梨子「特別な今日に」曜「いつも通りの思い出を」
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〜9月19日〜
ピピピピッ!ピピピピッ!
梨子「んんぅ………」
ピピピッ!ピピピッ!!
梨子「……」
ピピピッ!ピピピ…パチッ!!
梨子「……」
梨子「もう、朝……?」
チュンチュン…
梨子「……」
ムクッ!
梨子「……起きよ」 梨子「ふわぁ〜……」
梨子(私の朝は、みんなよりも早く始まります)
梨子「……」ジャーッ
梨子(起きたらまずは顔を洗って、お肌にシャキっ!とスイッチを入れます。まあ私の場合はお湯だから目は覚めてないかもなんだけど)
梨子「……」ポフポフ
梨子(それから洗顔料をしっかりと泡立てて、包み込むようにお肌のお手入れ。優しく丁寧に、を心掛けて……)
ジャーッ!
梨子「……」フニフニ
梨子(綺麗に泡を洗い流したら、あとは保湿クリームを塗ってスキンケアをしておしまい。これでお肌のお手入れは終了です) 梨子「……」ササッ!!
シュッ!シュッ!!
梨子(終わったら次は寝ぐせ直し。髪の長い私はこれをやらないと、髪の毛がすごいことになっちゃうんです)
梨子「……」ポフポフ
梨子(スプレーで根本から水で濡らして、タオルで包んで真っ直ぐに)
梨子「……」サッサッ!
梨子(最後に櫛で整えれば……)
梨子ママ「梨子〜!!お味噌汁冷めちゃうわよ〜!!」
梨子「はーい!わかってる!!」
梨子(もうっ!女の子の朝は大変なんだから!!ちょっとくらい時間かかってもいいじゃない!!) 梨子(女の子はいつだって可愛くありたいの!!特に、今日は……)
梨子「……」クシクシ
梨子(今日は、一年に一度だけの私の誕生日で……)
梨子(……誕生日くらい、特別な日くらい、好きな人に可愛いって言って欲しいって、そう私は思ってるんだから)
梨子「……このくらいでいいかな?」
梨子「……」
クルクル
梨子「毛先もだいぶまとまったと思うし、あとは……」
梨子「……そうだ、髪型!」
梨子「確か、この前曜ちゃんにもらった……」
タタタッ! 梨子「……あった、シュシュ!」
梨子(前に曜ちゃんにもらった手作りのシュシュ。本当はたくさん使ってあげたかったんだけど、なんかちょっとだけ使うのがもったいないような気がしてて……それで机の中から取り出せずにいました)
梨子「んっ……」シュッ!シュッ!
パチッ!
梨子「……こんな感じ?」
梨子(特別な日なんだから、今日くらい使ってあげないと可哀そうよね?)
梨子「ねえママ〜!これ、変じゃないかな?」
梨子ママ「え?変って何が?」ヒョコッ!
梨子「髪型!!今日は結んでみることにしたの。どうかな?」
梨子ママ「なんでもいいんじゃない?誰も気にしないわよ」
梨子「むっ……」
梨子(……誰も気にしてくれないのも困る。だって曜ちゃんには気づかれたいんだもん)
梨子ママ「それより梨子、遅刻するわよ。ご飯食べちゃいなさい」
梨子「はーい……」 〜教室〜
ガラガラッ!!
梨子「あっ、おはよ。千歌ちゃん」
千歌「梨子ちゃん!おっはよー!!」ブイッ!
梨子「ごめんね千歌ちゃん。今日は先に行ってもらっちゃって」
千歌「いいのいいの!梨子ちゃんだって準備大変だったんでしょ!それ!」チョイチョイ
梨子「え……?」
千歌「ポニーテール!すっごく似合ってると思う!」
梨子「千歌ちゃん……ありがと。意外と準備手間取っちゃった」 千歌「お誕生日だもんね〜、おしゃれしないともったいないよね〜……そうだ!誕生日といえば!プレゼントだよ!!」
ガサガサ
千歌「はい!梨子ちゃん!!」
梨子「うわぁ〜、ありがと千歌ちゃん。開けてみてもいい?」
千歌「うん!もっちろん!!」
梨子「じゃあ〜……」
パカッ!
梨子「わぁ〜……チョコレート?これ千歌ちゃんが作ってくれたの?」
千歌「うん!といっても志満姉と一緒にだけど……」
梨子「すごい……!嬉しい!!ありがと千歌ちゃん!!大切にするね!!」ギュッ!!
千歌「うえぇ!?大切にしないでいいから!早く食べちゃわないと腐っちゃうから!!」
梨子「ふふっ、そうかも。じゃあ大切に食べちゃうね♪」 ガラガラッ!!
先生「おーい、席つけー!ホームルーム始めるぞー!」
千歌「はーい!」
千歌「じゃあ梨子ちゃん、また後でね」スタッ!
梨子「あ、うん!プレゼントありがと!!」
梨子(千歌ちゃん、私の誕生日覚えててくれてたんだ、嬉しい……)
梨子(あとは肝心の曜ちゃん、だけど……)
梨子「……」キョロキョロ
先生「出席とるぞー!!いないやつ返事しろー!!」
梨子(……あれ、曜ちゃんまだ来てなくない?) 千歌「せんせーい!いない人は返事できないと思いまーす!!」
先生「うるせぇ!!こういうのは様式美って言うんだよ!!だいたいネタにマジレスされると悲しくなっちゃうでしょうがっ!!」
えー!せんせいめんどくさー!
だからけっこんできないんじゃないんですかー?
先生「……こほん。まあ結婚のことは追々考えていくとして」
先生「ええっと、じゃあいないやつは……」
梨子(曜ちゃん、どうしちゃったんだろ?遅刻ギリギリのことはあっても、本当に遅刻するのなんて……)
先生「……あ、そうだ。渡辺は今日は公欠だそうだ」 梨子「え……?」
梨子(曜ちゃん、今日お休みなの……?)
先生「渡辺以外来てないやついないな?……よし、じゃあホームルーム終わり、解散!」
ガラガラッ!!
ワイワイワイワイ…
梨子「……」
ツカツカ
梨子「千歌ちゃん、千歌ちゃん……」チョイチョイ
千歌「ん、なーに梨子ちゃん?」
梨子「曜ちゃんお休みって、何かあったの?」
千歌「え?梨子ちゃん聞いてないの?曜ちゃん今日飛び込みの大会だから学校来れないって」
梨子「ええっ!?そうなの!?」
千歌「うん。昨日そうLine来たけど……梨子ちゃんのとこには来てないの?」
梨子「Line……?」
スッスッ ———
曜:梨子ちゃんごめん!今日学校行けないの!実は高飛び込みの大会があって!
曜:本当は昨日のうちに言おうと思ってたんだけど、お誕生日の話してる流れを壊しちゃうのもよくないかなって……
曜:とにかくごめん!この埋め合わせは絶対するから!!
曜:渡辺曜がスタンプを送信しました
———
梨子「……ほんとだ」
梨子(朝、私が準備してる途中で来てたのかな?バタバタしてて確認する時間なかったから……)
千歌「毎年この時期は全日本選手権?ってやつの予選会なんだって!!だから今日は静岡の方に行ってるはずなんだけど……」
梨子「ふーん……」
梨子(あーあ、せっかくの誕生日なのになぁ……) 〜授業中〜
梨子「……」ポーッ
梨子(視線の先にあるのはもちろん曜ちゃんの席。でもそこにいつもの曜ちゃんの姿はなくて)
梨子(……ただ、ぽつんと机が置いてあるだけ)
梨子「……」ボーッ
梨子(あーあ、せっかくの誕生日なのになぁ……)
梨子「……」クシクシ
梨子(……それに、今日は久々に曜ちゃんのシュシュつけてきたのに)
梨子(もう、曜ちゃんが見てくれないのなら、こんなのつけてる意味ないよ……) 梨子「はぁ……」
梨子(……本当はもっと、曜ちゃんとやりたいことあったのに)
梨子(だってね、曜ちゃんってばいっつもお昼休みどこか行っちゃうんだよ!?部活のお手伝いだーとか、トレーニングしなきゃーだとか理由つけて!)
梨子(私だっていつもは笑顔でいってらっしゃい、って言ってあげられるんだけど……本当はちょこっとだけ寂しいなって思ってたんです)
梨子(だから今日は、誕生日だけはせめて私を見てよって、私に構ってよって言えたら良かったのかもしれないけど)
梨子(……そんな機会も訪れることなく、曜ちゃんはどこか遠くへ行ってしまったみたいです) 〜放課後 音楽室〜
〜♪
梨子「ふぅ……」
梨子「今日の練習は、これくらいかな……」
梨子(いくら特別な日だとは言っても、毎日の練習は欠かせません。ピアノって一日サボると取り戻すのに三日かかるって言われるくらい、毎日の積み重ねが大切なんです)
梨子「……」
ポロロン♪
梨子「……はぁ」
梨子(……楽しくない)
梨子(大好きなピアノを弾いていても心の隙間が埋まることがないってことは……それだけ貴女の存在が、私の中で膨らんだから、なのかな……?)
梨子(なんて……)
梨子「ん、んんんっ〜……!!」スクッ! ガラッ!!
梨子「……」ポーッ
カァ…カァ…
梨子(結局曜ちゃん、最後まで学校来なかったなぁ……)
梨子(もしも……もしもだよ?高飛び込みの大会が早く終わってたとしたら、私のために頑張って学校来てくれたりするのかな?)
梨子(なんて妄想を一日中考えていたんだけど……どうやら妄想は、妄想のままで終わってしまうみたいです)
梨子「もう……」
梨子(昨日読んだあの漫画みたいに、曜ちゃんが格好よく私のことを連れ出してくれたとしたら、どんなに幸せなんだろうって)
梨子(一人の恋する女の子らしく、そんなことを夢見ずにはいられな
ギィッ…
梨子「!?」ガバッ!!
梨子(もしかして!!?曜ちゃ
千歌「あ、梨子ちゃんやっぱりここにいたんだ」
梨子「千歌ちゃん……」
梨子(なんだぁ……って言うのも失礼だけど……) 千歌「梨子ちゃん、この前お願いされた新曲の歌詞できたよ!まだ試作段階だけど……確認して欲しいなって」
梨子「あ、うん。見せて」
ペラッ!
梨子「……」
千歌「どう?私的にはだいぶいい感じに仕上がったつもりなんだけど……」
梨子「……うん、すっごく良い感じだと思うわ。ただこことここのフレーズが少しかぶっちゃってるみたいだから、そこだけ別の表現に直しちゃった方がいいんじゃないかな?」
千歌「なるほど……わかった、考えてみる!」
梨子「ええ、お願いね、千歌ちゃん」
千歌「じゃあ、私は、部室に……」
梨子「……」
千歌「……梨子ちゃん?」 梨子「ふえっ!?な、なあに?」
千歌「やっぱり曜ちゃんのこと、心配?」
梨子「えっ!?曜ちゃん!?」
千歌「うん、やっぱり心配だよね。ちゃんと大会上手くいってるかどうか」
梨子「あ、うん……」
梨子(そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるんだけど……)
千歌「でもね、きっと曜ちゃんなら大丈夫。だって曜ちゃんってすごいんだよ?小さいころからずっと神童だって言われてたし!まあ私は高飛び込みよくわかんないんだけど……」
梨子「そうなんだ……」
梨子(やっぱり、そんな全国級?な曜ちゃんと、ただピアノが好きで続けてきただけの私がなんて、釣り合うわけなんてなくて……)
千歌「だから今は信じて待つしかないんじゃないかな?きっと曜ちゃんなら大丈夫!だから、ね?」
梨子「う、うん……」 〜梨子の部屋〜
梨子(信じて、待った、のはいいんだけど……)
梨子「……」
梨子(……結局、今日は曜ちゃんに会うことは出来ませんでした)
梨子「はぁ……」
ゴロン
梨子「……一応、高飛び込みの結果だけでも聞いておこっと」 スッスッ
———
梨子:曜ちゃん、今日の高飛び込みの大会、どうだった?
梨子:上手くいったのかな?良かったら結果だけでも私に教えて欲しいな、なんて……
———
梨子「……」
スタン!
梨子「……返事、すぐ来るかな?」 ………
…
梨子「……」
梨子「……来ない」
梨子(もしかして曜ちゃん、もう寝ちゃったのとか?)
梨子「そうだよね、曜ちゃんきっと疲れてるもんね。迷惑だって思われちゃったかな?」
梨子「それとも……」
梨子(……何か人に言えないような失敗しちゃって、落ちこんでる……とか?)
梨子(ど、どうしよ、もしそうだったとしたら……私、デリカシーなかったり……?)
梨子「うぅ〜……迷惑だったのかなぁ……?」
梨子(ただ、曜ちゃんに会いたかっただけなのに。ううん、電話でもいいの。私の今日の特別感を、曜ちゃんと一番に分け合いたくて)
梨子(たとえ曜ちゃんにとっては何気ない一年の一日だとしても、私にとっては、特別な一日……)
梨子「……そうだ、日記」
ガサガサ ペラッ!
梨子「……」
梨子(最近、私は日記をつけるようになりました。本当は曲のインスピレーションとかをメモしようって始めたんだけど、気づけば毎日のことを書き残すために変わっていって……)
梨子「ふわぁ~……」
梨子「……眠い」コシコシ
梨子「今日、朝早かったし、少し早いけどもう
トントン!
梨子「……?」
梨子ママ「梨子〜!ちょっといい?お友達来てるわよ」
梨子「えっ……?」 梨子(誰だろ?こんな時間に)
ピンポーン!!
梨子「はーい!今開けま……」
ガチャッ!
曜「り〜こちゃん!!!」
ギュギュギュッ!!
梨子「……え?」
曜「梨子ちゃん!!お誕生日おめでとう!!」 曜「どう?サプライズなのであります!!驚いた?」
梨子「曜、ちゃん……」
曜「うん!私だよ!!ヨーソロー!!」ビシッ!!
梨子「……」
曜「……梨子ちゃん?」
梨子「……」ニギニギ
曜「ふえっ!?梨子ちゃん!?どしたの急に!!?」
梨子「え?えーっと、本物の曜ちゃんなのかなって、気になって……」ニギニギ
曜「ええっ!?も、もちろん本物!な、はずだけど……」
梨子「……」ニギニギ
梨子(……本当だ。しっかりさわれてる)
曜「……?」
梨子(じゃあ目の前に立っているのは、私の妄想じゃなくて、本物の曜ちゃんだってことで……) 曜「……あ、そうだプレゼント!」
曜「はい梨子ちゃん!!お誕生日プレゼントだよ!!」ズイッ!!
梨子「あっ、ありがと、嬉しい……」
曜「ぎりぎりセーフ!!ふぅ〜……間に合ってよかった〜!!」
梨子「うん、私も……開けてもいい?」
曜「もっちろん!!今回のは結構自信あるんだ〜!!」
梨子(曜ちゃんの自信作、何かな……?)
パカッ!!
梨子「わぁ、これ……」
曜「ハンドクリーム!!梨子ちゃんにぴったりかなって思って!!」
曜「それにほら!もう夏も終わりでしょ?だから秋とか冬とかに変わってって、そしたら乾燥もするだろうし、だ、だから、実用的で便利かな〜って……」
曜「……」チラッ!
梨子「……」 曜「……も、もしかして梨子ちゃん自分のもう持ってたとか!?ご、ごめっ!!だったらそっちの方先に使って、終わってから私の方使ってくれるって言うのでも、十分だから
梨子「ううん、そういうことじゃないの」
ギュッ!
梨子「嬉しい……だって今日、曜ちゃんに会えるなんて思ってなかったから」
梨子「私の誕生日終わる前に、曜ちゃんとお話できるなんて思ってなかったから……」
曜「そ、そう……」
梨子「……」
曜「……あ!大会は無事に予選突破できたよ!心配してくれてたなら、ありが
ハグッ!!
曜「!!?」
梨子「した。すっごく心配してた」 曜「そ、そう、ごめん……」
梨子「Lineもした。返事もずっと待ってた」
曜「Line……?」スッ
曜(……あ、梨子ちゃんから来てる。走ってる途中だったから気づかなかったや)
梨子「……」ギュッ!!
曜「梨子ちゃん……」
梨子「……」
曜「……ご、ごめん!!どうしても、直接伝えたくて、ほ、ほら!お誕生日だし!!」
梨子「そうなんだ……」
梨子(曜ちゃん、わざわざ大会終わってから、私に会うために……) 梨子「……」ピトッ
曜「!!?」
梨子「……曜ちゃん、汗びっしょりじゃない。もしかして自転車で来たの?」
曜「あ、うん。行きはともかく、帰りはバスないと思ったから。ほら、沼津方面って終バスの時間早いでしょ?」
梨子「……」
曜「だ、だから、もう帰らないと……」
梨子「……ダメ」
ダキッ!!
曜「わわっ!?梨子ちゃん!!?」
梨子「イヤ、放さないもん」
曜「え、えええっ〜!!?」 梨子「……」
曜「……」
梨子「……」ギュッ!!
曜「り、梨子ちゃん……もしかして怒ってる?」
梨子「……」
コクコク
曜「そ、そう……ごめん、梨子ちゃんの誕生日だって知ってたんだけど
梨子「違うの、そういうことじゃないの」
曜「え?じゃあ……」
梨子「……」ギュッ!!
曜「わあっ!?く、苦しい……」
梨子「……」
曜「梨子ちゃん……」
梨子「……曜ちゃん、疲れてるんでしょ?だから帰っちゃダメ」
梨子「今日は泊っていくの。私のお部屋に」 曜「泊ってくって……梨子ちゃん家に?」
梨子「……」コクコク
曜「あ、いや、気持ちはありがたいんだけど……ほら、お泊りするなら千歌ちゃん家とか
梨子「だめっ!!」ギュゥゥッ!!
曜「うわああっ!?梨子ちゃん!!?」
梨子「誕生日くらいいいじゃない!!私のお願い叶えてくれても!!」ギュッ!!
曜「えっ!?あ、いや、でも……」
梨子「曜ちゃん!!」
曜「はいぃぃっ!!!」ビシッ!!
梨子「ほら!!見てよ!!これ!!」
梨子「今朝曜ちゃん埋め合わせしてくれるって言ってくれてるじゃない!!もうっ!!」スッ!
曜「あ、いや、まあ……」
曜(確かに今朝、そんなLineを送ったような気もしなくもないような……) 梨子「だからちゃんと私のいう事聞いてよね!!誕生日なんだから!!」
曜「ええっ!?別に誕生日関係なくな
梨子「!!」ギュッ!!
曜「わわっ!!?」
梨子「……」ギュゥゥッ!!
曜「え、えっと……」
梨子「……」
曜「り、梨子ちゃん……」
梨子「……曜ちゃん」
ダキッ!!
梨子「いいって言うまで、絶対に放さないから」
曜「……」 曜(で、なりゆきで梨子ちゃん家にお泊りすることになっちゃったけど……)
チャポン…
曜(お、お風呂までいただくことになるなんて……)
曜「……」キョロキョロ
曜「……//」カァァッ
曜(梨子ちゃん家のお風呂入るの初めてだし、お肌によさそうな白い入浴剤使ってるしで、すごく緊張する……)
曜「うぅ〜……//」ブクブクブクブク
曜(だ、だってここって梨子ちゃんが毎日使ってるお風呂なんだよ!?当たり前なんだけど、そ、その、裸で……//)
曜「……//」
曜(も、もうちょっとだけ長風呂してても、バチは当たらな
梨子「曜ちゃん?」
曜「ひゃ、ひゃぃぃ!!」
梨子「パジャマとタオルここに置いておくから、遠慮せずに使ってね」
曜「あ、うん、ありがと……」 梨子「あ、あと、その、し、下着は、たまたま新品のがあったから、それ使っていいから……」
曜「わ、わかった!じゃあ今度洗ってかえ
梨子「返さなくていいからっ!!あげるわよそれくらいっ!!//」
曜「わああっ!?そ、そうだよね!!ごめん!!」
ブクブク…
梨子「じゃ、じゃあお部屋戻ってるから……」
曜「う、うん……」
曜(びっくりしたぁ……) フキフキ
曜「ふぅ〜…」
曜「ん〜!!さっぱりした〜!!」
曜(体中塩素まみれだったから、余計に……)
曜「……あれ?」
曜「……」
曜「梨子ちゃんが言ってたパジャマって、これのことかな……?」
曜(なんかすっごくモフモフしてるっていうか……こんなの初めて着るよ〜っていう格好してるんだけど)
曜「……」
モソモソ 曜「……よ、っと」
曜「……」クルクル
曜(えっと、着方合ってるよね……?)
クルクル
曜「うん、大丈夫だと思う……多分」
曜(一応鏡見て……)
チラッ
曜「うわぁ、袖、なっがぁ〜……これが萌え袖ってやつなのかな?」
曜「……」
キュルン♪
曜(えへへ〜、梨子ちゃんのマネ〜♪)
曜「どう、だろ……?」 曜「……」
曜(なんか、梨子ちゃんのパジャマ着てるってだけで可愛くなれた気がするよ〜……)
曜(ほ、ほら!なんかちょっとだけあざとい……ううん、可愛い?っていうか、弱々しくて、守ってあげなくちゃ!って思うっていうか……)
曜「守って……」
曜「……」
曜(……今日の梨子ちゃん、すっごく積極的だったような気がする)
曜(最初に見たときは泣き出しちゃうんじゃないかってくらい不安そうな顔してたけど……大丈夫かな?もう)
曜「……」フルフル
曜(……ううん、甘えたくなる日も誰だってあるよね。私だって時々不安になることあるし)
曜(高飛び込みとAqoursのこととか、将来のこととか、それから……)
曜(……梨子ちゃんに何がしてあげられるんだろう、とか)
曜「……」
曜(だから、そういう時に一番にそばにいてあげられるのが私だったらいいな、なんて思っちゃうのは……ちょっと欲張り、なのかな?) 〜梨子の部屋〜
ガチャッ!!
曜「り〜こちゃん!お風呂あがったよ!ありがと!!」
シーン…
曜「……あれ?梨子ちゃん?」
曜「……」キョロキョロ
梨子「……」
曜「……あ、いた」
曜(なんだ、もうベッド入って……)
曜「……」
曜(……そうだよね、もう夜遅いもんね)
曜「ご、ごめんね梨子ちゃん!起こしちゃったなら!お布団借りてきたから、私こっちで
梨子「……だめ」
ズイッ!
曜「わひゃっ!?」 曜「!!?」
梨子「……」
曜「ふえっ!?梨子ちゃん!!?」
梨子「……」
曜「り、梨子ちゃん……//」ドキドキ
梨子「……」
曜「……//」
梨子「……」コショッ!
曜「きゃっ!?」
梨子「……」モゾモゾ!!
曜「んんっ!梨子ちゃん!!変なとこ触らないで!!くすぐったいよ〜!!」 梨子「いいの!だって曜ちゃんが悪いんだから!!私ずっとさみしかったんだから!!その分モフモフさせてくれなきゃ割に合わないんだから!!」
曜「ええっ!?何その理論!?意味わかんな
梨子「!!」モゾッ!!
曜「!!?」
梨子「じゃあわかってくれるまで止めない」
曜「ふえっ!?何それ!!?ひゃっ!!//」
梨子「……」モフモフ
曜「り、梨子ちゃん!くすぐらないでよ!!はぁっ!ひゃっ!く、くるしい……!!」
梨子「……」コショコショ
曜「ふふっ!……ひゃっ!あははっ!!や、やめ……!!」
………
… 曜「はぁ、はぁ……//」
梨子「……」
曜「り、梨子ちゃん……もう満足した……?」
梨子「……まだ」
ギュッ!
曜「わわっ!?こ、今度は何……?」
梨子「……」
曜「……」
梨子「……あのね曜ちゃん」
曜「……?」
梨子「……私ね、すっごく寂しかったの」 曜「あ、うん。ごめん、せっかくの誕生日なのに」
梨子「ううん、そうじゃなくて……いつものこと」
曜「え?いつも……?」
梨子「……」
曜「……」
梨子「そう。だって曜ちゃん、いっつもお昼休みいなくなっちゃうじゃない?だからすっとさみしかったんだよ?私」
曜「……ごめん」
梨子「ううん、いいのみんなを助けてあげられる曜ちゃんはすっごくかっこいいと思うし、私の憧れでもあるから」
梨子「でも、それで、私とお話する時間が減っちゃうのは、寂しいなって、そう思って……」
曜「梨子ちゃん……」
梨子「だから……」ギュッ!
曜「!!?」
梨子「……お願い」
梨子「今日は、今日だけはもう少しだけ、ぎゅっ!ってさせて欲しいの……」 曜「う、うん……//」
梨子「……」ギュッ!
曜「……」
梨子「……」ギュギュッ!!
曜「り、梨子ちゃん、苦しい……」モゾモゾ
梨子「……むぅ」
ギュギュギュッ!!!
曜「わっ!?ごめん!もう絶対逃げようとしないから!!」
梨子「……ほんとに?」
曜「うん」
梨子「ほんとのほんとに?」
曜「こんなんで嘘つかないってば」
梨子「じゃあ……」
ユルッ!
梨子「ん……」
曜「……?」
梨子「……曜ちゃんからのも、欲しい」 曜「えっ、それって……」
梨子「ん……!!」
曜「……」
梨子「ほーら!今日だけは、ね?」
曜「うん……」ギュッ!
梨子「ふふっ、ありがと曜ちゃん♪」サワサワ
曜「り、梨子ちゃん!!だからくすぐったいってばぁ!!きゃっ!!//」
………
… 梨子「……」
曜「……」
梨子「……曜ちゃん?」
曜「すぅ、すぅ……」
梨子「……」
梨子(……曜ちゃん、寝ちゃった)
梨子(そうよね、曜ちゃんも大会で疲れてるもんね……本当はもっとお話していたかったけど……)
梨子「……」
フニフニ
曜「むにゃぁ……」
梨子「……ふふっ」
梨子(やっぱり曜ちゃんは、いつまで見てても飽きません。授業中ずっと眺めていた曜ちゃんの横顔。それがこんなにも近くにあるってことが、すっごく幸せに私には感じられます) 梨子「曜ちゃん……」
梨子「……」
スーッ
梨子(もしも、もしも曜ちゃんの頬っぺたに、勢いでキスとかしちゃったなら……曜ちゃんも私のこと、女の子として意識してくれたりするのかな?)
梨子「……」スーッ
梨子(そしたら曜ちゃんと晴れて恋人、なんてことも……)
梨子「……」
ピタッ!
梨子「……ううん、やめとこ」
梨子(卑怯よね、さすがにそれは)
梨子(いつかきっと、曜ちゃんが私の魅力に気づいてくれて、曜ちゃんから好きって言ってくれるようになるその日まで……私の気持ちは、おあずけってことにしようかな?)
梨子「……待ってるからね、よーちゃん♡」ツンッ♪
曜「えへへ〜……」 梨子「ふわぁ〜……」
梨子(そろそろ私も、眠く……)
梨子「……そうだ、日記の続き書いちゃわないとよね」
梨子「ごめんね曜ちゃん、少し電気点けるわね?」
曜「……」
パチッ!
梨子「……」
カキカキ
梨子(……私の夜は、日記を書いて終わります)
梨子(最近、私は日記をつけるようになりました。本当は曲のインスピレーションとかをメモしようって始めたんだけど、気づけば毎日のことを書き残すために変わっていって……)
梨子「……」カキカキ
梨子(……日常の中のさりげない思い出を、こうやって紙に書き残せたら、きっといつまでも一緒にいられるのかなって、そう私は信じています)
梨子「たとえずっとは一緒にいられなくても……ね?曜ちゃん?」
曜「……」
梨子「ふふっ、曜ちゃんの寝顔、可愛い♪」 カキカキ
梨子「……」
梨子(何気ない日常も、一日だけの誕生日も、大好きな人が一生懸命頑張ってくれた特別も。曜ちゃんがそばにいてくれることで、こんなにも素敵に変わっていくんだなって、曜ちゃんが私にそう気づかせてくれました)
曜「……」カキカキ
梨子(私の大好きな曜ちゃんは、浦女のみんなのヒーローです。今日だって高飛び込みの全日本予選?に出場してたみたいだし。だから私が独り占め、なんてできないことはわかってる、わかってるけど……ううん、だからこそ、私がいつか、曜ちゃんの一番になれたらいいなって、そうずっと夢見てて……)
梨子(だから、今日の思い出には、まだ恥ずかしくて言えないこの気持ちを添えて、きっといつか夢が叶いますようにって、そう願いながら……) 梨子「……」
カキカキ
梨子「できた〜!!」
梨子(……いつかこの気持ちも、ちゃんと真っ直ぐ伝えられるのかな?)
梨子「ね、曜ちゃん?」
曜「……」
梨子「……ふふっ、いつもありがとう。曜ちゃん♪」
ツンツン♪
梨子「じゃあ電気消すわね」
パチッ!!
梨子「……おやすみなさい。また明日たくさん遊ぼうね、曜ちゃん!」 ———
9月19日 晴れ
今日は私の誕生日です!おめでとう!私!
今日で私は17歳。なんか大人に近づいてるなぁ、なんて思ったりもするけど……
ううん、やっぱりまだまだかな?小さなことでモヤモヤしたり、些細なことで寂しくなったり、そんなのしょっちゅう。だから日記に吐き出したくなっちゃうんだもん
今年は前向きに!ポジティブに!それこそ曜ちゃんみたいに明るくなれたらいいのかな?そんなことを思ってます笑
あ、そうだ!曜ちゃんと言えばね!!今日わざわざ曜ちゃんが大会終わりに家まで来てくれたの!!もうほんっとにカッコよかった!!
そして曜ちゃんと一緒に二人だけのお泊り会。一生忘れられない思い出になるかもしれません。ちょっと大げさかな笑
曜ちゃん……
やっぱり私、曜ちゃんのことが大好きです。たとえ叶わなかったとしても、この気持ちは大切にしたいなぁって、今は心からそう思っています。本人には恥ずかしくて言えないこの想い、ここにだけは書かせて欲しいの。たとえこの恋叶わないんだとしても、いつかきっと思い出に変えられるって、そう今の私は信じてるから
曜ちゃんへ、ずっとずっと大好きです
桜内梨子
——— 終わりです。お粗末様でした
遅くなっちゃったけど梨子ちゃん!お誕生日おめでとう! 過去作になります。良かったらぜひ
梨子「ねえ曜ちゃん、そのままでいいから聞いてね」曜「えっ!?ちょっと待って!?どういうこと!?梨子ちゃん!?//」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1587132189/l50 ようりこちゃんはかわいいのじゃ……すごくよかったのじゃ……でもこの乙はワシのじゃ…… お疲れ様でした、素敵な話だった
梨子ちゃん誕生日おめでとう!
最後の最後に一瞬だけ曜ちゃんが勝手に日記書いてるけど可愛かったのでよし! これもうようりこの基礎学習として
Daysに載せるべきなんじゃね
素晴らしいようりこでした ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています