彼方「ぎゅっと、守りたいの」
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「そっちで引き取ってもらえない?」
「はぁ?嫌ですよ……うちにそんな余裕ありませんから」
「じゃあ……」
「うちも無理だよ……それにさぁ、子どもって、あいつらのだぞ……誰だって嫌だろ」
「まったく、いつの間に子ども作ってたんだ……」
「親戚っていってもあいつらほとんど疎遠だったじゃないのよ、なんだって娘だけ残して……」
「施設でいいでしょ、ねぇ?」
「ほんとにどこ行ったかわかんないの?」
「死んだんじゃない?」
「はぁ……まったく……」
「……で?どうする?」
「………」
「……………あの……!」
「……私に、引き取らせてください」
「私が育てます」
「………」
「………」
「……だ、そうだけど?」
「ウチは別に」
「いいんじゃない?」
「いやぁ、よかったよかった」
「……いいの?アレはまだ残ってるんじゃないの?」
「……大丈夫です。なんとかします」 「彼方ちゃん、私のこと覚えてる?1回は会ってるんだけど……」
かなた「………」フルフル
「そっか……」
「私ね、彼方ちゃんのお母さんの妹なの」
かなた「………」
「あのね……えっと……」
かなた「おとうさんとおかあさん、いなくなったんでしょ?」
「!!!」
「………そうなの……だからね、彼方ちゃんはこれから、私と、」
「それから遥ちゃんと一緒に暮らすの」
かなた「はるか、ちゃん……?」
「そう」
「あなたの、彼方ちゃんの妹になる子よ」 ────────
────
──
─
「さ、着いた」
かなた「ここ?」
「ええ、ここが彼方ちゃんの新しいお家」
かなた「………」
かなた「おじゃま、します………」
「………ねえ、『ただいま』って言ってみて?」
かなた「!」
かなた「………」
かなた「………」
かなた「……ただいま……」
「ふふっ、おかえりなさい!」 「遥ちゃーん?ただいまー」
はるか「おかーさんおかえりー!」トテトテ
はるか「……?」
はるか「だーれ?」
「ほら、昨日言ったでしょ?今日から一緒に暮らすことになった彼方ちゃんよ」
はるか「かなた?」
「ええ、遥ちゃんのお姉ちゃんなの」
はるか「おねーちゃん!?」
はるか「ほんと!?かなたは、おねーちゃん?」
かなた「え……えと………」
かなた「………そう……なのかな……」
はるか「わぁ……!」
はるか「きょーはね、おかーさん、ごちそういっぱいつくってくれたの!」
はるか「いこっ!」
かなた「わわっ…!?」 かなた「わぁ……」
はるか「ね!ね!すごいでしょ!」
「好きなだけ食べていいのよ〜」
かなた「……ほんと、に?」
かなた「たべて、いいの?」
「もちろん!」
はるか「いただきまーす!!」
はるか「ん〜!」モグモグ
かなた「………」
かなた「……」パクッ…
かなた「!!!!!」
かなた「……」
かなた「……おいしい……」
「ほんと?よかった♪」
かなた「………」
かなた「……っ……」
かなた「………………」ポロポロ
はるか「?どーしたの?」
「大丈夫!?何か嫌なものでもあった!?」
かなた「………ううん」
かなた「……あったかいごはん、……っ……あんまりたべれなかったから……」
かなた「なんか……ゆめみたい……」
「……!!」
はるか「これ!おいしいからあげる」
はるか「あとこれと、これと、これも!」
はるか「おかーさんのりょーりはね!せかいいちおいしいの!」
かなた「……っ…うん………」
「………そうよ!いっぱい食べて!」
「じゃあそろそろ寝よっか」
はるか「えー、まだおねーちゃんとおはなしするー」
「もう遅いから、また明日ね?」
はるか「はーい」
「ごめんね彼方ちゃん、3人だから少し狭いけど」
かなた「え………」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
────『おーい、なんか1匹寝てんぞ?』
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
「?」
かなた「い…いい、です」
「どうしたの?ほら、おいで」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
────『あー、どかしていいよー』
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
かなた「……」フルフル
「………どうして?」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
────『はぁ、おら起きろっ!!!どけっ!!!』
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
かなた「じゃまになっちゃう」
「そんなことないわ、ね?ほら、」スッ…
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
────『邪魔なんだよっ!!!!殺すぞ!!!』
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
かなた「やっ……!」
「……!」 かなた「ごめんっなさい……」
かなた「っ…もう…ベッド…つかわないっ…から」
かなた「たたかないで……おそと…っださないで……」
「……!」
「………」
「…………彼方ちゃん……」
「………大丈夫よ」ギュッ
かなた「!」
「……大丈夫、もう大丈夫だから」
「一緒にベッドで寝よう?」
かなた「……」
かなた「ベッドで、ねていいの?」
「うん」
かなた「……たたかない……?」
「そんなことしない。絶対しないよ」
かなた「おそとに、ださない?」
「大丈夫、大丈夫だから」 「今日からはね、もう誰もあなたのこと、叩いたりしない」ギュウ
「今までよく頑張ったね」
「もういいのよ。もうここがあなたの家で、これがあなたのベッドなの。好きなだけ使っていい」
かなた「……ほんと……?」
「ほんとよ。さあ!一緒に寝ましょ!」
「ふふ、彼方ちゃんは真ん中ね!」
はるか「ねー、ねないのー?」
「ほら、遥ちゃんも待ってる」
かなた「………うん」
はるか「えへへ、せまーい!」
「ふぁぁ、おやすみ〜」
はるか「あー、おかーさんいっつもすぐねちゃうんだよ」
かなた「そうなんだ」
「………」ナデナデ
かなた「!」
かなた「………」
かなた「………」
かなた「………あったかい………」 ────────
────
──
─
「ぅぅん……ふぁぁ……」
はるか「あ、おかーさんおきた」
「んはよう……」
「あれ?彼方ちゃんは?」
はるか「なんかねー、おそーじするって」
「……掃除?」
はるか「うん」 かなた「………」ゴソゴソ
「おはよう彼方ちゃん……もしかして、よく眠れなかった?」
かなた「……いつもはねむれるんだけど……」
「そう……あ、掃除なんて私がやるからいいのに」
かなた「……きのう、ごはんもらったから」
「あら、ご飯のお礼ってこと?」
かなた「?」
「違うの?」
かなた「うん。これは、しごと」
かなた「しごとしないと、ごはんもらえないでしょ?」
「………」
「ううん、違うわ。ご飯はちゃんと食べられるの」
「仕事してなかったから食べられないなんてこと、ないのよ」
「彼方ちゃんのご飯は、私が絶対食べさせてあげるから」
かなた「……どうして?」
「家族だから」
かなた「……かぞく……?」
「そう。私も遥ちゃんも、彼方ちゃんも、もう家族だから」
「家族はね、家族のためにご飯を作るの」
「仕事してたとかしてなかったとか、そんなの関係ない」
かなた「………かぞく………」
「ちょっと待ってて。今から朝ご飯作るから」
「それまで遥ちゃんと遊んでて」
かなた「……うん……」 はるか「………」ジーー
かなた「……ど、どうしたの?」
はるか「おねーちゃん、きれいなめ、してる」
かなた「め?」
はるか「うん、やさしそうで、きれいなめ」
はるか「でもはるかともおかーさんともちがういろ」
かなた「それは……あなたとおばさんと、わたしは……」
はるか「はるかちゃん!」
かなた「え?」
はるか「あなたじゃなくて、はるかちゃんってよんで!」
かなた「……はるか、ちゃん?」
はるか「はーい!」
はるか「あ!あと、おばさん、じゃなくておかーさんだよ」
かなた「え、でも……わたしのおかあさんは………」
はるか「おかーさん、おねーちゃんにもおかーさんってよんでほしいなっていってた」
はるか「おなじいえにすんでたら、」
はるか「かぞくなんだって」
かなた「……!」 はるか「でね、えっと、おねーちゃんははるかのおねーちゃんで、だからはるかのおかーさんは、おねーちゃんのおかーさんで、それで……」
はるか「えっと、とにかくね、おかーさんのこと、おかーさんってよんであげて」
はるか「おかーさん、よろこぶとおもうから」
かなた「………」
「ご飯できたよー」
はるか「あ!ごはんできたって!」
はるか「いこっ!」
彼方「あ、うん……」 はるか「いただきまーす」
かなた「……いただきます」
かなた「……」パクッ
「どう、かな?」
かなた「おいしい……」
はるか「あっ、ピーマン……」
はるか「おねーちゃんあげるっ」
「あ!こーら!」
はるか「えへぇ、だってぇ」
「もー!遥ったら……」
かなた「……ふふっ」
「あっ……ふふっ♪ほら、お姉ちゃんに笑われてるわよ!」
はるか「えー、でもー……」 はるか「ごちそーさまでした」
かなた「ごちそうさまでした」
かなた「………」
かなた「あの……」
「?どうしたの?」
かなた「………」
かなた「おいしかった、です」
かなた「ありがとう」
かなた「………///」
かなた「……おかあ、さん……///」
「!!!」
母「ふふっ、はい♪」 ────────
────
──
─
母「ただいまー」
はるか「おかえりー」
はるか「どこいってたの?」
母「んー、まぁちょっと、書類とか、ね」
はるか「しょるい?」
母「うん。彼方ちゃんが正式にうちの子になりますよーっていう書類」
はるか「???」
母「うーんそうねぇ、彼方ちゃんはこれから『近江彼方』になるってことよ」
かなた「……」
かなた「……このえ……かなた………」
母「まあ、本当は認められるまでもう少しかかるけど……彼方ちゃんは『近江彼方』になったの」
母「………」 『ねー、ウチのに名前つけてくんなーい?』
『………姉さん、自分の子どもなんだよ……!?』
『あーはいはい、でー?なんかないー?』
『………』
あるものに隔てられて見えない場所。離れたところ。向こう側。 母「どう?新しい名前は」
かなた「………なまえ、あんまりよばれたことないから、よくわからない」
母「………」
母「……彼方ちゃん!」ダキッ
かなた「!?」
母「彼方ちゃん彼方ちゃん!」ギュウ
母「これからは私がいっぱい呼んであげる!!」
はるか「あー!ずるい!あっでもおねーちゃんもよびたい……どうしよ……」
母「彼方ちゃん!」
はるか「ずーるーいー!」
かなた「………」
かなた「……かなたちゃん……」
かなた「ふふ、かなたちゃん、か♪」 彼方「……すぅ………」
遥「………」
遥「ねーおかあさーん、おねえちゃんなんかだんだんおねぼうさんになってきたね」
母「そうね……」
母「(安心して眠ってくれるようになった、のかな)」
母「………」
『っ…もう…ベッド…つかわないっ…から』
『たたかないで……おそと…っださないで……』
母「(もしかしたら、元々は夜より昼の方が眠りやすかったのかも)」
母「(『あの2人』が近くにいない、昼間の方が……)」
母「……遥ちゃん、もし彼方ちゃんがなかなか起きられなかったら、いろいろ手伝ってあげてね」
遥「わかった!」
母「……遥ちゃん良い子ね〜」ナデナデ
遥「えへへっ」
遥「でもがっこうおくれそうだったらちゃんとおこすよ」
母「ええ、お願いね」
彼方「ふぁぁ……」
遥「あ、やっとおきた」
彼方「ん〜……」
彼方「かなたちゃん……もすこしねるぅ……」
遥「ああー!」 ────────
────
──
─
母「うーん……」
母「……うーーん………」
母「ん〜〜〜………」
母「………」
母「よしっ、買っちゃうか」 遥「ただいまー」
母「あ、遥ちゃんちょっとだけ組むの手伝って!」
遥「え?なにー?………って、うわっ!」
遥「これ……!!!」
────────
────
──
─
彼方「ただいま」
母「おかえり〜」
遥「おかえり〜!おねえちゃん」
彼方「………」
彼方「どしたの?2人ともニヤニヤして」
遥「えー?べつにー?」ニヤニヤ
母「別にー?」ニヤニヤ
彼方「………あやしすぎる」 遥「……びっくりするかな」
母「むしろ、してもらわないとね♪」
ウワッ!!?ベッベッベッドガァ!?!?ニダンベッドガアル!?
遥「あははっ!おねえちゃんおどろきすぎ……」
母「喜んでもらえたかな」
遥「おおよろこびだね」
遥「でもなんでいきなりかってきたの?」
母「そりゃー、お母さんもそろそろベッド独り占めしたいし?」
遥「……」
母「ふふ、冗談よ。もう遥ちゃんも小学生になったことだし、そろそろ必要かと思って」
母「あ、あと、そのうち勉強机も来るから、いっぱい使ってね♪」
遥「うぇぇ……いらなぁい……」
母「高かったんだからいらないとか言わないのっ」 ────────
────
──
─
彼方「………んむぅ………あ……」
遥「あ、おねえちゃんおはよー!」
彼方「ぉはょ……」
遥「えっと……こくご、りか、しゃかい……さんすう、と……たいそうぎ」
遥「よしっ」
遥「ほらおねえちゃんきがえて!」
彼方「……ふぁぃ……あれ……?」
彼方「それ、かなたちゃんの……」
遥「おねえちゃん、きのうがっこうのしたくしないでねたでしょ?」
遥「はるかもしてなかったから、ついでにね」
彼方「わ〜〜ぁはるかちゃぁいいこいいこぉ……」ダキィ…スリスリ
遥「わわっちょっと!?もー!いいからはやくきがえてっ!」 彼方「……あれ……おかあさんは?」
遥「きょうもしごとはやいんだって」
彼方「あさごはんは……これかな………」
彼方「(つくるひまもなかったんだ……)」
彼方「………」
彼方「ね、おかあさん」
母「なーに?」
彼方「かなたちゃんに、おりょうりおしえて」
母「料理?いいけど……何か食べたいものがあるなら……」
彼方「ううん、たべたいんじゃなくて………」
彼方「つくってあげたいの」
彼方「………その……」
彼方「………かぞくに、つくってあげたいの」
母「……!!」
母「ええ、ええ!わかったわ!」
母「………」
母「……でも言っとくけど……」
母「お母さん料理にはうるさいわよ?」
彼方「!!うんっ!」 ────────
────
──
─
遥「……んん……むにゃ……」
遥「……あ……」
遥「おねぇちゃぁ……あさだよぉ……」
遥「って!?いない!?!?」
遥「………」
遥「……うっそ………」
彼方「あ!おはよーはるかちゃん♪」
彼方「もうすぐできるからね〜」
遥「………」
遥「お、おねえちゃんがひとりでおきてりょうりしてる……」 彼方「はーい!おまちどーさまぁー」
遥「………」
遥「い、いただきます……」
遥「………」
遥「………」ハムッ…
遥「!!!!!」
遥「おいしい!!おいしいよおねえちゃん!!」
彼方「ふふ、よかった」
彼方「これからもいっぱいつくってあげるからね〜♪」
遥「うんっ!」 ────────
────
──
─
遥「おかあさんこれなんてよむの?」
母「え?……しののめ、じゃない?」
母「これ何の雑誌?」
遥「スクールアイドル!」
母「お小遣いで買ったの?」
遥「うん、あんまりかえないけど、今月のはとくしゅうきじがのるから」
母「ふーん、東雲学院……この子たち高校生なんだ」
母「このグループが遥ちゃんのお気に入り?」
遥「うん!すっごいかわいんだよ!」
遥「……」
遥「ねぇ、おかあさん」
母「ん?なーに?」 遥「……こんどね、ライブがあるの」
遥「行ってきていい?」
母「……え!?ひとりで!?」
遥「うん」
母「……1人はまだちょっと」
遥「おねえちゃんつれてく」
母「彼方ちゃんでもちょっと……」
母「それは、いつ?」
遥「さらいしゅうの土よう日」
母「……再来週………あっ、あー……」
遥「……いける?」
母「……ごめんね遥ちゃん、おかあさんその日はお仕事だ……」
遥「えぇ……………?」
母「また今度、今度あったら連れてってあげる!」
遥「ほんと?」
母「うん。だから再来週のは……ごめんね?」
遥「…………うん」 遥「……はーぁ………」
彼方「おや、どうしたの?」
遥「………」
遥「………」
遥「……はぁ〜……ライブ………」
彼方「ライブ?」
遥「いけないって……」
彼方「だれのライブ?」
遥「スクールアイドル」
彼方「……スクールアイドル?」
遥「うん……」
遥「…………はぁ」
彼方「よしよし、げんきだして?」
彼方「スクールアイドルってなにをするの?」
遥「えっとね、おどったり、うたうたったり」
彼方「うた?うたならかなたおねえちゃんがいくらでもうたってあげますよ〜」
遥「ダンスもやってー」
彼方「えっ、ダ、ダンス?」
遥「………!」キラキラ
彼方「うっ……わかったわかった……」 彼方「〜〜〜♪」カクカク
遥「あははっ、へんなおどりー」
彼方「わらわないでよ〜」
遥「ふふふ、でもちょっとげんきでたよ」
遥「………おねえちゃんのうた、すきかも」
彼方「ほんとぉ?うれしいなぁ」
遥「ねぇねぇ、もっときかせて!」
彼方「えへへ、いいよ〜」
遥「ダンスもね♪」
彼方「ええ〜……ダンスはちょっともうかんべんして……」 ────────
────
──
─
彼方「ただいま〜」
遥「っ!」グシグシ
遥「……」
遥「おかえりおねーちゃん」
彼方「……どうしたの?」
遥「え?なにが?」
彼方「今……はるかちゃん泣いて」
遥「スクールアイドルのきじ、よんでたの。かんどうしちゃった!」
彼方「……そうなの?」
遥「うん!……それよりおなかすいちゃった」
彼方「!」
彼方「すぐつくるね」
遥「うんっ」
遥「………」
『はるかちゃんっていっつもそのふくきてるね』
『わたしもおもった〜』
遥『え?……そう?』
『おとといもきてたよね』
遥『あ、はは……おきにいりだから』
『えー?』
『きゃははは!もっとほかにあるでしょ?』
『かってもらえばいいのに』
『てか、きょねんからそれきてたよね?』
遥『……えっと……』
『あ、』
『もしかしてはるかちゃんの家さぁ』
『びんぼーなの?』
彼方「あ、おかえりはるかちゃ〜ん」
遥「………」
彼方「……はるかちゃん?」
遥「…あ、おねえちゃん。ただいま」
彼方「……元気、ないね。どうしたの?」
遥「………」
遥「………うちって、びんぼうなのかな」
彼方「えっ!?」
彼方「え、えと……どうしてそんなこと……」
遥「……ううん、なんでもない」
遥「友達と遊んでくるね」
彼方「あ、」
彼方「………」
彼方「……行っちゃった………」 遥「………」キーコキーコ…
遥「………」
遥「………」
遥「………」
遥「………」
遥「……っ……」
遥「…っ……………」ウルウル
遥「………」
遥「………」グシグシ
遥「………」
遥「……よし」 遥「たっだいまー♪」
彼方「おっかえり〜」
遥「あ!いい匂い!」
彼方「今日はシチューだよぉ〜」
遥「やったー!」
彼方「あ、ちゃんと手洗ってね?」
遥「わかったー♪」
彼方「………大丈夫そう、かな……」 ────────
────
──
─
遥「あれ……」
遥「……?」
「おっはよー、どーしたの〜?」
遥「うわばき知らない?」
「はるかちゃんの?」
遥「うん……」
「しらなーい」
「おはよー、なんかあったの?」
「なんか〜はるかちゃんうわばきなくしちゃったんだってー」
「えーそうなの?」
遥「うん……」
「わーたいへん」
「あたらしいのかってもらいなよ」
「ねーそんなこといったらかわいそうでしょっ!」
「え?なんでー?」
「だって、ねえー?」
遥「……?」
「はるかちゃんちはかってもらえないからね」
「あーそっかー」
「ごめんねひどいこといって」
遥「……」
遥「ううん、べつに……」 ────────
────
──
─
母「……また?」
遥「…………ごめんなさい……」
母「どこで失くしたの?」
遥「………外の……どっか」
母「上履きを?」
遥「……うん」
母「………」
母「………」
母「遥ちゃん、本当のこと教えて」
遥「………」
母「こたえて、遥ちゃん」
遥「………」
遥「………」
遥「………」
遥「………」
遥「………」
遥「……ほん、とは…………」 ────────
────
──
─
「はぁ……?うちの子が?まさか先生、ふふふ、御冗談でしょう?」
「ですが近江さんが……」
母「冗談なんかじゃありません……娘は御宅の子がやってるんじゃないかって」
「言いがかりも甚だしいですねぇ、勘弁してください」
「それに?まぁ仮にうちの子が御宅の子に何かしたとして、子どものやることですから?親としてはそっと見守っていた方がよろしくなくて?」
「親がいたずらに子ども同士のことに首を突っ込むのも野暮というものです」
「貴方も母親なら、寛大な心を持つべきですよ、ふふふ」
母「子を守るのが親の仕事です!!娘が今傷ついているなら、私は」
「まぁまぁ近江さん落ち着いてください」
「それなら、私も娘を守るために、詭弁には断固として応じませんよ」
「これ以上は聞くだけ無駄な様ですので失礼させていただきます」
母「………」
母「先生からみて、遥の様子はどうですか」
「……そうですねぇ、2人は同じ仲良しグループでよく一緒にいるんで、まぁ仲がいいもんだと思ってましたがね、変わったこともないと思いますけどねぇ」
「ま、なにかケンカでもしてるんでしょう。そのうち忘れて、またいつもみたいに戻るでしょ。気にしすぎないでくださいよ。よくあることです」
母「……はい……」 母「ただいまー」
遥「………ただいま」
彼方「あ、おかえり〜」
母「お留守番ご苦労様」
彼方「呼び出しって、何の用だったの?」
母「それが……」
ギュッ…
遥「言わないで………」
母「……」
母「お母さん出す書類間違えちゃったみたい、テヘペロ」
彼方「あードジっ子さんだぁ〜」
母「やっちまったぜ☆」
遥「………」 ────────
────
──
─
遥「し、しつれいします。あの……」
「?」
遥「おね…かなたさんいますか?」」
「かなたちゃん?ちょっとまってて」 >>51
訂正
────────
────
──
─
遥「し、しつれいします。あの……」
「?」
遥「おね…かなたさんいますか?」
「かなたちゃん?ちょっとまってて」 「よんできたよ〜」
彼方「はるかちゃ〜ん!」
「この子がいつも言ってる妹?」
彼方「そうだよぉ〜かぁわいいでしょ〜」
「………似てな……姉貴の方とちがってしっかりしてそ〜」
彼方「あさ起こしてくれるし、代わりに支度してくれるときもあるんだよぉ〜」
「マジ?うち来ない?」
彼方「は?やらんが?」
「じょーだんだよ目怖いな……じゃあねはるかちゃん」
遥「はい、ありがとうございました」
彼方「で、どしたの〜?」
遥「………」
遥「……えと……」
彼方「?」
遥「たいそうぎ、かしてくれないかな……?」
彼方「いいけど……はるかちゃんが忘れものってめずらしいね」
遥「えへへ……うっかりしてたよ」
彼方「今とってくるね〜」
遥「うん、ありがと」
遥「………」 ────────
────
──
─
「………」
「すきですっ!」
「………」
「……おれと」
「………」
「おれとつきあってくださいっ!」
遥「………」
遥「……え……」
遥「……へ……!?!?」
遥「………」
遥「……え、えと」
遥「……その………」
遥「………」
遥「……ご、ごめんなさいっ…………!」 >>45
食べた?上履きを食べたの?この中(近江姉妹)の中で?
「………」
「なんで………なんではるかちゃんなの……っ……うぅ」
「……かわいそうに……なかないで………」
「ちっ……あいつ……!」
「……さいってー」
「びんぼーにんのくせに」
「………ひひっ」
「ねぇ」
「あのびんぼーにんにさぁ、かたきうち、しよーよ♪」
「「「「………!」」」」 ────────
────
──
─
「きりーつ」
「きをつけー」
「れいっ」
「………」スススー…
「「………」」ニヤニヤ
「ちゃくせーき」
遥「……わっ!!」ズトンッッ
「あははははっ!!ちょっとだいじょーぶー?」
「おいどうしたー?」
遥「な、なんでもないですっ」
クスクス……クスクス……
遥「………/////」
「ひひひっ♪」 ────────
────
──
─
「……トイレ入ったよ」
「………」ニタニタ
遥「……ふぅ」
遥「……?」
ジャーーー………ヒヒッ
………スタスタ
………
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
遥「…?」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
バシャアッッ!!
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
遥「きゃあっ!!!?」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
キャハハハッ♪
ブース!
ビンボー! ────────
────
──
─
ガンッッ!
遥「……っ…や……めて……!」
「は?」
「全部自分がわるいんじゃん」
ゴスッ!
遥「うっ……なんで……っ……」
「ひどいよはるかちゃん、わたし……っ…好きだったのに」
「人の好きな人よこどりしやがって…!」
遥「し、してない…!!そんなことしてなっ」
ゲシッッ!
遥「っ!!……っ…」 「さいってー」
「ちょーしのるなよびんぼーにん」
ガンッッ
「ブスのくせに」
ゴツッッッ
遥「げほっ…っ……やめ……ッ……」
「もうにどとちかづかないでよ」
「このブス!」
「………」
「………あ、そうだ」
「今度いいつけたりしたら………お父さんにぼろ家てっきょしてもらおっかな」
遥「………!!!!!」 ────────
────
──
─
遥「……おはよう」
「「「「「「「「「…………………」」」」」」」」」
「………」ヒソヒソ
「……ふふっ……」
「……」ヒソヒソ
「…………」ヒソヒソ
「……えー?………」
「……」ヒソヒソ
「………」ヒソヒソ⠀ ⠀
「……ほんとに?……」
「でね………」ヒソヒソ
遥「………」
『全部自分がわるいんじゃん』『さいってー』『ちょーしのるなよびんぼーにん』『ブスのくせに』『もうにどとちかづかないでよ』『このブス!』 ────────
────
──
─
遥「……」トボトボ
「………」ソロソロ…タッタッタッ
「だぁーーーん!!!」ドンッッッ!
遥「きゃっ!!」ドテッッ
「あはははは!!」タッタッタッ
「あっはははっ!」タッタッタッ
遥「………」
遥「………」
遥「………」スクッ…
遥「………」パッパッ
遥「………」
遥「………」トボトボ 彼方「あ、おかえり………どうしたのそのひざ!?!?」
遥「………」
遥「……えへへ、ころんじゃった」
彼方「ままま、まってて、えっと、えっときゅうきゅう箱……」
彼方「あっちか!!」ドタドタ
彼方「消毒するからよく見せて!」
遥「あはは、大げさだよ」
遥「………」 続き楽しみ
脳が破壊されてるけど再生してくるのを信じてる ────────
────
──
─
「みてみてーおっきいカゲロウ」
「ひひっ、なにそれ」
遥「っ……!」
「おっと、どこいくのぉ?」ガシッ
「きゃははっ」ガシッ
遥「っ!!」
遥「いやっ!!はなしてっっ!!!」
遥「やめてっ!!!!」
ゴッッッ
遥「……うっ……っ」
「うるさいなー」
「ぞうきんある?」
「あるよー、はい」
「これでも食ってなよ」
遥「やめ……もごっ!?」
遥「──!!」 「どこ入れる?」
「背中背中」
「ひひっ!!」
「うーわぁ」
遥「────!!」ジタバタ
ガバッ……ポイッ⠀ ⠀
遥「──!?──!?」ゾワッ…
「いまどのへん?」
「あ、うごいたっ!」
「つぶしてつぶして!」
「うらっ!」ベシッッッ
ベチャッッッ…… ────────
────
──
─
「……あたしのだいじな友だちの好きな人だから、ちかづくなっていったよね」
遥「……に、日直……同じだっただけ」
「っ!!」パァンッッ
遥「…っ……」ヒリヒリ…
遥「…っ……なんで…っ………なんでこんなことっ……」
「うるせっ」ヒュッドンッッ
遥「いっ……っ……!」
遥「やめて……っ…」
「らぁ!びんぼーにんがよ!」ボコッッ
遥「っっ!!げほっ……えほっ……」
遥「うっ………げえ゛ぇ゛」ビチャァ……
「わっ!?」
「……おえー……」
「うわ……」
「………」
「……わぁ」
「きっ……たな」
「いこいこ」
遥「……はあっ……はぁっ……えほえほっ……っ……」
遥「……っ……っ……」ポロポロ
彼方「おやすみぃ………」
遥「……おやすみ」
彼方「……んぅ……すぅ………」
遥「………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」 遥「………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」
遥「………」
遥「………」
遥「…………おねえちゃん、まだおきてる?」
遥「………」
遥「………」
遥「………」
遥「……っ…」ポロポロ
遥「……っ……!」
遥「………」
遥「……っ……っ……」
遥「……もう…っやだよ……っ……」
遥「……っ…おね…っ…ちゃん……っ……」 ほのぼのかと思ったら辛かったでござる
でもこれはいい塩梅の辛さだ…… こういうのフィクションじゃなくて現実にも普通にあるって考えたらマジで子供欲しくねえわ… 荒らしのうえににわかとかこの庭救いようがないな
これでキャラ崩壊がどうとかほざいてたんだからお笑いだ ツッコミ待ちだろ?
Aqoursより早く実装されてたって言ってほしいんだろ? 自分の知らないキャラはオリキャラって言ってそう サスケとか ────────
────
──
─
遥「………」
ベシッッ
「なんか言いなよ」
遥「………」
ガンッッ!
「いつになったらあやまんだよっ!!」
遥「………」
遥「………」
遥「ごめんなさい」
遥「ごめんなさい」
遥「ごめんなさい……ごめんなさい……っ……ごめんなさい……」
遥「ごめ…っ……なさい……ごめんなさい……」
遥「ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさ」
ガツンッッ!!
遥「っ!!えほっ……けほっ」
「そんなんですむとおもってんの?」
ゲシッッ!
「おらっ」ドンッッ!
遥「…」フラッ…バタッ…
「このっ」スッ…
「ねぇ」
「はるかちゃんに」
「何してるの?」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
「あ?だれ?」
「………」
「ねぇだれ?」
⠀
「……」スタスタスタ…
「……?」
「……」タッタッタッタッ
⠀ ⠀
「!!?まっ」
「ッ!!!」ボゴッッッッ!!!!
「ぎゃひっっ」
「ひっ………!!」「!!?」「……っ!?」
遥「…………お……ね…ちゃん…………」 彼方「ッ!!…ッ!!……ッッ!!!」バコッッゴチッッ!ボゴッッ
「え゛っ、う゛っ、やめっ…えげっっ」
彼方「……ねっ…死ねっ……死ねっ……!死ねっっ!!」
彼方「死ねっ!!!っっ死ね゛っ!!!!」
彼方「………ッ!!……ッッ!!!」ガンッッッゴスッッッ
「はひっ…あ゛っ…ごめなしゃ゛あ゛ッッ……ぶへっっ…!もっやめひぇっい゛げっ!?……っあ゛びっっ……っう゛ぇ゛っ…っ………」
「ヒュー………カひっ……っ……」
彼方「…………あと……3匹………」
「……ひっ……や、やだ………」ジリ……ダッッ!
彼方「!待てこの」
遥「おねえちゃんっ!!!!」ガシッッ
彼方「あ、あ、はるかちゃん!!大丈夫!?ごめんねおそくなって!」
彼方「ちょっと待ってて、すぐ終わるから」
遥「もうっ、もういいよ!!やめてよおねえちゃん!!!」
彼方「……ダメだよ、あいつらは」
遥「いいのっ、もうっ……」
遥「おねえちゃん……手が……」
彼方「手?ああ、こんなのへっちゃらだよ〜」
彼方「じゃあ、残りも片して……」
「おい!!!何やってるんだ!!!!?」
「い、一体あなたはどういう教育をなさってるんですか!?!?」
母「………申し訳、ありませんでした」
「まったく!!やっぱり母子家庭なんていうのは「ですが、」
母「まあ、子どものやることですから?寛大な心で許していただけますよね?」
「なっ……何を言ってるのあな「あなたが仰った言葉ですよ」
母「子どものすることに親がとやかく言うのは野暮なんでしょう?」
「先生もお聞きになってましたよね?」
「はぁ……まぁ……」
「!!!うちの娘はねぇ顔を殴られたんで「うちの次女は何度も顔を叩かれ腹を殴られ脚を蹴られたそうですが」
「っ!!」
母「うちの長女があなたのお子さんにしたことはお詫びしました。ですがあなたのお子さんがこれまでうちの次女にしてきたことに対する謝罪はまだ聞けていませんね」
母「子の教育だの母子家庭だの言う前に、あなたはどう言う教育を受けたんですか」
「……!」
「………」
「………」
「………チッ」
「………」
母「………そちらの治療費は全額お支払い致します。娘が紛失した持ち物の弁償も、治療費も結構です。長女には二度とこのようなことが無いようしっかりと言い聞かせます。そのかわり、」
母「あなたも御自分の子どもにきちんとした教育をなさってください」
母「では、私はこれで。先生、ご迷惑をお掛けしました」
「い、いえ……」
母「では、失礼致します」 遥「………あ……」
母「彼方ちゃんは?」
遥「保健室………」
母「そう」
母「さ、今日はもう帰りましょ」
母「荷物は?」
遥「持ってきた、おねえちゃんのも」
母「ありがとう」
遥「……うん………」
遥「………」
遥「………」
遥「おねえちゃんのこと、おこらないで……」
母「………」
母「うーん………そうねぇ………」ナデナデ 母「…………」
母「彼方ちゃん、こっちに来て座りなさい」
彼方「………はい」
母「………」
彼方「………」
彼方「………今日は……かなたちゃんのこと、叩いてもいいよ………」
母「………」
母「………」スッ…
彼方「っ!」ビクッ
母「………」
彼方「っ………」
ポンポンッ
彼方「!!!」
母「遥ちゃんのこと、よく守ってくれたね」
彼方「……え…へへ」 母「で!!次!!!!!」
母「今からお母さん!彼方ちゃんのこと怒るから!!!!」
彼方「えっ!?!?」
母「よく聞きなさい!!!!!」
彼方「えっえっ!!??」
母「まずひとつっ!!!『死ね』なんて言葉絶対使っちゃダメよ!!?!?」
母「絶対人に言っちゃダメよそんな言葉!!!!!」
母「わかった!!??」
母「返事は!!??」
彼方「ひゃ、はいっ!!!」
母「ふたつめっ!!!誰であろうと人を殴ったらダメ!!!!!」
母「誰かを殴って傷つけたら自分も傷つくのよ!!?!?」
母「もし次こんなことで手怪我したらお母さん彼方ちゃんのことブン殴るよ!!!!!」
彼方「えっ……殴ったらダメなんじゃ」
母「返事は!!!?」
彼方「はいっ!!はいっ!!!!」
母「もうしない!!??」
彼方「しませんっ!!!」
母「ほんとに!!!??」
彼方「しませんっ!!!!」
母「………ん、よろしい」
母「じゃあ夕飯の準備手伝って」
彼方「はいっ!」 彼方「へぇ……つかれたぁ………おやすみぃ………」
遥「おやすみ………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」
遥「……ねえ……おねえちゃん」
彼方「ん〜」
遥「ありがとう」
遥「はるかのこと……たすけてくれて」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「……もう、ひとりで泣かないでいいんだからね」
遥「……!!」
遥「うんっ♪」
彼方「ふふ、おやすみぃ」
遥「おやすみ、おねえちゃん」 ────────
────
──
─
彼方「じゃあまた放課後ね」
遥「もー、だいじょうぶだからついてこなくていーの」
彼方「でもぉ」
彼方「……」ギロッ
「ヒッ…」「ヒッ…」「ヒッ…」「」
遥「もー、こわがらせないのっ」
彼方「ごめん……」 「はーい席ついてー」
彼方「………」
「……今日は、やっと欠席ナシね」
「おかえりジャックナイフ」
「1週間ぶり!ジャックナイフ」
彼方「次はお前だ〜」
「うひぃ〜」
「ちょっと男子ーー!」
「シャバの空気はどう?」
彼方「まぁまぁ」
「ちょっと男子ーー!変なこと言わないの!」
「刑法208条受けた?刑法208条」
「ちょっと男子っ!!刑法204条でしょ!!」
「はー暴行罪だろ?」
「傷害罪よ!」
「待って……なんで君たちそんな……法に詳しくなってんのよ……?」
「や、センセ聞いて?俺らマジで近江タイホされると思っててさ、」
「そうっ!かなたちゃん弁護団作ったんですよっ!」
「……はぁ〜」
「バッッカだねぇキミら……」 「あーー!せんせーが生徒のことバカとか言ったぞ!」
「バカじゃん、だって」
「教育委に言っちゃうぞ教育委!」
「先生、教育委より強いし」
「マジで!?最強じゃんっ!」
「おいだまされてんぞ」
「……バッカだねぇ」
「また言ったー!」
「バカじゃん、だって」
「じゃあセンセのことも独身って言う!」
「独身!」「どくしーん!」「独身ー!」「独身っ!」
「はい、次言った奴今日の宿題5倍ね」
「「「「「「……………」」」」」」シーーン…
「……はぁぁぁ…ったくこいつら……」 ────────
────
──
─
母「今日から彼方ちゃんも中学生かぁ」
遥「いいなぁ〜せーふく」
彼方「へへーん、いーでしょー?」
母「写真撮りましょ」
彼方「いぇ〜い」ピース
彼方「ほらほら遥ちゃんも〜」
遥「え?私はいいよ」
彼方「いーからいーからぁ」
母「撮るよー?」
パシャッ! 彼方「………遥ちゃん」
遥「なーに?」
彼方「………」
彼方「学校、大丈夫?」
遥「……うん」
彼方「留年しよっかな」
遥「あはは、ダメだよ?」
彼方「わかってるけどぉ」
遥「だいじょうぶだよ」
遥「なにかあったら、こんどはちゃんというから」
彼方「絶対、だよ?」
遥「うん、約束」
彼方「ふふっ♪」
遥「ふふっ♪」
母「………お母さんにも言ってね………」
遥「わっ!?聞いてたの!?」
母「……ナカマハズレ、オカーサンサミシイナー………」シュン…
遥「わわ、いじけないで……お母さんにもちゃんと言うから……」 ──────
────
──
─
母「……とか言ってたのに」
彼方「うん」
母「彼方ちゃん中学生になったばっかだと思ってたのに」
彼方「うん」
母「もう、遥ちゃん」
彼方「うん」
母「遥ちゃんも」
母「中学生よ中学生」
彼方「うん」
母「はやいわぁ………」
彼方「はやい……」
彼方「……遥ちゃんまだかな」
彼方「ていうか、食べ切れる?」
母「………」
母「無理ね」
彼方「作りすぎた………」
母「いいのよ作り過ぎて。ここで作り過ぎなかったらいつ作り過ぎるの」
母「でも、今月は節約月間になるかしら」
彼方「おぉぅ……」
遥「ただい「おかえり遥ちゃん入学おめでとう〜!!!!」ダキッ
遥「わあっ!!」 ────────
────
──
─
母「東雲学院?」
彼方「うん…………」
母「いいんじゃない?」
彼方「……私立だけど……」
母「………はぁ、なるほどね。なーんか不安そうだと思ったら」
母「お金の心配してたのね。ほら、こっち来なさい」
彼方「………?」
母「ほれほれ〜」フニフニフニ
彼方「……にゃにしてうの」
母「そんなこと心配しなくていーの!」
母「行きたいんでしょ?その学校。お母さん応援するわ!」
彼方「………」
彼方「うん、ありがと」
母「……うーん……東雲学院、どっかで……」
母「………」
母「ああ!……ふふっ」 彼方「(かなり偏差値高いけど……いい高校入って、いい大学行って、バイトして学費稼いで、いいとこ就いて、いっぱい稼いで、それで)」
彼方「(一生かけて、恩返ししなきゃだからね)」
彼方「(私を拾って、受け入れてくれた2人のために)」 ────────
────
──
─
母「彼方ちゃん!」
遥「合格!」
「「おめでとーー!!」」
遥「って!!なんでお姉ちゃん先に料理作っちゃうの!?」
彼方「えー、だってどうせ2人とも祝ってくれるし」
彼方「なら彼方ちゃんもおもてなししないと〜」
母「今日くらい良いのに……」
遥「ほんとだよ!」
彼方「まあまあ怒らないで食べて食べて〜」
遥「もー、まったくお姉ちゃんは……うまっ」
母「ふふっ、でも本当におめでとう!彼方ちゃん!」
彼方「うん。ありがとう、お母さん」 ────────
────
──
─
遥「〜〜♪」
彼方「お、何見てるの〜?」
遥「スクールアイドル!」
彼方「ふふっ、遥ちゃん好きだねぇ」
『今日の特集はスクールアイドル!歌って踊れる女子高生たちの魅力を徹底解明!さらに最新情報も!』
『〜〜〜♪〜〜〜!!』
遥「〜♪……やっぱり良いなぁ……」
遥「……お姉ちゃん?」
彼方「……へぇ…………」
遥「………」
遥「ねえ、お姉ちゃん」
遥「スクールアイドルのライブ、観に行かない?」 ────────
────
──
─
「本日はー!!本当にーー!!」
「「「ありがとうございましたーー!!!」」」
「きゃーー!!」「おーー!!」「ありがとーー!!」「わーー!!」「さいこーーーー!!!」「かわいかったーー!!」「うおぉぉぉぉお!!!!!」
⠀ ⠀
遥「楽しかったーーー!!!ありがとーーー!!!」
遥「どう!?どうだった!?お姉ちゃん!!」
彼方「すごい……」
彼方「すごいすごいすごい!!!」
彼方「彼方ちゃん、ジーンってきたっ!!!元気バァ〜っ!!って出てきた〜!!」
遥「ふふ、そっか!」
遥「私も!!」 彼方「スクールアイドルかぁ……」
遥「お姉ちゃん、スクールアイドルやれば?」
遥「っていうかやってみない!?」
遥「お姉ちゃんの学校スクールアイドル部あるんだよ!!」
彼方「……知ってるよ……遥ちゃんが言ってたもん……」
遥「ねえ、どうかな?」
彼方「……か、彼方ちゃんはいいよ……遥ちゃんみたいに可愛くないもん」
遥「可愛いよっ!!」ガバッ
彼方「わわっ!?」
遥「スタイルもいいし!絶対映える!!」
遥「それに、お姉ちゃんがステージ歌うところみてみたい!!」
彼方「で、でも……彼方ちゃんあんな風にビシバシキレキレに動けないよ……」
遥「……うーん、じゃあゆるふわ路線でいけばいいよ!そういうタイプあんまりいないし!」
彼方「あんまりいないなら需要もないのでは……」
遥「お姉ちゃんが市場開拓すればいいんだよっ」
彼方「市場て……」
彼方「……」
彼方「じゃあ、彼方ちゃんがやるなら遥ちゃんもやるってことだよね?」
遥「えっ……」
彼方「やりたいんでしょ?わかるよ〜」 遥「………私は」
遥「………」
『ブスのくせに』
遥「………」
遥「……私は」
遥「いいよ……」
彼方「え〜どうして?ずっとスクールアイドル好きだったのに。それにとっても可愛いのにもったいな「可愛くないよ」
彼方「…………遥、ちゃん……?」
遥「私は、お姉ちゃんの応援するよ」
彼方「ほんとに、やらないの?」
遥「……うん」
遥「それに今は中学生だからね!吹奏楽も頑張らなきゃだし!」
遥「だからお姉ちゃん、私のことはいいから、やってみなよっ!」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「んーー、そうだねぇ……」 ────────
────
──
─
遥「ほんと!?」
彼方「うん、今日入部してきた」
遥「すごいすごいっ!」
遥「お姉ちゃんがスクールアイドル……!」
遥「御馳走作らなきゃっ!!」
彼方「待って待って彼方ちゃんが作るから」
遥「え〜?」
彼方「いいからいいから、洗濯物まだ干してたでしょ」
遥「あ、そうだった」タタッ 彼方「歌と踊りで元気に、か……」
彼方「ふっ、前にもあったかなぁ、そんなこと」
彼方「………」
彼方「さて、」
彼方「………」
彼方「……こっからだぞ、近江彼方」 ────────
────
──
─
彼方「お願いします……!」
「…………」
「…………」
「…………」
「頭をあげてください、彼方さん」
「そうそう、そういうことなら喜んで協力するって♪」
彼方「……ありがとう…!」
「でも、やるからには厳しくいくよ!」
「一緒にランニング、頑張りましょう!」
「覚悟はいい?」
彼方「もちろん!」 ────────
────
──
─
遥「……ふぁぁ……お姉ちゃんまだ寝ないの?」
彼方「うん、もうちょっと」カキカキ
彼方「部屋の電気、消していいから」
遥「わかった」
遥「お姉ちゃんも早く休んでね」
彼方「うん、おやすみ」
遥「おやすみ……」
彼方「………」カキカキ
彼方「………」
彼方「………」
彼方「………」ウト…
彼方「……」
彼方「…」
彼方「」
彼方「…っ!」
彼方「………はぁ」
彼方「……よし……」
彼方「(次の期末も上位獲っとかないと……)」
彼方「(もう一踏ん張り……!)」カキカキ ────────
────
──
─
「手!そこもうちょい上!」
彼方「こう?」
「そう!もう一回!」
「1!2!3!4!」
「キレが落ちてるよー!!」
彼方「っ!!」タッタッタタンッ
「そこの脚ちょっと遅いよー!」
「もう一回!」 ────────
────
──
─
彼方「はぁっ…はっ…はっ…はっ…」タッタッタッタッ
「はっ…はっ…はっ…はっ…」タッタッタッタッ
「少し、速度上げますね」タッタッタッタッ
彼方「うんっ……っ…はっ…はっ…はっ…はっ…」タッタッタッタッ
⠀ ⠀
「はっ…はぁっ………後5周です、頑張りましょう!」タッタッタッタッ
彼方「……うん……っ…はぁっ…はぁっ…」タッタッタッタッ ────────
────
──
─
遥「……んはよぉ…………んっ……んん〜」
遥「あれ………」
彼方「すぅ………すぅ…………」
遥「もう、机で寝ちゃダメって言ってるのに……」ファサ…
彼方「………ん…………すぅ………」
遥「………」
遥「あんまり、無理しないでね………」 ────────
────
──
─
彼方「遥ちゃん、これ」
遥「?これは?」
彼方「へへへ、招待状」
遥「招待状?」
彼方「彼方ちゃんたち、ライブやるんだ〜」
遥「ほんと!?」
彼方「うん!」
彼方「遥ちゃんに、絶対みて欲しくて」
遥「みるみる!絶対行くよっ!」
彼方「楽しみにしててね〜」
遥「うんっ!!!」
遥「わぁ……!お姉ちゃんたちのライブ……!!」 ────────
────
──
─
遥「(ついにきちゃった……!)」
遥「………」キョロキョロ
遥「………」
遥「………あれ?」
遥「(時間、間違えちゃったかな。それとも場所が……)」
遥「(ううん、間違ってないはず。何回も確認したもん)」
遥「……?」
「遥さーん!!」
「ようこそお越し頂きましたっ♪」
遥「えっ!?!?」 彼方「やっほー遥ちゃん♪」
遥「え、え……どういうこと………」
彼方「このステージはぁ、遥ちゃんだけがみられる夢のステージなんだよ〜♪」
遥「私………だけ………?」
彼方「うんっ、今日は楽しんでいってね〜!!」 遥「よ……よくわからないけどすごい………」
遥「よくわからないけどっ!!」
遥「おねーちゃーーん!!!」
彼方「うお〜〜熱い声援ありがとぉ〜〜!」
彼方「それじゃあ早速始めようっ!」 「〜〜〜〜〜♪」
「〜〜〜〜〜♪っ!」
彼方「〜〜〜〜〜♪♪」
遥「(お姉ちゃんがセンター………入部したばっかりなはずなのに)」
遥「(ううん、それよりも……)」
彼方「〜〜〜〜〜♪」シュタックルッ
遥「(お姉ちゃんのダンス……歌………)」
遥「かっこいい………!!!」
彼方「!」
彼方「〜〜〜〜〜♪」ウィンク
彼方「♡」ニコッ
遥「っ!!」ドキッ
遥「(か、か、)」
遥「(かわいい!!!)」
「はぁっ……はぁっ……」
「はぁっ……ふふっ……」
彼方「はぁっ………はぁっ……」
「「「ありがとうございましたーーーー!!!!!」」」
遥「………」
彼方「………あれ……?」
「どうしたんでしょう……?」
「お、おーい?」
遥「………」ポロポロ
「「「!?!?!?」」」 遥「あっ……ごめんなさい……」ポロポロ
遥「……スゥ」
遥「さいっっっっこーーーーーっ!!!!!」パチパチパチパチ
彼方「………よかったぁ…………」
「ほっ…」
彼方「……じゃあ、ちょっと行ってくるね」
「いってらっしゃい!」 彼方「遥ちゃん」
遥「お姉ちゃん!!すごかった!!!すっごくかっこよかった!!!」
彼方「えへへ、ありがとぉ」
彼方「………」
遥「……?」
彼方「……遥ちゃん」
彼方「遥ちゃんは、スクールアイドル、やらない?」
遥「……え……」
遥「………」
遥「………うん……」
彼方「どうして?」
遥「………」
遥「………私は……お姉ちゃんみたいには、出来ないよ……」
彼方「お姉ちゃんみたいに、って?」
遥「あんな風に……可愛く踊って……」
彼方「できるよっ」
彼方「遥ちゃんにもできる!」
遥「………」
彼方「だって、こんな彼方ちゃんにだってできたんだからさ」
彼方「遥ちゃんは誰の妹だ?」
遥「……お姉ちゃん……」
彼方「そうだよ〜、彼方ちゃんの妹」
彼方「こうやって彼方ちゃんに出来たんだから、妹の遥ちゃんもできるはずだよ?」
遥「でも………私………可愛くな」
彼方「可愛いに決まってるよっ!!」 彼方「……ほら、お顔よく見せて?」
遥「……」
彼方「彼方ちゃんが今まで、ずっとずっとずぅーっと遥ちゃんのこと可愛い!って言ってたの、」
彼方「全部嘘だと思う?」
遥「………」
遥「…………ううん」
彼方「うん、そう。全部ほんとだよ」
彼方「お姉ちゃんのこと、信じて」
遥「………」
遥「………」
遥「……できる、かな」
彼方「ふふふっ、最初から言ってるでしょ?」
彼方「できるよっ!」
彼方「だって遥ちゃんとっても可愛いんだもんっ!」
遥「……うんっ」
遥「じゃあ、ひとつお願い」
彼方「お?なにかな〜」
遥「お姉ちゃんと一緒にやりたい」
彼方「!!」
彼方「もちろんいいよ!!!」
彼方「……待ってるね」
遥「うん、待ってて」 ────────
────
──
─
母「………はぁ………」
彼方「お母さん?」
母「あ、ああ、彼方ちゃん……どうしたの?」
彼方「それ家計簿?」
母「!!……だめよ勝手に見ちゃ、お母さんの秘密ノートなんだから」
彼方「えー?ちょっとくらい見せてよ〜」
母「だめよ。会社帰りに買ってたお菓子とかも書いてるから。2人に怒られちゃう」
彼方「そんなことまで書いてんの……?」
母「そうよ!だから見ちゃだめよ!」
彼方「ふふっ、わかったよ」
彼方「……お母さん、ちょっと疲れてるみたい」
母「そう?そんなことないよ」
彼方「………やっぱり、特待生でも厳しい?」
母「!!」 母「そんなことないわ。すっごく助かってる」
母「彼方ちゃんは学費のことなんて心配しなくていーの」
彼方「でも……」
母「大丈夫、遥ちゃんも同じ高校通えるようにするから、ね?」
彼方「………」
彼方「……うん……」
彼方「(私の高校受験のときは心配しなくていいって言ってたけど、やっぱり無理してたんだ)」
彼方「………」
彼方「(時間がない……大学なんていってる場合じゃない……)」
彼方「(そうなると今の高校じゃダメだ)」
彼方「(学費も抑えて……高卒でも就職先が恵まれてるところ……)」
彼方「(……どこか……どこか……)」 ────────
────
──
─
母「……転入?またどうして……」
彼方「ここ!虹ヶ咲ってとこ、聞いたことあるでしょ?」
彼方「ここなら特待生の枠多めにとってるから、他のとこより特待生になりやすいし」
彼方「そうなれば学費も通学費も今の高校より優遇してもらえるんだよ」
彼方「それにね、高校だけど大手の就職先も内定取りやすいんだって、だから」
母「ちょっと待って、彼方ちゃん」
母「転入ってそれが理由?」
彼方「うん、だって……」
母「またお金のこと気にして……心配ないって言ってるでしょ?」
彼方「……」
彼方「心配ないわけ、ない……」 彼方「お金のことも、お母さんも、遥ちゃんも心配なの!」
彼方「できるだけ早く2人の力にならなきゃいけないから……」
母「……今だって彼方ちゃんは十分力になってくれてるわよ?」
彼方「違う、まだ全然足りない」
彼方「私がこれからももっと頑張らなきゃいけないの」
彼方「お母さんが私を引き取ったから、それでお金が足りなくなって、私がいたから、私が原因だから、だから私が」
母「彼方っ!!!」
彼方「っ!」
母「………」
母「………そんなこと考えてたのね………」
母「自分が原因で、なんて……そんなこと言わないで?」
母「大丈夫、あなたのせいじゃない」
母「なにも背負わなくていい」
母「私や遥ちゃんのことを大切に想ってくれてるのは嬉しいけど、そのことに縛られないで」
母「あなたは、あなたの道を歩けばいいの」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「……お母さん…………」
母「やりたいことをやれば良いわ、彼方ちゃんならきっとうまくいく」
母「だって、私の自慢の娘なんだから、ね♪」
彼方「………うん」 ────────
────
──
─
母「………え……本当ですか……!?」
母「そんなっ………なんで急に………」
母「………はい、はい………親類の家を手当たり次第、というわけですか………」
母「……はい……」
母「わかりました、ありがとうございます」
母「はい、そうですね……目的もわからないので、気を付けておきます」
母「はい、ではまた」
母「………」
母「………」
母「………」
母「……まさか………」 ────────
────
──
─
「じゃあまた明日!」
「ごきげんよう!」
彼方「またね〜」
彼方「………」テクテク
彼方「………」
彼方「………」
彼方「………ふふふ」
彼方「ふっふっふっ」
彼方「(やたぁ〜〜!とりあえず特待生継続〜〜〜!!!)」
彼方「(今日の夕飯は〜なーににしよっかなぁ〜〜♪)」
彼方「ふふふっ♪」
「みつけたー♪」 彼方「たっだいまぁ〜」
彼方「……まだ帰ってないか」
彼方「(よーし夕飯の準備だ〜)」
彼方「〜〜♪」トントントントン
彼方「(そろそろ千切りの速度もお母さんに追いつけるかな)」
ピンポーン♪
彼方「?」
彼方「はーい」
彼方「(誰だろ)」
ガチャッ… 彼方「はぁいお待たせし…ま……」
彼方「………」
彼方「………!」
彼方「……!!!」
彼方「……っ……なっ……」
彼方「……っ…」
彼方「……なんで……………」
「ひさしぶりー」 彼方「………」
「?なによー緊張してんのー?」
彼方「……何のっ……用ですか……」
「何の、って……決まってるでしょー?」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「………嫌、です……」
「やっぱり何の用かわかってんじゃーん」
「親子一緒に暮らそうよー」
彼方「……私の……今の親は……っ…あなたじゃない………」
「でも元の親はあたしでしょ?」
彼方「……帰ってください………お願いします……」
「………」
「………ふー……」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
「お金、必要じゃないの?」
彼方「……!」 「ふふ、にしてもいい顔に育ったね」
「それに、カラダも♪」
「さっすが私の娘〜」
「ね、うちの店来なよ。最近じゃ羽振りのいい客もかなり増えてきたんだよ」
「そうだなー……あんたなら半年も場数踏めば………」
「月80万くらいはいけるんじゃないかなー」
彼方「……80………!?」
「どう?ほら、えっと……名前なんだったかなー……あっそうそう、遥ちゃん、だっけ?」
「そろそろ高校でしょ?公立?もしかして私立?」
「お金かかるでしょ?」
「それに借金は?もう返せたの?」
彼方「………」
彼方「……借金………?」
「あれ、聞いてないんだ、旦那の借金のこと」
彼方「………」
「もしかして片親になった理由も知らない?」
「女作ってさー、そいつの借金肩代わりした後そのまま押し付けて蒸発したんだよ」
「大変だねー、その上さらに子どもひとり引き取ってさー」
「今度聞いてみなよ、借金全部返せたかって……あ、家計簿とかない?あいつ真面目だからつけてるでしょ」
彼方「家計簿……」
「やっぱりあるんだ、見てみ?」 「なるほどねー」ペラッ…
「ふーん、去年やっと返しきったのか」
「てか今までの分全部取っとくとかホント真面目だなー」
「でも、おかげで面白いことわかったね」
彼方「………」
彼方「(……私を引き取る前に、完済の目処がついてたんだ)」
彼方「(でも、私を引き取った後……返済用のお金と同じ額が積立金に移動してる)」
彼方「(私の教育費………元は借金を返すためのお金だったんだ………)」
彼方「(私を引き取らなかったら、とっくに借金はなかったんだ……)」
彼方「(やっぱり私を引き取ったから……いつもお母さんはお金のやりくりに悩んで……)」
彼方「(私を引き取らなかったら……もっとお金に余裕ができて、お母さんも楽できたのかもしれない)」
彼方「(そしたら……遥ちゃんはあの時……いじめられなかったかもしれない……)」
彼方「(私がいなければ……嫌な思いも、痛い思いも、しなくて済んでたのかもしれない……)」
彼方「(………私が、いなければ………)」 「あんた、この家の負担なんだよ」
「このまま負担になるか、それともうちで稼いで力になるか、選びな」
「もうその歳ならわかるでしょ?」
「……来週迎えに来るから、必要なものはまとめておいて」
「まー自分で稼げるようになれば好きなもの買えるし、なにも持って来なくてもいいけどね」
「じゃ、そういうことだから」
彼方「………」 「じゃーねー………おっと」
母「………!!!!!」
母「………なに、してるの姉さん……!!」
「ひさしぶりー」
母「今までどこにいたのっ!?!?」
「どこだっていーじゃん」
母「なにしにきたの!??」
「ん、娘を迎えに」
母「……彼方を……?」
母「させない、そんなことさせないわっ!!!」
「それは、本人が決めることだよ」
「ねー?」
彼方「………」
母「彼方ちゃん……?」
「じゃーまた来週♪」
母「っ!!待って!!!」
母「………」
母「………」
母「……なんで今さら…………」
彼方「…………」 母「彼方ちゃん、何話したの?」
彼方「………別に」
母「何言われても耳貸さなくていいからね」
彼方「……うん」
母「大丈夫、絶対渡したりしないから」
彼方「……うん」
彼方「(やっと、ちゃんと役に立てる時が来たのかな)」
彼方「(うん、きっとそうだよ)」
彼方「(高校卒業資格くらいは、って思ってたけど、必要ないなら別にいいや)」
彼方「(思ってたのとは違うけど、再来年には就職して働くつもりだったし、予定が1年早くなるだけ………それだけ)」 彼方「………」
遥「………」
遥「……お母さんから聞いたよ」
彼方「………そっか」
遥「………」
遥「……どこにも……いかないよね……?」
彼方「………」
彼方「………うん」
遥「………」
遥「ほんとに……ほんとにいなくなったりしない、よね……?」
彼方「……遥ちゃんが心配することなんて、なーんにもないよ」
彼方「大丈夫大丈夫」
彼方「そんな不安そうな顔しないで?」
遥「でも……」
彼方「ふふっ」ナデナデ
彼方「さ、そろそろご飯の準備しなきゃ。待っててね〜遥ちゃん」
遥「あ……」
遥「お姉ちゃん……」 ────────
────
──
─
遥「ただいまー」
「ありゃ、帰ってきちゃったかー」
遥「っ!?」
遥「………なんで……1週間後って……」
「それだとうるさいのが待ち構えてそーじゃん?」
遥「っ!!」
「さ、いこうか。準備できてるっしょー?」
彼方「………」
遥「………」ズイッ…
「……何?」
遥「お…お姉ちゃんは……渡しません……!」 「………」
「そいつが行きたがってるんだからいかせてやんなよ?妹ちゃん?」
遥「そんなはずないですっ!」
遥「どうして、どうして今になって連れ戻しにきたんですか!?」
遥「あなたになんの権利があって……お姉ちゃんを渡さなくちゃいけないんですか……!」
「権利……ねぇ、そりゃーあるでしょ」
「あたしの娘だからね」
遥「違うっ!!今はもう違いますっ!」
遥「帰ってください……!」
遥「帰ってっ!!!」
「……」
彼方「………」
遥「………?」
彼方「もういいよ、遥ちゃん」
遥「……え」 彼方「………」
遥「……お姉…ちゃん……?」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「……遥ちゃん……いつか、うちは貧乏なのかって聞いたこと、あったよね」
遥「……え?」
彼方「………そのせいで、いやな思いしたよね」
彼方「………」
彼方「…………ごめんね……」
遥「……なんで……お姉ちゃんが謝るの……?」
彼方「………私が知らなかっただけかもしれないけど、うちには借金があったんだ」
彼方「それを返すためのお金、私に使わなければもうとっくの昔に返せてたの」
彼方「そうなってたら、遥ちゃんが傷つくこともなかった」
遥「違う……!お姉ちゃんのせいなんかじゃないよ……!!」
彼方「……だから、ごめんね」
遥「……待ってよ………」
彼方「でも、これから2人がもーっと幸せに暮らせるように、彼方ちゃん、頑張ってくるから♪」
彼方「……ごめんね、さよなら」
彼方「ありがとう、遥ちゃん」 遥「………」
遥「………」
遥「………」
遥「………お姉ちゃん……」
遥「……っ…お姉ちゃんの……」
遥「お姉ちゃんのバカッッッ!!!!!」
彼方「っ!?」
遥「………」
遥「………」
遥「……あのときは」
遥「……痛かったよ……っ…苦しかったよ……いやだったよ……」
彼方「………」
遥「………」
遥「……でも、」
遥「お姉ちゃんがいないほうが!!もっといやだっ!!!!!」
彼方「……!!」
遥「だからっ!!お姉ちゃんは行かせないっ!渡さないっ!!!」
遥「……今度は……私がお姉ちゃんを守るんだ……!」 「……またお姉ちゃんに守って貰えばいいじゃない」
「お姉ちゃんもそうしたいでしょ?」
「かわいい『妹』のためにも、ほら、おいでよ」
「あんたらの『お母さん』の助けにもなるし、ね?」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「……」
彼方「……私、は……」
遥「お姉ちゃん、大丈夫だよ」
遥「ここにいていいんだよ」
彼方「………」
遥「家族でしょ?」
彼方「!!!」
『おなじいえにすんでたら、かぞくなんだって』
遥「ね?」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「ふふっ」
彼方「うん、そうだったね」
遥「!!……お姉ちゃん……!」 「あんたの家族は私でしょー?」
「ほらいくよ、まだこの家に迷惑かけたいの?」
彼方「………」
彼方「………」
彼方「行か、ない……」
「……………何?」
彼方「行かない……!」
遥「もう、私たちに関わらないでください」
遥「私の姉に、二度と近づかないでくださいっ……!!」
「………」
「………」
「………チッ」
「あーあ、絶対うちの看板張れると思ったのになー、せっかく思い出してこうやって迎えにきたのに」
「わかったよ」
「連絡先おいとくから、気が向いたらいつでも言ってねー」
「……でも勿体無いなー、なんなら遥ちゃんでもいいよー?」
「んー、その見た目じゃちょっと歳誤魔化しづらいかもしれないけどまぁ、そういうの好きな連中もいるしね♪」ジロジロ
彼方「……!」ギロッ
「はぁー、はいはいもう帰るよ」
「そんじゃ、またねー」 遥「………」
彼方「………」
遥「………」
彼方「………」
遥「………はぁ……」ヨロヨロ…ヘタリ…
彼方「遥ちゃん!?」
遥「……っ……っ…ひっ……」ポロポロ
遥「…っ…おね…ちゃんの……っ…ばかぁぁ…!!」ギュッ…
彼方「ごめんね……っ…ごめんね……っ…」ギュゥウ
遥「うぇぇん……っ……お姉ちゃぁん…っ……!」
彼方「ごめんね……っ……ごめんね……っ…」ポロポロ
遥「……っぐす……っ……」
彼方「……遥ちゃん……守ってくれて、ありがとうね」
遥「……っ…!」
遥「うん……っ……うん…っ…!」ニコッ ────────
────
──
─
彼方「……やっぱり、転入したい」
母「………」
母「やっぱりあの時何か言われたの?気にしないでいいのよ?」
彼方「ううん、そうじゃないよ」
彼方「自分で考えて、決めたの」
母「………そう……」
彼方「………前みたいに、反対しないの?」
母「………」
母「………そうね……」
母「………」
母「……本当は、彼方ちゃんがそう言ってくれて、少し嬉しいのかもね……」
母「ごめんね、情けないお母さんで……」
彼方「そんなこと言わないで。ずっとずっと、お母さんには感謝してるんだから」
母「……彼方ちゃんは、本当にそれでいいの?」
彼方「うん。私は、お母さんと遥ちゃんが1番大切だから」
彼方「2人のためにできることがあるなら、そうしたい」
彼方「それが、私のやりたいことだから」
彼方「それに、彼方ちゃんはお姉ちゃんだもん、ね♪」
母「………」
母「………遥ちゃんには、もう話したの?」
彼方「……まだ」
彼方「でも大丈夫、ちゃんと言うから」 遥「転入……?」
彼方「うん」
遥「どうして……」
遥「!………もしかして、学費のこと?」
遥「なら今からでも私が「ダメだよ遥ちゃん」
彼方「ずっと行きたかった高校でしょ?そのために遥ちゃんずっと勉強頑張ってきたんだから」
遥「でも!!」
彼方「いいの。遥ちゃんは気にしなくていいよ」
彼方「これは、彼方ちゃんのわがままだから」
遥「でも………」
遥「………」
遥「………」
遥「……待ってるって………言ってくれたのに………」
彼方「!」
彼方「………ごめんね……」
遥「………」
遥「……もう、決めたんだね」
彼方「……うん」
遥「………」
遥「………」
遥「じゃあ、私のわがままも……聞いてくれる?」
彼方「……ん、なーに?」
遥「………」
遥「あのね、お姉ちゃん──────────」
────────
────
──
─
彼方「………ここか」
彼方「……」
「……あ、あの」
「スクールアイドル同好会の方でしょうか……?説明会ってこの教室で合ってますか?」
彼方「え?いや……ちょぉっと来てみただけというか……」
「あっ!入部希望ですか!私と同じですね♪」
彼方「(聞いてない……)」
「私、この同好会に入るために編入してきたんです」
「そういう方、他にもいるって聞いてるんですけど、もしかして……」
彼方「えっ、えと………」
「………!」キラキラ
彼方「うっ………」
彼方「………そういうことにしとこうかなぁ」
「やっぱり!」 「………あ!こんにちは〜」ズイッ
「へ!?わっ、えっと……ハ、ハロー……?」
「ふふっ、日本語わかるよ」
「2人はスクールアイドル同好会の人?」
「いえ、まだです。これから入部しようと思ってまして」
「ほんと!?私もなの〜!」
ガララッ…
「………」ジトーーー
「あ、あの!私、私たち」
「ちょっと待って!!!」
「えっ」
バタンッッ
彼方「……?」「……?」「……?」 ────────────────────────
「たたたたいへんです!!!!」
「入部希望者来てくれましたよっ!!」
「本当ですか!!!」
「しかも3人!」「3人!?!?」
「………新たなる仲間……!これで5人……!」
「5人といえば………ふふふっ」
「まずは私が赤で……あと青、黄色は定番ですね……そして緑……と、黒?ピンク?いやここはあえて紫「資料とかもう全部そろってましたよね!?」
「あ、はい!用意してありますっ、50部ほど!」
「そんなに!?」
「よーっし!今日は思う存分スクールアイドルが大好きという気持ちを語り合い「とにかくっ!準備できてるならはやく呼んできてくださいっ!!」
「は、はいっ!」
────────────────────────
彼方「なんか……ずいぶんと賑やかだね……」
「あはは………」
ガララッ‼
「あぁ…良かったまだいた……」
「さぁ!どうぞっ!!」
「し、失礼しますっ」
「しつれいしまーす!」
彼方「お邪魔しま〜す」 「お待たせしてしまい申し訳ありませんっ……」
「せつ菜先輩がはしゃぐからですよぉ……」
「………う、すみません……」
「………くひひ、でもこれでかすみんの子分が3人です……♪」
「……かすみさん?」
「うぇ!?い、いえなんでもっ」
「では改めまして」「はいっ」
「「ようこそ!!スクールアイドル同好会へ!!!」」 乙です!!!彼方ちゃんの中学校の同級生いい奴!
すごく面白かったです!! 更新一日空けたの性格悪いわー
そのせいで昨日の夜から今日一日なんともいえない気分だったぞ 素晴らしSSだったわ乙乙
彼方ちゃん幸せになってくれ… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています