歩夢「はじめまして。よろしくね」俺「うん。よろしく。」
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歩夢「はじめまして。よろしくね。」
高校2年のクラス替え、そしてしばらくして席替えが始まって隣になったのが上原さんだった。
俺「うん。よろしく。」
俺は上原さんのことはよく知らなかった。持っているイメージはふつうの女の子のグループにいる、ごくふつうの女の子というものだった。
上原さんは見た目も体が大きいわけでも小さいわけでもなく、容姿が格段に優れているわけでも劣っているわけでもなく、その点でも特に気にとめたことはなかった。
性格も強く発言するところは見たことがないし、たぶんおっとりしてるんだろうなと思うぐらいだった。 歩夢「あははっ! 俺くんっておもしろいね。」
俺の方はというと、何かと冗談を言ったり人を笑わせたりするのが好きなタイプで、我をよく出すタイプでもあったから、上原さんとはかなり違うものがあった。
俺「んじゃ俺から教科書のやつ読むね。」
歩夢「うん。ありがとう。」
古文の時間の時に隣同士で声出して読み合わせをするときがあるのだが、俺はこの時上原さんの声をちゃんと意識して聞いた。
(うおっ…かわいい声してるな…)
そう思った。というか隣になって上原さんの細かい魅力に気づくことが多くなった。 例えば、授業中に横目で上原さんを見ると、いつも授業を真面目に聞いていて、その横顔にドキッとすることがあったり、ふといい匂いがこちらに漂ってくることがあったが、これは上原さんの匂いだと気づいた。
それに…
よくよく見るといい体をしていた…
体育の時に思わず上原さんの体操服姿を目で追ってしまった。 上原さんを意識するようになってからしばらくして、文化祭の季節になった。
俺たちのクラスは、レストランをすることになった。幸運にも、俺は上原さんと同じウェイターをすることになった。
文化祭の準備中、ウェイター仲間で買い出しを行くことになった。
俺は上原さんはよく笑う人だとも気づくようになった。相槌もよく打ってくれるし、何より話しやすい雰囲気がとてもあった。特に、笑うときに口元に手を持っていく仕草がとてもかわいらしかった。 歩夢「俺くんは…いつも冗談を言ってごまかしてるけど…優しいよね」
ふとそう言われたときがあった。俺が親切に何かをしたとき、ちょっと恥ずかしくてごまかしたときだった。
俺「…サンキュー!俺ぐらい優しくて誠実な男はいないって!」
そんなふうに笑ってまたギャグにしてしまったが、俺はその時に上原さんを完全に意識してしまった。 文化祭当日は忙しかったが、なんとか無事に終わり、上原さんとも色々話せたりして充実したものとなった。
さらに初めて上原さんのグループの女の子達とも話してみたが、みんな目立つような子ではないが、俺が冗談を言えばコロコロとかわいらしく笑い、そして真面目でいい子達ばかりだった。
上原さんのグループの中でも、特に俺の冗談を笑ってくれるS子ちゃんという子がいた。そして、文化祭が終わって数日後に上原さんからこう言われた。
歩夢「俺くん、S子ちゃんが2人きりで話したいことがあるって」 俺はS子から告白され、S子と付き合うことになった。
上原さんはたぶん俺を恋愛対象として見ていなかったのだろう…でなければS子の告白の手伝いなんてしない。
S子はどことなく上原さんと似た雰囲気があった。少し上原さんより我が強いが、それもまたいいアクセントだった。 3年になりクラス替えをしたが、また上原さんとは同じクラスになった。
S子はというと、違うクラスとなり、しばらくして…付き合いは自然消滅した。
3年の文化祭は劇をすることになり、俺は役者を、上原さんは衣装係をすることになった。
文化祭の準備中に、衣装について上原さんと2人きりになることがあった。
歩夢「俺くん、本番頑張ってね!」
上原さんの笑顔は相変わらず優しく、衣装を作る手はきれいだった。 卒業式の日、クラスで仲の良いやつらと写真を撮っているとき、ふと上原さんから声をかけられた。
歩夢「俺くん、写真どうかな?」
俺は上原さんと2人で写真を撮った。上原さんへの感情は恋だったのかはわからないが…やっぱり優しくてかわいい子だなと思った。 俺「あー…講義だりぃー…」
大学でたまに高校時代の淡い恋のようなものを思い出す。
上原さんも都内の大学に行ったらしいが、詳しくはわからない。だが…幸せにしてくれていればいいと思う。
マサキ「おい!俺!今レポートの内容言われたぞ!」
俺「は!?マジかよ聞いてねぇって!?」
こうして日々はすぎていく… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています