安価でSSのプロットを作るスレ
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1.時空
2.ジャンル
3.登場人物
4.主人公
5.舞台
他にも必要な項目あったら言ってくれ ホラーに花丸は強い
このまま主役も張るのか、それとも主役は他の人なのか?
>>13 これは…主人公梨子ちゃんでいいのかな?
次は舞台だな
>>20、海でも山でも廃墟でも好きなの言ってくれ 廃墟で怪異に遭遇した梨子ちゃんと、寺生まれのKさんの民俗系ホラーか!
早速書いてくぞ 梨子「盆踊り?」
千歌「そう!毎年この季節になると、裏山で盆踊りがあるんだ。内浦の豊作や防災を祈って山の神様に踊りを捧げるんだよ!」
曜「梨子ちゃんも来るよね?」
梨子「面白そう!他には誰が来るの?」
千歌「三年生の皆は夏のオープンキャンパスの手伝いだし、一年生の三人はその日ルビィちゃんのうちでお泊まり会するんだって」
梨子「私達だけなのね」
曜「たまにはいいんじゃない?水入らずって感じで!」
梨子「盆踊り…すごく楽しみ!」 ──1週間後
曜「千歌ちゃん遅いなぁ」
千歌「はぁ…はぁ…お待たせーー!!」
梨子「やっと来た」
千歌「ごめーん!!家の手伝いが立て込んじゃって…おっ!早速やってるね!」
曜「ささ!私達も行こ!待ちくたびれちゃった!」グイッ
梨子「ちょ、ちょっと!」 曜「いやーたくさん踊ったねー」
千歌「疲れたぁー、曜ちゃん!私ジュース飲みたい!」
曜「いいね!縁日で飲むジュースって冷たくてテンション上がる!梨子ちゃんも何か飲む?」
梨子「私は烏龍茶にしようかな」
──────────────
千歌「んくっ…んくっ…ぷはぁーー!!生き返る!」
梨子「ほんと…冷たい…!」
曜「今日は楽しかったねー」
梨子「ふふっ、ほんと」
梨子「皆で来れないのは残念だったけれど」
曜「こういうお祭りは他でもあるから、また皆も誘って行こうよ!」
千歌「………」モゾモゾ
曜「千歌ちゃん?」
千歌「うっ…おしっこ…」
曜「えぇ!?飲み過ぎだよ」
梨子「麓とはいえ山の中よね、トイレは結構遠いんじゃない?」
千歌「あるにはあるんだけど……」
梨子「?」 曜「ちょっと行ったところに公衆トイレがあるんだけど……」
梨子「何か問題でもあるの?」
千歌「その隣に不気味な建物があるんだよね…」
梨子「え……?」
曜「もう十年近く前の話なんだけど、県外から来た人がそこに土地を買って製材所を建てたんだって」
曜「…でも間もなくして従業員が次々と自殺、あっという間に会社も倒産して最後には経営者も首を吊ったんだって」
曜「内浦ではいわく付きの場所って有名だよ」
梨子「内浦にそんな場所が…」
千歌「うぅー…でも我慢出来ないぃ…」
千歌「お願い!!付いてきて!!」
梨子「えぇ…町に戻るまで我慢出来ないの…?」
千歌「無理無理漏れちゃうよーー」
曜「まぁ…建物の中に入らなければ大丈夫だと思うけど」
千歌「梨子ちゃん!お願い!」
梨子「うぅ…」 親友に頼まれた手前、どうしても断れなかった私は、しぶしぶトイレまで付いていくことにした。
舗装されたゆるやかな山道を進むこと五分、ぼんやりと光る正方形の建前が姿を表した。
梨子「あっ、あそこがトイレね」
千歌「うぅー、漏れる漏れる」
その左手にあるのは件の廃工場だろうか。コンクリートの外壁はところどころひび割れ、蔦を始めとした種々の植物が、屋根からにょきりと突き出ていた。
梨子「ひっ…」
その退廃的な光景を視界に入れないように、足元一点を見つめながら、なんとか歩を進める。
千歌「ごめんね二人とも!すぐ戻るからちょっと待ってて!」タタッ
梨子「………」
曜「へへっ、怖い?」
梨子「そりゃぁまぁ…」
曜「ちょっと入ってみる?」
梨子「え!入るわけないじゃない!」
曜「冗談だよ冗談」 千歌「お待たせー、助かったー」
梨子「い、行きましょう…」
ピューーー
千歌「ひゃっ!」
生温い夏風が首筋を撫でた、と同時に千歌ちゃんの甲高い声が聞こえた。
それは千歌ちゃんの帽子をいとも容易くさらい、空中でひらりと旋回した後、工場の敷地内に落ちた。
千歌「待ってー」タタッ
曜「千歌ちゃん!!」
千歌「へ?」
千歌「あっ!」
千歌「どどどどうしよう〜」
曜「もう、大丈夫?」グイッ
梨子「ふ、2人とも…そこ…」
曜「あはは、大丈夫だよ、行こっか」
こんな時、曜ちゃんのタフさには頭が上がらない。上昇する心拍をなんとか抑え、その場を後にした。
来た時と同じように、なるべく足元だけを見つめながら。
きっと千歌ちゃんも私と同じだったのだろう。
それまで下げていた頭を突然擡げ、分が悪そうに私達を見つめた。
千歌「ど、どうしよう…お地蔵さん蹴っちゃった…」
曜「もう、ちゃんと前向いて歩かないからだよ」
曜「大丈夫、一緒に謝ってあげるから手合わせて」
千歌「ごめんなさい…」
え?
二人とも何をしているの?
お地蔵さんなんてどこにもないじゃない。 目を何度もしばたたいた。
言葉が出なかった。
何もない舗装路に向かって、信心深そうに手を合わせる二人を前にして、声が完全に引っ込んでしまっていた。
早く山から出たい。
二人の手を引き、足早に駆け出した。
千歌「ちょ!梨子ちゃん!?」
曜「転んじゃうってば!」
───────────────
梨子「はぁ……はぁ……」
千歌「もう、びっくりするじゃん」
曜「突然どうしたの?」
梨子「で、出たのよ…」
千歌「え…!で、出たって何が…?」
梨子「そ、それは……」
説明に詰まった。
二人には見えていないものが私にだけ見えた、とかなら分かりやすい。しかし、その逆なのだ。
既に手を合わせてしまった二人に、後からあれが異形のものだったと伝えたところで、必要以上に怖がらせてしまうだけなのではないか。
そもそも信じてくれるだろうか。
いや、もしかすると私の方がおかしいのかもしれない。
様々な不安が腹の中でぐるぐると混ざり合い、とてもじゃないが体を保った説明など出来そうになかった。
ので、適当な言葉でその場を収めることにした。
梨子「き、木が揺れてて…」
曜「……ぷっ!あははは!そんなことかぁー」
千歌「もー!びっくりしたじゃん!」
曜「梨子ってば意外と怖がりなんだね」
梨子「あ、あはは、そうかも」 訂正
曜「梨子ってば意外と怖がりなんだね」
↓
曜「梨子ちゃんってば意外と怖がりなんだね」 それからは何事もなく下山し、大人しく家に帰った。
浴衣にこびりついた汗が乾いて厭に冷たい。
浴室に直行し、蛇口をひねる。
ピロロン
梨子「……!」ビクッ
恐る恐る携帯を手に取った。
なんだ千歌ちゃんか。
緑のアイコンをタップして内容を確認する。
──今日は楽しかったね。また全員で行きたいね。早く行かなきゃ。次はいつにする?あのお地蔵さんはあまりに可愛らしかったので、今度こそ持って帰りたいね。梨子ちゃんってばあまりに楽しそうだったから妬いちゃったかも。花丸ちゃん達にも見せたいな。それはそうと花丸ちゃんは私がコーヒー嫌いなこと忘れてるのかな。そんなだからいつまで経ってもお香臭いんだよね。お母さんも笑ってたよ。また連絡します。
気がつくと、呼吸が荒くなっていた。
意味が分からなかった。
それは脈絡もなく、支離滅裂で、文章としての整合性を保っていなかった。
もし千歌ちゃんが帰宅してすぐにこれを打ったとしたら、完全に常軌を逸している。
普段の千歌ちゃんをよく知っているが、こんな時に悪戯をするような子だとも思えない。
せっかく流した脂汗が再びじりじりと滲み出てきた。
今日はもう寝よう。
携帯を閉じ、残りをさっと洗い流し、その日はそのまま床についた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています