遥「お姉ちゃんを好きになるのは遺伝子的に当然だと思うよ」
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遥「だって、私もお姉ちゃんもお父さんとお母さんの遺伝子が混ざり合ってできたんだよ？」
遥「お父さんがお母さんを好きになったように」
遥「お母さんがお父さんを好きになったように」
遥「私の中のお父さんがお姉ちゃんの中のお母さんを」
遥「私の中のお母さんがお姉ちゃんの中のお父さんを」
遥「大好きになって、愛し合いたいってなっていくのは至極当然のことなんじゃないかな？」
遥「もしもそんなことないって姉妹がいたとしたら」
遥「親は本当に愛し合っていない可能性があるってだけで、姉妹間の恋愛については何の問題もないと思ってるんだよね」
遥「女の子同士だって」
遥「半分男、半分女で作られた体なんだから」
遥「半分男、半分女で作られているお姉ちゃんにそれぞれが恋をしてしまうのは、もうどうにもならないことだって思う」
遥「だからね、お姉ちゃん……結婚しよ？」 ｼｰﾝ.....
遥「なんて、お姉ちゃんまだ帰ってきてないんだけど……」
ｷﾞｼｯ.....
遥（帰ってきてたところで）
遥（こんなこと、お姉ちゃんがいるときには言えないし）
遥（今だって十分、結婚生活しているようなものだし）
ﾓﾌﾓﾌ....
ｷﾞｭｯ
遥（お姉ちゃんの枕良い匂いがする……）
遥「はぁ……」
遥（いつも勝手に下段のベッドで転寝してるのが）
遥（上段に上がれないほど練習で疲れてるって建前で）
遥（お姉ちゃんがいないのを見計らってお姉ちゃんの枕の匂い嗅いでるって知ったらどう思うんだろ）
遥「はぁ……好き……」ﾎﾞｿｯ ここで彼方ちゃんが彼氏連れてきた時の反応見てみたい 遥（なんでお姉ちゃんはお姉ちゃんなんだろ）
遥（お姉ちゃんのせいで、いつも一緒にいられるしいいとこも悪い所も……全部知っちゃってるし）
遥（お姉ちゃんのせいで、遺伝子レベルでこんなに好きになっちゃう）
遥（なのに……お姉ちゃんに恋するのはおかしいとか、女の子同士はおかしいとか）
遥（意味不明で訳が分からない）
遥（たとえ産まれてきた結果が女の子であっても、半分はお父さん……男の子なんだから）
遥（それはもうちゃんとした異性恋愛だよ）
遥（見た目が女の子ってだけなのに、それだけでダメだとか……もう……）
ﾓﾌﾓﾌ
ｷﾞｭｯ.....
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝ
遥（いつも私達のために頑張ってくれるお姉ちゃん……）
遥（私ももっと頑張らないとって思わせてくれるお姉ちゃん……）
遥（毎朝、制服の上からエプロン付けてるお姉ちゃんは幼妻っぽくて煽情的ったらない……）
遥（あ、間違えた……）
遥（……頑張りすぎて少し不安になる） アリサ「お姉ちゃんのこと大好きだけど、海未さんの方が好きですけど」 遥（正直、お姉ちゃんにアルバイトなんてして欲しくない）
遥（スーパーでバイトなんてしてたら、お姉ちゃんの苦労も知らずに遊び歩いてる他学校の人にナンパされかねないし）
遥（商品の場所案内で声かけて優しくされただけで好かれてるって勘違いする人がいないとも限らない）
遥（お姉ちゃんがやるには、あまりにも危険すぎるよ……）
遥（私のお姉ちゃんだよ？）
遥（髪がもふもふのやわやわで、良い匂いがして）
遥（背がそんなに高くないのに、胸もお尻も大きくて）
遥（筋肉質ではなくても、そんなに脂肪のついてないほどよく柔らかくてちょうどいいサイズのウエストのお姉ちゃんだよ？）
遥（……あんなえっちな店員がいたらダメだと思うよ）
遥「だから、バイトなんて私がやるって言ってるのに……お姉ちゃんってば……」
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝ.....
遥（全部……自分でやっちゃおうとするんだもん……）
遥（そんな悪いところも含めて……好きだけど） 遥（いつか、お姉ちゃんは私以外の誰かを好きになって、私のところに連れてくるのかな）
遥（私に見せたこともないような笑顔で腕に抱き着いて、体を密着させて）
遥（大好きとか、好きとか、愛してるとか……夜には体を重ね合って、唇を……）
ｶﾞﾀﾝｯ
遥「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ！」
ﾎﾞﾌﾝｯ
ﾎﾞﾌﾝﾎﾞﾌﾝｯ
ﾊﾞﾝﾊﾞﾝﾊﾞﾝﾊﾞﾝﾊﾞﾝｯ!
遥「そんなこと……そんなこと……っ！」
遥（お姉ちゃんと結婚するのは私なのっ！）
遥（一番好きなのも愛してるのも……幸せにできるのだって、私なのっ！）
遥（もしも、お姉ちゃんが誰かも知らない人と結婚するなんて……）
遥（ううん、交際するなんてなり始めたら私……）
遥「うっ……」ﾋﾞｸｯ
遥（吐きそう……） ﾀﾀﾞｲﾏｰ....
遥「ぁっ……帰って来た……」
ｻｯ
ｻｯ
ｷﾞｼｯ
ﾓﾌﾓﾌ
ﾎﾞﾌﾝｯ
遥「すぅ……はぁ……」
遥「んっ……はぁ……」
遥「すやすや……」
.....ｶﾞﾁｬｯ
彼方「ただい……あー、遥ちゃんったらまた寝てる」
彼方「制服で寝たら皺になっちゃうのに……」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「んぅ……」
彼方「それだけ……スクールアイドルの練習が充実してるってことかな～？」 彼方「……さっさと着替えちゃおうかな」
遥（……うん。その方が良いと思うよ）ﾁﾗｯ
遥（下段からだと、お姉ちゃんの着替えはほぼ全身が見える）
遥（角度によっては顔の部分が隠れるから……すっごくえっち……好き）
遥「ん……」
ﾓｿﾞﾓｿﾞ.....
ｷﾞｼｯ
遥「……すやすや……」
彼方「かわいい顔して寝てくれちゃって……」
遥（可愛いのはお姉ちゃんだよ）
彼方「お姉ちゃんのベッドなんだけどな～」
遥（だから使ってるの……ごめんね）
遥「んんぅ……お姉ちゃ……好き……」
彼方「えへへ～お姉ちゃんも、大好きだよ～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥（あっ……好き……） ｼｭﾙｯ.....
ﾊﾟｻｯ
ﾊﾟｻｯ
ｶﾞｻｯ....
遥（……お姉ちゃんと結婚したい）
遥（でもその前に、本気で交際したい）
遥（今だって、恋人未満のデートは一杯してるけど）
遥（互いに恋人同士だって認識して）
遥（普段よりもドキドキして、気が気じゃないデートをしてみたい）
遥（道端で抱き合ってる人、キスしてる人）
遥（そんな人たちを見かけたら互いにちょっと気まずくなって）
遥（ちらっと眼を向けたら互いに視線が重なっちゃって顔を背けるけど……手だけはしっかり握っちゃうの）
遥（……なんて、そんなの空想にしかならない）
彼方「～♪」
遥（私の、私だけのお姉ちゃん……さりげなく、さりげな～く……告白しちゃおうかなぁ……） ――――――
―――
遥「ん……」
遥「ぁっ！」
ｶﾞﾊﾞｯ
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
遥（また本当に寝ちゃった……）
遥（お姉ちゃん、お夕飯作ってるよね……）
ｷﾞｼｯ
ﾀｯﾀｯﾀｯ....
ｶﾞﾁｬｯ
遥「お姉ちゃんっ」
彼方「わぁっ……ど、どうしたの遥ちゃん？」
遥「私も手伝う！」
彼方「ん～ゆっくりしてても良いのに」
遥「手伝いたいの……それに、寝ちゃったから全然平気」
遥（お姉ちゃんの匂いで元気百倍だもん）
遥「お姉ちゃんこそ、疲れてるんだから……休んでいいんだよ？」
彼方「彼方ちゃんは大丈夫だよ～ありがとねぇ～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥（今は大丈夫でも、いつかは……だから、無理しないで欲しいのに） ﾄﾝﾄﾝ....
ﾁｯﾁｯﾁｯ...ｼｭﾎﾞｯ
ｶﾝｯｶﾝｯ
ｶｼｭｯ....
遥「……ごめんね？ お姉ちゃんが一番大変なのに、私だけ寝ちゃって」
彼方「気にしなくていいのに」
遥「気にするよ……お姉ちゃんのことだもん」
彼方「遥ちゃん……」
ｼｬｯｼｬｯｼｬｯ.....
ｶﾁｬﾝｯ
ｷﾞｭｯｷﾞｭｯ……
....ｼﾞｭｯ～ｯ
遥「……お姉ちゃんが結婚しちゃう夢を見たよ」
彼方「えっ？ 遥ちゃんじゃなくて？」
遥「うん、お姉ちゃんが結婚して……嫁いじゃって……いなくなっちゃうの」
遥「最近……結構そういう夢見るんだよね……」
遥「するんだよね？ いつかはさ……誰かと結婚……」
彼方「そうだねぇ……いつかはすると思うよ～」
遥「……結婚しないでって言ったら、しないでくれる？」
彼方「え？」
遥「結婚して欲しくない、いなくならないで欲しい、ずっと、ずっと一緒にいてって言ったら……いてくれる？」 本編からして噛み砕けばお姉ちゃんに愛されちゃって毎日幸せ！で止まらずに自分だって愛し返したい！だからね仕方ないね 彼方「どうしたの？ そんな……」
遥「夢の中で私が聞いたら、お姉ちゃんが答える前に目が醒めちゃってさ……」
遥（嘘だけど）
遥「だから、聞きたくなっちゃって」
遥「……分からないよね、今は」
彼方「そうだなぁ……」
彼方「そもそも、多分、お姉ちゃんが結婚するのは遥ちゃんがしてからにすると思うよ～」
遥「そしたら一生結婚できないよ？」
彼方「おぉぅ……？」
遥「ぁっ……えっと……多分ね、多分……」
彼方「大丈夫だよ」
彼方「遥ちゃんはこんなにかわいくて、頑張り屋さんで、しっかりしてるんだもん」
彼方「遥ちゃんを好きになってくれる人は、たっくさんいるよ～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「えへへ～そうかなぁ……」
遥（私が好きになれる人が、いないんだけどね） 遥「例えばの……話なんだけど」
彼方「うん」
遥「お姉ちゃんが女の子に好きです、付き合ってくださいって言われたらどうする？」
彼方「ん～女の子かぁ……」
遥「ほらっ、虹ヶ咲学園って女の子しかいないでしょ？ だから、そういう関係で」
遥「卒業式の日、告白されるみたいなことがあるかもしれないし」
彼方「ん～……どうだろうなぁ」
彼方「好きだって言ってくれた気持ちは、凄く嬉しいと思う」
彼方「男の子の好きよりも、ずっとずっと大きな想いの籠った " 好き " だと思うから」
彼方「だから……うん～……」
彼方「私も一杯一杯考えて、同性の問題だとか、色々……ちゃんと考えて」
彼方「気持ちに応えられるって思ったら……いいよ～って、言うかもしれない」
彼方「少なくとも、女の子同士だから無理って、酷いことは言わないようにする。と、思う……」
彼方「その時になってみないと、本当にどうなるかはわからないけどね～」 遥「そっか……」
彼方「なになに～？」
彼方「もしかして遥ちゃんは、女の子に告白されたのかな～？」
遥「ち、違うよっ！」
遥（されても断るし……）
遥「気になった、だけだよ」
遥「………」
遥「……ねぇお姉ちゃん」
彼方「何～？」
遥「……私がもし、姉妹じゃなかったら恋人にしてた？」
彼方「ん～……んんっ！？」
彼方「は、遥ちゃんってば急に何を言ってるのかな～？」
遥「ほら、私はお姉ちゃんが ” 大好き ” だし、お姉ちゃんも好きって言ってくれるから両想いみたいなものだし」
遥「そのまま、赤の他人だったなら……どうしてたかなって」
彼方「ん～……ん～……っ……」 遥（お姉ちゃんはすごく、凄く真剣に悩んで）
遥（誤魔化すように、料理を片手間にしながら……悩んで）
遥「……無理？」
彼方「無理というか、なんというか……」
彼方「遥ちゃんと姉妹じゃないのを想像が出来ないんだよねぇ……」
彼方「でも、そうだねぇ」
彼方「もし、今の好きな気持ちが姉妹じゃない遥ちゃんにも向けられていたら」
彼方「……う～ん」
彼方「彼方ちゃんは……遥ちゃんからきてくれたら、良いよ～って付き合うかも」
彼方「自分からは……きっと、言えないかなぁ？」
彼方「ぇへへ～」
遥（真剣に考えて……途端に頬を赤らめて照れくさそうに笑う）
遥（超絶かわいいお姉ちゃん……私は好きだよ）
彼方「もし断られたらって思うと……きっと踏み出せないかな～」
遥「だったら、付き合えるかもしれないね」
彼方「告白してくるの～？」
遥「だって、いまでも " 結婚しないで " って思ってるんだよ？」
遥「そんな私が、一人先に卒業していっちゃう彼方先輩のことをただ見ているだけなんてきっとできない」
遥「告白して、付き合って……いつまでも一緒に居たいって行動するはずだよ」
彼方「そこまで遥ちゃんに思って貰えるなんて、彼方ちゃん嬉しいよ～」
遥（……だからさ、お姉ちゃん。私と付き合ってくれないかな）
遥（って、言えたらなぁ……） このめちゃくちゃ愛し合ってるけど決定的に噛み合わない空気感好き いいねスタンプがあると強いね
姫乃のAAも待たれる ζ(*＾ᴗ＾*)ζ ――――――――
――――――
[夜]
ｷﾞｼｯ.....
遥（お姉ちゃん、女の子同士も有だった……）
遥（私が赤の他人だったら、付き合ってくれそうだった）
遥（姉妹……姉妹がネックなのかな……）
遥（お姉ちゃんに子供産んで欲しいけど、無理）
遥（お姉ちゃんの子供産みたいけど、無理）
遥「……っ」
ｷﾞｼｯ
遥「………」ﾁﾗｯ
遥（私がここまで好きだなんて微塵も思ってなさそう）
遥（いくら何でもここまで無害だと思われちゃうと）
遥（……夜這いしたくなってくるよ、お姉ちゃん） 彼方「zzzz……」
遥（いつもいつも、お姉ちゃんのことばっかり考えてるなんて、どうせ知らないよね）
遥（夜、こっそり寝顔覗いてるのも知らないよね）
遥（……お姉ちゃんのえっち）
遥「もう、こうしてやるんだから」
ｶﾀｯ
ｶﾀﾝｯ
彼方「ん……」
ｷﾞｼｯ
ﾓｿﾞﾓｿﾞ
彼方「んぅ……遥ちゃん？」
遥「すやぴ……」
彼方「二人は狭いのに……」
彼方「こっちでお昼寝するから、勘違いしちゃうんだぞ～……」ﾎﾞｿｯ
遥「んっ……んぅ……」ｷﾞｭｯ
彼方「………」
彼方「まぁ……いいかぁ……」
遥（おやすみ、お姉ちゃん） 遥（お姉ちゃんの匂いに包まれながら）
遥（お姉ちゃんの体温を感じながら）
遥（お姉ちゃんの腕を抱いて）
遥（小さな枕に二人分の頭を乗せて寝る）
遥（……恋人にも難しい、妹の距離感）
遥（好き……お姉ちゃんが大好き）
遥（ほかの誰にもお姉ちゃんを渡したくない）
遥（誰かと結婚されるくらいなら……違法だろうと私が結婚したい）
遥（本当に私の結婚を待っててくれるなら、私は一生、結婚しないで生きていったっていい）
遥（それくらい、私はお姉ちゃんのこと……好きなんだよ？）
遥「……結婚しようよ」ﾎﾞｿｯ
彼方「んぅ……いいよぉ……zzzz……」
遥（言質とった）
遥（なんてね……お姉ちゃんのばか）
遥（大好きになってやるんだから……もうっ） 「あなたにはエロボイスドラマのシナリオを書く適性があります」 ――――――
―――
遥「おはよ～お姉ちゃん」
彼方「おはよ～」
彼方「遥ちゃん昨日、寝ぼけて彼方ちゃんのベッドに入って来たでしょ～」
遥「ぁ、うん……そうみたい」
遥「起きたらお姉ちゃんのベッドでびっくりしちゃった……えへへ……」
彼方「下の方が良いなら、交換しても良いよ～？」
遥「なんなら、ダブルベッドでも良いと思う」
遥「ほら、だって私が下になったら毎回お姉ちゃんが上に上ることになっちゃうでしょ？」
遥「それなら、二人で一つのちょっと大きいベッドで寝るってした方が良いと思わない？」
遥「私とお姉ちゃん、仲いいんだし……無理してわけなくても良いと思うんだよね」
遥「ベッド下収納付きのダブル……ううん、セミダブルでもいいし」
遥「そろそろギシギシ音が鳴るようになってきちゃってるから」
遥「お姉ちゃんも大学生になるわけだし……ベッドは変えた方が良いと思うんだけど」
遥「そこでこのセミダブルサイズのベッドなんだけど」
.....ｽｯ
遥「側面に衣類収納用の――」
彼方「す、すとーっぷ！」
彼方「さすがにそんな一気に言われても困るかなぁ……」 わたてんのひなたが高校生になってもこんな感じやろうなあ 遥「ん……えっと、じゃぁ」
遥「お姉ちゃんと一緒に寝たいからベッド新しくしたい」
彼方「おやぁ……？」
遥「だって、その方が気持ちよく寝られたんだもん……」
遥「確かにちょっと窮屈で少し熱くなっちゃったけど」
遥「それはベッドの問題であって、お姉ちゃんと一緒に寝ること自体には何の問題もなかったよ」
遥「だから、ベッドも軋むしお姉ちゃんも大人になるし」
遥「そろそろベッドを新しくして快適に寝られるようにした方が良いと思う」
遥「特に、冬場なんて夜寝るとき布団が暫く冷たいけど」
遥「私が先に寝ていればお姉ちゃんはすぐにあったかい布団で気持ち良く寝られるよ」
彼方「それはそうだけど……」
彼方「遥ちゃん、そろそろ自分の部屋が欲しいとか――」
遥「別に思わないよ」
遥「だって、これまでずっとお姉ちゃんと一緒に使ってきたわけだし」
遥「来年からお姉ちゃんとは別々ってなったら、私きっと寂しくなってお姉ちゃんのところに駆け込んじゃうと思うよ」
遥（って、言っておけば許してくれそう）
遥「あ、もちろん……お姉ちゃんが嫌なら、良いけど」ﾌｲｯ 彼方「そっか……」
彼方「う～ん……」
遥「それでね、お姉ちゃんが良いならだけど……さっきも見せようとしたこのベッド」
彼方「なになに？」
遥「ベッド下に収納スペースがあって、このサイズ……」
遥「組み立てるのが少し大変だけど、出来なくはないと思うし……これが良いかなって考えてて……」
遥「後もう一つがこっち」
ｻｯ
遥「寝台とかは省いて、折りたためるマットレスだけ」
遥「使わない時は畳んでソファにしたりもできるし……昼間は場所を取らないから部屋を広々と使えるようになる」
遥「お金はちょっとかかるけど……大丈夫。私、小学生からずっとお金を貯めてるから。買える」
彼方「さ、流石にそんなことしなくていいよ～」
彼方「お金がないわけじゃないんだから」
遥「でも、私の我儘だから……」
彼方「お金を出せばいいって言って貰えるかも～って？」
彼方「こらこら～」
ﾍﾟｼﾍﾟｼ
彼方「悪いこと考える子はお仕置きだよ～」
遥（やめてかわいい、好きが暴発して押し倒しちゃうよ） 彼方「でもね……このベッドって一応仕切り的な――」
遥「それならこのマットレス立てればいいと思うよ」
彼方「そうだねぇ……」
彼方「……」
彼方「遥ちゃんは私と一緒が良いの？」
遥「うん……お姉ちゃんが嫌じゃなければ」
彼方「ん～……」
彼方「………」
彼方「分かった。じゃぁ、新しくしよう」
遥「ほんとに！？ いいの？」
彼方「遥ちゃんがどうしても～って言うならそうするよ～」
彼方「それに最近、遥ちゃんもへとへとで上に上がるの辛そうだし」
彼方「二人で一つのタイプなら、上に上がらなくても良いからねぇ～」
彼方「ただ、そうするには少し模様替えが必要だし」
彼方「彼方ちゃんと遥ちゃんの部屋の境目が無くなっちゃうよ？」
遥「うんっ、大丈夫」
遥「お姉ちゃんとなら……なんでも一緒で良いよっ」
彼方「まったく～調子がいいなぁ～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「えへへ～」
遥（お姉ちゃんと一緒に寝れるっ！） ――――――
―――
[半月後]
遥（新しいベッドは、考えに考えた結果、床に直置きのマットレスになった）
遥（折りたたむことができるから、使わない時はソファーとしてくつろぐこともできる万能タイプ）
遥（それが届いた今日……）
遥（届く前に部屋の模様替えを済ませて……めでたく、部屋は私たちの部屋になった）
遥（机も箪笥も、寝るのも隣り合わせ）
遥（前のベッドに使ってた短いカーテンを使ったお着換えスペース……は、別にいらなかったけど）
遥（お姉ちゃんがあった方が良いっていうから、一応、用意）
遥「出来たーっ！」
ﾎﾞﾌﾝｯ
彼方「遥ちゃん念願のセミダブルベッド……おぉぅ……イイねぇ……」
彼方「両手を広げてもしきりに手が当たらない……」
遥「夜は右手側に私がいるけどね」
彼方「それはそれで……おいで～」
遥「ぇ～いっ」
ﾎﾞﾌﾝｯ
遥「これなら二人で寝られる……っ」
彼方「横向きにならなくても二人並べるのは……凄いねぇ～……」 遥「……」ﾁﾗｯ
彼方「～♪」
遥「でも……」
ｺﾞﾛﾝｯ
彼方「わっ……」
遥「寝ぼけてお姉ちゃんに馬乗りになっちゃったりして」
彼方「遥ちゃんは寝相、悪くないから大丈夫だよ～」
彼方「そ～れ～」
ｸﾞｲｯ
遥「えっ、ぁ……」
....ｺﾞﾛﾝｯ
彼方「彼方ちゃんの方が力はあるから……簡単にひっくり返せちゃうねぇ～」
遥「ぁ……えっと……」
遥（お姉ちゃんが上に……上に……っ）
遥（攻められるのも……あり……っ！）
彼方「遥ちゃんは野菜の詰まった段ボールよりも軽いね」
遥「それって重いのかな、軽いのかな……」
彼方「私がお姫様抱っこできる程度には軽いよ～」
遥「えっ、ちょっとやってみて！」 彼方「え～危ないよ～」
遥「大丈夫、ベッドがあるから」
彼方「じゃぁちょっと持ち上げるだけだよ～」
遥「やったっ」
彼方「すぅ……はぁ……」
彼方「よし……いくよ～？」
遥「いつでもいいよっ」
ｸﾞｯ
ｸﾞｸﾞｯ....
彼方「むむむむ……」
ｸﾞｸﾞｸﾞｯ
彼方「そいやーっ」
....ｸﾞｲｯ
遥「ゎっ……っとと……」
遥「ほんとだ、お姉ちゃん出来てる！」
彼方「嫌でも力がつくからねぇ……ふふんっ。凄いでしょ～」 彼方「じゃぁ下ろすよ～」
遥「うん……」
ｻｯ
ｺﾞﾛﾝｯ
遥「私もお姉ちゃんをお姫様抱っこできるくらいの力、つけようかな……」
彼方「えぇ～っ、遥ちゃんはそのままでいいのに～」
遥「お姉ちゃんがお姫様で、私が騎士様……その方が何だかしっくりこない？」
彼方「王子様じゃなく～？」
遥「そう、騎士。だって、王子は男の人限定だけど、騎士は女の人もなれるでしょ？」
彼方「たしかにねぇ……」
遥「それでね？」
遥「眠り姫なお姉ちゃんをキスして起こすの」
彼方「女の子のキスで目が醒めるのかな～？」
遥「………」
遥「……お姉ちゃん」
彼方「ん～？」
.....ﾁｭｯ
彼方「んんっ！？」
遥「どう、かな……目は覚めた？」 彼方「ぇっ……あっ……えぇっと……」
遥（突然で気が動転してるお姉ちゃんかわいい）
遥（やっぱり基本は受けててほしいし、ふとした時に攻めてくるのがしっくりくるかも）
彼方「だ、だめだよ～こんな……急にするから唇同士でしちゃったよ～」
遥「ごめんなさ～い……」
遥（狙ったけど）
遥「お姉ちゃんがお姫様抱っこしてくれたから、私も何かしてみたくて……」
遥「目は、醒めた？」
彼方「遥ちゃんのドッキリのおかげでばっちりだよ～……」
遥（お姉ちゃんの唇柔らかかった……）
遥「えへへ……じゃぁ、眠り姫を起こせる騎士になれるね～」 彼方「も～遥ちゃんってば……悪い子はお仕置きするって言ったよね～？」
ｸﾞｲｯ
遥「ぇっ……ぁっ……お姉ちゃ……」
ｻﾜｻﾜ
遥「ひゃんっ……」
ｻﾜｻﾜ.....
遥「ぁっ……だめっ……そこっ」
ｻﾜｻﾜ
ｻﾜｻﾜ
遥「やめっ……やっ……ぁっ……」
.....ｻﾜｯ
遥「ぁっ……あっは……あははははははははっ！」
彼方「それそれ～」
遥「あはははははっははっ……やぁっ……やっっはははははっ！」
彼方「悪い子にはお仕置きだよ～」
ｺｼｮｺｼｮ
ｻﾜｻﾜ
遥「ぉねっ……ひょはっ……ぁっ……」
彼方「えいえ～い～っ」
遥「あははははははははは――」 あったかい...お日さまのような
でも互いのズレが、思ってる事が仄暗い 遥「はぁっ……はぁ……はぁ……」
彼方「ふぅ……成敗……」
ｸﾞｲｯ
彼方「ぉぉ……っ？」
ｺﾞﾛﾝｯ....
彼方「ぁっ……ちょ、ちょっと待って遥ちゃん……」
彼方「今のは全面的に急にキスしてきた遥ちゃんが悪いわけで」
彼方「それに対するものだったから対等だったし……もう終わったことだから……彼方ちゃんはちょっと、もういいかな――」
ｻﾜｯ
彼方「んっっ！」
彼方「遥ちゃ―ーぁんっ……」
ﾂﾝﾂﾝ
ﾂﾝ.....
彼方「か、彼方ちゃんがこういうの弱いって知ってるよね？ ねっ？」
彼方「遥ちゃん、遥ちゃん……？」
遥「……悪い子が弱点つかないわけないよね～？」
ｻﾜｻﾜ
彼方「わぁぁぁぁっぁっ……あはっ……あぁっ……」
ｻﾜｻﾜ
ｺﾁｮｺﾁｮ
彼方「あはっあははははっ……あぁっあはははははははははっ！」
ｻﾜｻﾜ
ｻﾜｻﾜ......
彼方「あぁ～っ！ あっ、ごめ……あははっ……はりゅ……あはははははははっ！」 くすぐりあいはセックスの導入ってそれ1番言われてるから 彼方「あぅぅぅ……」
遥「たまには悪が勝っても良いと思うの」ﾄﾞﾔｧ
遥「ふぅ……」
遥（お姉ちゃんとこんなに体触り合ったの、久しぶりかな……）
遥（柔らかくて、気持ち良くて、良い匂いがした……）
彼方「はぁ……ふぅ……」
遥「お姉ちゃん汗だくだよ？」
彼方「遥ちゃ……んが……あちこち……触るからだよ～……」
遥「えへへ、ついつい楽しくなっちゃって」
彼方「も～……」
彼方「はふぅ……遥ちゃん……手加減してくれないから……」
遥「お姉ちゃんが可愛い反応するからいけないんだよ～」
彼方「危うく気絶しかけちゃったよ……ふぅ……」 遥「しちゃったら……キスで目を覚まさせてあげるから大丈夫だよ」
彼方「こらこら～だめだよ～……軽々しいキスはだめで～す～……」
遥「起こすためのキスは軽くないからセーフだよ。セーフ」
彼方「えぇ～？」
遥「えへへっ」
遥（ここからもう一歩、ううん。もう一線を越えた先に進みたい）
遥（でもきっと、そう思ってるのは私だけ）
遥（だから、私もお姉ちゃんと同じ……）
遥（この一線の手前で " 踏み出せない " でいる）
彼方「も～……」
ｸﾞｲｯ
......ﾁｭｯ
遥「っ……ぇっ？」
彼方「隙あり～これでおあいこだよ～」
彼方「彼方ちゃん、お風呂入ってくるねぇ～」
.....ｶﾞﾁｬｯ
遥「え、あ……お姉ちゃん……？」
遥「もぅ……お姉ちゃんのえっち……」
遥「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥（でも今の関係も……私は幸せだから、やっぱり……大好き） 遥（それにしてもお姉ちゃんもキス……唇だった……）ｻﾜｯ
遥（これじゃ一線超えたって……）
遥「……？」
遥「……一線？」
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
遥（仕切り、境目のベッド……私が良いならお姉ちゃんはなくしても良いって……）
遥「ぁ……」
遥（この前、他人だったら付き合うかどうかで、お姉ちゃんは私からきてくれたら良いよ～って言うかもしれないって言った）
遥（お姉ちゃんは私がどうしてもって言ったら、仕切り……互いの境界線にもなってたベッドを変えてくれた）
遥「………」
遥「ん～……いや……ないない」ﾌﾙﾌﾙ
遥「まさか……まさかねっ……うんっ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
.....ﾎﾞﾌﾝ
遥（どっち……どっちなの……お姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁんっ！） 凛、知ってるよ！この高級らっかせいはかなはるを最後まで書けるってこと！ ここで終わるなら自作SS全部貼れ
嫌なら続けなさい 乙です
お姉ちゃん好きすぎる遥ちゃん良きものでした センスあるから渋でもやってくれや
ガッツリ地の文アリではるかな見たい 第1話投稿乙です！
明日の第2話も楽しみにしてます！ ――――――
―――
[夜]
遥（……お姉ちゃん、夜中まで勉強するのは変わらないんだよね……）
遥（特待生……私、免除までは多分……いけない……）
遥（それに、お姉ちゃんほど両立できないような気がする……）
遥（夢と、現実……それと家のこと）
遥（全部を両立できる気がしない）
彼方「ん……」ｸﾞｸﾞｯ....
彼方「ふぅ……」
ｶﾁｯ
ｽﾀｽﾀｽﾀ.....
彼方「ふふっ……」
遥（……目を開けたい）
遥（目を開けたいけど、起きてるってバレちゃうし）
ﾌｧｻｯ....
ｺﾞｿｺﾞｿｯ
遥（お姉ちゃんが、布団に入ってくる……）
遥（なんか、新鮮な感じがする）
遥（あっ……良い匂いする……） 彼方「……ん………」
遥（お姉ちゃんの、匂いがする）
遥（お姉ちゃんのあったかさを感じる）
遥（つい最近までは触れるほどの距離にあったお姉ちゃんの体が、ちょっとだけ遠い）
彼方「……遥ちゃん、起きてる？」
遥「ん……んぅ……」
遥（寝てるよ～）
ｺﾞｿｯ
ﾓｿﾞﾓｿﾞ.....
ｷﾞｭｯ
遥（手……！？）
彼方「最近ほとんど、ぎゅうぎゅうなベッドで一緒だったから……こっちの方が落ち着くねぇ……」
彼方「……ちょっとだけ、貸してね～……」ﾎﾞｿｯ
遥（手と一緒に私の残りの人生が無料で付いて来るけどね……あ、返品は出来ないよ） 彼方「はぁ……」
遥（お姉ちゃんの手、ちょっとだけ冷たい）
遥（さっきまでペンを握ってた、お姉ちゃんの手……）
遥（私よりも力があるのに、ちょっとしか大きくない手）
遥「ん……」
....ｷﾞｭｯ
彼方「ん～？」
遥（いつもお疲れ様、お姉ちゃん）
遥（ちょっとだけ……恩返し）
彼方「ありがとねぇ……」
遥（お姉ちゃんが好き）
遥（お姉ちゃんが好きだから……私も）
遥（私ももうちょっと、頑張らないと） 頼むからこのスレが1000届くまで規制されててくれ ――――――
―――
[朝]
ﾓｿﾞﾓｿﾞ.....
遥「ん……」
彼方「起こしちゃった？」
遥「ん～ん……」
彼方「もう少し寝てて良いよ～」
遥「ん……私も起きる……」
遥「お姉ちゃんと一緒に……朝ご飯作る……」
遥（今までは、お休みの日に教えて貰うくらいだった）
遥（でも、今日からは……平日も、頑張るっ）
彼方「まだ眠そうだけど～」
遥「大丈夫……」
ﾀﾞｷｯ.....
ｽﾝｽﾝ.....
遥「うん、大丈夫」
彼方「遥ちゃん、あんまり無理しないでね～？」
遥「大丈夫、美味しかったから」
彼方「うん……？」 ｶﾁｬｶﾁｬ....
ﾁｯﾁｯﾁｯﾎﾞｯ....
遥「えっと……こうして……」
ｼﾞｭｰ....
ｻｯ....ｻｯ....
遥「あぁっ……崩れ……」
彼方「そしたら、フライパンをこうして……」
彼方「はい～修復～」
遥「うぅ……でもぼこぼこになっちゃった……」
彼方「最初は良いんだよ、食べられるものができれば～」
遥「綺麗なお料理はまだまだ遠いなぁ……」
彼方「これだって、完成はまだ先だよ～？」
遥「え、ぁ……焦げちゃうっ！」 遥「スクランブルエッグになっちゃった……」
彼方「そしたら、これ卵そぼろにしちゃおっか～」
遥「えっ、でも……」
彼方「豚ひき肉あるから、そぼろ作ろ～」
遥「二色丼作るの？」
彼方「ん～……小松菜を細かくしてほうれん草の代わりにするかなぁ……」
彼方「だから、さっきのはお弁当用で～」
彼方「遥ちゃんは、こっちでもう一回、チャレンジしてみよっか～」
遥「う、うんっ……」
遥（お姉ちゃん、準備と切り替えが早い……）
遥（私が溶き卵作る前に、もうそぼろの下準備終わりかけてる……）
遥（早く、同じくらい作れるようになりたいなぁ……）
ｶﾁｬｶﾁｬ....
ﾁｯﾁｯﾁｯﾎﾞｯ
ｷｭﾎﾟｯ
ﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟ.....
遥（多少焦げても良いから、慎重に……）
彼方「リラックスリラックス～ゆっくりでいいからねぇ～」
遥「う、うんっ」 遥「凄く型崩れしちゃった……」
彼方「大丈夫大丈夫～」
彼方「形がちょっと崩れちゃってても、卵焼きは卵焼きだよ～」
遥「次は、もうちょっとうまくできるよう頑張るねっ」
彼方「うん～楽しみにしてる～」
遥（結局、私が作ったのは卵そぼろと、ぐずぐずの卵焼き）
遥（お姉ちゃんはお弁当用の三色作っちゃったし、魚も焼いて、お味噌汁も作って……）
遥（……あっ）
遥「今度、酢の物作るよ」
遥「それなら、私でも絶対に出来る」
彼方「そうだねぇ～」
遥（切って、調味料を混ぜ合わせて終わり……超簡単）
遥（形が崩れるとかどうとかもない、安心料理）
遥（正直、え？ それで料理したって言えると思ってるの？ とか思うけど……）
遥（一つでも多く、手伝うことが今の目標！）
彼方「調味料の調整、遥ちゃんお任せするからやってみようか～」
遥「う、うんっ……」
遥（食べられないものが出来るかも……） 遥「そう言えば、今日もお姉ちゃんバイトがあるから」
遥「帰ってくるのは私の方が早いよね？」
彼方「うん～」
遥「じゃぁさじゃぁさ……お洗濯しておいても良い？」
遥「衣類は仕分ける自信がないから、タオル類だけ」
遥「この前買った、中に一粒入れるタイプの洗剤なら量とか考えなくていいから……」
彼方「ん～……」
遥「ダメ？」
彼方「そうだねぇ……」
遥（お姉ちゃん、凄い考えてる）
遥（タオルでも、洗濯間違えたら縮んじゃうとか、色落ちとかあるのかな……）
彼方「よし～、良いよ～」
遥「ほんと？ 何かダメなことない？」
彼方「大丈夫だよ～」
彼方「悪いけど、タオルのお洗濯宜しくね～？」
遥「うんっ、任せて！」 ――――――
―――
遥（えぇと……タオル入れて、電源入れて……設定はされてるから、洗剤入れてスタートさせるだけ……）
遥（洗濯機って、回すだけなら私でも簡単なんだよね）
遥（色落ちとか、シミとか、ほかのこと考えると面倒だし手間だし、難しくなるけど……）
ﾋﾟｯ....
ﾊﾞｻﾊﾞｻｯ
ﾊﾞｻｯ
遥「……一個でいいのかな？」
遥（いや、余計なことは考えない考えない）
...ﾋﾟｯ
ｼﾞｬｰ.....
遥「これで大丈夫……かな？」
遥（あとは待っ――）ﾁﾗｯ
遥「……」ｽｯ
遥（お姉ちゃんの下着）
遥（昨日履いてたやつ……）
ｽﾝｽﾝ
遥（今日は頑張ったら……神様許して） 遥（お姉ちゃんの匂いがする……）
遥（お姉ちゃんって、えっちなことしてるの見たことないなぁ……）
遥（家にはいつも私がいるから、家では出来ないのかもしれないけど……）
遥（させてあげたい……）
遥「ん～……」
ｻｯ
ｻｯ
遥（姉か妹がいるときにいつ一人でえっちなことするのか……調べても出てこない）
遥「……昨日は唇にキス出来たし」
ｻﾜｯ.....
遥（もうちょっと踏み込んでいければ、お姉ちゃんとちょっとだけえっちなことで来たりするのかな……）
遥（無理かなぁ）
遥（友達はお姉ちゃんとしてるよ？ みたいなこと言ったって、どうせ騙されてくれないし……）
遥（難しいなぁ……）
遥「すぅ……はぁ……」
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝ
遥「お姉ちゃんの匂い……落ち着く……」 ｶﾞﾁｬｯ....
遥（買い物は今日は大丈夫そう……）
遥（そう言えば酢の物の調味料は私が調節するんだっけ……）
遥（少々とか適量とか、良く分からないけど）
ｷｭﾎﾟｯ
ﾎﾟﾀﾎﾟﾀｯ
ﾍﾟﾛｯ
遥「……んっ」
遥（2滴くらいだと、お酢ってそんなに酸っぱく感じないんだ……）
ｶﾎﾟｯ
ｻｯ....
ﾍﾟﾛｯ
遥「ぅぇ……」
遥（塩はちょっとでも、ぴりってくる……）
遥「色々調べておかなきゃ」 ﾋﾟｰｯ
ﾋﾟｰｯ
ﾋﾟｰｯ
遥「終わったっ」
遥（タオルは……えぇと……）
遥（お姉ちゃんはいつもどうやってたっけ……）
遥（洗濯機から出して、とりあえず置いて、ハンガー用意して……）
遥（パンパンしてた）
ｶﾞﾁｬｯ
ｺﾞｿｯ
ﾊﾞｻﾊﾞｻｯ
ﾊﾞｻｯ
ﾀﾀﾀｯ....
遥「えいっ」
ﾊﾞｻｯ....ﾊﾞｻｯ....
遥（それでハンガーにかける……）
遥「良いのかな、これで……」 ――――――
―――
彼方「ただいま～」
遥「ん……んぅ……」
遥「zzzz……」
彼方「おやまぁ……」
....ﾁﾗｯ
彼方「お洗濯、してくれたんだねぇ……」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「ん……」
彼方「ありがと～」ﾎﾞｿｯ
彼方「………」
――ﾁｭｯ
遥「んぅ……」
ｺﾞﾛﾝｯ....
遥「ん……」
ｶﾞﾊﾞｯ....
ｷｮﾛｷｮﾛ
遥「んぅ……？」
彼方「ただいま～」
遥「おかえりぃ……」
遥「………」
遥「……あっ！？」 遥「ご、ごめんねっ……寝ちゃって……」
彼方「いいよ～待たせちゃって悪かったねぇ」
遥「お出迎えしようかと思ってたのに……」
遥「鞄、預かるよ……」
ｻｯ
遥「ご飯とお風呂……どっち先にする？」
遥「的なことやろうと思ってたのに……」
彼方「えぇ～……明日はやってね～」
遥「やるやるっ」
彼方「ご飯先にするけどねぇ」
遥「もぉ～っ、お姉ちゃんのいじわる～っ」
彼方「えへへへ～」
彼方「お夕飯、残り物で済ませちゃおうか」
遥「うんっ」
遥「じゃぁお姉ちゃんが温めてる間に、お風呂やっておくよ」
彼方「ん～よろしく～」 ｶﾁｬｶﾁｬ
ﾓｸﾞﾓｸﾞ
遥「ねぇお姉ちゃん」
彼方「ん～？」
遥「……一緒にお風呂入ろうよ」
遥「二人一緒はちょっと狭いけど、前のベッドで二人よりは狭くないと思うし」
彼方「それはまた突然だねぇ……」
彼方「何か、大事な話でもあるのかな～？」
遥「大事な話ならベッドでもできるよ」
遥「ただ、久しぶりに一緒に入りたいな……なんて」
遥「ちょっと思っただけ」
遥「……ベッドを一つにしたから、かな」
ｽｯ
ﾓｸﾞﾓｸﾞ....
遥「……ん」
遥「お姉ちゃんが良いならだけど」 彼方「ん～……」
彼方「別に、今更恥ずかしがるような間柄でもないからねぇ……」
遥「一緒に入らなくなったのって、なんでだっけ……」
彼方「えぇ～？」
彼方「遥ちゃんが、一人で入れるって言ったからだよ？」
遥「えっ……言ったっけ……」
彼方「中学生になったあたりで」
遥「………」
遥「……あぁっ！」
遥（そうだ……）
遥（その頃の同級生が「近江の姉ちゃんってえっちだよな～」って言ったりしてたから）
遥（気になるようになっちゃって……）
遥「……前言撤回するから一緒に入ろうよ」
彼方「ん～……じゃぁ、先に洗い物済ませてから一緒に入ろっか～」
遥「うんっ」
遥（お姉ちゃん、前にも増してえっちになっちゃったけどね……今の私ならきっと耐えられる） ｻﾞｧｧｧｧｧ.....
遥「お姉ちゃんって、胸もお尻も大きいよね」
彼方「いやぁ……なんだか膨らんでしまいましてねぇ……」
遥「その割にウエストは……」
ｻﾜｻﾜｯ
彼方「ひゃぁっ！？」
ｶﾞﾀﾝｯ
彼方「は、遥ちゃんっ！」
彼方「遥ちゃんだって細いよねっ？」
遥「私はお姉ちゃんに比べて上下ｰ7、-6なのに、ウエスト-3cmだよ？」
遥「どっちが太いか比べられたら、私の方が太く思われるよ……」
ｻﾜｻﾜ
ﾓﾐﾓﾐ
彼方「んっ……ゃっ……」
遥「お腹周りだって、柔らかいけど……別に太ってるって程脂肪は感じないし」
遥「お姉ちゃんの身体って、結構完成してると思うんだよね……一般人的に」
ｻﾜｻﾜ
ｻﾜｻﾜ....
彼方「んっ……は……はる……っ……遥ちゃんってばっ！」 遥「ぁ……ごめんね、つい……」
彼方「ダメだよ～？ 彼方ちゃん、触られるの弱いんだから……」
遥「う、うん……」
遥（でも後ろから見てても見事に " きゅぼん " してるお姉ちゃんが悪いと思うんだけどね）
遥（ほらしかも鏡見てよ鏡）
遥（鏡が直視できなくて曇っちゃってるのにちょっぴり見える " ぼんっ " とか……）
遥「でも、もう少し触らせて？」
彼方「えぇ～？」
遥「だって、ほら……なんか御利益ありそうだから」
遥「ちょっとだけ……ついでにスポンジで体洗ってあげるからっ」
遥「ね？ 良いでしょ？ 体さわ……洗わせてっ」
彼方「今更言い直しても本音言っちゃってるよ遥ちゃん……」
遥「お願いっ、私も大きくなりたいのっ」
彼方「ん～……」 ｻﾞｧｧｧｧ....
ｷｭ.....
ﾎﾟﾀﾀｯ
彼方「遥ちゃん、もしかしてこれが目的で一緒に入りたいって言ったのかな～？」
遥「ううん、そんなことないよ……ただ、こうして見てたら羨ましいなぁって……」
遥「普通にしてたら2年で辿り着けそうもないから……御利益があればと思って」
彼方「ほんとかなぁ～？」ｼﾞｰｯ
遥「ほんとだよ？」
彼方「じゃぁ、背中だけお願いしようかな～」
遥「任せてよ」
ﾌｧｻｯ...
遥（お姉ちゃんの普段は髪に隠れてるうなじ……えっちじゃない？）
遥「………」
遥「ん……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
....ﾁｭｯ
彼方「ひゃぁんっ！」ﾋﾞｸｯ
遥「あっ」
彼方「遥ちゃん！？」
遥「く、口が滑っちゃった……」
彼方「物理的に滑らないでよ～危ないから……」
遥「ご、ごめんね～……えへへ……」 ｸｼｭｸｼｭ...
遥「触るよ？ 良い？」
彼方「大丈夫～」
遥「力強すぎたら言ってね？」
彼方「うん～……」
ﾍﾟﾀｯ
ｺﾞｼｺﾞｼ.....
ｺﾞｼｺﾞｼ
ﾍﾟﾀﾍﾟﾀｯ....
遥（お姉ちゃんのすべすべな肌……）
遥（座ってても、段が出来るほどじゃないお腹）
遥（バスチェアから零れるお尻のお肉……）
ｺﾞｼｺﾞｼ
ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ
ﾍﾟﾀ....
ｸｼｭｸｼｭ.....
遥「大丈夫？」
彼方「うん～ちょうどいいよ～」
遥（私が少しだけ力を入れてスポンジを押し付けるたびに身体が動いて）
遥（お姉ちゃんの胸が揺れるのがちょっとだけ鏡に映る） 遥「お姉ちゃん、右手横に出して」
彼方「ん～？」
ｷﾞｭｯ.....
ｸﾞｲｯ
遥「両腕もやってあげる」
ｺﾞｼｺﾞｼ....
彼方「おぉ～なんかいい感じ～」
遥「前は……あ、やってないよね」
彼方「彼方ちゃんが、遥ちゃんの髪を洗ってあげてたねぇ……」
彼方「シャンプーハット使って～」
遥「うん、そうだった」
ｸｼｭｸｼｭ
ｺﾞｼｺﾞｼ....
遥（二の腕もちょっぴりぷるるんしてるけど）
遥（腕の筋肉自体……私よりついてる感じするから、ぜんぜんだし……） 遥「手は……」
ｷｭﾎﾟｯ...
ﾇﾙﾇﾙ....
遥「手もみ～」
ﾓﾐﾓﾐ
ﾓﾐﾓﾐ
彼方「遥ちゃんの手、気持ちいい……」
遥「お姉ちゃんの手は頑張り屋さんだから……少しくらいはね……」
ｷﾞｭｯ
ｷﾞｭｯ
ﾓﾐﾓﾐ.....
遥「今度左だよ」
彼方「は～い」
ｷﾞｭｯ.....
ｺﾞｼｺﾞｼ....
彼方「ありがと～……遥ちゃん」
遥「ううん、お姉ちゃんこそ、いっつもありがと……」 ｻﾞｧｧｧｧｧ.....
彼方「んっ……」
遥（正直、良く知らないけど）
遥（お姉ちゃんの身体は頑張ってる体って感じがした）
遥（筋肉が付いてて、ちょこっと硬かったりしてて……）
遥（運動部の友達が筋肉ついちゃって～って言ってたのとは全然違う……）
ｷｭｷｭｯ
ﾎﾟﾀﾎﾟﾀｯ
彼方「遥ちゃん」
遥「なに？」
彼方「交代」
遥「えっ？ わ、私は別に――」
彼方「彼方ちゃんだけ散々弄られて、満足されて終わりなんていうのは道理が通らないかな～？」
彼方「首にちゅっってされたあの恨み……はらさでおくべきか～」
ﾜｼﾜｼ.....
遥「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ！」 ｻﾜｻﾜ....
遥「んっ……」
彼方「遥ちゃんだって、ウエストはちゃんと締まってるし」
彼方「お尻もちょうどいい大きさで……流麗というか……素敵だと思うよ～」
ｻﾜｻﾜ
ﾂﾝﾂﾝｯ
遥「んにゅ……っ……」
遥「わ、分かった……分かったからぁっ」
ｻﾜｯ
遥「にゃぁっ！」
彼方「ね～？ くすぐったいでしょ～？」
遥「ご、ごめんなさいっ」
遥「さっきはちょっと……んっ……」ﾋﾞｸｯ
ｻﾜｻﾜ
遥「お姉ちゃんっ」
彼方「ふふんっ、分かったら急に触ったりしないでね～」
遥「うぅぅ……気を付ける……」
彼方「じゃぁ、それはそれとして、背中、やってあげる～」 ｺﾞｼｺﾞｼ
ｺﾞｼｺﾞｼ
彼方「力加減、平気～？」
遥「うん、平気だよ」
遥「痒い所に手が届く感じがする……」
遥（ポカポカした空気）
遥（汚れをかすめ取っていくようなスポンジの力加減）
遥（ほとんど一定のリズムで……ゆらゆらと……）
遥「ん……はっ……」ﾌﾙﾌﾙ
彼方「遥ちゃん、眠い？」
遥「大丈夫、大丈夫だから……」
彼方「今日は、遥ちゃん頑張ってくれたもんね～」
彼方「お姫様抱っこで、ベッドまで運んであげようか～？」ﾎﾞｿｯ
遥「えっ……」
彼方「お風呂出て、ちゃんと歯磨きとかもしてからね～」
遥「え……してくれるの？」
彼方「遥ちゃん、おねむだからねぇ……連れてってあげるよ～」 引いては寄せての絶妙な距離感
彼方ちゃんやっぱりつよい ﾁｬﾎﾟﾝｯ
ﾎﾟﾀｯ.....
ﾎﾟﾀﾀ....
彼方「二人で入ると、やっぱり狭いねぇ」
遥「ちょっと、無謀だったかなぁ～？」
遥「お湯、凄い逃げていっちゃったし……」
彼方「……でもねぇ～……お湯はたっぷりあるから平気だよ～……」
ﾁｬﾌﾟﾝｯ
ｸﾞｯ
ｸﾞｸﾞｸﾞｯ....
彼方「ん～……んぅ……はふぅ……」
遥「前に入ってた時は、もうちょっと広く感じたよね」
彼方「うん」
彼方「このボタン何だろうって、追い炊きを押した遥ちゃんの慌てっぷりは可愛かった……」
遥「低学年の時の話だよね～……」
遥「急に熱いお湯がブクブクブクって……しばらく、お風呂に入れなくなりそうだったっけ」
彼方「そうそう～」
彼方「だから、彼方ちゃんがぎゅ～って、してあげながら一緒に入ってたんだよ～……」
遥「覚えてる……うん……これなら平気でしょ～って……」ｳﾄｳﾄ.... 彼方「眠い？」
遥「うん……」
遥「お姉ちゃんのほうが、頑張ってるのになぁ……」
ﾊﾞｼｬﾝｯ
ﾊﾞｼｬｯ....
ｺﾞｼｺﾞｼ
遥「瞼が重い……」
彼方「彼方ちゃんは頑張ってるかもしれなないけど、慣れてるからねぇ～」
遥「うん……そうだよね……」
.....ｳﾂﾗｳﾂﾗ
遥（だから……嫌なんだよ……）
遥（慣れてるから、大丈夫だから……）
遥（そうやって、お姉ちゃんがどんどんどんどん……頑張って行っちゃうのが……）
ﾁｬﾌﾟﾝｯ
ｻﾜｯ
ﾑﾆｭ....
彼方「んっ……は、遥ちゃんっ？」
遥「慣れてるからって……無理は……めっ。 だよぉ……」ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ....
彼方「わっ……わぁーっ！？」
彼方「遥ちゃん待って待って！ ここで微睡んだら、めっ！ だよ～っ！」 ――――――
―――
彼方「よいしょっと……」
ｷｼｯ....
ﾌｧｻｯ.....
遥「んぅ……」
彼方「一時はどうなることかと思ったよ～」
ﾂﾝﾂﾝ
ﾂﾝｯ....
遥「んにゅ……zzz……」
彼方「髪乾かしてる間に、すやすやと……」
彼方「ほんとに……ありがとねぇ……」
彼方「……お疲れ様」
ﾁｭｯ
遥「んぅ……zzzz……」
ｷｼｯ.....
彼方「んっ――ふぁ……ふ……宿題……やらないと……」
――ｶﾁｯ
ｶﾞｻｯ
ｼﾞｰｯ
ｶｷｶｷｶｷ......
ﾍﾟﾗｯ
ｶｷｶｷ.....
彼方「はふぅ……」 遥ちゃんがちょい性欲強いけど近江姉妹の互いを想いあってるこの感じ…いいな…これ…いいぞ…語彙力消し飛ぶ…
そしてスレ立て規制がなければこれが書かれることはなかったという現実… ――――――
―――
[翌日]
....ﾕｻﾕｻ
ﾕｻﾕｻ
....ﾁｬﾝ
遥「んぅ……」
彼方「遥ちゃん、起きて」
遥「ん～……」
彼方「遥ちゃ～ん」
遥「んぅ……ん～？」
彼方「起きないと、キスしちゃうよ～？」
遥「ん……じゃぁ……あと5分……」
彼方「こらこら～」ﾍﾟﾁﾍﾟﾁ
遥「ん……ふゎ……ぁ……ぁふ……」
遥「……おはよう……」
彼方「おはよう～、顔洗ったりしたら、ご飯ね～？」
遥「うん……」
遥「ん……あぁっ！？」ﾊﾞｻｯ
遥「もう朝ごはん作っちゃったの！？」
彼方「ぐっすりだったからねぇ……」
遥「明日は遠慮なく起こしてね……？ 頑張って起きるけど……」
遥「絶対だよっ？」 ｶﾁｬｶﾁｬ
ﾓｸﾞﾓｸﾞ....
遥「ねぇお姉ちゃん」
彼方「ん～？」
遥「……昨日、お風呂の途中から記憶があいまいなんだけど……」
遥「もしかして、私、途中から寝てた？」
彼方「そうそう。寝落ちして溺れるところだったんだよ～？」
彼方「偶然、彼方ちゃんと一緒にお風呂入ってたから大丈夫だったけど」
彼方「毎回ああいう風になっちゃうなら、お手伝いは半分にするからね～？」
遥「そんなぁ……」
遥「毎回お姉ちゃんが一緒に入るのじゃダメ？」
彼方「良いと思ってるのかな～？」
遥「………」
遥「……ちょっぴり」
彼方「は～る～か～ちゃん～？」
遥「あ、あはは……ごめんなさい……」 彼方「も～……」
彼方「遥ちゃんがお姉ちゃんの為に頑張ろうとしてくれてるのはすごく嬉しいよ」
彼方「でも、それで遥ちゃんが逆に辛そうだったり」
彼方「全然そんなことなかったのにお風呂で寝落ちしちゃうようになっちゃうのは、彼方ちゃん、嫌だな……」
彼方「だから、出来る限りで良いよ」
彼方「遥ちゃんは無理してないって思ってるだろうけど」
彼方「大変な事をやってなくても、慣れてないことをやると普通にやるよりも疲れちゃうから」
彼方「少しずつ、少しずつ教えてあげるから」
彼方「焦らないで、ゆっくり……彼方ちゃんを助けてね？」
遥「ぅ……うん……」
遥「っ……」
遥「うぅ……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ....
彼方「は、遥ちゃん！？」 彼方「え、ぁ、えぇ……っ？」
ｶﾞﾀﾝｯ
ﾀﾀﾀｯ
彼方「お、怒ってるわけじゃないんだよ？ ほんと、ほんとに彼方ちゃんは嬉しくて……」
遥「でもっ」
遥「でも私……っ……お姉ちゃんに心配かけちゃったんだよね？」
遥「私、お姉ちゃんを助けたくて……なのに……ｸﾞｽｯ……」
遥「なのに……うぅぅっ……」
遥「そう思ったら……なんか……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ.....
彼方「遥ちゃん……」
ｷﾞｭｯ....
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「遥ちゃんは優しいね……」
彼方「優しいから、そうやって悪いことしちゃったなって……思ってるんだよね」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「でも、遥ちゃんは悪いことはしてないよ」
彼方「良いことをしてる……でも、し過ぎて自分に良いことが出来てないから、お姉ちゃんは心配なの」
彼方「だから……一緒に少しずつ頑張ろう？ ね？」
遥「ん……ｸﾞｽｯ……」
彼方「よしよし……遥ちゃんはいい子、いい子～……」
....ｸﾞｲｯ
彼方「っと……」
遥「もう少し……時間ちょうだい……っ」 彼方「じゃぁ、後5分だけ良いよ～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「ん……」
ｷﾞｭｯ
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝ
遥「………」
遥（……お姉ちゃんの匂い、やっぱり落ち着く……）
遥（好き……）
遥（やっぱり私、お姉ちゃんが大好き……）
....ｷﾞｭｯ
彼方「甘えん坊さんだねぇ～……」
遥「私……お姉ちゃんのこともっと……もっと助けられるように……」
遥（頑張りたい……）
遥（頑張りたいけど……きっと頑張り過ぎちゃうから……）
遥「助けられるようになりたいから……まだ、私の傍にいてね？」
彼方「うん～……一緒にいるよ～」 高級らっかせい君毎回素晴らしいもの出してきて誇らしくないの？ 最高すぎるよ！
エモみとエロみの調和が最高すぎるよ！ 遥「……お姉ちゃんの体、あったかかった」
彼方「お姉ちゃんだからねぇ……」
彼方「それよりも、もう一回顔洗ってきた方が良いよ」
遥「うん……」
遥「あ……お姉ちゃん」
遥「今日もバイトで遅くなる？」
彼方「うん……なっちゃうかな～？」
遥「じゃぁ、酢の物作ってみても良い？」
遥「きゅうりとわかめとちくわのやつ」
遥「今日、帰りに材料買って作ってみようかと思って」
彼方「おぉ～やる気だねぇ」
遥「うんっ」
遥「少し包丁使うけど、このくらいなら家庭科の授業とかでも経験あるし……ダメかな？」
彼方「良いよ～」
彼方「帰ってきたら、彼方ちゃんにも食べさせてね～？」
遥「お、美味しいのが出来たらねっ」
彼方「じゃぁ食べられそうだね～」
遥「も～そういうこと言わないで～っ」 ﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬ....
遥（ついつい、泣いちゃった……）
遥（お姉ちゃんに迷惑にならないように）
遥（お姉ちゃんの助けになろうって頑張ろうと思ってたのに）
遥（昨日の、たったあれだけのことで疲れちゃうなんて……ダメダメだなぁ……）
遥（東雲でのスクールアイドルの練習をしてるから、実際に疲れてはいたと思うけど……）
遥（お姉ちゃんは徹夜・早起き・家事・授業・スクールアイドル・バイト……なんだよ？）
遥（ほんと、お姉ちゃんはすごいなぁ……）
ﾊﾞｼｬ....
ｻﾜｻﾜ....
遥（あれ……タオル……）
ｶｻｯ
遥（これ……は……違う、お姉ちゃんの下着だ）
遥（これでも良いけど、拭ききれない……あった）
ｺﾞｼｺﾞｼ
遥「……はぁ」
遥「頑張れ……頑張りすぎない程度に頑張れ、私……」
遥「お姉ちゃんを少しでも楽にするためにっ」 ――――――
―――
遥（きゅうり～わっかめ～……あっとちっくわ～）
遥（きゅうり～わかめ～ち、く、わ……）
遥（って思ってたけど、ちくわって意外と種類あったんだね……）
遥（とりあえず、安い方にしておいたけど）
遥（上手く作れるようになったら、ちょっといいのを買ってみようかな）
ｼｭﾙｯ....
ﾊﾟｻｯ....
遥「……ん～」
遥（さすがに裸エプロンはお姉ちゃんが卒倒しちゃうかな……）
遥（冗談にしてはいき過ぎてるし、普通に部屋着の上にお姉ちゃんのエプロンにしておこう）
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝ
遥「はぁ……お姉ちゃんの匂い……ほんと好き……」
ｽﾝｽﾝ.....
遥「よしっ……美味しいのを作るよ～っ」 遥（わかめは、適当な器に、水適量……で、わかめを入れて放置……）
ﾄﾝｯ
ﾄﾝｯ....
遥（水洗いしたきゅうりの左右？ 上下？ の部分を少しだけ切り落として……）
遥（……1cm切った後に皮の部分を削ぎ落すなら、それ含めて落しちゃってもいいんじゃないかな……？）
遥「塩……塩……」
ｶﾎﾟｯ
ｽｯ....
ﾍﾟﾛｯ
遥「んっ……これだ」
遥「えぇっと……」
遥（まな板の上に塩を振りまいて……そのうえできゅうりを転がします……）
ｷﾞｭｯ
ｷﾞｭｯ....
ｺﾛｺﾛ....
ｺﾛｺﾛ.....
ｼﾞｬｰ.....
遥（塩水が青みがかってきたら、キュウリを水洗い……）
遥（包丁は無理だからスライサーで薄きりにする……）
遥（終わったらボウルに入れて、一つまみくらいの塩をまぶして、軽く揉む……）
遥（それで数分、寝かしておく……タイマー使っておこ）ﾋﾟﾋﾟｯ....ﾋﾟｰｯ
遥「次っ」 遥（ちくわは輪切りにする……）
遥（……ん）
遥（きゅうり一本でも薄切りだと多い……ちくわも全部やっちゃって）
遥（いくつかに分けてそれぞれ味付けを変えてみようかな）
遥（ん～……味付け間違えたときの保険にしよう）
遥「時間はあるから……」ﾁﾗｯ
遥（わかめときゅうりが終わる前に、まな板と包丁を洗って……）
ｼﾞｬー......
ｸｼｭｸｼｭ......
ｺﾞｼｺﾞｼ...
遥「……またお姉ちゃんとお風呂入りたいなぁ」ﾎﾞｿｯ
遥（お姉ちゃんの身体、気持ち良かったし……洗い方凄く良かったし……）
遥「………」ﾄﾞｷﾄﾞｷ....
ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ！
遥「わっ」ﾋﾞｸｯ
ﾋﾟｯ....
遥「はっ……はーっ……はぁ……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥（危なかった……） 遥（きゅうりにそのまま水を投入……）
遥（手で軽く握るように掴みながら水を絞り出して、水気を切ってから……別の器に）
遥（わかめとちくわも均等に分けて……）
遥（あとは調味料……）
遥（調べた限り、酢は大さじ１～３、砂糖はその半分で、しょうゆが砂糖の3分の１くらい……？）
遥（醤油使わないのもあるみたいだけど……）
遥「………」ﾁﾗｯ
遥「いっか……」
遥（洗い物増えちゃうけど……酢１～３それぞれ別の器で調味料を合わせてみよう）
遥（横着しない……これ大事！）
ｷｭﾎﾟｯ
ﾄｸﾄｸﾄｸ....
ｻｯｻｯ.....
遥（お姉ちゃんに美味しいの食べて貰いたからね） 遥「できた～っ！」
遥（調べた作り方真似しただけだけど……）
遥（調理工程は３つくらいしかないはずなのに）
遥（なんだかすごく、頑張った気がする……）
遥「はぁ……」
ﾋｮｨ....
ｼｬｸｯｼｬｸｯ....
遥（ん～……）
遥（酢が大１だと、ちょっと味気ない感じがする……）
遥（甘さが勝っちゃって、酢の物って感じが薄いかな？）
遥（苦手な子は、食べやすいかもしれない）
ﾊﾟｸｯ....
遥（大2の方は、少しピリッとして酢の風味が広がっていく感じ……）
遥（でもお酢～！ って感じはしなくて、すぐに消えてっちゃうかな）
遥（大3は……うん……酢の物って感じがする）
遥（美味しいけど、酢が苦手な人には食べられない感じかな～）
遥「お姉ちゃん、どれが好きかな……」
遥「……早く、帰ってこないかなぁ……」 彼方ちゃん帰ってこなくて病院か警察から電話来そう… 3000人の前でMCする胆力ある遥ちゃん
お姉ちゃん相手だと等身大の高１してて微笑ましい、怪しい思惑あるけど ――――――
―――
彼方「ただいま～」
遥「お帰り～」
彼方「遥ちゃん～どうだった～？」
遥「調味料の分量を変えて三種類作ってみたよ」
遥「好きな味の教えてねっ」
彼方「はぁ～い」
彼方「先に着替えとか済ませちゃうねぇ～」
遥「うんっ」
遥「じゃぁ私、その間にお風呂の準備しておくよ」
彼方「ありがとねぇ～」
遥（なんかお姉ちゃんと結婚生活してる感じがする）
遥（お仕事頑張ってる夫と……）
遥（それを支える妻というには、まだまだ努力が足りないかなぁ……） 彼方「おぉ～ちゃんとしてる～」
遥「火なんて使ってないし……ただスライスして切って、漬けただけだもん」
遥「それでも多分、美味しくできたと思うけど……」
彼方「ちくわの切れ方がちゃんとしてるし、きゅうりは薄くなってるからあれだけど……ちゃんとしてる」
彼方「わかめだって、水戻ししっかりしたでしょ？」
彼方「その一つ一つが、ちゃんとしてるから色艶が良いんだよ～」
遥「そうかな？」
彼方「そうそう～」
彼方「いただきま～す」
遥「それ、一番味が薄いやつ」
ﾊﾟｸ....
ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸﾞ....
彼方「おぉ、いい感じ」
ｶﾁｬﾝｯ
ｻｯ
遥「これがそれよりもちょっと味が濃い方」
彼方「ふむふむ……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
彼方「いいねぇ……」
遥「それで、これが一番酢の量が多いやつ」
彼方「ﾓｸﾞﾓｸﾞ……」
彼方「ほうほう……いい感じだね」 遥「どうだった？」
遥「どれが一番好き？」
彼方「全部好きだよ～」
彼方「遥ちゃんが作ってくれたもの全部～」
ｷﾞｭーｯ
遥「ぁっ……も～……」
遥「お姉ちゃんの一番好きな味つけが知りたいのに～」
彼方「全部美味しかったよ～」
彼方「調べて、調べて……頑張ってくれたんだよねぇ～」
遥「美味しいの、食べて欲しかったんだもん……」
彼方「ありがと～」
彼方「そうだねぇ……彼方ちゃん一押しは二番。それがちょうどいいと思ったかなぁ」
彼方「酢の量が多いのもさっぱりしてて美味しいけど、それよりもちょっと少なめにした感じが好きだよ」
遥「ほんとっ？」
遥「じゃぁまた今度作るときは、そっちで作るね」
彼方「うん、お願いするよ～」 遥「ねぇお姉ちゃん、幼稚園の頃さ……」
彼方「ん～？」
彼方「幼稚園がどうしたの～？」
遥「私、将来はお姉ちゃんのお嫁さんになりたいって、言わなかったっけ」
彼方「言ってないよ～」
遥「えぇ～？ ちゃんと思い出してよ～」
彼方「言ってない言ってない」
彼方「そのころから、アイドルとかに憧れてたよね～」
遥「おかしいなぁ……私の記憶だとお姉ちゃんのお嫁さんになりたいって言ったら」
遥「お姉ちゃんがお嫁さんにしてくれるって言ってくれたんだけどなぁ……」
彼方「おぉぅ……全く記憶にないねぇ……」
彼方「………」
彼方「遥ちゃんは彼方ちゃんのお嫁さんになりたいのかな～？」
遥「ん……」
遥「……っ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥「………」
遥「そうだよって言ったら、お姉ちゃん困る？」 彼方「え～？」
遥「困る？」
彼方「困っちゃうかな～」
彼方「だって、良いよ～とも、ダメだよ～ともなんだか言いにくいからねぇ」
彼方「遥ちゃんはどっちで答えたって、冗談だよ～って言いそうだし」
遥「えへへ……バレちゃってるね」
彼方「でも……そうだなぁ……」
彼方「もし彼方ちゃんが遥ちゃんのお姉ちゃんじゃなくて」
彼方「近所の幼馴染の男の子とかだったら」
彼方「彼方ちゃんはきっと、遥ちゃんにそう言われたら頼む。って答えてたね」
彼方「間違いないよ～」
遥「近所の幼馴染の男の子……だったら逆にお姉ちゃんの旦那様になれてたのかぁ……」
遥「でもさ、私とお姉ちゃんは」
遥「妹だからこそ、姉だからこそ……今みたいな関係とか気持ちとか、そういうのであって」
遥「性別も、家も、根本の部分が違ってたら同じように好き合ってたのかな」
遥「なんていったらいいのかな……そう、ならないような気がするんだよね……」 彼方「いつも帰りが遅い幼馴染を心配する子とか」
彼方「いつも部活を頑張ってる子を応援する幼馴染とか」
彼方「同じ部活に入って、頑張る子と、マネージャーとか」
彼方「世話焼きな幼馴染が、起こしに来るとか～」
遥「あったかなぁ……」
彼方「ん～……」
彼方「多分、ないよねぇ」
遥「えっ？」
彼方「だって、遥ちゃんが妹じゃないってことはだよ？」
彼方「彼方ちゃんはこの家で一人っ子でしょ？」
彼方「だとしたら、スクールアイドルを面白いなんて思わなかったと思う」
彼方「奨学金を得るためだーって勉強をしたかもしれないけど」
彼方「だからバイトは無理だーって、ふんぞり返ってたんじゃないかな」
彼方「だから、そう……」
彼方「幼馴染がわざわざ気にかけるような近江彼方は……いませ～ん！」
彼方「つまり……遥ちゃんの言う通り、私たちのような関係にはなり得なかったと思うよ～」
彼方「そりゃ……どっちかが恋をするくらいは、あってもおかしくないだろうけどね」 遥「そうなんだ……」
彼方「そうだよ～」
彼方「彼方ちゃんが頑張れるのはお姉ちゃんだから」
彼方「料理も掃除も洗濯も、その他もろもろも……」
彼方「そう、それはつまり」
彼方「遥ちゃんがいてくれるからだよ～」
遥「え～っ、ほんと～？」
彼方「ほんとだよ～」
遥「……それはちょっと複雑だなぁ」
遥「それだとお姉ちゃんが頑張ってるの、私のせいになっちゃうし」
彼方「えっ、そんなことないよっ」
遥「でも、私もお姉ちゃんがいるから頑張っちゃうから」
ｷﾞｭｯ
遥「似た者同士、おあいこだよっ」
彼方「も～っ、遥ちゃんぎゅーっ」
遥「あっ……もぅ、お姉ちゃん力強いよ～っ」 遥（ほんと、ほんとに……お姉ちゃん好き）
遥（好きで、好きで好きで好きで……）
遥（体の半分を占める男の子成分が、お姉ちゃんの女の子を押し倒したがってる）
遥（私の体の半分の男の子で、お姉ちゃんが妊娠できたらいいのに）
遥（お姉ちゃんの半分の男の子成分で、私が妊娠できたらいいのに）
遥（……なんて）
遥「私、お姉ちゃんが大好きだよ」
彼方「えへへ～」
彼方「彼方ちゃんも……遥ちゃんのことが宇宙で一番、好きだよ～」
遥「じゃぁ結婚して～」
彼方「え～もうしてるような生活なのに～？」
遥「そんなことないよ」
彼方「そうかな～」
遥「そうだよ～？」
彼方「でも、結婚はねぇ～」
遥「え～」
遥「じゃぁ……妹からでも良いので、付き合ってください」
彼方「ん～」
彼方「それなら良いかな～」
遥「やった～」
ｷﾞｭーｯ
彼方「ゎっ……も～っ、遥ちゃんも力強いよ～」
遥「えへへ……ごめんなさーい」 ζ(*＾ᴗ＾*)ζ ふふっ、ねぇ覚えてる？幼稚園のとき（大嘘） ――――――
―――
[夜]
ﾓｿﾞﾓｿﾞ
遥（もう、お姉ちゃんと一緒のベッドも慣れて）
遥（自然と、どちらからでもなく……手を握る）
遥「ねぇ、お姉ちゃん」
彼方「ん～？」
遥「今週のお休み、デートしようよ」
彼方「おぉ～良いよ～」
遥「一緒にお弁当作るところから、デートは始まって」
遥「映画見て、お買い物して」
遥「それで……」
彼方「それで？」
遥「それで……どうしようかな……」
遥「デートプラン、考えておくよ」
彼方「遥ちゃんのリードかぁ……」
彼方「楽しみにしてるよ～」 高級らっかせいさん、マジで毎回毎回神SSをありがとう
心が満たされるぅ… 遥（……デート）
遥（お姉ちゃんとのデート）
遥（あんまり遠く行くのもあれだし……映画見るなら……）
遥「………」
遥「お姉ちゃん、まだ起きてる？」
彼方「起きてるよ～？」
遥「もう少し、そっちに行っても良い？」
遥「お姉ちゃんと一緒の方が、寝やすくて」
彼方「おやおや……どうかしたのかな～？」
ﾓｿﾞﾓｿﾞ
ｸﾙｯ.....
彼方「寝付けない？」
彼方「………」
彼方「良いよ～こっちにおいで～」
ﾓｿﾞﾓｿﾞ....
......ｷﾞｭｯ
遥「お姉ちゃん、抱き心地が良いんだよ？ 知らなかった？」
彼方「ん～自分のことだからな～」 遥「……あったかくて、柔らかくて、良い匂いがする」
遥「心も体も落ち着いて」
遥「だんだんと……眠くなってくる」
遥「気持ちいいんだよ～……」
彼方「そっか～」
彼方「じゃぁ、なでなでもしてあげる～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「ん……」
彼方「目を瞑って～」
遥「………」
彼方「息を吸って～」
遥「ん……」
彼方「息を吸って～」
遥「ふぅ……」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「あとはゆっくり、静かに……体から力を抜いて～……」 >>204最後から4行目 誤字修正
彼方「息を吸って～」⇒彼方「息を吐いて～」
遥「……あったかくて、柔らかくて、良い匂いがする」
遥「心も体も落ち着いて」
遥「だんだんと……眠くなってくる」
遥「気持ちいいんだよ～……」
彼方「そっか～」
彼方「じゃぁ、なでなでもしてあげる～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「ん……」
彼方「目を瞑って～」
遥「………」
彼方「息を吸って～」
遥「ん……」
彼方「息を吐いて～」
遥「ふぅ……」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「あとはゆっくり、静かに……体から力を抜いて～……」 よかった、嗜虐心に目覚めたお姉ちゃんは居なかったんだね 遥（お姉ちゃんの体の柔らかさを感じる）
遥（お姉ちゃんの温かさを感じる）
遥（同じシャンプーとかなのに、お姉ちゃんだって分かる匂いを感じる）
遥（お姉ちゃんの声が耳元から擽るように滑り込んでくる）
遥（……ふんわりとして、柔らかい声）
遥（私が好きな、私が大好きなお姉ちゃんの全部に……包まれてる）
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「遥ちゃんもね～……抱いてると気持ちいいよ～」
彼方「彼方ちゃんも、好き……」
ｷﾞｭｯ.....
遥「ん……」
遥（ゆっくり、解けてくようなこの感じ……）
遥（凄く、癒されていくような……）
遥「私も、好きだよ……お姉ちゃん……」
遥（あったかくて……きもちいい……） ――――――
―――
[週末]
遥（待ちに待った……週末）
遥（お姉ちゃんのバイトや部活）
遥（私の部の練習もないお休みの日）
遥（お姉ちゃんと、デートの日）
彼方「ん……zzz」
遥（お姉ちゃんも、目覚まし時計さえもまだ寝てる……）
遥（お姉ちゃんの寝顔、かわいい……）
.....ｷﾞｭｯ
遥（手を握ったまま、向かい合って寝てたんだね。私達）
遥（いつもそうだったのかな……）
遥（それとも、今日が初めてなのかな……）
遥（お姉ちゃんよりも早く起きたの初めてだから、知らないや）
遥「お姉ちゃん……今日は最高のデートをしようね」ﾎﾞｿｯ 彼方「ん……」
彼方「んぅ……？」
遥「……おはよ～お姉ちゃん」
彼方「あれ～？ 遥ちゃんが起きてる～……」
遥「今日は、私の方が早く起きちゃった」
遥「楽しみ……だったからかな？」
彼方「ん～……それは違うと良いなぁ……」
遥「どうして？」
彼方「だって、彼方ちゃんも楽しみだったんだもん」
彼方「遥ちゃんが楽しみで起きちゃったなら、彼方ちゃんも一緒だったはずだよ～」
遥「じゃぁ、どうしてかな」
彼方「そうだねぇ」
彼方「……遥ちゃんが早く起きようって頑張ったからだよ」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「その方が、長くできるからね～」
彼方「楽しもうね……デート」ﾆｺｯ
遥「……うんっ」 ――――――
―――
ｶﾁｬｶﾁｬ
ﾁｯﾁｯﾁ....ﾎﾞｯ
遥（最近は手伝うことの多くなったお弁当作り）
遥（もちろん、私に手伝えることなんてまだまだ簡単な事ばっかりだけど）
遥（それでも……少しは上手くなった、かもしれない）
ｻｯｻｯ
ﾄﾝﾄﾝｯ....
遥「……なんだか、変な感じがするね」
彼方「そう～？」
遥「デートだって考えてるからかな」
遥「お姉ちゃんの視線が気になる」
彼方「え～？ ちゃんと見ててあげないと危ないよ～？」
遥「うん、だから……私のこと見てて良いよ」
彼方「ちゃんと見てるよ～ずっと見てる～」
遥「え～？ お姉ちゃんも作ってよ？」
彼方「ちゃんと作ってるよ～」
彼方「……あ、これ。ちょっと味見してみて」
ﾋｮｨ....
彼方「あ～ん」
遥「あ～……ん……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
彼方「味薄い？」
遥「丁度いいと思うよ、美味しいと思う」
彼方「そっか、良かった」 遥「やっぱりお姉ちゃんのほうが上手だなぁ」
彼方「遥ちゃんも十分上手になってきてるよ～？」
遥「そうかな～？」
遥「………」
遥「お姉ちゃん、あ～ん」
ﾋｮｲｯ....
彼方「ぁ～ん……ﾊﾟｸｯ」
彼方「ん……」
ﾓｸﾞﾓｸﾞ...
ｺﾞｸﾝｯ
彼方「ん～っ、やっぱりちゃんと美味しいよ～」
遥「お姉ちゃんが教えてくれてるからね」
遥「作り方も、味付けも」
遥「ちゃんとお姉ちゃんの好みだよ」
彼方「彼方ちゃんは教えただけ」
彼方「作ってくれたのは、遥ちゃんだよ～」 彼方「ところで、こんな食べ合いっこしちゃっていいの～？」
彼方「お弁当の楽しみが減っちゃうよ～？」
遥「お料理デートだからいいの～」
遥「それに、お弁当ならいっつも食べてるから……」
遥「今日はその過程を楽しむんだよっ」
彼方「んふふ～そうだねぇ……」
彼方「あ、でも、これも最近は二人でよくやってるよね～」
彼方「そう考えると、毎日がお料理デートだ～」
遥「えへへ……確かに」
遥（何でもないことのように嬉しそうに笑うお姉ちゃん）
遥（……かわいい）
遥（いつものキッチン、いつもよりちょっぴり早い時間）
遥（いつもよりはおしゃれに着替えて、並んでお料理）
遥（……デート）
遥（お昼はクレープでも買って、お姉ちゃんのほっぺにクリームつけようかな……） 遥「ねぇお姉ちゃん、本当にお料理デートっていうのがあるって知ってる？」
彼方「んーん～知らなかったよ～」
遥「同棲気分を味わえるし、普段は外でデートするから新鮮味を味わえるんだって」
遥「それに……お話がしやすいとか、二人で料理を作るっていうのが良いんだって」
彼方「遥ちゃん物知り～」
遥「調べただけだよ～」
遥「でも、デートって面白いんだよ？」
遥「どんなデートがあるのかなぁって、色々調べてみたんだけど」
遥「ほんと、いっぱいあってね……」
遥「家でも外でも、あれでもこれでも。デートが出来るみたい」
彼方「そうなんだ～」
彼方「二人で一緒に出来ること、したいこと。それをデートって呼んでるのかもしれないね～」
彼方「料理だって、お散歩だって、映画だって……二人でなら全部デートって言えるのかも～」
遥「そうなのかも……」
遥「お散歩しよっていうより、デートしよっていう方が何だかドキドキするもんね」
彼方「ね～」 彼方「お料理デート、お散歩デート、映画デート……お買い物デート」
遥「全部まとめて一日デート」
遥「今日はその、一日デートだよ」
.....ｷﾞｭｯ
彼方「遥ちゃんったら、本気だね～」
遥「お姉ちゃんは本気になってくれないの？」
彼方「んふふ～、彼方ちゃんが本気になっちゃったら大変だよ～？」
遥「いいよ」
遥「デートの本気で大変な事になるなら、私は良いよ？」
遥（腕を組むように抱き着いてみる）
遥（何かで見たカップルのように、お姉ちゃんの肩に頭を乗せてみる）
遥（目を、閉じてみる）
遥「………」
遥「……いいよ」
彼方「ん～……まだ、朝だからね～」
遥（お姉ちゃんの声が、とても近く聞こえた） ｽｯ.....
彼方「お料理焦げちゃうよ～」
遥「もぅ……お姉ちゃんってば……」
ｶﾁｬﾝｯ
ｶﾀｯ.....
ｼﾞｭｰ....
遥「はいっ、出来たよ」
彼方「じゃぁ、朝ご飯デートだね～」
遥「うんっそうだよ」
遥「でも、カップルで同じ料理頼んだ時ってどうするんだろう？」
遥「そもそもそんなことあるのかな？」
彼方「普通は別々だよねぇ……」
遥「同じだと、一口頂戴って出来ないもんね」
遥「必ずやるとも限らないけど」
彼方「彼方ちゃんだったら、そっちも一口貰っていい～？ って、聞くかも」
遥「相手が美味しいって言ったのは、味の再現してくれそう」
彼方「えへへ～頑張っちゃうかも～」 遥「次の家デートとかでこの前の作ったんだ～って、出してくれるのかな？」
彼方「家デートかぁ……」
彼方「今日みたいに遥ちゃんとなら出来るけど、中々出来ないよね～」
彼方「でもでも～前のデートで美味しいって言ってたから再現したよって言ったら、褒めて貰えるのかな～？」
彼方「そうなんだ……って、ちょっと引かれちゃったりしない？」
遥「どうなんだろ？」
遥「私はやっぱり、凄いなぁって思う。お姉ちゃんが作ったんだから美味しいのは当然だし」
遥「似てたら似てるっていうし、やっぱり凄いって惚れ直しちゃうかも」
遥「……料理が作れる人は沢山いるけど、ここまでたくさん作れる人ってあんまりいないと思うんだよね」
彼方「照れるな～」
遥「ほんと、凄いしカッコいいよ。お姉ちゃん」
彼方「えへへ～」
遥（それでいて、とってもかわいい）
遥（私の大好きなお姉ちゃん） ――――――
―――
遥（いつもとはちょっぴり違う朝ご飯を食べ終えて、もう一度身なりを整えてお姉ちゃんと一緒に家を出る）
遥（普段はしている家事も、昨日のうちに殆ど済ませておいたお陰で時間はそうかからなかった）
遥（お姉ちゃんとデート……）
彼方「～♪」
ｿｯ.....
遥「………」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥「……ね、ねぇっ」
遥（上擦っちゃった……）
彼方「ん～？」
遥「ぇっと……手、手、繋いでいい？」
彼方「いいよ～」
ｷﾞｭｯ
彼方「離しちゃだめだよ～？」
遥「うんっ」
遥「絶対に、離れないよ」 遥「お姉ちゃんの手って、私とちょっとしか変わらないよね」
遥「……身長も4センチ、あと二年で抜けちゃったりして」
彼方「え～？ 彼方ちゃんだってまだまだ大きくなるよ～？」
遥「それよりも大きくなれるかもしれない」
彼方「む～……お姉ちゃんより大きくなれる妹はいません」
遥「あははっ、いっぱいいるよ～」
彼方「彼方ちゃんが大きくなれないようにしちゃうもんね～」
遥「えーっ」
遥「そしたらお姉ちゃんも変わらないよ？」
彼方「………」
彼方「は、遥ちゃんに大きくなられるくらいなら……」
遥「もぉ～……」
遥「きっと、大きくなってもお姉ちゃんと同じくらいだよ」
遥「中学生なら分からないけど、高校生だし……望み薄かな」 彼方「遥ちゃん、大きくなりたいの？」
遥「もうちょっとくらい大きくてもいいのかな～って思うかな」
遥「平均で考えると、ちょっとだけ小さいから」
遥「今のままでも良いとは思ってるけどね」
遥（お姉ちゃんより大きくなって、上目遣いされたい……とは、言えない）
遥「あと2年で4センチ……大きくなれるかな？」
彼方「彼方ちゃんは……う～ん……」
遥「0.5とかそのくらいじゃなかったっけ……」
彼方「多分、そのくらいだったね～」
遥（お姉ちゃんと私の身長の話）
遥（そんな他愛もない話をしながらも手を握り合ってる私達は）
遥（ほかの人からはどう思われてるんだろう……なんて、ちょっぴり気になる） 彼方「ところで遥ちゃん、映画って何を見るの？」
遥「えっとね～」
ｽｯ.....
遥「……今、こんなのやってるみたいなんだよね」
彼方「どれどれ～」
ｷﾞｭｯ....
ﾋﾟﾄｯ.....
遥（近い……）
遥（お姉ちゃんの匂いがする……）
彼方「あぁ～これ知ってる～」
彼方「クラスの子が面白いよって話してたやつだ」
遥「そ、そうなの？」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥「じゃぁ、これ見てみよっか」
遥「時間は、これにして」
遥「そのあと休憩も兼ねて公園に行こうよ。そこでお弁当食べるの」
彼方「いいね～」 遥「………」
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
ｻﾞﾜｻﾞﾜ.....
遥（……お休みの日だと、やっぱり私とお姉ちゃんみたいにデートしてる人多い……）
遥（腕組んでたり、手を繋いでたり、そんなことせず歩いてたり……）
遥（カップルじゃない人もいると思うけど）
遥（……私は）
ｷﾞｭｯ
彼方「ん～？」
遥「映画のチケット先に買っちゃおうよ」
遥（今は、手を繋げるだけで良い）
彼方「えぇっと……」
遥「こっちだよっ」
ｸﾞｲｯ
彼方「わゎっ、待って待って～」
遥「待つよ～」
遥（お姉ちゃんの手、あったかい） 彼方「遥ちゃん、何か買う？」
彼方「お昼があるから、ポップコーン買うなら少なめにね～」
遥「ん～……」
遥「飲み物だけ買おうかな……」
遥「お姉ちゃんも買う？」
彼方「そうだね～……アイスティーにしようかな」
遥「じゃぁ私はオレンジにする～」
遥（……バイト、してたらお姉ちゃんの分は私が出すよ。とか、出来たのかな）
遥（お小遣い貯めてるお陰で、出来るお金はあるけど）
遥（でもそれは、自分で働いたお金じゃないから……）
彼方「どうしたの～？」
遥「ここは俺が出すから。なんて……ちょっと言ってみたいなーって」
彼方「え～？ それならお姉ちゃんが言うべきだよ～」
遥「お会計とか払おうとしたら、もう払ったよ。とか言われたらちょっと格好良く思わない？」
彼方「そうかな～……」
彼方「私は……申し訳なくなっちゃうかも」
彼方「割り勘……だったっけ。彼方ちゃんはその方が良いな～」
遥「そっか～」
遥（お姉ちゃんは、そうだよね） ﾀｶﾊｼｨｨｨｨ
ｲｷﾙﾅ! ｼﾈ!
遥「………」
ﾁﾗｯ.....
彼方「………」
遥（お姉ちゃん、普通に見てる）
遥（楽しんで、くれてるかな……）
ｶﾀﾝｯ
ﾎﾟﾀﾎﾟﾀ....
…ｺﾞｸｯ
遥（水滴が……）
ｶﾀﾝｯ
遥「……」ﾁﾗｯ
遥「………」
ﾄﾞｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ.....
ｽｯ.....
ｷﾞｭｯ
彼方「んっ？」ﾁﾗｯ
遥「………」
彼方「……」
……ｷﾞｭｯ
遥「！」ﾁﾗｯ
彼方「……」ﾆｺｯ
遥（お姉ちゃん……好き） ――――――
―――
彼方「面白かったね～」
遥「うんっ」
遥（結局、お姉ちゃん最後まで手を握っててくれて……）
遥（どきどきしてて、全然内容覚えてない）
彼方「爆弾が爆発するときの音なんて、やっぱり映画館で見ると全然違うなぁ」
遥「凄かったよね」
遥「テレビとは全然違って、体の中まで震えるんだよね～」
遥（そんなことより……）
ｷﾞｭｯ.....
遥（手を握ってることの方が凄い……）
遥「お姉ちゃん、体大丈夫？」
彼方「ん～？」
遥「映画って、疲れちゃうでしょ？」
遥「少し休んでから公園にいく？」
彼方「大丈夫だよ～」
彼方「公園でゆっくりしよ～」 ﾃｸﾃｸ
ｽﾀｽﾀ....
遥（ずっと、手を握ってる）
遥（映画館に来るまで、映画を見てるとき、公園に行くまで）
遥（ずっと、お姉ちゃんと……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ
彼方「遥ちゃんと二人で映画館で映画見るなんて、いつぶりだろうねぇ」
遥「小学生くらい……かな？」
遥（映画見たいって言ったらお母さんが良いよって……）
遥（でも、お母さんは仕事で……二人で行ったんだよね）
彼方「そうだったね～」
彼方「これからも時々、見にいこっか～？」
遥「面白そうなのがあったら、また見に行こうよ」
遥「久しぶりに映画館で見るの、すっごく面白かったし」
遥（内容、ほとんど覚えてないけど……） 遥「この辺りが良いんじゃないかな」
彼方「そうだね～……あ、あそこが良い感じだよ～」
ｸﾞｲｯ
遥「っと……」
ﾀﾀﾀｯ
遥（お昼と夕方の真ん中くらいの時間）
遥（家を出る前に作ったお弁当を手に、海浜公園）
遥（……まばらな人と、少し遠いところに浮かぶ海上バス）
遥（車が多く走る、レインボーブリッジ）
遥（……いつもと変わらないのかもしれないけど）
遥（私とお姉ちゃんは……）
遥「ここまでくると、時々してるお出かけみたいだよね」
彼方「あぁ、確かに～」
彼方「時々、この辺りまで来てるからね～」 彼方「でも～……今日はちょっと、特別」
遥「えっ？」
彼方「いつもは彼方ちゃんのお弁当だけど」
彼方「今日は彼方ちゃんと遥ちゃん二人の共同作業～」
彼方「愛情たっぷり弁当で～す」
彼方「もちろん、いつも愛情たっぷりだけどね～」
遥「知ってるよっ」
遥（嬉しそうなお姉ちゃん、可愛い）
遥（お姉ちゃんが、大変なのに頑張ってくれる理由……分かった気がする）
遥「いつも、お姉ちゃんのお弁当美味しいもん」
遥「家でも、学校でも、こうしてお出かけしてても……いっつも」
遥「だから、ありがと。お姉ちゃん」
彼方「んっ……」
彼方「……えへへ」
彼方「いいよ～いいよ～」ﾌｲｯ
彼方「お弁当食べよ～」
遥（お姉ちゃん、ちょっぴり赤くなってて……かわいい）
遥（好き） 遥「あっ、お姉ちゃん。あそこで売ってるソフトクリーム食べようよ」
遥「チョコ＆バニラ、二人で」
彼方「ん～？ ﾓｸﾞﾓｸﾞ……ｺﾞｸﾝｯ」
彼方「いいね～」
遥「えへへ～決まり～」
遥「……私が作った分、冷めちゃってるけど平気？」
彼方「全然平気だよ～」
彼方「ちゃんと美味しいよ～……ほらっ」
ｽｯ....
遥「ぁむ……」
遥「ﾓｸﾞﾓｸﾞ……ん、ちょっと味濃くないかな？」
彼方「彼方ちゃんは好きだよ～でも、そうだねぇ。もうちょっと薄味でも良かったかな～」
遥「次お弁当に入れるときは、そうするね」
彼方「うんうん」
遥「………」
遥「……あっ」
彼方「どうしたの？」
遥「う、ううんっ、何でもないよっ」
遥（ふ、普通に食べさせて貰っちゃってた……）
遥（ここ、外なのに……っ）ﾁﾗｯ
遥（誰も見てなかったよね？） 遥「お姉ちゃん、ソフトクリーム買ってきたよ～」
彼方「ありがと～」
彼方「あれ？ スプーン1つ？」
遥「あ……もう1つ貰うの忘れちゃった」
彼方「大丈夫大丈夫～」
ｽｯ....
彼方「はい、遥ちゃん。あ～ん」
遥「あ……ぁ～ん……」
遥「んっ……冷た～いっ」
遥「美味しいっ」
遥「はいっ、お姉ちゃんも」
ｽｯ....
彼方「あ～んっ」
彼方「ん～っ」
彼方「チョコ美味しい～このほろ苦い甘さが良いんだよね～」 遥「ぁむ……」
ｽｯ....
彼方「ん……」
遥（二人で一つのソフトクリームを食べ合うって、なんだか、不思議）
遥（お姉ちゃんと何かを分け合うことはあっても、ここまでしたことは……なかったかな）
遥「こういうのって、面白いよね」
彼方「ん～？」
遥「一つのソフトクリームを、二人で食べ合うの」
遥「今まで、一口食べる？ って、したことはあっても」
遥「こうやって食べさせあったことはなかったよね……」
彼方「そうだね～」
彼方「こういうのが、本当のデートなのかな～」
彼方「どう？」
遥「……したことないから、わからないよ」
彼方「そっかそっか～」
遥「もぅ～なんで嬉しそうなの～っ！」
彼方「え～？」
彼方「だって～、したことあるって言われたら彼方ちゃん困っちゃうよ～」 俺たちはこのスレがある事を当たり前じゃないと思うべき 遥「デートって、どうしてデートなんだろ？」
彼方「彼方ちゃんに言われても困るな～」
遥「ん～……」
遥「あ、お姉ちゃん。最後の一口」
ｽｯ....
彼方「ぁ～ん……」
遥（デートプランとかで色々調べたけど）
遥（何がデートなのかは、そう言えば調べてなかったなぁ……）
彼方「ソフトクリームデート終わり？」
遥「終わりだね」
遥「……二人で一緒にすることがデートなら、二人の距離を縮めるのが、デートなのかな」
彼方「そうかも～」
ｺﾂﾝｯ....
遥「お姉ちゃん？」
彼方「こうやって～、肩を寄せ合って目を瞑るのも……デートなんだよ～」
遥「ん……そうなのかなぁ……」
遥（風を感じる）
遥（ちょっとだけ肌寒い空気……だけど。だから……）
遥（すぐ隣の、体に触れるお姉ちゃんの温かさが……気持ちいい） わかる
アニガサキもこのスレも願わくばずっと続いてほしい 遥「……本当に寝ちゃだめだよ？」
彼方「大丈夫だよ～」
遥「………」
遥「………」ﾁﾗｯ
彼方「………」
ｷﾞｭｯ....
遥（目を瞑ってるお姉ちゃん……）
遥（でも、手を握れば握り返してくれて、話しかければ答えてくれる）
遥（この静かな時間も……デートって言えるのかな）
遥（このまま目を瞑ったまま、何かが起こって世界が終わったりしたら）
遥（私とお姉ちゃんはずっと幸せな夢の中なのかな）
遥（……なんて） 遥「……ねぇお姉ちゃん」
彼方「ん～？」
遥「私、お姉ちゃんと一緒にお食事屋さんとか、お弁当屋さんとか、そういうのやれたらいいな～ってちょっと思った」
彼方「……どうしたの？ 急に」
遥「一緒に料理してて楽しかったし、その料理を食べておいしいって喜んでくれるのが……嬉しかったからかな」
遥「そんな将来も良いな～って……」
遥（それなら、お姉ちゃんとずっと一緒にいられるし……）
彼方「彼方ちゃんと遥ちゃんでお食事処かお弁当屋さんか～……かなはる食堂？ はるかな食堂？」
遥「レストラン、ハルカカナタ」
彼方「洋食専門店かな～？ パスタがメインだね～」
遥「ひらがなで書くか、漢字で書けば和風だよ」
彼方「え～？」
遥「お料理教室開いたりするのも、なんだかおもしろそう」
彼方「あ～……それは良いね～」
遥「……考えても良い？ そういうの」
彼方「遥ちゃんが本気なら、彼方ちゃんは応援するよ～」
彼方「彼方ちゃんもそういうのが一緒に出来るなら……幸せになれそうだからね～」
彼方「でも、それならもっとも～っと勉強して……ちゃんと考えなきゃだよ～」
遥「そうだよね……もっと、勉強もお料理も頑張らなきゃ……」
遥（お姉ちゃんと一緒にいるためなら……どこまでだって……遥か彼方にだって、辿り着いてみせる）
遥（なんてね……）
遥（好き……大好き、お姉ちゃん……） アニメで疲弊した心に染みる…
もうはるかなしか信じられん 安価スレでもあるまいに250まで来て登場人物が近江姉妹しかいないっていうのもなんかスゲーな… 久々に来たらめちゃくちゃ続き来てた！！ありがてぇ！！尊い！！ 良質なかなはるor彼方ちゃんssを毎回毎回ありがとう
今日はよく眠れそうだ ――――――
―――
遥「お姉ちゃん、あの雑貨屋さん寄って行こうよ」
彼方「いいよ～何か買う～？」
遥「ん～……そうじゃないんだけど、ちょっと見ていきたいなって」
彼方「面白そうなものがあると良いねぇ」
遥「うんっ」
ｷﾞｭｯ....
彼方「遥ちゃんの手、あったかいねぇ」
遥「さっきまで、握ってたからね」
彼方「そうだね～」
ﾃｸﾃｸ
ｽﾀｽﾀ
ｶﾗﾝｶﾗﾝ...
遥「お姉ちゃんっ、見て見て！」
遥「ユニコーンの砂糖瓶だって」
彼方「へぇ～かわい～……どこから出すの～？」
遥「角の部分を上にあげると出せるみたい」
彼方「角から出るんじゃなくて、角を取っちゃうんだ……」
遥「口から出るのもあるよ？」
彼方「え～っ」 彼方「猫のもあるよ～」
彼方「……口から出るけど」
遥「動物の容器って、置物の方が良いね……」
遥「実際に使ってるの想像すると――」
彼方「遥ちゃんストップストップ～」
彼方「でも、確かにこうして置いておくだけなら可愛いよね～」
彼方「この鳥のなんて、カラフルで綺麗だよ～？」
遥「ほんとだ……ん……」
遥「お姉ちゃんお姉ちゃんっ、花のもあるよ」ｸﾞｲｸﾞｲｯ
遥「ひまわりのやつ、種の部分から塩とかが出てくるみたい」
彼方「お～これは良い……」
彼方「あっ、チューリップの小物入れだって～」
彼方「見て見て遥ちゃん、これこれ～」
彼方「印鑑とか、鍵とか。玄関前の小物入れに使えそうだよ～」
遥「ほんとだ……これは可愛い……ペン入れとかにも出来そうな感じがする」
彼方「おぉ～……良いね～可愛い」 遥（ちょっと変なのもあるけど、面白いし可愛いのもある……）
遥（動物が調味料とかを吐くのはあれだけど……花から花粉みたいに出てくるのは、良い）
遥（料理してても、食べるときでも）
遥（そういうユーモアはあっても良いかもしれない）
彼方「遥ちゃん遥ちゃんっ、こんなのもあるよ～」
ｸﾞｲｸﾞｲｯ
遥「……虫！？」
遥「虫は、ちょっとっ……えぇ……」
遥（ちょっとじゃなくて、変なのが多いけど）
遥（お姉ちゃんは楽しそう……かわいい）
遥（行き当たりばったりなウインドウショッピングも……悪くないかも） 遥「………」
ｷｮﾛｷｮﾛ
ﾃｸﾃｸ....
遥「………」
遥「あ……お姉ちゃんっ」
ｸｲｸｲｯ
彼方「ん～？」
遥「見て、ほら髪留めもあるよ」
彼方「わぁ可愛い……」
遥（お姉ちゃんのほうがかわいいよ）
遥「お姉ちゃん、こっち向いて」
彼方「なあに？」
ｽｯ....
ｻｯ.....
遥「やっぱり。花つきヘアピンもお姉ちゃんかわいくて似合うよ」 彼方「え～そうかな～？」
彼方「ヘアピンが可愛くて浮いちゃってない？」
遥「そんなことないよ。似合ってる」
遥「蝶のタイプもあるよ？」
彼方「それは――」
遥「試しにつけてみて。ねっ？」
.....ｽｯ
彼方「ちょっと、派手じゃないかな～？」
遥「ん～……これは合わないね……アクセントが強すぎちゃうと変かな？」
遥「いつもつけてるヘアピンくらいシンプルにワンポイントな感じがいいのかな……」
遥「あ、でも、これはどうかな。バレッタ……」
彼方「ん～……普通にピンの方が良いかな。ここにあるのだと」
遥「なら、やっぱりこれが良いと思う」
彼方「フラワーモチーフ……似合う？」
遥「うんっ、似合うよ。かわいい」 彼方「そうかな～」
遥「そうだよ～」
遥（本当に似合ってるし、照れてるお姉ちゃんかわいいし）
遥（かわいいし）
彼方「なら、遥ちゃんはこれなんかどうかな～」
遥「えっ」
彼方「つけてあげるから、じっとしててね～」
ｼｭﾙｯ.....
ｻﾜｻﾜ....
ｸﾞｯ....
遥「……」
彼方「はいできた。鏡見てごらん」
遥「あ……」
遥（蝶のモチーフがついてるヘアゴム……）
遥（いつもリボンだけど……これはこれで）
遥「かわいいかも……」
彼方「でしょ～？」 遥「ねぇお姉ちゃん一緒に買おうよ」
遥「せっかく選んだし……似合ってるなら、ね？」
彼方「そうだねぇ……」
彼方「デートの記念に、買っちゃおうか～」ﾆｺｯ
遥「ぁ……ぇ、そ、そうだねっ」
遥「デート……記念で」
遥（お姉ちゃん、デートだって思ってくれてるのかな）
遥（思ってくれてるから、デート記念って……）
ﾄﾞｷﾄﾞｷ
ﾄﾞｷﾄﾞｷ....
遥（今のお姉ちゃんの笑顔、すっごく可愛かった……）
遥（可愛かったし……綺麗だった……）
彼方「遥ちゃん、いこっ」
ｸﾞｲｯ
遥「う、うんっ」
遥（……好きって言いたい。本気で） 遥「早速つけちゃおっと……」
彼方「つけてあげる～」
遥「……ん……」
遥（さっきの仮留めとは違って、ちゃんとつけてくれてるお姉ちゃんの手）
遥（大きくてでも小さい、お姉ちゃんの優しい手……）
遥（どきどきしちゃう……）
彼方「できたよ～」
遥「ありがと……お姉ちゃんのもつけてあげる」
彼方「ん……お願いしま～す」
遥「………」
遥（お姉ちゃん、目を瞑って……なんだろう……良いのかな……）
遥（……目を瞑って、向かい合うって……）
ｽｯ.....
ｻｯ....
遥「つけ……」
遥「………」
遥「……っ」
……ﾁｭｯ
彼方「んっ……」 彼方「は、遥ちゃん……？」
遥「ご、ごめんね……つい、そのっ……」
遥「だって……」
遥「お姉ちゃんが、目を瞑ってたから……」
遥（意味わからない）
ﾄﾞｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ....
遥（言い訳にすらなってない）
ﾄｸﾝｯ....
ﾄｸﾝｯ
遥（でも、だって……）
ﾄｸﾝｯ....
ﾄﾞｸﾝｯ
遥「したくなっちゃったからっ……」ﾌｲｯ
遥「ごめんなさい……」 彼方「そっか……」
彼方「別に怒ってないよ～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「でも、外では……ね～？」
遥「うん……」
遥（車の音、バイクの音、自転車の音、歩行者の音）
遥（色んな音が聞こえる外の世界の一部分、二人で向かい合ってる私とお姉ちゃんは）
遥（きっとそんな玉虫色の景色からも、浮いて見えた）
ｷﾞｭｯ....
ｸﾞｲｯ
彼方「帰ろっか」
遥「うん……」
遥（もっと長く、デートをしてみたい）
遥（ちょっぴり豪華なレストランで夜景を見ながら食事して）
遥（それで……それで）
遥（お姉ちゃんに、抱かれたい）
遥（お姉ちゃんを、抱いてみたい）
遥「お夕飯も一緒に作っていい？」
彼方「いいよ～。なにつくろっか～」
遥「作れそうだから……カレーかな」
遥（……子供は、作れないよね） ――――――
―――
遥「お姉ちゃん、次これ切っちゃえばいいの？」
彼方「そうだよ～」
遥（家に帰って、着替えてから……お夕飯づくり）
遥（お姉ちゃんと並ぶのは朝と一緒）
遥（でも、キッチンに出てる食材も、着ている服も、心の中も全然違う）
遥（お姉ちゃん、キスしちゃったこと……全然気にしてないのかな）
彼方「遥ちゃんっ、ゆび」
遥「えっ？ ぁ……」
彼方「そのままやってたら切っちゃうよ」
遥「ごめんなさい」
彼方「……疲れちゃった？」
遥「ううん、そんなことないよ」
遥「ただ……私、お姉ちゃんにキスしちゃったから……」
彼方「……そうだったねぇ」
彼方「急だったからびっくりしちゃったよ～」 遥「……別に、されてもなんとも思わなかった？」
遥「嫌だったり、しなかった？」
彼方「え～……」
彼方「そうだねぇ……」
彼方「ビックリしちゃって、あんまりよく分からなかったんだよね～」
彼方「でも、嫌ではなかったよ～」
彼方「遥ちゃんがデートをして、デートの終盤でそういうことしたくなるような気持ちに出来たってことだと思うし」
彼方「それはつまり、満足させてあげられたってことだから」
彼方「嫌じゃなかったよ」
遥（……でも、それって私がお姉ちゃんにそういう気持ちになったってことだよ？）
遥（……良いの？ そういう気持ちを持ってても……）
.....ｶﾀﾝｯ
遥「そっか……よかった」
遥「嫌われちゃったら、どうしようかと思った……」 彼方「彼方ちゃんが遥ちゃんを～？」
彼方「ないよ～」
彼方「彼方ちゃんは遥ちゃんのこと大好きだからねぇ～」
彼方「ちゅってされたくらいで嫌いになったりなんてしないよ～」
遥「そっか」
遥「私も、お姉ちゃんを嫌いになったりしないよ」
遥（好き）
遥（お姉ちゃんが好きだよ……凄く、すっごく）
遥（キスしたいし、えっちしたい）
遥（子供産みたいし、産んで欲しいくらいに）
遥（それくらいに好きだって知ったら……お姉ちゃん、どうするんだろう）
遥（それでも好きでいてくれるのかな） 彼方「遥ちゃん、包丁の扱いも慣れてきたね～」
遥「そうかな」
彼方「うんうん。最初と同じくらい丁寧で、でも早くなってきてる」
彼方「ただ、ぼうっとしてると危ないよ～」
遥「うんっ、気を付ける」
遥「………」
遥（本気で、お姉ちゃんとお店やるの考えようかな……）
遥（でも、えっちなことしたいとか、そういう関係になりたいとか）
遥（そういう気持ちを知られて……断られたら、何もかも無くなっちゃう）
ｶﾀﾝｯ
ｶﾁｬｶﾁｬ....
遥「あとは、煮込んで……待つ？」
彼方「うん」
彼方「じゃぁ遥ちゃん先にお風呂入ってきちゃっていいよ～」
彼方「彼方ちゃん、見ておくから」
遥「……はーい」
遥（一緒に入りたかったな……） ｻﾞｧｧｧｧｧ.....
ｷｭﾙｷｭﾙ....
ﾎﾟﾀﾎﾟﾀｯ
ﾁｬﾎﾟﾝｯ....
遥「ん……っ……」
遥（いつもの練習に比べたら、全然疲れてないけど……）
遥（いつもの倍以上、頑張ってたような気がする……心臓が）
ｻﾜｻﾜ
ﾄｸﾝ.....
ﾄｸﾝｯ
遥（ずっとお姉ちゃんと手を握ってた）
遥（お姉ちゃんと食べ合いっこして……）
遥（お姉ちゃんとキスをして……）
.....ﾊﾞｼｬﾝｯ!
遥（しちゃったんだ。私）
遥（おふざけって建前もなく、あんな人前で……）
遥「ぅぶぶぶぶぶぶぶぶ……」
ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ....
遥「っは……はっ……はぁ……」
遥（お姉ちゃんが可愛いから、いけないんだよ……） 遥（将来の、夢）
遥（お姉ちゃんとお店を開いてみたい……一緒に暮らし続けたい）
遥（そのためなら、凄く頑張って生きていける）
遥（でも……）
遥（この気持ちを隠したままなのは、辛い）
遥（好きって言いたい）
遥（愛してるって言いたい）
遥（結婚したいほど大好きだって……白状したい）
遥（好き）
遥（好き……）
ﾊﾞﾁｬﾝｯ.....
遥（好きっ）
遥（好き……っ）
遥（好き、好き……）
ｻﾞﾊﾟﾝｯ....
遥（もう、我慢できないよ……） ――――――
―――
[夜]
ｸﾞｲｯ
遥「……お姉ちゃん、今日はもう一緒に寝ようよ」
彼方「ん～……」
彼方「………」
彼方「いいよ～」
ｶﾁｯ....
ﾎﾞﾌｯ....
ﾓﾌｯ....
彼方「……ふぅ」
彼方「夜、遥ちゃんが起きてるときに一緒に布団に入るのは久しぶりかな～」
遥「うん……そうかな」
彼方「……今日のデート、楽しかったよ～」
彼方「遥ちゃんと一緒に映画を見て、お弁当食べて、アイスを食べて……お買い物して……」
彼方「ヘアピン、嬉しかった」
遥「お姉ちゃんだって、ヘアゴム選んでくれたから……」
遥「大事にする……」 彼方「彼方ちゃんも大切にするよ～」
彼方「後生大事に、だいじ～に、身に着ける～」
遥「私も……」
遥「………」
ﾄｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ....
遥「……っ」
遥「ぁ……」
ﾄｸﾝ....
ﾄﾞｸﾝｯ....
ﾄｸﾝｯ....
遥（お姉ちゃん……好き……）
遥（好き）
遥「っ……」
遥（ライブでMCやるよりも……ずっと怖いし、緊張する）
遥（そうだよね……だって、ライブは失敗しても次がある）
遥（でも、これで失敗したらお姉ちゃんとの関係が気まずくなっちゃうんだから……）
彼方「……あぁ、そうだ」
彼方「遥ちゃん、こっち向いて」
遥「なに……？」 ﾓｿﾞﾓｿﾞ
ｸﾙｯ....
彼方「……手、握ろっか」
遥「ぇ……あ、うん……」
.....ｷﾞｭｯ
彼方「今日はほとんど一日、握ってたよねぇ」
彼方「ずっと遥ちゃんの体温が感じられて、なんだか安心できたよ～」
彼方「……ドキドキしてるのかな？」
遥「えっ？」
彼方「手……ちょっと汗ばんでるし、デートしてるときよりもあったかいから」
遥「えっ……ぁ、えぇっと……布団の中だからじゃないかな」
彼方「そっか」
ｸﾞｲｯ
遥「ぇ――」
……ﾁｭｯ
遥「んっ……」
遥「っふ……はっ……ぇっ？」
彼方「驚いたでしょ？ ビックリしたでしょ？」
彼方「彼方ちゃんも、すっごく驚かされたから……」
彼方「 し・か・え・し 」ﾆｺｯ よしよし……キッスのハードルが下がってきたぞ……！ ﾄﾞｸﾝ....
ﾄﾞｸﾝｯ
遥「っ……」
ﾄｸﾝｯ
ﾄﾞｸﾝｯ
ﾄﾞｸﾝｯ....
遥（良い匂いがした）
遥（柔らかかった）
遥（理性を避けて本能に直接叩き込まれた感じがした）
遥（心臓が痛い……）
遥「……お姉ちゃん……」
彼方「ん～？」
ｸﾞｲｯ
ﾊﾞｻｯ....
ｸﾞﾙｯ....
彼方「ゎっ……と……」
遥「……好きになっちゃっていいの？」
遥「デートの後キスしちゃうような……そんな好きになってもいいの？」
遥「私……本気になってもいいの？」 遥「私……お姉ちゃんが好き」
遥「デートだって遊びじゃなく本気でしたい」
遥「今日なんて一緒に歩くのも、手を繋ぐのも、嬉しそうに笑ってるお姉ちゃんにも……ドキドキしてた」
遥「ただの姉妹じゃなくて、カップルって思われたら嬉しいなって思ってた」
遥「お姉ちゃんが、本気のデートだって思ってくれてたら嬉しいなって、ずっと思ってた」
遥「お姉ちゃんが嬉しそうで、楽しそうで」
遥「ちょっぴりはしゃいでるのが可愛くて、ドキドキして」
遥「目を瞑ってるのを見てたらどうしようもなくなって……キスをしちゃった……」
遥「好き」
遥「お姉ちゃんが好きっ」
遥「お姉ちゃんとずっとに一緒に居たい」
遥「ほかの誰かとなんて……結婚して欲しくない……っ」
遥「妹だから変だって分かってる」
遥「女の子だからおかしいって分かってる」
遥「でも、私もお姉ちゃんもお父さんとお母さんの子供だからっ」
遥「好きになった同士から生まれた二人だから……」
遥「お姉ちゃんを好きになるのは……遺伝子的に当然なんだよ……きっと」
遥「だからごめんなさい……」
遥「好き……大好き……愛してる……」
遥「結婚できるなら、結婚したい……」
遥「子供産めるなら産みたいし、産ませられるなら産ませたい」
遥「それくらい……世界中の誰よりもお姉ちゃんのことが好きだよ……」 彼方「遥ちゃん……」
遥「ベッドを一つにしたのだって、お姉ちゃんと少しでも近づきたいからなんだよ？」
遥「……えへへ」
遥「嫌なら、嫌って言っていいよ」
遥「気持ち悪かったら、そう言ってくれていいよ」
遥「誰かほかに好きな人がいるなら、そう言ってくれていいよ」
遥（もしかしたら、心中しようとしちゃうかもしれないけど）
遥「諦めるの、頑張るから……」
彼方「……正直、ちょっとびっくりだよ」
彼方「そこまで、つよ～く、ふか～く好きになってくれてるなんて思ってなかったからね～……」
彼方「でも、そっかぁ……」
彼方「そこまで……」
彼方「誰にも、言えないね～……」
遥「……うん」
遥「でも、言わずにはいられなかった」
遥「だって、そうしなきゃ……お姉ちゃんと一緒にいても、辛いだけだから」 彼方「そっか……」
彼方「ベッドなんて、別に一段にしなくちゃいけないって程じゃなかったよ」
遥「え？」
彼方「二段のままでも全然よかった」
彼方「多少使い古してたけど……使えないほどじゃなかった」
彼方「でも、一段にした」
彼方「遥ちゃんがしたいって、言ってくれたから」
彼方「なら良いよ～って……便乗した」
遥「お姉ちゃん……」
彼方「ねぇ遥ちゃん」
遥「なに……？」
彼方「さすがに……遊びでも唇へのキスはしないって、思わない？」 彼方「彼方ちゃんも……」
彼方「私も遥ちゃんが大好きだよ」
彼方「ずっと、ずっとずっと……見てきて守ってきて」
彼方「誰かに渡すなんて嫌だって思ってて……」
彼方「……頑張らないといけないよ」
彼方「これから、たくさん……勉強だけじゃなくて、いろんなこと」
彼方「頑張れる？ 頑張ってくれる？」
遥「……お姉ちゃんと一緒にいるためなら、頑張るよ」
彼方「今なら、後戻りもできるよ？」
遥「戻った先の分かれ道でお姉ちゃんがいなくなっちゃうなら……私はこのままずっと一緒に生きたい」
遥「それにね？」
遥「お父さんがお母さんを好きになったように」
遥「お母さんがお父さんを好きになったように」
遥「私の中のお父さんがお姉ちゃんの中のお母さんを」
遥「私の中のお母さんがお姉ちゃんの中のお父さんを」
遥「大好きになって、愛し合いたいってなっていくのは仕方がないことだって思う」
遥「女の子同士だって」
遥「半分男、半分女で作られた体なんだから」
遥「半分男、半分女で作られているお姉ちゃんにそれぞれが恋をしてしまうのは、もうどうにもならないことだって思う」
遥「だからね、お姉ちゃん……結婚しよ？」
遥「誰にも言えないし、式も挙げられないけど……一番幸せになれる二人だけの秘密の結婚をしようよ」 彼方「あははっ……遥ちゃんは凄いなぁ……」
彼方「彼方ちゃんなんかよりもずっと……凄い」
彼方「……遥ちゃんがそれだけ思ってくれてるなら、心配なのは彼方ちゃんの方だ」
彼方「だから遥ちゃん」
遥「なあに？」
彼方「もっとも～っと……遥ちゃんの好きを彼方ちゃんに頂戴」
彼方「彼方ちゃんが、遥ちゃんの子供を妊娠しちゃうくらい……大好きな気持ちを教えて？」
遥「……いいよ」
遥（私とお姉ちゃんでは、まだ子供は作れない）
遥（でも、子供を産んで欲しいって気持ちを、お姉ちゃんの体に染み込ませることは出来る）
....ﾁｭｯ
彼方「ん……っ……遥ちゃん、大好きだよ」
ﾁｭｯ.....
遥「っは……ふ……私も、大好き」
遥（お姉ちゃんと重なる）
遥（お姉ちゃんと繋がる）
遥（手と、体温と……心と体の全部が、お姉ちゃんと深く繋がっていく）
遥（お姉ちゃん……大好きっ） さっきは我儘言ってすまなかった。
こんな素晴らしい作品に巡り会えてよかった。そして、ありがとう。 「ひとまず」ってことは続きがあるでしょ
こんなんじゃまだ中途半端だぞ 乙乙
筆舌には尽くしがたいくらい本当に良かったから、気が向いたら続いてくれてもええんやで
ずっと幸せでいてほしいと思った ىչcY,,◜◡◝,,)չζ(*＾ᴗ＾*)ζ ……
ىչcYꈍ◡ꈍ)չ💕ζ(ꈍᴗꈍ )ζ 𝓗𝓐𝓟𝓟𝓨♡𝓔𝓝𝓓
やすらかにすやぴ… 言葉に表せないくらい尊い！！ここまで愛してくれる人に会いたいしこんなに好きになれる人に会いたい… ひとまず…？ひとまずということはひとまずってことでいいんだな？
ひとまず乙 ひとまず乙です
はぁ～、もう素晴らしいと言う感想しかない
「大好き」が抑えられない溢れ出るって描写がすごく良い
素晴らしい作品をありがとうございます ――――――
―――
遥「……お姉ちゃん、まだ起きてる？」
彼方「起きてるよ～……後片付け、しないとねぇ……」
遥（初夜と言っていいのかどうかわからないけど）
遥（お姉ちゃんとえっちをしてから、息が整うまでは十数分……くらい？）
遥「お姉ちゃん、時計は？」
彼方「床に転がってる～……電池と一緒に」
遥「えぇ……スマホで良いかな……」
遥（もう日付変わってる……）
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝ....
遥（シーツもマットレスカバーも）
遥（私とお姉ちゃんの汗とえっちな水でびちゃびちゃで……凄く淫らな匂いがする）
彼方「……洗わないとねぇ」
遥「今から？」
彼方「今からは……無理～……」
遥「だよね……」
遥「後片付け、面倒くさいね……」
彼方「やらないは無しだよ～？」
遥「……それって、後片付け？ それともえっち？」 彼方「………」
彼方「……片付けっ」ﾎﾞﾌｯ
遥「わぶっ……」
遥「だよねっ」
遥（一瞬考えて、顔真っ赤なお姉ちゃんかわいい）
彼方「ベタベタな体のまま下着とかつけるのはちょっと抵抗あるなぁ……」
遥「ん～……」
遥「お母さん居ないし、いっそこのままリビング行っちゃってもいいんじゃないかな」
彼方「えぇ……」
遥「大丈夫、あったかいから」
ｸﾞｲｯ
彼方「そ、そういう問題じゃないよ～っ！」
遥（焦るお姉ちゃんも、やっぱり好き）
ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ....
ﾍﾟﾀｯ
彼方「待って、せめて下着くらい……」
遥「ベタベタなままでいいの？」
彼方「うぅ……」
遥「私とお姉ちゃんしかいないから大丈夫だよ」
遥「タオルとか袋を用意して、さっと戻って後片付けして……お風呂入っちゃおう？」
彼方「っ～……も、もぉーっ……」
彼方「次からはちゃんと準備してからしかやらないからねぇ？」
遥「うん」
彼方「あと、あんまりこっち見ないでね？ 電気もつけちゃダメっ」
遥「うん、分かってる」 遥「お姉ちゃん、シーツってスーパーの袋で入りそう？」
彼方「ん～……とりあえずゴミ袋で良いと思うよ～」
彼方「シーツとカバー両方とも入れられると思う……」
遥「あ、お風呂沸かしちゃっていい？」
彼方「うん、お願いね～」
彼方「後片付けはしておくけど、ちゃんと下着とか取りに来てね？」
彼方「お風呂上りまで裸は駄目だよ～？」
遥「分かってるよ、大丈夫」
遥「さすがに理由もなくこんな状態でいないよっ」
彼方「理由があっても避けようねぇ？」
遥「は～い」
遥（……いつものリビング、全裸の私達）
遥（うん、これはお母さんに見つかったら最悪だよね……） おおぅ……なんだかもう一波乱ありそうな導入だぁ…… ――――――
―――
ｻﾞｧｧｧｧｧ.....
遥（後片付けも終わって……お風呂）
遥（いつもならお姉ちゃんすら寝てる時間だ……）
遥「ふぅ……疲れちゃったね」
彼方「彼方ちゃんもへとへとだよ～……」
ｻﾜｻﾜ....
彼方「んっ……っ……」
遥「続き、する？」
彼方「明日が大変だからダ～メ」
遥「そうだよね……あははっ、冗談だよ」
遥「……」
遥「お姉ちゃん……子供、産みたくなった？」 彼方「ん～……」
彼方「あれが産みたいって……感覚なのかな」
ｻﾜｻﾜ....
彼方「なんだか、凄く疼いて仕方がなかったんだよねぇ……」
彼方「遥ちゃんの手が気持ち良くて……ふわふわする感じがして」
彼方「……子供なのかそうじゃないのか……欲しいって、感じてた」
遥「そっか……私も、どれがそういう感覚なのかは知らないの」
遥（キュンっとくる……って言うのかな？）
遥（じわじわ熱が籠って……まるでそこに心臓があるみたいな……）
遥「ねぇ、女の子同士のえっちについて……もうちょっとちゃんと調べてみよう？」
彼方「今以上にされたら、彼方ちゃん壊れちゃうかなぁ～……」
遥「もっと気持ち良くて幸せになれる方法とか……今日は出来なかった指のやつとか……」
遥「いつかしてみたい」
彼方「遥ちゃん貪欲だねぇ」 遥「それだけ……好きだからだよ……」
遥「……お姉ちゃん」
彼方「遥ちゃ……んっ……」
.....ﾁｭｯ
ｻﾞｧｧｧ....
ｶﾞﾀﾝｯ
ｻﾞｧｧｧ...
彼方「んっ……」
ﾁｭｯ....
ｸﾞｯ....
ｻﾞｧｧｧ....
ｷｭﾙｷｭﾙ.....
彼方「遥ちゃんっ……だめっ……もうダメだよっ……」
遥「キスだけ、キスだけだから……」
彼方「んっ……んんぅ……」
ﾁｭｯ....
ﾂﾌﾟｯ....
ｷﾞｭｯ.....
ﾁｭｯ
遥（お姉ちゃん……好き……） 遥（たぶん……十分くらい、キスをしてたと思う）
遥（これ以上は理性が危ないからと中断して、途中だった汗を流して……二人で湯船に浸かった）
ﾁｬﾌﾟﾝｯ
ﾋﾟﾁｬﾝ.....
ﾎﾟﾀﾀｯ....
彼方「……ダメって言ったのに」
遥「だ、だって……お姉ちゃんがもっとって言うから……」ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ....
彼方「言ったけど……言ったけどねぇ……」
彼方「はぁ……」
彼方「もぅ……これから、凄く大変だよ？ お母さんには絶対、知られちゃダメ」
遥「うん……」
彼方「間違っても、人前であんな風にしてきたらダメだよ～？」
遥「うん……」
彼方「……本当にいいの？ 後悔したりしない？」
遥「もちろん、後悔しない」
彼方「ん……」
彼方「そっかぁ……」 彼方「………」
彼方「……そっかぁ」
遥「お姉ちゃん？」
彼方「んーん……」
彼方「私も……遥ちゃんと一緒なら、後悔しないよ～」
遥「ほんと？」
彼方「うん……絶対に」
彼方「だって、好きだから、愛してるから……」
彼方「女の子同士で姉妹。それはとても間違っているかもしれないけど……」
彼方「……それでも好きなものは好きだからねぇ……」
彼方「えへへ……」 彼方「これからも……ううん、改めて宜しく～……遥ちゃん」
遥「私こそ、末永く宜しくお願いします、お姉ちゃん」
遥（先のことはまだまだ分からないけど……でも）
遥（きっと、お姉ちゃんとならどんな未来だって幸せになっていけると思う）
遥「お姉ちゃん……大好き」
彼方「遥ちゃん、大好きだよ～」
……ｷﾞｭｯ
遥「………」
彼方「………」
遥「……んっ」
ﾁｭｯ....
遥（好き……大好き……）
遥（ずっと……ずっと……好き……）
ｷﾞｭｯ....
――ﾁｭｯ
遥（なんだか、幸せの味がする……）
遥（なんて……ね） 続きは後日
初夜は設定上用意はしましたが、地の文のため割愛しています
問題が無ければpixivにアカウントを作るか、虹ヶ咲SS@wikiの当スレ詳細にでもpdfで置いておきます。 >>340
作品だけじゃなくて対応も素晴らしすぎて草ァ！！ 続きを書いてくれてありがとう
それしか言う言葉が見つからない @wikiって誰でも編集出来るわけじゃないだろうし渋になりそう
どうせなら全文地の文で再掲載でも良いんじゃね？ 素晴らしい作品ありがとうございます！
また機会があればよろしくお願いします！ あますぎて脳みそがとろける
体もゲル状になって溶けそう やっぱ姉妹百合には等身大のキャラクターやね
これまで専門外やと思ってたけどはるかな最高や！ やっぱ百合は性別の壁あってこその尊さだと思う
産みたいけど産めないんだよ 掲載しましたが、pixivURL等はNGワードのため、
R-18検索可の状態かつ当スレタイでpixiv上検索で出てくるようになっています。
↓
遥「お姉ちゃんを好きになるのは遺伝子的に当然だと思うよ」
あくまで設定のため大した内容ではないので、見なくても当スレに影響はない予定です。 ありがとうございます！！！
思ったより長かったので後でゆっくり読ませていただきます 大した内容じゃない（約20,000字）は草
あとで見るわ 20000はたいした内容なのですがそれは
ありがとうございます、読ませていただきます！ 今から読ませてもらうぜ
ここまでしてくれて本当にありがとう ――――――
―――
[数日後]
遥「お姉ちゃん、おはようっ」
彼方「あぁ、遥ちゃんおはよ～」
彼方「ずいぶん早起きできるようになったねぇ」
遥「えへへ～」
遥「その方が、お姉ちゃんと一緒にいられるからね」
……ｷﾞｭｯ
彼方「……も～……ダメだよ～？」
ﾊﾟｯ.....
遥「……お母さん、部屋にいるんだっけ」
彼方「夜勤で帰って来たばかりだから、起きてこないとは思うけどねぇ」
彼方「万が一もあるから」
遥「そっか」
遥（誰にも話すことのできない私とお姉ちゃんの秘密）
遥（女の子同士で姉妹での交際）
遥（それはもちろん、お母さんに知られるわけにはいかない） 遥「お姉ちゃん、今日はバイトだったっけ？」
彼方「そうだよ～」
彼方「学校終わって……部活、そのあとバイトかな～」
遥「………」
遥「迎えに行っていい？」
彼方「え？」
遥「買い物……ついでにするから」
彼方「ん～……」
彼方「……22時過ぎちゃうよ」
遥「お願い」
彼方「………」
彼方「じゃぁ……お肉、安くなってたら買おっか」
遥「……ありがと」
.....ｻﾜｯ
ｷﾞｭｯ
遥「！」
彼方「少しくらいはねぇ……」 遥「……お姉ちゃん」
遥（こっそり、お母さんが起きてきても数秒間は死角になる位置で、お姉ちゃんは手を握ってくる）
遥（何の気もないような顔してるのに）
遥（ちょっぴり赤い……）
遥「お母さんに見つかったら大変なのに」
.....ｽｯ
遥（ちょっとだけ、体を寄せる）
彼方「ちょっとだけだよ～？」
遥「……うん」
ｶｻｶｻ....
ｺﾝｯ
ｶﾁｬﾝｯ
ﾁｯﾁｯﾁｯ....ﾎﾞｯ
遥「卵焼き、作っていい？」
彼方「良いけど、手は離しちゃうよ～？」
遥「うん……危ないもんね」
遥（残念だけど……手伝い優先）
遥（ようやく上手くいくようになってきた卵焼き……今日はちょっぴり、焦げ色が強かった） 遥「……ねぇ、また今度お出かけしようよ」
彼方「そうだねぇ」
彼方「日曜日とか～？」
遥「あれ？ 土曜日はバイト？」
彼方「ん～ん。同好会の練習～」
彼方「最近ね～みんなやる気満々なんだよねぇ～」
彼方「遥ちゃんのところもでしょ～？」
遥「そうだけど……午後も？」
彼方「いつもよりは長くなると思うから、難しいかな～」
遥「そっか……じゃぁ、日曜日は家でゆっくりしようよ」
ｽｯ....
遥「ほら、これ」
遥「おうちデート」
彼方「おぉ～……お昼寝がデートだって～」
遥「うんっ、一緒にしようよ」
彼方「いいねぇ」
遥「あとは次の、予定決めたりとか」
彼方「うんうん。色々やろ～」 遥（姉妹として、ありふれたこと）
遥（はたから見れば、仲がとっても良いに留まる程度）
遥（でも時々は、それだと我慢できなくなったりもする……）
遥「ねぇ、夏休みの予定って決まってたりする？」
遥「来月の話だけど……」
彼方「バイトはいつも通りかな～」
彼方「学校がない分、少し長い時間の日もあるけどねぇ」
遥「合宿とかはしないの？」
彼方「合宿かぁ……」
遥（なくて良いけど……なんて）
遥（言ったら、ダメだよね）
遥「東雲は合宿ないと思うけど……」
遥「部活って言えば、合宿みたいなところあるから」
彼方「そうだねぇ。確認しておこうかな～」
遥「私も一応、確認しておくね」
遥（デート……したいし） そういや渋のは期間的に2日で書いたのか…
前戯に全力を出しすぎでは？ 続きありがとうございます！
二人の会話のテンポとかセリフともに素晴らしい。
地の文も最高です。 一気読みして今追いついた、告白のシーンめっちゃ泣けたわ
続き楽しみにしてる！ ――――――
―――
「夏休みに？ 合宿？」
遥「はい、あるのかなって」
「ん～……去年とかはなかったからないんじゃないかな」
遥「そうですか……」
遥（良かった……）
遥（これで心置きなくお姉ちゃんとデートできる）
...ﾉ......ﾝ
ｺ.....ｻ....
遥（お姉ちゃんと……旅行とか……）
ｺﾉ.....
.....ｻﾝ
「近江さん！」
遥「は、はいっ！」
「近江さんにちょっとお話があるの。来てもらっていい？」
遥「私に……ですか？」 ｽﾀｽﾀ
ｽﾀｽﾀ....
「今度開催予定のDiverFesって知ってる？」
遥「はい、お台場で行わる音楽の……」
「そう。そのスクールアイドル枠の一つに東雲学院が呼ばれたの」
遥「えっ……」
「この前のライブが評価されたのかもしれないわよ？」
「良かったわね、近江さん」
遥「あ、ありがとうございますっ」
遥（だったらお姉ちゃんも……）
遥「あの、ほかの参加校は？」
「そう、その話で呼んだのよ」
「枠は３つ……1つがうち、東雲学院」
「もう1つが藤黄学園……」
「もう一校は推薦があればお願いしたいという話なの」
遥「推薦……」
ｽﾀｽﾀ....
ｶﾞﾁｬｯ
「それで、その話で藤黄の綾小路姫乃さんがお話がしたいって来てるのよ」
遥「……わかりました」 姫乃「すみません、近江さん。お忙しい中」
遥「いえ、綾小路さんこそ……わざわざありがとうございます」
姫乃「姫乃で構いませんよ」
遥「でしたら、私も……遥で」
姫乃「ふふっ、宜しくお願いします。遥さん」
姫乃「早速ですが、今回開催されるDiverFesのスクールアイドル枠として」
姫乃「東雲学院、藤黄学園そして、もう一校未定の三校が参加予定となっています」
姫乃「運営サイドより、二校からの推薦があれば頂きたいとの話がありましたので」
姫乃「本日、伺わせて頂きました」
遥「はい。その件は聞いています」
姫乃「なるほど……でしたら単刀直入に」
遥「に――」
姫乃「この話、虹ヶ咲学園のスクールアイドル同好会を推薦したいと、私は考えています」 遥（虹ヶ咲学園……お姉ちゃん……）
遥（でも……）
遥「曲は全部で３曲ですよね？」
遥「藤黄、東雲はグループ曲で2曲ですけど、虹ヶ咲学園は動画サイトがそうであるように」
遥「ソロアイドルで、グループではないですよ？」
姫乃「ええ、存じています」
姫乃「しかし、グループ曲では無いにしても」
姫乃「このDiverFesで披露するというのはかなりのメリットがあると思います」
姫乃「もちろん……アウェイですし、そこでソロというのは難しいかもしれません」
姫乃「ですが、話だけでも持ち掛けてみるのはどうでしょう？」
遥「………」
遥（ソロだから誰か1人だけ……DiverFesにおいてお姉ちゃんのあの曲は多分、雰囲気に合わない）
遥（……でも、虹ヶ咲学園としての知名度は上がるはず）
遥「分かりました」
遥「……これから虹ヶ咲学園にお邪魔できるか聞いてみます」
遥「姫乃さんは大丈夫ですか？」
姫乃「ええ、問題ありません」 ――――――
―――
[夜]
遥（そうして話を持って行くと、虹ヶ咲学園は参加する話になった）
遥（一応、１曲しか歌うことが出来ないという話はしたけど……）
遥（……誰になるのかな）
彼方「遥ちゃん、もうちょっと待っててねぇ」
遥「うんっ」
遥（スーパーで働いてるお姉ちゃんも……かわいい）
遥（かわいいというか、魅力的というか）
遥（上手く言葉にならないけど、良い……）
遥（でも、だからこそほかの人に目を付けられそうで……）
ﾁﾗｯ
遥（男の人と女の人）
遥（やっぱり、それが普通なんだよね……） 逆に考えるんだ
アニメの浦でこうなっていると考えるんだ 遥（……コンドーム）
ｶﾀﾝｯ.....
遥（1個くらい買ってみようかな……）
遥（男の子のアレみたいな形状の道具使うなら、洗う時楽になりそうだし）
遥（でもあれを使うのはちょっと違う気がする）
遥「う～ん……」
彼方「そんなの買わないでね～？」
遥「へっ……ぁっ、お姉ちゃんっ！」
彼方「バイト終わり～」
彼方「今日は買えそうにないから、帰るよ～」
遥「う、うんっ」 遥「そう言えば、あれからどうなったの？」
遥「誰が出るか決まった？」
彼方「ん～……それがねぇ……」
彼方「みんな出たいって気持ちはあるけど」
彼方「やっぱり……誰か一人っていうのもあって……」
遥（やっぱり……）
遥「お姉ちゃんも出たい？」
彼方「出られるなら出たいって思うかなぁ」
彼方「でも……自分が出てもいいのかな……なんて」
遥「出てもいいと思うよ」
遥（みんなが納得するような方法じゃないといけないけど……）
遥「私はお姉ちゃんの歌が聞きたいな」 彼方「えへへ～そっかぁ」
遥「そうだよ～」
彼方「遥ちゃんも、出るんだよね？」
彼方「しかも……センターで」
遥「うんっ」
遥（お姉ちゃんも東雲だったら）
遥（きっと……一緒に出られてたと思うよ）
遥（なんて）
遥「でも、私はグループだから」
遥「そうじゃなかったら出られなかったかもしれない」
ﾁﾗｯ
....ｻｯ
ｷﾞｭｯ
彼方「遥ちゃん？」
遥「……お姉ちゃんの歌が聞きたい」
遥「でも、出るための無茶はしないでね？」
彼方「……うん。大丈夫だよ～」 彼方「……手、つないでて大丈夫？」
遥「あんまり人もいないし……」
遥「手を繋いで帰るくらいなら、普通じゃないかな？」
遥（家の中でまで手を握ってるのは、何か違うけど）
遥（外なら、ただの仲がいい姉妹だから）
遥「東雲は合宿の予定ないって話だったよ」
彼方「こっちは、夏休み期間中はやるかもしれないって」
遥「……え？」
彼方「普段できていない練習とか、みっちりやるために合宿考えてるみたいなんだよねぇ」
彼方「でも、夏休み中ずっととかではないから大丈夫だよ～」
遥「それは分かってるけど……バイトもあるんだよね？」
彼方「うん」
遥（バイト……合宿用に調整するだろうし……）
遥（旅行はちょっと難しくなっちゃうかな） 遥「合宿ってどこでやるの？」
遥「地方？」
彼方「ん～……」
彼方「地方に行くのはねぇ……」
遥（普段より負荷をかけた運動をするためとか……）
遥（普段とは違う環境で練習するためとか……）
遥（でもそうなると……）
遥「ねぇ、虹ヶ咲学園って泊まり込みの設備とかってあったりするのかな」
彼方「どうだろうねぇ……」
彼方「あ～……でも」
彼方「ほかの部の子がそういうのしたって話は聞いたかも～」
遥「……ねぇ、もしも学園で合宿するなら教えて」
彼方「いいよ～」
彼方「明日辺り、聞いてみるねぇ」 ――――――
―――
ｶﾞﾁｬｯ....
遥「お母さん、今日も夜勤なんだね」
彼方「みたいだねぇ」
彼方「さっ、夕飯を――」
遥「それなんだけど……私が作ってもいい？」
遥「部活の後にね？ 帰ってきて……準備だけはしておいたんだ」
遥「簡単な炒め物と、酢の物と、お味噌汁。作ろうかなって思って」
彼方「遥ちゃ～んっ！」
ｷﾞｭｯ
遥「わっ……お、お姉ちゃんっ」
彼方「手、怪我してない？ 切っちゃったりしてない？」
遥「大丈夫だよ～」
.....ｽｯ
遥「猫の手、ちゃんとしてたからね」
彼方「……良かった～」 彼方「遥ちゃん、ありがと～」
遥「まだ簡単な事しかできないけど」
遥「準備しておくことはできるから、お夕飯とか……今度から一緒にメニュー考えようよ」
遥「野菜切ったり、味付けして寝かせておくとか」
遥「私でもできることがあるから」
彼方「うん……そうだねぇ」
彼方「今度フレンチトースト作ってみよっか～」
遥「フレンチトースト！？」
彼方「ちゃんと寝かせておくとねぇ……美味しいんだよぉ～？」
遥「作るっ、作ろうよ！」
彼方「じゃぁ、今度ね～」
遥「うんっ」
遥（お姉ちゃんの負担を少しでも軽くできるように）
遥（いつか開くお弁当屋さんで、美味しいお弁当が作れるように）
遥（頑張ろうっ） ｼﾞｭｰｯ
ｶﾁｬｶﾁｬ....
ｷｭﾙｷｭﾙ....
ｷｭﾎﾟﾝｯ....
ﾄｸﾄｸﾄｸ....
ｶﾀﾝｯ
遥「お姉ちゃん味見～」
彼方「あ～ん……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
彼方「美味し～っ」
遥「えへへ～でしょ？」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「ん……」
彼方「さすが遥ちゃんだよ～」
遥「まだ、計量スプーンとかは必須だけどね」
彼方「良いんだよ～」
彼方「ちゃんとするのが一番だからねぇ」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「えへへっ」 遥「ねぇ、今日お母さん居ないし一緒にお風呂入ろうよ」
遥「良いでしょ？」
彼方「明日もあるからえっちなことなしだよ～？」
遥「………」
遥「……うん」
彼方「なんで考えたのかなぁ？」
遥「洗いっこはえっちなことに含まれる？」
彼方「ん～……」
彼方「触り方次第で含まれるかなぁ」
彼方「普通にしてくれるなら良いけど……」
遥「じゃぁ大丈夫っ」
遥「一緒にお風呂入ろ？」
彼方「ほんとかな～？」
遥「ほんとだよ～？」
彼方「なら、いいよ～」
遥「やったぁっ」 彼方「遥ちゃんは、本当にかわいいなぁ」
彼方「はい、ぁ～ん」
ｽｯ...
遥「んっ……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
遥「ｺﾞｸﾝ……お姉ちゃんも～」
....ｽｯ
彼方「ぁむ……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
遥（普通にキスをする関係になってからは）
遥（お箸やスプーンでの間接キスなんて全く気にならなくなった）
遥（食べさせあいだって、普通）
遥（お母さんには悪いけど……お母さんが夜勤だからこそできること）
遥「お姉ちゃん、好き」
彼方「ん～？」
彼方「彼方ちゃんも～だぁいすきだよ～」
彼方「えへへ～」
遥（ほんと、好き……） ――――――
―――
遥「じゃーん！」
遥「見て見て～お寿司だよ～」
彼方「えっ？」
彼方「ます寿司……？」
遥「入浴剤だよ～」
遥「中は普通の丸いタイプらしいけどね」
遥「えっと……富山だったかな？ の名物なんだって」
遥「クリスさんから貰ったんだ～」
遥「使ってみようよ」
彼方「うん～、入れてみよ～」
ﾎﾞﾁｬﾝｯ....
ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ....
ｼﾞｬﾊﾞｼﾞｬﾊﾞ....
彼方「面白いのがあるんだねぇ」
彼方「お米のとぎ汁みたい……」 彼方「笹の香り……なのかな～？」
遥「パッケージにはそう書いてあるよ」
ｷｭｷｭ....
ｻﾞｧｧｧｧ....
遥「お姉ちゃんの髪、洗っていい？」
彼方「お願いしま～す……」
遥「シャワー当てるね」
彼方「ん～……」
ｻﾞｧｧｧｧｧ.....
ｻﾜｻﾜ
遥（お姉ちゃんの髪、量が多くて長い……）
ｷｭﾎﾟｯｷｭﾎﾟｯ....
ｽｯ....
ｻﾜｻﾜ....
遥「洗っていくよ～くすぐったかったら言ってね」
彼方「うんっ」 ｶﾞｼｶﾞｼ
ｻﾜｻﾜ....
ｸﾞｼｸﾞｼ....
遥「……お姉ちゃんの髪って気持ちいよね」
遥「もふもふしてて、ふわふわしてて」
遥「いっつも良い匂いがする」
遥「私の大好きな髪……」
ｻﾜｻﾜ....
彼方「遥ちゃんの髪も、もふもふのさらさらで好きだけどなぁ」
遥「えへへ～そう～？」
遥「あとで洗ってね～」
彼方「まっかせて～」
ｸﾞｼｸﾞｼ....
遥「……お姉ちゃん、ポニーテールはしたらダメだよ？」
彼方「急になに～？」
遥「具体的に言うと、うなじ見せるような髪型禁止」
彼方「どうして～？」
遥「えっちだから」 彼方「そんな根も葉もないこと言っちゃって～」
遥「え～……少なくとも私は情欲を刺激されちゃうよ？」
彼方「情欲～……？」
彼方「遥ちゃんってば、変な言い方するなぁ」
遥「じゃぁ……えっちな気分になる」
彼方「そっかぁ……ぇへへ～」
遥「……流すよ～」
ｷｭﾙｷｭﾙ....
ｻﾞｧｧｧｧｧ.....
彼方「ん～……」
ﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬ....
遥（えっちな気分になるって言われて嬉しそうな顔するのは……）
遥「はんそくっ！」
ﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬ....!!
彼方「うぶぶっ……はっ、はる……遥ちゃぁんっ！？」
遥（もぉ……好きっ！） ｷｭﾙｷｭﾙ....
彼方「もぉ～何するの～っ！」
ｸﾞｲｯ
ﾑﾆｭ....
遥「ぁっ……」
ｽﾞﾙ....
ﾄﾞﾁｬｯ......
彼方「ぁぅ……っ」
遥「……」
ﾑﾆﾑﾆ....
ﾑﾆｭ....
彼方「っぁっ……！」
彼方「だ～めっ！」ﾍﾟﾁﾝｯ
遥「お姉ちゃんが押し倒してきたのに？」
彼方「これは……事故だから」
ﾑﾆｭ.....
ｻﾜｻﾜ.....
彼方「だから……揉むの無しぃっ！」 うおおおおおおああああああああああああ！！！！！！！！(射精) 彼方「も～」
ｶﾞﾀﾝｯ
ｶﾀｯ....
彼方「えっちなことはだ～めっ」
遥「今のは事故だったし……」
彼方「故意に胸触ったよね～？」
遥「だって……柔らかかったんだもん」
彼方「遥ちゃんのえっち」
遥「えっ……」
遥「えっちなのはお姉ちゃんの身体だよっ！」
遥「胸もお尻も大きいのにウエスト60cmでしょ」
遥「それなのに身長は160㎝もなくて……東雲スクールアイドル部と比べても下から数えたほうが早いよっ」
遥「狡いよ、えっちだよっ！」
遥「もぅっ！」ﾌｲｯ
彼方「えっちなお姉ちゃんは嫌い～？」
遥「大好き」
遥（いつか医療技術的に可能になったら子供産んで欲しいくらい好きだよ）
遥「もちろん、体だけじゃないよ？」
彼方「えへへ～分かってるよ～」 遥「じゃぁ、お姉ちゃんの身体も洗わせて」
彼方「それはだめ～」
遥「え～……」
彼方「揉んだよねぇ？」
遥「揉んだけど……それとこれとは違うよっ」
遥「今日えっちなことしないとしても」
遥「お姉ちゃんにはいつも綺麗でいて貰いたいから……」
遥「だから、洗うときはちゃんと洗うよっ」
彼方「………」
彼方「じゃぁ、綺麗にして貰おうかなぁ」
彼方「遥ちゃんが抱きたいって、思うくらいに」
遥（……それだと、ちょっと汚れてるくらいが……）
遥「……ｺﾎﾝｯ」
遥「任せて！」
遥（結婚初夜を迎える想定で綺麗にするっ） ﾋﾟﾁｮﾝ....
ﾎﾟﾀｯ....
彼方「………ふぅ」
彼方「遥ちゃん」
遥「うん……」
彼方「もう体洗うの、ダメ」
遥「ごめんなさ～いっ！」
遥「次はしないからっ……もうしないからっ！」
遥「次も洗わせてっ！」
彼方「だ～め～」
遥「そんなぁ……」
遥（3回くらい気持ち良くさせちゃっただけなのに）
彼方「……えっちなことして良いときだけしか、だめだよ～」
遥「むぅ……」
遥「……えっ？」
遥「その時は良いの？」
彼方「その時だけならねぇ……」
彼方「……気持ち、良かったから」ﾎﾞｿｯ
遥「やった！」
ｻﾞﾊﾟｯ....
遥「その時は頑張るね！」
彼方「ほどほどにね～」 幸せだけど、この場所が薄氷の上に成り立ってることを節々で匂わせてくるのが怖いよぉ…… ――――――
―――
彼方「――って、果林ちゃんは言っててねぇ」
遥「ふぅん……」
遥（綾小路さんが好意だけじゃない……かぁ）
遥「……お姉ちゃん、布団入らないの？」
彼方「ん～ちょっとだけやっておかないといけないからね」
遥「そっか……」
彼方「同好会が試されるってなると、やっぱり」
彼方「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会っていう看板を背負わないといけないわけで」
彼方「それは当たり前のことだけど……それを一人でって言うのは、ちょっと怖くなっちゃうよね～」
遥「私達は、9人で東雲学院スクールアイドル部だから……」
ｸﾞﾙｯ....
ﾓﾌﾓﾌ
遥「ソロアイドルって大変だね」
遥「グループ曲の一つくらい、あってもいいんじゃないかな」
彼方「そうだねぇ」
彼方「でも、みんなでそれぞれこういうものだって志があるから」
彼方「そのすべてを叶えられる一曲なんていうのは、難しいし」
彼方「……妥協、出来たらいいんだろうけどね～」 遥「そっか……」
遥「………」
遥「でも、綾……姫乃さんって悪意はないと思うよ」
彼方「ん～？」
遥「あの時、果林さん名指ししてたけど……」
遥「あれってどちらかと言えば、挑発というよりも純粋な期待だったというか」
遥「姫乃さん、果林さんのこと雑誌で良く拝見してたって言ってたでしょ？」
彼方「言ってた～」
遥「たぶんだけど、姫乃さんは果林さんのファンなんじゃないかな……」
遥「だってそうじゃないと、よく読む雑誌の一ページに載ってたってそこまで覚えてないはずだし」
遥「だからライブが見て見たい。だから、名指しで挑発するようなこと言った。そんな気がする」
遥（……私だって、お姉ちゃんのライブが見たいし）
彼方「なるほど～……」
彼方「遥ちゃん流石だねぇ」 遥「でも、だとしても私はお姉ちゃんのライブが見て見たいな」
彼方「遥ちゃんに言われちゃうと、頑張るしかなくなるなぁ」
彼方「でも、ちょっと難しいかも」
遥「………」
遥「ねぇ、バランスボール買っていい？」
遥「家で、暇な時間にストレッチとかしようよ」
遥「私もやりたいし、お姉ちゃんももう少し体柔らかくしたりするべきだと思う」
遥「ダンスレッスンとかは無理だけど」
遥「ストレッチしたりして体を柔らかくしたり」
遥「体力をつけるくらいのことは出来るでしょ？」
遥「ね？ 買っていい？」
彼方「遥ちゃんが欲しいなら良いよ～」
遥「じゃぁ一個だけ買うね」
遥「二人で使おっ」
彼方「遥ちゃん、協力してねぇ～」
遥「うんっ、ちゃんと手伝うよ」 ――――――
―――
[翌日]
遥（果林さんや愛さん達が用事があり、練習参加メンバーが少ないということから）
遥（お姉ちゃん達の方は部活がお休みになったという連絡が入った放課後）
遥（腹痛を訴えて抜け出すかどうかを考えたけれど）
遥（センターという役どころなのもあって、抜け出すのは控えた）
ﾊｰｲｿｺﾏﾃﾞ！
遥「……はぁ……はぁっ……」
クリス「遥さん、お疲れ様です」
遥「クリスさんも、お疲れ様です……ふぅ……」
クリス「今日はいつもより頑張っているように見えましたが……」
クリス「やはり、DiverFesの件で？」
遥「それもありますけど……」
遥「私はまだまだ頑張れてない。そんな気がしちゃうんです」
遥（勉強、バイト、家のこと）
遥（全部を頑張り切っていて、そのうえでスクールアイドルをやってるお姉ちゃんに比べたら、まだまだ）
遥（お姉ちゃんがいてくれるからこそ、ここまでできているんだってことを見せてあげたい）
遥（だからこそ、この東雲学院でセンターを担えているんだってことを、見せてあげたい）
遥「……最高のライブを、見せたい人がいるんです」 クリス「遥さんにとっては、DiverFesも通過点に過ぎないと」
遥「えぇっ！？ そこまでは言ってないですっ」
遥「でも、そうでありたいと思ってます」
遥「前よりも今、今よりも次」
遥「前回は最高のライブをして見せた自分が、嫉妬するようなライブを次はしたいって思ってます」
遥（昨日よりも今日、今日よりも明日……その自分がお姉ちゃんを好きであるように）
クリス「なるほど……」
クリス「それは……あの、お姉さんのためですか？」
遥「……言ってしまえば」
クリス「ふふっ、本当に仲の良い姉妹で羨ましいです」
クリス「では、私達ももう少し頑張らないといけませんね」
遥「えっ、無理は……」
クリス「いいえ」
クリス「私たちだって、先を行く貴女に嫉妬する……スクールアイドルですよ？」
クリス「その志を語られて、弱音なんて吐いていられませんから」 ――――――
―――
遥（いつもより激しく、ちょっぴり長い練習を終えて校門を出る）
遥（夏真っ盛りと言ってもいい季節に入りかけの空はまだまだ明るくて）
遥（眠気を誘うような温かい日差しが降り注ぐ中に……いやいや……）
遥「お姉ちゃん何してるの！？」
彼方「あ～遥ちゃん」
遥（制服じゃ……ない。なら帰ってからここに？）
遥「どうして？ 待っててくれたの？」
彼方「ん～ちょっと同好会の呼び出しがあったから行ってきた帰りだよ～」
遥「そこは嘘でも待ってたって」
彼方「そのあと待ってた」
遥「もう遅いよ～」 ....ｷﾞｭｯ
遥「帰ろっ」
彼方「手、平気なの～？」
遥「手くらい平気だよ、お姉ちゃんぼーっとしていつの間にかいなくなりそうな雰囲気あるから」
彼方「え～……」
遥「お夕飯の材料とか買っていく？」
彼方「それと、バランスボール」
遥「あ……それで？」
彼方「どうせなら一緒に買いに行こうかな～って」
遥「お姉ちゃん……っ」ﾋﾟﾀｯ
ｳｽﾞｳｽﾞ
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
ｳｽﾞｳｽﾞ
遥（お姉ちゃんに抱き着きたいけどみんなの目がある）
遥（でも、お姉ちゃんなら別に抱き着いてもおかしくないんじゃ……）
遥（意識し過ぎかな） 遥「……ｺﾎﾝｯ」
遥「そっか、ありがと」
彼方「……遠慮しちゃって～」
遥「そ、外だから」
彼方「なるほどねぇ」
....ｸﾞｲｯ
彼方「じゃぁ早く買い物済ませちゃおうか」
遥「でも、今日の夜ってお母さん家にいるよね？」
彼方「うん」
彼方「だから一緒に買い物しに来たんだよ～？」
遥「……じゃぁ、早く済ませたらダメ」
遥「ゆっくり行こうよ」
彼方「しょうがないなぁ～」 ﾃｸﾃｸﾃｸ.....
遥「それじゃ、ライブは結局果林さんになったの？」
彼方「うん、他薦じゃどうしてもね～」
遥「そっかぁ……」
彼方「ごめんねぇ」
遥「ううん、仕方がないよ……外でも練習頑張ってるって話なら、推されるのも当然だと思う」
遥（だとしてもお姉ちゃんのライブが良かったけど）
遥（果林さんのライブ、どんな感じになるんだろう）
遥「………」ﾌﾙﾌﾙ
遥「お姉ちゃんと果林さんには悪いけど、虹ヶ咲学園を飲み込むようなライブを私達はするつもりだから」
遥「果林さんにも、そう言っておいて」
彼方「さっすが遥ちゃん、本気だねぇ」
遥「当たり前だよ」
遥「スクールアイドルとして、負けたくないもん」
遥（お姉ちゃんを魅了するのは私、果林さんには絶対に負けないんだから！） アニメの時の感じだと果林本人以外全員果林だったんじゃない？ 遥（……でも）
遥「ねぇ、お姉ちゃんは誰を推したの？」
彼方「えぇっとねぇ……」
遥「怒らないから」
彼方「ん……果林ちゃん」
遥「むぅ……っ」ｷﾞｭｯ
彼方「ぃっ……遥ちゃん力強い、強いよ～っ！」
遥「もぉ～っ！」
ﾎﾟｽﾎﾟｽﾎﾟｽ
ﾎﾟｽﾎﾟｽ....
彼方「怒ってるよねぇ……っ」
遥「ぜーったいに果林さんには負けないから……」
遥「一番賑わせるのは、私なんだから……」
遥「ちゃんと見ててくれなきゃ……嫌だよ？」
彼方「大丈夫、絶対に見るから」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「同好会で果林ちゃんを推してても、スクールアイドルの中なら」
彼方「彼方ちゃんの最推しは遥ちゃんだもん」
彼方「絶対、ぜ～ったい。見るからね～」 遥「約束だよ？」
彼方「約束～」
遥「ゆびきりげんまん」
彼方「嘘ついたら」
遥「毎日お風呂一緒」
遥「指切った」
ﾊﾟｯ
彼方「ん～……絶対に守らないとだねぇ」
遥「迷っても良いのに」
彼方「遥ちゃんのライブ見たいし～」
彼方「毎日お風呂一緒は貞操が危ないし～」
遥「あれは事故だってばっ」
彼方「そっかぁ」
遥「そうだよ～もぅ……」
遥（でも、お姉ちゃんは絶対に見に来てくれる）
遥（だって、会場にいるんだから）
遥（……頑張らなきゃ！） 最近はもう、ここに来るとはるかな以外の全てが頭から消え去ってしまうようになっている 「あれ？ 彼方さん？ と……遥ちゃん！」
彼方「ん～？ あっ」
....ﾊﾟｯ
遥「あ……」
彼方「侑ちゃんに……歩夢ちゃんも」
侑「さっきぶりですね」
彼方「遥ちゃんの部活が終わったから一緒にお夕飯の買い出ししてるんだ～」
侑「へぇ～いいなぁ」
侑「何作る予定なんですか」
彼方「考え中～」
侑「夏ですし、冷やし中華とか」
侑「流しそうめんとか！」
彼方「流しそうめんは難しいよ～」 遥「流しそうめんは道具の用意が大変ですから」
侑「あ～確かに！」
侑「そうだっ、遥ちゃん。DiverFes推薦本当にありがとう！」
侑「きっといい経験になるよ！」ｷﾞｭｯ
遥「わっ……」
歩夢「侑ちゃ……」
遥「………」ﾁﾗｯ
遥（……ん～……）
.....ｸﾞｨｯ
ﾊﾟｯ
遥「いえ、お一人しか参加して貰えないのがすっごく残念です……」
遥「また今度、機会があればぜひ同好会に伺わせてください」
侑「うんっ、いつでも大歓迎だよっ！」 遥「歩夢さんのライブも動画で拝見しました」
遥「とっても可愛らしい曲と衣装で」
遥「凄くドキドキさせて貰いましたっ」
歩夢「えっ、あっ……」
歩夢「あり、がとう……？」
遥「………」
遥「あの……」
歩夢「？」
ｽｯ
遥「……姉妹だって油断できないですから、幼馴染で安心してたら危ないですよ」ﾎﾞｿｯ
歩夢「ふぇっ！？」
侑「歩夢？」
歩夢「な、何でもないっ！」
遥「侑さん。スクールアイドルは体を使うので」
遥「歩夢さんの腕とか足とか。少しマッサージしてあげた方が良いと思いますよ」
遥「今日、お時間があったら試してみてください」
歩夢「は、遥ちゃんっ！？」 侑「そっか……確かに」
侑「歩夢、この後時間あるでしょ？」
侑「家においでよ」
歩夢「えぇっ？」
侑「ん？ 何か用事あった？」
歩夢「う、ううん！ 何にもないよ！ 大丈夫！」
侑「じゃぁ決まり」
彼方「じゃぁ、彼方ちゃん達はスーパー行くから、またね～」
侑「は～い。また明日」
歩夢「ま、またね……」
遥「はいっ」
ｽﾀｽﾀｽﾀ....
遥（歩夢さん、私に似た感じがしたから口出しちゃった……）
遥（お姉ちゃんが取られることはなくても）
遥（同好会の中で不穏なことになったらお姉ちゃんが困るし……）
遥（侑さんには何とかしておいてもらわないと） この遥ちゃん思考がドスケベなのにちゃんとしててスゴいわ >>1は明日どうすんだろ…このスレに注力すんのかな >>445
夕方くらいに明日かなしず書きたいのでネタくださいと言ってたらっかせいが
ひょっとしたらこの人だったのではと思っている
違っても違っていなくてもいちピーナッツとして応援している ――――――
―――
遥（カゴを乗せたカートを押しながら、お姉ちゃんの少し後ろに並んで歩く）
遥（手慣れた様子で野菜を選んだりしているお姉ちゃんは、本当に主婦のように見える）
遥（真剣な横顔は可愛いというよりも綺麗で）
遥（値段が上がってると悩まし気な表情は大人びて感じる）
遥（……私の自慢のお姉ちゃん）
遥「お姉ちゃん、これは買わないの？」
彼方「ん～……遥ちゃん食べたい？」
遥「お姉ちゃんが作ってくれるならなんでも美味しいからなぁ……」
遥「食べたいか食べたくないかで言えば食べたい」
遥「でも、無くても良いかな……？」
彼方「もぅ……そういう優柔不断が一番困るのに～」 遥「それはお姉ちゃんの料理が美味しいからいけないんだよ」
遥「何作ってくれても美味しいから、何でもいいかなって思う」
遥「もちろん、適当な気持ちで言ってるんじゃないんだよ？」
遥「何作ってくれても美味しいから、あれでもいいこれでもいいって一杯選べちゃうから」
遥「逆に選べなくなっちゃうみたいな……」
遥「だから、お姉ちゃんの日替わり定食的なものが良いかなぁって……なっちゃうんだよ」
彼方「そんな難しく考えなくてもいいんだけどな～」
彼方「じゃぁねぇ……」
彼方「遥ちゃんが今食べたいのはお肉？ お魚？ 野菜？」
遥「えっと……頑張ったからお肉かな？」
彼方「じゃぁお肉を買おう」
彼方「って……このくらいでもいいんだよ～」 彼方「お肉でもお魚でも野菜でも良いって言われちゃうと困っちゃうんだよねぇ」
遥「そっか……」
遥「あ、じゃぁさ。お肉であのぐるぐる巻いてるの食べたい」
彼方「ん……あ、肉巻き？」
遥「うん、多分それっ」
彼方「良いよ～遥ちゃんも手伝ってね～」
遥「は～い」
ｶﾀｶﾀｶﾀ....
遥（カートの振動を感じながら、お姉ちゃんの後ろ姿を見つめる）
遥（いつか自分もあんなふうになれるのかなって）
遥（ちょっぴり、悩ましい）
遥（今のお姉ちゃんはお姉ちゃんだからこその努力の結果で）
遥（きっと、妹の私にはなることが出来ないような存在で）
遥（でも、妹だからこその何かにはなれるんじゃないかって……少し思う）
遥（妹だからこその努力の結果……）
遥（う～ん……頑張ってくれたお姉ちゃんを労われる優しい妹になりたい）
遥（それは大前提だし）
遥（お姉ちゃんの一番の理解者……も、前提だね）
遥「………」
遥（お姉ちゃんが一番安心できる場所……かな？） 遥（お母さんと、子供）
遥（お父さんと、子供）
遥（兄弟、姉妹）
遥（仲良く歩いてるのを見ると、カートの分だけ遠いのが少しさびしく感じて、早歩き）
遥「お姉ちゃん、待ってよ」
彼方「あれ～？ 早かった？」
遥「早くはないけど、遠かった」
.....ｸﾞｲｯ
遥「一緒にカート押そうよ」
彼方「子供じゃないんだよ～？」
遥「まだ子供だよ」
彼方「………」
彼方「遥ちゃん、ちょっと妬いてる？」
彼方「侑ちゃんの距離が近かったから……いつもああなんじゃないか～って」
遥「……妬いてるかも」 遥「お姉ちゃん無防備だし」
遥「冗談めかして誘惑してくるし」
遥「侑さんはあんな調子だし……」
遥「もしかしたら、同好会で何かあるんじゃないかって」
彼方「んふふ～……」
彼方「大丈夫だよ～」
彼方「ちゃんと、気を付けてるからねぇ」
彼方「……だって」
彼方「彼方ちゃんには……私にはちゃんと決めた人がいるんだもん」
彼方「ちょっぴり隙はあるかもしれないけど……必要以上のことはちゃんと躱すようにしてるよ～」 遥「うん、言われなくても信じてる」
遥「……なんて、ちょっと怖い？」
彼方「ん～ん。かわいいよ～」
遥「かわいいかな～？」
彼方「かわいいよ～」
遥（お姉ちゃんを独占したいって気持ちはあるけど）
遥（でも、独占しないからこそ今のお姉ちゃんの笑顔がある……）
遥（手を離されて、そっちのけでお話が賑わって）
遥（やきもちというか……妬いちゃったりもするけど）
遥（だけど、今が良い）
遥「そうやって笑ってるお姉ちゃんのほうが、数えきれないくらいに可愛いよ」
遥（だって……私は笑ってるお姉ちゃんが大好きなんだから） おつおつ 彼方ちゃんハピバ！ 侑ちゃんはやっぱりその距離感なのね ――――――
―――
遥「ただいまーっ」
彼方「ただいま～」
遥（バランスボールのちょっぴり大きい箱を抱えながら家の中に入っていくと）
遥（久しぶりに感じる、いつもとはちょっと違うにおいを感じた）
彼方「あれ～？」
遥「あっ……」
遥（リビングから聞こえてくるお母さんのおかえり～って返事）
遥（中に入ると、お母さんが料理しているのが見えた）
彼方「も～私が作るよ～って言ったのに」
「ふふっ、ごめんね。でも、久しぶりにこの時間があったから……」
「たまには作ってあげたかったの」
遥「お姉ちゃんとお料理する予定だったのに～」
「あらあら、ごめんなさい」
「ほんと、かなとはるは仲が良いわねぇ」
彼方「そうだよ～？」
彼方「いっちばん、仲の良い姉妹だよね～」
ｷﾞｭｯ
遥「ね～」
遥（からかうように、お母さんの前で抱き合ってみる）
遥（微笑ましいというようなお母さんの目）
遥（交際していると知っても、変わらずにいてくれるのかな？）
遥「お姉ちゃん、冷蔵庫にしまったら着替えちゃおうよ」
彼方「そうだね～」 .....ｶﾞﾁｬｯ
遥「お母さんの料理、久しぶりだね」
彼方「うん～そうだねぇ」
遥（本当なら、お姉ちゃんと一緒に料理をする時間になっていたからか）
遥（前は嬉しかったことも、少しもやもやしちゃう……）
遥（なんて）
彼方「～♪」
ｺﾞｿｺﾞｿ.....
遥「………」ﾁﾗｯ
遥「……」
ｸﾞｲｯ
彼方「にゃっ……」
.....ﾁｭｯ
彼方「んっ……っ……」
遥「っふ……っ……んっ……」
ﾁｭﾌﾟｯ.....
ﾁｭｯ....
遥「っは……はぁ……」 彼方「は、遥ちゃ――んっ……」
ﾁｭｯ
ﾁｭﾌﾟ....
ﾂｩ......
彼方「んっ……ふ……っ……」
ﾁｭｯ......
...ﾁｭｯ
遥「……ん……っ……」
ｸﾞｲｯ
彼方「だ、だめ……っ、だよ……」
遥「平気……」
遥（お母さんがリビングにいる中で）
遥（自分たちの部屋の扉一枚を隔てただけで……キスをする）
ﾁｭｯ......
ﾆﾁｭ.....
ﾁｭﾌﾟｯ
遥「んっ……」
遥（わざと音を立てるような、キス）
遥（お母さんの足音、声、料理の音）
遥（いつもは聞こえない私達以外の誰かがいるときのキスは、いつもよりドキドキする） 彼方「見つかっちゃったら大変だよ……っ」
遥「後ろに下がって」
彼方「えっ……」
――ﾄﾝｯ
ｶﾞﾀｯ
遥「扉、お姉ちゃんが開かないようにしておいて」
彼方「え、でも……」
遥「声を押さえれば、大丈夫」
ﾁｭｯ
彼方「んっ……っぁ……」
ﾁｭﾌﾟｯ
……ﾁｭｯ
遥「はふ……ん……っ……」
ﾁｭｯ
ﾁｭｯ....
彼方「んんぅ……ん……」 ｶﾞﾀｶﾞﾀ....
ｶﾀﾝｯ.....
遥（キスをするたびに揺れるお姉ちゃん）
遥（扉に寄り掛かるお姉ちゃんのその振動で音を立てる扉）
ｽｯ.....
ｷﾞｭｯ
遥（お姉ちゃんから求めてくる手と手の繋がりを受け入れて――キスをする）
ﾁｭｯ
ﾁｭﾌﾟ....
彼方「ん……っ……」
ｶﾅー？ ﾊﾙー？
彼方「んっ……」ﾋﾞｸｯ
ﾁｭｯ.....
ﾁｭｯ.....
ﾆｭﾌﾟｯ.....
遥「っふ……」
ﾄﾞｳｶｼﾀﾉー？
ﾁｭｯ....
遥（扉の向こうから聞こえてくる声を遮るように口をつけて……）
彼方「んっ……ぁ……っ……」
......ﾁｭﾌﾟｯ
遥「……大丈夫ーっ！ 何でもないよーっ」
遥（一応、答えておく） 彼方「はっ……はっ……はぁ……っ……」
遥（ほんのりと汗をかいて……真っ赤な顔のお姉ちゃん）
遥（凄く、可愛い……）
彼方「お母さん、いるんだよ？」
遥「この部屋には居ないよ」
ﾁｭｯ
彼方「んっ……」
ﾁｭﾌﾟ....
ﾁｭｯ
彼方「んぅ……んっ……」
ｷﾞｭｯ.....
遥「っは……ふ……」
遥「……でも、いつもよりドキドキして不思議な感じがするね」
彼方「もぅ……んっ……遥ちゃんの、えっち……」
遥「えへへ……お姉ちゃんとの時間取られちゃったから……つい」 遥「本当なら一緒にお料理してたから……」
遥「その分、何かしたいなって」
遥「……それだけでもないけど」
彼方「急には困るよ～……せめて、一声くらい……」
遥「うん、ごめんなさい……」
遥「じゃぁ、キスしよ？」
彼方「も～っ……」
彼方「……優しくしてくれないと、声、出しちゃうからね～……」
遥「塞ぐから大丈夫」
ﾁｭｯ
彼方「んっ……」
ﾁｭﾌﾟ.....
ﾁｭｯ
彼方「んっ……っぁ……はっ……」
ﾁｭｯ....
遥「っは……んっ……」
遥（この ” 着替え ” には、たっぷり30分かかった） ――――――
―――
[数日後]
遥（そうして、家でだけお姉ちゃんとひっそりと唇や体を重ねる日々が続いて）
遥（やってきたDiverFesの日）
遥（前日はキスするだけに留めて、体力万全ちょっぴりえっちな気分）
遥「お姉ちゃん、同好会の人たちと一緒に行くの？」
彼方「そうだよ～」
彼方「遥ちゃんも部の人たちと一緒でしょ～？」
遥「うんっ、じゃぁ……向こうでまた会おうよ」
彼方「え～？ 集中しなくて大丈夫？」
遥「集中したいから、会いたいの」
遥「お姉ちゃんと一緒の方が、緊張解し易い」
彼方「そっか～じゃぁ、向こうに着いて手が空いたら連絡するね～」
遥「うん……」 遥「果林さんにもお願いね」
遥「頑張ってくださいって」
遥「でも、絶対に負けません。って」
彼方「ちゃんと伝えておくよ～」
彼方「遥ちゃんは彼方ちゃんの妹だけど」
彼方「果林ちゃんと同じスクールアイドルで、ライバルだもんねぇ」
彼方「きっと、いい刺激になるよ」
遥「………」
彼方「遥ちゃん？」
遥「抱きしめて」
彼方「ん」
.....ｷﾞｭｯ
彼方「……行ってらっしゃい」
遥「行ってきますっ」 遥（これから体育祭とかに行く子供のような感覚）
遥（いいとこ見せたいなって、張り切ってるのが分かる）
遥（でも、その分緊張もしてて、ドキドキしてて）
遥（お姉ちゃんが抱きしめてくれると）
遥（それが和らぐように感じられて……）
遥（好き）
遥（大好き……）
遥（お姉ちゃんが好きで好きで大好きだから）
遥（そんな緊張なんかって……なるのかも）
彼方「彼方ちゃんも少ししてから行くからね～」
遥「向こうで待ってるね」
遥（一緒の学校だったら、一緒に行けたのかな）
遥（一緒にライブをやって、もっと楽しめたのかな）
遥（……虹ヶ咲に、行けばよかったかな）
遥（なんて、ちょっと思っちゃうなぁ……）
......ｶﾞﾁｬｯ ――――――
―――
遥（DiverFesの会場について、着替えや段取りの確認）
遥（内々での軽いリハーサルなども終わった頃、お姉ちゃんから電話がかかって来た）
遥「……ふぅ」
かさね「緊張してる？」
遥「少しだけ……でも、今のは別にそういうのじゃなくて」
遥「お姉ちゃんから電話があって……一緒に回ろうって」
かさね「ほうほう……彼方さんだっけ？」
かさね「お姉さんもすっごくいいライブしてたよねっ」
かさね「あの時は遥ちゃん、急に辞めますとか言い出してどうなることかと思っちゃったよ」
遥「ご、ごめんなさい……」
かさね「良いって良いって。こうして続けてくれてるんだから」 かさね「東雲学院スクールアイドル部、期待の新人」
かさね「1年生でありながらセンターで、このDiverFesのトップバッターでMC」
遥「っ……」
遥「うぅ……あんまり思い出させないでください……っ」
かさね「あはははっ、ごめんごめん」
かさね「でも大丈夫。遥ちゃんは一人じゃないんだから」
かさね「今日までずっと、最高のライブをするために頑張って来たんだから」
かさね「お姉さんと少し回って、気を紛らわせてきなよっ」
ｸﾞｲｸﾞｲｯ
遥「わっ、っと……」 かさね「あ、迷子にならないようにね」
遥「大丈夫ですっ」
かさね「そっか」
かさね「うちは18時だから、遅くても20分前には戻ってきてよ？」
遥「はいっ」
かさね「衣裳の上から、これでも羽織っておいた方が良いよ」
遥「ありがとうございます」
遥「それじゃぁ、行ってきます」
かさね「はいは～い」
......ﾀﾀﾀｯ
かさね「本当に大丈夫かなぁ？」
かさね「………」 ﾀﾀﾀｯ.....
遥「確かこの辺にいるって……」
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
ﾃｸﾃｸ....
遥「えっと……」
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
遥「あっいた……」
遥（お姉ちゃんは、制服だ）
遥（当たり前か……私も来るときは同じだし）
遥（開始まであと2時間）
遥（20分……30分前には戻るとして、1時間半くらい）
遥（よしっ）
ﾀﾀﾀｯ......
遥（後ろから――）
遥「お姉～ちゃんっ！」
遥（抱き着く！）
ﾀﾞｷｯ
彼方「わぁっ！」ﾋﾞｸｯ 遥「びっくりした？」
彼方「も～っ！」
彼方「ビックリしたよ～っ」
ﾑﾆｨ.....
遥「おねぇひゃ……」
彼方「は～る～か～ちゃ～ん～っ」
ｸﾞﾆｸﾞﾆ
ｸﾞﾆｸﾞﾆ.....
遥「おひゃ……おにゃ……」
彼方「次やったら怒っちゃうよぉ？」
ﾊﾟｯ
遥「えへへへっ、ごめんなさ～い」
彼方「準備はもう終わったの～？」
遥「うんっ、この中は衣裳だよ。見たい？」
彼方「ん～……ステージでの楽しみにしておく～」 遥「何見て回る？」
彼方「えっと～……」
彼方「いろんな種類のがあるんだよねぇ」
彼方「今の時間だと……ロックかな～」
遥「ダンスミュージック……ロック、ポップス……」
遥「たくさんあっていいね～」
彼方「そうだねぇ」
彼方「そんな中にスクールアイドルが枠を貰えて……」
彼方「遥ちゃん達、そして果林ちゃんがライブをする」
彼方「夢みたいだよ～」 遥「でも、まだまだだよっ」
遥「今度はお姉ちゃんと一緒に、こんな場所でライブをしてみたい」
彼方「おぉ～それなら彼方ちゃんも頑張らないとだねぇ」
遥「あと……」
遥「虹ヶ咲学園と東雲学院のスクールアイドルとして」
遥（もしも……）
遥（もしも、そんなことが許されるのなら）
遥「……二人でデュエットみたいなのとか……」
遥「出来たらいいなぁ……なんて、思ったりもしてる」
遥「スクールアイドルとしてはライバルかもしれないけど」
遥「姉妹だし……盛り上げたいって気持ちは一緒だと思うから」
遥「そういうのも……出来たら面白いんじゃないかなって……」
遥（このDiverFesみたいに、いろんなジャンルの音楽が入り乱れているような）
遥（そんな……ライブがしてみたい……）
彼方「面白いかもね～……そんなライブも」
遥「でしょ？ 出来たらやろうね」ｷﾞｭｯ
彼方「やるやる～」 ﾃｸﾃｸﾃｸ.....
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
遥（歩夢さんと侑さんもいる……）
遥（声は、かけなくていいかな）
彼方「遥ちゃん、手を繋いでてね～」
ｷﾞｭｯ
遥「うんっ」
遥（人が多いから、手を繋いでも自然で良いなぁ……）
遥（腕を組んでたって……う～ん……それはダメ？）
彼方「こっちかな～……」
ﾜｧｧｧｧ.....
遥「ここまで、声が聞こえてくる……」
彼方「3000人だからねぇ」
彼方「全員ではなくたって千数百人とかいるかもしれないし」
彼方「近くまで行ったらもっとすごいと思うよ～」 ﾜｧｧｧｧｧｧｧ!!!
遥「っ」ﾋﾞｸｯ
彼方「凄い歓声だねぇ……」
遥「うん……」
遥（見に来ている人たちの歓声で、体が揺れる）
遥（心の奥底にまで響いてきて……声が出ない……）
遥（こんな大勢の人たちの前で、私達は歌い、踊る）
遥（スクールアイドルを見に来たわけでもない人達を、こんな風に沸かせられるのかな……）
遥「はぁ……っ……」
......ｷﾞｭｯ
遥「ぁ……」
遥（お姉ちゃんの手が、私の手を包んでくれる）
遥（優しくて暖かくて……安心できるお姉ちゃんの手）
彼方「……果林ちゃん言ってたよ～？ もちろん負けるつもりはないって」
彼方「それと……1票分って」
遥「………」 遥（一票分……？）
遥（お姉ちゃんの一票は貰ってるから勝ってるってことだよね……？）
遥「むぅ～……っ」
彼方「良いのかな～？ 彼方ちゃんがか――」
遥「良くないっ！」
彼方「っと……」
遥「……そうだよ。そうだよね」
遥「ジャンルが違うとか、どうとかで怖気づいていられない」
遥「お姉ちゃんはスクールアイドルの中で一番だって言ってくれてるけど」
遥「今ここにある音楽の中で一番だとは、まだ言えてないよね……」
遥「果林さんにだって、負けられないよ。取られた一票は取り返したい」 遥「お姉ちゃんには私のことをもっともっともーっと好きになって欲しい」
遥「知らないところから好きになって貰うんじゃなくて」
遥「大好きなところから、もっと大好きになって貰わないといけない」
遥「興味がない人に興味を持たせるよりも」
遥「ずっとずっと大変な事だよね……頑張らなくちゃいけないことだよね」
遥「ここにいるスクールアイドルを知らない人達に興味を持たせられないなら」
遥「そんなの夢にもならないほど遠い話だよね……」
遥「……大丈夫、怖くなんてない」
.....ｷﾞｭｯ
ﾌﾙﾌﾙ
遥「ううん、嘘」
遥「本当は凄く怖い……出来なかったらどうしようって不安でいっぱい」
遥「たくさん練習したけど、でも、それでも届かなかったらどうしようって……」
遥「……お姉ちゃんと一緒にいれば落ち着けるかなって思った」
遥「でも、やっぱり……こうやってほかの音楽とその歓声を聞くだけで震えちゃう」 彼方「……ん」
彼方「遥ちゃん、まだ時間ある？」
遥「えっと……」ﾁﾗｯ
遥「うん……大丈夫」
彼方「そしたら、ちょっと……歩こっか」
遥「え……ぁ、うん……」
ｸﾞｲｯ.....
ﾃｸﾃｸﾃｸ.....
遥（お姉ちゃんに手を引かれながら、歓声の鳴りやまない会場から少しずつ離れていく）
遥（少しずつ、少しずつ）
遥（沢山いた人影が減っていって……まばらになって）
遥（ぽつりぽつり……そうして、いなくなる） ﾃｸﾃｸ.....
ﾃｸﾃｸ.....
遥「お姉ちゃん……あんまり離れちゃうと間に合わなくなっちゃうよ」
彼方「大丈夫だよ～」
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
彼方「この辺で平気かな……」
ｸﾞｲｯ
遥「っ」
彼方「……ここなら、きっと誰にも見つからないから」
遥（人気のない場所）
遥（突き出た柱の影）
遥（しようとしてること、されそうなこと……分かってるから）
遥（……目を瞑る）
彼方「そのドキドキを、違うのに変えてあげる」
......ﾁｭｯ
遥「んっ……」 ﾁｭﾌﾟ......
ﾁｭｯ
遥「っは……はっ……」
彼方「ん……っ……」
ﾁｭｯ.....
遥「っふ……ぁ……」
ﾁｭﾌﾟｯ.....
ﾆﾁｭ......
彼方「……っは……」
遥「はっ……はぁ……はふ……んっ……」
ﾄｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ
ﾄﾞｸﾝｯ
ﾄﾞｸﾝｯ
遥「おねえ……ちゃん……っ……」
彼方「私は遥ちゃんのこと、大好きだよ～？」ﾎﾞｿｯ
遥「っぁ……んっ……」 遥（外の空気を感じるはずで）
遥（自分達以外の音が聞こえるはずで）
遥（なのに……耳元に吹き込まれるお姉ちゃんの声ばかりが感じられて）
遥（凄く、ドキドキしてて……）
ﾁｭｯ.....
ﾁｭﾌﾟｯ.....
遥「っぁ……」
遥（不安も、恐怖も、何も……）
遥（全部が緩んで溶けて……無くなっていくような……）
遥（そんな感じがして……）
彼方「はっ……はぁ……」
遥「んっ……」
ｷﾞｭｯ
遥（お姉ちゃんの首に手を回して、キスをする）
遥（ほんの少しだけ背伸びをしているからか……それはちょっぴり深い大人のキスだった） 彼方「っは……」
遥「はっ……はっ……はぁ……」
ｳﾞｨｰｯ
ｳﾞｨｰｯ....
彼方「……電話、鳴ってるよ～？」
遥「うん……タイミングがいいのか悪いのか……」
遥（終わったのを見計らったようにかかってきた電話は、東雲のスクールアイドル仲間からだった）
ｳﾞｨ....
遥「はいっ、近江ですっ……」
『あ……遥ちゃん？ 今どこにいる？』
遥「えぇっと……ちょっと離れてます」
『そっか、そろそろ時間も近いから戻ってきて欲しいなって……』
遥「分かりました。すみません」
『ううん、こっちこそお姉さんと一緒なんだよね？ ごめんね邪魔しちゃって』
遥「大丈夫です。すぐ戻ります」
......ﾌﾟﾂｯ 遥「もう戻らないと……」
彼方「大丈夫そう？」
遥「……うん」
遥「もう大丈夫」
遥「凄くドキドキしてるけど……これは、違うって分かってるから」
遥「お姉ちゃんを好きな気持ちだから」
遥「この気持ちを……分かって貰っちゃったら、困るけど」
遥「好きな気持ちを届けられるように……頑張ってみる」
彼方「うん、良い顔してるねぇ……」
遥「早く戻ろっ」
彼方「ん……」
ｳﾞｨｰｯ
ｳﾞｨｰｯ
彼方「おやぁ……？」
遥「………」
彼方「果林ちゃん？ え？ ううん……あ、そっか……分かった～」 ﾌﾟﾂｯ.....
彼方「えっと、遥ちゃん。ごめ――」
遥「むぅーっ！」
彼方「ごめんね、ちょっと用事が」
遥「良いよ……別に」
遥「キスして貰ったし……果林さんにはしないよね？」
彼方「しないしない」
遥「じゃぁ、良いよ」
遥「……果林さんだってきっと怖いもん」
遥「あんな歓声を聞いちゃったら、きっと不安になっちゃうもん」
遥「それをどうにかできるのは、虹ヶ咲の同好会の人たちだと思うから」
遥「……行ってくるね」
彼方「うんっ、絶対に間に合うように戻るから」
遥「離れてても聞こえるようなライブに、して見せるからねっ！」
ﾀﾀﾀﾀｯ...... ――――――
―――
クリス「あっ、遥さん！」
ﾀﾀﾀﾀｯ.....
遥「ごめんなさい！ 遅くなって……」
クリス「大丈夫ですよ。重ねさんも先ほど戻って来たばかりでしたし」
クリス「まだ時間はありますから」
遥「そう、ですか……はっ……ふぅ……」
かさね「……身体、温まってるね」
遥「え？ ぁ、はい」
遥「走ってきちゃったので……準備は万全です」
クリス「緊張してない？」
遥「大丈夫、問題ないです」
ｸﾞｸﾞｸﾞｯ.......
遥「んっ……はぁ……」
遥（軽く体を伸ばして、深呼吸）
遥（うん、大丈夫そう） 遥（お姉ちゃん、果林さんのこと見つけられたかな？）
遥（大丈夫だよね。きっと）
遥（………）
ｽｯ......
ﾄｸﾝ
ﾄｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ
ﾄｸﾝ......
遥（平常心……じゃ、無いけど）
遥（唇にまだ、お姉ちゃんの感触が残ってるけど）
遥（だから大丈夫）
遥（私の気持ちを伝えるつもりで、歌えばいい）
遥（ダンスを見せればいい）
かさね「……ねぇ、遥ちゃん」
遥「はい？」
かさね「えっと……ん～……」
かさね「………」
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
かさね「あっと……なんだっけ……忘れちゃった」
かさね「あとで思い出したら話すよ」
かさね「全力で、成功させようね」
遥「はいっ！」 ――――――
―――
遥（私たちのスタート）
遥（姫乃さん達、藤黄学園）
遥（そして、果林さんを代表とした虹ヶ咲学園）
遥（順番に行われたスクールアイドルのライブは、大成功に終わった……と、思う）
遥（9人で行った私達と違って）
遥（たった一人でステージへと上がった果林さんは、けれど……とても凄いライブだった）
遥（広いステージの中、たった一人という寂寥感を感じさせない果林さんの魅力は……）
クリス「……素晴らしかったですね。藤黄学園も、虹ヶ咲学園も」
クリス「特に……出来たばかりだなんて思えないほどに、朝香果林さんは素晴らしかったです」
かさね「………」
クリス「かさねさん？」
かさね「えっ？ ぁ、あぁ……うん。そうだね」
かさね「あれは相当練習してきてるだろうし……一人だっていう不安を感じさせない力強さがあった」
かさね「ソロアイドルだって話だったけど……代表って言葉に偽りはなかったね」 クリス「それで、どうでしょう？」
クリス「先日遥さんから提案された件……受けてみませんか？」
ココ「それって、あれですか？」
ココ「えぇっと……」
優理「あれだろ？ 虹ヶ咲との合同合宿」
ココ「そうそれ～！」
かさね「……ん……」
かさね「……まぁ、刺激にはなるかもしれないよね」
遥「じゃぁ、お願いしちゃってもいいですか？」
クリス「ええ、やりましょう」
遥（……これで、夏休みもお姉ちゃんと一緒にいられる）
ココ「それで、どうしますか？」
ココ「このままみんなで――」
遥「そうですね」
かさね「……お姉さんは良いの？」
遥「えっと……多分大丈夫です」
遥「虹ヶ咲も虹ヶ咲で打ち上げやるって話ですし……もしあれなら、三校で打ち上げはどうでしょう？」
遥（そんな唐突の提案は……みんな乗り気で）
遥（急遽……虹ヶ咲の愛さんの実家、もんじゃ焼き屋さんで打ち上げすることが決まった） 遥（控室での着替えを終えると）
遥（かさねさんに呼び出されて……ちょっぴり人気のない場所へと連れ出された）
遥「あの、かさねさん？」
かさね「えっと……始まる前に話そうとした件なんだけど……」
遥「うん」
かさね「遥ちゃんって、お姉さんと仲が良いよね？」
遥「そう、ですけど……」
遥（何の話なのか分からなくて、困ってしまう）
遥（もしお姉ちゃんを紹介して欲しいって話なら）
遥（申し訳ないけれど、協力は出来ない）
遥「かさねさ――」
かさね「外では、しない方が良いと思う！」
遥「えっ……」
かさね「ごめんね……覗くつもりはなかったんだけど、さ……」
かさね「あれがこうとか、どれがそうとか……言わないけど、それだけは気にした方が良いと思う」 遥「えっと……もしかして……」
遥「えっ……」
遥「見て、た……？」
かさね「……ごめん」
遥「っ……わ、私……っ！」
かさね「良いから！」
かさね「良いからさ……うん……」
かさね「色々あるだろうし、遥ちゃんもお姉さんもそんなこと百も承知だろうし」
かさね「だから、それについては何も言わないよ」
かさね「けど、やっぱり……ね？」
かさね「みんながみんな、見て見ぬふりなんてしないと思うから……」
かさね「気を付けてね？」
かさね「それだけ！」ﾀﾀﾀｯ 遥（変だとか、気持ち悪いとか……）
遥（他人に知られたらそう言われるかもしれないって思ってた）
遥（でも、かさねさんは言わなかった）
遥（言わないでいてくれた）
遥（色々思ってたと思う）
遥（でも……何も言わなかった）
遥「……けど、そうなんだよね」
遥（普通じゃない）
遥（間違っている）
遥（気持ち悪い）
遥（おかしい……）
遥（でも、いろんな問題があったとしても）
遥（私は好き）
遥（お姉ちゃんが大好き）
遥（他人がどう思うかなんて、些細なことだよ）
遥「でも……気を付かなきゃね」 ――――――
―――
遥（愛さんの実家でもあるもんじゃ焼き屋さんを貸し切りにするような形での打ち上げ）
遥（3校の交流会のような打ち上げはとっても賑わっていた）
姫乃「お疲れ様でした、遥さん」
遥「姫乃さんもお疲れ様でした」
遥「上手くいって良かったですね」
姫乃「ええ……それも、遥さんがトップバッターとして場を盛り上げてくれたからこそですよ」
姫乃「元々アウェーな場で一番初めに出ていくプレッシャーは、中継ぎをしただけの私達の比ではないと思いますし」
遥「いえそんな、藤黄学園も会場の熱気を落とさず、それどころかより高めてくれていたじゃないですか」
遥「姫乃さん達がトップバッターだったとしても、問題なく成功出来ていたと思います」
姫乃「ふふっ、お褒め頂き光栄です」
姫乃「ですがやはり、なんと言ってもソロで大トリを飾った朝香果林さんはまた別格でしたっ」
姫乃「ソロというあの広いステージに仲間がいるという安心感も得られない状態で、あの見事なパフォーマンス」
姫乃「とても素晴らしかった……」
遥「そうですね」
遥「ソロであのプレッシャーを乗り切るのは難しいと思います……」
遥（姫乃さんは、やっぱり……そうだよね） 遥（聞いたというか……聞かされた話）
遥（姫乃さんはやっぱり果林さんの大ファンのようで）
遥（今回のDiverFesで果林さんがライブを見せてくれたことが、これ以上ないほどに嬉しかったらしい）
せつ菜「遥さん、姫乃さん」
遥「せつ菜さん」
せつ菜「改めてお礼の機会を設けようかと思っていたのですが」
せつ菜「こうして、打ち上げを一緒に出来ましたのでこの場で言わせてください」
せつ菜「この度は本当にありがとうございました」
せつ菜「まだ始まったばかりの私達にとって」
せつ菜「きっと、少なくとも1年以上は得られることのなかったであろう経験です」
せつ菜「本当に、貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました」
姫乃「いえいえ、虹ヶ咲学園の皆さまがソロアイドルであると知りながらのお誘い」
姫乃「やや、意地悪なことをしてしまったのではないか。と、思っていましたが……」
姫乃「私達にも劣らない、素晴らしいライブで……とても良かったですよ」
遥「はいっ。まだまだ負けていられないって思わせてくれる……パフォーマンスで」
遥「虹ヶ咲学園の皆さんが推薦を承諾して下さって、私達も良かったなって思っていました」 せつ菜「そんな……いえ」
せつ菜「私の謙遜なんて、果林さんに失礼ですね」
せつ菜「同じ同好会の人間として、そこまで褒めて頂けて光栄です」
せつ菜「何より、同じ同好会だからこそ……負けていられないと思います」
姫乃「そうですね」
姫乃「本当に……」
遥（私も、頑張らなきゃ）
遥（お姉ちゃんだって頑張ってるし）
遥（せつ菜さん達だって頑張ってるしこれからももっと凄くなっていく）
せつ菜「あ、こっちのもんじゃ焼きもいかがですか？」
せつ菜「さっき焼いたんです！」
クリス「遥さ～ん！」
遥「あ、すみません」
ｽﾀｽﾀ....
せつ菜「姫乃さん、どうぞ」
姫乃「え？ あぁ、では……」
ﾓｸﾞﾓｸﾞ....
姫乃「ん゛ん゛っ！？」
姫乃「しちっ……ごほっ……」
姫乃「……っ、ぁっ……七味っ……」 遥（……姫乃さんが凄い死にそうな声出してる……）
遥「クリスさん、ありがとうございました……」
クリス「はい？ 何かしましたか？」
遥「あ、いえ……なんというか」ﾁﾗｯ
遥（命を救われた……？）
クリス「ふふっ、それより遥さんもどうぞ」
クリス「宮下さんがやってくださったので、絶品ですよ」
遥「いただきますっ」
ｽｯ.....
ｶﾂﾝｶﾂﾝｯ....
遥「ﾓｸﾞﾓｸﾞ......」
遥「美味しい！」
遥（でも、お姉ちゃんの料理の方が好き……）
遥（だけど美味しい！）
遥「ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸﾞ……ん」
遥「あれ？」
遥（せつ菜さんのは……アレ、誰がやったんだろう？） クリス「それにしても、まさかこのような賑やかな打ち上げが出来るとは思いませんでした」
クリス「以前、遥さんが虹ヶ咲学園に見学に行きたい」
クリス「そう言わなければ実現していなかったかもしれませんね」
かさね「確かに……あれから関わるようになったからね」
かさね「たった一回の見学で、こんなにも変わるなんて」
かさね「なんていうか、運命みたいなものも感じるよ」
クリス「ふふふっ、そうですね」
遥（本来なら、東雲学院だけでの打ち上げだった）
遥（それが、虹ヶ咲と藤黄まで加わっての大きいものになった……）
遥（運命……運命かぁ……）
ﾁﾗｯ
彼方「～♪」
遥（お姉ちゃんの運命の相手は、私なのかな）
遥（それとも……）
ﾌﾙﾌﾙ.....
遥（そんなの関係ないよね）
遥「ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸﾞ......」
遥「ごくん……」ﾁﾗｯ
かさね「あーっ、待って、待って！」
優理「こうするんだよっ！」
かさね「お好み焼きじゃないんだってばーっ！」
遥（ほんと……賑やかだなぁ……） 遥（姫乃さんが失神しかけるなんて事件も起きたけれど）
遥（その後は何とか収まって、打ち上げは無事にお開きとなった）
遥（もんじゃ焼き屋さんの前で解散となり）
遥（しばらくは一緒にいた人たちとも別れて）
遥（お姉ちゃんと二人っきり……）
遥（まだ夏）
遥（熱い空気を肌に感じながら）
遥（手はお姉ちゃんと繋がっていて……気持ちいい）
遥「……凄かったね」
彼方「うん……遥ちゃんもすごかったよ～」
彼方「トップバッターであんなにもしっかりとMCが出来て、パフォーマンスが出来て」
遥「えへへ……お姉ちゃんがいてくれたからだよ」
遥「いてくれなかったら、私……多分凄く緊張してダメだった」
遥（だからこれからも、ずっと一緒が良いな……）
遥（好き合ってる仲で、いたいな……）
......ｷﾞｭｯ
彼方「ん？」
彼方「……ふふっ」
ｷﾞｭｯ
遥（手を握り返してくれるお姉ちゃんの力は、とっても優しかった） ――――――
―――
遥「ただいま～」
彼方「お帰りぃ」
遥「えへへ、ただいま～」
遥（家に帰ると、お母さんはいない）
遥（今日も夜勤で、今頃はもう仕事中かな……）
遥（つまり、お姉ちゃんと二人きり……）
遥「ねぇお姉ちゃん、今日は沢山食べちゃったし、運動ついでにバランスボール使おうよ」
彼方「ん～そうだねぇ」
遥「お姉ちゃんって、バランスボール使っての腕立て伏せって」
遥「あんまり回数が伸びないって言ってたでしょ？」
遥「だから私、いい方法思いついたんだ」
彼方「いい方法……？」
彼方「ん～？ 何か嫌な予感がするなぁ……」
遥「大丈夫、お姉ちゃんのやる気を引き出すだけだから。ね？」 遥「最近、暑いでしょ？」
遥「だから……考えたんだけどね」
遥「バランスボールを使っての腕立て伏せをして」
遥（5回につき1枚、服を着られる）
遥（それで……その格好で、寝る）
彼方「……遥ちゃん？」
遥（……なんて）
遥「5回で1回、私とキスしよ？」
彼方「も～遥ちゃん……何言ってるの～？」
遥「え～……だめ？」
彼方「だ～め」
遥「……そんなことじゃ頑張れない？」
彼方「頑張れるけど、そういうのは駄目だよ～……」
彼方「………」
彼方「……普通に、したい……」 今日追いついたものです
ありがとう
もう節分の日に家中にらっかせい投げ散らすのやめます 遥「えっ……」ﾄﾞｷｯ
遥（かっ……かわいい……っ！）
遥（そんな切なそうで）
遥（物欲しそうな顔されたら……）
遥「お、お姉ちゃんっ」
遥（どうしよう……）
遥（今すぐしたくなっちゃうよ）
遥（リビングなのに……）
遥「お姉ちゃん、キス……好きなんだね」
彼方「は、遥ちゃんのせいだよ……っ」
彼方「いつも、あんな……キス、するからっ」
彼方「だから、私……」
彼方「………」 遥（お姉ちゃんは黙り込んで）
遥（でも、その手は自分の唇に触れていて……）
遥（言いたいことは……伝わってくる）
遥（キスが好きなんだって）
遥（それは遥ちゃんのせいなんだよって……）
遥（だから、責任を取って欲しいって……）
彼方「………」ﾌｲｯ
遥「そんなの……っ」
ｸﾞｲｯ
彼方「っ」
ﾁｭｯ......
彼方「んっ……」
遥「っふ……っ……」
ﾁｭｯ
ﾁｭﾌﾟ.....
ﾁｭｯ....
遥「っは……」
遥（お姉ちゃんのせいでもあるんだからっ……） 遥（お姉ちゃんがこんなにも可愛いから）
遥（お姉ちゃんがあまりにもえっちだから）
遥（だから、私が好きで好きで大好きで堪らなくなって……）
ﾁｭｯ......
ﾁｭﾌﾟｯ....
ﾁｭｯ
彼方「んっ……っぁ……ぁっ……んっ……」
遥「っは……ん……っ……ふ……」
ﾁｭｯ....
ｶﾞﾀｯ....
ｶﾞﾀﾝｯ
彼方「っは……はっ……は、るかちゃ……」
ﾁｭｯ
ﾁｭﾌﾟｯ.....
遥「……っ……はふ……ふっ……」
遥（後退りして、テーブルにぶつかったお姉ちゃんを、そのまま押し付けてキスをする）
遥（お姉ちゃんは抵抗しなくて）
遥（受け入れてくれて……）
彼方「んっ……っぁ……あっ……んんっ……」
遥（テーブルの揺れる音に交じって、私たちのキスの音がリビングに響いた） 遥「っは……はっ……はぁ……」
彼方「はっ……はふ……ふっ……ふーっ……」
遥「お姉……ちゃん……」
彼方「遥ちゃん……っ……」
遥（お姉ちゃんと見つめ合う）
遥（お姉ちゃんと手を握り合う）
遥（そして……また、キスをする）
遥「好き……好き……っ」
彼方「んっ……わた……しも……っ……」
ﾁｭｯ
ｶﾞﾀｯ.....
ｶﾞﾀﾝｯ
ﾁｭｯ
ﾁｭﾌﾟｯ
彼方「好き……っ……」
遥（お姉ちゃんと混ざり合って、融ける）
遥（体がぽかぽかして……心地よさが満ちていった） 彼方「遥ちゃん……」
遥「お姉ちゃん……」
彼方「……部屋、行こう？」
遥「ダメだよ、お風呂入らなきゃ……」
彼方「じゃぁ……一緒に入ろう……？」
遥（お姉ちゃんの懇願するような声）
遥（寂しくて、切なくて）
遥（物足りなくて……物欲しそうで）
遥（心を惹かれる……）
遥（でも、お姉ちゃんから誘ってくるなんて……）
遥「……いいよ」
遥（ドキドキしちゃう）
遥「一緒にお風呂入ろ」
彼方「ありがと～遥ちゃんっ」 ――――――
―――
遥「お姉ちゃん、疲れちゃってない？」
彼方「大丈夫だよ～……」
彼方「ごめんねぇ……私のわがままで」
遥「ううん、私は嬉しかったから良いんだけど……」
遥（お姉ちゃんから積極的に体を重ねてきてくれて）
遥（私がして欲しいことを全部してくれて）
遥（凄く嬉しかったし、気持ち良かった）
遥「お姉ちゃん、会場でのキスでえっちな気分になってたんだね」
彼方「……えへへ……」
遥「かわいい」
彼方「お姉ちゃんなのに……」
遥「お姉ちゃんでも、可愛くたっていいと思うよ？」
彼方「……でも、遥ちゃんの方が可愛いよ～」
遥「え～？ 今日はお姉ちゃんのほうが可愛かったよ？」
遥「キスもえっちもしたがって……会場で、あんなにもキスしてくれて……可愛かった」
遥「もぅ……どれだけ好きにならせてくれるのって、困っちゃったよ」 遥「……お姉ちゃん」
彼方「ん～？」
遥「外でキスするのは……やめておこう？」
遥「凄く嬉しかったよ」
遥「凄く助かったよ」
遥「でも……人に見られちゃったら、大変だから」
彼方「……うん」
彼方「ドキドキしたけど」
彼方「ふわふわしたけど……でも、ちょっと、危ないことしちゃったかなって、思った」
彼方「好きって……怖いねぇ……」
遥「そうだね」
遥「ちょっと危ないことでも、平気で出来ちゃう……」
遥（周りから疎まれるようなこと）
遥（蔑まれるようなこと）
遥（そんな恋愛だって……できちゃうんだから） 遥「でも、お姉ちゃんが好き」
彼方「遥ちゃんが好き……」
遥（布団の中で、お姉ちゃんと手を繋ぐ）
遥（二人で寝ても十分に広いマットレスの上で）
遥（二人で一人分の幅だけを使って……目を瞑る）
彼方「遥ちゃん……好き」
遥「私も、好き」
ﾁｭｯ.....
ｷﾞｭｯ.....
遥（お姉ちゃんと唇を重ねて）
遥（体を重ねるのは……耐える）
彼方「……今日は、お疲れ様」
遥「うん……ありがと……」
遥（お母さんがいない時間の方が嬉しいだなんて）
遥（きっと、お姉ちゃんが知ったら……怒るだろうなぁ……） ――――――
―――
遥（それからの私とお姉ちゃんは）
遥（狭い家の中の……さらに狭い部屋と）
遥（お母さんがいない時のお風呂でだけ、キスをするようになった）
遥（家を出るのも、料理をするのも一緒に）
遥（外では手を握ったり抱き着いたり抱き合ったり）
遥（そういうのは人前でも平然として……その頻度が多かった日は特に）
遥（帰ってから、熱くて、深くて、激しいキスをしあった）
遥（好きだよって囁きながら、互いの名前を呼び合いながら……キスに耽った）
遥「……お姉ちゃん、合宿楽しみだね」
彼方「そうだねぇ……でも、ちょっと不安」
遥「うん、だよね」
遥（合宿は1泊2日）
遥（その間、お姉ちゃんとキスすることは出来ない） 遥「テスト期間中は、その特訓も兼ねてキス禁止にしたのに……」
彼方「結局我慢できなかったからね～」
彼方「どっちからだっけ～？」
遥「どっちもだよ」
遥（唇を寂しそうにさせてるお姉ちゃんと）
遥（キス出来ない分、体を触れ合わせてた私）
遥（お母さんが家にいるのに、危うく色目を使いそうになったりもして）
遥（もう駄目だって……勉強そっちのけでえっちなことしたし……）
遥「そう言えば、テスト大丈夫だった？」
彼方「ばっちりだよ～」
彼方「むしろ成績あがってた～」
遥「ならよかった」
遥「私も、今回はかなりいい成績取れちゃった……」
遥「スクールアイドル部の中で一番だったんだよ？」
彼方「さっすが遥ちゃん～」 遥「ちゃんとえっちなことして、勉強したからかも」
彼方「そうかもしれないねぇ」
彼方「彼方ちゃん、途中で遥ちゃんのこと気になっちゃって全然頭に入らなかったし……」
遥「分かるかも」
遥「机がお姉ちゃんと隣合わせだから、お姉ちゃんの匂いがして気が気じゃなかったもん」
彼方「も～……遥ちゃんのえっち～」
ｸﾞｲｯ
遥「わっ……」
ｻﾜｻﾜ
ｻﾜｻﾜ.....
遥「ひゃっ……ぁっ……んっ……」
遥「おねっ……おねえひゃんでしょ……っ」 ｸﾞｲｯ
ｸﾙﾝｯ......
ｻﾜｻﾜ
ﾑﾆｭｯ
彼方「っぁ……ん……」ﾋﾞｸｯ
遥「お姉ちゃんのえっちっ」
ｻﾜｻﾜ
ﾁｭｯ
彼方「んっ……遥ちゃんに言われたくないよ～」
ｷﾞｭｯ
ｻﾜｻﾜ....
遥「っぁ……！」
ｺｼｮｺｼｮ
ｻﾜｻﾜ
遥「あふ……ぁっ……あはっ……あはははっ！」
彼方「ほらほら～」
彼方「自分だって認めちゃえ～」
彼方「えっちなのは遥ちゃんだ～」
遥「やっ……あっ……」
ｻﾜｻﾜ.....
ｻﾜｻﾜ....
遥「ずる……ずりゅい……っ、ゃぁっ……あはははははははっ！」 ｻﾜｻﾜ
ﾁｭｯ
ｻﾜｻﾜ
遥「くすっ……擽りながらはっ……ぁっ……」
遥「だめっ……だめぇ……っ……」
ｸﾞｲｯ
ｻﾜｻﾜ
彼方「っぁっ……」
ｻﾜｻﾜ
ﾑﾆｭ....
ｻﾜｻﾜ
ﾁｭｯ
彼方「ぁっ……ん……っ……」
遥「はっ……はぁっ……はぁ……」
ﾁｭｯ
ｻﾜｻﾜ
彼方「んっ……んぅ……っ」ﾋﾟｸｯ
彼方「っは……ぁっ……」
遥「お姉ちゃんが、最初にやったんだからね……」
ｻﾜｻﾜ
ﾑﾆｭ.....
彼方「ぁっ……っ……」ﾋﾞｸｯ
彼方「ごめっ……だめっ……ぁっ……遥ちゃ……」
ｻﾜｻﾜ.....
ﾁｭｯ......
遥「お姉ちゃんが……悪いんだからっ」
ｸﾆｭｯ....
彼方「んんんっ……っ！」ﾋﾞｸﾝｯ 彼方「ぁっ……はっ……はっ……」ﾋﾞｸﾝｯ
彼方「あぁ……」
彼方「………」
ｽｯ.....
ﾊﾟｻｯ.....
ｻﾜｻﾜ
彼方「んっ……」
ﾆﾁｭ......
ﾎﾟﾀｯ.....
ﾎﾟﾀﾀｯ....
彼方「下着替えないといけなくなっちゃった……」
遥「お、お姉ちゃんが悪いんだよっ」
遥「えっちな触り方してくるから……」
彼方「は～る～か～ちゃ～ん……」
遥「お姉ちゃんのえっち」
彼方「………」
彼方「えっちなお姉ちゃんになったのは、遥ちゃんのせいなのに」ﾌｲｯ
遥（えっ……好き……） 遥（お母さんいつ帰ってくるんだっけ……1時間くらいなら出来るかな？）
遥（30分でもいいや……）
遥（もう無理）
ｸﾞｲｯ
彼方「んっ……は、遥ちゃん？」
遥「お姉ちゃんがそんないじらしい態度見せるから……」
遥「私を誘ったの……お姉ちゃんなんだからね……？」
ﾁｭｯ
彼方「んっ……」
遥「30分だけ……30分だけだから」
ｻﾜｻﾜ
ﾑﾆｭ......
ﾁｭｯ
ﾁｭﾌﾟｯ
彼方「ぁっ……」ﾋﾞｸｯ
彼方「んっ……っ……」
彼方「遥ちゃんっ……だめっ……ご飯作らなきゃ……っ」
遥「ご飯より子供作ってよ……っ」
ｻﾜｻﾜｯ
ﾆﾁｭ.....
ﾁｭｯ
遥（作れないけど……作りたいっ）
彼方「っあぁっ！」ﾋﾞｸﾝｯ
遥（そして……結局、1時間たっぷり。お姉ちゃんとえっちに耽った） ――――――
―――
遥（そんな状態で臨んだ、合同合宿初日）
遥（元々虹ヶ咲にいたお姉ちゃん達と違って）
遥（東雲から虹ヶ咲学園へと向かった私達は遅れる形で合流する）
かさね「いやーやっぱり虹ヶ咲は広いなー」
遥（一緒の部屋で宿泊することになるかと思ってたけど）
遥（虹ヶ咲と東雲ではそれぞれ別の部屋が割り振られて……お姉ちゃんとは別々）
遥（良いのか、悪いのか……）
遥（これだけ広いなら、どっか人目につかない場所で……とか）
遥（ちょっと考えちゃう）
ｺﾝｺﾝ
クリス「はーい！」
せつ菜「失礼します」
せつ菜「今日は、終業後というのもあってお疲れかと思いますので」
せつ菜「このまま夕食を作りましょう。ということになったのですがいかがでしょう？」
クリス「そう、ですね」
クリス「そしたら、私達も手伝って……みんなで作りましょう」
かさね「さんせーい」 彼方「遥ちゃん、これよろしく～」
遥「は～い」
遥（賑やかな調理室）
遥（私とお姉ちゃんがいつも使ってるようなキッチンの何倍もの広さがあるこの場所には）
遥（東雲と虹ヶ咲のほとんどのメンバーがいて）
遥（お姉ちゃんとは近く、遠く……程よい距離感を意識して接する）
遥（間違っても、肩を寄せ合ったり手を握り合ったりはしない）
遥「ねぇ、お姉ちゃん」
遥「あとで学校案内して欲しいなっ」
彼方「ん～？ いいよ～夜の学校探検しよっか～」
彼方「お化けが出るかも～」
遥「え～出ないよ～っ」
遥（でも、出てきてくれたら）
遥（気にせず抱き着ける……なんて） せつ菜「学校案内な――」
かさね「せつ菜さん何作ってるんですかー？」
せつ菜「えっ、あぁこれはですね……スープです！」
かさね「スープ……？」
かさね「えっ……？」
彼方「……大丈夫かなぁ？」
遥「あの打ち上げの時に姫乃さんが食べたのって、せつ菜さんが作ったんだね……」
遥（かさねさん、私達の邪魔をすると思って、割って入ってくれたのかな）
遥（でも、何も命まで投げ出さなくても……）
せつ菜「一口いかがですか？」
かさね「えっ……あ……えぇっと……」
かさね「今口にしちゃうと、お腹空いちゃうから止めておくよ！」
かさね「楽しみにとっておくね？ ありがと」 遥（かさねさんうまい……）
遥（せつ菜さん、ちゃんと味見してるのかな……）
彼方「あれ、後で調整しておかないと」
遥「お姉ちゃん食べるの？」
彼方「色は酷いけど毒は入れてないと思うから……」
彼方「大丈夫、小さい頃に自分で作ったものに比べればマシだと思うよ～」
遥「お姉ちゃん……」
遥「案内、出来るよね？」
彼方「あはははっ、大丈夫だよ～」
遥（お姉ちゃんはせつ菜さん達が離れた隙に）
遥（こっそりと味の変更を行ったけれど）
遥（変更の為に一口飲んだ瞬間に見せた苦悶の表情……）
遥（私は絶対に浮かばせたくないな。と……思った） 遥（かさねさんうまい……）
遥（せつ菜さん、ちゃんと味見してるのかな……）
彼方「あれ、後で調整しておかないと」
遥「お姉ちゃん食べるの？」
彼方「色は酷いけど毒は入れてないと思うから……」
彼方「大丈夫、小さい頃に自分で作ったものに比べればマシだと思うよ～」
遥「お姉ちゃん……」
遥「案内、出来るよね？」
彼方「あはははっ、大丈夫だよ～」
遥（お姉ちゃんはせつ菜さん達が離れた隙に）
遥（こっそりと味の変更を行ったけれど）
遥（変更の為に一口飲んだ瞬間に見せた苦悶の表情……）
遥（私は絶対に浮かばせたくないな。と……思った） 遥「いただきますっ」
遥（夕食は、外の開けた場所でのものとなった）
遥（校舎から少し離れた場所に用意した）
遥（テラス席のような……いい景色の見られる食事）
遥（人も多くて、明るくて、にぎやかな……パーティーみたいな感覚）
クリス「このピザ美味しいですっ」
かさね「え～っ、食べる食べる！」
彼方「まだまだあるからどうぞ～」
彼方「遥ちゃんと一緒に生地から作った特製ピザだよ～」
遥（お姉ちゃんと一緒に作ったピザは大人気）
遥（愛さんの作ったチキンや、クリスさんが作ったボロネーゼとかも美味しくて）
侑「これも見た目ほどのインパクトはないけど……」
優理「うそだろ……うゎ……」
ココ「意外に悪くない……っ！」
遥（せつ菜さんのスープも）
遥（お姉ちゃんの影の働きで事なきを得た） 遥（東雲と虹ヶ咲の交流会のような夕食が終わって、後片付け）
遥（二校が協力しての後片付けは手早く終わって）
遥（……出来た時間）
遥「お姉ちゃんっ、探検いこっ」
ｸﾞｲｯ
彼方「そうだねぇ……」
ｶﾁｯ
ｶﾁｯ
彼方「ライトも持ったし～……」
彼方「肝試し開始だよ～」
遥「えへへ……それでもいいよ……」 ｷﾞｭｯ.....
遥（お姉ちゃんと手を繋ぐ）
遥（夏だけど、夜）
遥（広い校舎はちょっぴり肌寒く感じられる）
ｺﾂﾝｯ......
ｶﾂﾝｯ......
遥「音、響くね」
彼方「広いし、私達以外にはいないからね～……」
彼方「た・ぶ・ん」ﾆｺｯ
遥「もし仮に誰かがいても、お姉ちゃんを置いて逃げたりしないからね？」
彼方「え～困るよ～……」
遥「やだ。お姉ちゃんがいない世界なんて、考えられないもん……」
遥「お姉ちゃんが殺されるなら、私も一緒に殺される」
彼方「だったら、彼方ちゃんは超パワーで幽霊をやっつける～」
彼方「えいえいっ」ｼｭｯｼｭｯ
遥「あはははっ、お化けにパンチって効くのかな？」
彼方「彼方ちゃんのパンチは効くんだよ～」
遥「そっか～」
ｷﾞｭｯ
遥（……ちょっとテンション高いお姉ちゃん、好き） ｺﾂﾝｯ
ｶﾂﾝｯ.....
遥「あれ……」
ｶﾞﾁｬｯ
ｶﾞﾁｬﾝｯ
遥「お姉ちゃん、この先が一般棟だよね？」
彼方「だねぇ」
遥「……鍵、かかってる」
彼方「夜だからね～」
彼方「もしかして、私の教室に行きたかったの～？」
遥「うん」
彼方「あははっ」
彼方「だったら残念だけど無理かなぁ」
彼方「部室棟はともかく、一般棟は鍵がかかってるからねぇ」
彼方「いけるとしたら、音楽室とか移動教室で使うところくらいかな～」 遥「そっか……残念」
遥「……お姉ちゃんの教室でキスしようかなって、思ってたんだけど」
彼方「え～……そんなことされたら」
彼方「私、授業に集中できなくなっちゃうよ……」ﾌｲｯ
遥「ぁ……」
遥（お姉ちゃんの手に持っていたライトが俯いて）
遥（運命のような月明かりが私たちの周囲だけを明るくしてくれる）
遥（お姉ちゃんの表情は影になって見えないけれど）
遥（でも……ちょっとだけ見える耳は紅い）
遥「教室で、キスのこと思い出しちゃうから？」
彼方「……うん」
遥「じゃぁ、普段使わない教室行こうよ」
ｸﾞｲｯ
遥「……あんまり、人が来ないところ」 彼方「待って、待ってよ遥ちゃん……」
彼方「今日は我慢するって話だったよね……？」
遥「……やっぱり無理」
遥「お姉ちゃんと別で寝る分……お姉ちゃんを感じておきたい」
遥（人気のない場所）
遥（ちゃんと、誰かに見られることがないようにドアを締めちゃえば……）
遥（安全にキスが出来るはずだから）
彼方「遥ちゃんってば……」
彼方「もぅっ」
ｷﾞｭｯ.....
彼方「………」
遥「お姉ちゃん……？」
彼方「私も……もうちょっと遥ちゃんと近づいていたい」
遥（あぁ……もう、好きっ！） 怖いのはずっと怖い
幸せ描写を連打しながらフラグだけは立て続けてるのホント怖い ｶﾂﾝｯ
ｶﾂﾝｯ....
遥（お姉ちゃんと一緒に、ただでさえ人気のない校舎の中を奥に進む）
遥（どこからか誰かの声が聞こえたけれど）
遥（遠いから……気にしない）
ｷﾞｭｯ.....
ﾆｷﾞﾆｷﾞ
彼方「……遥ちゃん何してるの～？」
遥「お姉ちゃんの手を揉んでるんだよ」
遥「今日はお料理で頑張ってたから……」
彼方「それは遥ちゃんもだよ～？」
彼方「頑張って手伝ってくれたよねぇ」
彼方「ちゃんと出来てて、良かったよ～」
遥「お姉ちゃんが付きっ切りで教えてくれたからだよ」
彼方「それでも頑張ったのは遥ちゃんだもん」
彼方「えらいえらい」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「えへへ～……」 彼方「ここなら大丈夫だと思うよ～」
遥「ほんと？」
ｶﾞﾗｯ
ｷｮﾛｷｮﾛ.....
彼方「大丈夫～」
遥（通路と教室の中）
遥（誰もいないことを確認してから、教室の中に入って鍵を閉め……られない）
遥「これ、鍵なんだ」
彼方「そうみたいだね～」
遥「これじゃ、中から鍵かけられないよ」
遥（万が一……誰かが来たら……）
遥「……やっぱり、やめておく？」
彼方「遥ちゃん……」
遥「絶対に見られないように出来るなら良いかもって思った」
遥「でも、そうできないなら……危ないよ……」 彼方「………」
ｶﾞﾀｯ
ｶﾞﾀﾝｯ.....
彼方「……そう、だよね」
遥（お姉ちゃんは残念そうに近くの椅子を机から降ろして、座る）
遥（机に突っ伏すお姉ちゃんは……普段はあまり見られない）
遥（……私が、期待させちゃったんだよね）
遥「………」
遥「やっぱり、しよ」
彼方「でも」
遥「……一回だけ、あのカーテンで隠せば何とかなるはずだから」
遥「キス……しちゃおうよ」 遥（たとえ、教室のドアが開けられちゃっても）
遥（カーテンで誤魔化せる）
遥（何かしてることは……知られちゃうかもしれないけど）
遥（お姉ちゃんの悲しそうな顔は見たくない）
遥「ほらっ……」
ｸﾞｲｯ
彼方「わっ……ぁっ」
ｶﾞﾀｯ.....
ｷﾞｭｯ....
遥「っと……」
彼方「……っ……」
遥（躓いたお姉ちゃんを、胸で受け止める）
遥（この瞬間だけは、私の方が大きく感じられて……）
ﾁｭｯ......
彼方「んっ……っ……」
遥（見上げてくるお姉ちゃんに、キスをせざるを得なかった……） 彼方「遥ちゃ……」
ﾁｭｯ.....
ﾁｭﾌﾟｯ
彼方「んっ……っは……」
ﾁｭｯ....
ｷﾞｭｯ
ﾑﾆｭ.....
彼方「はっ……はぅ……んっ……」
遥「んっ……」
遥（お姉ちゃんの体を抱きしめながら、キスをする）
遥（カーテンのところになんて、行く間を惜しんで……）
彼方「ダメっ……はるかちゃ……」
ｸﾞｯ.....
ﾁｭｯ
彼方「んっ……」
ﾁｭｯ....
遥「っふ……っ……」
遥（深く……深く……キスをする） 遥（すぐにやめるつもりだった）
遥（本当はカーテンで隠すつもりだった）
遥（でも……そこまでの我慢は出来なくて）
.....ｶﾞﾀｯ
彼方「っ」ﾋﾞｸｯ
遥「ぁっ……」
遥「……はっ、はぁ……」
遥（不意に聞こえてきた音）
遥（慌てて扉の方を見たけれど……音が聞こえたのはそこではなくて）
遥（お姉ちゃんの体がぶつかってた机がさらにぶつかってた別の場所だった）
遥「ふぅ……」
彼方「遥ちゃん……激しすぎだよ～……」
遥「だって……躓いてきたお姉ちゃんが可愛かったんだもん……」
彼方「お姉ちゃんなんだよ～？」
遥「でも、可愛いのは可愛いから……仕方がないよ」 遥「でも、ほんと……ごめんなさい」
遥「私、気を付けるね……」
彼方「ん～ん～……私も、ちょっと遥ちゃん誘惑しちゃったかなぁって……思った」
彼方「意識したわけじゃないんだよ～？」
彼方「でも、私……遥ちゃんとキスできるって思ったら、舞い上がっちゃって……」
彼方「出来ないってなったら、落ち込んじゃって」
彼方「……遥ちゃんとのキス、彼方ちゃん大好きになっちゃったみたい」
彼方「………」
彼方「だから……ね？」
彼方「遥ちゃんとのキスなら、私絶対に拒まないから」
彼方「場所だけは……ちゃんと、考えよう？」
遥「うん……分かった」
遥（かさねさんにだって、言われたことだもんね）
遥「ありがと……付き合ってくれて」
彼方「良いよ～……彼方ちゃんも、本当は別々で寝るの……寂しかったんだ～」
遥（抱き合うことも、やめて）
遥（手だけを繋いで……また、二人一緒に、夜の校舎の中を歩いた） 遥（そして、翌日のことだった）
遥（おいかっけこなんていう、一風変わったランニングを行ったりと）
遥（虹ヶ咲学園の校風に違わない自由な練習メニューをこなした後）
遥（侑さんから、一つの提案があった）
遥（それは一つだけれど……一つじゃない）
遥（とっても大きな話）
遥「スクールアイドルフェスティバル？」
侑「そう！」
遥（ファンも、スクールアイドルも……みんな垣根を超えた大きな祭典）
遥（ファンの目線で、マネージャーとして立っていたからこその案）
侑「どうかな！？」
遥「……色々詰めるべき話はあると思いますけど、いいと思います」
遥（東雲のみんなも乗り気で、参加は間違いない）
遥「そこでなんですが……」ｺｿｯ
侑「ん？」
遥「ファンとアイドルの垣根を超えるなら……学校やグループだって、垣根を越えても良いのではないでしょうか？」
遥（具体的には、近江姉妹のライブとかどうでしょうか。なんて……提案をしてみた）
侑「それっ……すっごく面白いと思う！」
遥（やったっ！） 乙
彼方ちゃんえっちになってきたな…
このペースだともう一つの彼方誕SSの方が先に終わる感じかな？ 彼方「意外にすんなり通っちゃったねぇ」
遥「だってお祭りだもんっ」
遥「ファンとスクールアイドルが一緒になって楽しめるなら」
遥「学校も、グループも……関係なく一緒に楽しめたっていいと思う」
彼方「遥ちゃん、DiverFesの後にやりたいって言ってたもんね～」
遥「……こんなに早く、出来るようになるなんて思ってなかった」
遥「どうしようお姉ちゃん……曲、絶対に間に合わない……」
彼方「私達には作れないよ～」
遥「ううん、私たちで作詞して、作曲はほかの人にやって貰うの」
遥「さすがに作曲までは難しいから……」
彼方「まるで作詞は簡単みたいな言い方だねぇ……」
彼方「出来るのかな～？」
遥「私とお姉ちゃんのラブソングなら……余裕だよ？」
彼方「却下しま～す」
遥「え～……っ」 彼方「え～……じゃ、無いよ～」
彼方「そんなっ、ラブソングなんて……」
彼方「絶対にバレちゃうよ」ﾌｲｯ
彼方「それに～」
彼方「少なくとも、彼方ちゃんは平常心で歌える自信がありませ～ん」
遥（なんで自信ありげに言うのかな……かわいい）
遥（……好き……）
遥「そっか～……」
遥「じゃぁ、デュエットソングどうする？」
彼方「そうだねぇ……ラブソングじゃないのなら、彼方ちゃんも歌えるはず～」
遥「姉妹愛的なのでも駄目？」
彼方「……出来そう？」
遥「私からお姉ちゃんへの気持ちマシマシで良いなら、一晩で出来ると思うよ？」
彼方「私の気持ちも入れて～」
遥「じゃぁじゃぁ……私の気持ちをこの部分に入れて、お姉ちゃんのアンサーをこの辺りに入れるとか」
遥「……タイトルは……大好きだから愛してる。とか」
彼方「わぁぉ直球……却下～」
遥「じゃぁ、Everlastingとか！」
彼方「まぁまぁ……そこはまた後で考えようね～」 遥（私からお姉ちゃんへの気持ち）
遥（それを歌にしちゃったら……きっと、聞いた人みんなに気付かれる）
遥（だから、ダメかな）
遥（もっと普通に……）
遥（でもっ……私がお姉ちゃんを好きな気持ち）
遥（それを……本当の恋だって思う人はどれだけいるんだろう）
遥（そんなことないだろうって……気にしない人の方が多いんじゃないかな……）
彼方「遥ちゃん、もうちょっとオブラートに包まないとまずいかな～」
遥「包んでるんだよ？ これでも」
彼方「ありがと～」
彼方「お姉ちゃんは、こんなにも好きになって貰えて嬉しいよ～」
彼方「でも……歌はやっぱりダメ～」
彼方「彼方ちゃん恥ずか死んじゃう」
遥（だんだんと顔が真っ赤になっていくお姉ちゃん）
遥（可愛くて、好きで）
遥（周りに人がいるのが……これ以上ないほどに、もどかしかった） ――――――
―――
遥（合宿が終わり、日常が戻ってくる）
遥（夏休み真っただ中……唐突に決まったスクールアイドルフェスティバルという企画）
遥（藤黄学園にもその旨を伝えると）
遥（そもそもなぜ、合同合宿に誘ってくれなかったのか。という話になったけれど）
遥（姫乃さんに企画を持ち帰って貰って）
遥（藤黄のスクールアイドル部全員との話し合いをした結果、藤黄学園も無事に参加が決まった）
彼方「私たちのデュエットのこと教えちゃってよかったのかな～？」
遥「自由度の指標としては、良かったと思うよ？」
遥（そのせいというか、おかげというか）
遥（果林さんが姫乃さんからデュエットのお誘いを受けた）
遥（というか、三校での打ち合わせの時に目の前で誘ってたのは……驚いちゃった）
遥「お姉ちゃん、今日はバイト？ 部活？」
彼方「ん～今日も練習かな」
遥「そっか……帰りが先だったら、お夕飯用意しておく？」
彼方「そうだねぇ……あっ、部活終わる時間連絡して」
彼方「一緒に帰れそうなら帰ろ～」
遥「うんっ」 ｶﾀｯ
ｶﾀﾝｯ
ｽﾀｽﾀ....
遥「お姉ちゃん、家出る前に部屋いこ」
彼方「ん～？」
彼方「好きだねぇ」
遥「お姉ちゃんだって」
遥（家の中なら自分の部屋にいさえすれば、見られることは殆どあり得ない）
遥（すぐ隣の部屋にお母さんがいるとしても）
遥（ただ……そう、ただのキスならバレたりしない）
彼方「ちょっとだけだよ～？」
ｽﾀｽﾀ.....
.....ｶﾞﾁｬｯ
ｽｯ
ｶﾀﾝｯ....
.....ﾁｭｯ
彼方「んっ……」
ﾁｭｯ......
遥「っふ……っ……」
遥（1回か、2回……）
遥（家を出る前にキスをする……それが、私達が外で気持ちを押さえるための、手段） 遥（スクールアイドルフェスティバルの打ち合わせは順調に進んで）
遥（どんどん、勢いに乗っていく）
遥（虹ヶ咲学園で募集が行われた、開催地などのアイディア）
遥（ファンの声を聴くというその企画は上手くいって）
遥（かなりの数の応募が来ていたりもするみたいで……）
遥（……それのおかげで企画書も問題なく作成することが出来て）
遥（準備だって、着々と進んでる……）
遥「……デュエット用の舞台を整えに行きたい……」
クリス「遥さ～ん」
遥「あっ」ﾋﾞｸｯ
クリス「遥さんがお姉さんを愛しているのは分かりますが」
クリス「私達もいるということを、忘れないでくださいね」
遥「すみません……」
クリス「いえ」
クリス「練習を疎かにしているわけでも、気を抜いているわけでもありませんし」
クリス「休憩中くらいは、目を瞑りますよ」
クリス「ふふ……耳を塞ぎます。でしょうか」 クリス「それにしても」
クリス「遥さんも、遥さんのお姉さんも」
クリス「本当に、互いを愛しているんですね」
遥「えっ？」
ﾄﾞｷﾄﾞｷ......
遥（……クリスさんには、見られてないはずなのに）
ﾄﾞｷﾄﾞｷ.....
クリス「ふふっ」
クリス「遥さんの退部騒動……起きた原因も」
クリス「取りやめになった理由も、すべてお姉さんによるものだったでしょう？」
遥「そうですが……」
クリス「原因がお姉さんである以上、後者も同じであるのは当然と言えば当然かもしれませんが」
クリス「あんなにも熱心に、そして愛していたスクールアイドルを止めると言うなんて」
クリス「よほどお姉さんを大切に思っていなければ、ありえませんから」
遥（だから、私とお姉ちゃんが家族的な意味で愛し合ってるっていうのは）
遥（周知の事実だって、クリスさんは笑いながら言う）
遥（……家族愛かぁ） 外国人だもんね
ある程度ニュアンス誤解しちゃうよね？そうだよね？ 遥（もし、それが家族愛なんかじゃなくて）
遥（異性間恋愛のようなものだって知られたら……どうなっちゃうんだろう）
遥（クリスさんはカトリックの修道女、だったっけ？）
遥（近親相姦はアウトだよね……同性愛はどうだったかな……）
クリス「遥さん？」
遥「はいっ！」
クリス「っ」ﾋﾞｸｯ
遥（やっちゃった……）
遥「ご、ごめんなさい……考え事してて」
遥「なにか？」
クリス「いえ、ただ茫然としていたので……何かあったのかと思って」
クリス「やっぱり、お姉さんのことが気になりますか？」
遥「えぇっと……」
遥（姉妹恋愛はどう思う？ なんて、友達の話だけどなんて切り出し方もできないし）
遥「お姉ちゃんと二人で歌う曲を作ろうと思っているんです……」
遥「でも、素人だからうまくいかなくて」
クリス「なるほど～」
クリス「お姉さんを大切に思う気持ちを、素直に言葉にしてみたらいかがでしょうか？」
遥（……無理かなぁ）
遥「参考にしますっ」
遥（姉妹恋愛だってバレちゃうもんね……） ――――――
―――
遥（練習終わりの夕方）
遥（お姉ちゃんに連絡すると、まだ準備中だって返事が返ってきて……今から行くから。って、返して急ぐ）
遥（歩かずに走って、タクシー……はさすがに使わないけど）
遥（可能な限り全力で行くと、お姉ちゃんと……）
遥（知らない人達がいた）
遥「あの～……」
彼方「遥ちゃ～ん！」
ﾀﾀﾀﾀｯ.....
ｷﾞｭｰｯ
遥「お、お姉ちゃんっ？」
彼方「大丈夫～」ﾎﾞｿｯ
遥（全速力で駆け寄ってきて、抱き着くお姉ちゃん）
遥（お姉ちゃんと一緒にいた人たちは、微笑ましそうに私達を見ているだけで……特には何も言ってこない）
彼方「癒される～……」
遥「お疲れ様、お姉ちゃん」 彼方「みんなウチの生徒なんだよ～」
彼方「彼方ちゃんのライブ、好きなんだって～」
遥「そうなんだ……」
遥（お姉ちゃんのライブが好き？）
遥（お姉ちゃんが好きなんじゃなくて？）
ﾁﾗｯ
遥「………」
遥「舞台演出用の……手伝ってくれてるんだね」
彼方「そうなんだよねぇ」
彼方「みんなで力を合わせて、作りたいって」
遥「……だったら、やっぱり私も手伝うよ」
彼方「でも、大丈夫？」
遥「練習してるのはお姉ちゃんも一緒でしょ？」
遥「それに……私とお姉ちゃんでライブする大切な舞台でもあるんだから手伝いたいよ」
遥（お姉ちゃん、汗かいてるから良い匂いする……）
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝｯ
遥「少しくらい、良いよね？」
彼方「ん～……じゃぁ、一緒にやろ～」
遥「うんっ！」 遥（お姉ちゃんのファンの人達は、お姉ちゃんとくっつく私を睨むこともなく）
遥（それどころか、嬉しそうな顔をしているだけ）
遥（お姉ちゃんが好きだけど）
遥（私とは違う意味なのかもしれないと……ちょっぴり安心）
遥「これ、こうしたらいいのかな」
彼方「えぇっとねぇ……」
遥（どうしたらいいのか）
遥（お姉ちゃんでも迷う部分を補ってくれたり、教えてくれたり）
遥（順調に作業は進んで……時間が立つのも忘れちゃったりして）
彼方「今日はここまでだね～」
遥「うん……そうだね」
遥（何事もなく、その時間は終わった） いつもありがとうございます。
読み応えあって、今後どうなるのかドキドキです。 遥「お姉ちゃん……ごめんね」
遥「私……」
彼方「別に怒ったりはしてないよ～？」
彼方「むしろ……嬉しかったかなぁ？」
遥「嬉しい……？」
遥（お姉ちゃんは笑顔で言うと、私の手を握る）
遥（夏の暑さなんて関係のない）
遥（柔らかくて優しい、温かい手）
彼方「嫉妬……してくれたんでしょ～？」
遥「うん……」
遥（何でもない、普通のファンだった）
遥（そんな人達に嫉妬しちゃってた……なのに）
彼方「……ありがとね～」
遥（ずるい……好きっ！） 彼方「でも、本当に大丈夫だから安心して良いよ～」
遥「うん……信じる」
遥「信じてるけど……でも」
遥（私が見ることの出来ないお姉ちゃん）
遥（それをあの人たちが見られているということに、嫉妬しちゃう）
遥「………」
...ｷﾞｭｯ
彼方「も～……」
遥（手を握り返すと）
遥（お姉ちゃんは嬉しそうな声を漏らして……また、手を握り返してくれる）
遥（そうして……）
ﾄﾝｯ.....
遥（体がぶつかるくらいに、距離を縮めてくれる）
彼方「彼方ちゃんだって……東雲のみんなに嫉妬してたりするんだからね～？」 遥「そう、なの？」
彼方「そうだよ～」ﾆｺｯ
遥「そう、なんだ……」
遥「………」
遥「……えへへ」
ﾃｸﾃｸﾃ...
ﾄﾝｯ
ｷﾞｭｯ
遥「そっかぁ……」
彼方「そうだよ～？」
彼方「だから……いっつも、したいって思っちゃってたり」
ﾆｷﾞﾆｷﾞ.....
ﾆｷﾞﾆｷﾞ......
遥（お姉ちゃんは照れ隠しのように、手を握ってくる）
遥（それが可愛くて……好きで……思わず笑っちゃうと）
遥（耳の赤いお姉ちゃんがちらっと見てくる）
遥「……私も、いっつもしたいって思ってるけどね」 遥（好き）
遥（大好き……）
遥（愛してる）
遥（この気持ちは絶対、誰にも負けないって自負がある）
遥「好きだよ。お姉ちゃん」
彼方「ん……私も好きだよ～」
ﾆｷﾞﾆｷﾞ....
ｷﾞｭｯ
遥（愛を囁いて、手を握り合って）
ﾁﾗｯ
彼方「………」
遥「……えへへ」
彼方「えへへ～」
遥（見つめ合って、照れ臭く笑う）
遥（私の大好きな、帰り道） >>1の説は説得力がある。
わたしの一家は家庭崩壊で離散や死別をしているから、好きになる方の実感は無いけれど。 ――――――
―――
遥「ただいま～」
彼方「おか――」
遥（いつもの二人でのただいまおかえり）
遥（それをしようとした矢先に割り込むお母さんの声）
遥（今までは嬉しかったその声も）
遥（お姉ちゃんとの関係が進展してからは……うん）
遥（それは思っちゃダメなことだよね）
遥「お母さん、居たんだね」
遥（これから夜勤に出るって返ってくると）
遥（思わず笑顔になりかけて、首を振る）
遥「そっか……ご飯食べていく？」
彼方「ささっと作るよ～？」
遥（お姉ちゃんはそう言ったけど）
遥（無理させるのも悪いからって）
遥（簡単なものは作っておいたというお母さん）
遥（お皿に盛られていたのは、ちょっぴり水分多めのチャーハンだった） ｶﾁｬｶﾁｬ.....
ﾓｸﾞﾓｸﾞ.....
遥（お姉ちゃんのチャーハンの方が美味しい……）
遥（なんて）
遥（夜勤に出かけたお母さんを見送ってから、手を付けたチャーハン）
遥（一口で浮かんだその感想はご飯と一緒に飲み下して）
遥（お姉ちゃんのお料理が食べたかった。って欲求不満な体を宥めるようにお姉ちゃんを見る）
ﾁﾗｯ
ｼﾞｨｨｨ.......
彼方「ﾓｸﾞﾓｸﾞ……」
彼方「………」
彼方「……どうしたの～？」
遥「……お姉ちゃんを見ながらなら美味しさが増すかなって」
彼方「え～？」 ｶﾁｬｶﾁｬ
遥「ﾓｸﾞﾓｸﾞ……」
ｶﾁｬｶﾁｬ....
ｶﾁｯ.....
彼方「変わる～？」
遥（お姉ちゃんが口に含んでからなら……）
遥「うん……少し良い感じになる」
遥（どうしよう、この前勉強したえっちな動画のせいかな……）
遥（口移しだと思うと美味しく感じちゃう）
彼方「遥ちゃんにとっては、彼方ちゃんはおかずか何かなのかな～？」
遥「うん」
彼方「即答かぁ……」
遥（夜だけじゃなくて……）
遥（あっ、今も夜だった）
遥（じゃぁセーフかな） 遥「ねぇお姉ちゃん……」
彼方「ん～？」
遥「今日、お母さん夜勤だね」
彼方「そうだねぇ」
遥「……二人きり、だね」
彼方「……明日に支障がない程度なら良いよ～」
遥「ありがとっ、好き！」
ｶﾞﾀｯ
ｷﾞｭｯ.....
彼方「わっ……」
彼方「も～……危ないよ～？」
遥「だって、好きなんだもん」
彼方「私も好きだよ～」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「それに私も、ちょっとだけ……」ﾎﾞｿｯ
遥（遠回しに言っても、察してくれるお姉ちゃん）
遥（自分もだって耳元で囁くえっちなお姉ちゃん）
遥（好きすぎて、朝までしちゃいそう……）
遥（我慢、出来るかな……） 遥（大好きなお姉ちゃんが、私もしたい。なんて言ってきてくれた合意の上でのえっち）
遥（もちろん、合意じゃないえっちなんてしないけど）
遥（当然ながら……一回だけでやめようね。なんて口約束がまともに機能するわけがなくて）
彼方「んっ……ぁっ……あぅ……」
ｸﾌﾟｯ....
ﾆﾁｭｯ
遥「……ほら、お姉ちゃんどんどんえっちなのが溢れてきてるよ？」
彼方「言わないで……」
遥「だって……言ったほうがお姉ちゃんえっちになるんだもん」
彼方「も～……」
ｸﾁｭ.....
ｸﾆｭｯ
彼方「んんっ」ﾋﾞｸﾝｯ
遥（言葉責めに弱い、お姉ちゃん）
遥（キスしながらだと、少し強く震えるお姉ちゃん）
遥（かわいい）
遥（何もかもがえっちで……綺麗で、イヤらしくて）
遥（破廉恥……）
遥（でも、だけど、だとしても、それでも）
遥（だから、しかし、なのに、にもかかわらず）
遥（そんな接続詞なんて不必要なくらいに）
遥（私はお姉ちゃんが好きで好きで大好きで堪らない） 遥「ねぇお姉ちゃん」
彼方「なに……？」
遥「エッチな道具、買っても良い？」
彼方「だめ」
遥「え～？」
遥（即答するえっちなお姉ちゃん）
遥（淫靡な汗に塗れたお姉ちゃんはあまりにも卑猥で）
遥（頬を赤く染めながら顔を背けるのが可愛くて……）
ﾁｭｯ
彼方「んっ……」
ﾁｭﾌﾟｯ
ﾁｭｯ
遥「っは……」
彼方「っふ……っ……」
遥「どうして？」
彼方「家にそんなの置いておいて……バレたとき終わっちゃうから」
遥「そっか……」 遥（目がちょっと逃げたから……嘘とほんと）
遥（良い言い訳を見つけたって、ところかな？）
遥（かわいい……好き）
ｻﾜｻﾜ.....
彼方「頭撫でないで～」
遥「お腹撫でて良い？」
彼方「えっち……」
遥「私をえっちにっさせたのは、お姉ちゃんだけどね」
彼方「もぅ……」
遥（呼吸で揺れるえっちな乳房）
遥（また少しだけ、想いを流れ出させる秘部）
遥（上気した頬、潤んだ唇）
遥（ぜーんぶ、大好き）
遥「じゃぁ、今度ホテル行ってみない？」
彼方「だーめ」
遥「……じゃぁ、小さめのえっちな道具買っていい？」
彼方「好きだねぇ……」
遥「お姉ちゃんのえっちな声と体と匂いと……何もかも好きだよ」 彼方「……高いの、買っちゃだめだよ？」
遥「2000円くらい」
彼方「ん～？ 調べたね～？」
遥「えへへ」
遥（私のスマホの検索履歴は、えっちな道具でいっぱいいっぱい）
遥（えっちな動画とかもあるけど）
遥「卵型とか、色々あるんだけど」
遥「その卵型のにしようかなって思ってる」
彼方「目星までつけちゃって……もぅ……えっちなんだから……」
彼方「半分、出してあげる」
彼方「その代わり、先攻は彼方ちゃんだよ～？」
遥「いいよ」
遥（少しずつ、えっちなことに積極的になって来たお姉ちゃん）
遥（でも、結局私が責め勝っちゃうんだけどね）
遥（力負けするけど……技で勝てばいいんだもん）
遥「それはそうと……もうちょっとえっちして良い？」
彼方「もうほとんど1時間経ってるよ……？」
遥「お姉ちゃんの身体だって、まだまだ物足りないでしょ？」
彼方「……っ……」
彼方「……ぅん」
遥（恥ずかしそうに頷くお姉ちゃん）
遥（あぁもう……好きっ！） 遥（1時間だなんて無理）
遥（普段は我慢しなくちゃいけない分）
遥（互いに嫉妬しちゃった分）
遥（汗と、普通じゃない粘性のある液体に塗れた体をこすり合わせて……）
遥（唾液を交換するかのような深いキスをして）
遥（みっちりと時間をかけて……互いの体を重ねて愛し合った）
遥「お姉ちゃん、一緒にお風呂入ろ～」
彼方「ん……ゃ……無理……」ﾋﾟｸﾝｯ
彼方「2回戦は……無理だよ～……」
遥「一緒にお風呂入るのが2回戦とは限らないのに」
彼方「それ、前回も前々回も聞いた……んっ……」ﾋﾞｸﾝｯ
遥（好き）
遥（大好き）
遥（子供産ませたい）
遥（子供産みたい）
遥（まだ処女なお姉ちゃん）
遥（でももう、心は非処女なえっちなお姉ちゃん）
遥（明日にでも、女の子同士で妊娠させられる画期的な研究が発表されないかな……）
遥「大丈夫。今度こそは平気だから」
彼方「え～……」
遥（でも結局――お風呂を出たのは1時間後だった） ――――――
―――
遥「届いたー！」
遥「ほらお姉ちゃん、届いたよ～！」
彼方「嬉しそうだねぇ」
遥「たった二日だよ？」
遥「そんなに早く届いちゃった……」
彼方「う～ん……」
遥（困り顔のお姉ちゃんもかわいい）
遥（なんて……）
ｶﾞｻｶﾞｻ
ﾋﾞﾘｯ
ｶﾀﾝｯ
彼方「………」
彼方「おやぁ？」
遥「どうかした？」
彼方「ねぇ遥ちゃん……買ったのは振動するやつだったよね？」
遥「うん、小型のやつ」
彼方「じゃぁ、この一緒に入ってる下着は？」
遥「そのローターを仕込むポケット付き下着」
彼方「遥ちゃん、何させる気なのかな～？」
遥「えへへ」
彼方「えへへ。じゃないかな～……」 遥「大丈夫」
遥「それ付けて外出るとか、お料理させるとか」
遥「そんな危ないことはしないよ」
彼方「そんなすらすら出てきちゃうんだねぇ……」
遥「勉強したからね」
彼方「そっかぁ……」
遥（えっちなお勉強は沢山したから大丈夫）
遥（やってみたいって思ったことがいくつかあったし）
遥（やったら危ないってこともちゃんと分ったから）
遥「お姉ちゃんとえっちなことするの好きだけど」
遥「でも、こうして一緒にいられるだけでも幸せではあるから……だから」
遥「離れ離れになるようなリスクはおかせない」
遥（お姉ちゃんは犯すけど）
遥（なんちゃって……）
遥「これはひとまず置いておいて……もうすぐあるフェスのための話しようよ」 遥（お姉ちゃんだけじゃなくて）
遥（虹ヶ咲、藤黄、東雲の三校が協力して開催するスクールアイドルフェスティバル）
遥（その中で私とお姉ちゃんはデュエットする）
遥（そのための、話）
遥「MCどうしよっか」
彼方「漫才でもする？」
遥「え～……」
遥「ベッドの上で二人一緒におしゃべりするのとかどうかな」
遥「なれそめとか……」
遥「まるで、恋人みたいなお話」
彼方「バレちゃわないかな～？」
遥「姉妹愛、姉妹愛」
彼方「それで納まるかなぁ？」 遥「いっそ、恋人も恥じらうようなラブラブなお話してみちゃおうよ」
遥「どうせ……周りから見れば私達は姉妹で、女の子で」
遥「仲が良いんだなぁ……くらいにしか思われないんだから」
遥（みんなはきっと " それはありえない " なんて固定観念で考えない）
遥（私とお姉ちゃんが身も心も好き合っていて）
遥（すでに愛し合った仲で）
遥（将来……ううん、生涯を誓いあった仲だって）
遥（疑いもしない）
彼方「こうしたいな、ああしたいな」
彼方「こうしたんだよ、あんなことがあったんだよ」
彼方「そんな話をベッドの上でするの？」
遥「うんっ」
遥「ステージのセットとしてベッドを置いておいて、二人並んで寝たり座ったりした状態で話すの」
遥「どうかなっ」 彼方「う～ん……」
彼方「彼方ちゃんと遥ちゃんで歌う曲的には……悪くないかもしれないけど～……」
遥（そう、このために作り上げた私とお姉ちゃんの愛の歌）
遥（もちろん、オブラートじゃ破れちゃうから）
遥（アイアンメイデンに押し込んで大好きを限りなく抑えたラブソング）
彼方「でも、なんだかちょっと恥ずかしくなっちゃうかも～」
遥「恥ずかしい？」
彼方「だって……」
......ｷﾞｭｯ
遥「お姉ちゃん……」
彼方「ほら、いっつもベッドの上で……した後にそういう話してるから……」ﾌｲｯ
遥（えっ……好き……）
遥（思い出して赤くなってるお姉ちゃんかわいい）
彼方「歌、ちゃんと歌えるか不安になっちゃうなぁ……」
遥「それはそれで、ちょっといい感じになりそうじゃないかな？」
遥「……そうだ」
遥「歌いだしをベッドの上で寝ながらッていうのはどうかな」
遥「歌いだしは寝てて……ゆっくり起き上がりながら歌い続けて」
遥「それで……立ち上がって二人で手を取り合って踊りながら歌う」
彼方「ミュージカルかな～？」
遥「あはは……確かに」 > 遥（もちろん、オブラートじゃ破れちゃうから）
> 遥（アイアンメイデンに押し込んで大好きを限りなく抑えたラブソング）
オブラートで包む程度じゃ無理だろって思ってたらアイアンメイデンってｗ >>674
ここの遥ちゃんがあっちに出張してる感じだからなぁ
もう少し待とう もしかしてこれも短編集の人なのか
同じキャラで並列は難しそうだし向こうが区切りついたら再開かな 夜這いする遥ちゃんのやつ含めて彼方ガチ勢による犯行でしょ 遥「いっそ、派手なダンスは無しで穏やかに歌うだけっていうのもいいと思う」
遥「お姉ちゃんと私のデュエットだから……ベッドの上で座ったまま」
遥「体を少し動かす程度の振りで、眠気を誘うような感じ」
彼方「ふむふむ～……」
彼方「遥ちゃんはそれで物足りなかったりしない？」
遥「ん～」
遥「私はお姉ちゃんがいてくれるならそれで大丈夫だよ？」
遥「普段と違ったライブって感じで、特別感あるし」
遥（普通の人たちにとっては、たぶん）
遥（なんだこのライブ、なんだこのスクールアイドル）
遥（そんな印象を持たれるかもしれないけれど）
遥（でも、そんな人たちがこういうのもあるんだ。って、思ってくれるような優しくて温かいライブ）
遥「お姉ちゃんがえっちな気分にならないならだけどね？」
彼方「も～……そんなことにならないよ～」 遥「さっき恥ずかしいって言ってたのに？」
彼方「言ったけど……」
彼方「……っ……」
彼方「にやにやするのだめ～っ！」
ｸﾞｲｯ
ﾑﾆﾑﾆ
遥「おねえひゃ……ひゃはひぃ……」
彼方「遥ちゃんのせいなんだからね～……」
彼方「いっつも、したあとにあんな……ドキドキさせるようなこと言ってくるから……」
遥（恥ずかしがって、顔背けるのかわいい……無理、好き）
彼方「ベッドの上ってだけで、ドキドキするようになってきちゃったんだよ～？」
彼方「も～……」
ﾑﾆﾑﾆ
ｸﾞﾆ......
遥「おねぇひゃん……」
彼方「責任、ちゃんと取ってね……？」ﾌｲｯ
遥（好き）
遥「あひゃりまへはよ～」
遥（もちろん、結婚するよ） ｸﾞｨｨｨ.....
ﾊﾟｯ
遥「っは……ひりひりする」
彼方「遥ちゃんが悪いんだよ～？」
遥「……顔赤いよ？」
彼方「………」
遥「する？」
彼方「今日はお休みって決めたのに……」
彼方「夏休みの宿題するんじゃなかったかなぁ？」
ﾓｼﾞﾓｼﾞ
ﾓｼﾞﾓｼﾞ
遥「………」
遥（口で言いつつ、体が物欲しそうにしてるのすっごくえっち）
遥（かわいい）
遥（好き……押し倒したい）
遥「お姉ちゃんはもう終わりかけだっけ？」
彼方「うん……だから～、遥ちゃんがメインだよ～？」
遥（メインディッシュは間違いなくお姉ちゃんでは？）
遥（食後のデザートとしては、ちょっぴり濃厚すぎるよ）
ｺﾞｸｯ
遥「だよね……」 遥「とりあえず、ライブの演出は静の感じで良いんだよね？」
彼方「遥ちゃんが良ければ私は良いよ～」
彼方「彼方ちゃんは初めからそのつもりだからねぇ～」
遥「じゃぁそれで決まり」
遥（細かい部分は実際にどうなるかを確認する必要があるけど）
遥（大まかな部分はそんな感じで……）
遥「じゃぁ、さっさと宿題終わらせてえっちしよっか」
彼方「遥ちゃん、率直すぎるよ～？」
遥「……ベッドで抱き合おうよ」
彼方「変わってないかなぁ？」
ｷｼｯ......
ｷｼｯ
ｶﾀｯ
ｶﾀﾝｯ
彼方「………」
遥「欲しがりなお姉ちゃんも、私大好きだよ」
ﾁｭｯ
彼方「んっ……」
ｶﾞﾀｯ
ﾎﾟｽｯ
彼方「っ……遥ちゃん、だめ……っ」
遥「赤信号、二人で渡れば怖くない」
ｻﾜｻﾜ....
ｻﾜｯ
彼方「んっ……っぁ！」ﾋﾞｸｯ
彼方「はっ……はぁ……」
彼方「赤はだめだよ～……んっ！」
遥（赤は赤でも真っ赤なリンゴ）
遥（いただきます）
遥「ちょっとだけ、ちょっとだけだから」
遥（――なんて言いつつ）
遥（数時間潰しちゃったのは、お姉ちゃんとの秘密） 璃奈「産みたいし産ませたい、そんなあなたにおすすめの発明がある…」 遥「ねぇお姉ちゃん」
遥「少し思ったんだけど、言っていい？」
彼方「ダメそうな話かな～？」
遥「だめというかなんというか」
ﾓｿﾞﾓｿﾞ.....
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝ
遥「このマットレス……もうえっちな匂いがしみついちゃってない？」
彼方「え～？」
彼方「さっきしたからじゃなくて～？」
遥「カバーとか変えたし、違うと思う」
彼方「どれどれ～？」
ｽﾝｽﾝ
彼方「あぁ……」
ｽﾝ.....
彼方「あ～……」
遥「ね？」
彼方「消臭スプレーやってるんだけどなぁ……」
遥「お姉ちゃんがドキドキしちゃうのってこれが原因じゃないかな？」
彼方「そっかぁ……責任とってくれないのか～……」
遥「そ、そういう話じゃなくて！」
遥「ライブ！ これならライブの方で用意するベッドでは問題ないんじゃないかなっ」 彼方「ん～……」
ｽﾝｽﾝ
ｽﾝｽﾝｯ
遥「そう思わない？」
ｸﾞｲ.....
遥「……お姉ちゃん？」
ｽﾝｽﾝ
ｷﾞｭｯ
遥「どうしたの？」
彼方「ベッドが違ってても～そこに遥ちゃんがいるなら……」
彼方「彼方ちゃんは、ドキドキしちゃうかなぁ……」
遥「もぉ～……もう一回されたいの？ しちゃっていいの？ 宿題やる元気なくなっちゃうけど」
彼方「じゃぁ、遥ちゃんの宿題が終わってからね～」
遥（それって……終わらない限りお預けってこと？）
遥（お姉ちゃんをえっちな気分にしたまま……？）
遥（それはそれで……えっちだよね）
遥「来週までかかっていい？」
彼方「彼方ちゃんにだって、もう一人くらい愛してくれる女の子が――」
遥「やるっ、今日中にやるからそれはだめぇっ！」
彼方「えへへ～……よしよし～」
彼方「あんまり焦らしちゃ……だめだよ～？」ﾎﾞｿｯ
遥（本当に悪いのは私じゃなくてお姉ちゃんだよね……っ！？）
遥（でも好き！） >>691
もう愛してくれるのは「女の子」で確定なんだな彼方ちゃん 遥「でも、お姉ちゃん私のにおいでダメになっちゃうの？」
彼方「ダメになっちゃうわけではないよ～」
彼方「ただ、こう」
彼方「汗かいてるときは、ちょっと……思い出しちゃうかなぁ」
遥「なるほどね～」
遥（えっちしてる時も汗をかいてるから）
遥（そのにおいを思い出しちゃって……って感じなんだ）
遥（……お姉ちゃん、えっちな女の子になりすぎじゃないかな）
遥（そんなところも、かわいくて好きだけど）
彼方「ライブで汗かいてたら……ちょっとドキドキしちゃうかも～」
ｽﾘｽﾘ
ﾑﾆﾑﾆ
ﾎﾟｽﾝｯ
彼方「………」
遥「膝枕してて、えっちな気分にならない？」
彼方「少し～……」
遥「ねぇ……」
遥「もしかして、えっちの後膝枕してたから……とか」
彼方「遥ちゃんのせいだねぇ……」
遥「えっちな妹でごめんなさい」
彼方「許してあげる～」
遥「それはそうと……お夕飯、ロールキャベツだっけ。手伝うよ」
彼方「ありがと～」
彼方「でもその前に、宿題だよ～？」
遥「は～い」
遥（早く終わらせちゃおうっと） ――――――
―――
遥（お姉ちゃんとえっちしたり）
遥（ライブの準備したり）
遥（内容の詰め込みをしたり）
遥（練習したり）
遥（えっちなこと考えたり）
遥（えっちなことをしたり）
遥（そんなこんなで……日にちは過ぎていって）
遥（すっかり性的な匂いに満ち満ちたマットレスに悶々としながら）
遥（私達はついにその日を迎えた）
遥（スクールアイドルと、ファンと）
遥（みんなが楽しめるお祭りのようなライブ）
遥（スクールアイドルフェスティバルの開催日！） 彼方「遥ちゃん、お弁当はみんなと食べる予定で変わらないんだよね？」
遥「うん、残念だけど時間的にそうなっちゃうかな」
遥「東雲のグループ楽曲の後……お姉ちゃんのライブ見に行くからね」
彼方「私も遥ちゃんのライブ見たかったなぁ」
遥「全部終わった後、お姉ちゃんのためだけにライブ開いてあげるよ」
遥（お姉ちゃんに愛……）
ﾌﾙﾌﾙ
遥（……だめだめ）
遥「ライブ、見せ合いっこしようよ」
遥「生では見られないけど、生放送では見られるから」
遥「画面越しに、お姉ちゃんの視線を感じさせて」
彼方「難しいこと言うねぇ」
彼方「でも、送ってあげるよ～」
彼方「あ……でも～」
彼方「遥ちゃんはあんまり送ってこないでね～？」
彼方「ドキドキしちゃうから」
遥「え～……一瞬でも目を離したくないのに」
ｼﾞｨｨｨ.......
ｼﾞ~.....
彼方「っ……」
遥「………」
彼方「だめ……」ﾌｲｯ 遥（顔が赤いお姉ちゃん）
遥（背けても、耳まで赤いからはっきりわかる）
遥（目を瞑っても）
遥（普段よりも浅く多い呼吸で分かる）
遥（かわいい）
遥（お姉ちゃんなのに、かわいい）
ﾄﾞｷﾄﾞｷ
ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥（反則だよ……）
彼方「もぅ……遥ちゃんが見つめるから……」
ｻﾜｻﾜ
ﾑﾆﾑﾆ
彼方「キス、させて貰うからね～……」
遥「もっと、ドキドキしちゃうのに？」
彼方「遥ちゃんを道連れに出来るなら……もう少しドキドキしたっていいよ～」
遥「も～……お姉ちゃんのこと、好きにしたくなっちゃう」
ﾁｭｯ
ﾁｭﾌﾟ......
遥「っは……」
ﾁｭｯ
彼方「んっ……」
遥（止まらなきゃ）
遥（今日だけは……止めなきゃダメ）
ｽｯ.....
遥「お姉ちゃん」
遥「夜、覚悟しておいてね」
彼方「……期待、してる」
ﾁｭｯ
遥「っ……」
遥（もぅ……大好き） 遥「頑張ろうね、お姉ちゃん」
彼方「うん、それと……楽しも～」
遥（私たち二人だけじゃない）
遥（侑さん達、虹ヶ咲の同好会のみんながいて）
遥（姫乃さん達、藤黄のみんながいて）
遥（東雲のみんながいて……ファンの人達がいて）
遥（まだファンに出来ていない人達もいる）
遥（そのみんなが、楽しめるように）
遥「……いこっか」
彼方「ドキドキするねぇ」
遥（家を一歩出たときから、私たちのお祭りは始まる）
遥（それはまるで、遠足に行くかのようなときめきを感じる）
遥「………」
ｽｯ.....
遥「じゃぁお姉ちゃん、始めよう」
遥「私とお姉ちゃんの……百合営業」
彼方「営業かぁ～……」
彼方「迫真の演技になっちゃうから、女優賞貰えちゃうかも～？」
ｷﾞｭｯ
遥（笑いながら、堂々と）
遥（手を繋いで――飛び出していく）
遥（今日は積極的でも、大丈夫！） ――――――
―――
遥（……速度制限でお姉ちゃん達のライブが見れない……）
クリス「盛り上がっていますね」
遥「ふぇっ」ﾋﾞｸｯ
遥「そ、そうですねっ」
遥「学校も、アイドルも、ファンも、地域も」
遥「たくさんを巻き込んだ、お祭りだから……」
遥「各所で行われるスクールアイドルのライブ」
遥「いろんな人達が、いろんな場所で、いろんな歌を聴く」
遥「インターネットの動画配信を除けば、こんなにも大々的なライブはそんなにないと思う」
ﾜｰｯ......
ﾂｷﾞﾊ.....
クリス「去年までの私たちではあり得なかった」
クリス「……こういう楽しみ方もあるだなんて」
クリス「なにより、それを実現させるなんて」
クリス「虹ヶ咲学園は、思っていたよりもずっと素晴らしい所でしたね」
遥（それはそうだよ）
遥（だって……お姉ちゃんがいますから）
遥（なぁんて） 遥「………」
遥「……虹ヶ咲を選ばなかったこと、後悔しているんですか？」
クリス「ふふふっ」
クリス「いえ、後悔はしていません」
クリス「ですが、もしも……私に勇気があったなら。と」
クリス「私が留学するとなったとき、虹ヶ咲学園も候補の一つに上がっていたんです」
クリス「しかし私は掲げる校風に気後れしてしまって……東雲を選んだ」
クリス「せっかく留学するのだから……そう、踏み出していたら」
クリス「私もまた、遥さんのお姉さんたちのようになっていたのかと……少し思います」
遥（クリスさんは楽し気に話す）
遥（本当に後悔しているようには見えない）
遥（クリスさんがもしも虹ヶ咲に行ってたら……また少し、違ってたのかな）
遥（……お姉ちゃんが甘える人が増えてたかな）
遥「……でも、クリスさんがいるのはここですよ」
遥「今は、東雲のスクールアイドルとして楽しんでくださいね！」
遥（クリスさんも、三年生）
遥（今年が最後だから） ――――――
―――
遥（次はお姉ちゃん……）
遥「かさねさんっ、自転車借ります！」
かさね「えっ？」
かさね「えぇっ！？」
ｷﾞｬﾘｷﾞｬﾘ......
ｶﾁｶﾁｯ
ｶﾞﾁｯ
ｶﾞﾁｬﾝｯ
ｷﾞｬﾘｷﾞｬﾘ......
かさね「ちょっとぉーっ！？」
かさね「もー……」
かさね「………」
かさね「まぁ、いいけどね」
かさね「遥ちゃん、次って……」
クリス「ええ、お姉さんとのデュエットですね」
クリス「提案されたときは驚きましたけど、なるほど。良いライブになりそうです」
かさね「そうだね」
かさね「すっごく楽しそう」
かさね「あれなら、聞いてる人も見ている人もみんな楽しめると思うよ」 ｷﾞｬﾘｷﾞｬﾘｷﾞｬﾘ.......
ｶﾞﾁｬｯ
ｶﾁｯ
ｷﾞｬﾘｷﾞｬﾘ
遥（かさねさんの自転車、錆び錆び……）
遥（でも、おかげで間に合う）
ｶﾞﾁｯ
ｶﾁﾝｯ
遥「はふ……ふぅ……」
遥「………」
彼方「あ……」
遥「えへへ～」
遥（ステージの上にいるお姉ちゃん）
遥（綺麗な衣装を着て）
遥（歌い、踊って）
遥（時々、ベッドに横になるお姉ちゃん）
遥（見てるよ～？）
彼方「っ……」
遥（赤くなっちゃって……かわいい） 遥（好き）
遥（お姉ちゃんが好き）
遥（………）
ﾁﾗｯ
ﾅﾆｱﾚｰ
ｶﾅﾀﾁｬｰﾝ.....
遥（ここにいる誰よりも）
遥（ここにいない誰よりも）
遥「好きーっ！」
彼方「！」ﾋﾞｸｯ
遥「大好きーっ！」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ
ｻﾞﾜｻﾞﾜ
遥（衆人環視の中）
遥（関係なく、全力で叫んでみる）
彼方「は、遥ちゃん……」
遥（真っ赤なお姉ちゃんかわいい）
遥（好き、大好き、愛してる）
ﾄﾞｷﾄﾞｷ.....
遥（思い合う姉妹の歌）
遥（その前口上だとでも思って貰えるはず）
遥（……思われなくても良いけど）
遥「お姉ちゃんが――好きーっ！」 ﾀﾀﾀﾀｯ
ｶﾞﾀｯ
ｶﾀﾝｯ
遥（駆け寄って、ステージに飛び上がる）
遥「お姉ちゃん、来ちゃった」
彼方「予定より早くないかなぁ？」
遥「そんなことないよ～」
ｷﾞｼｯ.....
ｷｼｯ
ﾊﾞｻｯ
遥（使い慣れてないベッド）
遥（露骨に軋むのが、また心地いい）
ｽｯ......
彼方「遥ちゃん～……近すぎるんじゃないかな～？」
遥「ん～……需要と供給だよ」
遥（見ている人たちまでもが恥じらうほどに）
遥（私たちの心が、近いってところを見せてあげる）
遥「お姉ちゃんは、私のこと嫌い？」
彼方「好きだよ～」
遥「やった～私も好き～」
ｸﾞｲｸﾞｲｯ
彼方「私の方が好き～」
遥（ベッドの上で、二人、肩を寄せ合う）
遥（お姉ちゃんの身体、あったかい……好き） 性別と姉妹の壁紙を乗り越えたふたりは、こんなにも愛おしい存在になるのか レスは少ないがちゃんと見てるから続けてくれ
どこまで続くか知らんがシリアスでなければ構わん 遥（みんなが見てる）
遥（今までやったこともないフェスティバル）
遥（今までやったこともない他校の二人でデュエット）
遥（姉妹愛を前面に押し出した、ラブソング）
遥「……お姉ちゃん」
彼方「なにかな～？」
...ｻﾜｻﾜ
ﾓｿﾞﾓｿﾞ
ｷﾞｭｯ
彼方「遥ちゃん～」
ｷﾞｭｯ...
ﾆｷﾞﾆｷﾞ
遥（みんなに見えないベッドの上）
遥（お姉ちゃんの名前を呼びながら手を握ると）
遥（お姉ちゃんは握り返してくれる）
遥（ドキドキする……普段よりもずっと）
遥（沢山の人が見ているのに）
遥（誰一人として、私達が姉妹であり恋人であるだなんて思いもしない）
遥（だとしても、心は揺れる）
遥「えへへ～……お姉ちゃんあったかぁい……」
彼方「季節的には、暑いけどねぇ」 遥（ざわざわと、見物している人たちの声が重なる）
遥（恋人、友人、親子、兄弟、姉妹）
遥（とってもたくさんの人たちが見てくれてる）
遥（顔が赤い人もいるのは、私達があまりにも " 姉妹には見えない " からかな）
遥（百合営業）
遥（いわゆる、姉妹百合）
遥（なんて……私達はそんな可愛らしくて中途半端な関係じゃないけど）
遥「お姉ちゃん、好き」
遥（体を寄せる）
ｽﾘｽﾘ....
ｽﾘｽﾘ
遥（本当はキスまでしてみたいけれど……さすがに、それは行きすぎてるから）
彼方「彼方ちゃんは大好きだよ～」
遥「私は大大好き」
彼方「日本一好き」
遥「世界一好き」
彼方「宇宙一好き」
遥「……太陽系くらいにしてくれないと、次が難しいのに」
彼方「じゃぁ……彼方ちゃんの勝ちだねぇ～？」ﾄﾞﾔｯ
遥（はぁ……好き……） 遥「ううん」
遥「言葉に表せちゃうなら……まだまだちっちゃいんじゃないかな？」
彼方「え～？」
遥「日本語のたった数十万じゃ……お姉ちゃんへの気持ちは言葉足らずで終わっちゃう」
遥（だから、体を触れ合わせる）
遥（唇を重ねて、手を握り合って……絡め合って）
遥（好きと言って、愛してると言って）
遥（肌も、心も、頭も）
遥（何もかもに、気持ちを染み込ませたいって思う）
ｽｯ.....
ｸﾞｯ
彼方「遥ちゃん、そこから先は不味いと思う」ﾎﾞｿｯ
遥「ん……そうだね」
遥（キスをしそうな体をどうにか抑え込んで一息）
遥（お姉ちゃんの汗の匂いに、心が先に踊り出しちゃう）
遥「だから……歌おう」
遥「私とお姉ちゃんの……二人だけの歌」
彼方「うん。歌っちゃお～」
遥（体を寄せ合い、握り合う手を見せつける）
遥（見せてあげよう。聞かせてあげよう）
遥（私とお姉ちゃんの本気の気持ち）
遥（このライブを知っただれもが嫉妬してしまうくらいの、ラブソングを） でもこのあとお笑い芸人のカキタレになるんだよね.... ――――――
―――
遥（夕方辺りに雨が降ったりして、一部のライブが出来なくなってしまったりとか）
遥（ちょっとした問題はあったけれど）
遥（でも、スクールアイドルフェスティバルは初めてにしては大成功と言ってもいいくらいの賑わいを見せて、終わった）
侑「みんな、ほんっっっっとうにありがと～っ！」
遥「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
遥（合法的にイチャイチャできる営業と言う建前は嬉しかったし……）
姫乃「本当にありがとうございました」
姫乃「まさか、あの果林さんとデュエット出来るだなんて思ってもいませんでしたから」
果林「そうねぇ」
果林「まぁ、話題が遥ちゃん達に持って行かれてしまったのは残念だけれど……」
彼方「えへへ～まさか、トレンドに浮上するとは思わなかったよ～」
璃奈「生配信とかのスクショがスクールアイドルの掲示板に上がって」
璃奈「それがもとになって爆発的に再生数とか、観客が増えて……SNSに上がって……」
歩夢「ほんと、凄いことになってたよね」
しずく「まるで本当に愛し合っているかのような表情と雰囲気で」
彼方「最愛の妹だからね～」
遥「最愛のお姉ちゃんだもん～」
ｷﾞｭｰｯ
しずく「ふふっ、羨ましい限りです」 エマ「でも、大丈夫？」
エマ「なんだか、すっごい噂になってるよ～？」
かすみ「マジ恋かもって言われてますね」
かすみ「この噂は……少し長引くような気がする」
遥「あははっ姉妹ですよ？」
遥「本当に恋をするなんてないです」
遥「確かに大好きですけど、でも……それは姉妹としてですから」
遥（すらすらと、嘘をつく）
遥（外面の内側に隠しておいたカンペを読むかのように）
遥（そうしなければいけない世界の言葉が、私の気持ちを表せるわけがない）
ﾄﾝｯ
遥「っ」
かさね「仲良きことは美しきかなって言うし、いいんじゃない？」
クリス「ふふっ、そうですね」
愛「カナちゃんだけにね！」
せつ菜「はい？」
侑「ちょっと意味は違うけど、そうだね」
侑「彼方さん達の仲が悪いよりも、恋人同士だって思われるくらい仲良い方が良いと思う」 彼方「付き合っちゃう～？」
ｸﾞｲｸﾞｲｯ
ｷﾞｭｯ
遥「え～？」
遥「………」
ﾁﾗｯ
遥「月が、綺麗ですね」
彼方「まだ、死にたくないわ」
彼方「なぁんて、ね～」
愛「だよねー、まだまだ。死んでも良いだなんて言えないよね」
遥（月が綺麗ですね。と言われたら、返しは死んでも良いわ。が一般的だとか）
遥（ほんとか嘘かは、興味ない）
遥（……月が綺麗だと言うのなら）
遥（その太陽になりたい。とでも答えてみたい）
遥（あれ？）
遥（でも月が女の人なんだっけ？）
遥（………）
遥（私もお姉ちゃんも女の子だから別に関係ないや） かすみ「冗談はともかく」
かすみ「変に付け狙われないように、気を付けてくださいよ？」
彼方「大丈夫だよ～」
かすみ「彼方先輩は特に、要注意ですよ！」
しずく「そこかしこで横になってるから……」
しずく「無断で撮影されかねません」
歩夢「そうだね。そこは気を付けたほうがいいと思う」
遥「お姉ちゃんには私がついてるので、大丈夫ですよ」
クリス「それだと噂を広げてしまうのでは？」
彼方「大丈夫～」
彼方「私達は普通の姉妹だから～」
彼方「今まで通り普通に過ごしてさえいれば」
彼方「いつか～そんな噂なんて消えてくと思うよ～」
遥「そうだね」
せつ菜「そうですよね」
せつ菜「さすがに姉妹で恋人なんて、同性婚が認められたとしても……」
遥「そうですよせつ菜さん！」
遥「あり得ないですよ」
遥（お姉ちゃんが認めてくれていれば、それで充分）
遥（世界の許可なんて、必要ないよ）
遥「……でも、宣伝としては有効だよね？」
彼方「も～芸能人じゃないんだから。長引かせなくていいよ～」 真綿で首を絞められるというか、先が細くなっている薄氷の上を歩いてるというか…… ――――――
―――
遥「ただいま～」
彼方「おかえり～」
遥（打ち上げもそこそこに、帰宅）
遥（お母さんは、いない）
遥（やったっ！）ｸﾞｯ
彼方「お風呂入ろ～」
遥「えっ？」
彼方「一緒に入ろ？」
遥「……入るの、勿体なくない？」
彼方「………」
ｺﾂﾝｯ
遥「あぅっ」
彼方「遥ちゃんのえっち」
彼方「でも、ほら……」ﾌｲｯ
彼方「……私も遥ちゃんも、お風呂の方が都合が良いでしょ～？」
遥「お姉ちゃんのほうがえっちだよね？ 心も体も」
彼方「……嫌い？」
遥「大好きっ」ｷﾞｭｯ 遥（一緒にお風呂）
遥（それはもはや、仲の良い姉妹がお風呂に誘い合うなんてものじゃなくて）
遥（えっちのお誘い的なものになってきてる）
遥（そうしようと二人で決めたわけじゃない）
遥（気づいたらそうなっちゃってただけ）
遥（……一緒にお風呂入ると私が我慢できなかったせいだけど）
彼方「遥ちゃんが、あんなにくっついて来るから……」
彼方「彼方ちゃん、我慢するので精いっぱいだったんだよ～？」
遥「知ってたよ」
遥「……ごめんね、お姉ちゃん」
遥「どこまで許されるか、少し試してみたくなっちゃって」
遥（結果的に……）
遥（空想的には面白いけれど、現実的には気味が悪い。という世論を知った）
遥（女の子同士で、姉妹）
遥（それはあまりにも。と）
遥「お姉ちゃんのこと、おかしくしちゃってごめんね」 でもこのあとお笑い芸人のカキタレになるんだよね.... 遥「本当は違ってた」
遥「本当は普通だった」
遥「私の――」
彼方「それは違うよ」
彼方「ずっと好きだった」
彼方「ずっとおかしかった」
彼方「遥ちゃんは庇護の対象だなんて思いこむために」
彼方「必要以上に過保護に扱って、誤魔化してた」
彼方「前に言ったよね？」
彼方「もし断られたらって思うと踏み出せないって」
彼方「姉妹じゃなかったら……？ ううん、姉妹だったとしても付き合いたかった」
彼方「でも今日たくさん見かけた " 普通じゃない " が怖くて逃げてた」
彼方「ありがと～」
彼方「私を好きになってくれて」
彼方「私を選んでくれて」
彼方「普通じゃないのに、難しいのに」
遥「だとしても……好きだから」
彼方「うん」
.....ﾁｭｯ
遥「んっ……」
彼方「それと同じくらい、私も好き」 彼方「だから大丈夫」
彼方「遥ちゃんはごめんなさいなんていらない」
彼方「ただ、好きだって言って欲しいかな～」
遥「………」
遥（好き）
遥（大好き）
遥（当たり前だよ……そんなの）
.....ｷﾞｭｯ
遥「好き」
彼方「うん」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥「大好き」
彼方「うん」
遥「……子供、産んで欲しい」
遥（お姉ちゃんは顔を赤らめない）
遥（かっこいい、お姉ちゃんの表情）
遥（好き）
彼方「も～……そのプロポーズは引かれるよ～？」
遥「だって」
遥「将来さえも約束するような愛の言葉なんて……これくらいしか思いつかないんだもん」
彼方「そっかぁ……」
ｷﾞｭｯ...
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「なら、仕方がないねぇ……」
彼方「………」
彼方「……うん。喜んで」 遥「……お姉ちゃん」
遥（お姉ちゃんは嬉しそうに）
遥（でも、ちょっぴり悲しさを感じる表情で……涙を零す）
遥（どうして、泣くんだろう）
遥（嬉しいから？）
遥（それとも、本当に子供を産むことは出来ないから？）
遥（その両方かな）
遥「……」
遥「子供、欲しいね」
ｸﾞｲｯ
ｸﾞｯ....
ｷﾞｭｯ
彼方「……そうだねぇ」
遥「いつかきっと、女の子同士でも子供が出来るようになる」
遥「赤の他人の、体液なんて使わずに」
遥「お姉ちゃんと私の想いだけで出来るようになる」
遥「そうしたら……二人の子供を産んでね」
彼方「いつになるかなぁ……」
遥「分からない。だからそれまでは……二人だけの時間をいっぱい、楽しもうよ」
彼方「………」
彼方「うん、そうしよう」
遥「じゃぁさっそく……お風呂入ろ！」
遥（笑顔のお姉ちゃん）
遥（やっぱり……私、どうしようもなくお姉ちゃんが好きだ）
遥（頭の先からつま先まで、私を形作る全てが愛してる）
遥（お姉ちゃんが大好きな遺伝子で出来てるんだから、当然だよねっ！） 一月半楽しませてもらってたけどもう明日で終わるの寂しさ感じちゃうな スレタイ回収３回目か…
明日で終わりとは言ってないから終わらなそう(終わるな) 乙です
スレ主の書く近江姉妹はほんとええわ…
これが終わってもまた姉妹の別ネタ作品待ってますね この悲しさとやるせなさこそがこのスレの魅力なんだよなぁ ――――――
―――
遥（それからしばらくして、お姉ちゃんは虹ヶ咲学園を卒業）
遥（お姉ちゃんはお弁当屋さんを営むにあたって必要だからと）
遥（家から通うことができて、経営学が学べる大学へと進学）
遥（お姉ちゃんは虹ヶ咲学園のライフデザイン学科で）
遥（栄養学を含めて専門的なことを学んでいたことで、卒業と同時に栄養士と調理師の資格を取得することが出来た）
遥（もちろん一定以上の成績である必要はあったけれど、お姉ちゃんは問題なし）
遥（だからこそ、お姉ちゃんは経営学の方に移った）
遥（虹ヶ咲学園は特定の学科を専攻することを条件に、栄養士養成施設として認められているから）
遥（そこで3年間学んだお姉ちゃんは、2年以上の実務経験を積むことで栄養士の上）
遥（管理栄養士という資格を取得できるようになる）
遥（それを手に入れられれば、ただの弁当屋にはとどまらないから。って、お姉ちゃんは意気込んでた）
遥（小学校などの教育施設、介護施設、規模の大きい所は難しくても小さなところであれば病院とだって繋がれるかもしれない）
遥（お姉ちゃんは、手に入れられる知識を可能な限り手に入れたいと言ってた）
遥（失敗しないために、続けるために、終わらせないために）
遥（私と一緒にいるために）
遥（出来ることの全てをやり尽くしたいって） 遥（だから私も、お姉ちゃんのように精いっぱい頑張ろうと決めた）
遥（私は……まだ高校二年生）
遥（でも、将来は決まってる）
遥（お姉ちゃんと一緒に、お弁当屋さんを経営していくこと）
遥（そのために……）
遥（お姉ちゃんが大学を卒業するまでに頑張らないといけないことがある）
遥（一つは、お姉ちゃんと話し合って決めた飲食店でのバイト）
遥（一つは、大学受験で合格するための勉強）
遥（そして……その進学先を見据えること）
遥（まずは、バイトしてためたお金で）
遥（2年制の栄養士養成施設として認められている専門学校に進学）
遥（そこで栄養士の資格を取れるようにしたうえで、合わせて調理師の資格も狙う） 遥（お姉ちゃん一人じゃなく、二人で資格を持つことで）
遥（どちらかがいない時はもう一人が……という役割分担と）
遥（二人で意見を突き合わせて、話し合えるようにしたいから）
遥（余裕が出来たら……資格を持ってるバイトも雇いたいけど）
遥（その2年制学校を卒業すると同時に、お姉ちゃんは4年制の大学を卒業する）
遥（そうしたら今度は私が4年制の大学に進学して、お姉ちゃんは専門的な職場に調理師または栄養士系として就職を狙う）
遥（お姉ちゃんはより良い環境で経験を積んで、私は勉強を頑張る）
遥（起業するから勉強は要らない。専門の知識さえあればいい）
遥（そんな手抜きが出来るほど……私たちの求める将来は簡単じゃないから）
遥（そうして……起業するまでの約10年間で、念入りに調査と研究、開発を行って）
遥（お店の場所やお弁当の値段、仕入れ、などなどを考え尽くしてから……お弁当屋さんを始める）
遥（突き崩されるような脆いものではなく、頑強な礎を築き上げていきたい） 彼方「遥ちゃん、スクールアイドル本当に辞めちゃうの？」
遥「去年、お姉ちゃんとデュエットしたでしょ？」
遥「それで……東雲のみんなには悪いけど、燃え尽きちゃったって言うか」
遥「それにね？ 中途半端なことはしたくないなって思ってるんだ」
彼方「ふむふむ……彼方ちゃん、中途半端だったからねぇ」
遥「え？」
遥「あっ」
遥「ちが、違うよ！？」
彼方「ふふふっ」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「遥ちゃんがそうしたい～って本気で思ってるなら止めないよ～」
彼方「でももし、少しでも惜しいって思ってるならスクールアイドルは続けても良いと思う」
遥「ん～……惜しくないって言えば嘘になる」
遥「でもね、お姉ちゃん」
遥「私、後悔したくないんだ」
遥「何かが足りなくて、何かを取りこぼすなんて……そんな失敗をしたくないんだ」
遥「もし、今ここで見切りをつけられなくてそうなったとしたら」
遥「私はきっと、私自身を許せない。精一杯頑張ったんだから。なんて、慰めの言葉を受け入れられない」
遥「手に入れたいものがあるんだ」
......ｸﾞｯ
遥「手に入れてはいけないものを、手に入れたいって思ってる」
遥「だからこそ、そのための努力を中途半端にしたくない」
遥「本気なんだよ。私……本気でお姉ちゃんと添い遂げたい」
彼方「うん……そうだったねぇ……」
遥「何泣いてるのお姉ちゃんってば……も～……お化粧、崩れちゃうよ？」
彼方「だってぇ～……」 彼方「嬉しくて……」
遥「もう何回も言ってるのに」
ｽｯ....
ｷﾞｭｯ
遥「いい加減、慣れて欲しいな～」
彼方「無理だよ～」
遥「……そんなじゃ、念願が成就したらどうなっちゃうのか心配だよ」
遥「まだ、始まったばっかりなんだよ？」
遥「ううん、始まってすらいないかもしれない」
遥「始めるための準備期間なのに」
彼方「だって、本当ならこの準備を始めることさえできなかったんだよ～？」
彼方「遥ちゃんは嬉しくならないの～？」
遥「嬉しいよ」
遥「嬉しくて、幸せで」
遥「でもだからこそ怖い」
遥「……だからこそ」
遥「私はこれからの全てに全力でいたいって思ってるんだ」
彼方「………」
彼方「……はぁ」
彼方「そうだね～……」
彼方「彼方ちゃんも、涙腺引き締めて頑張らなきゃだ～」
遥「じゃぁ、お化粧直さなきゃ」
遥「大学行くまでに、もうちょっと時間あるでしょ？」
彼方「うん、ありがと～」 遥「……ナンパされても、断ってね？」
彼方「大丈夫～」
ｽｯ
ｻﾜｻﾜ....
彼方「えへへ……私には、このお守りがあるから」
遥「なんだか恥ずかしいなぁ……」
遥（見せつけるようにしてくる、左手薬指の指輪）
遥（去年のクリスマス）
遥（私がお姉ちゃんに贈った、指輪）
遥（決して高くはないけれど）
遥（婚約指輪と見られるくらいにはしっかりとしたホワイトゴールドの指輪）
彼方「誕生日には、ネックレスまで貰っちゃって……」
彼方「これのおかげで、三割増しで大人に見えちゃうよ」
遥「大学生は、大人みたいなものだと思うよ」
遥「……うん、すっごく綺麗」
遥（笑うと可愛いお姉ちゃん）
遥（きりっとしてると格好良くて）
遥（普通にしてると美人さん）
遥（私の大切で大好きなお姉ちゃんで……恋人）
彼方「遥ちゃんだって、バイト先で口説かれたりするかもしれない」
遥「うん。でも、全部断るよ」
遥「私にだって……」
彼方「そうだねぇ」
遥（私の左手薬指にも、お姉ちゃんから贈られた指輪がはめられてる）
.....ﾁｭｯ
遥「好き」
彼方「私の方が好きなんだからね～」
遥「む～……私の方が好きだよっ」
ｷﾞｭｯ
ﾁｭｯ
遥（好き、大好き……絶対、添い遂げたいっ！） 彼方「遥ちゃん、今日はバイトだったっけ？」
遥「うん。だから帰りはちょっと遅いかな……」
遥「でも、お姉ちゃんも今日バイトだよね？」
彼方「そうだよ～」
遥「じゃぁ、時間合ったら一緒に帰ろっか」
遥「駅で待っててくれれば行くから」
彼方「10分以上かかりそうなら先帰るってことで良い～？」
遥「うん。そしたら、先に帰った方がお夕飯作るってことで」
彼方「でも、今日ってお母さんがいるんじゃないかな？」
遥「あー……」
遥（意地で国公立の大学に合格して）
遥（3年間バイトしてためたお金で、入試から入学、初年度の学費までも自力で納めたお姉ちゃん）
遥（これからも、学費は自分で払っていくと言ってて）
遥（私もバイトをし始めたことで、交通費、スマホ代、交遊費くらいは自分で出すようにしてるし）
遥（無理に夜勤をする必要もなくなったお母さんは、お料理を作ってくれることが多くなった）
遥「でもなぁ……」
彼方「その不満そうな顔、お母さん泣いちゃうよ～？」
遥「だって、お姉ちゃんのお夕飯の方が美味しいんだもん」
遥（お母さんの料理だって、美味しい）
遥（でも、だけど、愛妻料理の方が良いって思っちゃうのが恋心）
遥（ごめんなさい、お母さん） 彼方「も～……だめだよ～？」
彼方「お母さん、この前私に料理教えてって泣きついてきたんだからね～？」
遥「そ、そうだったんだ……」
彼方「遥ちゃん、顔には出さないけど」
彼方「私のお夕飯とお母さんのお夕飯を食べたときの量が全然違うから」
遥「意識したことなかった」
遥（でも確かに、お姉ちゃんのお夕飯ではお箸が進むような気がしたかもしれない）
遥（気を付けよう）
遥（……気を付けられるのかな）
ﾁﾗｯ
....ｶﾞﾀｯ
遥「あっ、もうこんな時間！」
遥「お姉ちゃん、学校行かなきゃ！」
彼方「おぉっ、１限！」
遥「行ってきまーす！」
彼方「行ってきま～す」
遥（お姉ちゃんと一緒に急いで鞄を手に取って、玄関を飛び出す）
遥（鍵を閉めて、駆け足でエレベーター）
遥（制服じゃない、綺麗な私服のお姉ちゃん） 遥「そうだそうだ」
遥「今週の金曜日、バイト抜いたからデートしようよ」
遥「お洋服、買いに行こっ」
彼方「抜けられたんだ～無理言ってない～？」
遥「えへへっ、代わりに出てくれる子がいたの」
遥「今度その子が代わって欲しいってなったときは代わる約束しちゃったけどね」
彼方「え～……クリスマスとか、休めなくなったら困るなぁ」
遥「その時はイブで」
遥「年末とかは絶対に休みたいなぁ……」
ｽｯ.....
ｷﾞｭｯ
彼方「デートは良いよ～。行こ～」
遥「……ん」
遥（お姉ちゃんから触れてきてくれる手）
遥（握られて、握り返して……ありふれた繋ぎ方をする）
遥「映画とかも見ようよ」
彼方「いいねぇ。この前侑ちゃん達が面白いって言ってた映画があって――」
遥「もしかして、あのアニメの？」
彼方「そうだよ～」
遥「じゃぁそれも見に行こうよ。ネットの方で先にチケット買っておいて良い？」
彼方「じゃぁ、お願い～」
彼方「今日、帰ったらお金渡すね～」
遥「良いのに……」
彼方「いやいや、今度こそ割り勘にしようよ～」
彼方「せっかくのバイト代、ちゃんと使わなきゃダメだよ～？」
遥「好きな人に使うなら問題ないと思う」
彼方「使いすぎはNGだからね～割り勘」
遥「は～い」 遥「それで……どうしよっか」
彼方「そうだねぇ」
遥（二人で旅行をするか）
遥（お母さんに旅行して貰うか）
彼方「お母さんにいままでありがと～って旅行して貰うのが自然だけど～」
彼方「なんて言ったらいいかなぁ？」
彼方「追い出したみたいな感じがするよね～」
遥「あはは……」
遥「じゃぁ、二人で旅行する？」
彼方「それはそれで不自然じゃないかな～……」
彼方「お母さんを置いて、姉妹で旅行」
彼方「勘繰られたりしそうだよ～？」
遥「意識しすぎじゃないかな」
遥「仲が良いなら、ちょっとした旅行なんてあることだと思う」 彼方「そうかなぁ？」
遥「そうだよ」
遥「今度、友達に聞いてみる」
彼方「私も聞いてみようかな～」
ﾁﾝｯ!
遥「とりあえず聞いてみて、問題なさそうなら行こうよ。ゴールデンウイークとか、夏休みとか」
遥（1階について、エレベータを降りる）
遥「旅行は1泊2日とか、短めで」
遥「……二人でゆっくり、体を重ねられたらいいな」
彼方「伸ばそうよ～」
遥「鼻の下は伸びるかも」
彼方「も～遥ちゃん～？」
遥「あはははっ、ほら……いそごっ！」ﾀﾀﾀｯ
遥（お姉ちゃんが好き）
遥（やっぱり、どうしようもなく、好き） ――――――
―――
ココ「遥ちゃんっ！」
遥「ごめんなさい」
ココ「そんなぁ～」
遥「やりたいことがあるの」
遥「もしかしたらスクールアイドルと一緒に出来るかもしれないけど」
遥「でも、絶対に出来るとは限らないから」
遥「だから……ごめんなさい」
遥「私は部には戻らない」
かさね「だから言ったのにねー」
遥「すみません」
かさね「ううん、いいよ」
かさね「本気なんだよね？」
遥「はい」
かさね「………」
かさね「だったら、良いと思うよ」 かさね「遥ちゃんと一緒にやっていきたかったとか」
かさね「次期部長には遥ちゃんがなると思ってたから油断してたとか」
かさね「色々言いたいことはあるけど」
遥「あはは……」
かさね「頑張ってね。応援してる」
遥（かさねさんは、私とお姉ちゃんの関係を知ってる）
遥（それを心配してくれていて、応援してくれてもいる）
遥（その優しさが……凄く嬉しい）
かさね「遥ちゃん、暇があったら覗きに来てよ」
かさね「退部したって、遥ちゃんは東雲の1年間を支えたセンターなんだから」
遥「ありがとうございます」
かさね「ん……」
かさね「ほんと、頑張れ」
遥「はいっ」
ココ「かさ……部長。もしかして、事情知ってるんですか～？」
かさね「部長だからねっ」
ココ「ん～……アルバイト始めたのと関係ある？」
遥「将来の夢が出来たから」
遥「そのための一歩」
ココ「そっかぁ……じゃぁ、ココも応援してあげる～」
遥「ありがと」
遥（お姉ちゃんと一緒に居たいから。なんて言えない）
遥（でもいつか、言えるかな）
遥（いつか……言えたらいいな） 乙
エピローグというより第二部導入な感じがしてドキドキする…期待しても良いのか？ エピローグはエピローグでしょ
流石にもうダレちゃうよ 今日で終わらないと聞いて少しホッとしている自分がいる 無駄に長編にしてエタるSSも多いし内容がガラッと変わってつまらなくなるSSもあるがこいつは書きたくて書いてるタイプっぽいからこっちがなんて言おうと書きたいだけ書くだろうな
だから無駄シリアスとかバッドとか未完じゃなければ何でも良いよ 遥（3年生がいなくなっても）
遥（私がいなくなっても）
遥（新しく入って来た1年生が、その穴を埋めてくれる）
遥（スクールアイドル部はこれからも続いていく）
遥「そう言えば、今度時間が出来たらお姉ちゃんと旅行にでも行こうかなって思ってるんですけど」
遥「姉妹で旅行ってどう思います？」
ココ「え～？ 仲良くていいな～って思う～」
かさね「弟とか兄と二人でって言うならちょっとどうかと思うけど」
かさね「お姉ちゃんと妹なら、別にどうってことはないんじゃないかな？」
遥「そこまで仲いいのは変とか」
ココ「思わないよ～」
ココ「仲は悪くないけど、そこまで良いわけじゃないって人もいるけど」
ココ「遥ちゃんとお姉さんってすっごく仲良しだから、全然いいと思うな～」
ココ「去年のあのライブ……ドキドキさせられちゃった」
かさね「毎回言ってるね」
ココ「だって、ほんとうに――」
かさね「そうだね。ドキドキさせられた」
かさね「……だから、惜しいけど」
かさね「旅行は全然いいと思う。ただ、親は心配するからちゃんと計画して」
かさね「予定を決めたらちゃんと話して、連絡も欠かさずするとか約束した方が良いかもね」
遥「なるほど……参考になりますっ」 かさね「あ、でも」
かさね「海外旅行とかは止めといた方が良いかもね」
かさね「やっぱり、いきなり海外に個人旅行ってお母さん不安だろうから」
遥「あははっ、大丈夫です」
遥「お姉ちゃんにも私にもバイトとかあるので」
遥「長くても2泊3日、予定では1泊2日で国内の予定です」
ココ「いいなぁ、旅行」
ココ「ココも優理ちゃん誘ってどこか行きたいな～」
ココ「あの遊園地のホテルとか泊まってみたい」
かさね「あれは私も泊ってみたい……」
遥（遊園地のホテル）
遥（初日に閉演まで遊んで、泊って、また開園から遊び尽くす）
遥（それはそれで面白そうかも）
遥（でも、こう）
遥（なんだろう……二人で、ゆっくり観光とかの方が今は良いなぁ）
遥（京都、奈良、沖縄、北海道、大阪）
遥（あとは箱根とか、熱海とか、草津とか……温泉）
かさね「いついくの？」
遥「ゴールデンウィークか、夏休みですね」
かさね「いいね～」
かさね「まぁ、楽しんできなよ！」
遥「ありがとうございます」
遥（でも、場合によっては高校の卒業旅行かな）
遥（勉強とかバイトとか。まずはやるべきことをやらなくちゃ） かさね「そーだ！」
かさね「それとね、2年生は修学旅行があるから京都は避けても良いかもね」
遥「あっ、そう言えばそうですね」
ココ「京都を避けて奈良に行こ～」
遥「そっち系なら鎌倉って選択もある……」
遥（しずくさんがそうだったっけ……？）
遥（修学旅行……そっか、10月に修学旅行があるんだった）
遥（う～ん……バイトの調整と、お土産代とか。諸々）
遥（今のうちに分散積み立てで貯金しておこうかな……）
遥（余剰金はまた交遊費とは別の予備資金にでもするとして……）
かさね「ん。そろそろ予鈴が鳴りそうだからいくよ」
かさね「じゃ、またね遥ちゃん！」
遥「あ、はいっ。また」
遥（また）
遥（また今度……ほんとうにあるのかな）
ココ「修学旅行か～……遥ちゃん、今年は大変かもしれないよ～」
遥「いつもと変わらないと思うけど」
ココ「ううん。東雲は共学だから男の子もいるでしょ～？」
遥「えっと、うん？」
ココ「スクールアイドルは、アイドル的風潮もあってかお近づきは避けられるみたいだけど」
ココ「遥ちゃん、引退したから……近づきたいなって人が出てくるんじゃないかな～？」 遥「そうかなぁ……」
ココ「うん、間違いないよ～」
ココ「だって、ほら」
ｽｯ
遥「……あぁ」
遥（ココちゃんが見せてきた、スマホの画面）
遥（動画サイトにアップされてる去年のフェスティバルのライブシーン）
遥（近江姉妹……私たちのその映像は、SNSやネット掲示板の影響もあって百数十万再生にまで上り詰めてしまっていて）
遥（コメント欄は賛否両輪）
遥（中には私達の引退に言及するものもあって、近づきたいっていう冗談か本気かも分からないものもある）
ココ「ココでも、ドキドキしちゃったし……イイなぁって思った」
遥「え～？」
ココ「だって、遥ちゃん可愛いしお姉さんは綺麗だし」
ココ「あのお姉さんに可愛がって貰えたり、優しくされたりするって魅力的なんじゃないかな～？」
ココ「しかも、遥ちゃんとお付き合いできるうえでだよ？」
ココ「あの間に挟まれるって思ったら……みんな、チャレンジしたいと思う」
遥「ん……」
ココ「修学旅行で、告白されちゃうかもね～」
遥「えー……止めて欲しいなぁ」
遥（学校では、指輪を付けられない）
遥（でも、だけど……分かって欲しい）
遥（私はお姉ちゃんの恋人だって……口が裂けても言えないのが辛い）
ココ「遥ちゃん、好きな人いるの？」
遥「うん。いるよ」
ココ「お姉さんは無しだよ？」
遥「あはははっ……バレちゃった」
遥（そうなっちゃうよね） ――――――
―――
「近江ちゃん！ あと30分入れない！？」
「入れるわけないでしょー高校生なんだから！」
遥「すみません」
「良いよ良いよ。ありがとー。お疲れ」
遥（1月から始めた飲食店でのアルバイト）
遥（オープニングスタッフとして入った私も）
遥（約4ヶ月勤めていれば、それなりに仕事は慣れて……頼られるようになる）
遥（けど）
ｷｨｨ
ﾊﾞﾀﾝｯ
「はるるんおっつー！」
遥「お疲れ様です」
遥（バックヤードに入って来た、同期の女の子）
遥（初対面の時から接触の多い子で、気付いたらはるるんになってた）
「いやぁ……はるるんの人気すっごいねぇ」
「はるるんのシフト時間に合わせて人が来るわ来るわ」
遥「もう、スクールアイドルは辞めてるんですけど」
「私も見たよ？ あのライブ」
「ありゃ、変に勘ぐってなくてもファンが増えるよ」
「あのまま続けてたら芸能界へのスカウトとかもあったんじゃない？」
遥「そうかもしれないですけど」
遥「将来、やっていきたい仕事が決まっていたので……続けてはいけないかなって」
「お金稼ぐなら、秋葉原まで行ってメイド喫茶とかでも良かったんじゃないの？」
遥「あはは……」
遥（お姉ちゃんに言ったら、絶対ダメって言われるけどね） ｶﾞﾁｬｯ
ｷｨｨｨ
ﾊﾞﾀﾝｯ
「お姉さんが許可しない？」
遥「えっ？」
「ん～……ほら、その左手の」
遥「………」
「遥ちゃん、男っ気がないのに指輪してるから」
「あのお姉さんに釘でも刺されてるのかと思ってね」
遥「男っ気、無いですか？」
「ないない。全然ないね」
「だから、それがただの男除けだって分かる人にはわかる」
遥「そうなんだ……」
「だからお姉さんが妹は嫁にやらんぞ。ってタイプなのかもって」
遥「あはははっ、確かにそう言ったタイプですね」
遥（もし付き合ってなかったとしても）
遥（お姉ちゃんは、私が誰かと付き合うってなるのを嫌がると思う） 「………」
「……もしかして、あのライブって」
遥「え？」
「あぁ、いや。ごめん」
「なんでもないよ」
遥（同期の子は、急に焦ったように笑って話を終わらせる）
遥（なに？ と聞いてもライブ良かったよねとか。勿体ないとかいうだけで）
遥（私が後片付けを終える前に、足早にいなくなる）
「じゃね～！」
ﾀﾀﾀﾀｯ
ｶﾞﾁｬｯ
遥「なんなんだろう……」
遥「それにしても、男っ気がないかぁ」
遥「……逆に、高校生で指輪っていうのがあからさまなのかな」 遥（高校生で婚約指輪的なものを貰うなんて、普通はあり得ない）
遥（なのに、左手薬指に指輪を嵌めてるなんて）
遥（露骨に怪しい……怪しいね。うん）
遥（なにか別の方法考えた方が良いかな……）
ｳﾞｨｰｯ
ｳﾞｨｰｯｳﾞｨｰｯ
ﾋﾟｯ
遥「今終わったところだよー」
彼方『そっか～私も終わったから、駅で待とうかと思ってね～』
彼方『お店出られそうかな～？』
遥「うんっ、着替え終わって今から出るところ」
遥「すぐに行くから待ってて」
彼方『急がなくてもいいからね～』
遥「安全第一で急ぐ」
遥（早く、お姉ちゃんと会いたい……）
彼方『彼方ちゃんも早く会いたい』
彼方『だから、ちゃんと待ってるから……急いじゃダメ』
遥「う……うん。わかった」
遥（電話越しに聞こえるお姉ちゃんの声が気持ちいい）
遥（胸の内側がポカポカしてきて……頬が緩んじゃう）
遥「好き」
彼方『私も、好きだよ』
遥（遠距離恋愛って、こういう感じなのかな） ――――――
―――
遥「って、思った」
彼方「なるほどね～指輪じゃ逆に怪しいかぁ」
彼方「………」
彼方「じゃぁ、ネックレスとかどうかな～」
ｶﾞｻｶﾞｻ
ｶﾎﾟｯ
遥「お姉ちゃん……」
彼方「……買っちゃった」
遥（私とお姉ちゃんは、露骨なペアリングを嵌めることはできない）
遥（何かがあって、お母さんに見られたとき）
遥（友達に見られてしまった時）
遥（普通の指輪よりもずっと、ペアリングの言い訳は難しいから）
遥「ねぇ……高い買い物だよね」
彼方「好きな人にだから、別腹だよ～」
遥「朝と言ってることが違う……」
彼方「まぁまぁ～……臨機応変～」
遥「もぉ～……じゃぁ、つけて」
彼方「後ろ髪かきあげる遥ちゃん、セクシーだねぇ」
遥「えっち……」
彼方「えへへ～」 ｽｯ.....
ｻﾜｻﾜ
遥（お姉ちゃんの匂いがする）
遥（ほんのり甘くて）
遥（でも、前とは違ってちょっぴり香水が混じった匂い）
ﾁｬﾘ......
ｶﾁｯ
彼方「……はい」
彼方「これで遥ちゃんも大人の仲間入り」
遥「……ん」
遥（シンプルなオープンハートのネックレス）
遥（指輪と同じ、ホワイトゴールド……）
遥「……まだ、私には合わないかな？」
彼方「ううん、ちゃんと似合ってる」
彼方「かわいいし～綺麗だよ～」
彼方「凄く……ドキドキしちゃうかも～」
遥「もぅ……」
遥（赤らんだ頬）
遥（小さくはにかむ唇）
遥（そんなお姉ちゃんのほうが、ドキドキさせてくれちゃうのに）
遥（外じゃなければ……キスをしたかった） 彼方「どうしたの？」
遥「……キス、したくなっちゃった」
彼方「そっかぁ……」
彼方「………」
ｻﾜｻﾜ....
ｷﾞｭｯ
彼方「じゃぁ、早く帰ろ～」
遥「うん」
遥（お姉ちゃんと、手を握る）
遥（ただの仲良しな握り方）
ﾃｸﾃｸﾃ.....
遥（ただ手を握るだけで）
遥（ただ声を聞くだけで）
遥（凄くドキドキして……ポカポカして）
遥（あぁ……好きだなぁ……って、身に沁みる） 彼方「お母さん家にいるから、部屋でだからね～？」
遥「早く二人暮らしがしたいなぁ……」
彼方「住居と店舗を別にするなら、遥ちゃんが大学に入る辺りでどこかに移るのも悪くないと思うよ～？」
遥「でもそれだと、二重にお金かかっちゃわないかな」
彼方「その方が良いかもしれないし～」
彼方「デートの時、ついでに部屋探ししてみる～？」
遥「家賃、私もちゃんと払うからね？」
彼方「気が早いよ～」
彼方「まだ、全然決まってないから～」
彼方「ちゃんと考えながら、二人暮らしするか決めよう～？」
遥「そうだね」
ｷﾞｭｯ
遥（手を握る）
遥（ちょっぴり強く……握って熱くなっていく）
....ﾄﾝｯ
遥（肩が触れるとお姉ちゃんは小さく笑って）
ﾄﾝｯ
...ﾄﾝｯ
遥（わざとぶつけては距離を近づけて密着してくる）
彼方「遥ちゃんに会いたかった」
遥「私も、お姉ちゃんに会いたかった」
彼方「……遠距離恋愛、私達には無理だねぇ」
遥「うん。無理だと思う」
遥（肩寄せ合って、笑う）
遥（家までの短い道のりを――可能な限りゆっくりと、歩いていく） ――――――
―――
遥（お母さんには、進路を決めるにあたって私の夢を話してある）
遥（将来的には家を出て、一緒に暮らすかもしれないとも話してあるから）
遥（私達が部屋を探し出しても、特別不審には思われない）
遥（ただちょっと）
遥（本当に出ていくの……？ みたいな、寂しそうな視線が向けられるのが困るけど）
彼方「修学旅行？」
遥「うん、そう」
遥「10月に修学旅行で……多分、京都になると思うんだよね」
彼方「あ～……じゃぁ、旅行はお母さんに」
遥「だから、京都奈良とかは避けて温泉とかどうかなって」
彼方「温泉かぁ……」
彼方「良いかも～」
遥「姉妹なら別におかしくないよって、友達も言ってたから」
遥「ただ温泉だと、最悪ゴールデンウイーク」
遥「普通なら年末、年明けのあと」
遥「そこら辺が良いかなって」
遥（オフシーズンを狙うなら別だけど）
遥（いい気分で入りたければ、そんな感じ……だと思う）
彼方「そうだねぇ……じゃぁ、年末年始に行く～？」
彼方「そこで心機一転して～、残り一年を精一杯頑張ろ～って」 遥「お母さんは？」
彼方「ん～……お仕事かもしれない」
彼方「お仕事だったら、旅館で年越ししよ～」
遥「旅館で年越し……」
遥（お姉ちゃんと二人で）
遥（誰にも邪魔されることなく、年越し）
遥（家事も何もかもをほかの人に託して）
遥（ゆったりと、温泉に浸かったりして……）
遥「いい……」
遥「すっごくいいと思うっ」
彼方「それまではお母さんに親孝行しておこっか～」
遥「そうだね」
遥（お母さんには悪いけど）
遥（でも、二人きりになりたい……）
遥（償いではないけど……ちゃんと、恩返ししていかないと）
遥（修学旅行……）
遥（告白されるかもしれないなんて……変な憶測、言わなくていいよね） ....ﾁﾗｯ
彼方「………」
彼方「遥ちゃん、告白されちゃうかもね～」
遥「えっ！？」
彼方「断ってくれれば……それでいいよ」
彼方「ごめんね……お姉ちゃんで」
遥「……ううん。好きになっちゃったのは私だもん」
遥（男の人じゃなくて、女の子だったとしても）
遥（私は多分、この子と付き合ってるんだって……言えたと思う）
遥（でも、お姉ちゃんだけは言えない）
遥（誰と付き合ってるのかって言われたとき）
遥（私はその相手の名前を出すことはできない）
彼方「遥ちゃん……ごめんね。好き」
遥「ううん、ありがと……好き」
....ｻﾜｻﾜ
ｽｯ
ｷﾞｭｯ
遥（お姉ちゃんと抱き合って）
――ﾁｭｯ
遥（そうっと……キスをする）
遥（お母さんがすぐ隣の部屋にいる。その緊張感さえ、私達を止められない） なにこれホントにおわんの？
エピローグじゃなくてシリアスまでの導入にしか見えないんだがさすがになげーわ >>769が納得するものを書けばいいんだよ
俺はいつでも待ってるぜ >>770
文句言うなら読むなよ
せっかく良いの書いてくれてんのに 山場はないように感じるけど地道に積み重なるフラグのような何かと一歩間違えれば幸せが壊れる緊張感でドキドキする 崩壊フラグで冷や冷やしてたから、一瞬で時間が飛んだのは正直ビックリした
でもそれってどう考えてもリスクが上がってるんですよね…… 自分の好きな話が読みたいなら自分で書けばいいんだよ～ 遥「お姉ちゃん、サークルは入るの？」
彼方「入らないよ～」
彼方「遥ちゃんと一緒かな～……」
彼方「バイトと勉強に集中したいし……同好会はあれだったけど」
彼方「サークルは別に良いかな～って思ってる」
遥「そっか……」
遥「誘われたりしないの？」
彼方「誘われては、いるけどねぇ……」
彼方「ダンスでしょ～？ アイドルに～スクールアイドルでしょ～」
彼方「あとは、お料理サークルとか、演劇部とか～」
遥「いっぱい誘われてるんだね」
彼方「みんな、私のこと知ってたみたい」
彼方「やっぱり、去年のあのライブの影響が凄く出てる」
彼方「大学でも結構注目されてたりするんだよね～」 遥「もしかして、その……」
彼方「ううん、それは大丈夫」
彼方「遥ちゃんと違って、常に指輪していられるし……ネックレスだってできるから」
彼方「この手と首元を見て……話を切り替えたりするんだよね～」
彼方「あぁ、いるんだ。みたいな」
彼方「えへへ～」
....ﾄﾝｯ
遥（ベッドの上で、お姉ちゃんが寄り掛かってくる）
遥（肩に頭を摺り寄せるようにして……小さな笑い声）
彼方「いるんだよ～」
彼方「遥ちゃんが、いる」
彼方「……今度紹介してって、言われたりもしちゃって」
彼方「困っちゃうから誤魔化して笑うんだけど……」
彼方「………」
彼方「えへへ、遥ちゃんの可愛い写真しか、スマホに入ってないんだよね～」
遥「えー？ かわいくてごめんなさい？」
彼方「かっこよくなってみたい～？」
遥「お姉ちゃんがカッコいいから、私は可愛いで良いと思う」
遥「あ、でも」
遥「私がかっこよければお姉ちゃんが可愛くなるなら、かっこよくなりたいかな」 彼方「そんな遥ちゃんには～ちょっとおすすめの場所があるんだ～」
遥「おすすめの場所？」
彼方「えっとね～」
ｽｯ.....
彼方「これこれ～」
遥「かっこいい関係あるかな」
彼方「タキシード着てくれるなら」
遥（ドレス撮影体験……）
遥「高くない？」
彼方「そこはね～思い出にお金を出せるかどうかかなぁ？」 彼方「……私達、本当には出来ないから」
彼方「その分、こういうのに手を出しても良いんじゃないかな～って」
遥「そう言われると断れなくなっちゃうよ……」
彼方「……えへへ」
彼方「ごめんね」
彼方「……関係なく、こういうの撮りたいなって」
遥「もぅ……」
遥（頬を赤らめるお姉ちゃん）
遥（可愛くて、好きで、愛おしい）
遥（こんな顔で言われたら、やっぱり。断れない）
遥（でもたしかに、私達には結婚式なんて出来ない）
遥「そうだね……」
遥（ウェディングドレスを着たお姉ちゃんと、タキシードを着たお姉ちゃん……）
遥（……どっちも良い）
遥「良いと思う」
遥「デートの予定に加える？」
彼方「ううん、6月にしようかなって」
彼方「ほら、ジューンブライドってあるでしょ～？」
彼方「せっかくなら、そういうのやってみたいな～って」 遥「今年？」
彼方「ん～……」
遥（今年でも良いけど……でも）
遥（去年にあんなライブをした後で、姉妹でウェディング撮影）
遥（人に見られでもしたら、誤解じゃないことをされちゃうかもしれない）
遥（誤解なら笑うことができる）
遥（でも、私達は……）
遥「気にし過ぎかな……」
彼方「そうだねぇ」
彼方「反響があったのは事実だし……」
彼方「それで注目されて、声をかけられたりしてるのもそう……」
彼方「でも、だからこそあえて目を惹いてみるっていうのはどうかな？」
遥「どういうこと？」 彼方「公表はもちろんしないけど」
彼方「あえて、目を惹くようなことをしてみるでしょ～？」
彼方「それが、周りで話題になったら……私達はまだ注意深く見られてるってことになるし」
彼方「そんな気がしたから入ってみただけだよ～って、誤魔化して」
彼方「そういう関係じゃない、あの日限りのものなんだよ～って、言う」
遥「……」
遥「そんなこと、言いたくない」
彼方「遥ちゃん……」
遥「嘘でも、そんなこと言いたくない……」
遥（お姉ちゃんが言う方法が良いのか悪いのか）
遥（私にははっきりさせられないけれど）
遥（でもそんなの……イヤだ）
遥「そんなこと言わなくちゃいけないくらいなら、我慢する」 彼方「そっか……」
ｽｯ.....
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
彼方「ごめんね……嫌なこと言っちゃったね」
遥「ううん」
遥（お姉ちゃんの優しい手が、頬を撫でてくれる）
遥（大学生になったのに、ちっとも変わらない小さな手は）
遥（それでもお姉ちゃんの力を感じる）
彼方「私も、遥ちゃんとの関係が嘘だなんて言いたくない」
彼方「でもね……」
彼方「でも……」
ﾌﾙﾌﾙ.....
彼方「そんな思惑は関係なしに、遥ちゃんと記念に撮影したい」
遥「………」
彼方「だめ……かなぁ？」
遥「も～……断れなくなっちゃうってばっ」 遥「………」
遥「じゃぁ、どこか別のところに旅行行こうよ」
遥「知り合いがいなそうな場所で」
遥「二人で……こっそり、撮影しようよ」
遥（お金は余計にかかるかもしれない）
遥（でも、二人きりの旅行の思い出だと思えば）
遥（これからも続けていくための、安心を買うと思えば）
遥（多少のお金は、安いものだと思う）
遥「それなら、良いよ」
遥「私も……撮影、したいし」
彼方「ありがとね～」
遥「ううん、良いよ」
遥「……でも、気を付けよ？」
遥「やっぱり……」
遥（やっぱり私たちの関係は、おかしいモノなんだから）
彼方「そうだね～」
遥（お姉ちゃんは笑って……私の膝上に頭を乗せる）
遥（リビングからお母さんの声がすると、お姉ちゃんはすぐに頭を上げちゃって）
彼方「いこっか」
遥「……うん」
遥（行きたくない。そう思う心を、隠して頷く） 乙
周りから否定され過ぎて揺らいじゃってる感が…姉妹がネックなんだよなほんと… ほら来た謎シリアス
前回で終わっておけばいいものを余計なことしやがって あーこいつssスレで騒いでた奴っぽいなー
病気の感染経路みたいで嫌だなあ 「かな、大学はどう？ 楽しい？」
彼方「うん～楽しいよ～」
「そう、何かあったら言うのよ？ お母さん、ちゃんと備えはあるんだから」
彼方「ありがと～でも、本当に大丈夫だよ～」
遥（高校は奨学金、大学は実費）
遥（そんなお姉ちゃんを心配するお母さん）
遥（でも、お姉ちゃんは自分のことじゃないかのように幸せそうな笑顔で）
彼方「前ほど、バイトに必死にならなくても大丈夫だから……」
彼方「それに、やりたいことをやっているだけだからね～」
ﾁﾗｯ
遥「んくっ……」
遥「も～なに？」
遥「急に話振られても答えられないよ？」
彼方「やりたいことやってるだけ。って話」
遥（ヤりたい子とヤってるだけ？）
遥（……じゃ、ないよね。うん）ﾌﾙﾌﾙ
遥「そうだよ」
遥「夢の為に必要なことをやってるだけだから……って、私はまだ偉そうなこと言えないけど」
遥「でも、やりたいことが、あるから」 「本当に、二人でお店を開くつもりなのね」
彼方「それを目標にして、勉強中だよ～」
遥「私は勉強と修行中かな」
「……そうだったわね」
遥（お姉ちゃんはもちろん）
遥（私の進路相談や三者面談などもあって）
遥（私達が将来的にはお店を開きたいっていう話は、してある）
遥（最初は驚いたお母さんだったけど）
遥（私達が今後のことを考えて、進路もしっかり計画してるってわかってくれて）
遥（多くは言わずに、応援してくれている）
「はるも、無理はしちゃだめよ？」
遥「うん、大丈夫」
彼方「ほんとかな～？」
遥「お姉ちゃんがそれ聞くの？」
彼方「今は聞けると思うよ？」
遥「それなら、良かった」 遥（普段は対面にいるお姉ちゃんだけど）
遥（お母さんが一緒にいるときは、私の隣に座ってくれているから）
ﾄﾝｯ
ﾄﾝｯ.....
遥（肩を軽く触れ合わせて、二人して笑う）
遥（小突き合ってるかのようなその仕草は、お母さんにとっては仲睦まじい姉妹に見えるのかな。なんて）
遥（ついつい顔色を窺ってしまう）
「ほんと、かなとはるは仲が良くて……」
「お母さんも間に入れて貰えないの？」
彼方「え～？」
遥「え～？」
「ふふっ、冗談よ」
遥（お母さんは冗談で）
遥（私達は……どうなんだろう）
「何かあったら、ちゃんと言ってね？」
「お母さんは、二人の味方だから」
彼方「ありがと～」
遥（笑顔のお母さん）
遥（でもきっと、真実を知ったら味方にはなれない）
遥（……ごめんなさい） ――――――
―――
遥（夜……もうすっかり慣れたえっちな匂いの染み込んだベッドの中）
遥（お風呂に入ったばかりのお姉ちゃんの匂いと温もりが感じられて……ドキドキする）
ﾓｿﾞﾓｿﾞ
ｺﾞｿｺﾞｿ.....
ｷﾞｭｯ
遥「ん……」
彼方「えっちする？」
遥「お母さん居るから、無理だよ」
彼方「そうだねぇ……」
ｺﾞｿｺﾞｿ
ｻﾜｻﾜ.....
ｸﾞｲｯ....
ｸｲｯ
彼方「遥ちゃん」
遥「なに？」
.....ﾁｭｯ
遥「っ！」
彼方「このくらいなら、聞こえたりしないでしょ？」
遥「……そうだね」 遥（布団の中で、手を握る）
遥（広いベッドの中……一人分ほどのスペースしか使わないくらいに抱き合う）
遥（温かくて）
遥（優しくて）
遥（そのまま眠ってしまいそうになる）
彼方「大丈夫だよ……」
彼方「このまま、二人きりの時だけで……我慢してさえいれば」
彼方「あとは、普通の……少し仲の良い姉妹を演じてさえいれば」
彼方「大丈夫」
遥「でも……それだけで我慢が出来る？」
彼方「………」
彼方「痛い所をつくなぁ……」
遥（我慢できないから、ウェディングの撮影をしたいなんて言ったんだよね……）
遥（私も、そこまで我慢できてる自信がない）
遥「……ねぇ、このまま好きでいいのかな？」
彼方「弱気になっちゃ、だめだよ」
遥「うん……」
遥（好き）
遥（大好き）
遥（その気持ちはずっと変わりなく膨らんでいっているのに）
遥（周りから " 姉との恋はおかしい " と暗に言われてしまうたびに……怖くなってくる）
遥（知られたとき、お姉ちゃんがどうなっちゃうのか）
遥（私達のこの距離感が、どうなっちゃうのか） 遥（でも、だとしても）
遥（止められない気持ちの大きさに、胸が苦しくなって）
遥「……好きって、言っていい？」
彼方「いいよ～」
遥「外でも？」
彼方「うん」
遥「好き」
彼方「私も好きだよ～」
遥（私の心も、体も）
遥（お姉ちゃんを愛してやまない）
遥（止められないこの気持ちを無理やりにでも止められてしまったら――私は）
彼方「大丈夫」
ｽｯ.....
ｻﾜｻﾜ
彼方「彼方ちゃんは、何があっても……遥ちゃんが好きだよ～」
遥「うん……私もっ」
....ｷﾞｭｯ
遥（お姉ちゃんと抱き合って、目を瞑る）
遥（好きな匂い、好きな音、好きな温もり）
遥（ついさっきまで怖かったものが全部消えて――やっぱり、手放したくないって思わされる）
遥（好き……大好き……愛してる……たとえそれが、禁断だったとしても） まだおわんねーのかだらだらしすぎだろ
さっさと終われよエピローグなんじゃねーのか？ この茸ここだけじゃなく色んなSSスレ荒らしてるから無視でいいよ 今ある彼方のssを一通り荒らし回ってるようだから構うことはないな ――――――
―――
「遥ちゃん、ゴールデンウイークフルでシフト入れてるんだ」
遥「え？ あ、はい……」
遥（4月も終わりに差し掛かってきたころ……休憩時間が一緒になった男の人は探るように声をかけてきた）
遥（ゴールデンウイークはシフトから外れる人もいれば）
遥（その最初と最後だけ入れて、一応は気にしてます。みたいな感じになってたりする人がいる中で）
遥（数少ないフル出勤の一人の私）
遥（目指すは6月の小旅行）
「そうなんだ……どこかお出かけしたりしないの？」
遥「お金貯めてからにしようかなって思ってます」
遥「それに、ゴールデンウイークって値段上がったりしますし」
遥「なにより、人が多くて……時期はずらそうって話してます」
遥（話してます。なんて、相手がいるアピール）
遥（本当に相手がいるから嘘じゃないし）
遥（6月にしようって計画もしてるから、時期をずらすのも本当のこと）
「そっか～……どこ行くかとか決めてるんだ」
遥「そうですね。国内っていうのは決まってます」
遥（探り、探り……なのかな……私って、そんなに男っ気がないのかな？）
遥（……女っ気はあるのかな。あって欲しいな……お姉ちゃんがいるんだもん） 「じゃぁ今度カラオケにでも行こうよ。バイト終わりにさ。何人かで集まって軽く」
遥「来年受験なので……試験の成績とかが大丈夫だったらご一緒させてください」
遥「ダメだったら、親に咎められるので」
遥（ごめんねお母さん……）
遥（むしろ自分のせいでバイトさせて……なんて言ってきそうなのに）
「へ～遥ちゃんの親って厳しいの？ ウチは全然でさ。もう放任って言うか……それなりでおっけーみたいな感じなんだけど」
遥「そうですね。どちらかと言えば厳しいですよ」
遥「特に、お付き合いする相手とかはすっごく品定めされると思います」
「ふ～ん」
遥（ちょっぴり露骨な牽制）
遥（分かって欲しいな……あなたとお付き合いは出来ないって）
遥（そんなことしたくないって）
遥（複数人で大騒ぎする時間があるなら、お姉ちゃんと二人でベッドでゆっくり目を瞑っていたいんだって）
「大変だね。少しくらい遊んだって良いんじゃないの？」
遥「そのためにゴールデンウイークはバイトして、別の日に旅行しようと思ってます」
「そっかそっか。遥ちゃんと一緒に行ける男が羨ましいな」
遥「あははっ、ありがとうございます」
遥（男の人がいるかどうかは言及しない）
遥（勘違いしてくれたら、それでいい）
「でも、旅行の許可くれんの？ 厳しいんでしょ？」
「それに高校生で男と二人……許可くれるの？」
遥「そこは努力次第だと思いますよ」 遥（お母さんには、まだ話してない）
遥（お姉ちゃんと二人だから……大丈夫だとは思うけど）
遥（今日、話した方が良いのかな）
ｽｯ.....
遥「ちょっとすみません」
「あぁうん」
遥（スマホを手に取って、お姉ちゃんに連絡）
遥（お母さんにどう話すか）
遥（お母さんのことだから、ダメとは言わないとは思うけど）
遥（一緒に行きたい。くらいは言いそうな気がする）
遥（そもそも、置いていくっていうのが何だか意地悪な感じがするし）
遥（電話だとお姉ちゃんだってバレるから……いや、ここは）
ﾄｩﾙﾙﾙﾙﾙ.....
ﾄｩﾙﾙﾙﾙ
彼方『遥ちゃん？』
遥「もしもし、彼方ー？」
彼方『かっ……』
遥「えっとね……旅行の件なんだけどね。今話せる？」
彼方『う、うん……だ、大丈夫だけど……え、彼方……？』
遥「ちょっと事情があって……そこは許して欲しいかな……えへへ」 遥（男の人を見ると、少し訝し気）
遥（でも、電話が嘘じゃないのは音で分かってるだろうし）
遥（私の " 彼方 " が、まさかお姉ちゃんだとは思わない）
遥（男の子でも通りそうな名前に、感謝）
遥「私の親のことで相談があって……どうしようかなって」
遥「今日、バイト終わりに来れたりする？」
彼方『大丈夫だよ～』
遥「よかった。じゃぁ、その時また改めて話そうよ」
彼方『うん……ん？ でも、このくらいならメッセージとかで』
遥「彼方の声が聴きたくなっちゃって……ごめんね」
彼方『彼方……えへへっ。全然いいよ～』
彼方『またね、遥』
遥「っ……」ﾄﾞｷｯ
.....ﾌﾟﾂｯ
遥（も、もっ……も～っ！）
遥（なんで……なんでそうやって……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥（あぁもう……好き！） ｶﾞﾁｬｯ.....
ﾊﾞﾀﾝｯ
遥「？」
遥「あれ……」
遥（いなくなっちゃった）
遥「用事でもあったのかな」
遥「………」
遥「……えへ」
遥（遥……遥だって）
遥（お姉ちゃんが " 遥ちゃん " じゃなくて " 遥 " って）
遥「彼方……えへへっ」
遥（今度からも呼んでみようかな）
遥（あ、でも……お姉ちゃんって呼び忘れたら大変かな……）
遥（でも……なんだかすっごく……ドキドキしちゃうっ）
遥「……えへへ」
ﾄｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ
遥（好き……彼方……大好きだよっ） スクドルのこと知ってたら姉の名前も知ってる可能性が… ――――――
―――
遥「お姉ちゃ～ん」
彼方「遥ちゃん」
遥（バイト終わり）
遥（いつものように、別の場所で待ち合せて……合流）
遥「お姉ちゃん、疲れてない？」
彼方「ん～？ 全然」
彼方「お洗濯にお掃除……時々お料理」
彼方「私の家での役割が半分くらいなくなったし、勉強だって徹夜するほどじゃなくて良くなったから」
遥「お料理の担当、減っちゃったの残念だって思ってるでしょ」
彼方「お母さんだって、私達に作りたいって言ってるからね～」
遥（私とお姉ちゃんは、基本的に一緒にお料理をする）
遥（最初は洗い物しか手伝えなかったけど）
遥（今では切るのも焼くのも炒めるのも煮るのも味付けも……ほとんどできる）
遥（凝ったお料理は、もう一歩）
遥（でも、すぐに美味しく作れるようになる予定） ｻﾜｻﾜ....
ｷﾞｭｯ
遥「えへへ」
彼方「えへへ……」
遥（どちらからともなく、手を握る）
遥（もうそろそろ5月）
遥（握り合う熱さに手汗が滲むのはいつからだろう）
ﾃｸﾃｸ....
ﾃｸﾃｸ
彼方「そうだ～……急に彼方。なんてどうしたの～？」
遥「恋人がいる振り、しようかなって思って」
遥「お姉ちゃんの名前なら、男の子って思って貰えるかもしれないし」
彼方「ん～……でも、私の名前知ってる人だったら効果がないんじゃないかな？」
遥「そうかもしれないけど」
遥「でも " 姉妹はあり得ない " って先入観があれば騙せるかなって」
彼方「そっかぁ」
彼方「……でも、嬉しかった」
遥「………ぁ」 遥（耳まで赤らめるお姉ちゃん）
遥（凄く嬉しそうなのに）
遥（気恥ずかしさが前面に出ていて）
遥（ふわふわとした優しい匂いと）
遥（より一層大人びていく横顔の綺麗さに……胸は高鳴って）
遥「……彼方」
彼方「へっ？」
遥「彼方……私……」
彼方「は、遥ちゃん……待ってっ……ダメだからねっ？」
遥「うん、知ってる……」
遥（手を強く握って、引き寄せて）
遥（それから体を抱きしめながら……耳元で " 愛してる " と囁いてキスをする）
遥（そんな、気持ちの発散を出来ないもどかしさに、涙が零れそうになる）
遥「早く……帰ろ？」
彼方「……そうだね～」
彼方「………」
彼方「……えいっ」 遥（握っていた手が離されて）
遥（それからすぐに、舞い上がるお姉ちゃんの髪）
遥（腕が引っ張られて……包まれて）
遥（ぎゅっと……寄せられるお姉ちゃんの身体）
遥「お姉ちゃん……」
彼方「このくらい……人によってはただの仲良しだから」
ｷﾞｭｰｯ....
遥「本当に大丈夫？」
彼方「平気だよ～スキンシップスキンシップ～」
ｸﾞｲｸﾞｲｯ
ｷﾞｭｯ
ﾑﾆｭ....
遥「もぅ……余計にドキドキしちゃうよ……」
彼方「私だって、ドキドキしてる」
ﾁﾗｯ
遥「……お姉ちゃん、顔赤い」
彼方「遥ちゃんだって」
遥（好き）
遥（この時間が永遠に続いてくれたらいいのに……なんて、あり得もしないことを望んじゃうくらいに） なんかループしてない？
彼方ちゃん側のモノローグが極端に少ないし遥ちゃんの夢の中なのか？ 遥視点だから彼方のモノローグ極端どころか0では？
ループに見えるけど2人の周囲は着実に動いてるってのが不安しかない ――――――
―――
ﾀﾀﾀﾀﾀｯ
ｶﾁｬｶﾁｬ
ｶﾞﾀｯ
ｶﾁｬｯ
ﾀﾀﾀﾀｯ
遥（ゴールデンウイークになると、お店はいつも以上に賑わって）
遥（手当が数百円では不当なんじゃないかとぼやく同期のアルバイトの子達）
遥（慌ただしい人の出入りが数時間続いて）
遥（どうにかこうにか落ち着きを取り戻しつつある頃に）
遥（先延ばしにするしかなかった休憩時間が巡ってくる）
遥（私はまだ、立派なレストランに勤めてるわけじゃない）
遥（厨房に入れたって、出来ることはきっと、本場の人からしてみれば些細なこと）
「近江さん、休憩いこっ」
遥「そうですね」
遥（それでも少し、疲れが出る）
遥（体力つけなきゃ……もっと、頑張らなきゃ） 「えー？ でもさ～」
「絶対こっちの方が良いって！」
遥（いつもよりも人の多い休憩場所）
遥（ぐてっとしてる子もいれば、スマホを弄る子もいるし）
遥（賑やかに話してる子もいる）
遥（お姉ちゃんは……今はもう休憩終わっちゃってるよね）
「ねぇねぇ近江さん！」
遥「はい？」
「近江さんって、お姉さんと付き合ってるの？」
遥「えっ？」
「ホール担当の人が言ってたよ？ 近江さんがお姉さんと付き合ってるって」
遥「え……」
遥（ホール担当……？）
遥（……どうして……？）
「あーあれでしょ？ 去年のライブの奴」
「あたしも見た見た！ 近江さんとえっと……そう。彼方。近江彼方さん！」
「めっちゃ距離近くて……マジで付き合ってんじゃないのって雰囲気ヤバかったよねー！」 「えっ、動画の話？ なにそれ知らないんだけど」
「うっそでしょ！？ ほら、これ！ この動画！」
「うわっ、ほんとだ……えーなに、これ？ これのことだったの？」
遥（私そっちのけで固まる女の子たち）
遥（イヤホンも使わずに流されるライブシーンの音が聞こえてくる）
遥（私とお姉ちゃんの……最初で最後のデュエット）
遥「う、うんっ……そうだと思う」
遥（それのことなら……いいけど）
ﾄﾞｸﾝｯ
ﾄｸﾝｯ
遥（痛い……不安で、胸が痛い……）
「動画の話か～……なぁんだ」
「つーか本気で姉と付き合うとかありえないでしょ」
「信じるとかピュア……じゃないわ。一周回って汚れてるって！」
遥「っ……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ
「………」
「じゃぁさ、近江さんのお姉さんって彼氏いんの？」
遥「えっ！？」
「この前見かけたとき、一緒に歩いてる男の人いたんだけど。結構いい感じでさ～」
遥「そっ、えっ……そ、そう、なんだ……」
遥「ごめんなさい……私、全然知らない……」
「だよね～いくら仲良くても、兄弟姉妹の恋愛状況なんて知ったこっちゃないって感じだよね」 「でも、姉と付き合うとか無いわー」
「アンタお姉ちゃんいないくせに」
「妹いますー」
「どっちにしろ姉妹とかないって。エロいこととかするんでしょ？ 無理無理」
遥「あ、あはは……」
遥（帰りたい）
遥（今すぐ帰って、お姉ちゃんの匂いがする布団にくるまりたい）
遥（声が聴きたい）
遥（今すぐにでも、お姉ちゃんのアののんびりとした優しい声が聴きたい）
遥（お姉ちゃん……）
「でも近江姉妹どっちかと付き合うってなったら？」
「えー女の子でしょ？」
「いーじゃん女の子。生理学的に相性良さそう」
「それ学がつかないほうのじゃなくて？」
「でもウチが男だったらまずありだったね。特にお姉さんの方。男受けする感じだわ」
遥（でも、そのお姉ちゃんは私のだから）
遥（ほかの誰かになんて……あげないから！）
遥（気持ち悪いって言われても、ありえないって言われても）
遥（私達は……あり得るから） おお
水の入ったバケツに小石を静かに入れ続けて、表面張力で堪えてたのが溢れてきた感じがする 「バイトの後、近江さん暇？」
遥「えぇっと……」
「お姉さんと用事でもある？」
遥「お姉ちゃんって決められても困るけど……」
「でも、お姉さんでしょ？」
遥（探られてるのは、分かる）
遥（でも、どうしてなのかが分からない）
遥（変に濁しても、怪しいなって思われるだけのような気がする）
遥「お姉ちゃんですけど……だめですか？」
「ううん。ダメってわけじゃないけどさ」
「また……お姉さんと付き合ってるとか変な噂されるよ？」ﾎﾞｿｯ
遥「………」
遥（本当に付き合ってるよ）
遥（私とお姉ちゃんはいっつも手を繋いだり抱き合ったりして）
遥（お母さんに隠れてキスをして、二人きりの時にはえっちなことだってしてる）
遥「別に、されても良い」
遥「それでお姉ちゃんに悪い虫が近づかないなら……イイかな」
「へぇ～……そういうのって普通はお姉さんが言うんだと思ってた」 遥（変な笑い方をする女の子）
遥（何かを探り当てたとでもいうかのような笑顔は……少し怖くて）
「お姉さん好きなんだね、近江さん」
遥「お母さんの代わりに色々してくれたから……」
遥「なんて言ったらいいかな……母替わり。みたいな感じで」
遥（大好き）
「そっか」
「確かに、お姉さん大人びてるよね。母親っぽいの分かる」
遥（はっきり言えたら……どれだけいいんだろう）
「でも、明日はどう？」
遥「明日は……」
「明日もお姉さん？」 遥（疑う声）
遥（ " 姉はあり得ない " そう言った口から出てくる音は……不気味だった）
遥（これは、断れない）
遥「わ――」
「って……あぁっごめん！」
遥「えっ？」
「私、明日は用事あるから無理なんだよね。残念」
遥（だからまた今度）
遥（……初めからそのつもりだって、分かってる）
遥「そうですか、残念です」
「ほんとはそう思ってないくせに」
遥「そんなことないですよ」
「それなら、たまには誘われてよね」
遥（笑ってる……でも笑ってない）
遥（お姉ちゃんが好きって……そんなにダメなの？） 乙
なんつーか女子ってこういう会話してんの？怖くね？
遥と彼方が穏やかな分周りの動きが激しくて吐きそう 男には分からん心理よな
探って言いふらしたいのか、将又自分のものにしたいのか 某スレの露骨な虐めとはまた違う…女って感じのするやつだわ
もしかしてリアル女さんか？ ――――――
―――
遥（お姉ちゃんが好きだって良いと思う）
遥（私の遺伝子がそうさせてるんだもん）
遥（生理学的に、お姉ちゃんを好きになるのは当たり前なんだよ……）
遥（姉妹はあり得ないってなに？）
遥（お姉ちゃんとか妹とか）
遥（好きになれないってどういうこと？）
遥（本当に家族なの？ 血の繋がりはあるの？）
ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ.....
遥（なんて）
ｶﾂﾝｯ....
ｺﾝｯ!
遥（堂々と言えたらどれだけいいんだろう）
ｳﾞｨｰｯ
ｳﾞｨｰｯ
ﾋﾟｯ
遥「お姉ちゃん？」
彼方『そうだよ～』
彼方『バイト終わった～？』
遥「あ、うん……今帰ろうかと思って……遅くなっちゃったからもう家だよね？」
彼方『帰ろうかと思ったんだけど……実は、まだ』
遥（遠くなるお姉ちゃんの声）
遥（代わりに入り込む雑音に紛れて、駅構内の放送が聞こえてきた） 遥「え、まだ駅にいるの？」
彼方『うん。すぐだろうと思って待っちゃった』
遥「なんで……」
遥（遅ければ先に家に戻ってるって決まりだった）
遥（なのに、どうして駅に……？）
遥「………」
――この前見かけたとき、一緒に歩いてる男の人いたんだけど。結構いい感じでさ～
遥「っ……」
遥「な、何か用事があったの？」
彼方『なんにもないよ～』
彼方『あ、遥ちゃんに会いたかったって用事はあったかもしれないけどね～』
彼方『遥ちゃん……全然連絡つかないから、バイト先に行こうかと思っちゃった』
遥「え……あっ！」
遥（着信もメッセージも、メールも……）
遥「ご、ごめんね！ 忙しくて全然……」
遥「ほんとに！ 忙しかっただけだからっ」
彼方『ちゃんと電話に出てくれたからそれでいいよ～』
彼方『バイト、大丈夫そうかな～？』
遥「う、うん。バイトは、平気……」
彼方『バイトは～？』
彼方『遥ちゃん可愛いから、何か変なお客さん来てるとか？』
遥「変な人は今のところ来てないかな……たぶん」
遥「スクールアイドル時代の名残で、ちょっと声かけられることは多いけど」 彼方『ちょっとなのか、多いのか』
遥「……多いかも」
彼方『え～』
遥（心配そうなお姉ちゃんの声）
遥（のんびりとしたその声を聞きながら、踵を返して駅へと向かう）
遥「お姉ちゃんは？ 声かけられたりしてるんじゃないの？」
彼方『それなりにね～』
遥「あやふや……」
彼方『多いかも』
遥「だと思った」
遥（男受けするって、言われてたもんね） 遥「お姉ちゃん。仲の良い男の人っている？」
彼方『バイトと講義で少し居るけど……仲良いかって言われるとどうかなぁ？』
遥「……一緒に歩いてたりする？」
彼方『う～ん……たまにあるかな～』
彼方『私は用事があるって断ってるけど……駅とか大学とかまで一緒にって』
遥「そっか」
彼方『もしかして、そういうの見ちゃった？』
遥「そういうわけじゃ、無いんだけど……」
彼方『大丈夫だよ～今も昔も私は遥ちゃん一筋だから』
遥「うん……」
彼方『………』
彼方『心配？』
遥「お姉ちゃんに彼氏いるんじゃないかって言われたから……」
彼方『彼女なら居るよ～？』
遥「お姉ちゃんを好きになるのはおかしいって……」
彼方『私達が付き合ってるのを知られた？ それとも、知らずに言われたのかな～？』
遥「探ってきてた」
彼方『そっかぁ……あのライブもあったからね～仕方がないかなぁ？』 彼方『そうだ～遥ちゃん』
彼方『これからなら迎えに行こうか？』
遥「あと少し……10分くらいで駅に着くよ」
彼方『じゃぁ、待ってる方が良いかな～？』
遥「うん」
遥（お姉ちゃんを疑うなんてありえない）
遥（その不安は、まったくないけど……でも）
遥（……少し、怖かった）
遥（無理矢理取られちゃうんじゃないかって……少しだけ）
遥「すぐに行くから、変な人に関わっちゃだめだからね」
彼方『あははっ大丈夫だよ～』
彼方『無料通話だし……遥ちゃんがちゃんと気をつけて歩けるなら、電話したままでも良いよ～？』
遥「じゃぁ気を付けるから電話してたい」
彼方『仕方がないな～』
遥（ざわざわしてた心が落ち着く）
遥（優しい……お姉ちゃんの声）
遥（スマホを胸ポケットに突っ込んで、片耳イヤホンで……ゆっくり歩く）
遥（早く会いたい。でも声を聞きたい）
遥（わがままの両立は、難しい） ――――――
―――
遥「――って、事があってね」
彼方「そっかぁ……」
遥「そっかぁ……って、それだけ？」
遥（お布団の中）
遥（休憩時間の話を聞かせたのに）
遥（お姉ちゃんはあっさりと流すように言うだけだった）
彼方「私も言われたことあるからねぇ」
遥「そう……なんだ」
彼方「それはそうだよ～」
彼方「誰だって、道端にパンドラの箱が転がってたら蹴ってみたくなるでしょ～？」
遥「そういうものかなぁ？」
彼方「………」
彼方「でも、誰かに " まさか妹と付き合うわけないじゃん " なんて、庇われるのは辛かった」
遥「そんなこと、言われたんだ……」
彼方「指輪を見た数人に一人はね～」
彼方「それ、あの妹ちゃんからもらったの？ まさかガチ？ なんて茶化してきたりして」
彼方「私はそれを笑って、誤魔化して……」
彼方「あははっ……ガチで悪いか。って言える勇気が欲しいな～」 遥（愛さんみたいな口ぶりで言ったお姉ちゃんは）
遥（照れくさそうにするわけでもなく、真面目な顔をしていた）
遥「お姉ちゃん……？」
遥（うすぼんやりとした雰囲気じゃなくて、しっかりとしてる）
遥（そんなお姉ちゃんは凛々しくて、ドキドキしちゃう）
彼方「でもずっと、思ってる」
彼方「言えないけど、それで悪いかってずっと思ってる」
彼方「遥ちゃんはどう？」
彼方「信じきれない？ 想いきれない？」
遥（お姉ちゃんは信じてくれてる）
遥（想ってくれてる）
遥（この恋が永遠だって、私達は愛し合えるんだって）
遥（なら、私は？）
遥（私は……）
遥「私だって……」
....ｷﾞｭｯ
遥「私だって、そう思ってるよっ！」
遥「そう……思ってるよ……」 遥（お姉ちゃんが好き）
遥（お姉ちゃんが大好き）
遥（お姉ちゃんをこれ以上ないくらいに愛してる）
遥「でも怖い」
遥「でも不安になる」
遥「私達が狂ってるって言いたげなみんなの目が……」
遥「おかしいって嘲笑が」
遥「あり得ないって否定が」
遥「そういうのが……お姉ちゃんに向けられちゃうのが」
彼方「だとしても」
彼方「だとしても……それでも」
彼方「私は遥ちゃんを愛したいです」
遥「！」
彼方「遥ちゃんはどう？」
遥（繰り返し）
遥（ううん、違う）
遥（本当に良いの？ と、再確認）
遥（お姉ちゃんは、余所行きの声色で改めて愛したいと言ってくれた）
遥（なら、私は）
遥「私も……お姉ちゃんを愛したい」
遥（ずっと、ずっと……死ぬまで、死んでも、生まれ変わるまで）
彼方「だったら、周りなんて気にせずに……一緒に居よう？」
遥「お姉ちゃん……」 遥「お姉ちゃんが色々言われちゃうかもしれないよ？」
彼方「今でも言われてるから……大丈夫だよ～」
遥（それが酷くなるかもしれない）
遥（そんなこと、お姉ちゃんは言われなくたって分かってる）
遥（だから私は）
遥（それでもいいと手を伸ばすお姉ちゃんを、まっすぐ見上げて繋がっていけばいい）
遥（心配なのはお姉ちゃんの方？）
遥（全然そんなことないよ）
遥（2年分……たった2年、でも2年）
遥（その成長の分、私よりもお姉ちゃんのほうが強くはっきりと私を愛してくれている）
遥「なら……堂々としていても良い？」
彼方「良いよ」 遥（私も大変な事になるかもしれない）
遥（でもだけど、お姉ちゃんが私を愛し続けてくれる覚悟があると言うなら）
遥（そんな " かもしれない " なんて投げ捨てちゃえばいい）
遥「……好き」
遥「好き……大好き……愛してる」
遥（それがいつかお姉ちゃんを傷つけてしまうとしても）
遥（それがいつか私を傷つけることになるとしても）
遥（私は堂々と胸を張って――お姉ちゃんが好きだと言い続ける）
彼方「うん……私も好きだよ。大好きだよ」
ｽｯ.....
ｻﾜｻﾜ
ﾁｭｯ
彼方「愛してる」
遥（優しいキス）
遥（でも今までで一番甘く感じる――キスだった） ――――――
―――
「はるるん、何かいいことでもあった？」
遥「えっ？」
遥（ゴールデンウィークも明けた、5月の半ば）
遥（ゴールデンウイークの激務の分、シフトを開けなければいけなかった私）
遥（しばらく会えなかった同期の声は、不意にそんなことを言い出した）
遥（この前の騒動……騒動と言うわけじゃないけれど）
遥（あの事を知ってるわけでは……ないよね？）
遥「そう見える？」
「見える見える。なんか、おでこのニキビが無くなったって感じ」
遥「うん？」
「えっなにはるるん！ あのニキビができた絶望感を知らないの！？」
遥「えぇっと……知らないかも」
「はぁーっ！？」
遥（なぜか怒られて）
遥（その秘訣はと怒鳴るように聞いて来る女の子）
遥「特に何も……お姉ちゃんが栄養に気を付けてくれたからかな？」
「よぉし……お姉さんをください！」
遥「絶対ダメ」 「ダメかーそっか」
「でさー……どうなの？」
遥「どうって聞かれても……特に変わりは」
「嘘だね。前に比べたらすっきりした顔してる」
遥「そうかな……そうかも」
遥（あの日以降も、近寄ろうとしてくる男の人はいる）
遥（女の子たちは、私が誘いを断ったりするたびに、お姉さんお姉さんと）
遥（からかうように言ってくる人もいる）
遥（でもそのたびに堂々と肯定していると……からかわれることも減って……）
遥「気は楽になった……かもしれない」
「……そか」
「聞いたよ？ お姉さんと付き合ってるって聞かれて頷いたって」
遥「うん……」
「まぁ……みんな半信半疑なのは変わらないけどね」
「あんまり堂々としてるもんだから……言っても面白みがないって思われてるのかもね」
「………」
「良いんじゃない？ そうやって堂々としておけば、下手に突っつかれることはないでしょ」 遥「確かに突かれなくなってます」
遥「だから、少し……」
遥（気分が良いっていうのは、気を悪くさせちゃうかな）
「面白半分で突く相手が悪いでしょ」
「気にせずお姉さんと一緒にいたらいいんじゃないの？」
遥「そ――」
「まっ……アイドルに付き物のガチ恋勢とかいう厄介者がどう思うか分からないけどね」
遥「ガチ恋勢？」
「いるんだよねーそういうの」
「はるるんもお姉さんも、あの件で有名になっちゃったからさ」
「気を付けなよー？」
遥「あ、ありがとう」
遥（ガチ恋勢）
遥（後で調べてみると……少し怖い言葉だった） ――――――
―――
遥（でもそれはそれ、これはこれ）
遥（私とお姉ちゃんとの恋は……ガチだから）
「来月？ 二人で？」
彼方「うん。遥ちゃんと旅行に行きたいなぁって」
遥「旅行の予定はちゃんと教えておくし、連絡もちゃんとする」
遥「だから……ダメ？」
遥（来月、旅行に行っても良いかの確認）
遥（お母さんは少し考えて……）
「いいわよ」
彼方「えっ？」
遥「ほんとっ？」
「さすがに海外に行くってわけではないみたいだし」
「長くても2泊3日……ちゃんと連絡もする。約束できる？」
遥「出来るっ」
「かなは？」
彼方「もちろん、出来るよ～」
「なら……良いわよ。行っても」 「女の子2人……ちょっと不安はあるけど」
「でも、ちゃんとしてくれるならいい」
「……今まで、かなには苦労かけちゃったし」
彼方「いいよ～好きでやってたことだから」
「だとしても、背負わせちゃったから」
遥（お母さんはちょっぴり申し訳なさそうに言って）
遥（横目を向ける程度に私を見る）
「でもほんと……仲の良い姉妹になってくれてよかったわ」
「かな、はる。これからも仲良くね」
遥「う、うんっ」
彼方「将来的には一緒にお店を開くからね～」
彼方「ずっと仲の良い姉妹だよ～」
「そう……」
「2人で決めた将来のため……はるも凄く頑張っているみたいだし」
「お店の料理、一番はお母さんに頂戴ね？」
「あと……旅行のお土産も」
遥（ちゃっかり求めてくるお母さん）
「新潟駅に、いろんなお酒売ってるところが――」
彼方「私、まだ18歳だから無理かな～」
「え～っ！」
遥（残念そうなお母さんは、でも……一緒に行くとは言わなかった） 遥（お母さんも、あのライブを知ってる）
遥（ううん、知ってるだけじゃない）
遥（ちゃんと見てた）
遥（なのに、ただの仲良しとしか思ってない）
遥（本当に？）
遥（お母さん、まさか……）
「それなら……花火パイとかで」
遥「ねぇ、お母さん。もしかして――」
「ん～？ 大丈夫」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「お母さんだって、かなほどじゃなくてもお料理もお掃除もお洗濯もしっかりできるんだから」
遥（お姉ちゃんよりも大きな手）
遥（同じく優しいその感触は、お姉ちゃんのそれとは全然違って感じる）
「大丈夫よ。はる」
遥（その笑顔は、安心してと。言っていた） ――――――
―――
遥（そうして6月）
遥（お姉ちゃんがついつい口にした新潟へと……行くことになった）
遥「グリーン車……」
遥（人が比較的多く感じられる自由席を通り過ぎて、乗り込んだのは新幹線のグリーン車）
遥（自由席よりも座席数は少なく、一席一席が広めに作られていて）
遥「見て見て。ブックライトだって！」
彼方「すごいねぇ～」
遥（丸みを帯びている座席の左肩部分にはライトがついていて）
遥（コンセントも差せる）
遥「……D8」
彼方「遥ちゃん、荷物上にあげるよ～」
遥「ありがと……」
遥（1年経ってもちっとも背が伸びてないお姉ちゃん）
遥（背伸びして、どうにか荷物を押し上げるのは……可愛くて）
遥（背丈似合わない胸の揺れは……えっちだった） 遥「駅弁って、いつ食べたらいいんだろう？」
彼方「ん～……動いてから？」
遥「次上野だったっけ？」
遥「えぇっと……」
遥（時刻表で調べてみると、次は上野で到着まで10分もない）
遥「その次の大宮までは20分ほどかかるみたいだから、上野に着いてからにしようよ」
彼方「いいよ～」
彼方「たのしみだね～」
遥「うんっ」
遥（お姉ちゃんとの旅行）
遥（そのはじめが、この新幹線）
遥（そして……千円ちょっとする駅弁）
遥（駅で食べるお弁当として楽しまれてるものがどんなもので、どんな味なのか）
遥（将来的にお弁当屋さんを開く私たちの、勉強の一つ）
遥「……この足置きって、靴脱ぐのかな」
彼方「こっちの面は、シートと同じ感じがするから、脱ぐんじゃないかな？」
遥「お姉ちゃん、足置き使う？」
彼方「使うよ～」 遥（金曜日、スーツを着てる人もいるけれど）
遥（人がほとんどいない私たちの車両）
遥（でも、あんまり大騒ぎは出来ない）
彼方「ねぇねぇ遥ちゃん～」
彼方「車内販売で色々あるみたいだよ～」
遥「ほんとだ～」
遥（前の座席の網に挟まれてる冊子を二人で広げる）
遥（ほんの些細なことも……お姉ちゃんとなら楽しい）
ｽﾀｽﾀｽﾀ
ｶﾀﾝｯ
遥「？」
遥（通路を挟んで隣の席）
遥（私服の男性が席に座って、慣れた様子で座席のリクライニングを動かす）
遥（……来ちゃった）
彼方「このアイス買ってみる～？」
遥「お弁当食べた後に買ってみようよ」
彼方「いつくらいに回ってきてくれるかだね～」
遥「えへへ……そうだね～」
遥（まだ始まったばかりなのに、ドキドキしっぱなし） わたしからもお願いします
病気の姉の数少ない生き甲斐なんです 彼方「向こうの駅に着いたら、車借りに行くでしょ～？」
彼方「それから旅館にチェックインして～……」
遥「私も運転免許取らないとなぁ……」
彼方「高校卒業してからね～」
遥「私はどうしようかな……」
遥（お姉ちゃんは合宿ではなく、18歳になった翌月……）
遥（今年の1月から5月終わりまでの期間をかけて、普通免許を取得した）
遥（バイトして、学校の勉強して、運転免許を取るための勉強して）
遥（家事の負担が減って、スクールアイドルの時間も無くなったからって出来ることじゃないのに）
遥「お姉ちゃん、相変わらず無茶しちゃうんだから」
彼方「合宿免許は……えへへ。私が我慢できなかったかもしれないから」
遥「……2年もあれば、我慢できるようになるかな」
彼方「出来なくても良いよ～？」
遥「も～っ」
ｸﾞｲｸﾞｲｯ
彼方「えへへ～」 遥「免許見せて～」
彼方「あんまりいい写真じゃないよ？」
遥「え～可愛いのに」
彼方「そう～？」
遥「私のお姉ちゃんだもん……あ、原付くらい、買う？」
彼方「そんな安い買い物みたいに言ったらダメだよ～」
遥「安くはないけど、普通の車よりは安いよね？」
彼方「そうだけど、駐車場とかうちにはないから～」
彼方「うん～……お引越し。してから考えよっか」
遥「車はそうだね……軽の方が良いのかな？」
彼方「荷物を積める方が良いよね～可愛い感じの」
遥「……外国？ 国内？」
彼方「ベンツ？」
遥「それは目標ってことにして……」
遥（そもそもベンツってかわいいのかな……）
遥「私は、外国のならBMW好きだよ。あの……ブタの鼻みたいな部分が好き」
彼方「どういうの～？」
遥「えっとね～」
ｽｯ....
ｽｯｽｯ
遥「これ」
彼方「……ブタの鼻？」
遥「ほらっ、これだよ。この前の部分……可愛いよ？」
彼方「そ、そうかなぁ……」 遥（なぜか、どんな車が可愛いか）
遥（どの車に乗ってみたいか）
遥（そんな話で盛り上がる私達を乗せて……新幹線はついに動いた）
遥「わっ……揺れないよっ」
彼方「そうだねぇ」
遥「普通の電車だったら結構揺れるのに……」
彼方「快適快適～」
ｶﾞﾀｯ
ｳﾞｨｰ.....
ｽﾀｽﾀｽﾀ...
遥「切符見せた方が良いのかな？」
彼方「大丈夫だけど……」
「お客様――」
遥「？」
遥（別の車両の方から来た車掌さんは私たちの席のところで止まると）
遥（通路を挟んで向かい側に座っていた男の人に話しかける）
遥（切符を見せてと言われ、ポケットを弄る男性）
遥（自由席の切符だったらしく、席を移動するように求められた男の人）
遥（私とお姉ちゃんを一瞥していそいそと立ち去っていく）
遥「うるさかったかな？」
彼方「それ以前の問題じゃないかなぁ？」 ――――――
―――
遥「お弁当の箱ってこういう木目の感じが良いのかな」
遥「それとも、プラスチックが良いのかな？」
彼方「うん～……」
彼方「ゴミの分別が楽になるようにしてあげたいかな～」
彼方「そういうの、気にしない人は気にしないけど～」
彼方「ここでは捨てられないから……って」
彼方「いつまでもゴミを持っていないといけないのって不便だと思うし」
彼方「家に帰って、捨てるときに分別って面倒だなぁ……って、なっちゃう人もいるかもしれない」
遥「……主婦目線？」
彼方「そうかな～？」
遥「私はね……ターゲットが働いてる人たちなら」
遥「なにか、そういう人たちを元気づけてみたいって思う」
彼方「たとえば？」
遥「えぇっと……」
遥「例えば、食べ終えた容器の底面に " お疲れ様です " とか " いつもありがとうございます " とか」
遥「頑張ってる人たちに頑張ってって言うんじゃなくて」
遥「その人たちが頑張ってるってことを知っててあげるみたいな……そういう、気持ちの一文。みたいな……」
遥「そのおかげで、お弁当を買って貰えて……ありがとう。みたいな」
遥「疲れた。とか、大変とか……そういう気持ちを和らげられるような何かをしてみたい」 遥（高校時代のお姉ちゃんにとっての私みたいな）
遥（そんな、優しい気持ちを分けてあげられたらなって思う）
遥（容器の生産コストから考えて）
遥（そんなちっぽけなことはするべきじゃないとは思うけど）
遥（でも、そのちっぽけなことで）
遥（ちょっとでも喜んでもらえたら嬉しいなって思ったり……）
遥「だめ、かな……？」
彼方「どうなんだろう？」
彼方「飲食店の器の底にそのお店のマークが入ってたり～っていうのはあるって聞いたことあるけど～」
彼方「使い捨ての容器にそういうのはあるのかなぁ？」
彼方「でも……そういう優しさは良いのかもしれないね～」
遥「えへへ……そうだよね」
彼方「まだまだ先の話だけど、検討しておこう」
遥「新潟で売ってるお弁当とかも色々見て回ろうよ」
彼方「遊びに行くんだよ～？」
遥「そうだけど、あんまりいかない場所のは見ておきたいなって」
彼方「勉強熱心だねぇ」
遥「もちろんっ」
彼方「いいこいいこ～」
遥「も～」
遥（上野駅を出てからお弁当を持ち出す）
遥（お姉ちゃんとお弁当の話をしながら東京駅で買ったお弁当のふたを開ける）
遥（私がお肉で、お姉ちゃんが海鮮系）
遥（言わずもがな、お姉ちゃんと半分こ） 遥「お姉ちゃんっ、はい……あ～ん」
彼方「ちょ、ちょっと遥ちゃん？」
遥「大丈夫大丈夫」
遥（周りの席には誰もいないから、気にすることなくお姉ちゃんとくっつける）
彼方「遥ちゃん、積極的過ぎるよ～」
遥「お姉ちゃん、しーっ」
ｽｯ....
彼方「も～……」
....ﾊﾟｸｯ
ﾓｸﾞﾓｸﾞ
彼方「見つかったら大変なんだよ～？」
遥「このくらいはスキンシップスキンシップ」
彼方「遥ちゃんってば……」
...ｽｯ
彼方「ぁ～んして」
遥「ぁ……むっ……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
彼方「どお～？」
遥「美味し～」 遥（お姉ちゃんとゆっくり、お弁当を食べさせあう）
遥（時間と場所的に人通りはなく、人の目もなく、耳も多くはなくて）
遥（だから、安心してお姉ちゃんと触れ合える）
遥「このお肉の味、お姉ちゃんまねできそう？」
彼方「うん～……出来るかなぁ？」
彼方「醤油……ううん、違う」
彼方「これは～……う～ん……」
ｽｯ....
遥「はいもう一口」
彼方「ありがと～……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
遥（お弁当の一つ一つのおかず）
遥（これはできそう、これは難しそう）
遥（これはアレかもしれない）
遥（そんな風にお弁当を楽しんで――）
ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｯ
ｽﾀｽﾀ...
遥「すみません。アイスください」
彼方「バニラとチョコ。一つずつお願いします」
遥（丁度良かった移動販売に、アイスをお願いした） BMW豚の鼻は草車好きに怒られそう
このイチャイチャのまま次スレ行こうか ――――――
―――
遥「お姉ちゃんっ、新潟だよ新潟！」
彼方「広いね～」
遥「写真撮ろっ！」ｸﾞｲｯ
彼方「わわっ」
ﾀﾀｯ
ﾀﾀﾀｯ
彼方「新潟駅って、東京駅と空気が違うね～」
遥「そうだねっ」
遥（東京駅のホームも広いけど、ごちゃごちゃしててあんまりそう感じられない）
遥（でも、新潟駅は新幹線から下りてくる人くらいしかいないから……広く感じる）
遥「お姉ちゃんっこっち見てこっち」
彼方「ん～？」
遥「新潟～で撮るよ」
彼方「斬新な合図だねぇ……」
遥「新潟だから」
彼方「あははっいいね～」
彼方「じゃぁ――」
遥（自撮り用の棒の先端にスマホを取り付けて、伸ばす）
遥（新潟駅って書かれたパネルと新幹線の車体を背景に、くっついて）
遥・彼方「新潟ーっ！」
.....ﾊﾟｼｬｯ! 遥（二人で腕を組んだ1枚目の写真）
遥「お姉ちゃんかわいい」
彼方「遥ちゃんも可愛いよ～」
遥「えへへ～」
遥「切符持ってもう一枚！」
彼方「一枚を二人で持とうよ」
遥「こう？」
彼方「ううん、こう」
ｽｯ
遥「あっ……えへへっ」
遥（一枚の切符を、二人の半分ずつのハートをくっつけて支える）
遥（お姉ちゃんかわいい……）
遥「お姉ちゃん、ちょっと赤くなってる」
彼方「……少し、変なこと言っちゃったかな～って」
遥「変じゃなくて、かわいいのに」
遥「……ほらっ、お姉ちゃんっ」
彼方「遥ちゃん積極的だねぇ」
遥（自撮り棒はお姉ちゃんに委ねて、腰に手を回して抱き寄せる）
遥（胸の前で、入場済の印が押された切符をハートで包んでもう一度）
遥・彼方「新潟ーっ！」
――ﾊﾟｼｬｯ!
遥（少し舞い上がってるお姉ちゃん、好き） ――――――
―――
遥「……お姉ちゃん、大丈夫？」
彼方「ま、待って待って遥ちゃん。話しかけないで」
彼方「よ、よそ見できないから……無理っ」
遥「停まってるときくらい、気を抜いても良いんじゃないかな」
彼方「だ、ダメだよっ……これ、ATだから……ブレーキ離したら動いちゃうからっ」
遥「そうなんだ……サイドブレーキって言ってたやつは？」
彼方「そっち使うと発進がワンテンポ遅れちゃうから……機敏な運転、まだ無理……」
遥「もう少し落ち着いていいんだよ？」
遥（お姉ちゃんと一緒なら――事故死したって、良いんだから）
遥（なんて）
彼方「一人で運転してた時はこうじゃなかったのに……」
遥「……そう言えば、車の中でエッチなことするっていうのも――」
彼方「今はそういう話しちゃダメ～」 新潟の掛け声で自撮りとか可愛いなコイツら
間に男挟みてぇ 遥（お姉ちゃんの慎重な運転でゆっくりと辿り着いた旅館）
遥（果てまで広がるような田園地帯に隣接していて、空気は良い）
遥（通されたのはプラン通りのスタンダードな和室）
遥（スタンダードな和室……だよね？）
遥「広い……」
彼方「和の匂いがする～」
遥「去年の合宿の時も畳のお部屋使ったけど」
遥「比に出来ないくらいに凄い……」
彼方「景色も良い感じだよ～」
遥（……これなら窓開けたままえっちなことしても見られたりしないかも）
ｶﾞｻｺﾞｿ
ｺﾞｿｺﾞｿ
彼方「しても良いけど、窓は閉めるからね」
遥「え～……口に出してなかったのに」
ﾁﾗｯ
彼方「遥ちゃんのことだから考えると思っただけだよ～」
彼方「隣の部屋とかに聞こえちゃうから」
遥「しめてても聞こえちゃうと思うけど」
彼方「そういう問題じゃないよ～」
彼方「どうする？ お風呂入っちゃう？」
遥「お夕飯まではまだ時間あるんだっけ？」
彼方「あと2時間くらいかなぁ？」
遥「ならお風呂入っちゃおっか」
遥「この浴衣って……下着付けなくてもバレないよね」
彼方「ちゃんとつけてね～？」
遥「は～い」 遥「美人になれる温泉だって～」
遥「お姉ちゃんがもっと美人になっちゃうね」
彼方「遥ちゃんも美人になっちゃえ～」
ｸﾞｲｸﾞｲｯ
遥「わ～っ」
ｷﾞｭｯ
ｸﾞｲｯ
彼方「わぁっ」
遥「一緒に美人になろっ」
彼方「も～っ、引っ張ったら危ないよ～」
遥「ごめんなさい……」
遥「いこっ」
彼方「遥ちゃん、体洗ってあげようか～？」
遥「えっ？」
遥（浴場だけに欲情しちゃったのかな……脱いでるし）
遥「大浴場だけに欲情し――」
彼方「てないよ～」
彼方「スキンシップスキンシップ～」
遥（お姉ちゃんのスキンシップの範囲が海より広くなりそう） 遥「お姉ちゃん」
彼方「ん～？」
遥「ウエスト……ちょっと細くなった？」
彼方「そう～？」
彼方「定期的に遥ちゃんと体動かしてるからかな～？」
遥「最近、お姉ちゃんが騎――」
彼方「そっちじゃないよ～」
彼方「………」
彼方「そっちも、あるかもしれないけど……」ﾎﾞｿｯ
遥「やせすぎないでね？」
遥「前でも十分丁度いい体だったんだから」
彼方「太って欲しいって話に聞こえるんだけど～？」
遥「ちょっぴりフニフニしてるお姉ちゃんの身体、好きだよ？」
彼方「誤魔化さないの～」 遥（胸もお尻も、お姉ちゃんはムニムニだけど）
遥（痩せちゃったら……グラマラスボディになっちゃう）
遥（……えっちになっちゃう）
ｻﾜｻﾜ
ﾑﾆｭｯ
彼方「んっ！」ﾋﾞｸｯ
遥「……こういうこと、したくなっちゃうよ？」
彼方「だめっ、遥ちゃ……」
ｻﾜｻﾜ
ｽｯ
ﾁｭｸｯ...
遥（……お湯？ 石鹸？ それとも……濡れてる？）
彼方「太るっ、太るからっ」ﾋﾞｸｯ
遥「別に太らなくても……触っちゃうから」ﾌｰｯ
彼方「っ」ﾋﾞｸｯ
彼方「だめ……だってばぁ……」
ｶﾗｶﾗｶﾗｯ.....
ｻｯ
彼方「っ……はぁ……はぁ……」
彼方「は～る～か～ちゃんっ！」
ｶﾞｼｯ
ｻﾜｻﾜｻﾜ
遥「ひゃぁっ！」ﾋﾞｸｯ
彼方「お仕置きだよ～っ！」
ｻﾜｻﾜｻﾜ....
遥「ご……ごめんなさぁい！」 ﾁｬﾎﾟﾝｯ
ﾁｬﾎﾟｯ.....
彼方「はふぅ」ﾂﾔﾂﾔ
遥「うぅ……」
遥（やられた……お姉ちゃんに……っ）
遥（あんな短時間で……）
彼方「遥ちゃん可愛かった～」
遥「も～っ！」
ｸﾞｲｸﾞｲｸﾞｲｯ
ﾊﾞｼｬｯ
彼方「わっ」
遥「なんで～っ！」
ﾊﾞｼｬﾝｯ
彼方「落ち着いて～」
遥「落ち着いてられないよっ」
遥「もぉ……お姉ちゃんえっち……」
彼方「遥ちゃんが先にやって来たのに～？」
遥「最後までされちゃったら……我慢、出来なくなっちゃうのに……」
彼方「今日の夜、やる予定だったからいいの～」
遥「もぅ……」ﾊﾞｼｬｯ 彼方「温泉って良いねぇ……」
ｻﾞﾊﾟｯ.....
ﾀﾌﾟｯ
彼方「あと、露天風呂、サウナ、寝湯、檜風呂……色々あるけど」
彼方「全部行ってみる～？」
遥「いく」
ﾁﾗｯ
遥「……」
ｽｯ...
ﾁﾗｯ
ﾋｭｯ
ﾍﾞﾁﾝｯ
彼方「っぁっ！」ﾋﾞｸｯ
彼方「は、遥ちゃんっ！」
遥「胸が浮いてるのがいけないんだよ……」ﾌﾟｲｯ
彼方「遥ちゃんだって～」
彼方「………」
...ﾁｬﾌﾟｯ
彼方「……負けず嫌いだねぇ」
ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
遥（夜は……負けないから……） いやなげぇわ
山も谷も落ちもない話にどんだけ時間かけてんだよ この空間…幸せが溢れてて最高…
ずっと続いてほしい ――――――
―――
遥（瑞々しさを感じるお造り）
遥（お肉やお魚……カニの焼ものや、何か綺麗に盛り付けられたやつ）
遥（見るからにおいしそうな盛り付けがされた貝や煮魚などなど）
遥（お夕食として出された会席は凄く立派なものだった）
遥「お姉ちゃん作れる？」
彼方「……全く同じは無理かも～」
彼方「でも、それっぽいのなら作ることはできると思うよ～」
ﾁﾗｯ
ｽｯ.....
彼方「素材的には……絶対に無理」
遥「わぁ……」
遥（のどぐろってお魚は知らないけれど）
遥（村上牛っていうのが、牛肉の中でもそれなりに良いお肉だっていうのくらいは分かる）
遥「お弁当屋さんで、高級弁当として出すっていうのはどうだろ？」
彼方「値段は出来る限り抑えた上で、一部使うっていうのなら……う～ん……」
彼方「場所にもよるけど、やっぱりターゲット層的にリーズナブルな価格でっていうのが一番だと思うかなぁ？」
遥「29の日とか、特別な日にだけちょっぴり豪華なのも用意してみるとか？」
彼方「バレンタインとか～クリスマスとか～？」
遥「うん。それっぽいの」 彼方「う～ん……」
遥（……真剣に考えるお姉ちゃん、やっぱり格好いいなぁ）
遥（温泉に入って髪を梳かした後だから、髪が真っ直ぐ下りてるままだから……すっごく美人）
遥（……ドキドキしちゃう）
彼方「そういうスペシャルメニューも……今の内から検討しておいた方が良いかもしれないね～」
遥「今の内から、たくさんメニュー考えておいて」
遥「日替わり弁当とか、月替わりメニューとか」
遥「季節、気温、天気」
遥「いろんなパターンを考えていこ？」
遥「それで……みんなに楽しんで貰えるような」
遥「みんながこのお弁当が食べたいって言ってくれるような」
遥「そんなお弁当屋さん……やっていきたい」
彼方「遥ちゃん……」
彼方「うん……そうだねぇ」
彼方「会席弁当とか」
遥「1000円くらいしそうだね～」
彼方「会議とかでご贔屓くださ～い。なんてね～」 遥「ラブライブの大会での差し入れみたいなのも将来的には目指したいなぁ」
彼方「テレビ番組への差し入れとか～」
遥「うんうんっ」
遥（夢は大きく、希望も大きく）
遥（でもそのために、努力だって全力で）
遥「お姉ちゃんお姉ちゃんっ」
遥「写真お母さんに送ってあげよっ」
遥（だけど今は……お休み）
ｽｯ...
ﾊﾟｼｬｯ
遥「お姉ちゃん、お鍋持って」
彼方「こう？」
ｶﾞﾀｯ.....
ﾊﾟｼｬｯ
ﾊﾟｼｬｯ
遥「……お姉ちゃんかわいい」
彼方「も～そればっかり～」
彼方「遥ちゃんも撮ってあげる～」 彼方「は～い」
遥「新潟～」
ﾊﾟｼｬｯ
彼方「遥ちゃん見切れてる～」
遥「お姉ちゃんちゃんと撮ってよ～」
彼方「じゃぁ――」
ﾊﾟｼｬｯ
遥「ぁっ」
彼方「ちゃんと撮ったよぉ？」
彼方「かわいい遥ちゃんゲット～」ﾆｺｯ
遥「もぅ～」
遥（嬉しそうなお姉ちゃんかわいい）
遥（でも不意を突くのは狡いよ）
ｽｯ....
遥「……」
ﾊﾟｼｬｯ
彼方「あっ！」
遥「仕返しっ」 遥（最近の……ではないかもしれないけど）
遥（手ブレを可能な限り抑制してくれるスマホでもブレた写真）
遥（お姉ちゃんの可愛い写真、驚いた写真、かわいい写真、かわいい写真……）
遥（料理が付属品のような写真一覧から）
遥（数枚を選び取って、お母さんに送る）
ｳﾞｨｰ
ｳﾞｨｯ
彼方「お母さんも行きたかっただって～」
遥「これ見よがしにカップメンの写真が……」
彼方「開けてないから、冗談だと思うよ～」
遥（カップ麺と、ヤカン）
遥（コンビニの割りばしが写った1枚）
遥（寂しさの代わりに添えられた " いただきます " に、お姉ちゃんは笑って）
彼方「遥ちゃん。あ～ん」
遥「えっ？」
彼方「あ～ん」 遥（お箸で摘ままれたお肉一枚）
遥（何か企んでるようなお姉ちゃんの顔は、やっぱりかわいくて）
遥「かわいく撮ってね？」
彼方「任せて～」
遥「ぁ～むっ」
ﾊﾟｼｬｯ
遥「ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸﾞ……」
遥「ｺﾞｸﾝｯ……おいしい」
彼方「かわい～」
ｽｯ
遥「……変な顔になっちゃってないかな」
彼方「可愛いよ～」
ｳﾞｨｰｯｳﾞｨｰｯ
遥（お母さんからの返事は、泣いてるキャラクタスタンプ）
遥（それに続いて、なにとぞお願いします。のスタンプだった）
遥「お土産、村上牛のカレーとかにしよっか」
彼方「そうだねぇ……あっ、ローストビーフとかもいいかな～」
遥「お酒に会いそうなのが良いかもしれないね」 遥「お姉ちゃん、はい。あ～ん」
ｽｯ....
彼方「ぁ～むっ」ﾊﾟｸｯ
彼方「ﾓｸﾞﾓｸﾞ……」
彼方「んっ……美味し～このお肉～柔らかいよ～」
遥「でしょっ」
遥「お魚も美味しいよっ」
ﾋｮｲｯ
....ｽｯ
遥「ぁ～ん」
彼方「ぁむっ……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
彼方「じゃぁ、遥ちゃんも～」
ｽｯ....
遥「ぁむっ」
遥「ﾓｸﾞﾓｸﾞ……んっ、美味し～」
彼方「……私のお料理よりも？」
遥（上目遣いは狡い……っ）ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥「も～そんな顔しなくたって……」
遥「お姉ちゃんのお料理の方が美味しいよ？」
遥（お姉ちゃんのほうが美味しいよ）
遥「愛情の差だねっ」
彼方「えへへっありがと～」 彼方「上目遣い効果かな～？」
遥「ちょっとあるかも」
彼方「遥ちゃん、今年身長伸びた？」
遥「ん～少し伸びてたと思う」
遥「でも、誤差だったはず……たぶん」
遥（あと1年半でお姉ちゃんの身長に追いつけるかどうかって所かな？）
遥「お姉ちゃんよりおおきくなりたいな～」
彼方「ダメだよ……」
彼方「遥ちゃんに大きくなられたら、私の方が妹っぽくみえちゃうかもしれない」
遥「そんなことないと思うよ～」
ﾋｮｨ.....
ｻｯ
遥「はい、あ～ん」
彼方「あ～ん……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
彼方「ん～っ……やっぱり、この味付け良いなぁ……どうやってるのかなぁ？」
彼方「遥ちゃんも食べて食べて～」
ｽｯ
遥「ぁ～ん……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
遥「美味し～お弁当で作ってみたいね～」
彼方「ね～」 彼方「鯛ご飯……お米がふわふわしてるよ～」
遥（お姉ちゃんもふわふわしてるよ～）
遥「……ｺﾎﾝｯ」
遥「新潟のお米だよね。コシヒカリ？」
彼方「だと思うよ～」
遥（変なお米ではないけれど）
遥（特にブランドじゃないお米を買っている私達）
遥（そして、特別良くもない炊飯器）
ｽｯ
ﾊﾟｸｯ
遥「んっ……！」
遥（ぜんっぜん違うっ）
遥「美味しい……お米だけでも美味しいよっ」
彼方「お米とか、お米の炊き方とか」
彼方「……いっぱい研究しなきゃ」
遥「そうだねっ」
遥（お姉ちゃんと一緒にいられるだけでお釣りがくるのに、勉強にもなる旅行って……いいかも） 遥「これも食べてみよっ、これ」
彼方「こっちも美味しいよ～」
遥「ほんとっ？」
遥（お姉ちゃんと一緒に、あれもこれもとテーブルの上に並べられた一つ一つを食べ進めていく）
遥（どれもこれも、すっごく美味しくて）
遥（お姉ちゃんの作ってくれる料理よりもおいしいって思えちゃうようなものも……あった）
彼方「ん～……これも作ってみたい」
遥（じっと観察して）
遥（何がどうなってるかを見たり、においを嗅いでみたり）
遥（お姉ちゃんはすっごく楽しそうに、会席を研究する）
遥「えへへ……」
遥（嬉しそうなお姉ちゃん）
遥（楽しそうなお姉ちゃん）
遥（可愛くて、凛々しくて、格好良くて……大好き）
彼方「遥ちゃん遥ちゃん～、これ、おうちで作れるかも～」
遥「さすがお姉ちゃんっ」
遥「で～も……はい、あ～ん」
彼方「ぁむ……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
遥「冷めちゃうから、残念だけど早く食べよ？」
彼方「ついつい熱中しちゃったよ～」 遥「熱中してるお姉ちゃん、かわいかったけどね」
彼方「ごめんね～」
彼方「あ～ん」
ﾋｮｲｯ
ｽｯ
遥「あむっ……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
遥「こういうお話してると、あれもこれもってお弁当一杯考えちゃう」
彼方「そうだねぇ」
彼方「食材をどこから仕入れるかとかも大事になってくるから」
彼方「そういうのも……」
遥「うんっ、考えることいっぱいだよね」
遥（理想は大きくなっていく）
遥（だから、私はどんどん実力不足）
遥（でもお姉ちゃんのあのすっごく嬉しそうな顔を見るためなら……）
遥「明日も、ウェディ……あの写真撮ったら、何か食べて回ろっか」
彼方「へぎそばとか～……そうそう。村上の方は鮭の産地で有名らしいよ～？」
遥「……食べてる最中なのに食べたくなってきちゃうよ」
彼方「……食後のデザートもある……からねぇ」ﾌｲｯ
遥「ぇっ」
彼方「……ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
遥（食後って、そっちのことだよね……？）
遥（顔赤いもん……こっちじゃなくて、あっち……えっち？）
遥（かわいい……好き……） おつおつ
素晴らしく幸せな空間をいつもありがとうございます
脳への最高の癒し…… 旅行での夜もまたpixivでお願いしたい…(小声) ――――――
―――
遥（お腹いっぱい……は避けて、腹八分）
遥（美味しく賑やかに夕食を食べ終えて、そのままゲームコーナーに寄り道）
遥「チェックインの時から気になってたんだよね～」
彼方「何か～やってみたいものでもあるの～？」
遥「どういうのがあるのかなって」
遥「……あ、でも。クレーンゲームはやらないよ」
彼方「ん～？」
ﾁﾗｯ
ﾃｸﾃｸ
ｼﾞｰｯ
彼方「……さては、やったことあるな～？」
遥「ちょ、ちょっとだけだよっ」
遥「ちょっとだけ……」
遥（緑色のお札が1枚無くなったけど……）
遥「ちゃんと、取れたし……」
遥「ほらっ、一昨年くらいにプレゼントした羊のぬいぐるみ……」
彼方「あ～あれか～」
彼方「……買ったって言ったよね？」
遥「勝ったんだよ」
彼方「そういうことだったんだ～」
彼方「私も、頑張ってみようかな～？」
遥「だ、ダメだよっ！ のまれちゃう！」 彼方「ふっふっふっ」
彼方「まぁまぁ～見てて～」
ﾁｬﾘｯ
ﾁｬﾘﾝﾁｬﾘﾝｯ
彼方「このお菓子ボックス……取ってみせるよ～」
遥（意気込んでクレーンゲームに向かうお姉ちゃん）
遥（すでに200円は投入済み）
遥（あとはもう、お姉ちゃんの戦い……）
遥「おねえちゃんっ、この一回だけでいいからねっ？」
彼方「うん～1回で十分だよ～」
彼方「………」
ｶﾁｯ
ｳｨｨｨｨｨｨ....
遥（真剣だけど、かわいいお姉ちゃん）
遥（自信満々な感じが……すっごく可愛い）
ｶﾁｯ
彼方「ん～……」
ｼﾞｰｯ
ﾁﾗｯ
ｶﾀﾝｯ
彼方「……この辺り。かな？」
ｶﾁｯ
ｳｨｨｨｨｨ....
彼方「ここかなぁ？」
ｶﾁｯ
彼方「勝負～」 ｳｨｨｨｨｨ....
ｶﾀｯ
遥「掴んだっ」
遥（でも、勝負はここから……）
彼方「大丈夫～」
彼方「このまま、いけるよ～」
ｳｨｨｨｨｨ
ｶﾀｶﾀｶﾀｯ....
ｳｨｨｨ
遥「あっ」
ｳｨｨｨｨ
ﾊﾟｶｯ
ｶﾞﾀｯ
ｶﾞﾀﾝｯ!!
遥「とっ……」
遥「とれたーっ！」
彼方「えっへっへ～ん」
彼方「言ったでしょ～？」
ｶﾞﾀｯ
ｶﾀﾝｯ
彼方「こういうの、攻略法色々教えて貰ったんだよねぇ」 遥（お菓子が詰まったボックス抱きかかえて、自慢気なお姉ちゃん……）
遥「かわいい……」
彼方「えっ？」
遥「あっ……うん。凄かった」
遥「凄かったけど……誇らしげなお姉ちゃんが可愛すぎて……」
ｶﾀｯ
ﾃｸﾃｸ....
彼方「は、遥ちゃん～？」
ｽｯ.....
彼方「公共スペース、公共スペースだから……」
遥「………」
遥「このお菓子ボックス……チョコレートとかも入ってるんだ」
彼方「ん？ ん……うん、そうみたいだねぇ」
遥（いけないけない）
遥（平常心で……保たないと）
遥「卓球やろ～卓球」
彼方「いいよ～」
彼方「勝利条件はどうする～？」
遥「11点先取の1ゲーム」
遥「勝った方が、今日の攻め」
彼方「……負けられないね～」
彼方「良いよ～遥ちゃん、今日はとことん私がリードさせて貰うからね～」
遥「お姉ちゃんには車の運転して貰ったから、夜くらいは私が運転するよ」
彼方「遠慮しなくていいよ～お姉ちゃんに任せて～」
遥「ううん。疲れが溜まっちゃうから。だめっ」 ｺﾝｺﾝｺﾝｯ....
彼方「遥ちゃん、卓球って得意？」
遥「体育で少しやってるくらいかな」
彼方「私と同じだね～」
彼方「半月のブランクがある分、私の方が下手かな～？」
遥「1年分の経験の差があるから……」
遥「ハンデはなしだよ？」
彼方「素人同士だからねぇ……うん。大丈夫～」
ｺﾝｯ
ｺﾝｯ
ｽｯ....
遥「はぁ……」
――ﾋｭｯ
遥「っ！」
ｶｺﾝｯ
ｺﾝｯ
彼方「んっ」
ｶｺﾝｯ
ｶﾝｯ
ｶｺﾝｯ
遥（……勝負！） 遥「――スマッシュ！」
ﾊﾟｺﾝｯ!
ﾋｭﾝｯ
彼方「わぁっ！？」
遥「ご、ごめんっ！」
遥「当たらなかった？」
彼方「当たらなかったけど……」
彼方「ピンポン玉、明後日の方に飛んで行っちゃったよ～」
遥「あはは……」
遥（スマッシュ……うまくいくと思ったんだけどなぁ）
遥（打ち方が違ってたかな）
遥（卓球部の子……どうやってたかな）
彼方「スマッシュ、打ちたかったの～？」
遥「驚かせたくて」
彼方「そっかぁ～」
彼方「スマッシュでこれなら、今日は彼方ちゃんの独壇場かも～」
遥「むぅ……」
彼方「遥ちゃんに～見せてあげるよ～」
彼方「3年間で積み上げた、私の卓球の腕」 ｶﾝｯ....
ｶﾝｯ
ｶﾝｯ
彼方「ふぅ……」
ｺｯ.....
ｺｺｺｺｯ
遥「………」
ｽｯ.....
遥（お姉ちゃん……空気が違う）
遥（本気だ）
遥（お姉ちゃん、本気でマウントを取りに来てる……騎乗位……）
ﾄﾞｷﾄﾞｷ
遥（じゃ、無くて――）
ﾋｭﾝｯ
ｽｯ.....
彼方「っふ！」
ﾊﾟｺﾝｯ!
ｶｯ....!
遥「ちょっ……」
ｶﾝｯ
ｶｶﾝｯ.....
遥（今の……回転サーブ！？） 彼方「えへへ～」
彼方「これで2-0だよ～？」
遥「お姉ちゃん……出来るんだね、卓球」
彼方「同好会のみんなと遊びに行ったこともあるし」
彼方「体育でもやってたからねぇ」
ｺﾝｯ
ｺﾝｯ
遥「愛さんに教わったでしょ……」
彼方「せ～かぁい」
遥「も～」
遥（全然同じじゃないよっ）
遥（愛さんって、部活の助っ人として有名だって話だし）
遥（そんな人から教わってたなら……回転サーブ打てるよね……）
遥「そんなに……私に覆い被さりたいの？」
彼方「ぇっ？」
彼方「は、遥ちゃんってば……」
彼方「もぅ……」
遥（想像して赤くなっちゃうお姉ちゃん好き）
遥「でも、今日はせっかくの旅館なんだから……私がお姉ちゃんの上になりたい」
遥「負けないよっ！」 ｶｺﾝｯ
ｶｯ
ｶｺﾝｯ
ｶｯ
ｶｺﾝｯ
遥（スマッシュは上手く打てないし）
遥（ドライブだって無理）
遥（運が良ければ回転かけることも出来るけれど……失敗したらネットに引っかかっちゃう）
遥（なのにお姉ちゃんは……）
彼方「ふっ」
ｶｶｯ!
ｷﾞｭﾙｯ.....
遥「てぁっ！」
ｶｺｯ.....
遥「また飛んでっちゃった……」
遥（普通に回転かけてくる）
彼方「これで5-0だよ～？」
遥「お姉ちゃん大人げないよ～」
彼方「ハンデ無しって遥ちゃんが言ったのに～」
遥「むぅ……じゃぁ、ハンデ頂戴っ」
遥「このままだと勝ち目ないし……」
遥「この後、温泉で私の身体一方的に洗っていいから」
彼方「本末転倒じゃないかなぁ？ いいの～？」
遥「良いよ」
彼方「ん～……それならいいよ～。ハンデあげる～」 遥「ほんとっ？」
遥「私の指定した条件でいい？」
彼方「利き手を使っちゃダメっていうのは無しだよ～？」
彼方「それじゃ、ハンデどころじゃないから」
遥「大丈夫……」
遥「お姉ちゃんに下着付けて貰――」
彼方「却下～」
遥「えぇっ！？」
彼方「例の……あの振動するやつつけてって話だよね～？」
彼方「だ～め」
遥「えっちな漫画だとそれなりに定番だったのに……」
彼方「遥ちゃん～……えっちな勉強も良いけど、普通の勉強もちゃんとしないとダメだよ～？」
遥「し、してるよっ」
遥「前回の学期末テストは、学年でも30番以内に入ったんだからっ」
遥（来月の中間では20番以内目指してちゃんと勉強もしてるし）
遥「……ハンデは回転するやつ使用禁止。それならいい？」
彼方「いいよ～」
彼方「それでも、私が勝っちゃうけどね～」
遥「絶対に屈しないもん！」 ――――――
―――
ｻﾞｧｧｧｧｧｧｧ....
ｷｭﾎﾟｯｷｭﾎﾟｯ
遥「うぅぅ……」
遥（11-3……まさかの惨敗）
彼方「だから言ったのに～」
彼方「私が勝っちゃうよ～って」
遥「回転禁止したのに……」
遥（汗だくなお姉ちゃんはえっちだし）
遥（自慢気なお姉ちゃんかわいいし）
遥（おっぱい揺れてるお姉ちゃんは卑猥だし）
遥（お姉ちゃんのスマッシュ速すぎ……）
彼方「髪洗うよ～？」
遥「あ、うん……」
ﾜｼｬﾜｼｬﾜｼｬ....
ｶﾞｼｶﾞｼ....
彼方「卓球って、意外に疲れるよねぇ」
遥「うん……というか、お姉ちゃんが本気になりすぎたんだよ」
遥「全力スマッシュは反応さえできなかったし……」 彼方「遥ちゃんが胸を見てたからじゃなくて～？」
遥「………」
ｶﾞｼｶﾞｼ....
ｶﾞｼｶﾞｼ
遥「……えへへ」
彼方「遥ちゃんのえっち」ﾎﾞｿｯ
遥「ひゃわっ！」ﾋﾞｸｯ
彼方「痒いところはありませんか～？」
遥「大丈夫だよ」
遥「ねぇお姉ちゃん」
ﾜｼｬﾜｼｬ
ﾜｼｬﾜｼｬ
彼方「なぁに～？」
遥「そんなに、今日の主導権が欲しかったの？」
彼方「ん～……そうでもないかなぁ？」
彼方「遥ちゃんに任せると痛いとか、辛いとか、苦しいとか……そういうわけでもないから」
彼方「でもね～……今日は、私からしたい気分だった」
彼方「だから～絶対じゃないけど、勝ちたかったんだよね～」
彼方「流すよ～」
遥「は～い」
遥（なにそれ……お姉ちゃんの方がえっちだよ）
遥（でもそんなお姉ちゃんも好き！） 彼方「次は、どう洗って欲しい～？」
遥「お願いしていいの……？」
ｻﾜｻﾜ
遥「っ」ﾋﾞｸｯ
ｽｯ
ﾑﾆｭ.....
遥「お、お姉ちゃっ……」
彼方「いいよ～」
彼方「遥ちゃんがこっそり買った、湯殿の本みたいなことでも……」
彼方「ね」ﾎﾞｿｯ
遥「んっ……」
遥「なんで……隠してたのにっ」
彼方「遥ちゃんのこそこそが、お姉ちゃんに見抜けないわけないよ～」
彼方「えっちな子だねぇ」
....ﾌｰｯ
遥「ひゃぅっ」ﾋﾞｸｯ
彼方「……お仕置き、必要かな～？」
ｻﾜｻﾜ
ﾑﾆｭ.....
ｸﾆｭ
遥（お姉ちゃんの贅沢な胸が背中に……）
ﾄﾞｷﾄﾞｷ
ﾄﾞｷﾄﾞｷ
彼方「えっち」ﾎﾞｿｯ
遥（お姉ちゃんには言われたくないっ！）ﾋﾞｸｯ ﾑﾆｭ.....
ｷｭﾎﾟｯ
ｷｭﾎﾟｯ
遥（わざわざ背中に胸を圧しつけながら）
遥（私を抱きしめるように腕を伸ばして、手のひらにボディソープを満たす）
遥（タオルも、スポンジもない）
遥（お姉ちゃんの手のひら）
ﾍﾟﾁｬｯ
ﾍﾟﾁｯ
遥「お姉ちゃん……？」
遥（後ろから聞こえる、普通の音）
遥（普通の音のはずなのに……凄く卑猥に感じるのは、お姉ちゃんだから）
彼方「……人がいない、今だけだからね～」
ﾌﾟﾆｭ.....
ﾆｭﾌﾟｯ
遥「っっ！」ﾋﾞｸｯ
彼方「っ……ふ……」
ﾆｭﾙ.....
ﾆｭﾌﾟｯ
ﾁｭﾌﾟｯ
ﾌﾟﾆｭ....
遥「お、お姉ちゃんっ……」
遥（胸……胸で……）
遥（ほんとに……あの本、盗み読みしてたんだ……）
彼方「っは……はっ……」
遥（息遣いがもう……えっちだよ……お姉ちゃん……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ 彼方「遥ちゃんってば……」
ﾆﾁｭ
ﾆｭﾌﾟ....
彼方「っふ……こんな……えっちなことしたかったんだって……」
彼方「んっ……」
ｸﾌﾟｯ
ﾑﾆｭｯ....
ﾁｭﾌﾟｯ
彼方「はっ……はふ……」
彼方「お姉ちゃん……すっごく、ドキドキして……」
ﾑﾆｭ.....
ｸﾆｭｯ
ﾍﾟﾁｭｯ....
ﾑﾆｭ....
ｷﾞｭｯ
遥「っ……」ﾋﾞｸｯ
彼方「我慢するの……大変だったんだよ？」ﾎﾞｿｯ
遥「ご、ごめん……なさい」
ﾄﾞｸﾝｯ
ﾄﾞｸﾝｯ
遥（お姉ちゃんの身体……熱い）
遥（ドキドキしてるのは……私だけ……じゃないよね？）
彼方「今夜は……寝かせないつもり。だよ～？」
遥「それは、えっと……明日に 差し障りあるから……」
彼方「そう、だねぇ……」ﾑﾆｭｯ
遥（欲求不満……？ もっと、えっちなことした方が良いのかな？） ｶﾗｶﾗｶﾗｯ
彼方「！」
ﾊﾞｯ
彼方「……ふ……」
彼方「……スポンジ、使うよ～？」
遥「う、うんっ」
遥（ほかの女の人が入ってきて、慌てて離れたお姉ちゃん）
遥（背中に当たるのは、さっきも使った持ち込んだスポンジ）
遥（お姉ちゃんの……凄く気持ち良かった）
遥（凄くえっちだった）
遥（こんなにも……昂らせてくれて……）
遥（もう……明日が危なくなっちゃうよ……）
ｺﾞｼｺﾞｼ
ｺﾞｼｺﾞｼ
遥「んっ……」
彼方「くすぐったかったりしない～？」
彼方「大丈夫～？」
遥「うん……平気だよ～」
遥「……お姉ちゃん」
彼方「ん～？」
遥「寝不足にならない程度に、思いっきりしようね」
彼方「ありがと～」
遥（ううん、私こそ……いただきます） 300で付き合って600をひたすらイチャイチャで積み上げてる謎のスレ
ゆうぽむならもっと賑わってたと思うとカプ格差を感じるぜ… 好きで書いてるからでしょ
かなはるSSの供給が皆無だし お弁当容器の底に一言入れたいとか、客層とか食材の仕入れとか本当に具体的にお店を開くことを考えてるのがわかるのが良いね。 すごいなもうすぐ1000じゃないか！
近江姉妹は一応モブカプだから配給少ないよな
俺は一番好きだから書いてもらえるのめちゃ嬉しいぞ ――――――
―――
遥「……お姉ちゃん」
遥「見て見て……真っ暗だよ」
遥（温泉を出て、戻って来た部屋から見える景色）
遥（庭園の方はライトアップされていて綺麗だけど）
遥（朝は緑々してる山の方は光が点々としている程度）
遥（自然そのまま……それが、この景色なんだって思うと）
遥（普段見てる世界は違うのかなって……）
....ｷﾞｭｯ
彼方「ほんとだねぇ……」
遥「お姉ちゃん……」
遥（私の隣じゃなくて）
遥（後ろから抱きしめながら顔を覗かせるお姉ちゃん）
遥（誰にも邪魔されない）
遥（誰の目にも触れることがないって安心感があるからかな）
遥（お姉ちゃん、すっごく積極的……） 彼方「こっちには、私達を知ってる人、誰もいないのかなぁ？」
遥「どうかな……」
遥「去年の動画、まだネットに上がってるから」
遥（炎上……というか）
遥（SNSでトレンドにまで引き上がったあのライブ）
遥（かなりの再生数を誇ったあれが、東京都内だけで完結したとは思えない）
遥「お姉ちゃんは誰も知らない方が嬉しい？」
彼方「ん～……」
ｷﾞｭｯ....
ｽﾘｽﾘ
彼方「知ってる人がいてもいいけど～」
彼方「間に入ってこられるのは……嫌かな～」
遥（二人だけの時間を邪魔されたくないってだけ？）
遥（それとも、独占欲？）
遥（好き）
遥「うんっ」
遥「私も、この旅行の間は絶対に誰にも邪魔されたくない」
遥「……」
遥（いつもなら、私からキスするけれど）
遥（今日は、お姉ちゃんにお任せ）
遥（大丈夫……目を瞑れば、それが合図だから）
彼方「……もぅ」
彼方「遥ちゃんってば」
ｻﾜｻﾜ....
ﾁｭｯ
彼方「ん……」
遥（優しく、触れ合わせるだけのキス）
遥（エッチする前の挨拶でもなく、ただただ……触れ合いたいって、だけのキス） 彼方「今日も、明日も……二人きりだよ～」
遥「うん……ずっと二人っきり」
遥（旅行に来てるし、観光地にだって行く）
遥（だから、車の外にはたくさんの人がいたりもする）
遥（だけど、家のようにお母さんがいるわけじゃない）
遥（東雲のように友達がいるわけでもない）
遥（二人っきりの、旅行）
遥「もしかして」
遥「だから、こんなに積極的なの？」
彼方「それもある……かな～」
彼方「あとは……普段、目の届かないところにいるから」
遥「そっか」
彼方「だめ？」
遥「ううん、全然良いよ」
遥「むしろ嬉しいし」
遥（好き）
遥「大好き」
彼方「よかった～」
彼方「……私も、好き」 遥（普段だって、朝は一緒で夜も一緒）
遥（バイトとかのタイミングが合えば、夕方だって一緒）
遥（それでも）
遥（ううん、だからこそ）
遥（会うことが出来ない時間が、すっごく寂しく感じるのかも）
遥（寂しいから……こういう時間は強くなる）
遥「お姉ちゃん」
遥（そうっと……首に回ったお姉ちゃんの腕に触れる）
遥（すぐ横を向けばお姉ちゃんの顔があって、キスもできる）
遥（でも、しない）
遥（お姉ちゃんに……今日の私は全部を預ける）
遥（もう初めてじゃないけど " 男の子が羨むかもしれない初めて " はまだ互いに残したままになるだろうけど）
遥（それもいつか）
遥（子供を産めるようになったら）
遥（産ませられるようになったら……渡し合える）
彼方「遥ちゃん、良い匂いがする」
遥「お姉ちゃんもだよ？」
彼方「そうだけど、そうじゃなくてね」
彼方「遥ちゃんの、遥ちゃんだけの……匂いがする」
ｻﾜｻﾜ
ｽｯ...
ﾁｭｯ
遥「んっ……」
ﾁｭｯ
ﾂﾌﾟｯ....
遥（始めよう？ なんて、問いかけてくるようなキス）
遥（窓の外から覗き見てくる月の視線を遮るために、カーテンを閉めた） ――――――
―――
遥「お姉ちゃん」
遥「……お姉ちゃん？」
遥（昨日、いつもよりもちょっぴり長く熱中しちゃった私とお姉ちゃん）
遥（積極的だったお姉ちゃんは凄く頑張ってて）
遥（普段以上の疲労感だったからなのか、まだ寝てる）
遥（まだ、予定の時間よりは大分早いから寝てて良いけど）
彼方「ん……zzz」
遥（良いというか、全然オッケーだよ……）
ｻﾜｻﾜ
彼方「んんぅ……zzz」
遥（寝てるお姉ちゃんも、すっごく可愛いんだよ？）
遥（……知ってるっけ）
遥（知ってるよね）
遥（だって、私が教えたんだもん）
遥（……好き）
遥「好き」ﾎﾞｿｯ
彼方「zzz....」
遥（今度、寝てるときにえっちなことしてみようかな？） 遥（お姉ちゃんは知ってるかな）
遥（寝てる可愛いお姉ちゃんに、えっちなことしたいって）
遥（美くりさせちゃうよね……）
ｻﾜｻﾜ
ﾑﾆｭ
彼方「んっ……」
遥（明日、夜這いして良い？ とか、宣言しておくべきかな）
遥（……う～ん）
遥（それ以前に、一緒に寝てるのに夜這いっていうのかな？）
遥「えっちの予約、してもいい？」
ﾓｿﾞﾓｿﾞ
彼方「んんぅ……zzz……」
遥（……お姉ちゃんかわいい）
遥（今度、本当に声かけてみよっと）
遥（驚くかな）
遥（困るかな）
遥（それとも……今度はお姉ちゃんもって言ってくれるかな？）
遥「えへへ……」
遥（ドキドキしてきちゃった） 美くり……？
なるほど散々弄った場所だから美しさも知ってるわけだ(違う) 更新乙です
そろそろ次スレの準備した方が良いころでは？ 遥「……好き」ﾎﾞｿﾂ
遥（起きてる時にも何度も言ってる言葉）
遥（寝てるときに言ってもノーカウントだけど）
遥（でも、私にとっては意味がある）
遥（言えば言うほど、言葉が軽くなるなんて……言わない言い訳でしかないって思う）
遥（だって）
遥（本当に好きだったら、我慢なんて出来ないもん）
遥（あぁ……でも）
遥（言えば言うほど " 言えた " って……気持ちは軽くなるかもしれない）
遥（その分、相手には重く感じられちゃうのかな）
遥（でも、好き）
遥「大好き……お姉ちゃん」
彼方「ん……zzz」
ﾓｿﾞﾓｿﾞ
ｺﾞﾛﾝ
遥「お姉ちゃ……」
ﾓｿﾞﾓｿﾞ...
ｷﾞｭｯ
遥「っ！」
彼方「……起こすなら、普通に起こして～」
遥（起こすつもりはなかったのに……）
彼方「えっちな夢見たら、責任とってくれるの～？」
遥「もちろん、それは取るけど……今日は、朝からしてられないから今度だよ？」
彼方「うぅん……ん……そう、だねぇ……zzz」
遥（あっ……寝ぼけてつい言っちゃったんだ）
遥（顔真っ赤だよ……お姉ちゃん）
遥（もぅ……かわいいなぁ） ――――――
―――
遥（夜は会席だったけれど、朝はビュッフェ）
遥（量が定まっていない分、いくらでも食べられちゃいそうな朝食）
遥（あれもこれもそれも）
遥（たくさん取っちゃわないように）
遥（二人で、好きなものをそれぞれ分け合って選んだ）
遥（二人で1人前）
遥（せっかくの旅行だもん）
遥（色んな寄り道をしたいから）
遥「お姉ちゃん、遅くてもお昼には撮影のとこ行った方が良いんだよね？」
彼方「そうだねぇ」
遥「じゃぁ、少し早めに出よっか」
彼方「もう少し時間あるけど～出ちゃう？」
遥「お姉ちゃんは……」
ﾁﾗｯ
遥「もうちょっとここにいたそうだね」
遥（誰にも見られることなく、一緒にいられるのはこの旅館の部屋の中だけだもんね） 彼方「ん……」
彼方「もうちょっとだけ、時間が欲しいな～」
彼方「昨日も今日も……明日も」
彼方「時間はあるって分かってるけど」
彼方「でも……あと、5分」
遥（5分だけ寝ていたい）
遥（そんな我儘じゃなくて）
遥（二人きりでいたいって、お願い）
遥（かわいい）
遥（すっごくかわいい）
遥（すっごく好き）
遥（だから……）
遥「うんっ、じゃぁあと5分だけ」
……ｷﾞｭｯ
遥（二人きりの部屋で、抱きしめ合う）
遥（清々しく、晴れ渡る空から覗く太陽の光）
遥（どうして晴れちゃったんだろうなんて……言ったら怒っちゃうかな） 彼方「朝、遥ちゃんの声が聞こえてた」
遥「好き好き言ってたこと？」
彼方「うん～そう……」
彼方「好き。好き。好きって」
彼方「何回も、何回も」
ｷﾞｭｯ
遥「お姉ちゃん……？」
彼方「遥ちゃんだけ、狡い」
彼方「私も好き」
彼方「お姉ちゃんも好き」
彼方「彼方ちゃんも大好き」
彼方「……愛してる」
遥「うん」
遥（好きって言いたかったのかな）
遥（いつでも言えるのに……）
遥（いつでもは言えない、私たちの好き）
彼方「遥ちゃん……」
遥「んっ……」
――ﾁｭｯ
遥（まだ少しだけ、背の高いお姉ちゃんの唇が降りてくる）
遥（いつか、踵あげなくても出来るようになっちゃうかな？） 遥「今日は、出来ないよ？」
彼方「大丈夫～」
ｻﾜｻﾜ
ｽﾝｽﾝ...
彼方「ここで、少し充電するから」
遥「ん……くすぐったい」
彼方「遥ちゃんの匂い、好き」
遥「お姉ちゃんと似たような匂いだけどね」
遥（昨日も……言ったけど）
遥（お姉ちゃん、抱き心地とか、匂いとか）
遥（そういうのに好きって言うことが多いんだよね）
遥（かわいい）
遥（抱き心地はお姉ちゃんの方が良いし）
遥（匂いだってお姉ちゃんの方が良い）
遥（えっちの時の匂いなんて……癖になるくらい良い匂い）
遥「そう言えば、電気自動車も充電が必要なんだっけ」
彼方「ん～そうだねぇ……ｽﾝｽﾝ」
遥「じゃぁこの後、車が動くかな」
彼方「昨日使った " エンジン " は、夜限定だからね～？」
遥「さすがに運転中にあんなことしないよ～」
遥（車内えっちだって、流石に運転中じゃなかったもん）
遥（とは言えない） ――――――
―――
遥「お姉ちゃん、窓開けて良い？」
彼方「いいよ～」
ｳｨｨｨｨｨ.....
遥「この窓の開閉音、ロータ――」
彼方「も～またそういうこと言う～」
遥「えへへ」
彼方「もうちょっと濁った音だったよ～」
遥「そうだけど」
遥（困ったように笑うだけで、怒ったりしない）
遥（それどころか乗ってきてくれるのは、車の中だから）
遥「……ん」
遥（窓の外に広がる田園地帯）
遥（もう少し先にいけば、街並みが見えてくるけれど）
遥（でも、東京とはまるで違う……青っぽい空気）
遥「空気が美味しい」
彼方「だから、ご飯も美味しいのかもしれないねぇ」 遥「ご飯と言えば、お弁当のご飯どうしよっか」
遥「ここに来てみて思ったけど、普段買ってるお米なんて比にならないくらい美味しかった」
遥「でも……お米って色々あるよね」
遥「新潟、秋田、北海道……」
彼方「青森、山形、宮城」
彼方「確かに、色々あるよ～」
彼方「……もう少し、いろんなところに旅行する理由が出来たね～」
遥「そうだねっ」
遥「どこのが一番おいしいのか」
遥「実際に産地に行って食べてみたい」
彼方「食べて、食べて……研究して」
彼方「ずっと先のことだから、しっかり煮詰められるって、良いねぇ」
遥「大事なことだもん」
遥「東京の人気店とかも、お金に余裕があったら行ってみようね」
彼方「そうだねぇ」
遥（運転席のお姉ちゃんは、赤信号の時だけ応えてくれる）
遥（……ありがと）
遥（大好き） 遥「ねぇ、お姉ちゃん」
彼方「ん～？」
遥「車の話なんだけどさ」
遥「キャンピングカー見たいんなの欲しくない？」
彼方「それはまた急だねぇ」
彼方「どうして～？」
遥「色々理由はあるけど……」
遥「キャンピングカーなら車中泊とかできるでしょ？」
遥「長距離ドライブで運転交代しやすいし」
遥「名前の通りキャンプにも行ける」
遥「設備次第だとは思うけど、その車の中で料理もできる」
彼方「なるほど～」
彼方「………」
彼方「本当のところは？」
遥「……車の中でえっちなことしてみたい」
彼方「だと思ったよ～」
彼方「でも、キャンピングカーは面白そうだねぇ」
彼方「安いのだと、どのくらいするの～？」
遥「簡単に調べた限り、100万くらいかな」
遥「よくあるキャンピングカーって感じのはその５～６倍」
彼方「ん～夢だねぇ」
遥「だよね……」 遥（あれをしたい、これをしたい）
遥（お弁当屋さんのことでも夢を持って）
遥（私生活の方でも、そんな夢を持つ）
遥（考えるまでもなくお金がかかることだけど）
遥（でも、そう言う分かりやすいものの方が……目標としては良いような気もする）
彼方「遥ちゃん、キャンプしたい？」
遥「そういう経験もしてみたいなって思う」
遥「ほら……小学校とかで、それっぽい経験はしたことあるけど」
遥「キャンプかって言われたら、そうじゃないから」
遥「キャンプご飯風のお弁当とか、作れるようになりそうだし」
彼方「ん～……キャンプご飯か～」
彼方「その場だからこそっていうのもあるだろうけど～」
彼方「そういう空気あってこその料理っていうのも……経験は大事かもしれないねぇ」
遥「でしょでしょ？」
遥「ただ、キャンプ道具1から揃えるとか、出来るのかな」
彼方「2年後を目標に、少しずつ買い集めてみるとか～？」
遥「友達に借りれないか聞いてみるとか」
彼方「友達のは、汚しちゃうと大変だよ～？」
遥「だよね」
遥（友達もいるならともかく、いない状況を想定してるし）
遥（キャンプは、また今度かなぁ）
彼方「遥ちゃん、そろそろ会場につくよ～」
遥「……ドキドキしてきた」 ――――――
―――
彼方「今日はよろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いしますね」
「お二方とも、ウェディングドレスというお話ですがよろしいでしょうか？」
遥「おね……彼方はウェディングドレスが良いんじゃないかな？」
彼方「えぇ～？」
彼方「ウェディングドレスは着たいけど～」
彼方「でも、どっちかなら遥の方じゃないかなぁ？」
遥「それこそ、えぇ～？ だよ」
遥「じゃぁ交代」
遥「交代交代って、可能ですか？」
「ええ、可能ですよ」
彼方「あ、でもそれだとお金がかかっちゃうんじゃ」
「ふふっ、大丈夫ですよ」
遥「やった！」
遥「良いって！」
彼方「も～遥ってば」
遥（お姉ちゃんと妹）
遥（でも、彼方と遥で友達みたいに呼び合ってみる）
遥（式場の人も姉妹だとは思っていないようで）
遥（微笑ましそうな視線を感じる） 遥「彼方をお姫様抱っこは難しいなぁ」
彼方「それは重いって意味かな～？」
彼方「それとも、大きいからかな～？」
遥「大きいからかな」
遥（胸とか、お尻とか）
遥「でも、一番は私の力不足かも」
遥「裸ならともかく、ウェディングドレスなんて大きな衣裳来てる状態では、腕も回らないもん」
彼方「そう言ったら、私も無理だよ～」
彼方「寝間着ならどうにかなるけどねぇ」
遥「今なら、寝間着の彼方もお姫様抱っこできると思うよ？」
彼方「ほんとかなぁ？」
遥「ほんとほんと」
遥（前は出来なかったけど）
遥（でも、今の私ならもしかしたら）
遥（なんて） 「は～い。では今度はこっちですよ～」
遥（ウェディングドレスを着ての撮影）
遥（それと対になるように、タキシードを着ての撮影）
遥（お姉ちゃんと入れ代わり立ち代わり）
遥（許される限りにたくさんの撮影をする）
彼方「……遥」
遥「えっ、あ……だ、大丈夫なのかな」
彼方「大丈夫」
遥（カメラマンの人がいる前で、お姉ちゃんは私の体を抱き寄せる）
遥（タキシードを着たお姉ちゃん）
遥（髪を後ろに束ねて……きりっとしてる）
彼方「するフリ。だからね？」
遥「う、うん……」
遥（すっごく近い）
遥（こんなの……友達の距離感じゃないよ……）
遥（バレちゃったり……しないよね？） 遥（誓いのキスをするかのようなポーズ）
遥（一生に一度であるべきその光景を、記念の一枚とする）
遥（本当にするんじゃないか）
遥（そんなﾄﾞｷﾄﾞｷに満ちた表情は、普通には撮影することもできないような感じで）
彼方「遥、良い顔してる」
遥「もぅ……」
遥「もぉ～っ」
ﾍﾟｼﾍﾟｼﾍﾟｼｯ
ﾍﾟｼｯ
遥「狡いっ」
遥「狡いってば、あんなのっ」
遥「……照れちゃったじゃん」
彼方「それなら～、遥も……同じようにしてみたらいいんじゃないかな？」
遥「むぅ」
遥（自慢げな表情）
遥（出来ないって、たかをくくってるでしょ）
遥（やってやるもんっ）
遥「カメラマンさんっ」
遥「今の、衣装交代で一枚撮りたいです！」
遥「かわいい顔、撮って貰っちゃうからね」
彼方「えへへ～出来るかなぁ？」 このスレッドは１０００を超えました。
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