出来てるの。だからこそ、剣士は刀身に魔力を乗せる。そうすることで剣を加速させて、膂力以上の斬撃を可能にするんだ』

 剣に魔力を乗せて振るう。その時はいまいちぴんと来なかったが、エイプ戦において侑の魔法を剣に乗せた時、その真髄は掴んでいる。
 あの時と同じ回転斬り。ぎゅん、と旋風のように身体を回し、己の魔力を柄から刀身へと流し込む! 刀身は歩夢の魔力で発光し、腕力以上の速度をもって、

歩夢「魔力をエンジンに……加速して……斬るっ!」
 
 ……斬! 
 迷いなき一閃が、うさぎウルフを斬り捨てた。

【歩夢がスキル《ストライク》を習得しました】
0226名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 19:31:42.98ID:8El3UxBn
侑「すごいっ! 今のキラキラしたのは何ーっ!?」

歩夢「えへへ……練習はしてたんだけど、うまくいったみたい。剣に魔力を乗せて斬ったんだよ」

せつ菜「かっこいいです! ああ、早くも剣に浮気をしたい気持ちが……いえいえ、私はそれでも弓を……」

侑「にしても、私はいいとこなかったなあ。髪ボサボサになっちゃったし」ハァ

歩夢「繰り返していたら上手くいくと思うよ。焦らなくても、私たちは確実に成長してる。だって、一週間前ならこんな簡単に敵を倒せなかったもん!」

せつ菜「あの強敵を倒したおかげ、と……むっ?」

侑「せつ菜ちゃん、どうしたの?」

せつ菜「ちょっと待ってくださいね。くんくん、くん
くん……何か、おかしな匂いがします」
0227名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 19:34:27.27ID:8El3UxBn
歩夢「匂いって、どんな?」

せつ菜「嗅いだことのない匂いです。人間の匂いでも、獣の匂いでも、魔物の匂いでもない。頭がクラクラするような、危険な香りというか」

せつ菜「……近づいてきます! 茂みの向こう、うさぎウルフが逃げてきた方向!」

 にわかに三人は武器を抜く。意識のオンオフが速いあたり、侑たちは着実に成長していると言えるだろう。せつ菜が嗅いだことのない匂い。それの持ち主は、果たして。

侑「来る!」

 ざばっ! と茂みを抜けて、姿を見せたのは……!



にこ「………………なによ、あんたたち。追い剥ぎ?」

 黒髪をツインテールにした、小柄な少女だった。
0228名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 19:40:30.39ID:8El3UxBn
 予期せぬ邂逅に驚いたのか、少女は半目でこちらをじろりと睨む。当然だろう。茂みを抜けたら武器を構えた集団に囲まれていたとあっては、警戒するのも無理はない。

侑「ご、ごめん! 人だと思わなくて!」

にこ「……別にそういうのじゃないみたいね。まあいいわ、それよりにこが探してた今日の晩ごはん……ああっ! 倒されてるじゃないのぉ!」

 ころころと表情を変えながら、少女は地面に転がるうさぎウルフの亡骸に駆け寄る。

歩夢「えっと……た、食べるんですか?」

にこ「なによ、文句あんの!? 意外と美味しいのよ、こいつらは! ああっ、こんな雑に倒して! これじゃあ食べられる部分も限られるじゃないの!」

侑「ご、ごめんね。でも魔物だし危ないよ? きみ、お名前はなんていうのかな? 迷子?」

にこ「なぁにナチュラルに子供扱いしてんのよぉっ! にこはあんた達よりずっと年上よ! 敬いなさい!」プンスコ
0229名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 19:50:04.78ID:8El3UxBn
せつ菜「にこさん、と言うんですね。私は優木せつ菜、こちらは……」

侑「あっ、高咲侑と上原歩夢です! にこさん! まさか先輩とは思わず! 年下扱いしてすいあせんしたっ!」

にこ「あ、えっと、うん……なんだか調子狂うわね。あんた達、ここで何してんの? 冒険者?」

歩夢「私たち、三人で〈王都ホムラ〉を目指して旅をしていて……」

にこ「へぇ、奇遇ね。にこも王都を目指してるのよ」

 そう言って、にこは不敵に笑う。一人で旅しているからには、相応の実力があるのだろう。

侑「目的地は同じ……じゃあ、一緒に王都に向かいませんか? あとちょっとの道のりですけど」

にこ「え゛ぇぇ? あんた達とぉ?」

侑「あ、ご迷惑でしたら結構なんですけど……」

にこ「────────────」

にこ「まあ、いいわよ。旅は道連れ世は地獄って言うしね。私は矢澤にこ。短い間かもしれないけど、よろしくにこ♪」
0230名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 20:03:59.35ID:8El3UxBn
【夜 野宿テント】

 成り行きでにこを仲間に加え、目指していた小さな洞穴にたどり着いた一行。ぱちぱち、と心地いい音をたてる焚き木を囲み、色々な話に花を咲かせる。

にこ「……へぇ? つまりあんた達は、「自分の世界」とやらに帰る方法を探してるってこと?」

侑「まあ、馬鹿げた話に聞こえるかもですけど。旅の途中でそういった話を聞いたこと、ありませんか?」

にこ「残念だけど、無いわねえ」

 経験豊富なにこに尋ねれば何かわかるのでは、と考えた侑だったが、流石の彼女でもそんな方法は知らないらしい。

歩夢「にこさんって、なんで一人で旅をされてるんですか?」

にこ「んー、ちょっと王様に会いたくてね。コーサカ国は基本ゆるゆるだから、私みたいな一冒険者でもお目通り叶う……と、いいんだけど」

せつ菜「なんだか、経験豊富な孤高の旅人……って感じでカッコいいです! にこさん!」

にこ「ちょっとぉ、にこはカッコよさは求めてないのっ。褒めるなら「可愛い」一択よ、覚えておきなさい」
0232名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 20:21:31.33ID:8El3UxBn
にこ「そろそろ食べごろね。ほら、このあたりとか美味いわよ」

 そう言って、にこが枝を無造作に突き刺した肉塊を差し出してくる。見た目はいまいちだが、漂って来る匂いは本物だ。脂が弾ける音も食欲を誘う。
 せつ菜は獣人としての本能が刺激されたのか、つー、と口の端から涎を垂らしている。

歩夢「せつ菜ちゃん、よだれが……」

せつ菜「はっ!? しししし、し、失礼を! お見苦しいところをお見せしましたぁ!///」

にこ「まあ、特に獣人のあんたじゃこういう野性味溢れる味は好みでしょうよ。ほら、冷めるからとっとと食べなさい」

侑「では失礼して……もぐ……もぐ……んまいっ!?」

歩夢「うん、たしかに……もぐ。調味料もなにも無いにしては……おいしいね? ちょっと硬いけど、独特の風味があって」

せつ菜「美味い!! 美味すぎる!!! このまま野性的な何かに目覚めそうです!!!!」

 あはは、と洞穴に響く笑い声。にこという少女と三人の相性は、なかなかに悪くないようだ。
 そうして三人はたくさん食らい、大いに語り、異世界ならではのワイルドな時間を過ごし……。
0234名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 20:26:48.31ID:8El3UxBn
侑「着いたあああーーーーっ!!」

 翌日。四人は一様に立ち止まり、目の前に広がる巨大な都市を見上げていた。
 直径1キロはあろうかという街をぐるりと取り囲んだ大理石の城壁。内部は中央に寄るほど高さが増しており、中央には巨大な王城が聳え立っている。レンガや石畳など、西洋風の建築物がその街並みを作り出しており、正しく異世界の街といった光景だ。
 街ゆく人々も多種多様。せつ菜のような獣人が客を引き込み、2メートルを超える鬼のような亜人がせっせと荷物を運んでいる。

侑「すっっごい、大きい……!」

歩夢「とっても活気があるね! 城門なのに、もう人の賑わいが伝わってくるよ……!」

にこ「そりゃそうよ。ここはこの国の経済、政治、あらゆる全ての中心地なんだから」

せつ菜「……………!!!!! ……………、……!!!!! ……………!!!!!」パクパク

 感極まって言語機能を喪失したせつ菜を連れ、一行は賑わう街路を進んでいく。
0236名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 20:28:36.31ID:8El3UxBn
侑「ねえねえ、あれは道具屋かな? あそこには『魔導書半額!』とか書いてあるよ! あ、あっちに飾られてるのは……牙!? 私の身長くらいあるよ!? どんな怪物の牙だったんだろう!」

歩夢「私は……その、あそこの鍛冶屋さんとか気になるかな……えへへ。剣を握るようになってから、なんだか武器を見るとソワソワして集めたくなるんだよね……」

せつ奈「……!!! …………!!!!! ……、……………!!!!!! ………!!!」

にこ「あんた達ねぇ……おのぼりさん丸出し、って感じで歩くのやめなさいよ。にこが恥ずかしいでしょー?」

侑「無理だよ無理っ! 目に映るなにかもが新鮮で、知らないことなんだもん! こんなに活気があって人がたくさん! ときめいちゃうな〜!」

せつ菜「……………わおーーーん!!!!!!!!」ダッ

歩夢「ああっ、とうとうせつ菜ちゃんが壊れた! 止まってえ!」

にこ「だめだこりゃ……あんた達、よくこの三人で王都に向かおうと思ったわね……」
0237名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 20:31:08.40ID:8El3UxBn
侑「あはは……すみません、どうも好奇心が我慢できなくて。王城に行く前に、ちょっと色々見て回ってもいいですか? にこさんもいてくれることだし」

にこ「たく……ま、いいわよ。寛大なにこ様に感謝することね」

侑「あじゃすっ! にこ先輩! うすっ!」

にこ「だからってその変な口調はやめなさい! なんか癪に触るわ!」

侑(残金は10000Gか。そこまで多いとは言えないけど、一つくらいは何か買えるかな?)

※買い物が出来る場所に立ち寄ると、所持金を消費して色々な道具を買い揃えることができます。残り行動回数が0になると物語が進行します。

【侑の行動は……】残り行動回数2
1、道具屋に行ってみよう!
2、鍛冶屋を除いてみようかな。
3、魔導書屋が気になる!
0239名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 20:35:23.22ID:8El3UxBn
侑「魔導士といえば! 魔導書でしょ!」

にこ「別にいいけど……あんた、魔導書ってどんだけ高いか知ってんの? 金がぶっ飛ぶわよ?」

侑「え゛っ」

せつ菜「と、とりあえず品揃えを見てみませんか? 買うかどうかは置いておいて、とにかく! 中を!」ソワソワ

歩夢「せつ菜ちゃんも興味あるみたいだし、品揃えを見てみよっか」

侑「よし! おじゃまします!」ガラガラ

 扉を開けると、中には天井近くまで積み重ねられた本、本、本! 無数の本が店の中を埋め尽くし、圧巻の様相を呈している!
 本に埋もれたようなカウンターの奥で、気の優しいそうな老婆がにこりと笑いかける。
0241名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 20:44:47.00ID:8El3UxBn
侑「あの……売ってる商品って、ここにある全部なんでしょうか……?」

「ああ、そうだよぉ。付箋に値段が貼ってあるからね、それ見て適当に選んでねえ」

侑「は、はぁ。ありがとうございます」

 と言っても、この本の海からどれを選べばいいのか。侑はぐるりと周囲を見渡して、近場にあった2冊を手に取る。

侑「えっと……『回復魔法初級』と、『猿でもわかる氷魔法』かあ。お値段は……げっ!?」

歩夢「うわあ、8000Gと、12000G……今の残金は10000Gだから、ギリギリ『回復魔法初級』しか買えないね」

せつ菜「これはどうですか!? 『一日暗記! 幻惑魔法!』と書いてあります! お値段は7000G!」

侑「どれも高いなあ……どうしよう? これを買っちゃうと、他の買い物は出来なさそうだね」

歩夢「魔法を使えるのは侑ちゃんだから、侑ちゃんが決めていいよ♡」

【侑の行動は……】
1、『回復魔法初級』を買う!
2、『一日暗記! 幻惑魔法!』を買う!
3、どちらも買わずに貯金!
0243名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/09(火) 20:55:31.77ID:gC/bKxxM
いわゆるHPと回復のバランスがわからんことにはな
薬が普通に買えて効果も十分なんとかなる世界なら初級魔法使うまでもないし
0245名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 21:02:32.86ID:8El3UxBn
侑「じゃあ……『回復魔法初級』を買うよ!」

せつ菜「回復魔法が使えるだけで、ぐんと安心度が変わりますからね! いい選択だと思います!」

歩夢「うん、安心して戦えそう」

侑「これで志満さんみたいな回復魔法を覚えて、みんなの役に立ってみせるよ!」

侑「ということで! おばあちゃん、これ買いますっ!」チャリーン

【所持金が10000G→2000Gに減りました】
【侑が魔法《ヒール》を習得しました】





侑「さて、次はどうしよっか?」

歩夢「2000Gじゃ買えるものも限られるから、行き先はよく考えたいね」

【侑の行動は……】残り行動回数2
1、道具屋に行ってみよう!
2、鍛冶屋を除いてみようかな。
0246名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 21:02:54.45ID:8El3UxBn
※訂正です
残り行動回数1
0248名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 21:23:39.85ID:8El3UxBn
侑「ここが道具屋さんかあ……なんだか、色々なものが置いてあるね。何に使うのか分からないのも多いけど」

歩夢「うんと……こっちは日用品、こっちは小物……こっちは蚊取り線香? いやいや、冒険に役立ちそうなものを……」ガサゴソ

にこ「どこを探してんのよ、歩夢はっ」

せつ菜「冒険グッズはここじゃないでしょうか。色々置いてありますよ!」

侑「本当だ。2000Gしかないから、大したものは買えないかもしれないけど……どうしよっか?」

【侑が選んだのは……】
1、閃光弾 (2000G、使用することで敵の目を眩まし、次の攻撃を必中にします)
2、爆発の矢 (1000G、せつ菜が使用することで射撃ダメージが大幅に増加します)
3、怪力草 (1000G、歩夢が使用することでその戦闘中力が増し、コンマ判定が有利に働きます)

個数も込みで安価下 
0250名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 21:31:45.60ID:8El3UxBn
侑「爆発の矢と……怪力草。これを一つずつ買っておこう。二人がそれぞれ使えそうだし」

歩夢「侑ちゃん、いいの?」

侑「魔導書で散財させてもらったからね。ここくらいは二人の分を買っておかないと」

せつ菜「ありがとうございます! これは切り札として、しっかり使わせていただきますね!」

侑「使うタイミングは二人に任せるよ!」

【所持金が2000G→0Gに減りました】
【爆発の矢×1、怪力草×1を手に入れました】
0251名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 21:32:48.86ID:8El3UxBn
 楽しい異世界ショッピングを終え、上機嫌で街道を歩いていた一向だったが……。

侑「あれ、なんだか王城から遠ざかってない?」

歩夢「本当だね……お城は大きくて、街のどこにいても見えるから助かるけど、こっちに行ったら離れていっちゃいそう」

せつ菜「ふと思ったんですが、そもそもここはどこですか?」

 ぐるりと周囲を見渡す侑。先ほどまで歩いていた華やかな大通り、という感じではなく、生活用の小道といった印象だ。木箱や空き瓶が転がっていたりと、やや治安の悪そうな雰囲気。
 細い道は更に無数の路地に枝分かれしていて、ちょっとした迷路のような様相を呈している。

にこ「ちょっとお! なんでこんな薄汚い路地裏で迷子になんないといけないのよぉ!」

侑「あっちこっちと、適当に進みすぎたかなあ……どうしよう。一旦戻ってみる?」

歩夢「ここに来るまでも沢山別れ道や曲がり道があって、結構苦労しそうだね……」

にこ「はぁぁ……まあ、別に遭難したってわけでもないんだし。適当に歩いてたら着く……にごぉっ!?」ドンッ

 と、路地から飛び出してきた人影が、ちょうど上を見ていたにこと正面衝突! 素っ頓狂な悲鳴を上げつつ、小さな身体が弾き飛ばされる!
0252名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 21:37:43.88ID:8El3UxBn
少女「あ、あいたたたたた……ご、ごめんなさい!」

にこ「あんたねぇ! なんで飛び出してくんのよこんな路地裏からっ! 危ないでしょうがぁ!」プンスコ

少女「ご、ごめんなさぁい……えへへ」

 飛び出してきたのは、侑たちと同年代と思しき女の子だ。活発そうな瞳に人の良さそうな笑顔。オレンジ色の髪を、頭の右側で髪を束ねて下ろしている。

にこ「あんた……なんか、どっかで見たような顔ね? 名前は?」

少女「わたしの名前は……って、そんな場合じゃないんだったぁ! 追われてるんだよっ!」

せつ菜「追われてる……って、誰からですか?」

穂乃果「それは、」

「俺たちだよぉ、嬢ちゃん」
 
 路地の暗がりからぬるりと姿を見せたのは、見るからに柄のワルそうな巨漢。肩にはタトゥー、手にはぎらぎらと光る手斧を握っている。
 更に二人が現れる。一人はボウガン、もう一人は短剣で武装しているようだ。うち一人はトカゲと人間の融合体のような容姿をしており、長い舌がべろり、と短剣を舐め上げた。
0253名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 21:43:05.97ID:8El3UxBn
「ちょいとそこの姫さまに用があるんで、どいてくれるかなぁ? さもないと酷い目に遭うことになるが……」

侑「姫……姫? もしかしてこの国のお姫さま、穂乃果姫っ!?」

穂乃果「あ、バレちゃった。えへへ」

 なぜお姫様がここにいるのか、なぜ追われているのか。事情は分からないことだらけだが、反射的に侑たちは前進。穂乃果を守るように立ち塞がる。
 にこは心底うんざりした顔で、

にこ「はあ……お姫様はいいけど、あんたら見るからに三下のチンピラじゃないの。王族に手を出すタマじゃないわ、引っ込んでなさいよ」イライラ

「ああっ!?」

穂乃果「ちょちょちょ、ちょっとお!? なんで刺激すること言うのかなこのおばかツインテちゃんは!?」

にこ「うっさいわねぇ! 元はといえばあんたがにこにぶつかってきて服が汚れたからイライラしてんのよ!」

歩夢「あ、あの〜、今口喧嘩を始めるのはちょっと……」

 完全に無視して揉め始めた少女達を見て、びきり、と巨漢のこめかみに青筋が走る。
0254名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 21:52:29.58ID:8El3UxBn
「……へっへ。ここまでバカにされちゃ黙ってらんねぇな。そこの姫様だけを拐かすつもりだったがもう遅え! 全員痛めつけて人売りに売っ払うぞ!」

「「おおッ!!」」

侑「わ、わわ、本気で怒らせちゃったよ! 来る!」

歩夢「させません!」ダッ!

歩夢(ここは狭い路地……前に出てしまえば、後ろの二人が攻撃されることはない)

歩夢(相手は頭に血が登ってる。だから変に警戒せず、まっすぐに攻撃してくるはず……そこをいなしてカウンターをとるか、先の先でやっつけちゃうか)

【歩夢の行動は……】
1、待ち構えてカウンター狙い!
2、落ち着いて攻めよう!
3、"怪力草"を食べて一気に攻め込むよ!
4、ここは敢えてにこさんを盾に。
0256名無しで叶える物語(SB-Android)
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2021/02/09(火) 22:14:09.41ID:Qi1u8+Ij
>>225
ここ歩夢ちゃんがクソゲー好きなの出てて好き
0257名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 22:22:12.19ID:8El3UxBn
「おらあああああっ!!」ブォン!

 迫り来る手斧。しかし小柄な少女と舐めているのか、その動きには無駄が多い。焦らず退かず、歩夢は冷静に見極めて、

歩夢「せいっ!」

 弾く! 必要最小限の動きで、手斧の攻撃を受け流したのだ。火花が散り、悪漢が驚きの表情を見せる。
 昔であれば、凶器を突きつけられただけで動けなくなっていただろう。だが、今は違う。凄絶な死線を潜って、歩夢は大きく成長している。

歩夢(……ごめんなさい、容赦はしません!)

 翻って歩夢の攻撃が放たれる。素早い踏み込みから放たれるのは、つい先日習得した回転斬りだ。

【コンマ判定】
0〜70 命中
71〜99 失敗
判定下
0259名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 22:31:45.02ID:8El3UxBn
歩夢「《ストライク》っ!」

 身体を旋風と化して放つ一撃。悪漢の側頭部に剣がめり込み、吹き飛ばされて真横の壁に激突する! 刃は立てず、殴るに留めたのは歩夢の優しさだ。

「な、なにぃッ!?」

 ざわつく残りの二人。一気に勝負を決めるべく、侑とせつ菜が歩夢の後ろから攻撃に映る。

侑(ここで《ラピッドファイア》は使えない! 下手すると火事になっちゃうもんね。だから、今度こそさっき失敗した新技に挑戦……!)

せつ菜(ここは狭いですね。スペースが限られている以上、大技は難しい……大人しく通常の射撃に徹しましょう!)

【侑の攻撃/コンマ判定】
1〜35 スキル習得
36〜60 命中(スキル習得せず)
61〜99 失敗

【せつ菜の攻撃/コンマ判定】
1〜65 命中
66〜99 失敗

判定下2
0261名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/02/09(火) 22:35:21.25ID:cOfE4xgn
命中
0265名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:03:47.03ID:8El3UxBn
せつ菜「射ちますっ!」

 侑は小さく形成した火球を、せつ菜は鋭く矢を放つ! 狙いは上々、まずはせつ菜の矢が短剣を振り回さんとした男の肩を捉える。

侑「控えめに……血潮よ、応えたまえ!」

 続いて放たれたのは小火球。《ラピッドファイア》のものより数段威力を落とした火球が、残るボウガン男の胴体に直撃する!

侑(……くっ。だめだ、まだ集中が足りてない! 火球を小さくして撃つことはできたけど、これじゃ完成形とは言えないよ!)

 その考えが正しかったかのように……火球を受けつつも、男は激昂してボウガンの矢を射出した。まだ未完成の魔法、威力が足りなかったのだ。
 狙いは侑、風を裂いて鋭い矢が迫る!

【コンマ判定】
0〜40 命中
41〜99 回避
0268名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:14:42.18ID:8El3UxBn
歩夢「侑ちゃん!」

侑「わ、あぶなっ!」ヌルッ

 迫る矢をぬるりとした動きで避ける侑。小学生のころ、ドッジボールで鍛えた回避術だ。
 攻守逆転。侑に矢を向けられたことで、歩夢の怒りが爆発した。有無を言わせず接近し、男が再装填するよりも速く、

歩夢「だああああ……《ストライク》!!」

「ふぉぎゃっっ!?!?」

 ばきゃん、と先程よりも数倍痛々しい轟音が響き、ノックアウトされた男が崩れ落ちる。これで残り一人。流石に敗北を悟ったか、残るトカゲ男は短刀を放り出して逃げていった。 

にこ「へー……あんた達、なかなかやるじゃない。にこが手を出すまでもなかったわね」

穂乃果「た、助かったあ」ホッ

侑「ちょっと危ない場面はあったけど、なんとか全員無傷で倒せたね♪」

せつ菜「はい! 穂乃果さんにもお怪我はないみたいですね! 良かったです!」ペカー
0269名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:24:34.73ID:8El3UxBn
穂乃果「た、助かったあ〜……!」

にこ「……で、お姫様がなんでこんなところにいるのよ」

穂乃果「えーっと、最初は城下で遊んでたんだけど……可愛い猫さんを追いかけてたら普段来ないとこに迷い込んじゃって……てへっ」

せつ菜「平和そうな街ですが、治安が悪いところは悪いんですね……」

穂乃果「う〜ん、そうだっ! みんなにもお礼がしたいし、お城に来なよ! ウチの特産品、ほのまんをたくさんご馳走するよ? 皆は命の恩人だもん♪」

侑「そっか、穂乃果ちゃんはお姫様だもんね。あんまりそういう感じがしないけど」

歩夢「この国の王様なら、異世界のことについて何か知ってるかも。このままあてもなく聞き込みするのも効率が悪いし、直接王様に尋ねてみよっか」

にこ「にこも当然行くわよ! そもそもにこは王城に行きたくてこの国に来たんだからね!」

穂乃果「よぉ〜し、それじゃ決まりっ。みんな、私のお家に向けて出発だ〜!」
0270名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:26:21.47ID:8El3UxBn
【王城・謁見の間】

陛下「───────────────」ゴゴゴ

三人「「「……………………」」」ビクビク

 なぜこうなったのだろう、と侑は考える。
 王城に穂乃果を連れ帰った一向。穂乃果の言葉は正しかった。王女が迎え入れられたのち、四人は何故か王の御前へと連行されたのである。
 この国の最高権力、コーサカ王。彼は玉座にもたれたまま、じっとこちらを見つめている。

侑(ね、ねぇ! 王様ずっと無言なんだけど!? 私たち何か怒らせるようなことしちゃったの!?)

せつ菜(い、いえ、そんなことはないと思いますが……ここは異世界ですから、私たちの常識が失礼にあたるといった可能性も……)

歩夢(そ、そんなのどうしようもないよ! うう、なんでこんなことに……)

誰か喋らないかと周囲を見渡すと、王の真横に控える少女と目があった。
 長く艶やかな黒髪、きらびやかな純白の鎧。肩当てに刻まれた炎の紋章。城の中でも何人か兵士を見かけたが、それらとは何もかもが違う。強者だけが纏うオーラ、とでも言うべきものが透けて見えるようだ。
0271名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:29:20.72ID:8El3UxBn
にこ(……あれは"聖騎士"ね)

歩夢(せ、聖騎士って、なんですか?)

にこ(コーサカ王国に仕える最強の騎士。今は四人しかいないらしいけど……いずれも一騎当千、万夫不当。一人で軍隊に匹敵する、なんて言われてるわ)

侑(そういえば、前に千歌ちゃんが言ってたっけ。国は四人の聖騎士が守ってるとかなんとか……)

にこ(特に目の前のやつは別格ね。聖騎士を束ねる聖騎士長、「園田海未」。この世界において、あいつに並び立つ人間は存在しない。文字通りの"最強"よ)

海未「────────────」

侑(あの子が……最強……)

にこ(不興を買いたくないなら大人しくしときなさい。王の御前だってのに、今のとこ護衛らしい護衛はアイツしかいない。それはつまり、「一人でも十分」ってことなのよ)

 思わず黙り込む三人。と、その沈黙を破って、大扉がゆっくりと押し開かれた。がやがやと、その奥から数人が謁見の間に入ってくる。
0272名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:39:30.53ID:8El3UxBn
ルビィ「お、遅れてごめんなさぁい……」

愛「おっ待たせしました〜! 王妃をお連れしたよ〜」

海未「愛! 全く、何をしていたのですかっ」

侑(……あ、愛ちゃん!?)

 重苦しい沈黙に沈んでいた謁見の間に踏み入ってくるのは、間違いなく、侑たちが知る宮下愛その人であった。
 金髪を後ろでまとめて爽やかに流しているところは同じだが、それ以外が大きく異なる。
 手には身丈を超える長槍、全身を包む鎧。彼女もまたこの国を守護する聖騎士の一人なのか。続く小さな女の子も、気弱そうな顔とは裏腹に、同じ鎧で武装している。

愛「ゴメンゴメン、たこ焼き食べ切るのに時間かかっちゃってさあ。許してよ、このとおり!」

海未「……はぁ。それはそうと、彼方は今どこで何をしています? 全員召集をかけた筈ですが」

愛「さぁ? 今日もお城のてっぺんとかで昼寝してるんじゃないの?」

海未「ああっ、姿が見えないと思ったらやはりそうでしたか! 後で探しに行かなくては……」
0273名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:43:08.26ID:8El3UxBn
せつ菜(愛さんは、私たちのことを知らないようですね)

歩夢(多分、この世界の愛ちゃんなんだよ。なんだか強そうだし、槍も持ってるし……)

にこ(聖騎士さま大集合じゃないの。天下無双の槍使い、宮下愛。天才魔導士の黒澤ルビィ)

にこ(……暇なのね、多分。この国平和だし)ケッ

 海未と同じ、この国を守る四人の騎士。うち三人が謁見の間に揃った中、豪勢なドレスを見に纏った女性が姿を表した。

ことり「……王妃様、こちらへ」スッ

王妃「ええ、ありがとう。ことりちゃん」

王妃「ごめんなさいね、この人シャイで全然喋ろうとしないから。もう、大切なお客様が来たっていうのに貴方は黙りこくってばかりで」

陛下「……………………😞🙏」ペコペコ
0276名無しで叶える物語(らっかせい)
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2021/02/09(火) 23:46:27.54ID:yik0HmM0
璃奈ちゃんが言ってた帰るにはその世界の私をって続きが気になるよね
0278名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:48:06.22ID:8El3UxBn
王妃「おほん、お待たせしてごめんなさい。この国の王妃として、そして一人の母として、貴方たちに心からのお礼を申し上げます」

にこ「ははーっ!」ペコリ

にこ(ほらっ、あんたたちもやんのよ! なにぼーっとつったってんの! こういうのは形式だけでもやっときなさい!)

三人「「「は、はいいっ!」」」ペコリ

王妃「ふふふ、そんなに畏まらなくてもいいわ。貴方たちは穂乃果を助けてくれたんでしょう? 恩人に頭を下げさせたんじゃ、それこそ穂乃果に怒られちゃう」

歩夢「い、いい人でよかった……」ホッ

侑(それにしても──────、)

 侑は、にわかに人口密度の上がった謁見の間を見渡す。
 正面には国王と王妃、お付きの少女。自分たちの真横を囲むように三人の聖騎士たち。政治の頂点、軍事の頂点、コーサカ王国のトップ担う集団の中に混じっている今の状況は、かなりの異常事態といえる。

せつ菜「ちなみに、穂乃果さんは……?」

王妃「ええ、念のため医者に診てもらっているけど、心配ないみたい。本当に貴方たちがいなかったらどうなっていたか……」
0280名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:49:07.50ID:8El3UxBn
王妃「それで、貴方たち……えーと、」

侑「高咲侑です! こっちは上原歩夢、こっちが優木せつ菜!」

王妃「あら、ありがとう。貴方たちは、なにやら特殊な事情があってこの国を訪れたんだとか? ご恩に報いるためにも、コーサカ王国はあなたたちを支援させて頂くわ」

歩夢「あ、ありがとうございます……!」パァ

 侑たちは、自分たちが置かれている境遇と、元の世界に戻るための方法を探していることを包み隠さず伝えた。

ことり「異世界からの……へええ……」

愛「なんだか面白い話だね!」

王妃「それは確かに、困ったことになっているようね。でもごめんなさい、異世界からの来訪者とは……流石に私でも聞いたことがないわ」

侑「そ、そうですよねぇ」ガクリ
0281名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:50:04.46ID:8El3UxBn
海未「私も、そういった話は聞き覚えがありませんね」

ルビィ「うゅ……で、でも、知らない世界に飛ばされるなんて怖いよねぇ……ぉねぃちゃぁとも会えなくなっちゃうし……ルビィは……」ウルウル

せつ菜(既に泣きそうになっていますが……あの人も、本当に聖騎士の一人なんでしょうか……)

王妃「その代わり……と言ってはなんだけど、根無し草のままでは心細いでしょう。右大臣、書類を」

ことり「ちゅんっ!」ササッ

侑(な、なんだろう?)

王妃「せめて、貴方たちのお手伝いをしたいと思って。こちらを受け取ってもらえるかしら?」

せつ菜「は、はい……これは……」

歩夢「………………い、家ぇっ!?」ガビン

王妃「はい♪」
0282名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:55:25.52ID:8El3UxBn
王妃「二級住宅地の平凡な一軒家ですが、三人で住むのなら十分すぎる広さはあります。中も綺麗にしてあるから、今日から使っていただいて構わないわ」

侑「この間取り……二階建てで、しかも庭まであるよ!?」キラキラ

せつ菜「庭には池までありますよ! こことか素敵なバルコニーになっていて……!」

歩夢「自分のベッドで、ぐっすり眠れるんだ……周りを気にせず、野宿の場所を探して彷徨うこともなく……嬉しいなあ……」

ことり「あんまり聞こえてないみたいですね〜……あはは」

王妃「うふふ、そうね。皆いい子で可愛いわ♪」

王妃「さて、と」
0284名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/09(火) 23:59:14.02ID:8El3UxBn
王妃「さてと、そちらの三人には衣食住の確保が最優先として……貴方はこの世界の人間、なのよね?」

にこ「にこはにこよ。この世界にただ一人のにこ。まあ、穂乃果姫を直接助けたってわけじゃないけど。そこの三人がやっつけちゃったし」

王妃「それでも恩人に代わりないわ。あなたも、王城に用があって旅をしていたと聞いたのだけれど。どんなご用かしら?」

にこ「……まあ、にこはにこなりの目的があってここまで付いてきたんだし……丁度いいわね。王妃さまにもご協力願おうかしら」

侑(……そうだ。そういえば、にこさんも王城に向かう理由があるって言ってたけれど。結局のところ、にこさんは何がしたいんだろう?)

にこ「……ううん、王妃様だけじゃない。女性割合が高くてさっきから気まずそうにしているそこの国王陛下も」

にこ「あなたたち二人には────────」

 ぞわ、と空気が揺れたような気がした。
 侑がそう感じたのは間違いではない。ただ、その微かな振動の意味を、迸る殺気の広がりを理解できなかったというだけ。



にこ「────────────────死んで貰うわ」
0289名無しで叶える物語(光)
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2021/02/10(水) 17:57:40.79ID:2oUKCXsB
続きが気になるけど安価のとき以外にそういう書き込みすると>>1の迷惑になるかと思うからいっぺんに感想言うね!
めっちゃ楽しみ!パートスレ化しても追い掛けるからねー!無理せずゆっくりでいいから毎秒投稿して(豹変)
0290名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/02/10(水) 21:35:37.06ID:y9aCKj4M
再開します
0291名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 21:44:18.17ID:y9aCKj4M
にこ「ふっ!」

 だんッ!! という轟音を立て、にこが跳ぶ! いつの間にか、その右手には黒を塗り固めたかのような刃。狙いは一つ、王妃の首を斬り落とす!

 ……が、しかし!
 そこに飛び込む一つの影。にこの殺気を誰よりも早く察知し、王命を死守せんと刃を抜くは、園田海未。放たれた黒刃と抜かれた白刃がぶつかり合い、狭間に赤の火花を舞い散らす!

にこ「へぇ、あそこから間に合わせるとはやるじゃない。流石は噂に名高い聖騎士長ね」

海未「あまり私達を侮らないことですね 、天魔族」

侑「な……!?」
0292名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/02/10(水) 21:47:55.03ID:y9aCKj4M
せつ菜「うっ!?」

 遅れて撒き散らされた暴風と衝撃波が、二者の激突が如何に激しいかを物語っていた。
 呆然とする三人をよそに、騎士達はとっくに意識を戦闘用のソレに切り替えている。愛が横から神速の刺突を繰り出して、にこは舌打ちしながら後退した。
 
歩夢「な、なにが……」

海未「伏せていなさいッ! 死にますよ!!!」

 反射的に地に伏せる三人。ガラ空きになった空間を、黒々と燃え盛る焔が埋め尽くした。
 にこの手によって放たれたそれは、しかしルビィが構築した結界の前に食い止められる。めまぐるしく入れ替わる攻守。海未は一足でにこの懐へと潜り込み、雷鳴が如き抜刀斬りを放つ。

園田「ふッ!」

にこ「に゛こぉっ!?」

 にこは辛うじて防いだようだったが、威力までは消せなかったのか。小さな身体が砲弾のように吹き飛び、王城の壁を粉々に砕いて、そのまま外へと飛んでいく。

ことり「わわ……ンミチャン!」

海未「私は問題ありません! ルビィはここに待機、愛は私に続いてください! 二人でこのまま追撃します!」
0293名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 21:53:50.70ID:y9aCKj4M
ルビィ「はいっ!」

愛「うん、あの子に街中で暴れられたんじゃ叶わないからね!」

 ひゅん、という風切り音だけを残して、二人の姿が消える。残された三人は、ただ驚嘆することしか出来なかった。

ルビィ「……だ、大丈夫ですか? お怪我は……あ、あったらルビィが治しますっ!」

侑「あっ、う、うん! 三人とも無事だよ! ありがとう!」

せつ菜「そ、それよりも……一体何が起きたんですか!?」

王妃「……天魔族よ」

歩夢「な、なんですか、それっ?」
0294名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 22:00:52.18ID:y9aCKj4M
王妃「私たちの国は、ずっとずっと昔から、隣接する帝国との小競り合いを続けているの」

王妃「〈ピロシキ帝国〉。人間ではなく、魔物たちによって作られた魔物たちの国。その頂点に君臨する最強の魔物たちこそが……「天魔族」と呼ばれる存在。世界に数体しか存在しない怪物よ」

王妃「……でもまさか、こんな大それたことを企むなんて。ここ数十年は大人しくしていたのに」

せつ菜「に、にこさんが、実は人間の敵だったということですか!?」

ことり「貴方達は優しそうだし、そこに上手く相乗りして、目的を達成しようとしたのかも……」

王妃「……でも、こちらも無力ではありません。この国には天魔族に引けを取らない聖騎士がいるんですもの。あの子達は負けないわ」

王妃「ほらっ、貴方も玉座の裏で震えてないでしゃんとしなさい! 国王でしょう!」

陛下「………………………👍」ガクガクガク
0295名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/02/10(水) 22:01:32.53ID:7J3dobwY
結果的に敵を連れてきちゃったわけだけどとくに疑われたりもしないんだな。おおらかな国だからか
0297名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 22:06:24.64ID:y9aCKj4M
 場所は変わり、コーサカ王国の上空。
 飛び回る影と追従する影。建物の屋根を蹴り飛ばして走りながら、にこは冷静に思考を回す。

にこ(あそこまで気配と殺気を絶っても防がれるなんて。流石は王国の砦、最強戦力の園田海未。ま、元からダメ元だし別にいいけど)

にこ(……追ってくるのは二人か。グダると近江彼方とかいうのまで駆けつけるかも。いくら最強無敵悪魔のにこでも、聖騎士三人は絶対無理)

園田「待ちなさい! 首を落とします!」

にこ「そんなこと言われて待つ奴がいるわけないでしょうがぁっ! にこは嫌よ断首で死ぬなんてえ!」

園田「さっき! 貴方が! やろうとした事を思い出しなさい!」

にこ「ふんっ。自分がやられて嫌なことだって、誰かにやるなら関係ないわ。だってにこは……」

 背後を振り返り、にこは片手を宙空に構える。
 ぞぶり、とその手のひらから溢れ出す闇。粘りつく黒のようなそれは瞬く間に膨張して、巨大な影を作り出す。

にこ「わるぅい"魔族"なんだからねえッ!」
0298名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 22:07:35.46ID:y9aCKj4M
>>294
訂正です。
〈ピロシキ帝国〉→〈ペリメニ帝国〉
0299名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 22:17:02.95ID:y9aCKj4M
にこ「来なさい! 私の魔神、『バルバトス』!!」

 雲ひとつない晴天だった空が、黒に染まる。
 にこの前方に幾重にも展開されていく魔法陣。そこから巨大な腕が姿を覗かせ、めりめりと空間を裂き、一つの存在が産まれ堕ちた。二つの巨大な口からは獰猛に伸びた牙、濁った十数個の瞳が海未と愛を捉える。
 巨大な人形の魔物。いや、魔物という次元を飛び越えた異形の神。

にこ「最初っから加減はなしよ! 真正面から叩き潰すッ!」

海未「──────愛。斬り伏せますよ」

愛「当然っ!」

 その異形を前にしてなお、絶対の守護者たる聖騎士二人は怯まない。更に加速して地面を蹴り、上半身を全て露わにした魔神を睨みつける。

愛「さぁて、魔神だろうがなんだろうが、もんじゃみたいに焼いてやる!」
0300名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 22:28:56.37ID:y9aCKj4M
愛「でやああああああああああああッ!」

 その全身を引き摺り出し、その剛拳を振り下ろしてくる魔神に対して、愛は真正面からの突撃を選んだ。愛の持つ長槍が赤の輝きを放ち、真っ赤に灼熱する!
 激突。爆発、暴風、衝撃!
 両者の膂力はほぼ拮抗。ぎりぎりと槍と拳を重ね合うも、その隙をついて海未が上から迫る。

海未「園田流剣舞術────『赦鶴二連』!」

 右の肩口から股へと斬り下ろし、跳躍して腰から首へと。大きくV字に海未の刃が振われて、巨大でグロテスクな肉体に亀裂が走る。致命傷だ!

愛「さっすが海未! やるぅ!」

海未(……呆気なさすぎる。魔神は本来この何倍も硬いはず! これではせいぜいが上級の、)

 そこまで考えたところで、海未がはっとしたように魔神を見やる。
0301名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 22:30:59.23ID:y9aCKj4M
海未「愛! 今すぐ魔神を、なるべく上空へと打ち上げてくださいッ!」

愛「んんっ? どうして?」

海未「この魔神、自爆するつもりです!」

海未(さっきの強気な言葉も、召喚術すらも全てがブラフ。本気でかかると見せかけて、狙いは最初から逃亡ですか! なんとも小狡い!)

 にこの姿は既に消えている。
 愛は受け止めたままの拳を軽く流すと、渾身の力で懐から突き上げを放った。ぶわり、と胸部を貫かれた魔神の体が宙に浮かび、

愛「飛おおおおべええええええええええっ!!」

 閃光と爆炎が炸裂し、魔神が大きく空へと舞い上がっていく。

海未(……魔神の秘める魔力総量は底なし。それこそキロメートル単位の半径が消し飛ぶ威力。愛の火力をもってしても、安全圏まで飛ばすのは困難……私の刀も、これでは相性が悪い!)
 
海未「であれば……自爆する前に、跡形もなく消滅させるしか!」
0302名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 22:39:20.36ID:y9aCKj4M
 動きを止めた海未が、ぐん、と力を溜めて一気に跳躍する。愛を追い越し、魔神を追い越し、さらに漆黒の空へと舞い上がって、海未は王城の方へ視線を向ける。

海未(いくらお昼寝好きの貴女でも、このような空では寝てもいられないでしょう! 準備はこちらで済ませます!)

海未「園田流剣舞術・秘剣────『輝月』!!」

 無類無双の剣士、園田海未。その一閃は音を振り切り光速に達し、刀身そのものを光と変える。回避も防御も許さない、園田海未が有する秘剣の一つである。
 眩い光が、魔神バルバトスを両断する!

愛「うわ、眩しっ……て、これから自爆する相手を斬ったらマズいんじゃ!?」

海未「そうですね! しかし、これで十分!」
0303名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 22:40:15.89ID:y9aCKj4M
 次の刹那。
 漆黒の空を、一筋の流星が貫いた。

 王城の天辺から放たれた光粒子の奔流。海未が放った光を合図として放たれた性格無比な狙撃砲が、魔神の身体を呑み込んだのだ。
 それが自爆に至るよりも速く、浄化の光がその存在を霧散させる。白、白、波濤の如き白があらゆる全部を飲み込んでいって、巨人は光の中に消えていった。

彼方「……………………ふぃ〜」ゴトン

 城の頂点で、少女が構えた銃を肩から下ろす。
 四人目の聖騎士。近江彼方。
 超遠距離からの狙撃を飄々とこなし、元の青色に戻った空を見上げてえへへと笑う。

彼方「全く、彼方ちゃんが気持ちよぉくお昼寝してたのに……どこのどいつだか、勝手に夜にしちゃうんだから〜。お昼寝は昼にするからいいのであって、夜にされちゃあそれは昼寝じゃないのだよ」

彼方「ひと働きして疲れたし……うぅん、二度寝としゃれこもうかなぁ……」ゴロン

彼方「………………すやぴ」
0308名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:02:30.62ID:y9aCKj4M
【王宮】

ことり「はい、報告ありがとうごいますっ。えっと、とりあえず目立った被害はないようなので、警戒の強化と周辺地域への警告の準備を」テキパキ

海未「ええ、念のため敵の追跡を行いますから、急ぎ部隊を組んで国境方面へ……」テキパキ

ダイヤ「ルビィ!! え、謁見の間に賊が侵入したと聞きましたよっ!? 大丈夫ですの!?」

ルビィ「あ、う、うん。ありがとね、ぉねぇちゃぁ……みんな無事で、怪我した人とかもいないから」

「修復は後にして……今は警戒するしか……」バタバタ

「今まで睨み合いが続いてたのに、今度こそ戦争を始める気……」ガヤガヤ

歩夢「な……なんだか、急に慌ただしくなっちゃったね」

侑「私たち、ここにいちゃいけない感じだよね……今日は大人しく帰ろっか? 幸い家ももらえた事だし」
0309名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:03:47.82ID:y9aCKj4M
穂乃果「あっ、みんな!」パタパタ

せつ菜「穂乃果さん!」

穂乃果「いやぁ〜、ごめんねっ? お城の中に魔物が入り込むだなんて前代未聞だからさぁ。お母さんも、満足に話せないことを謝っておいてほしいって」

せつ菜「い、いえいえ、そんな!」

穂乃果「少ししたら落ち着くだろうから、今度遊びに来てよ! こんなことがあったんじゃ穂乃果も簡単にお城から出られなくなるし、また退屈な日々が……うえぇ」

侑「お姫様だもんね、穂乃果ちゃんは」

歩夢「で、でも……私たち、このまま帰ってもいいの?」

穂乃果「へ?」

歩夢「だって……その、私たちもまだ全然理解が追いついてないんだけど、にこさんは悪い人……だったんだよね? じゃあ、一緒に行動してた私たちも捕まったり……」
0310名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:05:45.94ID:y9aCKj4M
海未「それなら安心してください」

侑「わっ! え、えっと……海未、さん?」

海未「穂乃果と同じく、「ちゃん」でも結構ですよ。聞いたところ、同い年のようですからね」ニコ

せつ菜「ええっ。あ、あんなに強くてかっこいいのに、まだ私たちと同い年なんですか……!?」

穂乃果「すごいでしょ!」ドヤ

海未「なぜ貴方が自慢げなのです、穂乃果」

海未「おほん。信じるに足る理由ですが……にこに関しては、最初から私も警戒していたんです。魔力や殺気の隠蔽は完璧でしたが、それでも隠しきれない不穏な空気……とでも言いましょうか」

海未「しかし、貴女たちにはそれがない。気配も瞳も澄んでいる。こう見えて、人を見る目には自信があるつもりです」

侑「そ、そうかなっ? う、海未さ……ちゃんにそこまで認められてるとは思ってなかったよ」

海未「騎士長という立場上、重苦しい顔で突っ立っていることが多いですから……変な誤解を与えてしまったら申し訳ありません」

海未「……私の親友を助けてくれたことは、本当に感謝しています。改めて、私からもお礼を述べさせてください」ペコリ
0311名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:06:34.06ID:y9aCKj4M
侑「えへへ、こちらこそ! あの時「伏せろ!」って言ってくれなかったら、今頃私たち死んでただろうし。守ってくれてありがとう!」

海未「ええ……穂乃果も言っていたようですが、落ち着いた頃にでも遊びに来てください。穂乃果もこの通り退屈がっていますし、ことりも紹介したいですし」

穂乃果「そうだよー。ぶー」

海未「穂乃果? 元はと言えばあなたが無断でお城を抜け出したところから全て始まり、賊を招き入れる結果になったんですよ?」ギロ

穂乃果「ぴぃぃっ、ご、ごめんって……! 反省する! もうたっぷりダイヤさんにお説教されたよ……! 勘弁してよ海未ちゃぁん!」

歩夢「あはは……なんだか、いい人たちばかりで安心したね」

せつ菜「ええ、本当に。また遊びに来ますね、穂乃果さん、海未さん!」

穂乃果「うんっ! 今度も色々遊ぼうね!」
0312名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:21:36.72ID:y9aCKj4M
【夕方 二等住宅地】

侑「さてと……地図によると、ここだね」

歩夢「わああ! すごい! 街並みを見て分かってはいたけど、日本じゃ見られない造りだね!」キラキラ

せつ菜「中世ヨーロッパ風と言いましょうか……ファンタジー世界では定番ですが、庭付き一軒家というのも珍しいですね。こう言った街では基本的にアパルトメントのような形式が多く……」ペラペラ

侑「一番乗りー!」ガチャ

せつ菜「ちょっ、聞いてくださーい!」

 装飾も照明も、あらゆるものが新鮮に映る。白く塗られた土壁に張り巡らされた木のフレーム、一貫性をもって整えられた調度品の数々。やや古ぼけてはいるものの、決して粗品ではない。

侑「うおー! 見て見て! リビングっぽい部屋に暖炉があるよ!」

歩夢「こっちにはキッチン……しかも広い! いろんな道具があるけど、用途がわからないのもいくつか……お料理の勉強もしなくっちゃ」
0313名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:23:21.32ID:y9aCKj4M
せつ菜「うおおおおお! シャワーもちゃんとありますよ! しかもバスタブ付きです!」

侑「庭もちゃんとお手入れされてる! 池の水も綺麗! 端っこのほうとかは障害物もないし、戦いの訓練に使えるかも!」

歩夢「二階を見てきたけど、部屋がとっても多いよ。ベッドも人数分あるし、三人分の個室は確保できそう。それに冷房機能まであるみたい!」

せつ菜「トイレも二つあります! しかも水洗式ですよ! この国の下水道やインフラ整備ってどうなってるんでしょうか!? 魔法の力を色々なところに使ってるみたいですが!」

侑「いまは細かいことはいいんだよ! 家だ、私たちの家だーっ!!」

 今までにないテンションで狂喜乱舞する三人。
 それも当然であろう。彼女らはついに、安心して眠れる三人だけの拠点を手にしたのだ。
0315名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:39:12.33ID:y9aCKj4M
侑「はあ、はあ……騒いだらなんだかお腹が減っちゃったね」

歩夢「うん、恥ずかしながら私も……」

せつ菜「どうしましょうか? 今から買い出しに行って、キッチンを試してみるというのも手ですが」

侑「そうだなぁ。折角だし、外に出てみない? 異世界なんだし、私たちの知らない美味しい料理を出してくれるお店があったりするかもよ!」

せつ菜「異世界グルメ旅ですか、いいですね!」

歩夢「いつもは厳しくお財布の管理をする私だけど……今日くらいはお祝いで、いっぱい食べよっか♡」

侑・せつ菜「「おーーーっ!!」」

【どこに行ってみよう?】
1、なんだかいい匂いがする! 近くにおいしいお店があるのかも!
2、少し歩いて、港のほうに足を向けてみる!
3、寂れた路地裏なんかに実は隠れた名店が……
安価下
0316名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:39:12.43ID:y9aCKj4M
侑「はあ、はあ……騒いだらなんだかお腹が減っちゃったね」

歩夢「うん、恥ずかしながら私も……」

せつ菜「どうしましょうか? 今から買い出しに行って、キッチンを試してみるというのも手ですが」

侑「そうだなぁ。折角だし、外に出てみない? 異世界なんだし、私たちの知らない美味しい料理を出してくれるお店があったりするかもよ!」

せつ菜「異世界グルメ旅ですか、いいですね!」

歩夢「いつもは厳しくお財布の管理をする私だけど……今日くらいはお祝いで、いっぱい食べよっか♡」

侑・せつ菜「「おーーーっ!!」」

【どこに行ってみよう?】
1、なんだかいい匂いがする! 近くにおいしいお店があるのかも!
2、少し歩いて、港のほうに足を向けてみる!
3、寂れた路地裏なんかに実は隠れた名店が……
安価下
0318名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/10(水) 23:53:45.19ID:y9aCKj4M
【港】

侑「さてと……来てみたけど、流石にあんまり活気はないね」

せつ菜「港が活気づくのは早朝から昼でしょうから、時間帯がズレているかもしれませんね」

侑「う〜ん、誰かに会える気がしたんだけど」

???「あれ、こんな時間にどうしたのー? 船ならもう出せないよ?」

 くるり、と振り返ってみると、そこには少女が立っていた。グレーの髪、淡い水色の瞳。どことなく海を連想させる少女だった。

侑「えっと……?」

曜「ああ、ゴメン。私は渡辺曜、連絡船の船長をやってる者だよ。てっきり、貴方たちどこかの島に渡りたいのかと思ってさ」

歩夢「すみません。私達、ご飯を食べられるところを探してて……」

曜「ご飯? ふふっ、それならこの曜にお任せであります! とっておきのお店を紹介してあげるよ!」ニコ
0320名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/11(木) 00:05:03.55ID:zVa0SNzL
侑「お〜いし〜〜〜〜い!!!」モグモグガツガツ

 港からほど近い料理店。海の近くということもあって、店内は海鮮目当ての人々で大繁盛だ。
 侑の目の前には巨大な活き造り。脂がたっぷりと乗った艶やかな身が食欲を誘う。その他にも爆発マグロの刺身、ナマズウナギの蒲焼き、軍隊アジの天ぷら、その他もろもろ。美味な海鮮がテーブルを埋め尽くす。

歩夢「おいしい! 本当においしいよ!」パクパク

せつ菜「無限に食えます!!!!!!」

曜「あはは。喜んでくれたようで何よりだよ」

侑「曜ちゃんは……もぐ、ずっとこの港で働いてるの?」

曜「うん、ここに来てそこそこ長いね。でも故郷は違くて、〈ヌマズ〉っていうちょっと離れたところにある村なんだ。年末は帰ったりするよ」
0322名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/11(木) 00:21:16.97ID:zVa0SNzL
歩夢「えっ!? 実は、私達も色々あって〈ヌマズ〉から旅してきたの!」

曜「ええ〜!? じゃあ、チカちゃんとも会ったり? 十千万宿屋の!」

侑「うん! 本当に親切にしてもらって……」

せつ菜「旅立ちの際にはみかんまで頂いてしまいました! まだまだ食べきれないほどに!」

曜「はははっ、チカちゃんらしいや。それにしたって、三人がチカちゃんと知り合いだなんて思わなかったよ! 意外と世界って狭いのかも!」

侑「でも嬉しいな! また一人友達が増えて!」

曜「私も嬉しいよ! そうだ、チカちゃんといえば、私が〈ヌマズ〉にいたころ……」

 思わぬ共通の話題を得た四人。その後も話に花を咲かせ、多いに仲を深めたのだった。

【"渡辺曜"と出会いました】

※探索の中で特定の人物に遭遇すると、その人物と仲良くなることができます。
※そうした場合、今後その人物に関連したクエストや依頼を受けることが可能になります。
0323名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/11(木) 00:24:49.98ID:zVa0SNzL
【翌日 早朝】

侑「ふわぁ……二人とも、おはよう。今日もあっついねえ」

せつ菜「おはようございます!」ペカー

歩夢「おはよう。朝ごはんできるとこだから、侑ちゃんは座って待っててね♡」

侑「いい匂い……ありがとね、歩夢ぅ」

せつ菜「さっき朝の運動がてら周囲の様子を見てきましたが、ここは良い街ですね。皆さんいい人ばかりです。昨日のこともあって、ややピリピリしているところはありますが……」

侑「そっかそっか、やっぱり王さまがいい人だと住みやすい街に……おっ、これ何?」

せつ菜「新聞です。街角で売っていたので、購入してきました。情報集めは基本中の基本ですからね!」

侑「新聞まで売ってるとは……へえぇ、やっぱり知らない文字だけど内容は分かるね」
0324名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/11(木) 00:28:34.59ID:zVa0SNzL
《《《《 号 外 》》》》

【王都襲撃! 謁見の間に悪魔族現る!】
先日正午ごろ、謁見の間に人間に扮した天魔族が姿を見せた。「にこ」と名乗った天魔族は王妃の首を狙ったものの、聖騎士長園田海未をはじめとした聖騎士達の活躍によって撃退。人的被害はゼロに抑えられたが、天魔族は逃亡。国境を越え、帝国に逃げ込んだと思われる。

【四度目の戦争か】
300年以上に渡り国交を交わさず、時折大規模な戦いを起こしつつも睨み合いを続けてきた〈コーサカ王国〉と〈ペリメニ帝国〉。今回の事件は宣戦布告とも取れる大事であり、今後は国境の防備を固めるとともに、本格的な争いに備え軍拡が進められると予想される。薄氷の平和がついに破られたことで、国民の間では不安を懸念する声も多い。このまま戦争に突入した場合、コーサカの歴史においては70年ぶり、四度目の戦いとなる。

───────────────────────────────

【いま話題のかすみんコッペパン】
〜穂乃果姫も大絶賛!? 直撃インタビュー〜
「はい、あのコッペパンはとっても美味しくて、よく穂乃果も楽しませてもらってます。なんかこう、えーっと、全体的にふわっとしてて美味しいです! 皆も食べるといいんじゃないかな!」
絶品パンを召し上がりたい方は、是非かすみんのパンレストランまで。
11:00〜22:00 第二居住区5-12-3
0325名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/11(木) 00:56:18.57ID:zVa0SNzL
侑「広告っぽいところは読み飛ばすとして……うん、どれも戦争が起こる! とか王の危機! みたいな話題ばっかりだね」

せつ菜「ご近所さんと少し話したんですが、王国と帝国は双方不干渉でバランスが保たれていたらしく、争いが起こるのは70年ぶりなんだとか。穂乃果さん達を見ていれば、その理由も分かりますが」

侑「うぅん……なんだか、危険なことが起きようとしているのかも……」

せつ菜「戦争ですからね。王城で見た「天魔族」の力は、凄まじいものがありました。にこさんの他にも数人天魔族がいるとなると、恐ろしいですね」

歩夢「はーい、二人とも朝ごはんだよ。昨日の帰りに買ってきた……コカトリス? の卵で目玉焼きですっ!」

 三人で使うにしては大きめのテーブルに、ごとん、と巨大な皿が乗せられる。そこに鎮座するは直径30cmは超えるであろう巨大な目玉焼き。
 サイズが常識を無視しているソレを見て、侑とせつ菜は目を剥いたまま言葉を失う。
0326名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/11(木) 00:57:44.64ID:zVa0SNzL
歩夢「ほら、冷めちゃわないうちに食べよ?」

侑「……えっと、なんか、大きくない?」

せつ菜「目玉焼きって……一つを複数人でシェアする食べ物でしたっけ?」

歩夢「もう。ここは私たちの知ってる世界じゃないんだよ? 確かに私も卵が大きくてびっくりしたけど、適応していかなくちゃ。これがこの世界の目玉焼きなんだよ、きっと」

侑「そ、それはそうだけど……食事に関しては異様に適応力が高いね、歩夢は」

せつ菜「生まれ持った女子力の差でしょうか……しかし、確かに歩夢さんの言う通りです。目玉焼きは目玉焼き。しっかりといただきましょう!」

歩夢「うんうん♪」

三人「「「いただきまーす!」」」
0329名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/11(木) 15:29:52.55ID:5zUwkiX0
少しずつ再開します
0330名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/11(木) 15:30:11.84ID:5zUwkiX0
侑「ぷぅ、お腹いっぱい。いやー食べた食べた」

せつ菜「さて、今日はどうしましょうか?」

侑「やることは一つだよ! 歩夢、私たちが今持ってるお金の残額は!?」

歩夢「昨日のお買い物で10000G……念のため残しておいたお金もご飯に消えて……ほぼ、ゼロだね」トホホ

せつ菜「大ピンチじゃないですか!!!!!」ガビン

侑「そうなんだよ。家があっても、お金がなくちゃ生きていけない! ということで、まずはお金稼ぎを目的に頑張ろう!」

せつ菜「そういえば……『冒険者組合』に場所に行けば、色々な依頼を斡旋してくれるそうです。お金を稼ぐならそこがいいかと」

歩夢「折角だし、色々なところにも寄ってみたいね。お買い物はできないけど、なにか発見があるかもしれないし」

侑「そうだね。王城は……まだ忙しそうだから、やめておいたほうがいいかな?」

【どこに行こう?】残り行動回数3
1、冒険者組合で依頼を受けに行こう!
2、王城に寄ってみよう。
3、教会が気になる! 知り合いの気配!
4、そういや、さっきパン屋さんの広告が……。
5、港の曜ちゃんに話を聞こうかな?
安価下
0332名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/11(木) 15:41:04.65ID:5zUwkiX0
侑「教会に行ってみるよ! 何か出会いがある気がするんだよね!」

せつ菜「教会ですか……そもそも、この国の宗教ってどうなってるんでしょうか?」

歩夢「教会があるってことは、何かしらを信仰しているんだろうけど。話を聞いてみないとわからないね」

侑「色々と気になることもあるし、早速行ってみよう!」





 侑たちが訪れたのは、家から少し歩いたところにある教会だった。尖塔を組み合わせたような美しい外観。木の扉を押し開けて中に入ると、荘厳なステンドグラスに彩られた内装が三人を歓迎する。三人は、その美しさに圧巻されていた。

???「神に導かれし迷える子羊よ、よくいらっしゃいました。どのようなご用件でしょうか?」

 奥から姿を見せた、修道服を着た黒髪の少女。それを目にして、三人は思わず目を見開く。

侑「しずくちゃん!?」

しずく「え、ええっ? なんで私の名前を知ってるんですか?」
0333名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2021/02/11(木) 16:28:05.71ID:h63RiamF
物語序盤で後半に出てくるようなめちゃくちゃ強い奴らの戦いが見れるRPGは神
0334名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 19:46:42.84ID:IBidCuAc
侑(あ……そうだ、愛ちゃんみたいに、顔見知りでも私たちのことを知ってるわけじゃない!)

侑「あ……あははっ、実はちょっとそこで……ここのシスターさんについて教えてもらって……」

しずく「あ、そういうことでしたか」

歩夢(愛ちゃんを見た時もびっくりしたけど……知ってる人といきなり遭遇するのは心臓に悪いね)ヒソヒソ

せつ菜(愛さんが聖騎士だったように、この世界のしずくさんはどうやら聖職者……シスターのようですね)ヒソヒソ

しずく「おほん。それで、教会にどのようなご用でしょうか? 懺悔であれば聞き入れますし、礼拝でしたら喜んで歓迎いたします」

侑「あー……えっと、私たち遠いところから来たもので……実は教会とか、よく分かってないんだよね。この国は何を信仰してるのかな?」

しずく「ああ、そういうことでしたか。説教を行うのも私の役目、喜んでお教えしましょう」

しずく「この国では、主に〈はんぺん教〉を信仰しております。簡単に言うと、猫を崇める宗教ですね」
0335名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/11(木) 19:51:01.14ID:IBidCuAc
侑「猫ぉ?」

しずく「はい。はんぺん教の教義において、猫は神の神託を預かる神聖な動物とされています。猫を保護する法律もあるんですよ?」

歩夢「なんだか面白い宗教だなあ……」

侑「教会といえば、なんか大きな像とか、宗教画とか置いてあるイメージだったんだけど……結構がらんとしてるんだね?」

しずく「はんぺん教は、神のお姿を表すこと……つまり偶像の崇拝を禁止していますからね」

しずく「貴方達もいかかでしょう? 高潔なる主と猫に祈りを捧げるのです。善い結果は善い習慣から得られるものですよ」ラララー

せつ菜「えーっと……そ、それでは一応、私たちもお祈りしていきましょうか……?」

しずく「ぜひ♪」

 こうして三人は猫を崇めるという奇妙な宗教に出会い、見様見真似で祈りを捧げるのだった。

【"桜坂しずく"と出会いました】
0336名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 19:58:10.33ID:IBidCuAc
しずく「またいつでもお立ち寄りくださいね〜」フリフリ

侑「うん! しずくちゃん、またね〜!」

侑「……にしても、まさかこんな所でしずくちゃんに出会うとは思わなかったよ。異世界もなかなか驚かせてくれるね」

歩夢「でも、とってもいいところだったね♪」ニコニコ

せつ菜「はい! 教会の裏手には猫がいっぱいいて、とっても癒されました! また訪れたいですね!」

侑「よし、じゃあ次はどこに行こうか?」

【どこに行こう?】残り行動回数2

1、冒険者組合で依頼を受けに行こう!
2、王城に寄ってみよう。 

3、そういや、さっきパン屋さんの広告が……。 
4、港の曜ちゃんに話を聞こうかな?

安価下
0338名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 20:22:32.17ID:IBidCuAc
侑「そういやさっき、パンの広告が新聞に載ってたような……読み飛ばしたからあんまり知らないけど」

歩夢「新聞に広告が載るってことは、それだけ美味しいんだろうね」

せつ菜「多少興味を惹かれるところではありますが……今は無一文ですからね」

「コッペパン、コッペパンはいかがですか〜?」

侑「むむむっ? 今のは、どこかで聞いたような声……」

「コッペパン! かすみん印のコッペパンですよ〜!」

歩夢「か……」

せつ菜「かすみんと言いましたか!?」

 雑踏の中から聞こえてきた声に、侑たちは反射的に振り返った。
 目を引くカラフルな看板、ガラス越しに見える美味しそうなパンの数々。街角の小洒落たパン屋さんといったところか。その店頭で、少女がチラシ片手に声を張り上げている。

かすみ「んっ?」
0339名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 20:33:48.18ID:IBidCuAc
かすみ「お客さん、もしかしてパンがご入り用ですかぁ〜?」ススス

侑「え、えっと、あ〜……」

歩夢(今度はかすみちゃん!? この街はどうなってるの〜!?)

侑「ご、ごめんね? 今の私たち、お金があんまりなくて……実はパンを買うお金も……」

かすみ「え゛えぇ〜っ!? そ、そうなんですかぁ!?」

かすみ「むむ……仕方ありません。ちょっと待っててください!」テテテ

せつ菜「ああ、行ってしまいました……しずくさんに続いて、この世界のかすみさんですね。パン屋さん、というのは如何にもかすみさんらしいですが」

侑「いつものノリで撫で回すところだったよ……危ない危ない」
0340名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 20:47:01.79ID:IBidCuAc
かすみ「みなさぁ〜ん」テテテ

歩夢「あ、戻ってきた」

かすみ「お困りのようですから、こちら! 新作のラブリーコッペパンを差し上げます!」

侑「ええっ!? そ、そんな! お代も払ってないのに悪いよ!」

かすみ「いえいえ、そこはまた余裕がある時に来てくれればいいんです。かすみんのパン屋はいつでも歓迎します!」

かすみ「それになんだか、お三方とは初めて会った気がしないというか……なんだか仲良くなれる気がするんです! 気のせいじゃありません!」

 にこにこと笑うかすみ。どことなく、このまま固定客を掴みたいという思惑が透けて見えるような気もするが……一方で、彼女の善意も本物のようだ。どの世界でもかすみは変わらないらしい。

侑「かすみちゃんは優しいねえ」ナデナデ

かすみ「ぬわぁ! なんでいきなり撫でるんですかぁ!」

せつ菜「ふふ……分かりました! また必ず、かすみさんのパンを食べに来ますね!」

かすみ「やったあ! 待ってますからね〜!」

【"中須かすみ"と出会いました】
0341名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/11(木) 20:52:26.08ID:IBidCuAc
侑「しずくちゃんに、かすみちゃん……」

せつ菜「この一日で二人も顔見知りを見つけてしまいましたね!」

歩夢「でも、結局お金を稼ぐっていう目的は達成できてないよね……そろそろ動かないと!」

侑「まー、なんとかなると思うけどね。どうしよっか?」

【どこに行こう?】残り行動回数1
1、冒険者組合で依頼を受けに行こう!
2、王城に寄ってみよう。
3、港の曜ちゃんに話を聞こうかな?
安価下
0345名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/02/11(木) 21:11:35.29ID:dN5OPptE
見てて楽しい

パン食いたくなってきた
0346名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/11(木) 21:15:28.67ID:IBidCuAc
【冒険者組合】

侑「おお、ここが……」

 活気に溢れる二階建ての建物。右手には壁一面を利用した大きな掲示板があり、びっしりと文字や絵が記入された依頼書が貼られている。それらを正面のカウンターに持ち込み、正式に依頼を受注するのだろう。

せつ菜「これもある種の定番ですね! どんな依頼があるのでしょうか、既にわくわくしてきました!」

 侑たちと同じ目的なのだろう。武装した集団がテーブルで情報を交換し、仲間を集い、掲示板の前で話し合っている。見るからに屈強な男女が多く、侑たち三人はやや浮いた印象だ。

歩夢「わ、私はちょっと不安になってきたかも」

侑「まあまあ、三人いれば大丈夫だって。私たちも強くなってきたことだしさ」

せつ菜「そうですね。私たちの力量と依頼の難度を照らし合わせて、丁度いいレベルのものを選びたいところです」
0347名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 21:32:14.91ID:IBidCuAc
侑「えっと、ぱっと見で気になるのは……」

せつ菜「み、見てください! あの"あばれエイプ"の討伐依頼がありますよ!」

歩夢「うわぁ、結構難易度が高めに設定されてるみたい。報酬額も一体あたり30000Gだって」

せつ菜「……つまり、私たちはいきなりそんな相手と戦わされたわけですね……もうあれを相手にするのはこりごりです」

侑「そうだね、それ以外で選ぼうか……命に関わることだから、あくまで慎重にね」

【侑が選んだのは……】
1、町外れの墓地で幽霊退治 20000G
2、海辺を荒らすリザードマンの駆除 30000G
3、小鬼のリーダー、ボブゴブリン退治 15000G
4、下水道に巣食う魔、スキュラ討伐 45000G
5、山奥に棲まうキメラの討伐 60000G
安価下
※場合によっては危険を伴う選択肢です。
0348名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/11(木) 21:33:39.69ID:G5AXH/WA
4
0350名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/02/11(木) 21:38:37.24ID:dN5OPptE
2で曜ちゃんの好感度アップ
0352名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 21:39:49.63ID:IBidCuAc
侑「これとかどう? 下水道の……すきゅ、スキュラ? とかいうのを倒せばいいんだって」

せつ菜「えっ、45,000Gですよ……!?」

歩夢「そっ、そうだよ侑ちゃん! これはちょっと、私たちの相手にしては強すぎるんじゃないかな!?」

 事実その通りなのだろう。侑がべりべりとスキュラの依頼書を剥がした途端、周りの視線が集中した。ひそひそと何かを言われているようだ。あれは死ぬな、などという呟きが聞こえてくる。

侑「……で、でも! ほら、あばれエイプの時だって倒せたんだもん! きっとうまくいくよ!」

せつ菜「それでも、嫌な予感がします……あの大猿よりもさらに格上の相手ですよ?」

歩夢「でも、侑ちゃんは一度決めたら変えないもんね。ただし、決して欲張らないこと。お金よりも命、無茶だと思ったらすぐに撤退するよ」

侑「うんうん! 前向きにがんばろー!」
0354名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/11(木) 21:53:54.26ID:IBidCuAc
【下水道】

せつ菜「うぷっ……く、臭いですっ……うえぇ」

侑「せつ菜ちゃんは鼻がきくもんね……人間の鼻でも、この匂いはきっついのに……」

歩夢「こんな中を進んでいかなきゃいけないなんて、結構ハードだね……」

 三人は、薄汚れた下水道を奥へ奥へと進んでいた。
 彼女らのすぐ横を、茶色に濁った汚水が下流へと流れていく。立ち込める臭いは相当なもの。視界も悪く、一定間隔だけで存在する小さな照明だけが頼りだ。

侑「確か……下水道の奥にスキュラっていう蜘蛛の魔物が住み着いていて、それを倒して欲しいっていう依頼だったよね」

せつ菜「どうにもスキュラは無数に卵を産むらしく、それが孵化すると下水道から大量に蜘蛛が湧き出てしまうんだとか……下水道近隣の人々は非常に困っているようです」

歩夢「う……想像しただけで悪寒が……」ゾッ

侑「が……頑張るしかないよ、ここまで来ちゃったんだから……」
0355名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/11(木) 21:54:45.41ID:dN5OPptE
これは依頼失敗するやろ
0358名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 22:10:23.70ID:IBidCuAc
 どれだけ歩いたのか。奥に進むにつれて、三人は下水道の風景が変化していることに気づく。

侑「……なんか、蜘蛛の巣が多くない?」

歩夢「さっきから目につくね。スキュラは蜘蛛の魔物だって聞くし……」

せつ菜「ええ。恐らく、巣が近いのかと」

 思わず、身につけた武器に意識を向ける。
 幾度か戦いを潜り抜けて、侑たちの直感も研ぎ澄まされたのだろうか。誰が何を言うでもなく、三人は自然と武器を抜いていた。

侑「──────────────」

 細いトンネルが終わり、急に視界が開けて……体育館ほどはあろうかという、広々とした空間が侑たちを出迎えた。何らかの浄水設備などが設置されていたのか、様々な機械が立ち並んでいる。しかしその全てに蜘蛛の巣が張っており、稼働している様子はない。
 今やここは、とある魔物の居城なのだ。
 地下に広がる大空間の中心。下水の川が流れるほとりに、目的の魔物は存在した。

歩夢「あれが……スキュラ」
0360名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 22:22:19.07ID:IBidCuAc
 上半身だけに限れば、スキュラは美麗な女性だった。一糸纏わぬ豊満な裸体。ふわりと広がる紅い髪。その奥に覗く瞳が、じっと三人を見つめている。
 しかし、視線を落とせばそこには異形。巨大な蜘蛛の下半身が、その上半身を支えている。美女と蜘蛛が融合したかのような魔物、それがスキュラの正体だった。

せつ菜「……すぐに仕掛けては来ませんね。あまり戦闘を好むタイプではないようです」

歩夢「それは助かるね。若干でも気が楽だよ」

侑「周りは蜘蛛の巣、立ち並ぶよく分かんない機械がたくさん。真ん中には下水の川、浅いだろうけど落ちたくないね。さて、どうしよっか」

 自然と三人はいつもの立ち位置をとる。歩夢が前衛、侑が後衛。せつ菜はその中間に立つ。これまでの経験で編み出した、最も戦いやすい位置取りである。

歩夢「仕掛けてこないのなら、侑ちゃんの魔法を叩き込むのが一番かも。合わせるよ」

侑「わかった。じゃあ、思い切りいくよ」

【侑の行動は……】
1、最大火力の《ラピッドファイア》だ!
2、前から試していた新技を使うよ!
安価下
0362名無しで叶える物語(かぶらずし)
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2021/02/11(木) 22:51:54.59ID:Ah5FURkm
いち
0363名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/11(木) 22:51:55.03ID:IBidCuAc
 敵が動かないのであれば猶予が生まれる。魔力を練り上げ、全力の魔法を編む猶予が。

侑「……燃えろ、炎よ、熱く、熱く、我が血潮よ応えたまえ。我が敵を焼き穿たんがため」

 眼前に生じる火球。それは以前よりも大きさを増している。今までの戦いで得た経験は、確実に高咲侑の中に蓄積されているのだ。

侑「いけ!《ラピッドファイア》!」

 侑が渾身の魔力を込めた火球が、スキュラめがけて一直線に飛翔する! それと同時に走り出したのは歩夢だ。ぎらりと輝く直剣を構えつつ、疾走! 

【コンマ判定】 ※適正レベルを上回る強敵のため、コンマ判定がやや不利になります。
0〜60 命中
61〜99 外れ

【歩夢の行動は……】
1、《ストライク》で一気に攻める!
2、アイテムを使うよ! 怪力草を食べて攻撃!
3、攻めすぎず、引きつけつつ様子見!

安価・判定下
0370名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/12(金) 00:19:12.91ID:VlDt7PRw
歩夢(あれを使おう! 道具屋で買っておいた"怪力草"! ちょっとはしたないけど……!)

 走りながら、歩夢は懐から取り出した赤色の草をむんずと掴んで口の中に放る。独特な味が広がって、みるみるうちに力が湧き上がってくる!

侑(当たるか……!?)

 狙いはブレず。火球は轟然と速度を増し、スキュラにめがけて突き進むも────、

「…………………………」

 ぬるり、と。蜘蛛はその巨大に見合わぬ滑らかな動きを見せて、侑の《ラピッドファイア》を避けてみせた。外れた火球は遠くへ飛んでいき、炎を撒き散らしながら壁面で爆発を巻き起こす。

侑「く……っ!? 避けられた!」

せつ菜「カバーします! ここは私が!」

 しかし、後方攻撃役は一人ではない。火球を避けて姿勢を低くしたスキュラを弓で狙うのはせつ菜だ。ぎりぎりと弦を引き絞り、狙うはスキュラの上半身。
 同時、歩夢がスキュラの元へと辿り着く!

歩夢「はああああああああああああっ!!」

【歩夢の攻撃・コンマ判定】※アイテムの交換により命中判定+10
0〜70 命中
71〜99 失敗
安価下

【せつ菜の攻撃・コンマ判定】
0〜60 命中
61〜99 失敗
安価下2
0374名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/12(金) 00:36:30.11ID:VlDt7PRw
 スキュラの艶やかな肩にせつ菜の矢が命中! 思わず体制を崩したスキュラの下半身に、歩夢は直剣を叩きつける!

「がああああ……っ!」

歩夢(くうぅっ……硬い! なんて硬さ! あばれエイプも硬かったけど、これはそれより上!)

 スキュラの下半身は黒光りする甲殻に覆われている。刃は簡単に通らない。しかしそれとは対照的に、上半身は人の柔肌と変わらないようだ。
 射られた右肩を抑え、スキュラの瞳がぎろりと三人を睨む。

「おおお……おおおおおおおおっ!!!」

 地下に響き渡る大咆哮。せわしなく六脚を動かしながら、スキュラは歩夢の元へと肉薄する。

歩夢「来る……!」

 スキュラの下半身、その前面に付いた一対の剛脚。その先端は鎌のように研ぎ澄まされており、触れるだけで寸断されそうな雰囲気だ。
 受けるか躱すか、歩夢めがけて断首の鎌が振り下ろされる!

【コンマ判定】
0〜50 回避
51〜70 軽症
71〜99 負傷
0376名無しで叶える物語(あら)
垢版 |
2021/02/12(金) 00:46:18.65ID:D53j64zM
女子高生がモンスターに勝てるわけないだろ
0377名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/12(金) 00:51:11.72ID:K6KSNGlw
生きろー!
0378名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/12(金) 00:54:06.46ID:VlDt7PRw
歩夢(速い……けど、負けるか……っ!)

 放たれた右の横薙ぎ。それを屈んで避けたところに、今度は左の振り下ろし! 歩夢は咄嗟に剣を構えて、垂直に迫る前脚を受け止める!
 ぎりぎりと火花を散らす前脚と直剣。スキュラは容赦せずに力を込めて、じりじりと押し潰していく。怪力草で強化しているにも関わらず、凄まじい力だ。だんだんと歩夢の剣は下がっていき、

歩夢「は…………か、ぎぃっ…………!?」

 ついに、歩夢の肩に剣の刃が食い込む。彼女の剣は諸刃だ。こうして追い込まれれば、その刃は自分にすら牙を剥く。

せつ菜「歩夢さんっ!!」

「おおおお……!!!!」

 援護には入らせない、とばかりにスキュラは下半身を持ち上げて、その腹部を二人へ向けた。先端の糸いぼがぐぱり、と開き、そこから大量の白塊が噴出される! 

侑「なっ!?」

【侑の回避・コンマ判定】
0〜50 回避
51〜99 命中

【せつ菜の回避・コンマ判定】
0〜55 回避
56〜99 命中
0379名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/12(金) 00:55:07.03ID:VlDt7PRw
侑は判定下
せつ菜は判定下2です。
0382名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/12(金) 01:10:20.87ID:VlDt7PRw
侑「うわ! あっぶな!」

せつ菜「くっ!」

 咄嗟に二人は飛び退いて、放たれた白粘塊を回避。
 どちゃりと地面に落ちたソレは、糸だ。粘着性が強いスキュラの糸は容赦なく敵の自由を奪うだろう。それに加えて、ぷん、と匂ってくる刺激臭をせつ菜は嗅ぎ取る。

せつ菜「この匂い……毒……!」

侑「あの糸、そんな効果まで……!」

 それに戦慄する暇もない。依然として押されつつある歩夢のカバーが最優先、せつ菜が素早く弓を番える。
 侑も同様、集中を高めて詠唱を始め……、

【せつ菜の行動は……】
1、集中します! 狙撃で上半身を射ち抜く!
2、当たれば有効打、《疾風四式》を使います!
3、奥の手、「爆発の矢」を使います!
>>384

【侑の行動は……】
1、残り二発、もう一度《ラピッドファイア》!
2、歩夢の傷を治すために《ヒール》!
3、魔力消費を抑えて、新技!
>>386

※戦況に大きく関わる重要な選択肢です。
0385名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/12(金) 01:15:00.65ID:XNtn3FgT
kskst
0389名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 11:01:12.11ID:Au5FqekJ
>>387

おおー、いいね!
0392名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 17:21:06.06ID:KXgJvDWA
支援ありがとうございます。再開します。
0393名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 17:22:32.40ID:KXgJvDWA
せつ菜(出し惜しみをしている場合ではなさそうですね! ここは虎の子、爆発の矢を使います!)

侑(歩夢の怪我が心配だ! まだ傷は浅そうだけど、これからの事も考えて《ヒール》を!)

侑「光よ、命よ、我が命に従い躍りたまえ。呼び起こさんがため!」

 スキュラは左の鎌で歩夢を抑え込みながら、空いた右鎌で致命傷を狙う。速い。さっきは屈んで避けられたものの、今は完全に動きを捉えられている!

歩夢(まず……っ!?)

 そこに駆け込むのはせつ菜。手には隠し持った「爆発の矢」だ。一際強く弦を引いて、狙うはスキュラの上半身! スキュラもその危険性に気づいたのか、はっとした顔で距離を取ろうと引き下がる!

侑「せつ菜ちゃん、お願い!」

せつ菜「はい! ……穿ちます!」

【コンマ判定】※侑との好感度効果によりクリティカル判定が発生!
1〜20 クリティカルヒット
21〜60 命中
61〜99 失敗
判定下
0395名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 17:37:20.42ID:KXgJvDWA
せつ菜「せああああっ!」

 裂帛の気合いとともに、爆発の矢が放たれる! 狙いは重畳、その一射はスキュラの胴に食らいついて、

「ギ……!?」

 爆発! 侑の《ラピッドファイア》に相当する爆炎がスキュラの身体を包み込み、地下空間に絶叫が響き渡る! 期待通り、爆発の矢は凄まじい威力を発揮してくれたようだ。

せつ菜「……狙い通りに頭を射抜く、とはいきませんでしたが。しかしそれでも十分でしょう!」

歩夢「侑ちゃん……ありがとう!」

侑「ふっふ。いやぁ〜、《ヒール》がうまく効いてよかった! 昨日の夜に頑張って魔導書を読み込んでおいてよかったよ!」

 その間、侑は覚えたての《ヒール》で歩夢の傷を完治させる。志満のものに比べればまだまだ未熟、精度もそこまで高くはない。しかし、あるのとないのでは大違いだ。

歩夢「うん、問題ない! まだまだやれるよ!」
0396名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/02/12(金) 17:45:39.96ID:KXgJvDWA
「おおおおおおおおおお……おおお……!!」ゴウッ

 三人は再び結集し、爆炎を裂いて咆哮するスキュラに向き合う。甲殻の一部が焦げ付いて、上半身にも多少のダメージを負ったようだ。しかし、依然としてその巨大が倒れる気配はない。

侑(……くそ! せつ菜ちゃんと歩夢の攻撃、それに加えて爆発矢! あれだけ攻撃を受けて、削れた体力は3分の1くらいか……!?)

歩夢「なかなか倒れそうにないね……強敵だよ」

せつ菜「ここからが本当の勝負、というわけですか。気を引き締め直していきましょう!」

【侑の行動は……】
1、二度目の《ラピッドファイア》!
2、先は長そう、魔力消費を抑えた新技!
3、《ヒール》をいつでも使えるように待機!
安価下

【せつ菜の行動は……】
1、ひとつひとつ、集中して狙います!
2、《疾風四式》で攻めますっ!
安価下2
0399名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 17:56:12.63ID:KXgJvDWA
侑「ここは新技を試すよ……!」

せつ菜「私は、この勢いに乗って《四式》を使います! うおおおおおーっ!」ダッ

侑(……何度も失敗してきたけど、もうかなり掴めてきた。魔力の形成、イメージの構築、何をどうすれば魔法が編めるのか! もう、失敗してなんていられない!)

 侑は集中を始め、せつ菜は一息に四本の矢を掴み取る。スキュラも本気になったのか、六脚で力強く地を踏み締め突進を開始! 大きく両鎌が振りかざされるも、そこに歩夢が割って入る!

歩夢「行かせないよ……!」ザッ

「おおおおおオオおおおオおおおお!!!!」

【歩夢の行動は……】
1、ガンガン攻めよう! 攻撃だ!
2、この感覚、試せば何か新技を思いつくかも?
3、防御重視で、踏み込みすぎないように……!
安価下
0402名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 18:15:15.60ID:KXgJvDWA
 向かい合う両者。スキュラと歩夢、両者の視線が火花を散らす!

歩夢(防御は無理! 防いでも押し切られるなら、弾いて受け流すしかないっ!)

「あああアああああっ!!」

 右! 神速で振われる一撃に、歩夢は剣を押し当てて受け流す! ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり、という嫌な音を発しながら、歩夢すぐ頭上を右鎌の一閃が駆け抜けていく! 

歩夢「………………っっ!!」

 避けた。受け切った。しかし連撃、スキュラの攻勢に躊躇はない! 左、右、左と、歩夢はすんでのところで回避を続けていく!

「おおおオ゛おおおっ!!!」

歩夢(く……なんて、力……っ!! もう腕が痺れてきた! 一人でこの魔物を受け切るのは……不可能!)

歩夢「くうっ!!」

 六撃目あたりを流したところで、ついに歩夢に隙が生まれた。好機とばかりに踏み込むスキュラ。しかし、後衛の二人は既に準備を終えている!

せつ菜「《疾風四式》!」

侑「……お願い、成功してっ!」

【歩夢の回避・コンマ判定】
1〜40 回避
41〜70 軽傷
71〜99 負傷
判定下

【侑の攻撃・コンマ判定】
1〜80 スキル習得 命中
81〜99 失敗
判定下2

【せつ菜の攻撃・コンマ判定】
1〜35 命中
36〜99 失敗
判定下3
0403名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/12(金) 18:16:17.72ID:slbLvMb+
歩夢!
0404名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2021/02/12(金) 18:17:56.48ID:URfjQx8E
セーフ、セーフですぞ
0407名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 18:37:06.04ID:KXgJvDWA
侑(火球を小さく、効率的に魔力を回せ! 圧縮、熱量はそのままに! 速度は以前よりもぐっと上げて! 私ならきっとできる!)

侑「いけ……《ミニファイア》っ!」

せつ菜「そこですっ!」

 侑の杖から放たれた小火球と、怒涛の四連射! 矢と火球は絡み合うように飛翔して、スキュラの上半身と下半身、そのつなぎ目に直撃する!
 《ラピッド》ほどではないものの、十分過ぎる威力の爆炎! そこに矢を数本捻じ込まれ、さしものスキュラも後退を余儀なく……、

歩夢「っ!?」

 否! 蜘蛛の女王たるスキュラは、この程度では怯まない! ダメージは着実に蓄積している、その顔には苦悶の表情。しかし、それでも倒れない!

「おおおおおおおおおおおオオおおッ!!」ぬわ

歩夢(しまった……! 油断し、)

 ずばん! と、ガラ空きになった歩夢の胴をスキュラの鎌が駆け抜けた。時代劇のワンシーンが如く交錯する両者、遅れて、歩夢が血を噴き出しながら崩れ落ちる!
0408名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/02/12(金) 18:44:58.94ID:KXgJvDWA
侑「あ……歩夢!!」

せつ菜「くっ……!? これでもまだ動きますか!?」

 スキュラの視線が二人を捉える。邪魔者はいない、ようやく厄介な弓使いと魔導士に仕掛けられる。
 爛々と輝く両眼は、敵意の炎に燃えていた。

「すぅっ……」

せつ菜「な……なにを、」

侑「なんかやばい! せつ菜ちゃん、逃げ……!」

 言い終わるよりも更に速く、スキュラの口から侑の《ラピッドファイア》を嘲笑うかのような獄炎が放たれる! 一面を炎の海にせんばかりの勢いだ!

【侑の回避・コンマ判定】
0〜45 回避
46〜99 負傷
判定下

【せつ菜の回避・コンマ判定】
0〜50 回避
51〜99 負傷
判定下2
0413名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 18:59:44.52ID:KXgJvDWA
せつ菜「あ……」

 火炎の吐息。「蜘蛛」らしからぬ攻撃を前に、侑も、せつ菜も反応が間に合わない。吹き付けられた火炎の波濤が、二人を容赦なく飲み込んだ。

「……………ふるる」

 ようやくスキュラは口を閉じる。立ち並ぶ機械群ごと焼き払った眼前を、彼女はつまらなそうに見つめた。
 
せつ菜「………………かは、っ」ドシャ

侑「……あ、く…………」

 黒煙を燻らせる向こうには、膝をつく二人の姿があった。火炎を日頃から扱う侑には、いつの間にか炎への耐性がついていたらしい。まだ比較的傷は浅いが、せつ菜のダメージは甚大だった。
 ずしん、という轟音。
 今の攻撃を生き延びた侑たちを、今度こそ鎌の一撃で仕留めにくる。スキュラのほうも限界が近いようだが、こちらの限界も相応に近い。

侑(これは……本当にやばい……っ!)
0416名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/02/12(金) 19:28:38.46ID:KXgJvDWA
歩夢「侑……ちゃん、せつ菜ちゃん……!」グググ

侑「歩夢!?」

歩夢「ちょっとやられたけど……まだ、立てる! 私は……動ける……!」

 そうは言っても、歩夢の腹部には血が滲んでいる。さっきの傷とは比べ物にならない。他方、せつ菜の傷も甚大だ。

侑(どうする!? せつ菜ちゃんは重症、歩夢も結構やばい……でも《ヒール》は一人にしか使えない! そもそも、スキュラがそんな猶予を与えてくれるの!?)

「くるるるルるル……」

侑(これ以上の無理は本当に危ない……! 最悪、取り返しのつかないことになる! 退くならここしか……!)

 近づいてくる巨影、選択するのなら今しかない。

【侑の行動は……】
1、さすがに限界だ! 撤退するよ!
2、このまま……やるしかない!

※重要な選択肢です。
「撤退」した場合、習得したスキル、経験値は全て持ち帰ることができます。
いずれかが「死亡」した場合、所持金と戦闘で得た経験値を全て失い、少し前の場面からリスタートします。

安価下1〜3 多数決
0419名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 19:37:46.49ID:KXgJvDWA
侑「…………………だ」

歩夢「えっ……?」

侑「やるんだ、戦うんだっ……!」キッ

 侑の瞳に光が灯る。こちらの被害も大きいが、スキュラの体力も残り少ない。やるかやられるか、勝負の命運はここにある。

歩夢「……侑ちゃん。うん、大丈夫……侑ちゃんがそれを望むのなら、私は絶対倒れないから!」

侑「歩夢! 私が《ヒール》を使う間、スキュラを止めて!」

 侑自身、無茶な言葉だと理解している。先程、歩夢はスキュラの攻撃を受けきれなかった。「止める」などということが不可能に近いことは分かっている。
 その上で、侑は歩夢に託したのだ。

歩夢「…………行きますっ!!」

「おオおおおオオおおおオおおオ!!!」ビリビリ

 重なる咆哮。こうして、最後の激突が始まった。
0421名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/12(金) 19:42:59.73ID:B/xtC5F5
死んでもセーフなのは良かった
自分の無茶な提案で歩夢殺しちゃってお通夜の侑ちゃん見なくて済んだ
0423名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/02/12(金) 19:44:47.76ID:KXgJvDWA
侑「《ヒール》!」

 ぽぅ、と掌から生まれた淡い光がせつ菜を包み込む。癒しの力だ。せつ菜の傷が徐々に癒えていく間、侑は必死でイメージ構築を続ける。
 聞こえてくる激突音、スキュラの咆哮、歩夢の叫び。全部振り払って精神を集中する。信じると決めたのだ、歩夢は負けないと、そう信じ抜くしかない。

せつ菜「げほっ……ごほっ! がはっ!」

侑「せつ菜ちゃん!」

せつ菜「う……わ、たしは……」

 せつ菜が目を開いた。すぐに状況を把握したのか、まだダメージの残る身体を強引に起こす。

侑「……立てる?」

せつ菜「問題ありません……腕の感覚も鈍いですが、あと一撃なら叩き込めます」

侑「なら十分だよ。歩夢は……!?」

 「一人で時間を稼ぐ」という、達成不可能と思しき役目を担った歩夢。集中を解いて、侑は眼前に視線を向ける。
 そこには……!

【歩夢・コンマ判定】
0〜50 死亡
51〜99 生存
判定下
0426名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 19:54:21.14ID:KXgJvDWA
歩夢「……………あ、あ、ああああああああ!!!」

 怒涛の連撃、次々と繰り出される命削りの一閃。それを弾いて流して立ち続ける、歩夢の背中があった。
 たった一人、彼女はスキュラの攻勢を止め続けている!

「るららららららラららラららららら!!!!!」

 すぐそこに死が在るという極限状態。歩夢の神経はかつてないほどに研ぎ澄まされ、その剣技を、その反射神経を、数段跳びに引き上げていく。
 絶え間なく舞い散る火花の中で、弾いて、弾いて、流して弾いて流して……、

歩夢(そこっ!!!)

 歩夢の瞳がその隙を捉える。無限に引き延ばされる時間。残像を伴って振り下ろされる死の右脚、その僅かな間接部に狙いを定め、

歩夢「おあああっっ!!」

 ずばん、と一閃! 見事なカウンターが、スキュラの右前脚を斬り飛ばす!

「あ゛ああああアああああアアあああッッ!?!?」
0427名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 19:59:23.16ID:KXgJvDWA
侑「《ミニファイア》っ!」

 続いて、間髪入れずに放たれた侑の小火球。それはスキュラの上半身に命中し、爆発! 更なる痛打を与えるに至る!

歩夢「……っ!? 侑ちゃん!」

侑「待たせたね……歩夢!」

せつ菜「すみません、不覚を……!」

 その隙に歩夢が一旦引き下がり、限界すれすれの呼吸を整え直す。何度目かの仕切り直し、互いに体力は底をつきかけている。
 片足を失い、矢を何本も受け、幾度も魔法を受けた蜘蛛の女王。瀕死ながらも、しかしその目は死んでいない。数メートルの距離を置いて、一匹と三人はじりじりと睨み合う。

「ふしゅる、る、るる…………」

侑(次の攻防で……全てが決まる!)

 沈黙。地下空間を静寂が包み込み、そして。
0428名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/12(金) 20:09:58.05ID:KXgJvDWA
「おおおおオオおおオおおおおおお!!!」

 スキュラが動いた! 最後の攻撃、残る体力を振り絞って放たれる、蜘蛛の女王の全身全霊!

「《ライト》……《ニング》 ……ッッ!!」

 残る左前脚を高く掲げ、そこに魔力を集中させる。魔法だ! それも侑が使用する初級魔法とは比べ物にならない、上級に類する広域殲滅魔法! 青白い稲妻が収束し、解き放たれんと膨張する!

侑(あの一撃は……止められない! 今から詠唱したんじゃ間に合わない!)

歩夢(私も、もう腕が上がらない……頼りは……!)

せつ菜「──────────」

 荒れ狂う雷鳴の中、せつ菜は既に弓を引いていた。
 体力は残されていない。これが外れれば、先にあの雷鳴がせつ菜を打ち抜けば、何かが失敗すれば全てが終わる。すぐ背後に、終焉が顎を開けている。

せつ菜「正射必中。曇りなき心で放つ矢に、貫けるものなし」

 閉じたせつ菜の瞳が、かっ、と見開かれる!
 同時、スキュラは手にした雷鳴を解き放ち……!

せつ菜「────────そこです!!」

【コンマ判定】※好感度効果により成功率上昇!
0〜65 せつ菜の勝利
66〜99 スキュラの勝利
0430名無しで叶える物語(うろん)
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2021/02/12(金) 20:11:48.25ID:tQPkPzRv
やったか?
0433名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/02/12(金) 20:21:43.07ID:KXgJvDWA
 放たれた矢! それは速度を増して空を裂き、スキュラの頭蓋めがけて飛翔して……!

 ……ばちゅん、という音を残して、唸る雷鳴に叩き落とされた。

せつ菜「え……」

「るるるるるるルるるルるるる……!」

 スキュラが、最後ににやりと笑みを浮かべる。
 もう体力なんて残っていない。荒れ狂う稲妻が解き放たれ、壁を、天井を、床を、あらゆるものを破壊していき、せつ菜の身体を貫いた。

せつ菜「………………………、あ」

 呆然と視線を下げる。胴体だった場所には、ぽっかりと風穴が開いていて。

「る、ルる」

 最期に、彼女は何を言ったのだろう。
 降り注いだ閃光の雨が、侑たち三人の身体を粉々にした。
0439名無しで叶える物語(うろん)
垢版 |
2021/02/12(金) 20:54:52.48ID:tQPkPzRv
果たして死んだ時の記憶はあるのかないのか
0441名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/02/12(金) 21:53:26.79ID:KXgJvDWA
きりがいいので一旦今日はここまでにします。
次は依頼受注時からリスタート予定です。
0445名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/02/13(土) 12:26:25.44ID:EJelt35q
セーブは大事
0446名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2021/02/13(土) 20:16:23.06ID:++vAUNZA
保守も大切
0447名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 20:28:06.70ID:bhTbppc7
支援保守ありがとうございます 再開します
0448名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 20:31:42.50ID:bhTbppc7
【冒険者組合】

 侑たち三人は、壁面を埋め尽くすようにびっしりと貼られた依頼書群の前で、何を受けるべきかと頭を働かせていた。

侑「えっと、ぱっと見で気になるのは……」

せつ菜「み、見てください! あの"あばれエイプ"の討伐依頼がありますよ!」

歩夢「うわぁ、結構難易度が高めに設定されてるみたい。報酬額も一体あたり30000Gだって」

せつ菜「……つまり、私たちはいきなりそんな相手と戦わされたわけですね……もうあれを相手にするのはこりごりです」

侑「そうだね、それ以外で選ぼうか……命に関わることだから、あくまで慎重に……、

 ……どくん、と侑の心臓が高鳴った。
0449名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 20:35:54.16ID:bhTbppc7
歩夢「侑ちゃん?」

侑「あ……うん。なんだか……嫌な感覚があって……なんだろうね、あはは」

せつ菜「虫の知らせ、のようなものですか?」

侑「そうかも。なんだか、ここで下手に選んじゃうとバッドエンドまっしぐらな気がするというか、14行き不可避っていうか」

歩夢「よく分からないけど……あんまり難しい依頼は受けないほうがいいかもね。油断すれば簡単に死んじゃうんだし」

侑「そうだね。冒険しても、せいぜい「あばれエイプ」と同等くらいにしておこうか。安全が一番、身の程を知るっていうのは大切だよね」

【侑が選んだのは……】
1、町外れの墓地で幽霊退治 20000G
2、海辺を荒らすリザードマンの駆除 30000G
3、小鬼のリーダー、ボブゴブリン退治 15000G
安価下
0452名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 20:48:02.21ID:bhTbppc7
侑「これとかいいんじゃない? 報酬20000Gだってさ。丁度いいじゃん」

歩夢「侑ちゃん、報酬額だけ見て選んだでしょ……」

せつ菜「幽霊退治と書いてありますが。そもそも、幽霊って倒せるものなんでしょうか?」

侑「書いてあるからには退治できるんだよ、たぶん。分かんないことは受付の人に聞けばいいし」

 侑はひらひらと片手でちぎり取った依頼書を振る。なんとも緊張感に欠けた様子に、歩夢は怪訝な表情だ。

歩夢「まあ……あの大猿ほど危険じゃないなら、多分大丈夫だと思うけど」

侑「もしかして歩夢、怖いの?」

歩夢「そんなんじゃないよっ。ただ私は……」

侑「大丈夫大丈夫、その時は私が守ってあげるから」

歩夢「もう! 違うってばー!」
0455名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 21:01:42.27ID:bhTbppc7
 そうして、町外れの墓地に向かった一向。「幽霊」とやらは日が暮れないと姿を見せないというので、道端に腰を下ろして無駄話に花を咲かせること数時間。

せつ菜「さて、日も沈んで暗くなってきましたが」

歩夢「そろそろかな……んっ?」

侑「うわ! お墓の上に何か浮いてる!」

 〈王都ホムラ〉の墓地は長方形の墓石が立ち並び、卒塔婆が幾つも立てられ……というような日本風の墓所ではなく、どちらかというと西洋のそれを連想させた。比較的小さな石碑が規則正しく並び、独特の光景を作り出している。
 その上空を、小さな発光体がふわふわと浮いているのだ。

せつ菜「えっと、なんでしょうかあれ? 人魂?」

歩夢「西洋式なお墓っぽいのに人魂が浮いてるって、なんだかアンバランスだね。ふふ」

侑「とりあえず、あれが幽霊みたいだし……近づいてみよっか」
0457名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 21:08:33.91ID:bhTbppc7
歩夢「聞いた話だと、幽霊……ゴーストタイプの魔物は、物理的な攻撃を無効化する。だよね?」

せつ菜「はい。なので、今回私はあまり役に立てそうにありませんね……有効打といえば、」

侑「私の魔法。それに歩夢の剣技か」

せつ菜「そのどちらかに限られますね。物理攻撃が通らないぶん、耐久力は無いに等しいようです。打ち合わせ通り、私が誘導し、お二人が倒すという流れで」

歩夢「了解」  

 武器を抜いて近づく三人。三人の敵意に気づいたのか、浮遊を続けていた発光体は突如として膨張、大きな人型を形成していく。

「オオオオオオオ……オオオオオ……!!」

 姿を見せたのは、宙を舞う巨大な骸骨。無念を残して死んだ人間たちの想いが作り出した、巨大な怨念の集積体である。

侑「いくよっ!」
0458名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 21:21:02.80ID:bhTbppc7
※「やり直し」の戦闘になるため、スキュラ戦で会得したスキルは使用できません。アイテムの使用状況はスキュラ戦以前に戻ります。

せつ菜「ほらほら、こっちに来てください!」

「オオオオオオ……!」

歩夢「私は側面に回り込むね! 侑ちゃん、私の後ろから離れずに!」

侑「おっけーおっけー、下手に飛び出さないよ!」

 三人は左右に分かれて走り出した。せつ菜は右、歩夢と侑は左に走る。
 歩夢は墓地のぬかるんだ地面を蹴り飛ばし、出せる限りの最高速で回り込みながら、ぎらりと片手の直剣を輝かせた。

歩夢(この敵は、魔力を込めた技……《スキル》を使わなきゃ倒せない! 今まで以上に集中しないと!)

侑(私は常に、ゴーストと歩夢を結ぶ直線上にいるように意識しつつ……突出せずに、落ち着いて攻撃。大丈夫、相手はそこまで強くなさそう。動きも遅い、これならいける!)

【侑の行動は……】
1、《ラピッドファイア》をぶっ放すよ!
2、もう少しで掴めそうな新技を試す!
安価下
0460名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 21:35:47.71ID:bhTbppc7
侑「魔力を形成、小さく整えて、火力はそのまま」

侑「流石にそろそろ小慣れてきたね。今なら……!」

 侑の眼前に、《ラピッド》よりも小型の火球が展開される。魔力消費を絞ってコストパフォーマンスを増した新技、侑が自力で編み出したはじめての魔法。

侑「名付けて……《ミニファイア》!」

 侑は杖をびしりと向けて、渾身の火球を撃ち放つ。
 同時、側面をガラ空きにしたゴーストに歩夢が斬りかかる。踏み込みを起点とした回転斬り、早くも歩夢の得意技と化している《ストライク》だ!

【侑の攻撃・コンマ判定】
0〜80 スキル習得 命中
81〜99 失敗
判定下

【歩夢の攻撃・コンマ判定】
0〜75 命中
76〜99 失敗
判定下2
0462名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/02/13(土) 21:37:19.83ID:SGDF2r9D
えいや
0463名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 21:48:10.68ID:bhTbppc7
歩夢「っ、わ!?」

 勇ましく斬りかかろうとしていた歩夢だったが、その直前で足を取られる。薄暗い墓地というフィールドも相まって、石碑に足を取られたのだ。
 魔力を帯びて発光していた剣が、しょんぼりと元の銀色に戻っていく。

歩夢(お墓を蹴っ飛ばすなんて……ば、バチ当たりなことしちゃった……ごめんなさい!)ペコリ

侑「いけっ!」

 それとは対照的に、侑のほうは好調だった。
 魔法の狙いは寸分違わず、火球が宙を舞う骸骨の胴に激突する。夜闇を照らす爆炎が撒き散らされ、ゴーストは苦しそうに体を捩らせる。

「オオオオオ……《アイシクル》……《スパイク》……!」

 しかしまだまだゴーストは健在。狙いはあくまでせつ菜なのか、ゆっくりと掲げた右手に魔力が集中していく。

せつ菜「魔法ですか……! 避けてみせます!」

【せつ菜の回避・コンマ判定】
0〜80 回避
81〜99 命中
0465名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 22:00:24.11ID:bhTbppc7
せつ菜「っ!」

 ゴーストの手から放たれたのは、みるみる内に形成された氷の槍だ。侑の《ラピッドファイア》とは真逆、氷の属性を有する初級魔法。
 それを辛くも回避して、せつ菜はにやりと笑う。

せつ菜(魔法とは驚きましたが……それでも、まだまだ余裕がありますね。転移したての頃だったとしたら、間違いなく何もできずに潰されていた)

せつ菜(色々な戦いを経て、やはり否応なしに成長しているのでしょう)

歩夢「……っ、もう一度! 今度は外さない!」

侑「私も畳みかけるよっ!」

 その隙をついて、再度の攻撃。
 歩夢は剣を、侑は杖を握りしめて攻撃態勢!

【侑の攻撃・コンマ判定】
0〜80 命中
81〜99 失敗
判定下

【歩夢の攻撃・コンマ判定】
0〜80 命中
81〜99 失敗
判定下2
0470名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 23:10:47.33ID:bhTbppc7
歩夢「せあああああ……っ!!」

 直剣が大きく唸り、燐光と共に振われる。見事命中、歩夢の剣が幾つかの肋骨を叩き割る!
 更に追撃が放たれ、今度は上半身。侑の火球が此度も命中して、ゴーストは大きく咆哮する。

侑「いける……!」

「オオオオオオオオオ、オ、オオオオオ……!」

せつ菜「かなり効いています! しかし……!」

 当然ながら、ゴーストもただ殴られているわけではない。咆哮し、魔力を渾然と練り上げていく。充満する凍てつくかのような冷気、三人の全身に悪寒が走る。

侑「来る……っ!」

 収束するソレは先程の規模を上回っている。初級魔法を上回る出力、三人を同時に攻撃する広域攻撃!

「オ、オオ……《コキュー》……《トス》……!!」

【侑の回避・コンマ判定】
0〜75 回避
76〜99 命中
判定下

【歩夢の回避・コンマ判定】
0〜75 回避
76〜99 命中
判定下2

【せつ菜の回避・コンマ判定】
0〜75 回避
76〜99 命中
判定下3
0477名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 23:41:28.35ID:bhTbppc7
 闇に沈む墓所が、極寒の吹雪に閉ざされた。
 吹き荒れる白の嵐、侑は咄嗟に《ラピッドファイア》を盾状に広げて防ぎ、せつ菜は大きな石碑の陰に飛び込んで回避! しかし、最も近くに立っていた歩夢は初動が遅れ、

歩夢「あ……っ!?」

 巻き込まれる! ばきばきと体の表面が凍りついていくのを、歩夢は白に染め上げられた視界の端で見た。

侑「……っ! 歩夢!」

歩夢「………………………………っ、は」

 吹雪が止む。墓場全体が氷雪に覆われるほどの広範囲攻撃が過ぎ去り、膝をついた歩夢が残された。剣を杖代わりにうずくまるその体は半ばほどが凍り付いていて、超低音の脅威に晒されたことは明らかだ。

せつ菜「く……!」

歩夢「私なら……まだ、大丈夫……! 侑ちゃん、それよりも……トドメを!」

 確かに、大技を使ったゴーストはしばらく動けそうにない。侑は杖を握りしめて……、

【侑の行動は……】
1、ここしかない! 全力の《ラピッドファイア》っ!
2、いや、それでも歩夢を回復……!
0478名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/13(土) 23:42:02.73ID:bhTbppc7
安価下
0480名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/14(日) 00:12:46.09ID:TUvYUnhz
 侑は覚悟を決める。長杖をめきり、と音が立つほどに握り締めて、立ち塞がる巨影を睨みつける。

侑「よくも……歩夢をぉっ!!」

 凄まじい火力をもって、超高熱を編み上げていく! 魔導士は心中のイメージを力と成す。故にこそ、その怒りは感情の発露となって、熱量をぐんぐんと引き上げていく。

侑「燃えろ、炎よ、熱く、熱く、我が血潮よ応えたまえ。我が敵を焼き穿たんがため!!」

「オオオオオオ、オオオ……!?」

侑「穿て! 《ラピッドファイア》っ!!」

 火焔が轟然と放たれ、ゴーストに牙を剥く! 

【侑の攻撃・コンマ判定】
0〜80 命中
81〜99 失敗
0485名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/14(日) 00:25:02.88ID:TUvYUnhz
 ……が、しかし! 無理に力み過ぎたのか、火球はゴーストを掠めて遠く遠く飛んでいった! 

侑「……う、嘘ぉ!? 今の決めるところだったよね!?」

せつ菜「威力は申し分なかったんですが……」

歩夢「……っ、でも! まだ私はやれるっ!」

 半ば凍り付いた身体を無理やり動かして、歩夢が駆け出す。痛い。身体の芯まで凍り付いたようで、手足は自分のものではないかのよう。
 それでも、この程度でへこたれていたら……、

歩夢……(皆を守るなんて、出来ない! 私は盾だ、みんなの分のキズを引き受けて前に立つ、それが私の役目なんだから! この程度で負けるもんかっ!)

 魔力を込める。刀身が柔らかな光に包まれて、夜闇を煌々と照らし出す! 

歩夢(でも……っ、足がいうことをきかない! 踏み込みをする《インパクト》は使えない、もっと違う技だ! 斬るんじゃなくて、そう、例えば……!)

歩夢(……「突き」だ!)

【歩夢の攻撃・コンマ判定】
0〜85 スキル習得 命中
86〜99 失敗
0486名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/14(日) 00:25:10.82ID:TUvYUnhz
判定下
0488名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/14(日) 00:36:40.80ID:TUvYUnhz
歩夢「はああああ……あああああああっ!!」

 直剣の輝きは最高潮へ。歩夢は右手をぐんと引き、ぎりぎりと力を溜めていく。足が満足に動かなくても、剣の方を動かしてしまえばいい。

歩夢「はああああ……あああああああっ!!」

 その様はさながらロケットブースト。歩夢は魔力を剣の後方に集中させ、推進力として爆発させたのだ。
 最後に残った力で地面を蹴って、歩夢は大きく跳躍! 目にも止まらぬ突進、直剣は一直線の軌跡を描き……、

「オオオオオオオオオッッッ!!!」

 ゴーストの胴、そのど真ん中に直撃した!

せつ菜「す、すごいっ……!」

侑「新技だー!!」
0493名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/14(日) 03:10:24.51ID:TUvYUnhz
 回転斬りの《インパクト》。それとは全く異なる、「突き」の動きを起点としたもう一つの剣技。
 
歩夢「確か名前は……《ラッシュチャージ》」

 肋骨を砕いて背骨を貫き、歩夢は土埃をあげながら着地。靴底でがりがりと地面を削りながら、剣を振り抜いた体勢で停止する。
 甲高い断末魔を上げながら、霊体は霧のように消えていった。

歩夢「ふぅ。うまくいった」

せつ菜「歩夢さん! お怪我は!?」

歩夢「あ……うん、でも平気。かなり響いたけど、命に関わるほどじゃないよ」

侑「もう! だからって、安心できないよ! 確かに私があそこで外したのも悪かったけど、無茶しすぎ!」

歩夢「えへへ……ごめんね、侑ちゃん。でも、守れてよかった」ニコ

【歩夢がスキル《ラッシュチャージ》を習得しました】
0498名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/14(日) 08:07:13.71ID:rUC5iIoq
全滅じゃなくても一人でも死んじゃったらアウトだろうから、交互にバランスよくというのがいいんだろうね
でもそうなると侑ちゃんのはどうやったら上がるんだろう。上がらないのか
0501名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/14(日) 17:55:08.07ID:Kf8VtQQ9
がんばえー!
0502名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2021/02/14(日) 18:39:09.51ID:b6mHlojV
保守は任せろ!
0504名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/14(日) 21:30:01.96ID:TUvYUnhz
支援ありがとうございます 再開します
0505名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 21:31:42.44ID:TUvYUnhz
【冒険者組合】

 夜になり、やや人の減った冒険者組合の中。揚々と帰還した侑たちは、依頼書に記された通りの報酬を受け取るところだった。

受付「皆さん! ゴースト退治、お疲れ様でした♪ こちらが報酬の20000Gになります」

歩夢「ありがとうございます!」

せつ菜「これで、当面の資金は確保できましたね」

受付「またご依頼を受けて頂ける際は、どしどし受注してくださいね〜♪」

 受付のお姉さんの営業スマイルに見事なものだと感心しながら、侑は金貨が詰まった麻袋を叩く。ずしりと重い手応え。自分達の頑張りを表しているようで、なかなか気分は悪くない。

侑「こんなにたっぷり。いやあ、そこそこ苦労した甲斐はあったね」

歩夢「かすみちゃんに貰ったパン以来、何も食べれてないからね……お腹すいたなあ……」グゥ

せつ菜「私に任せてください! 歩夢さんは今日のMVPですから、今夜は私がご飯を作ります!!」

侑「あ、えっと……うん、私と一緒にやろっか?」

歩夢「ははは……」
0506名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 21:35:18.12ID:TUvYUnhz
【夜・3人の自宅】

 それから軽い買い物を終え、侑の力添えもあって可もなく不可もなくといった味わいの夕食を平らげたのち。柔かなベッドに身体を放り出して、侑はむむむ……と眉間に皺を寄せていた。

侑「ご飯も食べてシャワーも浴びて、あとは寝るだけって感じなんだけど、ちょっと早い時間……」

侑「よし! 久しぶりに、夜のお散歩にでも行きますか!」

侑「そうだ、折角だから誰か連れていこうかな。うーん、どっちを誘おう?」

1、歩夢を誘う
2、せつ菜を誘う
安価下3 多数決
0510名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 21:39:57.06ID:TUvYUnhz
侑「……よし! 歩夢に声をかけてみよう!」





侑「おーい歩夢ぅ〜」ガチャ

歩夢「…………ゆ、侑ちゃん!? なに!?」プルン

侑「あ、お着替え中だった? ゴメンゴメン、ちょっと散歩に行かない? って思ってさ」

歩夢「い、いいからとりあえず外に出てて!///」

侑「別にいいじゃん。互いの裸くらい、それこそ歩夢じゃないけど幼稚園の頃から……」

歩夢「今と昔じゃ違うのっ! 全然違うの!」バタン!

侑「……はあ、気にし過ぎられるとこっちも恥ずかしいんだけどな」

侑「……それにしても、歩夢また大きくなってた? 何センチ差だろ……」モミモミ
0512名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 21:48:34.91ID:TUvYUnhz
【街路】

歩夢「もう、侑ちゃんはそういうところが……」クドクド

侑「あはは、機嫌直してよ〜。むくれた歩夢もかわいいけど」

歩夢「……それでもダメっ」プクゥ

侑「む……今日は手強いなあ」

歩夢「私もこの世界に揉まれて成長したの。前衛役は簡単に陥落しないんだよ」

侑「別にこれ戦いじゃないんだからさ……」

 あてもなく歩き、大通りに差し掛かる。街並みはぽつぽつと明かりを残しているが、立ち並ぶ露店もテントを畳み、全体的に帰路につく人々の姿が目立つ。昼間は隆盛を誇る〈王都ホムラ〉も、そろそろ眠りにつく頃合いなのだろう。
 大通りを正門の方に下っていくと、小さな川にぶつかる。今まではただ橋の上を渡るだけだったが、今日は川沿いに歩いてみようと思いつく。

侑「しっかし、未だに信じられないなぁ〜。こんな世界に三人で飛ばされて、戦って、今こうして全然知らない街の中にいるんだもん」

歩夢「現実感がない?」

侑「それ、それだよ歩夢。これは夢だったり、実はゲームだったりするんじゃないかっていう感覚が消えなくて」
0514名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 21:51:11.41ID:TUvYUnhz
 川沿いは、小洒落な煉瓦と街灯で綺麗に舗装されていた。ランニング場所に選べば気持ちよく走れそうだ。道沿いには定間隔にベンチが設置してあって、二人はそのうちの一つに腰を下ろす。

侑「まあ、痛いものは痛いし、死ぬときは死ぬよ。散々それは思い知らされてきた」

 色々なことを思い返しつつ、侑はさらさらと流れる小川を見つめる。川面はきらきらと月光を反射して、頭上の星空を下にも敷き広げたかのようだ。

侑「……うん、わかってるよ。多分、まだ私はこの現実から逃げようとしてるんだと思う」

歩夢「侑ちゃん……」

侑「全部夢で、次の朝に目を覚ましたときには、いつもの私の部屋で目を覚ますんじゃないかって……あの世界に帰れるんじゃないかって、信じたがってる」

侑「いい加減、向き合わなきゃいけないのにね。この世界に、私たちは生きてるんだってことに」

侑「……なはは、ごめんね? せっかくお散歩したのに、愚痴みたいになっちゃった」

歩夢「……………っ!」バッ
0515名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 21:56:11.15ID:TUvYUnhz
 不意に伸ばされた歩夢の腕が、侑の身体を抱きしめる。
 ふわりと薫る歩夢の匂いは、異世界であっても変わらないようだった。ざわついた心が落ち着くのを自覚して、侑は内心で苦笑を漏らす。

歩夢「……そんなの、私だって同じだよ」

歩夢「せつ菜ちゃんも同じ気持ちだと思う。それでも、私たちは進まないといけないから……だから、そんな自分が不甲斐ないって思うんだよね」

侑「…………ん」

歩夢「でも、私はそれでいいと思う。だって、私たちは一人じゃないんだから。その不甲斐なさも弱さも、三人で分かちあえる。そうやって強くなれる」

歩夢「私たちは、そうやって進んでいけばいいんじゃないかな」

侑「……そうかも、ね」

 侑は、こういう時ばかりは素直になる。猫のようにぐりぐりと押し付けてくる頭を、歩夢は優しく撫で続けた。
0517名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 22:14:16.92ID:TUvYUnhz
侑「……えへへ、恥ずかしいところ見せちゃったな」

歩夢「別に、そんな……恥ずかしいことなんかないよ」

侑「違うの! 私が恥ずかしいから恥ずかしいの!」

歩夢「まあ、侑ちゃんが思うならそうなのかもしれないけど」ハァ

侑「……でも、ありがとね?」

 振り返って、侑はにこりと笑う。その笑顔は、歩夢がよく知る翳りのない笑顔で。
 
歩夢(……ふふ。侑ちゃんがそうやって笑ってくれるだけで、私は十分幸せだよ♪)

 目を細めて、歩夢はそんなことを思うのだった。

侑「それにしても……歩夢ぅ。おっぱいまた大きくなったでしょ。さっき抱きしめられたとき、ボリュームが違ったよね」

歩夢「へぇっ!?//」

侑「もう一回ぎゅーしていいかな? 歩夢のおっぱい、ふわふわしてて落ち着くんだもん♪」

歩夢「ば、ばかっ!! 何言ってるの〜〜!?///」

【歩夢の好感度が"0"→"10"に変化しました】
0518名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/14(日) 22:33:00.46ID:TUvYUnhz
【同時刻 ペリメニ帝国 胡乱城最上階】

 ギギギギギギ…… ガゴン!

にこ「ぶぇぇ〜。たっだいまぁ〜、疲れたわぁ」

 心底疲れた、といった表情で、にこが禍々しい大扉を押し開きながら姿を見せる。
 帝国の本拠。魔の巣窟、その中でも最も深部。帰還したにこを待ち受けていたのは、闇に浮かび上がる四つの影だった。それらは円卓に腰掛け、「喉乾いた!ジュース頂戴!」と下級悪魔に指示を飛ばすにこを一様に見つめている。

???「なんか随分と遅かったねぇ、にこっちぃ。道にでも迷ったん?」

にこ「ンなわけないでしょうが、希ぃ! あーもー、あの海未とかいう聖騎士長しつこ過ぎんのよ! 国境ギリギリまで追って来たわよアイツ!」

希「ま、王将を直に殺られかけたんやしねぇ。向こうが怒るのも当たり前やけど」

 黒いローブに身を包んだ少女が、にこを揶揄うようにけらけらと笑う。翠の瞳は常に何かを秘めているようで、妖しい光を放っている。
0519名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/14(日) 22:40:51.21ID:TUvYUnhz
 ペリメニ帝国には魔族の王たる「魔王」を頂点とし、四人の幹部が控えると伝えられる。いずれも人間を膂力魔力知力全てで上回るとされる最強の魔物。「天魔」に名を連ねる面々だ。

???「ついに聖戦よ! リリー、終末、ラグナロクの時は近いわっ! 急ぎリトルデーモン達に召集をかけ、世界の破滅をもたらすのよーっ!!」

梨子「ちょっと善子ちゃん、今はそういうのいいから。仮にも魔王様の御前だよ?」

善子「善子じゃなくてヨハネ!」プンスコ

 こうして緊張感に欠ける会話を繰り広げているのも、同じく天魔族の二人。刺々しい鎧に身を包んだ梨子と、漆黒のドレスを身に纏う善子。耳にタコができるほど聞いた二人のやり取りを聞き流しながら、

にこ「こいつら、同僚が命がけのミッション終えて帰ってきたってのに、誰も心配しようという気配がないわね……にこは孤独だわ……」
 
希「で、にこっち。どやったん? ウチらの敵、「聖騎士」とやらの実力は。特に最重要警戒対象、園田海未ちゃんについて知りたいんやけど」

にこ「海未ね。びっくりしたわよ、強いのなんのって。悔しいけど、アレは私一人じゃ叶わないわ。他の聖騎士なら私と同等だけど……あいつだけは、本気のにこが二人いてもギリギリね。そうね、それこそ……」

 差し出された血のような色のジュースをストローで飲みながら、にこはちらりと奥に視線を向ける。
0520名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 22:43:46.54ID:TUvYUnhz
絵里「それこそ……私くらい?」

 巨大な円卓の最奥に腰掛けるは、金髪蒼眼が美しい女だった。されどその瞳を見れば、誰であれ彼女が並々外れた存在と理解できるだろう。
 魔王、絢瀬絵里。全ての魔物たちの頂点に立つ存在であり、魔の体現者。絶対強者たる彼女が口を開いた瞬間、四人は反射的に黙して彼女の言葉を拝聴する。

絵里「園田海未、ね。この70年で腑抜けの集まりに成り下がったかと思っていたけど、まだまだ面白そうな人間がいるじゃない」

 ────絶対零度。
 部屋の空気が急激に低下していく。それは絵里の、魔王の、隠しきれぬ闘志の現れだ。バキバキ、と音を立てて空気中の水分が凍りついていき、哀れ召使いの下級悪魔は氷の彫像と化す。ものの一秒で、あらゆる命を奪う極限の低温世界が作り出された。

希「ちょ、ちょい、エリち。ストップや。冷気が漏れちゃってるで、ほら!」

絵里「あら? あっ、ごめんなさい」

 次の刹那、重力を何倍にも膨れ上がらせたかのような重圧がさっと霧散した。絶対零度に迫ろうかという室温が元に戻り、残りの三人はため息をつく。
0521名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 22:51:44.97ID:TUvYUnhz
にこ「あのねえ、いい加減直しなさいよその悪癖! こう何度も何度も私の子分をカチンコチンにされたんじゃ堪らないわよ! あんたのせいで魔王城はいっつも雪でクソ寒いし! 温暖化政策でも進めたら!?」

善子「そうよそうよ! ビッグデーモンはもうちょっとこう、加減を覚えたほうがいいと思うわ!」

絵里「し、仕方ないじゃない! 私だって好きで胡乱城に雪を降らせてるわけじゃ……!」オロオロ

希「はあ、エリちのそういうところは昔から変わらんね。梨子ちゃん、火ぃお願いできる?」

梨子「はい。よいしょ」

 キュボッ! と、彼女が指を鳴らした途端に直径5メートル大の豪火球が顕現する。
 桁外れの魔力だ。人が近づけばそれだけで焼死しかねない超高熱のそれを暖房がわりに、天魔たちは平然と会話を続ける。

絵里「おほん。私のことは置いといて、真面目に軍議を始めるわよ。にこのおかけで、向こうの戦力調査はある程度成功したわ。本当にお疲れ様。この成果をもって、「星削り」の第二段階に駒を進めます」

にこ(やっと褒められたわ……)

梨子「で、どこから手をつける予定ですか?」

 梨子の問いに、絵里はすっと目を細めた。その顔に浮かぶ不敵な笑みこそが、彼女が魔の王たる所以であろうか。

絵里「……群島の街〈ウラノホシ〉。手始めにあそこから陥すわよ」
0523名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 23:03:44.92ID:TUvYUnhz
【翌日・王城】

ダイヤ「……と、いうことで! 貴方達には群島都市〈ウラノホシ〉に向かっていただきたいのですわーっ!」

 まだ朝昼の間、とも呼べる中途半端な時間帯だった。
 早朝から火急の呼び出しを受け、急ぎ王宮に馳せ参じた三人。何かまずいことをしたのでは、いや穂乃果ちゃんが退屈しのぎに、いやいや……と不安に駆られた侑たちだったが、呼び出しの主は意外な人物だった。

侑「ええっと……事情はわかりました。つまるところ、私たちにお使いを頼みたいわけですよね? 海を挟んだところにある〈ウラノホシ〉まで」

ダイヤ「はい。この手紙を、そこに住んでいる果南という少女に届けて欲しいのです」

 ……左大臣、黒澤ダイヤ。
 もう一人の大臣、南ことりと政治の中枢を担うこの国の中心人物。聖騎士を務めるルビィの姉でもあるという彼女は、三人を集めるや否や、独特な早口で用件の説明を始めたのである。

歩夢「えっと……単純に、郵便屋さんに頼むのじゃダメなんでしょうか?」

ダイヤ「それが、果南さんも堅物でして……郵便屋さんに、私からの手紙は受け取らないと言いつけているようで。あまり市井の方に迷惑もかけられませんし、貴方達に手紙を読むよう説得してもらえないかと」

せつ菜「なるほど。だから直接行く必要があるわけですね」

ダイヤ「果南さんはやや頑固な人ですが、根っからの善人でもあります。貴方達とは気が合うかと」
0524名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/02/14(日) 23:04:34.86ID:rUC5iIoq
千歌ちゃん達がいたのは王都ホムラの近くのヌマズ村だから、リゾート都市ウラノホシはまたちょっと離れてるのかな
0525名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 23:06:22.30ID:TUvYUnhz
ダイヤ「当然ながら、貴方達に使命があるのも理解していますわ。元の世界への帰還手段を一刻も早く探し出す……そんな中でこんなことを頼むのは、確かに心苦しいところではあります」

ダイヤ「なのでっ! どうかこちらをお受け取りください」

歩夢「えっと……こ、これは?」

ダイヤ「三人分の水着一式、定期船のチケット、およびリゾートホテルの宿泊チケット四日分ですわ。あなた方には馴染みが薄いかもしれませんが、〈ウラノホシ〉は夏場のリゾートとして有名です」

侑「ええーっ!? 太っ腹! しかも、〈ウラノホシ〉ってそんなハワイみたいなところだったの!?」

ダイヤ「それに、未だ海底遺跡が多く残されている謎多き地としても知られています。果南さんに頼めば、遺跡の調査に協力してもらえるかもしれません」

ダイヤ「まあ、貴方達の求めている情報が、必ずしも海底遺跡にあるとは限りませんが……一応、こちらも足を運ぶ一因にはなるかと。不可解な現象には、得てして太古の謎が関連しているものです」
0526名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/14(日) 23:08:33.33ID:TUvYUnhz
侑「行く! 行きます! 二人とも行くよね!?」

せつ菜「ま、まあ、そうですね。ホテル代も船代も、水着まで用意されたとあっては……行くしかないと思いますっ! 異世界リゾートにっ!」

歩夢「そうだね。このまま街にいても、何かが進展するとは限らないんだし……」

ダイヤ「では、決まりですわね。善は急げと言いますわ。今日の夜、定期便が港から出発します。それに乗船して頂ければ、翌朝には〈ウラノホシ〉ですわよ」

侑「はいっ! 今すぐ帰って準備しよう! 何持っていこうかな? お菓子はいっぱい用意しようね!」

せつ菜「本屋で旅行情報誌のようなものを探すのもいいんじゃないでしょうか!? 歩き方的な!」

歩夢「二人とも、修学旅行じゃないんだから……」アハハ

ダイヤ「ふふっ、どうかよろしくお願いします♪」
0527名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/15(月) 00:56:21.41ID:TO/vxSIQ
水着せっちゃんのしっぽの生え際繁々と観察したい
0528名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2021/02/15(月) 01:07:35.62ID:3T+pygl3
今日はここまでかな?おつおつ
ゆっくりでもやってくれるだけで嬉しい
0532名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/15(月) 18:53:23.79ID:J3ZPYCb8
>>531
めっちゃ好き
0536名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 19:44:37.20ID:aXP4Zd6j
支援ありがとうございます 再開します
0537名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 19:45:19.32ID:aXP4Zd6j
【王城前】

侑「さてと、まだまだ夜まで時間があるね」

歩夢「準備……は、大体ダイヤさんが済ませてくれたし……夜までどうしよう?」

せつ菜「時間が余っているようでしたら、私は本屋に立ち寄ってみたいです! 色々な情報が集められそうですし!」

侑「そうだね。折角まとまった収入が入ったことだし、私は鍛冶屋さんを覗いてみたいかな〜?」

歩夢「えっと……色々なところを回ってみるのもいいかもね。どうしよっか?」

【侑の行動は……】残り行動回数2
1、本屋さんに行ってみよう。
2、鍛冶屋さんに行ってみよう。
3、あえて王城に戻るよ!
4、かすみちゃんに会ってみようかな。(追加選択肢)
5、しずくちゃんに会ってみようかな。(追加選択肢)
安価下
0539名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 19:57:18.92ID:aXP4Zd6j
侑「教会に行ってみようかな〜」

歩夢「え? 教会?」

侑「折角しずくちゃんに会えたんだしさ。もうちょい色々話しておきたいじゃん」

せつ菜「そうですね。私たちの知るしずくさんではなくても、顔見知りと話すだけで安心感があります。顔を見せるのも悪くないんじゃないでしょうか」

侑「よし! じゃあ、行き先は決まりだね!」





しずく「ようこそ教会へ。定期的に来ていただけるなんて、とても嬉しいです。主も喜んでおられますよ」ニコニコ

侑(と言っても……宗教感バリバリで修道服姿のしずくちゃんは、いまだに慣れないなあ……)

しずく「それでは、礼拝されていきますか?」

侑「あー、えっと、うん。それはするつもりなんだけど、それとは別にしずくちゃんと話したくて」

しずく「え? 私、ですか?」
0540名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 20:02:16.33ID:aXP4Zd6j
しずく「もしかして、ナンパというものでしょうか? いけませんよ、主は淫らな姦淫を禁じ……」

侑「いやいやそういうのじゃなくて! 邪な気持ちはないよ、ただ単に仲良くなりたいだけ」

歩夢「う、うん。私たち少し時間があるから、困ったことがあったら何か手伝ったりもできるよ?」

しずく「そ、そうでしたか、失礼しました。どうも私は、昔から変に頭が固いところがあると、よく近隣のお友達にも言われていまして……///」テレッ

せつ菜(もしかして、かすみさんのことでしょうか?)

しずく「そういうことでしたら、ありがたく頼らせて頂きます。実は、少し困っていることが……」
0543名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 20:10:19.49ID:aXP4Zd6j
侑「……で、この倉庫をお片付けしてほしいと」

しずく「はい。色んなものが何十年も前から放置しっぱなしで、非力な私だけでは、片付けをするのもままならない状況なんです」

歩夢「これは凄いね……埃が積もって、結構大変そうだよ」

せつ菜「だからといって、怯んでもいられません! やりましょう! お掃除タイムです!」

しずく「この重労働に無償で付き合っていただく、というのも何ですから……何か一つ気に入ったものがあれば、持ち帰っていただいて結構ですよ?」

侑「ええっ!? 大事なものとかあるんじゃないの!?」

しずく「あはは……鍵もかけていない、半ばがらくたの山と化しているおんぼろ倉庫ですから。私が必要とするものはほとんどありません」

しずく「ただ、お三方にとっては値打ちのあるものが見つかるかも……?」

侑「よ、よぅし! 何か役に立ちそうなもの、頑張って見つけるぞー!」

歩夢「あくまで目標は整理整頓だからね、侑ちゃん……」

【コンマ判定】
0〜35 大成功
36〜70 成功
71〜99 失敗
判定下
0545名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 20:19:20.66ID:aXP4Zd6j
せつ菜「むっ……むむむむっ」クンクン

侑「おっ! せつ菜ちゃんの嗅覚がお宝を嗅ぎつけたのでは!?」

せつ菜「なんだか、トリュフを探す豚さんのような扱いを受けている気がしますが……ここが怪しいです! とあーっ!」ガサゴソ

歩夢「どっちかというと花咲か爺だよね」

しずく「何かあったでしょうか……?」

せつ菜「見つけました! とったどーっ!」

侑「……ええっとこれは、何?」

せつ菜「……かなり古い時代のものですが、ナイフですね。わりと大振りです。柄の部分に、猫の彫刻がなされているようですが」

しずく「あっ、それは悪魔祓いのための祭器ですね」

歩夢「え、悪魔っ?」
0546名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 20:26:56.94ID:aXP4Zd6j
しずく「はい。悪魔といっても、別に天魔族のような、特定の種族を指す言葉ではありません」

しずく「人間魔物問わず、何者かが無念の死を遂げると、そこに怨念が残されます。それが別の人間の中に入ってしまい、よからぬ影響を与えてしまう。そうした症状を「悪魔憑き」と呼びます」

侑(そういえば、墓場のゴーストも人間の怨念が変に凝り固まったせいで生まれたとかなんとか……)

しずく「そういった人々には、祈りを込めた聖水であったり、武器が効果的とされるんです。それも、昔はここで用いられていたんでしょうね」

歩夢「えっと、今はどうしてるの?」

しずく「私はもっぱら聖水を使っていますね。というか、最近はほとんど聖水が主流です。武器状の祭器は準備が面倒で、だんだん廃れていったんですよ」

せつ菜「なるほど……コレが昨晩手元にあれば、もっと簡単にゴーストを倒せたのかもしれませんね」

侑「どう? せつ菜ちゃん、使えそうかな」
0549名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 20:39:25.30ID:aXP4Zd6j
せつ菜「……そこそこ手には馴染みますね」ブンブン

しずく「前提として戦闘用に作られたものではないので、刃の鋭さや扱い易さは店売りのものに劣ると思いますが……そのぶん、霊体や魔族相手にはそこそこ有効かと」

せつ菜「十分頼もしいです。歩夢さんが前衛で残る二人が後衛というのは、どうもバランスが悪いと思っていましたから。これで私も前に出れますね!」

歩夢「うう、正直助かるかも……一人で二人をカバーするの、結構難しいし。せつ菜ちゃんに無理に前に出てもらったこと、これまでも結構あったもんね」

侑「じゃあ、せつ菜ちゃんは中衛だね。私が後衛、歩夢が前衛。なかなかバランス取れてきたんじゃない?」

せつ菜「そうですね! これからは前衛も後衛も柔軟にこなせる、リベロ的な立ち回りをお見せしますよ!」

しずく「お力になれそうなものが見つかって、良かったです♪」

【せつ菜が「教会のナイフ」を入手しました】
0550名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 20:43:51.88ID:aXP4Zd6j
侑「ぶふぅ……いやぁ、倉庫整理のお礼にお昼までご馳走になっちゃって。すっかり満腹だよ」

歩夢「美味しかったね! 流石はしずくちゃん、私も負けていられないよ……!」ムン

侑「次はどうしようか?」

せつ菜「思いのほか時間がかかりましたから、回れるとしてもあと一箇所ですね」

侑「連絡船に乗り遅れたらダイヤさんにどんな怒られ方するかわからないしね。どこに行こうかな」

【侑の行動は……】残り行動回数1
1、本屋さんに行ってみよう。
2、鍛冶屋さんに行ってみよう。
3、あえて王城に戻るよ!
4、かすみちゃんに会ってみようかな。(追加選択肢)
安価下
0553名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:03:42.03ID:aXP4Zd6j
【本屋】
侑「おー、結構大きな本屋さんだね。細かいところも小綺麗にしてて、前に立ち寄った魔導書屋さんとは大違いだよ」

せつ菜「うおーっ! 本! 本! 本の海ですよ!」

歩夢「ここには侑ちゃんが役立てられそうな魔導書は売ってないのかな?」

侑「う〜ん、魔導書屋さんじゃなくて、普通の本屋さんだしねぇ……探したら見つかるかもしれないけど」

せつ菜「見てくださーい! ここに『〈ウラノホシ〉リゾート特集』なんて本がありますよー!」

歩夢「……まあ、とりあえず行ってみようか」アハハ





侑「……見て見て。〈ウラノホシ〉の群島の一つには大きな洞窟があって、そこには海を荒らしに荒らした海賊のアジトがあったんだって」

歩夢「か、海賊……!?」

侑「安心しなよ、昔の話らしいから。今は魔物が住み着いてて、誰も近寄らないんだってさ」
0556名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:09:37.56ID:aXP4Zd6j
せつ菜「……でも、ちょっと待ってください。海賊がアジトにしていたということは」

侑「ふっふ。よく気づいたねせつ菜ちゃん。そう! 海賊といえば財宝だよねっ!?」

歩夢「で、でも魔物がいるんだよね……? 危ないから人が近づかないんじゃ……」

侑「な〜に言ってるの歩夢、こういう時こそロマンに従えばいいんだよ。海の洞窟、現れる魔物たち! その奥に、きっと素敵なお宝があると思わない?」

せつ菜「そうですそうです! そういった場所は、やっぱり隠しアイテムや強力な武器が隠されているのが定番ですよね!」キャッキャ

歩夢「はぁ、こういうところで無駄に団結力を発揮するんだから……大体、先に誰かがその「財宝」を取っちゃったかもしれないんだよ?」

侑「いや、私のカンが告げてるんだよ! ここには何か凄いものがあるって!」

せつ菜「〈ウラノホシ〉に滞在している間、ぜひこの洞窟を訪れたいところですね!」

【情報を入手しました。〈ウラノホシ〉に滞在中、「財宝の洞窟」に立ち寄れるようになりました】
0557名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:12:27.17ID:aXP4Zd6j
「本屋」と「魔導書屋」の区別がややこしかったですね。申し訳ないです…。今後は訪れた場所で何ができるのか、簡単に記載しておきます。
0559名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:20:41.61ID:aXP4Zd6j
【港】

 それから、瞬く間に時間は過ぎて……。
 すっかり日が沈みきって、立ち並ぶ街灯がその役割を果たし始めたころ。侑たち三人は装備と荷物を抱え、大きな連絡船の前に立っていた。
 タラップを降りて、見覚えのある人影が走り寄ってくる。

曜「ヨーソロー! 数日ぶりだね、三人とも! まさか私の船に三人が乗ることになるとは思ってなかったよ!」

侑「曜ちゃん船長、〈ウラノホシ〉までよろしくお願いします!」ピシ

歩夢「ごめんね、侑ちゃんってば楽しみなあまりテンションがちょっとおかしいみたいで……」

曜「〈ウラノホシ〉はとってもいいところだからね。ほら、今もたくさんの観光客さんが船に乗り込んでる。侑たちも楽しめるよう、私がしっかり送り届けるからね!」

せつ菜「ありがとうございますっ!」

曜「あとちょっとしたら出発するから。部屋は一番いいのを用意しておいたから、夢気分で過ごすといいでありますっ。それじゃ、またね〜♪」

侑「リゾートっ♪ リゾートっ♪」

歩夢「もう……でも、ちょっと懐かしいなぁ。侑ちゃん、覚えてる? 幼稚園の遠足の時、前日の夜に眠れなくなって……」

せつ菜「とりあえず、早く乗り込んでしまいましょう! いざ新天地です! うおおおおーっ!!」

 こうして……一行は曜が操る船に乗り、まだ見ぬ群島の都市〈ウラノホシ〉を目指すのだった。
0560名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:40:20.24ID:aXP4Zd6j
【翌朝】

侑「Zzz……むにゃ、うぅん……?」

 ワーワー! ソッチイッタゾー! ガキン! ドゴン!

侑「なんだか朝から騒がしいなぁ……」

せつ菜「……侑さん、おはようございまひゅ」ムクリ

侑「せつ菜ちゃん。ねえ、何か聞こえない?」

せつ菜「はい……どこかの客室で喧嘩でもしているのでしょうか。この音で私も目が……」

 途端、くわ! とせつ菜の瞳が見開かれる!
 耳がピンと立って警戒態勢。尻尾が無意識のうちに逆立って、亜人としての本能が警鐘を鳴らす。

せつ菜「侑さん! 血の匂いです!」

歩夢「おはよ……ふぇ……?」

せつ菜「甲板の方へ行きましょう! 何かが起きているみたいですっ! 歩夢さんも!」

歩夢「ちょっ……うえぇ〜っ!? ぱ、パジャマなのになんで引っ張られてるの〜!?」ズルズル
0561名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:48:44.59ID:aXP4Zd6j
 長い廊下を全力で走り抜け、甲板へと出る扉を開く。
 そこに広がっていた光景は、三人の予想だにせぬものだった。

「キィィィアアアアアアアアアアアッ!」

「ギャア! ギャアギャア! ギィアアッ!」

 甲高い叫び声を上げながら、空を飛び回る異形の怪物。大きな鳥のようにも見えるが……よく見ると嘴は無く、女性の顔と乳房が付いている。そのアンバランスな造形が恐怖を煽り、侑はごくりと唾を飲んだ。
 対するのは、逞しい筋肉を付けた水夫達だ。手斧をぶんぶんと振り回し、近く魔物を片端から叩き墜としている。

せつ菜「くんくん。くんくん。間違いありません、やはり血の匂いはここから……!」

曜「あれ、こんな朝早くにどうしたの? もしかして、騒がしくて起こしちゃったかな」
0562名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:49:35.89ID:aXP4Zd6j
 と。目の前の光景に固まる三人の後ろから、なんでもない様子で姿を見せたのは、この船を預かる船長こと渡辺曜その人であった。
 その姿はごく自然体で、今も船が空飛ぶ魔物に襲われているにも関わらず、動揺している様子はない。

侑「あ〜、えっと。曜ちゃん、私たちてっきり船が魔物に襲われてるのかと思って駆けつけたんだけど」

曜「え? 船が? あっはは! 確かに襲われてはいるけど、あんなの大したことないよ。ここらの船旅の風物詩、ハーピー狩り♪」

歩夢「は……ハーピー狩り?」

曜「うん。あいつらはね、ここらの海域に棲む空飛ぶ魔物、ハーピー。奴らの声には人を眠らせる力があって、昔は船乗り達にも恐れられてたんだけど……」

 コンコン、と曜は近くの壁を叩いてみせる。

曜「最近の船にはハーピー対策の結界が張られてるから、眠りこける心配はないってわけ。眠りの声さえ無力化できれば奴らは大して強くない。だから、うちの乗組員だけでも対処できるの」
0564名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:56:01.44ID:aXP4Zd6j
曜「まあ、魔物であることに変わりはないし、慣れてない人にとっては結構危険な相手だけどね。うちの水夫さんは経験豊富だから」ニコニコ

歩夢「な、なるほど……見た目よりは大した脅威じゃなかったんだね……」

曜「ハーピーの羽はそこそこの額で売れるから、いくらか船に貯まったらまとめて売り払っちゃうんだ。これが結構バカにならない額でさ〜」

せつ菜「すんすん……血の匂いは濃いですが、確かに人間の血の匂いではありませんね。すみません、早とちりして……」シュン

侑「いやいや、せつ菜ちゃんの鼻が効くおかげで、私たちは危険をいち早く知れるんだからさ。あんまり気にしすぎないでよ」ナデナデ

せつ菜「くぅん♡」

歩夢(せつ菜ちゃん、最近どんどん犬に似てくるような……侑ちゃんにアピールする上では中々……いやいや……)
0565名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/15(月) 21:59:40.31ID:aXP4Zd6j
曜「さて、皆の様子も変わりないし、私は船長室に戻ろうかな。侑さん達は見物していく?」

侑「うーん、そうだね。どうしようかな」

歩夢「あ、また一羽倒しちゃった。凄いねえ」

侑(空を飛ぶ魔物……危険度もそこまで高くないし、戦いの経験を積む上では悪くない相手かもしれない。水夫さんがいるおかげで安全性も高いし)

【侑が選ぶ行動は……】
1、よし! 私たちも手伝うよ!
2、まあ、無理をして戦うほどの相手でもないかな?
安価下
0567名無しで叶える物語(かぶらずし)
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2021/02/15(月) 22:23:55.64ID:2SyTBKGp
いち
0568名無しで叶える物語(らっかせい)
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2021/02/16(火) 00:56:14.91ID:gW2mVwpi
乙乙 
今日も沢山読んで楽しかった
財宝の洞窟って心惹かれるね

彼方ちゃん支援
https://i.imgur.com/PF6xBQa.jpg
0571名無しで叶える物語(SIM)
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2021/02/16(火) 01:59:47.92ID:2kff9PKF
魔法使いはパーティで1番クールじゃなきゃいけないって師匠が言ってた
侑ちゃんは安価とは言えちょい突撃思考かなw
0573名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 11:46:36.27ID:HF+qeXaj
支援ありがとうございます 再開します
0574名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 11:47:46.82ID:HF+qeXaj
 それから部屋に戻り、武器を携えて甲板に上がった三人。ハーピーはその数を着実に減らし、残るのは十羽ほどか。
 着替え中に曜が話を伝えておいてくれたのか、水夫達はこちらに目配せして軽く頷く。十羽のうち半分、五羽ほどを仕留められれば上々だろう。

侑「……よし! やれるだけやってみよう!」

歩夢「飛ぶ相手はちょっと戦いづらいけど……これも経験だよね」

せつ菜「私は弓で……といきたいところですが、手に入れたばかりのナイフも試したいところですね」

侑「比較的余裕がある敵みたいだし、色々試してみるのもいいかもね!」

【侑の行動は……】
1、《ミニファイア》で確実に数を減らそう!
2、何か思いつくかも……う〜ん……
安価下

【歩夢の行動は……】
1、待ち受けてカウンターだ!
2、いいや、打って出よう!
安価下2

【せつ菜の攻撃・コンマ判定】
1、弓を使いましょう!
2、ナイフを使いましょう!
安価下3
0578名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 12:06:27.81ID:HF+qeXaj
侑「じゃあ私は……むむむ……新しい魔法が使えないか、試してみるよ!」

歩夢「大丈夫なの!?」

侑「うん! 前に戦ったゴーストを見て、何か掴めそうだなって思ってたんだ!」

せつ菜「では、私も歩夢さんと前に出ます。二人で押し留めますから、存分に試してください!」

侑「ありがとう。必ずモノにしてみせるよ!」

 歩夢とせつ菜が素早く二手に分かれる。侑の正面と背後を固めるポジショニングだ。ハーピー達はギャアギャアと耳障りな声を上げながら、どこから攻めようかと三人を取り囲む。

歩夢(剣は届かないし、待ち受ける……いや、今の私にはあれがある! 距離を一気に詰められる新技!)

歩夢(やってみよう……!)

 だっ! と歩夢は右手に構えた剣を深く落とし、甲板の上を駆けていく。左手で狙いを定めるようなあの構えは、《ラッシュチャージ》のものだ! 

【歩夢の攻撃・コンマ判定】
0〜80 命中
81〜99 失敗
判定下
0581名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 12:14:00.55ID:HF+qeXaj
歩夢「せああああッ!」

 空を飛ぶ巨影に狙いを定めて、歩夢は鋭い突きを放つ。直剣は綺麗な直線を描き、命中! ハーピーの胸部を貫くに至る! 回転斬りの《ストライク》では、ここまでの距離を詰めることは出来なかっただろう。

歩夢「……ふぅ。ここから、色んな技を覚えて行けたらいいな」

せつ菜「歩夢さん、さすがですっ!」

侑「むむむむ……むむ……むむむ〜っ!」ムムム

せつ菜(さて、と。私も負けてはいられませんね。侑さんは依然として集中していますし、近寄らせるわけにはいきません)

 残りは四匹。うち一匹が勝機と見たか、鋭い爪をぐわりと開いて滑空してくる。
 
せつ菜(──────来た! こうした武器の扱いはあまり慣れていませんが、それでも!)

【せつ菜の攻撃・コンマ判定】
0〜70 命中
71〜99 失敗
判定下
0583名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 12:21:10.50ID:HF+qeXaj
せつ菜「せあっ!」

 こちらに迫るハーピーの動きを冷静に見極め、一閃! カウンター気味に、諸刃のナイフがハーピーの胸に深々と突き刺さる!

「ギィィィッ、ギャァアッ!!」

 しかし、流石に歩夢の剣技ほどの威力はない。一撃で仕留めるには至らず、ハーピーはけたたましい声をあげて抵抗する。血が噴き出し、羽根が舞い散る。ハーピーの顔が女性のそれであることもあって、中々にグロテスクな光景だ。

せつ菜「大人しく……しな、さいっ!!」

 しかしせつ菜は臆さない。ぐりぐりとナイフを押し込みながら、大きく口を開けて────、

せつ菜「ぐるぁああっ!!」

 がぶり、とハーピーの背中に噛み付いた!

歩夢「ええっ!?」

せつ菜「るる……ぐぁっ、がぁっ!」

 歩夢がびっくりしてそれを見守る中、せつ菜は牙とナイフで着実に傷を抉りきり、ハーピーを絶命させてみせた。
0584名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 12:27:29.31ID:HF+qeXaj
せつ菜「……ぺっぺ。美味しくはないですね」

歩夢「せつ菜ちゃん、だ、大丈夫!?」

せつ菜「問題ありません!」ペカー

 満面の笑みを浮かべて見せるせつ菜だが、その口元にはハーピーの血と羽根がべっとり付着しているので、逆に恐ろしい光景である。

歩夢「昔に比べて、どんどんワイルドになってきてるよね……」

せつ菜「亜人ゆえでしょうか、咄嗟に「噛み付く」みたいな選択肢を取りやすいんですよね。まあ、別に歩夢さんを食べはしないので安心してください」

歩夢「いやっ、別にそこまでは心配してないよ!?」

 残り三匹。やや隙を見せた歩夢を狙って、うちの二匹が滑空してくる。しかし、そこに……、

侑「……きた! きたきたきたよっ! イメージ形成が整ってきたよ〜!」ゴゴゴ

 火球ではなく氷塊を杖の先に浮かべた侑が、くわ、と目を見開いた。

【コンマ判定】 
1〜60 スキル習得 命中
61〜99 失敗
判定下
0588名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 12:35:21.50ID:HF+qeXaj
侑「閉じよ、凍てつけ、我が手に集いて力となれ。我が敵を打ち砕かんがため」

 侑は、二日前のことを思い返していた。
 墓場のゴーストが使用した氷魔法は二つ。《アイシクルスパイク》と《コキュートス》だ。曲がりなりにも魔導士だからか、後者が今の自分のレベルに合わぬ魔法であることは直感的に理解できた。
 しかし、それより一段劣る《アイシクルスパイク》であれば……!

侑(やり方は《ラピッド》とおんなじだ! 火じゃなくて氷を形成、温度はなるべく低く、しっかりとイメージを保持したまま……)

侑「……うっ!?」

 侑はしまった、と顔を歪ませる。歩夢に迫るハーピーを目にした瞬間、イメージよりも歩夢の心配を優先してしまった。
 氷塊がばしゃりと溶け、甲板に水がぶち撒けられる。

侑「くそっ、失敗した……! あ、歩夢っ!」

【歩夢の回避・コンマ判定】
0〜80 回避
81〜99 命中
0591名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 12:45:03.79ID:HF+qeXaj
歩夢「問題ないよ」

 ぎろり、と歩夢は迫る二つの影を睨みつける。これまで色々な敵と戦ってきたのだ、今更こんな攻撃を受けていたのでは話にならない。

歩夢「……弾く!」
 
 ギィン、と鋭い音を立てて鉤爪と剣が激突! そのまま後方にいなして、迫る二匹目を……!

歩夢「せぁぁぁっ!」

 交差する両者。剣戟の煌めきが輝いて、ずるり、とハーピーの片翼が切断された。

侑「さっすが歩夢!」

歩夢「うん、あともうちょっと!」

 残るは二匹。せつ菜、歩夢の二人は慢心せずに剣を構え直し、侑は今一度イメージに集中する。

侑(さっきは失敗したけど……今度はいけるか?)

せつ菜「一匹は任せてください。さっきので、コツは掴めた気がします!」

【侑の攻撃・コンマ判定】
0〜65 スキル習得
66〜99 失敗
判定下

【せつ菜の攻撃・コンマ判定】
0〜75 スキル習得
76〜99 失敗
判定下2
0593名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 12:48:37.35ID:HF+qeXaj
>>591
すみません、訂正です。
【せつ菜の攻撃・コンマ判定】
0〜75 命中
76〜99 失敗
0596名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 13:01:49.20ID:HF+qeXaj
侑「我が敵を……打ち砕かんがため!」

 ばきばき、と幾つかの氷塊が形成されていく。それだけではない。侑が杖を握りしめると、それは槍のように削られ研ぎ澄まされて、

侑「《アイシクルスパイク》!」

 放たれる! 氷槍の雨は瞬く間にハーピーの一羽を呑み込んで、その身体を地面へと叩き堕とした。

せつ菜「…………ふぅっ!」

 せつ菜は最後の一匹、魔法を放ち終えた侑を狙うハーピーに狙いを定めた。早くもナイフは手に馴染んでいる。ぎらりと輝く刃を逆手に持ち、振るう!

「ギァァァァァッ!!?」

 今度は仕留め損なうこともなく、せつ菜は一撃で心臓を貫いてみせた。

 ……五匹。せつ菜は降りかかった血を拭って、甲板の向こう側を見やる。水夫達も役目を終え、大振りの手斧を担ぎ直すところだった。

【侑が魔法《アイシクルスパイク》を習得しました】
0597名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 13:04:24.60ID:HF+qeXaj
《現時点の装備・ステータス》

【高咲侑】Lv.16 魔導士
E:魔導士の杖
E:黒のローブ
《魔法》ラピッドファイア ミニファイア アイシクルスパイク ヒール

【上原歩夢】Lv.16 剣士
E:鋼の直剣
E:レザーメイル
E:旅人のマント
《スキル》ストライク ラッシュチャージ

【優木せつ菜】 Lv16 弓兵
E:白樺の弓
E:教会のナイフ
E:狩人のベスト
《スキル》疾風四式
0598名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 13:07:35.13ID:HF+qeXaj
 そうして、三人は意外とスリリングな船旅を終え……。

侑「着いたーっ!」

 がやがやと観光客で賑わう〈ウラノホシ〉の港。タラップをどたどたと駆け降りて、侑はうーん、と大きく伸びをした。
 〈ウラノホシ〉は複数の島からなる街であり、島と島との行き来には水上タクシーが用いられる。侑が降り立ったのはその中でも最も大きい島、アワシマだ。
 眼前に広がるエメラルドブルーの海。ヤシの木に似た植生が白い砂浜沿いに並んでおり、港からでも海辺でくつろぐ人々の姿が見える。山の方角に見える宮殿のような建造物は、ダイヤさんの手配したリゾートホテルだろうか。

曜「ヨーソロー! 船旅お疲れ様っ! ハーピー狩りまで手伝ってもらって、ありがとね?」

歩夢「ううん。ここまでありがとう、曜ちゃん!」

曜「ふふ、これが私の職務でありますから! 三人もなんだか大変みたいだけど、ここはリゾート地。肩の力を抜いて楽しんでよ!」

せつ菜「はいっ! 曜さんもお気をつけて!」

曜「うんうん。じゃ、また帰りの時にね〜!」ヒラヒラ
0599名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 13:10:20.79ID:HF+qeXaj
 船へと戻っていく曜を見送って、侑達はどうしたものかと思案する。
 今の時刻はお昼まえ。今すぐ果南のところに向かうのもいいが、寄り道する時間も十分にある。

侑「これからどうしよっか?」パサ

歩夢「侑ちゃん、そのパンフレットはどこで……」

侑「これはね、船の中に置いてあったよ!」

せつ菜「準備が抜かりありませんね。ダイヤさんからの目的を忘れるわけにはいきませんが、少しくらいは見て回れそうです。どこかに行きましょうか?」

侑「うぅ〜ん……」

【侑が選ぶ行動は……】残り2回

1、レストランで食事がてら情報収集。(情報)
2、先にホテルの様子を見に行ってみよう。(情報)
3、あれは……武器商人かな?(買い物)
4、海だ! さっそく海に泳ぎに行こう!(好感度)
5、なんだか、磯場のほうが気になる…。(?)
0600名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 13:10:28.59ID:HF+qeXaj
安価下
0602名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 13:26:07.81ID:HF+qeXaj
侑「う〜〜……ん」

歩夢「侑ちゃん、どうしたの?」

侑「いや、なんだか磯場の方が気になるんだよね……魔導士のカンというか」

せつ菜「……磯の匂い以外に、感じるものはありませんが」クンクン

侑「ちょっと行ってみてもいいかな? 何かあるかもしれない」

歩夢「まあ、時間に余裕はあるし……」

せつ菜「そうですね。あまり人気がないほうですが、少し歩いてみましょう」

 三人は頷き合うと、ビーチを目指す観光客の集団から離れ、反対側の磯場へと向かう。
 打ちつける波が高く舞い上がり、ごつごつとした岩場がそのままに放置されている。リゾート特有の華やかさは皆無だが、釣り糸を垂らせば色々な魚が釣れそうだ。
0603名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 13:37:15.26ID:HF+qeXaj
歩夢「どんどんメインストリートから離れていくけど……そもそも、ここ道じゃないし」

せつ菜「結構滑りやすくなっていますね。注意してください」

侑「ありがとう。うーん、何か……何か見つけられると思ったんだけど……」

侑「んっ?」

 剥き出しの岩場を五分ほど進んだ頃。侑はぴたりと足を止めて、ある一点をじっと凝視する。

歩夢「……侑ちゃん?」

侑「なんか……呼ばれてる、気が……」

せつ菜「ど、どこに行くんですか!? 危ないですよ!?」
0604名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/16(火) 13:41:27.71ID:8j5XOOnk
4!
0607名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 20:40:15.70ID:HF+qeXaj
歩夢「えっ!?」

 歩夢が驚愕するのも無理はない。そこには、小人……としか形容できない生物が、体を横たえていたのである。
 背中には薄く虹色の羽。見た目は幼い少女のそれだが、体長は15センチほどしかない。ぐったりと体を倒し、岩に寄りかかるような体制で倒れている。

せつ菜「な、なんでしょうか、これ」

侑「妖精……としか言いようがないよね」

歩夢「侑ちゃんを呼んだのは、この子……?」

侑「このサイズだし、敵対的な魔物とは思えないけど……とりあえず、弱ってるみたいだから治してあげよっか」

侑「光よ、命よ、我が命に従い躍りたまえ」

侑「……《ヒール》」

 侑の掌に集まった光が、妖精(?)の小さな身体に吸い込まれていく。しばらくして、彼女はゆっくりと瞳を開けた。
0609名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 20:45:06.20ID:HF+qeXaj
侑「あ、目を覚ましたみたい」

「るる……るるる……」

 侑の《ヒール》はそれなりに効いたらしい。妖精はふわりと舞い上がると、にこにことした笑顔を浮かべて侑の頬にすり寄ってくる。
 
歩夢「ふふっ、なんだか可愛いね」

せつ菜「この子は、妖精さん……でいいんでしょうか。誰かに聞いてみない限り、名称が分かりませんね」

侑「まあ、悪い子じゃないみたい」

 侑の掌にそっと降り立つと、妖精はむむむ、と両手を突き出した。何をするのかと思いきゃ、妖精の目の前に、小さなリング状の物体が形成されていく。

「るるる……るる!」

 それはすぐに実態を持つと、ぽとり、と侑の掌に落下した。

侑「これは……指輪?」
0610名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 20:51:45.57ID:HF+qeXaj
「るるる!」

 恩義を感じているのだろうか。言葉は理解できなくとも、その言わんとするところは分かる。助けてくれたお礼に、この指輪を渡そうというのだ。
 それは深い海のような蒼色で、微かに魔力を秘めているようだった。

歩夢「うわあ……綺麗だね!」ワクワク

侑「そっかそっか、ありがとね。くれるって言うのなら、ありがたく頂いておくよ」

 人差し指で頭を撫でてやると、妖精はくすぐったそうに目を細め、ふわりと飛び上がった。
 小さな光の残滓を振り撒きながら、海の向こうへと飛んでいく。その先には群島の一つがあった。もしかすると、向こうの島に住処があるのかもしれない。

侑「気をつけて帰るんだよー!」

せつ菜「……しかし、不思議な体験でしたね。侑さん、その指輪はどういった力があるんでしょうか?」

侑「うーん……なんとなく、今までより氷系の魔法が使いやすくなった気がする!」

歩夢「素敵な出会いだったね!」

【侑が「水妖精の指輪」を入手しました】
※氷魔法を使用する際、命中率、成功率に5%の加算補正がかかります。
0611名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 20:55:06.88ID:HF+qeXaj
侑「さてさて。変な脇道から、〈ウラノホシ〉のメインストリートに戻ってきたわけだけど」

せつ菜「やはり観光客の往来が激しいですね。色々な種族の方が遊びに来ていて、〈王都ホムラ〉とはまた違った賑わいがあります」

歩夢「夕方には果南さんのところに向かいたいけど、まだ時間に余裕はあるね」

侑「そうだね。じゃあ、どうしよっかな……」


【侑が選ぶ行動は……】残り1回

1、レストランで食事がてら情報収集。(情報)
2、先にホテルの様子を見に行ってみよう。(情報)
3、あれは……武器商人かな?(買い物)
4、海だ! さっそく海に泳ぎに行こう!(好感度)
安価下
0614名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:08:55.88ID:HF+qeXaj
【レストラン】

 がやがやと混み合う室内。王都のそれとは違って、この街のレストランはいかにも南国風だ。店内にはヤシの木が飾られ、テラスは開放的に開けている。目の前には白く輝く砂浜があり、引いては寄せるエメラルドブルーの波が美しい。

「実は今日、泳ぎに来たのに水着を忘れて……」

「このメダカエビのホイル焼き! なかなか美味しいじゃない! 堕天使も認める美味さねっ!」

「そういえば、東の群島のほうで魔物の被害が……どうも例の洞窟に誰も近寄らないせいで……」

 見ると、水着のまま食事をしている客も多い。というか、この島で見かける観光客の半数ほどが水着でうろついている。中々に開放感に溢れた街のようだ。

歩夢「なんだか色々聞こえてくるね。食事の前に、情報を集められそうなら集めておこっか」

せつ菜「この島について、なかなか知らないことが多いですからね」

「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」

侑「あ、はい。あの、その前にちょっとお伺いしたいんですけど……」
0616名無しで叶える物語(茸)
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2021/02/16(火) 21:11:50.47ID:sHpt+LVw
海魔に惹かれる侑ちゃんエッと思ったけど全然そんなことなかった
にっこり
0617名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:15:22.33ID:HF+qeXaj
 長話に付き合わせることをやや申し訳なく思いつつも、侑は色々なことを尋ねてみた。
 この島のこと。果南という少女のこと。財宝が眠るという洞窟のこと。海底に残された遺跡のこと。

「〈ウラノホシ〉は6つの小島と、1つの大島から成る群島の街です。中心であるこの島はアワシマといいますが、分かりやすく「本島」と呼ぶ人が多いですね」

「果南さん……は、この島に住む人間で知らない人はいないですよ。誰もが頼る、〈ウラノホシ〉のヒーロー……みたいなものですね」

「例の洞窟ですが……聞いたところによると、死した海賊達が骨となって彷徨っているとか。一般人にはかなり危険ですが、貴方達であれば問題ないかもしれません」

「海底遺跡ですか。遺跡といっても、水に沈んだ古代の建物群をそう呼んでいるだけです。洞窟に比べれば、財宝や大発見の類は期待できないと思いますよ」

侑「……なるほど、ありがとうございます! すみません色々聞いちゃって、そのぶんたくさん注文しますね!」

「いえいえ、お気になさらず。どうか〈ウラノホシ〉を心ゆくまで楽しんでいってください♪」
0618名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:22:15.73ID:HF+qeXaj
 長話に付き合わせたお詫びも込めて、運ばれてくる海鮮メニューをたらふく食べ終えた三人。ダイヤが食費をたっぷり支給してくれたので、どうも遠慮なしである。
 気がついた時には西日は水平線に没し、すっかり夕方の時分に差し掛かっていた。

侑「さて……じゃあ、そろそろ行こうか」

歩夢「果南さんに会いにいく、だね。ダイヤさんからのお手紙を渡さなくちゃ」

せつ菜「聞いたところによると、この〈ウラノホシ〉で知らぬ人はいない人物のようですが……」

侑「かっこいい人なんだろうなー。だって、ダイビングショップもしてるんでしょ? 絶対スイミングスーツが似合う感じの美女だよ」

歩夢「ダイヤさんは頑固な人だって言ってたけど……でも、そこまで怖がらなくてもいいよね?」

せつ菜「気が合いそうとも仰ってましたから、硬くなりすぎないように行きましょう!」

 果南の家、および彼女が経営するダイビングショップは、本島の近くにある小島にあるという。
 〈ウラノホシ〉の主要な交通手段である水上タクシーを呼び止めて、三人は果南が住むという小島に向かったのだった。
0619名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:24:17.86ID:HF+qeXaj
 ざざん、ざざん……と、海が鳴いている。

果南「ふー、今日も一日終わりっと」

 水に濡れた髪を掻き上げて、果南は人のいなくなった海辺を歩く。日が沈めば家へと戻り、日が登れば海へと向かう。なかなか単純で平凡な日々だが、そも単純思考な自分にはぴったりだ。

果南「んー、明日もどうやら晴れそうだね」

 夕日が沈み、水平線の彼方に消えていく。
 果南はこの景色が好きだった。昼間の海とは様相ががらりと変わり、夕日を受けて鮮やかなオレンジに染まる。きらきらと乱反射する波間はまるで何千何万もの宝石を敷き詰めたようで、思わず目を細めた。

果南「……海、かあ」

 でも、ふと考えてしまうのだ。
 この景色が好きで、この島が好きだけど。
 それでもあの海のずっとずっと先には、知らない世界が広がっていて、知らないことがたくさんあって。
 何も考えずに飛び出していければ、たくさん楽しいことがあるのかもしれないな、なんて。

果南「……やめやめ。私は外になんて興味ないんだ。私がいるべき場所はここなんだから」

 頭を振って、つまらない思考を打ち止める。
0620名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:27:38.40ID:HF+qeXaj
果南「で、あなた達はお客さん? 残念だけど、もう営業時間は過ぎてるよ」

 くるり、と振り返る。そこには、果南を見つめる三人の少女が立っていた。見慣れない顔だ。恐らくはどこかからの観光客だろう、と当たりをつける。

侑「あ、えっと……」

歩夢「すみません。そういう目的ではなくて、あなたに渡したいものがあって来たんですっ」

果南「へぇ、渡したいもの?」

侑「コーサカ王国の右大臣。ダイヤさんから、貴方宛のお手紙です!」

果南「────────────」
0621名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:28:50.21ID:HF+qeXaj
>>620 訂正です
×侑「コーサカ王国の右大臣。ダイヤさんから、貴方宛のお手紙です!」
○侑「コーサカ王国の左大臣。ダイヤさんから、貴方宛のお手紙です!」
0623名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 21:31:44.03ID:HF+qeXaj
果南「……なるほどね。ダイヤの奴、私が手紙を受け取らないと知ってこう来たか」

果南「はあ、その手紙は読めないよ。私は王国のゴタゴタに干渉したくないんだけどな」

侑「そんなこと言わずにお願いしますっ! 折角ここまで来たんです、成果ゼロじゃ帰れませんっ! そんなことしたら多分ダイヤさんにしこたま怒られます!」

歩夢「そ、そうです! せめて読むだけでも……!」

侑「ぁす! ぉねぁいしゃすっ!」ガバッ

果南「……な、なんか調子狂う子らだなぁ。分かったよ、読むだけ。読むだけね。その上で貴方達に答えを伝えるから、お城のダイヤに伝えてあげて」

歩夢「は、はい!」

果南「……はぁ、ったく。ずっと立ち話っていうのも疲れるから、ウチに来なよ。大したものは用意できないけど、これからどんどん冷えるからね」
0624名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 21:33:18.64ID:HF+qeXaj
【果南の家】

 表通りの裏に回って林の中へ。舗装されていない道を果南について行くと、木々の向こうに一軒の家が見えてきた。
 自然素材を活かした造りで、家というよりは南国のコテージに近い。木材で作られた壁には幾つかのサーフボードや、ごてごてとした器具、釣り竿や浮き輪なんかが立てかけられている。

果南「そこに座ってよ。お茶でも淹れるからさ」

せつ菜「ふわぁ……やはり城下街とは違って、建築物の様相も大きく変わりますね……」

果南「あはは。これでも結構住みやすいんだよ、ここらの気候にあった造りをしてるからね。ほら、どうぞ」

侑「ありがとうございます! ずずず!」

果南「うん……じゃ、早速本題に入ろうか。ま、手紙の内容は大方予想つくんだけどね。どれどれ」

果南「『最近魔物の動きが活発になったことは、貴女も知っての通りだと思います。先日は王城に天魔族が侵入し、あわやという事態にまで陥りました。この国難に際して、「聖騎士」である貴女の力をお借りしたく、こうして手紙を書いています……』」

歩夢「えっ!? 聖騎士!?」
0625名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:36:34.85ID:HF+qeXaj
果南「ま、正確にはそうじゃないんだけどね。私は聖騎士の資格を持っているだけの一般人」

せつ菜「資格……というのは、どういうことでしょう?」

果南「「聖騎士」ってのはね、人間の突然変異種みたいなものなんだよ。ある程度血筋も影響するみたいだけど……普通の両親から生まれた子供が、桁違いの魔力や人外の力を持って生まれることもある。私もその一例」

果南「選ばれちゃったからには、この力を王都で役立てるべきなのかもしれないね。でも私は、離れたくないの。だって本土に行ってしまったら、私の手はここまで届かない。この〈ウラノホシ〉を守る人間がいなくなる」

果南「……だから、私はここに残ってるんだよ。あの海を、この木々を、大好きなここの人々を失いたくないから。この場所を離れるわけにはいかないんだ」

侑「好きだから、離れない……」

果南「ま、これは私のわがままなんだけどね」

 「好きだから」と語るその表情には、しかしどこか陰りのようなものがあるように思えて。
 けれど、侑にはその理由を考えられず……他の二人も同様に、果南の瞳を見つめることしか出来なかった。
0626名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/02/16(火) 21:41:26.63ID:o8Rnfn3I
強キャラっぽいのが攻めて来るのに3人でどうにかなるのかと思ってたけど、果南ちゃんも強いから大丈夫そうなのか
0627名無しで叶える物語(らっかせい)
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2021/02/16(火) 21:44:07.41ID:gW2mVwpi
歩夢の装備の強化も欲しくなっちゃう
0628名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:44:24.41ID:HF+qeXaj
わりと登場人物が増えてきたので、整理したものを載せておきます。

〈王国側〉
【国王】 穂乃果パパ
【王妃】 穂乃果ママ
【王女】 高坂穂乃果
【第二王女】 高坂雪穂

【右大臣】 南ことり
【左大臣】 黒澤ダイヤ

【聖騎士長】 園田海未
【聖騎士】 宮下愛、黒澤ルビィ、近江彼方、(松浦果南)


〈帝国側〉
【魔王】 絢瀬絵里
【四幹部】 東條希、矢澤にこ、桜内梨子、津島善子


〈その他〉
【コッペパン屋さん】 中須かすみ
【教会のシスター】 桜坂しずく
【連絡船の船長】 渡辺曜
0633名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 21:59:29.76ID:HF+qeXaj
 果南の意思は硬いらしく、ひとまず、三人は今夜の宿へと引き返すことになった。
 
侑「果南さんの水上バイク、かっこよかったね〜!」

歩夢「水上タクシーを見た時も思ったけど、あれってどういう原理で動いてるんだろう?」

侑「多分、風魔法を発生させる何らかの機械を組み込んで、動力を生み出してるんじゃないかな。エンジンがかかった時、魔力の発露を感じたし」

せつ菜「私にはさっぱり分かりませんでした。やはり、魔法に関しては侑さんに一日の長がありますね」

 そんなことを言いつつ、人気の少なくなったメインストリートを歩いていくと、大きな建物が見えてくる。煌びやかな装飾が施されたエントランスは、小市民な侑からすると中々に入りづらい。いかにもな高級感が漂っている。

侑「ダイヤさん、滅茶苦茶いい宿手配してくれてるじゃん……こりゃあますます果南さんを説得するしかなくなったよ」

せつ菜「言外の期待が込められているようで、プレッシャーが辛いです……」クゥン
0634名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/16(火) 22:02:03.24ID:HF+qeXaj
「ハァイ! 貴方達、もしかしてウチのお客様じゃない?」

 突然背後から声をかけられ、びくりと三人は身体を震わせた。振り返ると、艶やかな金髪をなびかせる美しい少女が立っている。

侑「あー……えっと、はい。高咲って言うんですけど」

「まぁ! もしかして、ダイヤが言ってた三人組!? 期待はしてたけど、実物はとってもキュートね!」

せつ菜「し、失礼ですが……どなたでしょうか?」

 せつ菜の問いかけに、少女は勿体ぶるようにわざとらしく咳込み。悪戯好きそうな笑顔を浮かべて、

鞠莉「私は小原鞠莉。この「ホテルオハラ」の支配人、兼、ダイヤのお友達よ。よろしくね♡」

歩夢「えっ……ええ〜っ!?」ガビン

鞠莉「うふふ、素敵なリアクションありがと。貴方達のお部屋はちゃんと用意してあるから、心ゆくまでこのリゾートを堪能して頂戴ね?」ニコ
0635名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/16(火) 22:06:08.89ID:HF+qeXaj
今日は一旦ここで切ります。
0639名無しで叶える物語(らっかせい)
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2021/02/17(水) 01:03:01.16ID:pLD/DpW6
乙乙
読みやすく展開とってもワクワクします
次の更新も楽しみにしています
0642名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/17(水) 14:15:07.58ID:jRt1sbvv
>>628

助かる、ありがとう
0646名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2021/02/18(木) 01:07:17.74ID:63TE7/7p
ほしゅっしゅのしゅ
0649名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2021/02/18(木) 20:40:24.32ID:NHKygKmw
保守
0655名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/02/19(金) 19:12:27.34ID:pXrZrClf
支援保守ありがとうございます。21時あたりから再開します
0659名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/19(金) 21:32:43.81ID:Sw9nzf7O
再開します
0660名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 21:33:55.23ID:Sw9nzf7O
侑「まさか異世界で、こんな良質なベッドに飛び込める日が来るなんてな〜!」ボフン

 ホテルの支配人、小原鞠莉との出会いの後。
 豪勢な食事に舌鼓を打ち、煌びやかな大浴場で疲れを癒したのち、侑は大きなベッドの上をごろごろと転がっていた。

侑「……これはなんとしても果南さんを説得しないと、ますます立つ瀬がなくなるね。マジで」

侑「うーん、果南さんは「ここを離れたくない」って言ってたけど、なーんか違うような気がするなあ。言い訳してる感じ、っていうか」

侑「でも、まだよく分からない……明日からは、果南さんについての情報集めが主な目的になるかな」

侑「それはそれとして、今夜は時間がありそうだね。せっかくリゾートに来たんだし、どこか遊びに行こうかな」

侑「ということで……深夜のデート企画! 開催っ!」

【侑の行動は……】
1、歩夢を誘う
2、せつ菜を誘う
安価下
0662名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 21:45:48.43ID:Sw9nzf7O
侑「おーい歩夢〜」ガチャ

歩夢「侑ちゃん! もう、相変わらずノックの一つもしないんだから……」

侑「えへへ。ね、いま暇? ちょっと歩こうよ」





歩夢「わぁ……♪」

 ざざん……ざざん……と、波の音だけが響いている。
 夜の帳が下りたビーチ。昼に比べて人気はすっかりなくなって、どこか幻想的な雰囲気が漂っている。見上げれば息を呑むような星空が広がっていて、なかなかにロマンチックな光景だ。

侑「異世界にも月はあるし、星もあるんだね。すごく今更だけど」

歩夢「うん。でも……私達の知る夜空より、ずっと綺麗だよ」
0663名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 21:57:46.34ID:Sw9nzf7O
侑「もしかして、帰りたくなくなった?」

歩夢「そ、そんなことないよ! 確かに夜空が綺麗だねって言ったけど!」

侑「ふふっ、冗談だよ冗談。歩夢はいちいち面白いなあ」

歩夢「も……もうっ。いっつもそうやって……!」プクゥ

 侑の笑い声が、闇に沈む海に吸い込まれていく。
 爽やかな風が気持ちいい。砂浜の上でくるくると回ってみせる侑を眺めながら、歩夢は瞳を細めた。

歩夢「ねえ、侑ちゃん」

侑「どうしたの?」

歩夢「私が、この空を綺麗だって思えるのも……この海を心の底から楽しめるのも……全部、侑ちゃんがいてくれるからなんだよ?」
0664名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:09:57.40ID:Sw9nzf7O
歩夢「たまに考えるんだ。この世界に一人で来てたら、どうなってたんだろうって」

歩夢「そうしたら多分、この空を見上げる余裕もなくて、こんなところに来る機会もなくて。きっと、ずっと泣いて過ごすだけだったと思う」

歩夢「ううん。多分、最初の最初で死んじゃったかもね」

歩夢「私は、侑ちゃんにたくさんの幸せをもらってるの。それこそ、返しきれないくらい……」

侑「……歩夢」

歩夢「だから、ありがとう。私に、この世界の美しさを教えてくれて」

 夜の海辺で、きらきらと輝く水面と星空の狭間で、にこりと笑う歩夢は……ずっと一緒に生きてきた侑からしても、とびきりに綺麗だった。

 どくん、と心臓が強くなった気がした。

 その理由は分からない。侑は自然と顔が熱を帯びているのを感じた。さっきまでは涼しいと思っていたのに、今は得体の知れない熱さを抱えている。

侑(ど、どうしよう。なんだか、いい雰囲気……?)

【侑の行動は……】
1、話題を当たり障りのない内容に切り替えよう!
2、いや! もっと深く踏み込んでみる……!?
安価下
0666名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:18:24.87ID:Sw9nzf7O
侑「…………ぁ、歩夢、ってさ」

歩夢「なに?」

侑「もしかして……私のこと、好きなの?」

 瞬間、世界が停止した。
 ダンプカーの群れに追突されたかのような、新幹線と正面衝突したかのような、とにかく形容し難いほどの凄まじい衝撃が、歩夢の身体を打ち据えたのだ。
 
侑「あ、別に友達としてじゃないからね? ……れ、れっ、恋愛的な……意味の、話だよ?」

 更に追撃! ますます威力を増した不可視の衝撃が歩夢の身体に伝播して、思わず膝をつきそうになる。
 しかし、耐える! 凄まじい精神力をもって耐える歩夢。この時を十年以上待ちわびたのだ、ようやく、ようやくこの鈍感な幼馴染が、人の好意に気付こうとしているのだ!

歩夢「わた──わたし────わたしは────」

侑「ちょっ!? 歩夢!? なんでそんな、今にも倒れそうな顔してるの!?」

歩夢「……私は好きだよっ!!!!!」

侑「!」
0667名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/19(金) 22:25:32.85ID:Sw9nzf7O
歩夢「好き! 侑ちゃんが好きっ! ずっとずっと、私は侑ちゃんのことが大好きだよ!」

歩夢「この気持ちは「友達として」なんかじゃない! 私は恋愛感情として、侑ちゃんのことを愛してるんだもんっ!」

侑「あ、愛……って///」

歩夢「やっと! 気付いてくれたの!?」

侑「あ……えと、その……う、うん。たぶん」

@cメ*◉ _ ◉リ「多分ってなに!?」クワ

侑「顔こわっ! い、いや今のは違くて、その、ごめん、いきなりのことで頭が混乱してるっていうか」

侑(ま、まさかと思って聞いてみたけど、こんな全力で肯定されるとは思ってなかったよ〜……!)

侑「お、女の子同士なんだよ? いいの?」

歩夢「寧ろダメな理由、あるかな?」

侑「あ、えっと……ない……のかな、うん」
0669名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/19(金) 22:31:21.87ID:GQKb1/k6
これ大丈夫か?ハーレムにはならないよな?
0670名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:35:01.28ID:Sw9nzf7O
侑「……ごめん。こんなこと聞いといてなんだけど、私はまだ答えが出せそうにないや。今は頭の中がごちゃごちゃだよ」

歩夢「うん。いいよ、別に?」

侑「ええっ!? あ、歩夢が告白してくれたのに、私はまだ気持ちが分からないって言ってるんだよ!? それでもいいの!?」

歩夢「だって、侑ちゃんだもん。迷って返事を先延ばしにしそうだな〜ってことは予想してたの」

侑「そ、そうなんだ……なんでもお見通しだね……」

歩夢「も〜、ずっと幼馴染をやってるんだよ? このくらい当たり前

侑「わっ、う、腕まで組んじゃうの!?」

歩夢「だって、侑ちゃんは私の気持ちに気づいてくれたんだもん。これからは遠慮なしで頑張るよ!」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「ふふふ……ついに、ついに大きな一歩を踏み出せたよ……!」

侑(た、大変なことになっちゃったのかも……)

【歩夢の好感度が"10"→"30"に変化しました】
0672名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:42:58.61ID:Sw9nzf7O
【二日目・翌朝】

侑「ふわぁ〜あ。昨日はあんなことがあったせいで、あんまり眠れなかったよ……」ムニャムニャ

せつ菜「何かあったんですか?」

侑「え゛ぇっ!? あ、えっと……なんでもない」

せつ菜「き、気になりますぅ! そんな風にはぐらかされると! なんで顔が赤いんですか!?」

侑「そ、そう! それより今日も時間を有効に使おうよ! 〈ウラノホシ〉にいられるのもあと三日、その間になんとか果南さんを説得しないと!」

せつ菜(露骨に話題をすり替えられましたね……)

侑「あれ、そういえば歩夢は?」

せつ菜「さっきからずっとあそこで海を見ています」

@cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「」ニコニコ…

侑「こわっ」
0673名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:44:39.64ID:IXTf7bgn
恋愛要素だけはマジでいらねぇな
龍狩りの時も思ったけど
0674名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:47:43.16ID:0gOO2wk4
ゲーム的には二人とも上げていって補正を強くすれば。やってることはちょっと酷い気がしなくもないけどw
0676名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:49:04.56ID:mibIzbAx
龍狩り龍狩りってほんと好きだな
ここまで劣化してれば同作者でもそうでなくても別物だろうよ
素直に目の前の作品に浸ろうや
0678名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:54:27.52ID:Sw9nzf7O
侑「ま、まあいいや……とりあえず歩夢は置いておいて、今日何をするか決めちゃおう」

侑「第一目標が果南さんについての情報収集として……それ以外にも、色々とやってみたいことはあるよね」

せつ菜「昨日立ち寄れなかったところや、例の洞窟、海底遺跡なんかもありましたね」

侑「前にレストランで聞いた話なんかも考慮して、ちょっと考えてみよっか」


【侑が選ぶ行動は……】残り2回 ※3と4の選択肢は時間を要するため、行動権を2回分消費します
1、ホテルの支配人、マリーさんに話を聞こう!(情報)
2、む、このチラシは……「水着美女コンテスト」?(金策)
3、果南さんに頼んで、海中遺跡探索だ!(情報)
4、例の洞窟に行ってみよう!(探索・戦闘)
安価下
0679名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/19(金) 22:56:54.24ID:0gOO2wk4
他のも気になるけど、せっかく本屋さんで情報を得た洞窟に行ってみたいので4
0680名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 23:05:04.48ID:Sw9nzf7O
侑「時間かかりそうだけど、財宝があるとかいう洞窟に行っておこうかなー」

せつ菜「つまり冒険ですね!」ワクワク

歩夢「洞窟に行くの? じゃあ、しっかり準備していかないとね」ムン

侑(歩夢、いつのまにか元に戻ってる……)

せつ菜「当然ながら、危険も多く待ち受けていると思います。今まで温存していたアイテムも活用して、全力で臨みましょう!」

歩夢「せっかく所持金が20000Gもあるんだし、何か新しい武器や防具を用意していく? 海辺の方には商人さんもいるみたいだけど」

侑「う〜ん……どうしよっか」

【侑の行動は……】
1、折角だし寄っていこうかな!
2、まあ大丈夫じゃないかな?
安価下
0683名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 23:36:19.26ID:Sw9nzf7O
【武器商人の露天】

侑「よく考えたら、私たち〈ヌマズ〉の村からずっと同じ装備でここまで来たんだよね……」

せつ菜「まだまだ使えそうですが、そろそろ幾つかは買い替えてもいいかもしれませんね」

歩夢「色々売ってるみたいだね。えっと……」

〈歩夢〉
【海鳴の剣】 ☆☆☆
10000G
水属性を秘めた剣。魔力を通しやすい。

【カイトシールド】 ☆☆
6000G
オーソドックスな盾。防御性能が上がる。

〈せつ菜〉
【コンポジットボウ】 ☆☆
7000G
複数の材料を組み合わせ、威力を上げた弓。

〈侑〉
【クエイクスタッフ】 ☆☆
7000G
大地を思わせる長杖。先端の宝石が熱を有する。

※ 武器名の右側に表記されている☆が増えるほど、装備としての質が高くなります。現在三人が身につけている装備は全て☆1つ分の品質です。
0684名無しで叶える物語(鮒寿司)
垢版 |
2021/02/19(金) 23:41:29.30ID:Sw9nzf7O
侑「……武器はこんな感じか。で、防具のほうは」

〈歩夢〉
【チェーンドレス】 ☆☆
6000G
鎖を編み込ませた軽装鎧。わりと頑丈。

【コンバットアーマー】 ☆☆☆
11000G
合金で作られた鎧。堅牢さには自信がある。

〈せつ菜〉
【疾風のマント】 ☆☆
6000G
着るだけで素早く動けるという外套。

〈侑〉
【魔導士のドレス】 ☆☆☆
10000G
魔導士の集中を助けるというドレス。

せつ菜「う、さすがにお高いのが多いですね」

歩夢「所持金は【20000G】だけだから、ちゃんと考えて選ばないとね」

【買い物判定】
買いたいものを一つ書き込んで指定してください。所持金が限界に達した時点で買い物は終了します。
>>687からスタート。
0692名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/19(金) 23:50:45.93ID:6vu2Jo3J
よし財宝めっかったら売ろう
0693名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2021/02/19(金) 23:59:38.85ID:Sw9nzf7O
杖と鎧で進めます。一旦今日はここまでで。
0695名無しで叶える物語(おにぎり)
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2021/02/20(土) 01:34:24.44ID:jm39onWN
好感度10→30?
もう100近いだろこれw
0698名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2021/02/20(土) 14:10:23.63ID:1zrhZFmY
保守
0700名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/20(土) 14:31:43.23ID:wctCPF59
恋愛パートはいる(鋼の意思)
0703名無しで叶える物語(光)
垢版 |
2021/02/20(土) 16:24:25.84ID:bR6wVHAf
これが現実設定だとクリスマスだの正月だのバレンタインだのイベント毎に苦渋の選択をしなくちゃいけないからファンタジーで良かった
0706名無しで叶える物語(SIM)
垢版 |
2021/02/21(日) 06:25:55.63ID:jjD5Ri5F
エマさんはこの世界でも牛乳屋さんで
0707名無しで叶える物語(やわらか銀行)
垢版 |
2021/02/21(日) 10:59:49.67ID:YuWS4PMJ
未登場キャラがどういう役職になるのかも楽しみよね
0709名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/02/21(日) 19:52:25.60ID:GsrZOrcE
ちょっとずつ再開します
0710名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/02/21(日) 19:53:15.04ID:GsrZOrcE
侑「よーし、じゃあ【クエイクスタッフ】と【コンバットアーマー】にしよっか。計18000G!」

歩夢「ほ、ほんとにいいの? かなり頑丈そうだけど、結構高いよ?」

せつ菜「歩夢さんはいつも前線に出て、危険を承知で戦ってくれますから。防具はいち早く整えるべきです!」

侑「そうだね。そろそろ今の【レザーメイル】じゃ頼りなくなってきたもん。だから歩夢の防具と……」

せつ菜「侑さんの新しい杖ですね」

侑「いやぁ、こういう時に自分で言いだすのもどうかと思ったんだけど……これ! って気がしたんだよね」

歩夢「侑ちゃんがそう感じたなら、買って損はないんじゃないかな」
0711名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/02/21(日) 19:54:16.89ID:GsrZOrcE
侑「せつ菜ちゃんの新装備を買えないのが残念だけど……」

せつ菜「いえいえ、私は以前に教会のナイフを貰ってますから。あまり気にしないで下さい!」ペカー

侑「いつもせつ菜ちゃんの笑顔には助けられるね……じゃあ、これにしよっか」

侑「すいません、これとこれを……」





歩夢「字面の物々しさのわりに、結構おしゃれな造りだよね。実用性を損なわないくらいにおしゃれさが盛り込まれてるよ」

侑「わっ! 新装備の歩夢も可愛いYO!」

せつ菜「確かに、とってもいいデザインです!」

歩夢「ふふ、ありがとう♪ これでもっと頑張れるよ!」

【歩夢が【コンバットアーマー】を装備した】
【侑が【クエイクスタッフ】を装備した】

【外した装備を売却し、3000Gを入手しました。現在の所持金は5000Gです】
0712名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 19:55:45.96ID:GsrZOrcE
《現時点の装備・ステータス》

【高咲侑】Lv.16 魔導士
E:クエイクスタッフ ☆☆
E:黒のローブ ☆
E:水妖精の指輪 ☆☆
《魔法》ラピッドファイア ミニファイア アイシクルスパイク ヒール

【上原歩夢】Lv.16 剣士
E:鋼の直剣 ☆
E:コンバットアーマー ☆☆☆
E:旅人のマント ☆
《スキル》ストライク ラッシュチャージ

【優木せつ菜】 Lv16 弓兵
E:白樺の弓 ☆
E:教会のナイフ ☆
E:狩人のベスト ☆
《スキル》疾風四式
0713名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 20:08:43.14ID:GsrZOrcE
【財宝の洞窟】

 件の洞窟は、本島を取り囲む6つの小島のうちの1つにあるらしい。海上タクシーで小島へと渡り、現地の人々にも話を伺いつつ、海辺に沿って奥へと進んでいく。
 住居が消え、人が消えて、寂しい海辺を淡々と進んでいく。そうして、島を半周してしまうほど歩いた先に……、

侑「あ……あった!」

 異質な雰囲気を放つ洞窟が、まるで顎のように開いていた。
 思わず侑は振り回して遊んでいた流木を放り投げ、背負った長杖に意識を向ける。

せつ菜「……それっぽい雰囲気がだだ漏れていますね。これは人が近寄らないのも頷けます」

歩夢「ここに入るのかあ……」

侑「今更だけどちょっと怖くなってきたよ」
0714名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 20:10:19.78ID:GsrZOrcE
侑「えっと……《ミニファイア》」

 光源代わりの小火球を傍に出現させ、侑は洞窟の奥を睨む。流石に奥までは見通せないが、どうやらかなり深そうだ。

せつ菜「よく見えますね! ありがとうございます!」

歩夢「侑ちゃん、他の魔法は使えそう?」

侑「うん、流石に炎には慣れてきたからね。温度を下げて負担と消費魔力を減らしてるから、このままでも支障はないよ」

歩夢「良かった……松明、売ってなかったもんね。リゾートで使うものでもないし、当たり前なんだけど」

せつ菜「明かりがない環境ですから、侑さんの炎がありがたいです」

 三人は武器を抜き、いざ、魔と財宝が潜むという洞窟へと足を踏み入れていく。
0716名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 20:27:40.03ID:GsrZOrcE
侑「……コウモリとか蜘蛛とかいそうなもんだけど、一匹も見当たらないね」

せつ菜「そもそも生物の姿がありません。海賊がいたと言うわりには、人がいた痕跡もありませんし……不気味ですね」

歩夢「せつ菜ちゃん、どう?」

せつ菜「……いえ。今のところ、特に何も感じません。磯の匂いが強くて嗅ぎ取りづらいですが……」クンクン

 せつ菜の鼻は強力な武器として働く、ということを、冒険に不慣れだった三人もようやく認識していた。
 暗がりの向こうから敵が接近してきたとしても、それより先にせつ菜が気づく。歩夢、せつ菜、侑の順番に並びつつ、三人は慎重に進んでいく。

歩夢「……待って、道が分かれてるみたい」

侑「本当だ。表札なんてあるわけないし……どうしよっか」

せつ菜「匂いも……うーん、特に変化はありませんね。どちらに行くべきでしょうか」

【侑の行動は……】
1、右を選ぶ。
2、左を選ぶ。
安価下
0719名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 20:42:08.79ID:GsrZOrcE
侑「……よーし、右を選ぶよ!」

せつ菜「うう……何もないといいんですが……」

歩夢「立ち止まるわけにもいかないし、とりあえず進んでみよっか」





せつ菜「……っ!」

 せつ菜の耳がぴんと逆立つ。何らかの匂いを感知したらしい。にわかに三人は警戒体制に移る。

歩夢「近い?」

せつ菜「はい。ですが、何かの体臭のようなものは感じません。これは……血の匂いです」

侑「……まさか、人の?」

せつ菜「そうですね、今度は間違いありません。でも、かなり薄い……かなり時間が経っているのかも」

歩夢「とりあえず、進んでみよう」
0720名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 20:49:56.25ID:GsrZOrcE
 三人が洞窟の中で見つけたのは……目を覆いたくなるような光景だった。

侑「うっ……!?」

 思わず目を逸らしてしまう。侑の炎が照らし出していたのは、死体だった。
 既に白骨と化した死体が幾つも。その中に、まだかろうじてカタチを保っている死体が3人分混じっている。床にぶち撒けられた血の赤が生々しい。

歩夢「こ……こんな、こんな……」ブルブル

せつ菜「歩夢さん、大丈夫です、落ち着いて下さい。私たちがついていますから」

歩夢「ありがとう、せつ菜ちゃん……」

 死体を見た経験なんて、あるわけがない。三人はその姿を見て、改めて「死」の身近さを実感する。

侑「……時間は、経ってるみたいだね。この人たち、私たちと同じような目的でここまで来たのかな」

せつ菜「解せません。何か魔物がいるわけでもないのに、なぜこんなにも沢山の死体が」
0721名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 20:53:52.04ID:GsrZOrcE
侑「……敵の匂いがないってことは、昔はここに「何か」がいたけれど、今はいなくなったのかも」

歩夢「お、奥にそれがいるって可能性は……」

侑「あり得るね。その場合は……戦うしかない」

せつ菜「流石に臆しそうになりますが……ここまで来て、というのも残念です。行ける限りは行ってみましょう」

歩夢「……うん。そうだね、勇気を出さなくちゃ」

 いったい何人がここで命を落としたのか、考えるのはやめにした。散乱する白骨に辟易としながらも、三人は前に進む。

侑「なんとなく、もう少しだって私のカンが告げてるんだよ。ここさえ乗り切れば……」

 そして、死体を踏み越えて進まんとしたその時。
 侑の背後で、からからという音がした。
0723名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 20:58:56.94ID:GsrZOrcE
侑「え?」

 侑が振り返る。
 そこには、白骨が"立っていた"。
 思考が止まる。骨だけとなった右手には錆びたサーベルが握られ、からっぽの眼窩がこちらをじっと見つめている。それはゆっくりと刃を振り上げ、

侑「………………っ!?」

 ようやく、侑は停止していた思考を取り戻した。
 それと同時に、鈍く光るサーベルが振り下ろされる!

【コンマ判定】
0〜70 回避
71〜99 負傷
判定下
0726名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 21:10:45.48ID:GsrZOrcE
侑「うわあああああっ!?!?」

 なりふり構わずに飛び退いた直後、その空間をざらざらの刃が一閃した。
 その悲鳴に、先行していた二人が気付く。反応は侑とあらかた同じだった。白骨が動くという現象を、最初はなかなか脳が処理しようとしないのだ。

侑「ねえっ!? ねえっ!? 何!? なんなのあれは!? 武器持ってるんだけど!? ガイコツが動いてるんだけど!?」

歩夢「……おばけ、屋敷の、アトラクショ」

侑「そんなわけないじゃん!」

せつ菜「……はっ、びっくりしすぎて固まっていました。侑さん、落ち着いてください。どうやらあれは魔物のようです」

侑「ま……魔物? あれが!?」

せつ菜「はい。"スケルトン"や"スパルトイ"などと呼称される魔物……だと思います。ようは動くガイコツですね」
0727名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 21:19:44.92ID:GsrZOrcE
歩夢「そういえば、レストランで聞いたよね。死した海賊が骨となって彷徨う……とかなんとか」

侑「そ、そういえばそうだった!」

せつ菜「すっかり頭から抜けてました……」

侑「つまり、あれは死体の山じゃなくて、魔物たちと哀れな犠牲者の図だったわけだ」

 白骨たちは次々に立ち上がり、武器を取る。その数八体。ぼろぼろになったバンダナを巻き、錆びれたサーベルを握るその姿は、未だ果てぬ妄執に取り憑かれているかのようだ。

侑「……もういい、もう十分だよ。はやく倒して、あの人たちを解放してあげなくちゃ」

歩夢「そうだね……!」

せつ菜「スケルトンであれば、ゴーストに在り方は近いです。私のナイフが有効に働くかもしれません」

【侑の行動は……】
1、《アイシクルスパイク》で攻撃!
2、《ラピッドファイア》をぶっ放す!
3、あまり攻撃せず、《ヒール》の構え!
安価下
0731名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 21:32:04.16ID:GsrZOrcE
 歩夢とせつ菜が前に出る。同時、侑は長杖を握りイメージに集中。選択した魔法は氷を放つ《アイシクルスパイク》だ。

歩夢「……数は多いけど、動きは鈍いみたい! 一気に攻めて数を減らそう!」

せつ菜「分かりました! 私は右を!」

歩夢「左は任せて!」

 駆け出した二人は、勢いよく左右に跳ぶ。眼前にはサーベルをぶらぶらと揺らすスケルトンが二体。歩夢は剣を、せつ菜は短剣を構え、勇気を持って飛び込んでいく。

歩夢「やぁぁぁぁぁぁぁっ!」

せつ菜「はぁぁぁぁぁ……!」

【歩夢の攻撃・コンマ判定】
0〜75 命中
76〜99 失敗
判定下

【せつ菜の攻撃・コンマ判定】※武器ボーナスにより命中率上昇!
0〜85 命中
86〜99 失敗
判定下2
0733名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/21(日) 21:33:42.64ID:u5RI4OOr
本当ぉ?
0735名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 21:49:20.93ID:GsrZOrcE
せつ菜「せぁっ!」

 水平に振われたサーベルを軽やかに避け、頸椎に容赦なくナイフを突き入れる。骨を砕く手応えよりも速く、刃が黄金色の光を発した。
 浄化の光。聖職者が祈りを込めたというこの刃は、霊体やそれに類する魔物を容赦なく殲滅する。白骨はすぐに力を失い、今度こそ本当の死体へと戻った。

せつ菜「……歩夢さんは!?」

歩夢「くぅっ……!」

 一転、歩夢はスケルトンとの斬り合いに手こずっていた。
 生きている相手と違い、スケルトンには視線も呼吸も存在しない。動きが機械的に過ぎる。その異質さが、特有の戦いづらさを生んでいたのだ。

せつ菜「歩夢さんっ! 横っ!!」

歩夢「え……きゃぁっ!?」

 いつの間にか忍び寄っていた二体目のスケルトンが、手にしたサーベルを振り回した。歩夢の胸当てと刃が激突し、甲高い衝撃音がこだまする。
0736名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 22:02:53.52ID:GsrZOrcE
歩夢「……つ、く。このぉっ!」

 しかし、めげない! 買い替えたばかりの鎧防具は高い防御性能を発揮し、歩夢の身体を守ってみせた。
 歩夢は容赦なく踏み込むと、剣に魔力を浸透させる。推進力を得た刀身は膂力を超えた速度をもって、

歩夢「《ストライク》っ!」

 閃! 放たれた斬撃はスケルトン二体を真横に両断し、物言わぬ死体に戻して見せた。

せつ菜「歩夢さん、お怪我は!?」

歩夢「だ、大丈夫……はは、新装備のおかげだね」

 こんこん、と傷一つない装甲を叩く。スケルトンが持つ武器では、歩夢の防具は傷付けられないらしい。
 しかし衝撃は伝播したのか、歩夢は軽く咳き込んでいる。そこを取り囲む無数の影。一様に突きつけられる武器にたじろぐが、二人の顔に焦りはない。

せつ菜「歩夢さん!」

歩夢「うん! 伏せようっ!」

 歩夢が姿勢を低くすると同時、洞窟を照らす赤光に青が混じる。侑の詠唱が完了したのだ。侑は二人を取り囲む白骨たちめがけ、容赦なく氷塊の雨を放つ!

侑「そこから離れろっ! 《アイシクルスパイク》!」

【侑の攻撃・コンマ判定】
0〜33 一体撃破
34〜66 ニ体撃破
67〜99 三体撃破
0740名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 22:14:28.93ID:GsrZOrcE
 洞窟内を吹き荒れる氷嵐! 鋭く形成された氷塊は次々にスケルトン達の体を射抜き貫き、瞬く間に三体をばらばらにしてみせる!

歩夢「すっ……すごい、流石は侑ちゃん!」

侑「ふっふ。閉所の魔法使いは強いんだよ、逃げ場がないからね」

せつ菜「あと二体。すみません、ここは任せてくれませんか!」

歩夢「私はいいけど……もしかして、何か考えがあるの?」

せつ菜「はい。どうか、見ていてください」

 残るスケルトンから素早く距離を取り、せつ菜はナイフを構え直す。
 この武器をどう振るってどう戦うのか。同じ近接職の歩夢と連日考え、何度かの実戦を経て、少しずつその答えを掴みつつあるのだ。
 
せつ菜(……短剣は、直剣にリーチも威力も劣る武器です。勝る点といえば、その軽量さ。それを活かした「速度」こそが最大の武器!)

せつ菜「いきます!」

【せつ菜の攻撃・コンマ判定】※好感度ボーナスにより成功率上昇!
0〜70 スキル習得
71〜99 失敗
0744名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 22:27:36.33ID:GsrZOrcE
 疾風の如き速さ! せつ菜のナイフが魔力を帯びて、一体目のスケルトンに叩き込まれる!

せつ菜「ッ!」

 それだけには留まらない。その速度を保ったまま、せつ菜は骨の身体を駆け上がり、宙空で二体目に狙いを定める。
 反撃に突き出されるサーベルを紙一重で避け、そのまま頭蓋にナイフを叩き落とし────、

せつ菜「あっ!?」

 しかし、そこでせつ菜は失敗を悟る。目測を誤ったか、ナイフはがりがりと頭蓋を削るに留まった。
 がらんどうの眼窩が、今度こそ隙だらけのせつ菜を睨む!

せつ菜「うっ……ぎあああああああああああああっ!?」

 ざくっ、という鈍い音が響いた。振るわれたサーベルがせつ菜の肩に食い込んだのだ。
 研ぎ澄まされたナイフよりも、錆びたナイフで刺された方が苦痛が大きいという。洞窟にせつ菜の絶叫が響き、歩夢は顔色を変えて駆け出した。

歩夢「《ラッシュチャージ》っ!」

 距離を一瞬で詰め、今度こそスケルトンの頭蓋を粉砕する!
0745名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 22:36:07.32ID:GsrZOrcE
せつ菜「あ……あ、あ……あ……っ!!!」

侑「せつ菜ちゃん!!」

 肩を真っ赤に染めて、せつ菜は唇をぎゅっと噛んで崩れ落ちる。慌てて駆け寄った侑が《ヒール》を構え、手のひらを傷跡に翳す。

侑「光よ、命よ、我が命に従い躍りたまえ! 《ヒール》っ!」

せつ菜「づ……く……はぁ、は……はっ……」

 びっしりと汗をかいたせつ菜が、ようやく苦しげな表情を崩す。傷はそこそこ深いようだが、十分《ヒール》で治療できる範疇だ。

せつ菜「すみ……ません……任せてくださいと言っておいて、こんな醜態を晒すなんて……」

歩夢「そんなことないよ! 失敗は成功のもと、ちょっとずつ覚えていけばいいんだから!」

侑(み、耳がぺたんって折れちゃってる……尻尾もすっかりなえなえになっちゃって……)
0746名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 22:50:59.46ID:GsrZOrcE
侑「よしよし、痛かったよね……撫で撫でしてあげるからね」

せつ菜「あう……くぅん……」

 無意識だが、侑は獣人せつ菜との付き合い方を完璧に理解している。
 髪の毛と獣耳を優しく撫で続けてあげると、だんだんと耳が上を向いてくるのだ。尻尾も元気を取り戻してくる。

せつ菜「侑さんに撫でられると、安心します……ぺろ」

侑「わっ! ちょっと、くすぐったいよ〜!」

歩夢「む……ずるいっ。私だって侑ちゃんの手ぺろぺろしたい!」

侑「ええっ!? 歩夢は亜人じゃなくて人間じゃん!」

歩夢「人間でも誰かを舐めることはあるよね?」

せつ菜「そ、そうなんですか!?/// というか、私もぼーっとして変なことを……!///」

侑「普通はないから、安心していいと思うよ……」

 緊張感にはやや欠けつつも……こうして、彷徨える海賊たちとの戦いは終わった。
 果たして、この洞窟の先には何が待っているのか。まだ体力と魔力は存分に残っている。治療を終えた三人は、気を取り直して先へと進んでいく。
0747名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 22:52:04.67ID:GsrZOrcE
【財宝の洞窟 最深部】

侑「……着いた。ここが最深部だ」

 洞窟に入ってからどれほどの時間が経ったのだろう。戦闘をこなし、小休止を挟み、探索の果てに待ち構えていたのは……見上げるほどの巨大な空間だった。天井には大穴が空いていて、そこから日光が降り注いでいる。

歩夢「すごい……海に面してるんだね、ここは」

 最深部は海に面しており、まるで入江のようになっている。降り注ぐ光を受けて輝く砂浜、打ち寄せる波。隠されたビーチの中心に、巨大な帆船が主のように鎮座していた。

せつ菜「私たちは「入口」と思われている場所から侵入しましたけど……本当は、こちらが海賊たちにとっての「入口」だったのかもしれません。ほら、あそこ」
 
 侑たちが立つのとは反対側。海水が流れ込んでくるその場所には、船がまるまる一隻通れそうな大きな裂け目が開いている。

歩夢「そっか。海賊たちはあの裂け目から船で入って、ここを根城にしてたんだ。こんな場所、そう簡単に見つからないもんね」

侑「なるほど……洞窟の中の入江なんて、海賊もいいところを見つけたもんだねえ」

せつ菜「何か、古い映画で見たことがあるような……そんな光景です」
0748名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/21(日) 22:55:27.79ID:GsrZOrcE
せつ菜「匂いは……くんくん、反応なしです」

侑「そうだね。広いけど、このビーチには海賊船くらいしかないみたいだし」

歩夢「じゃあ……一応、探してみる?」

侑「当然! 財宝発掘だよっ!」

 放置されてかなりの時間が経過しているのか、船体を構成する木材には痛みが目立つ。ところどころが剥がれ落ちて、かつては悠然とはためいていたであろう帆もぼろぼろだ。

歩夢「まあ当然、既に誰かが……っていう可能性もなくはないんだけどね」ハハ

せつ菜「その時は諦めましょう! でも、このドキドキ感はたまりませんね〜っ!」

侑「あ〜るっかな♪ 金銀財宝♪ 海賊の遺産♪」

 即興の歌を歌いつつ、侑がステップ混じりで海賊船に近づこうとしたその瞬間。
 
 ……ずばん!! という轟音を撒き散らしながら、穏やかに揺れていた海面が割れた。
0753名無しで叶える物語(らっかせい)
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2021/02/22(月) 15:30:07.80ID:RTNEBqhe
保守
0760名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/02/24(水) 16:53:23.03ID:takOM/Xy
保守
0761名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2021/02/24(水) 20:48:03.70ID:7002kI+3
ほしゅっしゅのしゅ
0762名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/24(水) 21:39:31.12ID:uGW8/XOH
保守
0764名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/25(木) 17:04:26.85ID:cTgdaxIx
保守
0766名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/26(金) 00:29:14.01ID:3CoSoDon
保守
0769名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2021/02/26(金) 21:54:29.41ID:kEaDwQF6
エタらないで

規制に巻き込まれたとか?
0771名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/26(金) 23:30:18.23ID:sdtW0qAG
最近規制がひどすぎるよね
0772名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2021/02/27(土) 00:39:55.04ID:ID2bKqXa
ブラウザ変えると規制回避できる時もあるから2、3個専用ブラウザ変えてみるといい
最悪webページから書き込むとか

ちなみにブラウザ変えるとワッチョイの最後も変わる
0773名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/02/27(土) 08:44:52.46ID:3lAIlZJH
他所でやってくださいの規制は、数分で切れる人もいれば何日も続く人もいるらしいね。はやくなくならないかな
0776名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/02/27(土) 16:56:38.84ID:KmYnxOar
携帯で余所でやってください出てるけどパソコン使ってみたらいけた
前なったときは2か月以上規制されてた
どういう原因というか仕組みで規制されてるんだろ
0793名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/03/07(日) 19:11:21.30ID:DDbC/WKs
イッチもんじゃはきっと異世界転生してしまったんや
そのうち帰ってくる
0796名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/03/08(月) 08:06:46.39ID:812hbykw
規制きつくてしたらばのSS総合に移った作者さんもいるけど、安価やコンマだと人がある程度いないときつそうだしね
0802名無しで叶える物語(たこやき)
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2021/03/10(水) 20:39:21.58ID:BZ30hJ82
規制は3週間くらい続くのも普通だからな。スレ数はかなり減ってるから保持数が理由というわけでもなさそうだけど
0817名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/03/17(水) 09:45:58.61ID:UT/48u0s
現実のりなりーが緊急脱出ボタンを開発して無事出られたと思ってるけど、やっぱりもし可能なら続いて欲しいね
0818名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2021/03/17(水) 10:51:52.14ID:CCXyDg6R
本当に規制で止まってるだけなら他所で書くだろうし
それをしないって事はもう書く気ないんだろ
いい加減落とせ
書く気ないのに保守され続ける側の身にもなれ
0819名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2021/03/17(水) 13:10:38.67ID:phvVDJFR
規制じゃないけど書く気なくてもう保守いらないなら
もう書きませんの一言で終わるんじゃないか
0820名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/03/18(木) 09:00:29.93ID:BfWLl3vv
もし規制だとして他の場所でやるにしても、今のラ板よりさらに人が少ないから、こういうレスポンスが必要なSSはやりにくいだろうしね
0829名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/03/21(日) 20:28:11.36ID:WvMmiGYu
規制なのかエタったのかわからないけど、もう1か月だしもしまた続きを始めるなら新スレの方がよさそうかな。いつか続きあるといいな
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