かすみ「お父…さん?お…母…さ…ん…?うそ…いや…いやああああああああああああああ!!!」
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しずく「かすみさん…私がずっとそばにいるから…」
かすみ「しず子…しずこぉ…」ポロポロ かすみ「全裸のお父さんがお母さんを虐めてる!!!!!」 美学がわかってない
親に手を出すのは違う
あくまでもかすみへの干渉の範囲で曇らせるのが流儀 しずく(かすみ父のすがた)「私だよ」
部長(かすみ母のすがた)「私だよ」
かすみ「お前らだったのか」 しずく(……これは流石の私でも許せませんね)
しずく(かすみさん以外の人間を、しかもこんな形で危害を加えるなんて、私の美学に反してます)
しずく(大方、私のかす虐の模倣犯…といったところでしょうか。不愉快極まりないですが)
かすみ「しず子ォ…しず子ォ…」
しずく「……」ゾクゾクッ
しずく(いや、今はゾクゾクしてる場合ではありません。一刻も早く犯人を見つけて、その体に刻み込まなければ)
しずく(本物のかす虐とはかくあるべきだと━━━) 璃奈「両親なんていなくていいでしょ」
愛「り、りなりー…?w」 しずく(とはいえ、私以外にかす虐に興味がある人なんて、正直検討もつきません)
しずく(確かにかすみさんは同好会の中ではいじられキャラですが、あんな馴れ合いをかす虐とは到底呼べません)
しずく(むしろこれは、かすみさんに敵意を持っている者による犯行と考えた方が妥当に思えます)
しずく(……たとえば、かすみさんのクラスメイトの誰か) しずく(かすみさんのクラスの話を時折耳にしますが、はっきり言って、かすみさんが楽しそうに話していた記憶がありません)
しずく(仲のいいクラスメイトの子だとか、グループの人達と遊びに行っただとか)
しずく(そういった話を聞いたことがありません)
しずく(かすみさんは自分のクラスに馴染めてないのでしょうか?お昼休みは私や璃奈さん、先輩たちの所によく来ていますし)
しずく(その時に『クラスの人達とは食べなくていいの?』と敢えて訊いてみた時のかすみさんの何とも言えない表情は絶品ですが)ニチャア しずく(かすみさんがクラスでいじめを受けている━━━とは断定できませんが、浮いているのは間違いないでしょう)
しずく(おそらくその風潮が、今回の件の呼び水となったのではないでしょうか)
しずく(……本当に嘆かわしいものです)
しずく(他人から「変わった子」として評価されることは、それは名誉でも何でもなくて、並大抵はろくなことにならない)
しずく(……それは桜坂しずくが一番よく分かっています)
犯人はかすみさんのクラスメイトの誰かという線が濃厚だろう━━━その推理を証明すべくいざ登校した私でした
このあと事件が思わぬ方向に転がるとはつゆも知らずに。 ◆廊下◆
「しずく」
しずく「?」
しずく(渡り廊下で名前を呼ばれた私は、声のした方を向きます。そこに居たのは、)
演劇部部長「やあ」
しずく「部長、おはようございます」
部長「おはよう。しずくは大丈夫?」
しずく「え…?」
部長「ほら、しずくのお友達の彼女、中須さんだっけ?お父さんとお母さんのことでショック受けてるって、風の噂で聞いてね」
しずく「……」 部長「しずくもショック受けてるんじゃないかと思ってさ」
しずく「…私は大丈夫ですよ。かすみさんが心配ですが」
部長「……しずく、また『癖』出てるよ」
しずく(そう言うと部長は、私の後頭部━━━リボンの方に手を伸ばしました)
部長「リボン、曲がってたから直しといたよ」
しずく「…あ、ありがとうございます」
部長「しずくは『いつも通りの桜坂しずく』を装う悪癖があるからね。困った時はいつだって頼ってくれていいんだよ?」
しずく「……お気遣いいただいてすみません」
部長「まあ何かあったら言ってよ。今日は同好会の方あるの?」
しずく「今日は練習自体は無いようですが……一応これで顔出してきます」
部長「そっか、いってらっしゃい」
しずく(そうして部長とは後にして、私は同好会の部室へと足を運びました」 ◆同好会 部室◆
ガチャッ
しずく「遅くなってすみません」
歩夢「あ……しずくちゃん、おはよう」
しずく「おはようございます」
しずく(同好会の部室には、私とかすみさんを除いた9人がすでに集まっていました)
しずく(かすみさんの件でしょう。いつもの同好会の明るい雰囲気とはかけ離れた、重苦しいムードが部屋一帯に充満していました)
しずく(……それにしても)
果林エマ彼方「……」
しずく(部室に入ってから、皆さんの、私への視線を感じます)
歩夢せつ菜愛「……」
しずく(その視線は重く、静かで、冷たくて、)
璃奈栞子あなた「……」
しずく(『信じたくない』とでも言うかのように、言葉には出さずとも、皆さんの瞳の奥から窺えます)
「……しずくちゃん」 しずく「……どうしました?先輩」
あなた「…しずくちゃんは、かすみちゃんのこと、もちろん知ってるよね」
しずく「……はい」
あなた「その知らせを受けたとき……しずくちゃん、どう思った?」
しずく「……とても悲しく思いますし、犯人に怒りを覚えます。親友がこんな不幸な目に遭ってるんですから、犯人には然るべき罰を与えるべきだと強く思います」
愛「ふーん、犯人ねぇ…」
しずく「……どうしました?愛さん」
愛「…いや、何でもないよ」
しずく「……」
あなた「……悲しみに、怒り。それは私たちも同じただよ。他には感じなかった?たとえば……喜び、とか」
しずく「……は?何言ってるんですか?この状況下で喜べるわけないじゃないですか」
あなた「そっか……そうだよね……」
しずく「先輩、どうしたんですか? 何か言いたい事があるなら、はっきり言ってください」
あなた「……ごめん。じゃあ、単刀直入に聞くね」
あなた「しずくちゃん、あなたが今回の事件を起こした犯人なの?」
しずく「……」 しずく「……犯人?私が?」
あなた「……」
しずく「違います。私じゃありません。どうして私がそんなことしなくちゃいけないんですか」
あなた「……そう、だよね。私だって、そう思いたいよ」
しずく「……他の皆さんもそう思ってるんですか?」
彼方エマ果林「……」
歩夢せつ菜愛「……」
璃奈栞子「……」
しずく「……何とか言ったらどうなんですか」
璃奈「……私たちだって、しずくちゃんのこと、疑いたくない」
しずく「璃奈さん……じゃあ、どうして
璃奈「聞いて。今日、同好会の部室に、こんなものが置いてあった」
しずく「それは……SDカード?」 璃奈「このSDカードには、ある動画が入ってた」
璃奈「映像からして、おそらく犯人がカメラで撮ったものがそのまま送られてきてる」
しずく「……じゃあ、その映像とやらを見せてください」
璃奈「……本当に良いの?」
しずく「えぇ。皆さんは見たんですよね?だったら私も見る権利があります」
璃奈「……分かった。これで準備する」
璃奈「ただ、ショッキングな映像が流れてくるから、覚悟してね」
しずく「うん…」
しずく(……証拠にもなり得る動画をわざわざ送りつけてくるなんて、犯人は何を考えているのでしょう)
しずく(一番納得できる理由は『自分の罪を私になすりつけるため』でしょうか)
しずく(そう考えると、今回の模倣犯じみた手法も説明がつきます。私のかす虐を真似ることで、周りの疑いの目から逸れることができる)
しずく(ただ、桜坂しずくが中須かすみの曇り顔に快感を覚える異常者であることを知っている人は誰一人いないはず━━━)
璃奈「準備できた。じゃあ、再生するね」
『▶』ポチッ
ザァー…ザッ…ザッ…ザァー
『皆さんこんにちは♡(やらしい声)』 しずく「え…?」
『カメラ回ってますか?♡(やらしい声)』
しずく「私の声…?」
しずく(声の主の姿は映像には映っていないものの、その声は明らかに私の声でした)
しずく(そして画面に映っているのは……椅子に座ってるかすみさん?)
しずく(いや、かすみさんに似てはいますが雰囲気が違います……もしかして……)
『それでは中須さん、画面の前の皆さんに、自己紹介をどうぞ♡(やらしい声)』
『え、えと……』
『まずはお名前から教えてください♡(やらしい声)』
『あっ……中須かすみのママです……』
しずく(…やっぱり、かすみさんのお母さんでしたか)
『中須さんのお母さん♡とってもかわいいですね♡(やらしい声)』スッ
かすみママ『ひっ』 かすみママ『娘は…かすみちゃんは無事なの……!?』ブルブル
やらしい声『何も手出ししてませんから♡安心してください♡』
かすみママ『…娘に手を出したら…許さないから…!』ブルブル
やらしい声『ふふ♡自分のことよりも娘さんを大事に思うなんて、素敵なお母さんなんでしょう♡』
やらしい声『その気丈な態度も、いつまで保つでしょうか…?♡楽しみです♡』
スッ
かすみママ『…!?なに、それ…!?』ブルブル
やらしい声『変なものじゃありません♡ちょっとしたマッサージ道具です♡』
やらしい声『スイッチオン♡』ブブブブブブブ
かすみママ『ダメ…!お願いやめて…!』
しずく(……いけない)
しずく(親友の母親が凌辱されている…そんな動画を見たら怒りを覚えるのが普通なのに…)
しずく(かすみさんにそっくりだからでしょうか…私の美学に反しているとはいえゾクゾクしてしまっている自分がいます)
しずく(この感情は今絶対に出してはいけません。そうよ桜坂しずく。私は大女優。私はかすみさんの大親友)
しずく「……」 しずく(それから凌辱は手を変え品を変え20分ほど続きました)
しずく(相変わらず声の主の姿は画面には映りません。ゴム手袋をした手元がちらちらと見えるだけです)
しずく(同好会の皆さんはというと、顔を顰めている人、目を背けている人、耳まで塞いでいる人…。ショッキングな映像である以上そういったリアクションも当然です)
しずく(まさに地獄です。地獄そのものです)
かすみママ『あ…ごめんなさい…あなた…かすみちゃん……』ビクッビクッ
やらしい声『謝ることありません♡快楽に溺れてイキ果てる姿、とっても素敵でしたよ♡』
やらしい声『画面の前の皆さんも楽しめましたか?♡そうだったら私も嬉しいです♡』
『 II 』ポチッ
璃奈「……動画はここで終わってる」
しずく「……」
璃奈「……真っ先に思い浮かんだのは、音声が加工されている可能性。誰かの声をしずくちゃんそっくりの声に加工してるんじゃないかって考えた」
璃奈「だから調べてみた。……だけど」
璃奈「音声が加工されている形跡は無かった。今流れてた音声は、限りなく生の音に近い」
しずく「……だから、私が犯人だと?」 璃奈「…ここ最近、かすみちゃんとしずくちゃんと一緒に居て、感じたことがあった」
璃奈「かすみちゃんがちょっとしたアクシデントやトラブルに遭ってるとき、そこには必ずしずくちゃんが隣にいる」
璃奈「たとえば、練習終わりにかすみちゃんの運動着が盗まれてた時だったり」
璃奈「休日3人で遊んだときにかすみちゃんだけ待ち合わせ時間が何故か1時間早かった時だったり、他にも…」
しずく「ちょっと待ってよ璃奈さん。それは言いがかりだよ」
しずく「私とかすみさんの仲なんだから、一緒に行動する時間が多いわけで、そこでかすみさんがトラブルに出くわしてるだけでしょ?」
しずく「それとも、私や璃奈さんが居ない時はかすみさんはトラブルに遭ってない、って証明できるの?」
璃奈「できない。それは悪魔を証明するのと同じことだから」
璃奈「でも」
璃奈「曇ってるかすみちゃんを慰めてる時のしずくちゃんは、いつものしずくちゃんとは違う気がする」
璃奈「なにか、違うことを考えてる、そんな気がする」
しずく「……」
しずく(さすが璃奈さん…『表情』の大切さを誰よりも理解しているだけあって、他人の表情の変化に鋭いですね……) せつ菜「…しずくさん、少しいいですか」
しずく「……せつ菜さん」
せつ菜「私自身、他人の機微に鈍い人間ですが、その私でも、しずくさんとかすみさんが同好会内で特に仲睦まじい関係だと察してました」
せつ菜「しずくさんのこれまでの行為……それはきっと、しずくさんのかすみさんに対する『大好き』が暴走した結果……なんじゃないでしょうか?」
しずく「……」
せつ菜「自分の『大好き』に向かって直情的に走れば、周りが見えなくなって、そう簡単には止まれなくなる。それは私にも痛いほど分かります」
せつ菜「そしてその『大好き』が結果的にどんな取り返しのつかない事態を引き起こしたのか、しずくさんならご存知のはずですよね?」
しずく「……もちろんです」 せつ菜「そうです。私の『大好き』が暴走したことで、同好会は一時は廃部になりかけました」
せつ菜「ですが、同好会は今もこうして存続しています」
しずく「……」
せつ菜「私が自分自身を見つめ直して生まれ変われた、それだけが理由ではありません。同好会の皆さんの一人一人が力を合わせたからこそ、成し遂げることができたんです」
しずく「……」
せつ菜「取り返しのつかないことをしても、その人自身が心を改めれば、そして周りの人の協力があれば、きっとやり直せるはずなんです」
せつ菜「だからしずくさん、今なら間に合━━━
しずく「自首しろ、と言いたいんですか?」
せつ菜「━━━う」
しずく「犯した罪を認めろと、そう言いたいんですか?せつ菜さん」
せつ菜「……あなたの行ったことは犯罪です。いくら同好会の大切な仲間と言えども看過することはできません」
せつ菜「しずくさん。自首してください。然るべき罰を受けて、罪を償って、心を入れ替えてください」
しずく「……皆さんも同意見なんですか?」
果林「……」
エマ「……」
彼方「……」
歩夢「……」
愛「……」
栞子「……」
璃奈「……」
あなた「……」
しずく「…そうですか。皆さんのお気持ちが、よく分かりました」 これはエロ方向じゃなくてガチの拷問でやって欲しかった 完璧にしずくのドッペルゲンガー演じきった人がいますね‥ しずく「はぁ、分かりました。洗いざらい白状しましょう」
しずく「私はかすみさんの笑顔が大好きです」
しずく「それと同じくらい、かすみさんが曇っている顔も大好きです」
しずく「好きな人の曇り顔がなぜ好きなのか。その理由は私にさえ分かりません。いわゆる生まれつきの『さが』というものなんでしょう」
しずく「ちなみにですが、かすみさんの他に加虐衝動は今のところありません。世の中には猫やらネズミやらを虐めたがる人が居るようですが、私からすれば興味すら湧きませんね」
しずく「会話もできない弱い者をスリルもなく一方的に虐めて何が楽しいんでしょうかね」
しずく「私だってただ闇雲にかすみさんを虐めてるわけじゃありません。私には私なりの美学があります」
しずく「一つ。かすみさんを物理的暴力によって傷つけない。怪我や外傷をかすみさんに負わせるなど論外です。あくまで心理的なダメージ、です」
しずく「一つ。かすみさん以外の人間には危害を加えない。ただし、私こと桜坂しずくに関してはこれに準じない。被害者が多くなればなるほど犯罪性が高くなりますし、後述する現状回復も難しくなります」
しずく「一つ。最後は必ずかすみさんを笑顔にさせる。トラブルを企てた以上は責任を持って全面解決にあたり、現状回復を全うする。これは私なりのポリシーであって、最も大切にしている考え方です。サゲっぱなしは素人の発想、それが作劇の鉄則ですから」
しずく「まあ他にも私なりきのこだわりはありますが……確固たる基盤にあるのはそんなところでしょうか」 これは名探偵しずく
犯罪者心理が分かるものは犯罪者しかいない理論 しずく「璃奈さんのご指摘通りです。これまで私はかすみさんに対して曇らせてきました」
しずく「かすみさんらしく可愛く言えば、イタズラと言ったところでしょうか」
しずく「練習終わりのタイミングで運動着の紛失騒ぎになるように細工し、かすみさんが狼狽する様子を近くで眺めたり」
しずく「待ち合わせの時間をかすみさんにだけ1時間早く伝えて、私たちが来ない間のかすみさんの様子を遠くから鑑賞したり」
しずく「小さな事から比較的大きな事まで含めれば、数えきれないイタズラをしてきました」
しずく「ただ、今日この日まで私とかすみさん、そして同好会の皆さんの日常が壊れることは一度もなかった」
しずく「それは何故か? 私が自分自身のポリシーを遵守し、そのポリシーが平和な日常を守ってたからですよ」
しずく「せつ菜さんが言うように、私がかすみさんを曇らせたいのは、私の『大好き』が起因としてあります」
しずく「ただし私は少々ひねくれてましてね。自分に嘘をついてその場を取り繕うのは得意なんですよ。私の『大好き』によって、なにか取り返しのつかない事態になるほど、直情的じゃないんです」
しずく「根っからの演技派なんですよ、私は」 このしずくかす虐についての論文を学会に提出して権威とりそう しずく「だから今回のようなやり方は、はっきり言ってサイテー中のサイテーです」
しずく「こんな素人と私が同一視されてるなんて思うと、はらわたが煮えくりかえりますよ」
しずく「だから私は決めたんです━━━犯人を必ず見つけ出してみせると」
しずく「私の大好きなかすみさんから笑顔を奪うということは、情状酌量の余地なしの重罪ですから」
果林エマ彼方「……」
歩夢せつ菜愛「……」
璃奈栞子あなた「……」
しずく「それでもなお私を犯人だと思う人がいるなら好きにしてください。皆さん一人一人に判断を委ねます」
しずく「私はこれでもう行きますので」
「! ま、待って!」
しずく「?」
あなた「私は、しずくちゃんを信じたい!犯人じゃなくて、しずくちゃんに罪を被せた本当の犯人を探すんだったら、私も協力したい!」
しずく「せんぱい……ありがとうございます。でも…大丈夫です」
あなた「な、何で…!」
しずく「だって私━━━」
しずく「犯人、分かっちゃいましたから」
あなた「…え?」 しずく「璃奈さん、先ほどの動画で流れてた音声は加工されてないんでしたよね」
璃奈「…うん。調べてみたけど音声が加工されてた痕跡は無かった」
しずく「ありがとう。じゃあ証拠は十分かな」
あなた「…しずくちゃんは…犯人の目星が付いてるの…?」
しずく「はい。……ただ、分からない点もあるので、確かめに行ってきたいと思います」
あなた「じゃあ、私も一緒に━━━「ダメです」
しずく「ごめんなさい、せんぱい。ここは私一人に行かせてください」
あなた「え……」
しずく「……無茶苦茶を言ってるのは分かってます。ただ、今回の事件は私自身が種を蒔いたようなもので、私がケリをつけなければいけません」
あなた「でも……」
果林「…ねぇ、しずくちゃん。いくらなんでもそれは流石にわがままじゃないかしら?」
エマ「…そうだよ。そんな危ない人のところにしずくちゃんを1人で行かせるなんて、できるわけないよ」
しずく「果林さん、エマさん……ですが……」
「ん〜、本人がそう言ってるなら、1人で行かせた方がいいんじゃないかなぁ?」
しずく「!」
彼方「彼方ちゃんはそう思うよ〜?」 果林「ちょっと彼方、あなたまで何言ってるのよ」
彼方「しずくちゃんの言った通りだよ〜?トラブルの種を蒔く以上、現状回復に全うしなくちゃいけないって」
彼方「AちゃんがBちゃんに悪さしてたら、それを見てたCちゃんやDちゃんもBちゃんに悪さするようになった。いじめが広まる構図なんて、そんなの小学生でも分かる話でしょ?」
彼方「しずくちゃんがかすみちゃんを悪さしてたのが事実なら、他の人がかすみちゃんに悪さする呼び水になってるわけだし、しずくちゃんは責任もって現状回復に努めるべきだよねえ〜」
彼方「まあ1人で行ったら痛い目に遭うかもしれないけど、それはさ、しずくちゃん」
彼方「自業自得、だよね?」
しずく「……はい」
エマ「でも……」
しずく「大丈夫です。エマさん、果林さん」
しずく「これでも私、強いですから。上級生を静かにさせた事だって何回かあるんですよ?」 しずく「それじゃあ、すみません。行ってきます」
ガラガラガラ
歩夢「……しずくちゃん、本当に1人で行っちゃった」
果林「彼方、どういうつもり?」
彼方「どうもこうもないよぉ。しずくちゃんが行くべきだと思ったから、そう言ったまでだよ」
果林「しずくちゃんの身に何かあったら、あなた責任取れるの?」
彼方「……果林ちゃんは世話焼きだねぇ」
愛「むしろカナちゃんちょっとキツメじゃない?」
彼方「おやおや〜愛ちゃんまで。皆んなしずくちゃんのこと大好きなんだねぇ」
栞子「彼方さんはしずくさんのこと好いておられないんですか?私はてっきりお二人は姉妹のように仲良しだとばかり…」
彼方「……彼方ちゃんだって、しずくちゃんのこと大好きだよ?でも、『大好きだからどんなに悪さしても味方だ』なんて、それはそれでおかしいよねえ。そんなのバカの理屈だぜ」
彼方「そりゃ近くにいてあげるのも大事だけど、時には遠くから見守ることだって大事だよ。特にしずくちゃんみたいな子にとっては」
エマ「だけど……」
彼方「大丈夫大丈夫。それに彼女なら、しずくちゃんに危害は加えないと思うしね〜」
あなた「…え、彼方さんも、犯人が誰か分かってるの…?」
彼方「ん〜?まあ『二択』だからねえ〜」
璃奈「……」
ピポパポ… ◆廊下◆
しずく(……私の本性がついにバレてしまいました)
しずく(まあ、あの状況下で私が犯人だという誤解を回避するためと思えば、安いものでしょうか)
しずく(……あの場にかすみさんが居なかったことは幸いでした)
しずく(こんな事態になってなお、かすみさんに失望されることを怖がっている自分がいます)
しずく(さっきまで皆さんの前で格好良さげに語っていたポリシーなんてものも、言ってしまえば、かすみさんに嫌われたくないがための予防線のようなもので)
しずく(やってることは今までの自分と大差なくて、本当、自分のことが嫌になっちゃいます)
しずく(……それでも、そんな私にも、桜坂しずくにも、守りたいものがあります)
しずく(1人きりで戦わなくちゃいけない時間が、その火蓋が切って落とされようとしています)
この扉を開けた瞬間に━━━。
ガチャァッ
「だいぶ時間がかかったじゃないか。待ちくたびれたよ、しずく」
しずく「失礼します。お疲れ様です……部長」
演劇部部長「やあ、しずく。私に話があるんでしょ?」 しずく「単刀直入に聞きます」
しずく「かすみさんの御両親を襲ったのは、部長、あなたですよね?」
部長「……うん、正解。動画見たの?」
しずく「……本人と寸分狂わない精度の声真似ができるなんて芸当は、私の知ってる限り部長しかできません」
しずく「あの動画を見て、最初こそ困惑しましたが、しばらくして撮影主━━━今回の事件の犯人が、部長だと確信しました」
部長「……それで、確かめたいことって?」
しずく「え?」
部長「犯人に確かめたいことがあるんでしょ?だからここまで足を運んだ?違う?」
しずく「え、えぇ…そうですけど…」
しずく「…部長の行動に関して、不可解な点が二つあります」
しずく「一つは、何故かすみさんの御両親を襲ったのか」
しずく「もう一つは、何故わざわざ同好会にあの動画を送りつけたのか」
しずく「答えてください、部長」 部長「……しずく。君の考えを聞かせてほしいな。私が何故、中須さんの御両親を襲ったのか」
しずく「……かすみさんを曇らせるために、大切な御両親を傷つけた。…としか、今の私は答えようがありません」
しずく「部長がかすみさんの御両親に直接的な怨恨があるとは考えにくいですから」
部長「まあ、間違ってはないかな。━━━ただ」
部長「しずく。また君の悪い『癖』が出てるよ」
しずく「……癖?」
部長「君が普段『いつも通りの桜坂しずく』を装っているように、今は『中須かすみを虐める桜坂しずく』モードに入ってるってことさ。思考回路がそっちに支配されている」
部長「もっと柔軟に行こうよ、しずく。結論ありきで語るな。前提を疑え。今の視野を広げて別の視点で解釈せよ」
しずく「……」
部長「しょうがないなあ。じゃあ、ヒントをあげるよ」
部長「私としてはね、別に中須さんの御両親じゃなくても良かったんだ。仮に上原家でも、宮下家でも、優木家でも、天王寺家でも、三船家でも、朝香家でも、近江家でも、ヴェルデファミリーでも」
部長「ただ、しずくと特別仲が良いのが中須さんだったから中須家にした。それだけさ」
しずく「……つまり、かすみさんを曇らせるのが目的じゃなかった…?」
しずく「じゃあ、部長、あなたの狙いは━━━」
部長「……」
しずく「私……だったんですか…?」
部長「…うん。正解」 部長「しずく。君が中須さんを虐めんとする性を持っているように、私にも同じような性があるんだよ」
部長「加虐性欲。サディズムってやつだ」
部長「そして私の場合は、桜坂しずく。君なんだ。君の曇ってる姿を見るのがたまらなく好きなんだ」
しずく「……」
部長「そんな仕打ちを受けた覚えがない、と言いたげな顔だね」
部長「それもそのはずさ。ボロ隠しは得意分野なんだ。だけど、私から理不尽を受けたことがないといえば、嘘になるでしょ?」
しずく「まさか……!あの時、私を突然降板するだなんて言ったのは……!」
部長「…ふふっ。あの時のしずくは、とても可愛かったよ」
しずく「…!」
部長「日常生活の中で、他人に気付かれることなく、いかに自分の欲求を満たせるか。それが自分に課せられた業なんだと、小学生の私は悟ったもんだよ」
部長「しずくはまだ、己が欲求に自覚して幼いでしょ? だから『普段の顔』と『本当の顔』を使い分けることで正気を保とうとする」
部長「そして自分の欲求にどこまで忠実になっていいのかすらも知らない。本能に身を任せることに臆病になってるから、頑張ってこねくり回した理屈を美学やらポリシーやらと呼んで自分を雁字搦めにしてるんだ」
部長「確かにそれは優等生の発想だ。いかにもしずくらしい」
部長「ただ」
部長「私から言わせれば、そんなのは素人に産毛が生えた程度さ」 しずく「……私を曇らせるのが目的だったなら、何でかすみさんの御両親を?」
部長「それはさっき言ったじゃないか。別に誰でも良かったけど、しずくと中須さんは特に仲が良いから中須家にしたって」
しずく「……部長、話が見えません。私を曇らせたいなら、私の親を襲えばいいじゃないですか」
しずく「同好会に動画を送った件といい、今回の部長の行動は意味不明です。荒唐無稽で、支離滅裂を尽くしてます」
しずく「教えてください。あなたの目論見を。そのシナリオを」
部長「……しょうがないなあ、一回しか言わないからね?」 栞子「演劇部は人間社会で生きていく適正がありません」 演劇部部長「しずくを曇らせるためならスイスにだって行く」 虹はモブまでキャラが濃いな
もう流しそうめん同好会すらヤバイ連中に思えてきた そうめんの仕入先とか調べたらヤバいもん出てきそうだよな すいません>>18からss書いてたもなむすです
今日日 身内に不幸がありましてssの続きを書くことが時間的あるいは精神衛生的に難しくなってしまいました
書ける状態に落ち着きましたらどんな形であれ続きを書き上げて完結させる所存です
勝手ながら本当に申し訳ございません
あと今更ですがスレを乗っ取る形になってしまって>>1には申し訳なく思います 成りすまして終了宣言が最近あったよな
本当ならご冥福をお祈りします こんな御時世だからあらぬことも頭をよぎるが…とにかく今はスレのことなんか忘れてもいい ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています