かすみ「いつもああいう距離の詰めかたするんですか?」侑「ごめんね、ちょっと心当たりがなくて」
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かすみ「アレですよ。生徒会にSIFの申請をしにいったとき」
侑「うん……うん?」
かすみ「副会長がスクールアイドルハマったって話してて、そのあと推しを聞いてたじゃないですか」
侑「せつ菜ちゃんが好きって教えてくれたときだよね」
かすみ「それです」
かすみ「隣に座って顔寄せて聞いてたやつです」
侑「言われてみればそうだったかも」
かすみ「かすみん、あのとき『侑先輩なんかデジャヴするなー』って思ってたんですけど」
侑「うん」
かすみ「前にニュースの特集で流れてたホストクラブの密着映像でした」
侑「うそぉ」 かすみ「こんなことでウソなんてつきませんよぉっ」
侑「今回だけは嘘をつく子であってほしかったなあ」
侑「そもそもなんでそんなニュース観てたの?」
かすみ「かすみんも観ようと思って観てたわけじゃないんですけど」
かすみ「同好会が無い日に早めに帰ると、夕方のニュースがやってるくらいの時間じゃないですか」
侑「あー、まあね。多少寄り道してもそれくらいの時間かも」
かすみ「で、そろそろご飯かな〜ってリビングに行くと、ちょうどニュース中の特集が流れる時間で」
侑「おいしいご飯屋さんとか動物園の裏側とか、いろいろあるやつね」 侑「たまーにやたらマニアックなところも取材してるやつ」
かすみ「すっごく美味しそうなパン屋さんだな〜と思ったらとんでもなく遠い県だったりするんですよね」
かすみ「近いお店でも数量限定で10個くらいしか売ってなかったり」
侑「あと紹介してるメニューが期間限定で、放送日2、3日後に期間終了とか」
かすみ「ありますねぇ」
侑「だよねぇ」
かすみ「いや、今はホストクラブの話です」
侑「この時間にかすみちゃんとする話題がホストクラブなの、ミスマッチすぎて頭がバグりそうだよ」 かすみ「なんか……上京したての新人ホストの人の奮闘記、って感じで」
侑「私がその新人さんに似てたっていうこと?」
かすみ「いえ、指導していた先輩の方です」
かすみ「一通りコツをつかんでこなれた感じの」
侑「こなれたホストかぁ」
侑「いや、あれもノウハウと経験と努力の賜物なのはわかるんだけど」
かすみ「勤務時間以外も大変そうですもんね」
侑「アフターとかメッセージのやり取りとかね」
かすみ「詳しくありません?」
侑「たぶん同じ番組観てた」
かすみ「なるほど」
かすみ「同好会がお休みってことは、侑先輩も帰り早くなるってことですもんね」 侑「……よし、分かった。確かめてみよう」
かすみ「確かめる?」
侑「私が本当にこなれたホストなのか」
かすみ「デジャヴがするとは言いましたけど、侑先輩がこなれたホストだとは言ってないですよ?」
侑「そうかもしれないけど、実質もう言ってる感じじゃない……?」
かすみ「……」
かすみ「否定はできないです……」
侑「確かめよう」
侑「じゃあ私がホストやるから、かすみちゃんはお客さんやってね」
かすみ「確認ですけどショートコントではないですよね?」
侑「よーい、スタート!」アクション!
かすみ「侑先輩?」 侑「……ご指名ありがとうございまぁす! ユウです!」
かすみ「だいぶ問答無用で始まっちゃいました……」
侑「なにか飲まれますか?」
かすみ「えぇ……っと、なにがあります?」
侑「少々お待ちくださぁい!」トコトコ
ガチャ パタン トコトコ
侑「オレンジジュース、スポーツドリンク、緑茶、ミネラルウォーター」
侑「ホットだと紅茶と緑茶とコーヒーとほうじ茶がございまぁす!」
かすみ「当たり前ですけど健全なラインナップ」
かすみ「えー……オレンジジュースで」
侑「ただいまお作りいたしまぁす!」
かすみ「単にテンションの高い人みたいになってませんか?」 侑「これさ、このあいだ買い出しに行ったとき」グラスコトン コオリコロン
侑「くじで当たったんだよね」ジューストポトポー
かすみ「結構良いやつですよね?」
かすみ「頼んじゃいましたけど、飲んじゃっていいんでしょうか……」
侑「当てたのは私だし、同好会の冷蔵庫の中身は基本誰でも自由に飲んでオッケーってなってるから」ストローストーン
侑「いつもみんなにコッペパン作ってきてくれるし、少し多めに飲んだってバチ当たらないよ」ストロークルクルー
かすみ「そ、そうですかね」
侑「もしものときは追加で買ってくるからさ」
侑「かすみちゃんは遠慮なんてしなくていいんだよ」ニコッ
かすみ「侑先輩……」
侑「お待ちどうさまでぇす!」スッ
かすみ「ちょっと良い感じだったのに!」 かすみ「……」チュウチュウ
かすみ「あっ、味が濃くておいしいです」
かすみ「だいぶ酸っぱめですけど甘さもあって、ぐいぐい飲んじゃいそう」
侑「色もこう……オレンジ! って感じだよね」
かすみ「先輩は飲まないんですか?」
侑「いいの?」
かすみ「おいしいものは一緒に楽しまないとですよっ」
侑「それじゃあ、お言葉に甘えて」ニコッ 侑「……」チュウチュウ
かすみ「……」チュー
かすみ「……あの」
侑「?」チュー
かすみ「かすみんはこれで全然良いんですけど」
かすみ「これ、様子が若干妙な侑先輩にジュースを入れてもらって、一緒に飲んでるだけなのでは……」
侑「!」
侑「えっと……」
侑「……」
かすみ「……」
侑「……」スーーッ 侑「……あれだ!」
侑「えー……盛り上げコールします」ペンラントスッ
かすみ「コールですか?」
侑「ドンペリとかシャンパンタワーみたいなのはできないけど」
侑「かすみちゃんがジュースを飲んでる間、横でめちゃくちゃ盛り上げます」
侑「一生懸命に」
かすみ「よく分からないですけど、とりあえずやってみてください」
侑「コール入りました!」パステルイエロー
侑「それでは始めさせていただきます、グラスをどうぞ!」 かすみ「……」グラススッ
侑「かすみちゃんはぁー、可愛いYO!」フリフリ
かすみ「……」コクコク
侑「飲んでるところも可愛いYO!」ワイパー
かすみ「……」コクッ
侑「ちっちゃなお口も可愛いYO!」フリフリ
かすみ「……」コク…コク…
侑「横顔のフォルムも可愛いYO〜!!」ワー!
かすみ「いやフォルムって」
侑「パーフェクトな飲みっぷりです!」パチパチ
かすみ「侑先輩」
侑「はい」 かすみ「ノリノリでしたね」
侑「すっごく楽しかった!」
かすみ「それなら良かったです」
侑「でもやっておいてなんだけど、ホストとはやっぱり違う気がする」
かすみ「そもそも私たちどっちとも詳しくないですもんね」
侑「せいぜいが20分くらいのにわか知識しかないからね」
侑「……思ったんだけどさ」
かすみ「はい」
侑「これ、上手くできたらホストもどきってことになるし、下手だったら微妙な感じになるし」
侑「冷静に考えると、私にプラスの面がなかったね」
侑「百害あって一利なしってやつかもしれない」 かすみ「……」
かすみ「えっとですね」
侑「かすみちゃん?」
かすみ「若干困りましたけど、実はちょっぴり新鮮で楽しかったり……」
侑「そうなの?」
かすみ「はい」
侑「じゃあ良かった。一利はあったってことだね!」ニコッ
かすみ「侑先輩って意識してないときの言動の方がホストっぽいです」
侑「なんてこと」 かすみ「ところでフォルムってなんですか?」
侑「言った通りだよ?」
かすみ「横顔のフォルム……」
侑「もちろん全部かわいいんだけど」
侑「前髪から後頭部にいって、首元までの感じが」
侑「こう……まるくてかわいいなって」
かすみ「えへへ、そうですかぁ〜っ?」
侑「うんうん」ナデナデ
侑「ご利益がありそう」ナデリナデリ
かすみ「観光地のありがたい石じゃないんですから」
かすみ「それに、かわいいかすみんの頭を撫でられるっていうだけで、と〜ってもありがたいご利益だと思いますっ」
侑「そうだねぇ」ナデリナデリ
かすみ「私は真剣に……えへへ」フニャ 〜間〜
かすみ「で、話は戻るんですけど」
侑「うん」
かすみ「意識してやると全然変わっちゃうって感じでしょうか」
侑「そもそも自分をホストと思ったことはないからね」
かすみ「じゃあ、じゃあですよ」
侑「うん」
かすみ「かすみんは『最近スクールアイドルが好きになって同好会を見学しにきた人』をやるので」
侑「うん」
かすみ「侑先輩は侑先輩をやってください」
侑「任せて」 侑「ちなみに見学の子は何年生の設定?」
かすみ「変にズラしてもおかしいので1年生で」スクッ
侑「オッケー!」スクッ
かすみ「あのぉ、ここがスクールアイドル同好会の部室って聞いたんですけど……」
侑「はじめまして! あなたもスクールアイドルが好きなの?」ニコーッ!
かすみ「は、はい! ニジガクのライブを観て気になって」
侑「そうなの!? ありがとう!」テヲニギリー
侑「もしよかったら座って? 好きなスクールアイドルの話を聞かせてほしいな」
かすみ「し、失礼します」ストン
侑「それじゃあ私も座って……」 侑「ねえねえ、誰が好きなの?」ズイッ
かすみ「それはもちろん、いっちばんかわいいかすみんですっ!」
侑「分かるよ! すっごくかわいいもんね!」リョウテガシィッ
侑「歌もダンスもMCも全部『ザ・かすみん !』感じで、見てるだけでときめいちゃう!」ハイライトハート
侑「スクールアイドルに興味を持ってくれて嬉しいなっ!」ズイッ
侑「同好会のことで質問があったらどんどん聞いてね!」ニコニコーッ!
かすみ「これ!!」
侑「うわ!?」 かすみ「……」
かすみ「……」フー
侑「……かすみちゃん?」
かすみ「これです」
かすみ「これですよこれ」
かすみ「これです」
侑「これかぁ」 かすみ「ふと思ったんですけど、侑先輩ってあの……」ヨジ
かすみ「なんでしたっけ、パーフェクトじゃなくて……なんとか空間、スペース……」
侑「パーソナルスペース?」キュ
かすみ「それですそれです!」
かすみ「そうそう、パーソナルスペース」
侑「それがどうしたの?」
かすみ「えっとですね」
かすみ「侑先輩ってパーソナルスペースあるのかなって」
侑「狭いとかじゃなくて有無すら疑われてるんだ」 かすみ「早いんですよ。間合いに入るのが」
侑「そんな剣豪みたいな」
侑「まず同好会にあんまりパーソナルスペース広い人っていなくない?」
かすみ「あー、言われてみれば」
かすみ「ギリギリ果林先輩くらいですかね?」
侑「あとはちょっと慣れてくるまでの歩夢かなぁ」
かすみ「それで言ったらしず子も若干そうかもです」
侑「まあ、これも同好会内で強いて言うならって感じだからね」
かすみ「逆に無いんじゃないかってくらいの人もいますもんねえ」
侑「上級生で言うと、エマさんと彼方さんは狭いよね」
かすみ「ハグとか膝枕とか、したりされたりですもんね」
かすみ「同好会全員したしされてると思います」 侑「せつ菜ちゃんは……どうだろ? 一瞬普通かと思ったけどやっぱ狭い?」
かすみ「距離とるときはちゃんと取りますけど、詰めるときはとことん詰めてくる人ですもんね」
侑「ね。人に近づかれて離れるってところは見たことないなぁ」
かすみ「生徒会長モードのときは違う気もしますけど」
侑「肩書きがあるからねぇ。オンオフってやつじゃないかな」
かすみ「あの切り替わりはいつ見ても凄いなあって思います」
侑「で、同じ2年の愛ちゃんのパーソナルスペースは」
侑「無」
かすみ「無」
侑「じゃない?」
かすみ「分かりますけども」 かすみ「愛先輩と侑先輩ってしょっちゅう肩組んでません? あんまり脈絡なく」
侑「喋っててテンアゲになってくるとつい」
かすみ「口調もうつってるじゃないですか」
侑「あと、脈絡はないけど意味はあるよ?」
かすみ「どんな意味なんです?」
侑「あの……」
侑「楽しい」
かすみ「なるほど」
侑「璃奈ちゃんもすごく人懐っこいよね」
かすみ「最初はちょーっとだけ手探ってる感じしましたけど、すぐ距離詰まりましたね」
侑「話しかけてくれるときたまに裾つまんでくるの、あれ毎回ときめいちゃう」
かすみ「ふむ、そういう方法が……」
侑「わざわざ璃奈ちゃんを真似なくても、割とかすみちゃんもパーソナルスペース狭くない?」 かすみ「そうですかね? 自分でも広くはないと思いますけど」
侑「いろんな人に頭撫でてもらったり、抱きついたり、あとなにより」
侑「さっきから私の膝の上に座ってるし」
かすみ「……」ヒザノウエ
かすみ「いつの間に!」ハッ!
侑「実は私も覚えてない」
かすみ「……」
侑「……」
かすみ「かすみん 、降りたほうが良いですか?」
侑「かすみちゃんが降りたければ」
かすみ「じゃあこのままで」
侑「はーい」 かすみ「……」
侑「……」
かすみ「あの」
侑「うん」
かすみ「パーソナルスペースとか距離感についてなんですけど」
侑「うん」 かすみ「結局、相手によるってことですねえ」
侑「そうだねぇ」ナデナデ
おわり おつ
いつもの方かな?いつもありがとう…
それにしても、天然タラシ侑ちゃんはいいぞ ゆうかすいちゃいちゃすっこ
ジュース飲みながら褒められるの楽しそう この細かいとこツッコミシリーズ昔の三名様やリリホワ感あって好き ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています