愛「かなちゃん、練習の時間だよ」彼方「んん〜〜っ…抱っこ」
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愛「…はぁ、今日だけだからね」
愛「よい、しょ…っと」
彼方「おぉ〜〜これこれ」
彼方「まるでお姫様になったみたいで好きなんだよね〜」 愛さん「さすがにかなちゃんは重すぎて抱っこは無理だな〜w」 愛「お姫さま?」
彼方「えへへ〜、彼方ちゃんは眠りの国のお姫様なんだ〜」
愛「じゃあアタシはさしずめお姫様の眠りを覚ますオウジサマってヤツ?」
彼方「……」ジッ
愛「カナちゃん?」
彼方「愛ちゃんになら、寝起きにちゅーされてもいいかなーなんて思ったり」
愛「あっはは、言うねえカナちゃん」クスクス
彼方「……彼方ちゃん、本気だよ……」
愛「……え?」 愛「か、カナちゃん?」
彼方「……」ジッ
愛「……もしアタシがキスしたら……どうなるの?」
彼方「ふふ……とってもよく目が覚めると思うなぁ、彼方ちゃんが」
愛「……こっちも眼が冴えそうだよ」
彼方「……」
愛「……」
彼方「……どうしよっか?」 愛「……カナちゃんは、どうしたいのさ」
彼方「えー? したいよ?」
愛「愛さんと、キス?」
彼方「うん。くちびると、くちびると、くっつけたいなって」
愛「……なんで、アタシ? カリンとかじゃないの?」
彼方「彼方ちゃんはぁ、好きな人としかキスしたいって思わないんだぁ」
愛「や、愛さんだって誰彼構わなくキスなんてしないよ」
彼方「一緒だねぇ」 愛「いや、でも愛さんは、カナちゃんにそんな気持ち──」
彼方「彼方ちゃんは気にしないよぉ?」
愛「え、いや」
彼方「じゃあ、愛ちゃんが彼方ちゃんにちゅーしてくれたら、彼方ちゃんは幸せになれるよ」
愛「いや、でも……」
彼方「愛ちゃんが彼方ちゃんにそんな気持ちなくてもいいんだぁ。ねえ、愛ちゃん」
彼方「愛ちゃんのキス、欲しいな」 彼方「いちどだけで、いいよ?」
彼方「愛ちゃんはノーカン扱いでいいし」
愛「……断ったら──」
彼方「断られてもしょうがないけど……悲しくなっちゃうかなぁ、カナちゃん」
愛「……カナちゃん、ずるいね」
彼方「我儘お姫様だからねぇ〜。でも、彼方ちゃんが悲しんでも、愛ちゃんは何も気にしなくていいんだよぉ」
愛「……」
愛「──それで、それで。仮に、仮に、キスされるとして……お姫様はどんなキスが欲しいの」
彼方「……王子様の好きなやり方が良いな」 愛「……カナちゃん、一度……ソファに降ろしていい?」
彼方「……重い?」
愛「そんなことないよ」
彼方「えへへ──降ろしていいよ?」
愛「っと」ポス
彼方「ん」
愛「……目、閉じて」
彼方「はぁい」スッ
愛「……」 愛「カナちゃん……」
彼方「……ん」
愛「……んっ」
彼方「ふあ……」
愛「……っふ」
彼方「……愛ちゃん」
愛「……これで満足? お姫様」 彼方「……うん、満足」
愛「……」
彼方「? どしたの、愛ちゃん?」
愛「……ごめんカナちゃん、アタシ……」
彼方「ところで今の、彼方ちゃんのハジメテなんだ」
愛「へっ?」
彼方「愛ちゃんが、彼方ちゃんのはじめてのヒト」 かなあいじゃないですか!!!!!
これは期待ですよ!!!!! 愛「え、いや初めてって」
彼方「愛ちゃんに初めて、奪われちゃった」
愛「奪っ──!? ちが、カナちゃん、ノーカン扱いで良いって!」
彼方「勿論、愛ちゃんはノーカンでいいよ」
彼方「でも、彼方ちゃんにとっては……とっても大切な、思い出だよ?」
愛「……」
彼方「愛ちゃんと彼方ちゃんで気持ちは違うけど……彼方ちゃんがさっきの事を大切にすることも、自由だよね?」 愛「か、カナちゃん……大事にするってそれ、具体的には……」
彼方「? ずっと。ずっと、彼方ちゃんの思い出として、お墓まで持って行くよ?」
愛「か、カナちゃ、アタシ──!」
彼方「愛ちゃん、愛ちゃんは気にすることないよぉ? 彼方ちゃんは別に誰かに言いふらしたりしないし」
彼方「態度を変えたりもしないよ?」
愛「ちが、そうじゃなくて、アタシ……」
彼方「彼方ちゃんにちゅーしてくれたこと、後悔してる」 愛「こ、後悔なんてしてないよ!?」
彼方「ほんと? 嫌じゃなかった?」パァァ
愛「うっ……」
彼方「嫌だった? 後悔してる? 失敗したって思ってる?」
愛「ち、違うよ。愛さん、そんなことは一言も言ってないよ!」
彼方「……じゃあ、幸せな思い出のまま、彼方ちゃんの心の中にしまわせて?」
愛「それは……良いんだけど……」 彼方「……愛ちゃんはいいことをしたんだよ? 彼方ちゃんにとっても大切な思い出をくれたんだから」
愛「……」
彼方「……それとも、この事も、忘れたほうが良い?」
愛「それは……っ」
彼方「絶対に忘れないよ? だって、だーい好きな人から、ちゅーしてもらったんだもん」
彼方「絶対に忘れないから」
愛「カナちゃん……」 愛「カナちゃん、アタシ──!」
彼方「あー、もう練習の時間だね?」
愛「!」
彼方「着替えて、練習の準備しようよ」
愛「そ、そうだね……」
彼方「彼方ちゃん、今日は特に頑張るよぉ〜」フンスッ
愛「……うん」
彼方「愛ちゃんに、キスしてもらったから……ね」ニコ 飄々としてるけど傷付くことをこわがってそうでかわいい 愛さんから本気の愛情ぶつけられたら堪えられなさそうだな ──翌日
愛「……また寝てる」
彼方「……」スヤピ
愛「……カナちゃん、練習の時間だぞ」 彼方「──」
愛「……困ったな。カナちゃん、起きなよ」ユサユサ
彼方「……んぅ」
愛「カナちゃんってば」ユサユサッ
彼方「んむ……ぅ」グルン
愛「!」
彼方「ん……ふぁ……んぅ……」スヤピ
愛「……」
愛(カナちゃんの、寝顔……今まで『可愛いな』としか思わなかったのに)
愛(なんだか……ヘンな感じがする……) 愛「……」
愛(昨日……キス、したんだっけ)
彼方「ん……ぁ……」
愛(すごい柔らかかった)
愛「……カナちゃん、起きてくれー」ユサユサ
彼方「ん……ふぁ。あ……おはよう、愛ちゃん」ニヘ
愛「……おはよう、カナちゃん」
彼方「えへへ、愛ちゃんに寝顔、見られちゃった」
愛「何を今更。他の人も見てるじゃん」
彼方「愛ちゃんに見られるときは、特別に可愛い寝顔をしてるといいんだけど……」 愛「カナちゃんはさ、アタシのどこが好きなの」
彼方「好きに理由は要らないよ?」
愛「まあ、運命的なヤツとも言うしね」
彼方「ビビッと来たから」
愛「アタシに?」
彼方「愛ちゃんに」
愛「……カナちゃんは昨日の思い出、お墓まで持って行くって言ったけど──」
彼方「持って行くよ? 彼方ちゃんが別の誰かと結ばれて、子供が出来て孫が出来ても、昨日の瞬間の事は、彼方ちゃん絶対に忘れない」
愛「愛さん、カナちゃんがよくわかんないよ……」
彼方「そう? 愛ちゃんの事が好き。それだけ、だよ?」 愛「別の人と結ばれたら、愛さんの事は忘れてくれると、嬉しいかなって」
彼方「彼方ちゃんは忘れないよ? だって愛ちゃんの事が好きな気持ちは、たぶん一生、消えないから」
彼方「それに……彼方ちゃんは愛ちゃん以外好きにならないし」
愛「……でも、愛さんには、ノーカンで良いって……」
彼方「だって愛ちゃんは彼方ちゃんの事、好きじゃないでしょ?」
愛「……そう言う意味では、好きじゃない……けど」
彼方「けど……?」
愛「……カナちゃんは。辛くないの」
彼方「昨日、ちゅーを断られたら悲しいって言ったけど……ちゅーしても、悲しかったんだ」ニコ
愛「あ……」 愛「ごめん、アタシ酷いことした」
彼方「愛ちゃんは悪くないよ? 彼方ちゃんの心に、昨日の思い出を刻んでくれたんだから」
彼方「眺めると甘くて、触れると痛くて。優しくて、悲しい思い出」
愛「カナちゃん……」
彼方「愛ちゃん、また……ちゅーしてくれる? この悲しい思いを消し去れるような、優しいの」
愛「カナちゃん、アタシにそれはできないよ。またカナちゃんを傷つけるだけで──」
彼方「じゃあ、傷つけて?」
愛「……は?」
彼方「『何もない』より『傷がある』方が、何倍も幸せなんだよ?」
愛「な……おかしいよ、カナちゃん……そんなの、おかしいって……」 彼方「愛ちゃんはただ彼方ちゃんにちゅーするだけで──彼方ちゃんを、幸せにできるんだよ?」
愛「そんなのおかしいって! そんなの、カナちゃんを傷つけるだけで──」
彼方「傷つけて欲しいよ? 哀れみ、同情でカナちゃんにキスして? 残酷であればあるほど、カナちゃんは心に深く刻めるから」
彼方「愛ちゃんからもらった、最高に幸せな思い出として──」
愛「カナちゃん──そんなの……」
彼方「キス、してほしいなぁ」ニコ
愛「は──っ」
彼方「また、ノーカンでいいから」
愛「……ッ」 重いと言えば歩夢みたいなイメージあったが彼方ちゃんも良いな 『何もない』より『傷がある』方が何倍も幸せってやばい考え方だけどめっちゃ好き
続きも楽しみにしてます! 彼方ちゃんは案外、恋愛に臆病なのね
根本に自信が無さそうと言うか いつもと変わらないあのトーンで言ってるんだろうなあ
たまらんなあ ヒーロー愛さんが不思議なお姉さん彼方ちゃんに魅惑されてるの良すぎる 愛「カナちゃん──アタシ……」
彼方「愛ちゃんが彼方ちゃんにキスしてくれたら、彼方ちゃんを幸せにできて愛ちゃんはハッピー」
彼方「愛ちゃんが彼方ちゃんにキスをしなかったら、愛ちゃんは彼方ちゃんを傷つけずに済んでハッピー」
愛「それは……!」
彼方「どっちを選んでも、彼方ちゃんは悲しい思いをするんだけど、でも愛ちゃんが気にする必要は全然ないからね?」
愛「……なんで、こんな……」
彼方「愛ちゃんは優しすぎるよ〜? だから、好きになっちゃうんだ、彼方ちゃんは」
愛「駄目だよ……アタシ、カナちゃんを傷つけたくない」
彼方「愛ちゃん……」
愛「……カナちゃん、分かって──」 彼方「分かってないのは、愛ちゃんの方だよ?」
愛「え──」
彼方「彼方ちゃんはぁ、愛ちゃんに傷つけてほしいの」
愛「……だから、それは」
彼方「だって彼方ちゃんは愛ちゃんの好きな人になれないないでしょ? だから──思い出が欲しいの」
彼方「深い、深い傷跡を遺す、思い出を」
愛「……カナちゃん……」
彼方「愛ちゃん、キスして? 思い出を、頂戴? 同情で、憐憫で、キスして?」
愛「──カナちゃん、ごめん……ッ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています