真人「歩夢、君が望んだものがこれだよ」ゲラゲラ
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
歩夢「……」とぼとぼ
歩夢(侑ちゃん。どうしてせつ菜ちゃんばかり)
歩夢(もう私のことはどうでもいいの?)
歩夢(私よりもせつ菜ちゃんの方が大切なの?)
歩夢(一緒に、って言ったのに……)
歩夢「……」
歩夢(せつ菜ちゃんが……、せつ菜ちゃんさえ……)
歩夢「!」ハッ
歩夢(私、今何を考えて……)
歩夢(なんでこんなこと……、私も同じだったのに。侑ちゃんと同じでせつ菜ちゃんに憧れて、スクールアイドルを目指したはずなのに……)
歩夢(どうしてこうなったんだろ)
歩夢(どうして……)
真人「……」 男「あ、虹ヶ咲のスクールアイドルの歩夢ちゃんじゃん。ねえねえ、こんなところで何してんの?もしかして暇?なら今からどっか遊びに行かない?」
歩夢「えっ、あの、すいません。今急いでるので」
歩夢(ファンの人? 今一人で考えたいのに)
男「は?なんだよ塩対応か? 最近話題に上がってるからって調子乗んなよ。せつ菜ちゃんとかと違って不人気のくせに」
歩夢「…え」ぴた
男「おっ、なんだ遊んでくれる気になったか?」
歩夢(せつ菜ちゃんと違う。またせつ菜ちゃん。せつ菜ちゃん、せつ菜ちゃん)
男「それじゃあとりあえずカラオケでもーー」ぐにゃ
真人「いけないよ。きちんとマナーは守ろうね、君たち」
ぐちゃ
歩夢「ーー!?」 歩夢(えっ、なに? いきなり人が、ぐちゃぐちゃになって)
真人「……」
歩夢(このひとがやったの? なんで、いや、それよりどうやって?)
歩夢(こんなこと一体どうやったの?)
真人「あれ、君もしかして僕のこと見えてる?」
歩夢「……え。それって一体どういう意味ですか?」
真人「勿論そのままの意味だよ。君にはどうやら素質があるようだね」
歩夢「……え?」 歩夢(素質? 一体何の?)ちらっ
男だったもの「」ぐちゃ
歩夢「……」ごくり
歩夢「どうして彼を殺したんですか? このひとがあなたに何かしました?」
真人「殺した理由ね。そんなのはひとつさ。彼が単純にうるさくて邪魔だったから」
歩夢「……そんな理由で、人を殺せるんですか?」
真人「殺せるよ。むしろ、それ以外の理由の殺人なんてのは存在しないと思うよ」
歩夢「そんなのは間違ってます」
真人「どうして?」 歩夢「どうしてって、そんなの……、だって」
真人「人を殺すことにそこまでの理由なんて必要ないよ」
歩夢「……でも、そんなの許されるわけがない。邪魔だから殺すなんて、そんなの!」
真人「ふーん、そっか。君にもいるんだね、邪魔者」 歩夢「っ!」
真人「そっかそっか! だからそんなにも葛藤してるんだね」
歩夢「ち、違う。私はそんなこと!」
真人「君、名前は?」
歩夢「う、上原歩夢です」
真人「歩夢か、いい名前だね。君は人を殺すことに何故そこまでの理由が必要だと思ってるの? 人間の価値観では人殺しは、どんな理由があろうとも悪のはずだよ」
歩夢「そ、そうです。悪いことです」
真人「ならそもそも理由なんてのは考えるだけ無意味。そこに理由を求めるのは、ただ僕のこの行為(殺し)を正当化したいから」
歩夢「っ」 真人「君も本当は、誰かを殺したいんだろう? それが誰かは分からないけど」 にこっ
歩夢「そんな……、そんなこと」ふるふる
歩夢(せつ菜ちゃんが、せつ菜ちゃんさえいなければ……っ)
歩夢「許されるわけ」
真人「許す許されないは問題じゃないよ。君がどうしたいかが大切なんだ」
歩夢「!」
歩夢(私が……どうしたいか) ぎゅっ
歩夢「……あの、私にも同じこと、できますか?」
真人「勿論、できるよ」 人間だったもの「がうがう」
歩夢「これが人間なんですね」
真人「僕の呪術で魂の形を変えたけどね」
歩夢「私にもこういうことできるようになるんですか?」
真人「全く同じには無理だけど、君にも似たようなことは出来るようになるよ」
歩夢「そう、ですか」
歩夢(この力を手に入れたらまた私は侑ちゃんと一緒に……)
真人「……」ちらっ 真人「それより君はどうしてその子が邪魔なの?」
歩夢「……私には幼なじみがいるんです。何よりも大切で大好きな……」
歩夢「その子と一緒に何かしたくて私はスクールアイドルになったんです」
歩夢「それなのに……、そのはずだったのに、あの子は私よりもせつ菜ちゃんの方を見て……」ギリッ
歩夢「だから私は……っ」
真人「成程。嫉妬ね」
歩夢「くだらないですよね」
真人「ううん、いいと思うよ」
歩夢「本当ですか?」
真人「ああ、殺すには十分な理由だね」
歩夢(そっか。これでいいんだ) 翌日
歩夢「……ふふ」すたすた
歩夢(このままいけば)
ーーさん
歩夢(近くに私はまたあの子と二人で)
ーー夢さん
歩夢(せつ菜ちゃんさえ、ううん、ついでに邪魔者は全員消して)
せつ菜「歩夢さん!」がしっ
歩夢「えっ?」
せつ菜「もう、何度声かけても返事がないから心配しました」
歩夢「あ、ああ、うん」
歩夢(うるさい。もう私に関わらないで)
せつ菜「……歩夢さん? どうしました?」
歩夢「ううん、なんでもない。ごめんね」
せつ菜「……歩夢さん! 今日、放課後空いてますか?」
歩夢「え?」 歩夢「練習が」
せつ菜「今日は休みになりました」
歩夢「なんで、聞いてない」
せつ菜「愛さんや果林さん、彼方さん、しずくさんが忙しいようなので今日は中止です」
歩夢「そっか。教えてくれてありが」
せつ菜「なので今日どこか遊びに行きませんか! 二人で!」
歩夢「は?」 歩夢「なんで?」
せつ菜「親睦会です!」
歩夢「なら侑ちゃーーっ!」
せつ菜「侑さんは今日は忙しいそうなので、二人で」
歩夢「でも」
せつ菜「それとも何か予定でも?」
歩夢「……ない」
せつ菜「なら決まりですね! たまにはパーッと二人で遊びましょう!」
歩夢「うん、分かった」
歩夢(どういう風の吹き回しなの?) 放課後
侑「じゃあ、歩夢。さっき帰ってて」
歩夢「あ、うん。分かった」
歩夢「……」
歩夢(なんで私、馬鹿正直にせつ菜ちゃんのことなんて待ってるんだろ)
歩夢(……どうせもうすぐ殺すのに)
歩夢(でも、最後くらい思い出作るのもいいかな) 中川「あ、上原さん。お待たせしました」
歩夢「あ、えっとその格好」
中川「学校出たら優木せつ菜になるので、それまでは……」ぼそっ
歩夢「あ、うん」
中川「それでは行きましょうか、上原さん」
歩夢「……」 学外
せつ菜「ふうー、歩夢さん!お待たせしました!」
歩夢「大変そうだね」
せつ菜「もう慣れました! それじゃあどこ行きましょうか」ぐいっ
歩夢「っ」どきっ
歩夢(ち、近い…)
歩夢「どこでもいいよ。せつ菜ちゃんはどこか行きたい場所ある?」
せつ菜「私ですか? 私は歩夢さんと一緒に遊べるならどこでもいいですよ」にこにこ
歩夢「ならカラオケとか?」
せつ菜「いいですね!行きましょう!」 歩夢「……」
歩夢(ずるい。どうして)
歩夢(そういうところも嫌い。私はこんなにもあなたのことを嫌ってるのに、せつ菜ちゃんはどうして)ギリッ
ぎゅっ
歩夢「!」びくっ
せつ菜「ひとが多くなってきたのでちょっと腕をお借りしますね」にこっ
歩夢「うん、いいよ」
真人「……ふーん、あれが彼女の殺したい人間ね。それにしては仲が良さそうだけど」
夏油「女とはそういう生き物だよ、真人」
真人「ふーん」 真人(表面的な付き合いにしては、魂が安定してる。ぷふっ、成程。これはこれで面白くなってきた)
夏油「……」ちらっ
夏油「君の趣味に特に関心あるわけではないけど、程々にしておきなよ」
真人「分かっているよ、夏油。安心して、これはただの実験。深入りするつもりなんてないから」
夏油「ならいいけど。それじゃあ僕はひとまず退散するよ。誰にも姿を見られる訳にはいかないし」
真人「わかった。夏油」
夏油「ああ、それじゃあ」 歩夢「せつ菜ちゃん、飲み物は何頼むの?」
せつ菜「歩夢さんと同じのでお願いします」
歩夢「なら烏龍茶でいいよね」
せつ菜「はい!それでお願いします!」
ーー
歩夢「……せつ菜ちゃんから先にどうぞ」
せつ菜「分かりました!」 せつ菜「ーーー♪」
歩夢(相変わらず上手いね、せつ菜ちゃん。私なんかとは全然違う)
せつ菜「ーー♪♪♪」
歩夢(……せつ菜ちゃんの歌で、私は……)ずきっ
歩夢(どうして。あれだけ好きだったせつ菜ちゃんの歌声が……)ずきっ
歩夢(せつ菜ちゃんの歌を聞く度に胸の奥がチクチクする)
歩夢(……) せつ菜「ふぅー、どうでした?」
歩夢「……上手かった、よ。すっごく」
せつ菜「よかったです。なら次は歩夢さんの番です!」
歩夢「私? 私はいいよ」
せつ菜「ダメです! 歩夢さんの歌を聞かせてください」
歩夢「……私はせつ菜ちゃんみたいに上手くないから」
歩夢(だから侑ちゃんも)
せつ菜「そんなことないです! 歩夢さんの歌声は可愛らしくてとても素敵だと思います!」ぐわっ
歩夢「え、あの近い」
せつ菜「あ、すいません。つい。ですが、そうやって自分のことを下げて言うのはよくないですよ、歩夢さん!そんなんじゃ歩夢さんのことを応援してるファンの方々に失礼になってしまいますよ」
歩夢「ファン? そんなひといるかな?」
せつ菜「いちばん身近にいるじゃないですか! 」
歩夢「??」 せつ菜「分からないんですか?」
歩夢「??」
せつ菜「侑さんですよ」
歩夢「…」イラッ
歩夢「侑ちゃんはせつ菜ちゃんのファンでしょ」
せつ菜「はい!その通りです! でも歩夢さんのファンでもあります!」
歩夢「……何を言ってるの?そんな好きなスクールアイドルを掛け持ちって……」
せつ菜「でも私も好きなアニメは何個もありますよ?」
歩夢「それとは違うよ」
せつ菜「それに私も歩夢さんのファンですから」にぱっ
歩夢「……」 それから
せつ菜「ふうー、いっぱい歌いましたね」
歩夢「うん、いっぱい歌ったね」
せつ菜「今日は楽しかったです!また遊びに来ましょう!」
歩夢「……」
せつ菜「歩夢さん?」
歩夢「そろそろ帰ろっか」
せつ菜「え、はい。歩夢さん? 」
歩夢「せつ菜ちゃんは、侑ちゃんのことどう思ってるの?」
せつ菜「いきなりですね。大切なファンで、私に大好きを思い出させてくれた恩人で、大事な仲間です」
歩夢「……」 せつ菜「歩夢さんはどうなんですか? 歩夢さんにとって侑さんはーー」
ぴたっ
歩夢「ねえ、せつ菜ちゃん。ごめんね」
せつ菜「?」
歩夢「今日はもうここで帰る」たっ
せつ菜「えっ、あの、ちょっと待ってください!歩夢さん!
歩夢さんもまだ一緒に帰れますよね!」だっ
歩夢「え、なんで追いかけてくるの!?」だっ
せつ菜「まだ話し足りないからです!」だっ
歩夢「お願い!いまは一人にして」
せつ菜「そういうわけにはいきません!こんな時間に一人は危ないです! 待ってください!」
歩夢「だからーー!」 せつ菜「捕まえました」
歩夢「はぁ、はぁ、ね、ねえ、どうしてそこまで私に……。いきなりおかしいよ」 ぐったり
せつ菜「だって、歩夢さん。今朝ものすごく様子がおかしかったじゃないですか。なので心配だったんです」
歩夢「どうしてせつ菜ちゃんが心配するの?」
歩夢(私は侑ちゃんの幼なじみ。せつ菜ちゃんにとっても邪魔者でしょ?)
せつ菜「心配するに決まってるじゃないですか。だって、私たちは仲間ですから」
歩夢「な、かま?」
せつ菜「はい、同じ同好会の仲間です!」
歩夢「……っ」
歩夢(私にはそんな資格はない。だって今も私はせつ菜ちゃんのことを……!) 歩夢(殺そうとしてたのに……)じわっ
せつ菜「あ、歩夢さん!? ど、どうしたんですか!? どこか痛むんですか!?」
歩夢「ごめんね、せつ菜ちゃん。ごめんね」ぎゅっ
歩夢(無理。私には無理。私にはせつ菜ちゃんを殺すことはできない)
歩夢(私は脆い。たった、これだけなのに私はもうせつ菜ちゃんに対して……。
きっと人を殺せる力を手に入れても私はそれを人に向ける覚悟はないんだ)
歩夢「ごめんね、せつ菜ちゃん」
せつ菜「あ、えっと、よしよし」ぽんぽん
せつ菜(きっと何か色々と抱えてたのでしょうか。よく分かりませんが、辛かったんですね)なでなで
歩夢「せつ菜ちゃん」
せつ菜「?」ぐにゃ
歩夢「っ!?」びくっ
せつ菜「」どさっ
歩夢「せつ菜ちゃ……」
真人「……」にたにた その頃
虹ヶ咲学園理事長室
侑「そんな歩夢が!何かの間違いです!」
侑「歩夢が人を殺すなんて!そんなの絶対ありえません」
理事長「とは言っても……」ちらっ
五条「まあ友達ならそう思うのは無理ないね」
侑「っ、大体あなたは一体何なんですか!」
五条「ああ、僕? 呪術師」
侑「じゅじゅ? はあ?」
侑(なにこのひと)
五条「まあ、そんなことより。上原歩夢は今どこにいるの? 」
侑「歩夢なら今日はせつ菜ちゃんと遊んでる」
五条「マジで?あちゃー、これはまずいね」 鬼滅は最初から読んでたけど呪術は飛ばしてたんだよなーどうすっかなー俺もなー ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています