千歌「私を置いていかないでよ 曜ちゃん」
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12月20日 放課後
年の瀬が迫る冬の帰り道
私と曜ちゃんは、いつものように練習を終え、帰路についていた
千歌「今日も練習たのしかった!」
曜「ほんと、千歌ちゃんって練習だいすきだよね」
千歌「だってたのしいんだもん!」
曜「千歌ちゃんらしいや」 千歌「このあとどうする?よーちゃん」
曜「あ、ゴメン!今日はママと約束があるんだ」
千歌「そうなんだ、ザンネン」
曜「でも、今度の休みなら時間あるよ!」
曜「ちょうどクリスマスイブだし、出かけちゃう?」
千歌「お!それって、クリスマスデート?」
曜「あはは!そんなんじゃないって!」 そんなたわいのない会話をしながら、私たちはバス停についた
ちょうど沼津駅行きのバスがバス停に止まろうとしていた
曜「あ!!乗り遅れちゃう!いそげー!!」
千歌「よーちゃん、また明日ね!」
曜「うん、また明日」
それが、よーちゃんの最後の言葉だった その夜
千歌「(えへへ〜よーちゃんとクリスマスデート〜)」
千歌「(楽しみだなあ〜)」
みとねえ「千歌!早く寝なさい!」
千歌「もう!わかってるよみとねえ!」
カチッ
千歌「(えへへ・・・よーちゃんと・・・デート・・・)」
Zzz 12月21日 朝6時
私の眠りは、みとねえの怒号に断ち切られた
みとねえ「ちかあああああああっ!!!!!」
千歌「わっ!!!」ガバッ
千歌「もう、なんなのだ!まだ朝の6時じゃん!」
みとねえ「ちょっと・・・ちかあ・・・た・・・た・・・・」
千歌「なんなの?」
みとねえの様子がおかしい
みとねえ「今すぐ、テレビを見て・・・」 みとねえの尋常ならざる様子に、私は急いでテレビのある1階に下りた
千歌「もう、テレビで何があるっての?」
1階に下り、テレビの方を向いた
テレビでは、朝のニュース番組をやっていた
千歌「なんだ、なんにもないじゃ」
テレビ『きのうの夜、沼津市内で、親子二人がひき逃げにあい
病院に搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました』
テレビ『死亡したのは、沼津市在住の
渡 辺 曜 さ ん と、その母親です
』
え うそだ。
うそだ。
うそに決まっている。
私は、スマホのニュースを見た。
すると見出しに
『[国内]沼津市でひき逃げ 親子死亡』
千歌「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 夢だ。
これは夢なんだ。
すると、玄関に血相を変えた梨子ちゃんがやってきた。
梨子「千歌ちゃん!!!」
梨子「曜ちゃんが・・・曜ちゃんが・・・・・・・」
千歌「・・・・・・・・・」 私は、急いで着替えて
梨子ちゃんと学校に行くことにした
梨子「千歌ちゃん・・・。大丈夫・・・・」
千歌「・・・・」
私は梨子ちゃんの言葉に一言も返せず、いつのまにか学校についた 学校は、当然大混乱していた
ルビィ「千歌ちゃん!!!」
善子「どういうことなの・・・」
花丸「曜さんが・・・ひき逃げで・・・」
千歌「・・・・・・」
梨子「千歌ちゃん・・・」
ああそうだ、まだきっと夢の中なんだ
これは夢 悪い夢だよね そして、ホームルームの時間
先生が、大粒の涙を流しながら入ってきた瞬間を見て
私は、ようやく夢でないことを突き付けられた
先生「みなさん・・・渡辺さんが・・・渡辺さんが・・・」
先生「交通事故で亡くなりました」
生徒A「・・・・そんな」
生徒B「うそだ!!!」
梨子「千歌ちゃ」
千歌「あああ・・・ああ・・・あ・・・・・・・・」
私はあふれるものを止めることはできなかった その後、先生から事のあらましを伝えられた・・・
12月20日 19時ごろ
よーちゃんとよーちゃんのママが
自転車でららぽーと沼津に買い物に行った帰り道に
信号無視をした自動車が猛スピードでつっこみ
その後 三島方向へと走り去ったのだという
通行人の通報で沼津総合病院に搬送されたときには
よーちゃんのママは即死
よーちゃんも必死の心肺蘇生を試みたものの
21時すぎ
駆け付けた学校の先生たちの前で
よーちゃんも息を引き取った ルビィ「うわあああああああああああああああん」
花丸「ルビィちゃ・・・泣かないでよ」
善子「そうよ、私も泣いちゃうじゃない」
善子「それより、千歌はどうしたの?リリー」
梨子「・・・家に帰ったわ お通夜には来るって」 その後、沼津市内の葬儀場でお通夜が行われた
わたしは、しまねえの車で、葬儀場を訪れた
梨子「あそこに曜ちゃんがいるわ・・・」
千歌「・・・・・あれが、棺」
千歌「棺の窓、開けてもいいですか?」
葬儀屋「どうぞ」
わたしは梨子ちゃんと一緒にそっと、棺の窓を開けた
そこには、よーちゃんが眠っていた
ひき逃げされながら、よーちゃんの顔には、傷一つなかった
梨子「・・・・・ッ・・・わああ」
千歌「・・・わああああああああああ」
その瞬間、わたしと梨子ちゃんは泣き崩れた お通夜の夜
善子ちゃんから、事故現場が、善子ちゃんの家の目の前だったことを知らされた
偶然にも、葬儀場のすぐ近くだった
千歌「・・・ここで、曜ちゃんが」
善子「ええ・・・私もね、大きな音がしたから、事故だなっておもったんだけど・・・それが・・・」
そこには、供えられた真新しい花と
生々しく残る血痕がはっきり残っていた 12月22日
お葬式が終わり、最後の時がやってきた
よーちゃんを乗せた霊柩車は、船の汽笛とともに葬儀場を出ていった
その瞬間、私の心のブレーキが遂に決壊した
千歌「・・・・・・よーーちゃあああああああああああああん!!」
千歌「いかないで!よーちゃああああああああん」
千歌「私を置いていかないでよ 曜ちゃん」
千歌「うう・・・うう・・・」 12月24日
冬休みが始まった
今日はクリスマスイブ
でも 私の心は 大きくぽっかりと穴が開いてしまっていた みとねえ「なあ、千歌・・・」
千歌「うるさい」
みとねえ「・・・」
しまねえ「千歌ちゃん、どう?」
みとねえ「やっぱダメっぽい」
しまねえ「さっきニュースで、曜ちゃんをひき逃げした車が海中に投棄されてるのが見つかったって」
みとねえ「なんてヤツだよ、証拠隠滅かよ サイテーだな」
みとねえ「千歌の大切な友達の命を奪っておいて」
しまねえ「みとも落ち着いて」
みとねえ「だけどよ・・・」 その日の夜
千歌「出かけてくる」
みとねえ「どこ行くんだよ?こんな時間からか?」
千歌「デートだよ・・・よーちゃんと」
みとねえ「千歌・・・もう曜ちゃんは」
千歌「うるさい!!!」ダッ
みとねえ「千歌っ!」 1時間後
私は 善子ちゃんのおうちの前の交差点にいた
よーちゃんがひき逃げされた その場所に
千歌「・・・よーちゃん メリークリスマス」
千歌「今日はクリスマスデートだね」
千歌「楽しいね、よーちゃん」
千歌「え、そう?そんなことないって」
千歌「似合ってるでしょ、今日のために新しい服を買ったんだ」
千歌「よーちゃんもかわいい」
千歌「ねえよーちゃん」
千歌「なんかいってよ」
千歌「かわいいって」
千歌「これからどこ行こうかって」
千歌「ねえ」
千歌「ねえ・・・応えてよ」 千歌「よーちゃん」
千歌「ねえ、よーちゃん」
千歌「よーちゃんよーちゃんよーちゃん」
千歌「よーちゃんよーちゃんよーちゃんよーちゃんよーちゃん」
千歌「私、やっぱり」
千歌「よーちゃんがいないと 生きていけないよ」 私はゆっくりと よーちゃんが轢かれた道路に
いっぽいっぽ歩みを寄っていった
赤信号で車がまだ走っているのに
なんで こんなことをしているのか
もう どうでもよかった
千歌「私を置いていかないでよ よーちゃん」 その時
私の足は 後ろからふいに引っ張られた
千歌「わあ!!」
その瞬間、目の前で大型トラックが猛スピードで通り抜けていった
千歌「・・・・・・え」
何が起こったのかよくわからなかった でも次の瞬間
千歌「よーちゃん・・・?」
信じられないことが起こった
赤信号で車が行きかうの道路の真ん中に
よーちゃんの姿があった
千歌「よーちゃん!!!!」 曜「ごめんね 千歌ちゃん」
千歌「よーちゃん!」
曜「千歌ちゃんの足、ひっぱっちゃった」
千歌「よーちゃん」
曜「千歌ちゃんまで死んでほしくないから・・・」
千歌「よーちゃん、いやなのだ、置いていかないで・・・」
曜「ごめんね」
千歌「よーちゃん!」 曜「千歌ちゃん」
曜「メリークリスマス」
フォオオオオオオオオオオオオオオオオン
次の瞬間 車の行きかう道路に曜ちゃんの姿はなかった
善子「千歌!!!!」
千歌「善子ちゃん」
善子「バカ!なんであなたまで死のうとしてるのよ!!」
千歌「・・・ごめんなさい」
千歌「でも、よーちゃんが助けてくれた」
善子「はあ?なにってんのよ!」
千歌「ううん、なんでもない」 あいつが〜死んだよ〜誰も知らぬ間に〜
車のラッシュ光の海に〜何を〜見つけたんだ〜 12月26日
朝刊に あるニュースが載っていた
「もう逃げられない」沼津親子ひき逃げの容疑者逮捕
静岡県警は25日、沼津市内で死亡ひき逃げ事故を起こすとともに、このクルマを海中に遺棄して証拠隠滅を図ったとして、
男を業務上過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕した。
静岡県警・沼津署によると、問題の事故は20日の午後7時30分ごろ発生。
自転車に乗った親子をはねたクルマはそのまま逃走したが、22日に沼津港の岸壁から海中に遺棄されているのが発見されている。
ナンバープレートは外されていたが、車台番号やエンジン番号から車両を特定。所有者である男が事故を起こしたとほぼ断定して逮捕状を取り、
立ち寄り先などを当たっていた。男は逃走を続けていたが、25日に自ら出頭。緊急逮捕されている。
取り調べに対し、男は容疑を大筋で認めた上で「怖くなったので逃げた」、
「逃げたが、警察の手が自分の近くに及んでいることを知り、逃げられないと悟った」などと供述している。 みとねえ「犯人、捕まったみたいね」
千歌「・・・でも、よーちゃんは戻ってこない」
しまねえ「千歌ちゃん・・・」
千歌「私、決めた」
千歌「曜ちゃんのために、ラブライブ絶対優勝する!」
みとねえ「そうね」
よーちゃん、何十年か先、そっちにいったら
こんどこそ、クリスマスデートしようね おわり
15年前実際に起こったひき逃げ事故をもとに作らせてもらいました
その犠牲者が、私の友達です 乙です
途中から妙にリアルだなと思ったらそういうことだったのね……
色々心にくるものがありました
絶対事故起こさないように運転しようと改めて思ったよ (*> ᴗ •*)ゞ死んでしまったでありますなぁ... 赤信号で車が行きかってたらこえーよ
というのはさておき、乙でした 事故死した友達すらも千歌→曜のネタとしか思ってないの笑える 面白いって言って良いのか分からないけど面白かったです。乙ー 果南なら半泣きで絶対かお真っ赤にして狂った千歌にビンタぶっこいてそう ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています