歩夢「ふわりふわり」
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歩夢「大丈夫だよ。みんながいる」
私はライブに立つ前にいつもファンや仲間。
それに大切な親友の事を思い出すようにしている。
これは私の大事なルーティンであり。
これをやると歌ってる時も踊ってる時も私は笑顔でいれる。
ふわりふわりと紙吹雪が舞い。
私はそれを掴む。
私の先にライブしていたアイドルが歌い終わっていた。
演出の紙吹雪が舞台袖まで何枚か風にさらわれてここまで舞って来ている。
すごい歓声。
私はこのアイドルの後に歌うのか・・・。
そう思うと、心臓が締め付けられる。 歩夢「ふぅー」
大きく深呼吸をする。
私にはみんながいる。
次第に落ち着いて、心臓はいつものように鼓動する。
侑「歩夢!」
歩夢「ゆ、侑ちゃん!?」
振り返ると、大事なみんなの中の一人。
侑ちゃんが笑って小さく手を振っている。
侑「ごめん来ちゃった」
歩夢「えぇっ?来ちゃったって・・・客席で見てるって・・・」
侑「いやー。ははは。私もそのつもりだったんだけどさ・・・大丈夫かなって」
歩夢「私は大丈夫だよ!」
侑「本当?あぁっ、ごめん。疑ってる訳じゃないんだ。ほら、幼馴染だしやっぱし心配なんだ歩夢の事」 歩夢「もう、侑ちゃんったら・・・」
侑「ほら、なんて言うかさ。ずっと一緒だったから・・・姉妹みたいに思ってるって言うか・・・」
歩夢「私がお姉ちゃん?」
侑「えぇ?私がお姉ちゃんのつもりだったんだけど・・・」
歩夢「もう、なにそれ・・・。あのね侑ちゃん」
侑「ん?」
歩夢「今まで何回もライブやって来てもやっぱりまだ慣れないんだ。ちゃんとお客さん満足させられるかなって」
侑「うん。見てて分かるよ」
歩夢「やっぱり私、まだまだなのかな?」
侑「ううん。歩夢はもう立派なアイドルだと私は思うよ」 歩夢「えへへ。ありがとう侑ちゃん」
侑「ほら、もうすぐ見たい。」
ステージが暗転する。
侑「頑張って、歩夢」
歩夢「うん!でも・・・」
侑「やっぱり不安は消えない?」
歩夢「・・・うん」
侑「仕方ないよね。有名アイドルの後だから。でもね、構わないで」
背中をドンと押される。
侑「不安も緊張も構わないで、引き連れて前進しちゃいなよ」
侑「・・・ありがとう」
ステージへと歩き出す。
天から光を浴びて、私は大きく歌い出す。
おわり 歩夢「えへへ。ありがとう侑ちゃん」
侑「ほら、もうすぐ見たい。」
ステージが暗転する。
侑「頑張って、歩夢」
歩夢「うん!でも・・・」
侑「やっぱり不安は消えない?」
歩夢「・・・うん」
侑「仕方ないよね。有名アイドルの後だから。でもね、構わないで」
背中をドンと押される。
侑「不安も緊張も構わないで、引き連れて前進しちゃいなよ」
侑「・・・ありがとう」
ステージへと歩き出す。
天から光を浴びて、私は大きく歌い出す。
ごしごしごしごし。 ごしごしごしごし。
ごしごしごしごし。
ごしごしごしごし。
ごしごしごしごし。
ごしごしごしごし。
ごしごしごしごし。
歩夢「大丈夫だよ。みんながいる」
残ったのはここだけか・・・。
ノートに散らばってしまった消しゴムのカスを手で集めてゴミ箱へ放る。
歩夢「うーん。ここで終わらすのは勿体ないかなぁ・・・」
誰もいない。
真っ白な部屋の中。
私は思考を巡らせ、私や侑ちゃん。
みんなの物語を書いている。 pi pi pi pi pi pi
通信【成功】
監視カメラ【異常無し】
人体通信【異常無し】
保護システム【異常無し】
you protect【起動】
対象者・・・上原歩夢
PSI・・・サイコキネシス
体調・・・正常
精神・・・不安定
顔色・・・良好
血圧・・・140/90
状態・・・起床
対話を開始します。 白い部屋の隅に取り付けられている監視カメラ付きのスピーカーにザザッとノイズが聞こえる。
歩夢「あ、侑ちゃんおはよう」
侑「おはよう歩夢。今日も先越されちゃったね」
歩夢「うん。あまり寝れなくて・・・」
侑「もう、しっかり寝なきゃダメだよ」
歩夢「ごめんね。お話、考えてたらどうしてもノートに書き留めたくて・・・」
侑「そっか、外はいい天気だよ。雲一つない晴天」
歩夢「そうなんだ」
侑「やっぱしあまり興味ない?」
歩夢「・・・うん。せっかく教えてくれたのにごめんね」
侑「いいんだよ歩夢。今日も素晴らしい1日にしようか」
ここは虹ヶ咲精神病棟。
表向きは精神病患者を扱う病棟。
だけど実際には違う。
ここは、何らかの理由で超能力を持った少女を隔離する為の施設だ。
上原歩夢はその患者の一人。
彼女はサイコキネシスによって殺人を犯してしまった要注意人物ある。
歩夢「ふわりふわり」
Chapter1 歩夢「そうだね侑ちゃん」
私、上原歩夢はスピーカーから聞こえる声にそう答えた。
真っ白な部屋には私だけ。
あとあるのは、スピーカーと監視カメラ。
壁には30インチのモニター。
隅にはベット、その反対側の隅にはむき出しのトイレ。
外へと繋がる扉は厳重で、食事や日用品を受け取る小さな受け取り口がある。
侑「ところで歩夢。虹ヶ咲学園のアイドルのお話はどこまで行った?」
歩夢「うーん。あまり進んでないかも・・・」
侑「でも、さっきお話が思い付いたって言って無かった?」
歩夢「うん、でも。書いてみたらなんか違うかなって」
侑「あー分かるよ。私も報告書を書くときよくあるよ」
私は虹ヶ咲学園と言う架空の学校でアイドルをやっているお話を書いている。
その中の私やみんなはとても輝いていて、とても隔離されるような子じゃない。
ペンとノートを浮かせてみせる。
当然、こんな超能力もない。
至って普通の女の子達だ。 侑「あ、こら。歩夢、むやみやたらに能力使ったらダメだよ」
歩夢「あ、ごめんね・・・」
ノートとペンは重力に従いポトリと落ち、柔らかな真っ白の床に落ちる。
侑「私達はその能力を消す為にいるんだから、あまり使うと退院長引くよ?」
歩夢「ごめんね。でも、侑ちゃんとお話出来なくなるの寂しいからずっとここにいたいかも・・・」
侑「グッと来る事言うね歩夢は・・・」
歩夢「あはは。そうかなぁ?」
侑「優しい子だよ歩夢は、あそうだ。しずくちゃんの話どうなった?あと果林ちゃんも」
歩夢「うーんまだ考えてないかなぁ」
侑「もっかい顔見てみる?」
歩夢「うーん。何回も見てるし・・・」
侑「ううん。見てみなって、アイディア浮かぶと思うよ?ほら、モニター見て」
モニターが淡く光り、収容者の顔が写し出される。 侑「ほら、この子名前覚えてる?」
歩夢「中須かすみちゃん。誕生日は1月23日で身長155センチ」
侑「おぉー凄いね!」
歩夢「毎日見せられてるから、覚えてるよ」
侑「じゃあこの子とこの子」
歩夢「桜坂しずくちゃんに朝香果林ちゃん」
侑「しずくちゃんは女優目指してて果林ちゃんはモデルやってるってのが歩夢のお話の設定だったね」
歩夢「うん」
侑「どうしてそう思ったの?」
歩夢「果林ちゃんはスタイルいいし、しずくちゃんは凛としてて綺麗だから」
侑「じゃあこの子は?」
歩夢「宮下愛ちゃん」
侑「そう!この子と仲良いんだよね?」
歩夢「うん。天王寺璃奈ちゃんとは仲良しだよ」 侑「じゃ次は・・・この子」
歩夢「エマヴェルデちゃん」
侑「じゃあ最後にこの二人」
歩夢「近江彼方ちゃんと優木せつ菜ちゃん」
侑「そうそう。あ、せつ菜ちゃんに関しては歩夢のお話では二つ名前があるね」
歩夢「中川菜々ちゃん?」
侑「そうそう。どうしてせつ菜ちゃんは名前二つあるのかなぁ?」
歩夢「聞いてくれている侑ちゃんをびっくりさせたかったから。えーこの子が優木せつ菜ちゃんだったのって」
侑「まぁ薄々分かっていたんだけどね」
歩夢「もー侑ちゃん」
侑「あはは。ごめんごめん」 モニターが暗転して私の顔が薄らと映る。
寝癖が酷く、髪があっちこっち跳ねてしまっている。
歩夢「酷い髪だね」
侑「そうかな?その歩夢もかわいいよ」
歩夢「そんな事言ってもみんなには会わないよ!」
侑「あはは。やっぱりバレた?」
侑ちゃんはこの部屋で引きこもっている私をどうにかしてこの部屋から出したいらしく。
毎日、ここの収容者の写真を見せてくる。
侑「やっぱり傷付けるのは怖い?」
歩夢「・・・・・・」
侑「大丈夫だって、腕輪もあるんだし」
右手に付けられてる腕輪を見る。
色はピンクで、隙間なく私の手首にピッタリと付いている。
歩夢「でもこれ痛いんでしょ?」
侑「それなりにはね・・・でも付けてないと何があるか分かんないから」
この腕輪はこの病院の抑止力。
能力を使おうとすれば腕輪から針が出て能力を使えないように出来るらしい。
前に能力は集中しないと使うことが出来ない。
痛みは能力を抑制すると侑ちゃんは言っていた。 歩夢「私はずっとここに閉じこもっていたい。ここにいても能力は消えるんでしょ?」
侑「まぁーそうだね。でも、友達出来るかもよ?」
歩夢「友達なんていらないよ・・・」
侑「何言ってるの。現に私は友達じゃん」
歩夢「でも、顔見た事ないし・・・」
侑「うーん。お話では歩夢と私は幼馴染ですっごく仲良いんだけどなぁ・・・」
歩夢「お話の中ではね・・・」
侑「時が来れば私も会う事が出来るって、私は歩夢に会うの楽しみにしてるよ。歩夢は?」
歩夢「わ、私は・・・」
侑「ほら、お話では私を大事なポジションに置いてくれてるわけだし。すれ違いもあったけど仲良いままじゃん。私に会う第一歩としてみんなに会ってみよ?ね?」
歩夢「で、でも・・・」
侑「歩夢、あなたは大丈夫だって。今日はみんなで朝ご飯食べてみよ?それだけ、それだけでいいから。終わったらすぐここに戻ってくればいい」
歩夢「・・・わ、分かった」 侑「よし来た!」
歩夢「他の人達は大丈夫なの?」
侑「うん!大丈夫だよ。みんないい子達だし・・・ちょっと癖はあるけどきっと友達になれるはずだよ」
歩夢「ち、違くて・・・みんなじゃなくて私がいたら怖がる子いない?」
侑「歩夢。前に話した事覚えてる?ほら、何故超能力を持つようになる話」
歩夢「うん・・・深い心の傷」
侑「よく覚えてたね。これから歩夢が会う子はみんな超能力。つまり心の傷が深い子達。それは歩夢も一緒でしょ?」
歩夢「みんなと傷の舐め合いをしてって言ってるの?」
侑「そうだよ。みんなで舐め合ってここから早く退院出来るようにならなきゃね。ここはカウンセラーだけであなた達の治療が出来ると思ってる人が多い。私は違う、同じ境遇の子達が傷を舐め合えば傷はいずれ埋まる。歩夢出来る?」
歩夢「・・・分かんない」
侑「歩夢なら出来るよ。だってあんなに面白い話書けるんだもん」 侑「扉開けるね」
ガチャン。
音が聞こえて、扉が開く。
先に見えるのは未だ真っ白な廊下。
侑「その通路を歩いて行けば、食堂に行ける」
違和感。
今までスピーカーから聞こえていた筈の声が今度はもっと身近に聞こえる。
侑「今、食堂でみんな朝ご飯食べているはずだよ」
腕輪を見る。
ここから侑ちゃんの声が聞こえる。
歩夢「この腕輪、こんな機能もあるの?」
侑「あぁごめん!言ってなかったっけ?外出るの初めてだから仕方ないか、そうだよ。この腕輪は歩夢の体調や血圧。それから私の声もここから通信出来るようになってる」
歩夢「凄い腕輪なんだね・・・」
侑「ハイテクだよね。ほら進んで見て」
言われた通りに進む。
私の部屋にも無かったが、通路にも窓は無い。
あるのは、他患者の部屋の扉だけだ。
しばらく歩くと、食堂と書いてあるプラカードが見えた。
歩夢「食堂に着いたよ」
侑「うん、じゃあ開けるね」
解錠音と共に扉が開く。 歩夢「・・・・・・」
食堂は私が想像していたよりも広かった。
あちこちに並べられたテーブルに患者達が一人一人別々に朝食を食べている。
誰一人として一緒に食べてる者はいない。
その内の一人が私に気付いたが、興味が無いようで視線を戻しコップの水を飲む。
聞こえるのはかちゃかちゃと食事をする音。
9人も人がいるのに寂しい空間だ。
モニターでみんな顔は知っている。
名前も分かる。けど、初対面だ。
どうしたらいいか分からないまま立っていると一人私の方へと向かって来る。
彼方「やぁ」
歩夢「お、おはようございます!」
彼方「おはよう。彼方ちゃんもう寝るからそこどいて欲しいなぁ〜」
歩夢「あ、ご、ごめんなさい!」
扉の前で立っていた私が邪魔だったようだ。
すぐに移動するとこの人は自分の部屋へと戻って行った。 何をしたらいいか分からない。
みんなは我関せずそんな様子で黙々と朝食を食べている。
挨拶をしていいのすらも戸惑う。
侑「まぁ残念ながらずっとこんな状況だよ」
腕輪が喋る事を意識していなかった為、ビックリしてしまう。
歩夢「ゆ、侑ちゃん・・・びっくりしたよ」
侑「ごめんごめん。歩夢のご飯は用意してあるから。ほらあそこのメタルラック」
あそこと声だけで指示されても分からない。
食堂を見渡して見ると、メタルラックを見つけそこに牛乳とコッペパンと蜜柑が置いてあるトレイがあった。
侑「貧相だけど許してね」
歩夢「どこで食べればいいの?場所とか決まってるの?」
トレイを持ちながら質問する。
侑「自由だよ」
歩夢「そっか・・・」
そう言われ、近くの椅子に座る。
歩夢「いただきます」
コッペパンを千切って食べる。
少し酸味を感じる。レーズンが入っていたようで舌の上でコロコロと転がした後、噛み潰した。 >>20
ユープロテクト起動って出てたからAIとかの可能性もあるのかもね μ’sでも似たようなのあったな
超能力は無かったけど 次の話を考えながらコッペパンを食べ終わる。
璃菜「あ、あの・・・」
背中をちょんちょんと突かれる。
振り返ると、小さな女の子が後ろに居た。
歩夢「あ、えーと・・・」
璃菜「璃菜です。天王寺璃菜」
歩夢「上原歩夢です・・・」
璃菜「食器、食べ終わったら洗った方がいい。流しはあそこにあるから洗ってメタルラックの上に。怒られるから・・・」
歩夢「あ、ありがとうございます」
璃菜「ううん。お名前教えてくれてありがとう」
歩夢「こちらこそ!」
璃菜ちゃんは洗い終わったであろう食器をラックに戻し、食堂から出て行った。
侑「優しいでしょ?」
他の子に聞こえないようする為か腕輪の声のボリュームは小さかった。
この腕輪はボリュームの調整の機能もあるのかと関心した。
歩夢「う、うん」
侑「でも、触られちゃったね」
歩夢「触られると何かいけないの?」
侑「彼女は触る事で人の考えてる事が分かるんだ」
歩夢「じゃ、じゃあ・・・」
侑「読まれちゃったかもね」 同じ収容所にいる子達を登場人物にしてお話を書いてたのか 歩夢「そ、そっか。サイコキネシスだけじゃないんだね。超能力って」
侑「まぁね。人によって色々違うよ」
超能力は思春期の女性に多く目覚めやすいと侑ちゃんから聞いた事がある。
この収容所は確かに私と同じくらいの歳の女の子しかいない。
歩夢「あっ・・・」
カナブンが
侑「ん?どうしたの?」
歩夢「思い出しちゃったゴキブリの話」
侑「あぁ、あれね」
超能力はどうやって目覚めるのか。
侑ちゃんは前にゴキブリで私に説明していた事を思い出した。
ゴキブリは飛べる事を忘れている。
でも、命の危機や精神の危機に合うとゴキブリはIQが爆発的に上がり飛ぶ。
人間も同じと言っていた。
私達も命の危機や精神の危機に陥ると、IQが上がり脳が覚醒してあり得ない力を手に入れてしまう。
それじゃあ私達はゴキブリみたいだと言うと侑ちゃんは全然違うよと言ってくれた事を記憶している。 かすみアンチ茸のID:7AwneRQTはガイジの超危険人物なのでマジで注意しろ! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています