穂乃果「雨、全然やみませんね!」彼方「そうだね〜」
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「穂乃果ちゃん……ごめん、もう我慢できない」
つい押し倒した高坂穂乃果の、赤く染まった頬に手を当てながら彼方は言った。指先に触るオレンジ色の髪が、しっとりと艶やかに濡れていて……いやに扇情的だった。
「彼方さん…」
相手の表情を見上げながら、穂乃果がその名前を呟く。
ざんざんと、しつこいほど東屋の天井に降っていたはずの雨音が静まっていく。代わりに自分の脈打つ心音と、自分の瞳に映る少女の、少し荒い呼吸だけが聞こえた。
この世界に、まるで自分と恋人しか存在していないかのような……まるでこの小さな東屋の世界の外には、誰一人として存在していないかのような……そんな錯覚に陥る。
彼方はベンチの高さまで腰をかがめ、穂乃果に唇を押し付けた。 「んっ……」
人目も憚らず、そっと舌を絡める。お互いの口の間で混ざれば混ざり合う程、先まで緊張していた穂乃果の表情は見る間もなく溶けきっていく。
意味も無く、彼女の右髪を結んでいた黄色のリボンをほどく。綺麗に纏められていた毛並みが自然な方向に流れると、高坂穂乃果ありのままの姿へと一気に近付いて見える。
それがどこか、一段と性的なニュアンスを醸し出しているように、彼方の目には映った。 潤んで濡れた、互いの瞳をじっと見つめ合う。そうしている内に、もはや雨音は一切聞こえてこなくなった。
「彼方さん」と少女が囁く。
既に外れかけた高坂穂乃果の胸元のボタンへ……彼方は、そっと手を伸ばした。
〜〜〜〜〜 十分ほど前に降り始めた雨は、未だに止む気配を見せない。
あれほど信頼していた天気予報に対し、小さく愚痴を漏らしている高坂穂乃果。彼女曰く、午後の降水確率は10パーセントと極めて低いものだったらしい。
「ゼロじゃないから、嘘は付いてないんですけどね〜…」と穂乃果は溜め息をついた。
「そうだねぇ」
近江彼方が、そんな彼女を宥めるように微笑み返す。
ここのところ二人の休日に重なるように、決まって雨が降るのだった。だから今日は少し高いパスタを食べた後、午後は閑静な裏通りのショッピング……本当なら、存分に、太陽の下で街歩きを楽しむはずだったのだ。
あまり美味しくなさそうに、穂乃果は持っていたソフトクリームをペロリと舐めた。 「穂乃果ちゃん、体調悪かったりしない?」と彼方は尋ねた。
「いえ。大丈夫ですよ!」
穂乃果は表情をパッと明るくして、そう言った。
「そっか」
この会話の間も、二人は特に目も合わさずに……避難中の東屋から一歩出た先で相変わらず降り続けている、憎らしい雨をぼうっと眺めていた。
世界にまるで二人しか存在していないかのような、幸せな幻想をつい抱いてしまう。もしくはこの東屋に覆われた部分だけが、世界の全てなのかもしれないと思いそうになる。
それほどまでに激しい雨が、カーテンのように降り注いでいた。 遡ること、少し前の話。
昼に食べたパスタの腹ごなしにと、二人は近くの自然公園を歩いていた。ある時近くの小屋で苺ソフトクリームを売っているのを穂乃果が発見し、まぁ別腹だろうということで仲良く同じのを購入した……その辺りで突然、雨雲が二人を襲ったのだ。
待ち望んだデートのための、小さく可愛いハンドバッグにはお互い、残念ながら折りたたみ傘など入れていなかった。
それで仕方なく、ソフトクリームを片手に走り……遠くにかろうじて見つけた東屋になんとか逃げ込んだ、という次第である。
「うわ〜、参ったね……」
「あはは…ビショビショですね」
東屋のコンクリート敷きの床に、二人の衣服から水滴が広がる。どうしようもなく、二人して困ったように苦笑いした。
「水も滴る……」などと冗談を飛ばせる水量を、僅かに越えていた。 だだっ広い自然公園のへんぴな高台まで走らされた為、屋根の下に着く頃には、全身の至る所が濡れたり崩れたりしていた。
お互いに、ハンカチで出来る限り髪などを拭く。彼方が身につけていたTシャツは、生地の厚さもあって案外無事で、まぁ人前に出ても大丈夫だろうと思われた。
高坂穂乃果の薄白いブラウスの胸元は、素肌に張り付くように濡れていた。なんとなく見てはいけないような気がして、彼方はふいっと目を逸らした。
「う〜ん……下着、見えちゃってるよね」
困ったように穂乃果が呟いたのを、彼方は聞こえないフリして何も言わなかった。 そんな具合で、一旦雨が止むのを待つしかないという結論になった。二人は、東屋にいくつか備え付けられていた横長のベンチに座った。髪も服も湿っているので、ちょうど一人分ほどのスペースを空けて座った。
「さっきのお話の続き、しよっか」と彼方は微笑みながら言った。
「あ、ハイっ。えっと……なんの話でしたっけ?」
仕方の無いことだが、高坂穂乃果は幾らか元気の無い口調をしている。
彼方が、自身の右手を二人のちょうど間に置いた。
「穂乃果ちゃんの、昨日見たテレビの話だよ〜」
「そうでしたね」
穂乃果は差し出された手の上に、左手をそっと重ねた。 前回のライブがどうだの、同級生がどうだの、他愛のない話を繰り広げる。その間は二人とも、特にお互いに目を向けることは無かった。
恋人と唯一繋がっている手の先が、もう十分すぎるほどに温かい。横の少女に目をやっては、赤面のあまりとても会話など出来そうに無かった。それでひたすら、雨降る公園を眺めながら言葉を交わした。
人っ子ひとり見つけられそうな気配も無いまま、そこそこの会話が続いていく。
「それにしてもさっきの生パスタとやらは、モチっとして美味しかったね〜」
「そう言えばアレって、何が”なま”なんですか?」
「う〜ん。生地を作ってから一回も、乾燥させて無いのかも」
実際のところは良く知らないが、取り敢えずそれらしく答える。 「なるほど……彼方さん、すごい!」
「まぁまぁ〜、そんなに持ち上げないでくれたまえよ」
彼方が微笑む。
これだけで幸せになれてしまうので、やはり自分は穂乃果ちゃんの事が大好きなのだろうなぁ、などとしみじみ思った。安上がりな人間だなぁ、とも思った。
高台からの小屋から一面を見晴らす雨降りの視界には、相変わらず誰一人の姿も見えない。
ペロリと、半分ほど溶けかけた苺ソフトを舐める。意外と美味しい。 穂乃果も、同じようにペロっと舐めた。二人して苺のフレーバーを味わうことに夢中になり、一瞬会話が途切れる。
これはまずいと、彼方が話をつなぐ。
「穂乃果ちゃんがお勧めしてくれるお店は、外れが無いから凄いよね〜」
「本当ですか?」
「穂乃果ちゃんとデートする度に、凄いなぁって思ってるよ〜」
「えへへ。でもそう言えば……穂乃果の行きたい所に、いつも付き合わせてますよね」
これは、その通りだった。しかしそれが間違いだったと思う事も、今まで特に無いのだった。 「ううん。穂乃果ちゃんの行きたい所が、彼方ちゃんの行きたい所だからね〜」
どこへだって二人で出かけられれば、それは間違いなく幸せな日となるのであった。
「そうなんですか……」
穂乃果はやや顔を赤くして俯いた。
そうして照れ臭そうに、「う〜ん」と声を上げながら腰を伸ばすと……再び彼女は、ベンチに深く腰掛けた。少し、二人の間の距離が縮まった。
「でも、雨降っちゃいましたね…」
穂乃果はソフトクリームを舐めた。
「そうだねぇ」と彼方が頷いた。 ザァザァと、雨が降り続けている。先ほどより収まってきたように感じないでも無かったが、誤差の範囲かも知れなかったので、彼方は何も言わなかった。
お互いに髪もスカートも、割と乾いているようであった。ほんのチラッと、彼方が隣の少女の胸元を覗く。問題のブラウスも……もう肌色が透けて映るようなことは無さそうで安心する。
これは余計にまずいのでは、と思いもするのであるが。 「穂乃果は……雨の日って、少しだけ苦手です」
恋人と繋いだ手をぎゅっと握って、穂乃果はそう言った。
「……そうなんだ」
「少し、嫌なことを思い出しちゃって」
高坂穂乃果がそれを、自分の口から言い出すことは珍しい。
彼方は前に園田海未から、それとなく耳にしたことがあった。雨の下でのライブで倒れたことがあると言うこと。そしてそれに端を発した、最愛の幼馴染とのいざこざ。
別にわざわざ聞く必要も無い、と今まで思ってきた。 「穂乃果ちゃんは〜…雨の日を、無理矢理お日様にするタイプだもんね」
「あはは……今日も、晴れにできたら良かったんですけど」
穂乃果は小さく笑った。
恋人の隣にいる時の高坂穂乃果は、たいてい幸せそうな笑みを浮かべている。でも案外穂乃果は作り笑いをするのだと、彼方は気付いていた。本当の思うところは、彼女の手と指の細かな仕草に出る。
自分と彼女との身体的な距離感に、それは明らかに出る。
穂乃果は腰をベンチから軽く浮かせ、また一歩、恋人の方へ身を寄せた。 「穂乃果ちゃんなら〜……晴れにすることだって、出来るよ」
ポリポリと、彼方がソフトクリームの持ち手をちょうど食べ終えた。穂乃果は少し下を向いて、あと残り少ないアイスをぺろりと舐める。
「彼方ちゃんは……雨の日も嫌いじゃないけどね」
穂乃果ちゃんも横にいることだし、と彼方は付け加えた。
「…えへへ」
穂乃果は嬉しそうな顔を浮かべて、もう一度恋人の方へ身を寄せた。
ピタッと、二人の肩がくっつく。お互いの赤い頬っぺたが、もはや目と鼻の先である。
いや〜〜〜これはまずいな、と彼方は思った。 >>1のクソ垂れ流しいつまで続けんの?
センスねぇからやめろや ほのかなほんと好き
濡れ透け穂乃果はまずいですよ! ほのかなの穂乃果ちゃん乙女で可愛すぎるんですけど^^ 雨の勢いは明らかに先ほどより弱まっていた。
「ねぇ…穂乃果ちゃん」と彼方が呼びかける。
「なんですか?」
隣に座る恋人のなだらかな肩に、穂乃果が自分の首を傾けてそっと添える。恋しそうにスリスリと、自身の頬を当てる。
「流石に、ここじゃ〜……ダメだよ」
彼方はそう言ったが、穂乃果はそれに何も答えなかった。
ただ黙って苺ソフトのコーン部分を、美味しそうに口にした。 高坂穂乃果は案外、μ'sの面々から耳にしたよりも、素直に言うことを聞く性格であると彼方は思っていたのだが……今の彼女は例に無く、自分の欲求を譲らなそうに見えた。
「人に見つかっちゃうかも、しれないよ」と彼方が、もっともな事を言う。
「さっきから外見てましたけど……本当に誰も、来ないですよ」
繋いだ左手を更にぎゅっと握りしめて、穂乃果は言った。
「彼方さん……駄目ですか?」
「ダメだよ、ダメに決まってるよ」
ブンブンと首を振って、彼方は必死にその誘惑を否定した。いつの間にかその頬は、穂乃果よりも真っ赤な色に染まっていた。 一瞬、二人とも静かになる。少し弱くなった雨の音が、二人の間を流れた。
穂乃果が床を眺めるように俯いたので、その姿を横目で見ながら、“なんとかなるか“と彼方は思ったのだが、ある時思い立ったように、彼女はまた顔を上げて言った。
「彼方さん……穂乃果のコト、ずっと見てましたよね」
「彼方ちゃんは、穂乃果ちゃんのこと、ずっと見てるよ〜」
「そうじゃなくて。その、胸元……とか」
彼方は何も言わなかった。
「彼方さんが穂乃果のこと、チラチラっと見るから……なんだか変な気分になっちゃって……」
穂乃果の頬が余計に熱を帯びたのが、彼女に触れる右肩から伝わってくる。その声も、いつになく弱々しくなっていき……いつになく、可愛らしい。愛おしい。
うお〜〜〜〜〜、まずい、まずい、と彼方は思った。 「かなたさん」
穂乃果が呟く。彼方は何か言おうとしたが、適当な言葉が見つからなかった。
好きです、と穂乃果は続けた。
そう言葉を続けた後で穂乃果は、上半身を頑張って恋人の方へ伸ばし……唇を、赤く染まる相手の頬に押し当てようとした。 「ごめんね……やっぱり、ダメだよ!!」
彼方は両腕でグッと穂乃果の肩を掴んで、すぐ側に迫っていた相手の身体を、勢いよく引き離した。
二人の心臓の距離が、50センチほど離れる。
はぁ、はぁ、とお互いに肩で息をしている。目の前の少女の表情は、どちらも真剣で……そしてどちらも顔を真っ赤にして、相手の瞳を真っ直ぐに捉えていた。
雨音は、もはや聞こえて来ない。 「こんなところでなんて……絶対、だめ」
彼方はそう言って、少女の肩を握りしめた両手をそっと離す。正直、危なかった。
高坂穂乃果を……音ノ木坂スクールアイドル、μ'sのリーダーを……危うく汚してしまうところだった。こんな、誰が来るかも分からないような場所で。
はぁはぁ、と息をする彼女は少し過呼吸気味で……目元には、小さく涙のようなものが見えた。それは普段とのギャップも相まって、あまりにも甘美的すぎる。
でもそんなこと、絶対に許されないのだ。
求めてくる彼女を拒絶したのは、近江彼方にとって人生初めての事だった。 「あ、あはは……そうですよね」
少なくないであろう動揺と、それから申し訳なさが入り混じった作り笑い。穂乃果は逃げるようにして彼方から視線を外した。
「あの〜、これは違うんだよ」と彼方は慌てて言った。
「ごめんなさい、彼方さん」
「大丈夫だから〜……穂乃果ちゃん、謝らないで」
穂乃果は少しまともな笑顔に戻し、照れ臭そうな顔で言った。
「えへへ。久しぶりの彼方さんとのデートで……穂乃果、嬉しくなりすぎちゃって」
今すぐにでも、思い切り抱きしめてやりたい。と彼方は思うのだが、そう言う訳にもいかない。理性と情欲の間で、なんとかギリギリ保っている。 「良いんだよ…彼方ちゃんだって〜、とびきり嬉しかったんだよ」
それを聞くと穂乃果は微笑んだ。
「彼方さん。ギュッて、抱きしめてもらえませんか」
「え〜と…」
「さっきから二人きりだったのに…彼方さんに触れないのが、ずっと嫌だったんです。もちろん、それ以上何もしません」
「急にほっぺにチュウしたりとか〜、しない?」
「しませんっ!」
「うぅむ…じゃあ、良いか〜」 ことほのうみだとやっぱ穂乃果ちゃんイケメンなんだけどこれはお姉さんに甘える感じが乙女でかわええ 思えばこれが、全ての間違いだったのだ。
彼方が両腕を広げると、そこにバッと穂乃果が飛び込んだ。
「わっ、穂乃果ちゃん…」
「ずっと、こうしたかったんです」
もぎゅっと、穂乃果は相手の上半身を腕の中に包み込んだ。
「朝、待ち合わせ場所で彼方さんを見かけた時から……ずっと、こうしたいって思ってたんです」
そう言って彼方を、更に自身の方へ抱き寄せる。恋人の優しい背中を、ぎゅっと強く抱き締める。 高坂穂乃果は案外、一般的な少女と同程度の独占欲を持っていた。恐らく普段はそれを、一般的な少女のように、必死にひた隠しにしていた。
それは、彼女が不安になった日に出てくる。
今日みたいに雨がざんざんと降りしきる日に、出てくる。
「彼方さん」と穂乃果は再び、恋しそうに呟いた。
太陽みたいな少女で、あのμ'sの中心にいる高坂穂乃果が、ほんのたまにだけ覗かせる……年の割に子供っぽい独占欲が、どれほど人を堕とす事か。
彼方はきちんと分かっていたつもりでいた。つもりだった。 穂乃果が纏う白絹のブラウスは湿り気を帯びていたが、それでもサラサラとして、異様に心地良い。ちょっとだけフニっと柔らかい、その二の腕や胸まわりからは……少し高い彼女の平熱が、ゆっくりと流れ込んでくる。
包み込むはずが、いつの間にか包み込まれている。
「ねぇ、穂乃果ちゃん」
彼方が尋ねると、見るも幸せそうな口調で穂乃果が尋ね返す。
「なんですか?」
「穂乃果ちゃんは……彼方ちゃんのこと、好き?」
「え?」
これまた不安と独占欲が入り混じった、一つ年上らしくない質問を……気付くと彼方は口にしていた。答えが分かり切った質問。
だが意外にも、穂乃果はすぐに返事をしなかった。 >>54
このゴミSSいつまで続けんの?
消えろよ お前みたいな奴が居るから貴重なSS作家が減るんだよ
絵も描けない文章も書けない無産読者様は黙って消えてくれ >>55
いつまでもゴミ見てないで他の自分の好きなスレに行った方が有意義じゃないですか? それから、十秒ほど経過した。その間も二人は抱き合ったまま、シーンとして動かなかった。
近江彼方が待ち望んでいたような、脊髄反射的な「好き」の台詞。それが穂乃果の口から出ることは、意外にも無かった。
その代わりに……隣に抱き寄せた恋人の身体を、僅かに離した後で彼女は言った。
「彼方さんも、穂乃果にそういうコト……思ってくれるんですね」
“そういうコト”?
あぁ。穂乃果ちゃんが、彼方ちゃんを本当に好きでいてくれるのかという……年上らしくもない、不安のこと。
「そりゃ、思うよ〜」
彼方は出来るだけ、とぼけるように努めて言った。 「…えへへ」
突然、頬を緩めた穂乃果。
そして彼方の顔を真っ直ぐ、じぃっと見つめる。見られている側は当然、顔が少し赤くなる。
それでも穂乃果はなかなか、恋人からの質問に答えないのであった。好きかどうか尋ねたのだから、早く答えを言って貰いたいものだと彼方は思った。
彼女は案外、駆け引きが上手い。それは計算ずくでは無く、天性のものである。待ちかねた近江彼方が言葉を発しようとする、その直前に穂乃果の口が開いた。
「彼方さん。すっごく……嬉しいです」
頬を赤らめる彼女の表情は、すごく可愛い。 手をいじらしくモジモジさせながら、穂乃果は続けるのだった。
「穂乃果ばっかり、不安なんじゃないかって…ずっと思ってました」
そんな訳、あるはずない。
「えへへ。穂乃果は彼方さんのこと、大好きです」
丸い瞳で真っ直ぐに、彼女に見つめられる。今そうされると、頭がどうにかなってしまいそうだった。
年上らしく、気の利いた格好の良いアンサーは無いか。彼方は必死に、なんと言葉を返そうかと頭を回らせた。しかし、思考は空回りするばかり。
穂乃果ちゃんは、どういう恋愛が好きなんだっけ。 えーと、穂乃果ちゃんが勧めてくれた少女漫画は確か……なんてタイトルだったか、全く思い出せない。そう言えばオレサマ系が意外に好きだって、何かの時に言っていたような。
よし、それで行こう。狼少女、彼方ちゃん。今の私は狼少女、彼方ちゃん。
ふと彼女の口元に、先ほど咥えていた苺のアイスが小さく付着しているのを発見した。可愛い。
「あ」
彼方の口から漏れ出た言葉に、穂乃果が首を傾げる。
「どうしましたか、彼方さ……」
彼方は、自分の顔を穂乃果の元へ大胆に寄せた。
ペロリ。そして高坂穂乃果の唇の、すぐ近くに付いた氷菓子の染みを……驚いたことに自身の舌で、舐め取ったのだった。 「えっ、えっ……!」
たった今、恋人の舌が添わされた場所を手で押さえながら、赤い顔で狼狽する穂乃果。
「あっごめん、そんなつもりじゃ〜……」
ふっと我に帰り慌てて弁明する彼方には、もはや年上の余裕など感じられようも無い。力関係が、目まぐるしく逆転する。
穂乃果はまぶたを少し狭めると、畳み掛けるようにして彼方に言った。
「良いですよ」
そして彼女は自身が着ていたシャツの、第一ボタンに手をかけるような動作をした。
「良くないよ〜……」と彼方がしどろもどろに言う。いつの間にか相手より、その顔が上気している。
「じゃあ。なんで穂乃果に、あんな、キスみたいなこと……したんですか?」
ごもっともな話だった。 「……彼方さんの、えっち」
穂乃果がボソッと呟いた。
「あぁ、もうっ〜……!」
どうにも辛抱ならず、彼方は目の前の少女を勢い良くベンチに押し倒した。 長らく保守させてしまい申し訳ありませんでした
残りは明日に完結させます、もう少しだけお付き合いください このほのかなの距離感ホントにすき
続き楽しみにしてます! 「穂乃果ちゃん……」
覆い被さるようにして、仰向けの高坂穂乃果に迫った。右手で彼女の肩を押さえ、左手は頬に優しく添える……ぼんやりと湿った、彼女の髪の毛が指先に触れる。
「ごめん。……もう、我慢できない」
「彼方さん」
自分の名を呼ぶ恋人の声が、近江彼方の全ての罪をまるで受け入れてくれるかのような、慈愛に満ちたものに聞こえた。
あぁ。この雨が彼女を狂わせて、私の心をおかしくしてしまったんだ。
責任を押し付けるかの如く、東屋の外をチラッと覗く。
だが憎らしいことに、あれだけうるさかった筈の雨粒は随分と鳴りを潜めていた。 でもここまで来たら、もう関係ない。
身をかがめて、彼女に唇を押し付ける。一方の手を鼠蹊部に添わせ、高坂穂乃果の下着とスカート越しに強く撫で付けた。
「んっ、あんっ」と裏返ったような声が、塞いだ彼女の口から漏れる。
ふに、ふに、と彼女の秘部を揉みしだくように押す。そして自然と開いた口の奥を、彼方が舐めるようにして舌を絡める。
穂乃果の咥内は白い唾液で薄められた、苺の味がした。 ピンク色の混じった二人の唾が、ツゥーーと細長い糸を引き、ぷつんと途切れる。
「甘いね」
「……はい」
自分の真下に位置する穂乃果の顔を見つめながら、彼女の髪を綺麗に結んでいたリボンを、何気なくほどく。ボサボサと、少し乱雑な髪型になった。
他の子には決して見せないであろう、その無防備な姿がとても良かった。誰にでも隔てなく接する彼女が、自分にだけ晒してくれる地肌が良かった。
“自分にだけ” 。
“高坂穂乃果が、自分にだけ” 。 ごめん全然書き終わらなかった
明日入試なので寝ます、明日完結予定です申し訳ない ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています