絵里「ただ、ありふれた夜」 花陽「第三夜、です」
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絵里「・・・じゃあ、お先です」
「お疲れー、ごめんねわざわざ土曜に来て貰っちゃって」
絵里「いえ、仕事ですし」
「ふふ、絵里ちゃんは硬いなぁ。お酒とか飲むの?」
絵里「ええまあ、人並みには」
「そっか、たまにはしっかり羽伸ばしてね」
絵里「有難うございます、また」
「お疲れ様ー」 絵里「19時か・・・」
ちょっとした仕事を終わらせるつもりが、予想より手こずると何故か損をした気分になる
時は夜、街は騒ぎ出す、そう思える人の多さ
絵里「・・・時間も時間だし、ご飯食べに行こう」 何て事の無い、何の変哲もないただの日常
だから特に気取る気も、そんな必要も無い今の自分にぴったりな食事・・・
絵里「お腹、満たす為だけの、ね」
ガラッ
イラッシャーセー
絵里「1人です・・・ん?」
?「すいません、お代わりお願いします」
アリアトヤース
絵里「・・・花陽?」
花陽「んぐっ!?絵里ちゃん!?」
・・・最近こんなのばかりね? https://youtu.be/AVn29iINdy4
絵里「・・・じゃあ、サバの味噌煮御膳を」
アリアトヤース
花陽「絵里ちゃん、中々渋いね」
小泉花陽
海未と同じで、私たちは盟友、いや戦友?
この子達のお陰で私はあの1年、とても濃密だった 絵里「まあ、お腹に入れば何でも・・・」
花陽「むっ、白米好きを前にしてそんな事言うんですか」
絵里「・・・あははっ、ごめんごめん」
そう、花陽の前だと私は
あの時の様に、自然に笑える
じりじりと、咲くのを今か今かと待つ、花のように 花陽「お仕事、大変なの?」
絵里「え?まあ、そうかしら」
花陽「凛ちゃんもそうだったんだ、一時期お仕事が大変過ぎて、何を食べるのにも無感情で・・・」
絵里「似たような物、なのかしらね?」
花陽「きっとそうだよ!だから休める時に、思いっきり休んでね!私も凛ちゃんもそうしてるから」
絵里「・・・ええ、そうするわ」 「お待たせしましたーサバの味噌煮御膳でーす」
絵里「ありがとうございます」
花陽「・・・!!」キラキラ
絵里「・・・ふふっ、もうそんな目で見て・・・1口食べる?」
花陽「是非ともっ!」
絵里「ふふっ、はいどうぞ」クスクス
久方振りに、思い出した
笑顔とは、特に自然に綻ぶ笑いとは
かくも心が洗われるものだったのかと 花陽「いやあ、美味しかったです!」
絵里「もう、ご飯粒付いてるわよ」
花陽「はっ!お恥ずかしい所を・・・」パク
絵里「あはは・・・」
ああ、心地良い
花陽の笑顔に、日々の疲れはどこへやら
今日は良い眠りにつけそう・・・ 花陽「・・・」ジーッ
絵里「・・・え?どうしたの?」
・・・もしかして、余計な事に勘づかれた?
花陽「絵里ちゃん、この後どうするの?」
絵里「え?そ、そうね・・・」チラッ
腕時計は、もうすぐ20時を差すところだった
まあ確かに、このまま直帰するのは少しばかり忍びない・・・
絵里「・・・馴染みの店にでも行こうかなって」
花陽「私もついてっていいですか?」
絵里「え?あ、うん、良いわよ?」
花陽「折角会った縁です!今日は絵里ちゃんの日々の疲れを癒します!」
絵里「・・・」 ほら、やっぱり
余計な事に首突っ込まなくてもいいのに
私の疲れなんか、微々たるもの
花陽「・・・鯖の、お礼です」
花陽「ダメ、ですか?」
その目はズルいわ・・・
絵里「・・・そう、じゃあお願いしようかしら?」
花陽「はいっ!」
ごめんね、花陽
私なんかに、付き合わせて・・・ https://youtu.be/5lrSdW8p4u4
〜BAR Nine〜
カランカラン・・・
ダイヤ「いらっしゃいませ・・・絵里さん」
絵里「今晩は、今日は友達を連れて来たわ」
花陽「ほえー・・・お洒落なお店・・・」
ダイヤ「ふふ、ありがとうございます、当店のマスターです」
花陽「こ、小泉花陽です!お世話になります!」
絵里「そんな固まらないの、ね?ダイヤさん」
ダイヤ「ええ、肩肘張らずに、ゆっくりなさって下さい」
花陽「は、はい!」
絵里「・・・さてと、何を貰おうかしら」
花陽「メニュー、ありますか?」
ダイヤ「勿論ですわ、どうぞ」
花陽「わあ・・・いっぱいあるなぁ・・・」
絵里「花陽はお酒、大丈夫なの?」
花陽「うん、仕事柄よく飲むし」
絵里「そう・・・さしずめ日本酒好きって所でしょ?」
花陽「えへへ、その通りです」
絵里「やっぱりね・・・あ、私はマティーニを」
花陽「私は・・・テキーラサンライズを下さい」
絵里「最初から飛ばすわね?」
花陽「そう?結構飲みやすくて好きなんだ」
ダイヤ「かしこまりましたわ」 絵里「へえ、ダイヤさんの所はシャンパングラスなのね?」
ダイヤ「はい、細長いタンブラーグラスの所もありますが、私のお店ではこれで・・・」シャッ
少しだけ、ほんの少しだけいじわるで、作ってる途中に話しかけてみた
結果はお察し、1ミリも心動かさず、さも当然の様に手際良く、メジャーカップを切っている
ダイヤ「・・・」ピッ
花陽「わあ、かっこいいなぁ」 ダイヤ「あ、ありがとうございますわ///」コロッ
ダイヤ「あらら」サッ
・・・私の意地悪より、花陽の素直な賞賛に焦ってしまっている・・・
絵里「・・・なんか意外ね」
ダイヤ「・・・///」
花陽「?」 絵里「しかし・・・」
何度見ても、テキーラサンライズは良い物ね
オレンジジュースで満たされたシャンパングラスに
寸分狂わずあてがわれたバースプーンに
真っ赤な、グレナデンシロップが伝っていく
外は夜、しかし今この場だけは、"日の出"
花陽「うんうん、いつ見ても綺麗ですよね・・・」
絵里「・・・」
確かに綺麗だ
しかし今、私の目にカクテルは映っていない
花陽の少し上気した、まだほんのり暖かい頬に
ダイヤ「お待たせ致しました、テキーラサンライズです」
私は1人、日の出を感じていた 花陽「じゃあ、出揃いましたので・・・」スッ
絵里「ええ」スッ
えりぱな「「乾杯」」
絵里「・・・んっ」ゴクッ
花陽「ごくっ」
絵里「・・・流石ね、マスター」
ダイヤ「恐れ入ります」
花陽「飲みやすい・・・美味しいです!」
ダイヤ「ありがとうございますわ」
花陽「それに、何だかレモンの風味がする様な・・・?」
ダイヤ「アレンジという程では無いですが、これを使いましたわ」
花陽「これは・・・レモンの欠片?」
絵里「レモンピールね、同じ柑橘系だし、合わない訳が無いわね」
ダイヤ「元来テキーラサンライズは甘めですし、香り付けも兼ねて、ですわ」
花陽「素晴らしいお心遣い・・・おいし♡」ゴクッ ダイヤ「・・・ここにいらっしゃる時、外は暑かったですか?」
絵里「まあね、湿気が凄いわ」ゴクッ
花陽「ウチはお米がよく育って嬉しいですがね!」
ダイヤ「まあ、農園を持ってらっしゃるんですの?」
花陽「いえいえ、農園何て大それたものじゃありません。趣味でお米を作ってるんです!」
ダイヤ「それだけでも素晴らしい事ですわ!花陽さんに是非飲んで頂きたいカクテルがあるのですが、いかがですか?」
花陽「是非!頂きます!」 絵里「あらあら、随分仲良くなっちゃって・・・ふふ」
ダイヤ「絵里さんは次、何になさいますか?」
絵里「そうね・・・今日は休みなのにお仕事して疲れちゃったから、Between The Sheetsを貰おうかな」
ダイヤ「・・・かしこまりましたわ」
花陽「?」 ・・・白ワイン?
白ワインを使うカクテル?
あまり聞いた事ないわ・・・
・・・この香りは、ミントティー?
「・・・ああ、花陽にぴったりなカクテルね」
「絵里ちゃんこれだけでワカッチャッタノォ!?」
「奥で氷を砕きますので、少しお待ち下さい」
「氷を砕くんですね・・・」
ガシッガシッ・・・ 「そしてこのクラッシュドアイスをゴブレットに詰め」
「白ワインを30ml ミントティーを45ml」
「ミントの葉は添えないのね?」
「はい、代わりにローズマリーを添えますの」
「後はソーダで満たせば・・・」
シュワアァァァ・・・
コトッ
「お待たせ致しました」
「"プランタン"です」 花陽「ぷぷぷプランタン!?」
ダイヤ「はい、花陽さんのお米が無事に春"プランタン"を迎えられる様にと」
花陽「ぐ、偶然ですよね?」
絵里「・・・偶然でしょう?」
ダイヤ「ええ、春以外に何か意味がありますの?」ニコ
花陽「偶然にしても凄いです!何だか嬉しい・・・」ゴクッ
花陽「・・・美味しい・・・凄く涼し気で、この季節に合いますねぇ」
ダイヤ「恐れ入りますわ」 花陽「ねぇ、絵里ちゃんのそのカクテルは、どんなカクテルなの?」
絵里「・・・」ポケー
花陽「・・・絵里ちゃん?」
絵里「・・・んはっ!い、意識が・・・」
花陽「だ、大丈夫なの?絵里ちゃん・・・」
絵里「ええ、ええ、ちょっと疲れが溜まってるのね・・・これを飲んだら帰るわ」 花陽「・・・絵里ちゃん」ギュッ
絵里「ハラッ!?///」
ダイヤ「まあ・・・」
花陽「疲れたら、休んでいいんだよ?悩んでたら、私達に相談していいんだよ?」ナデナデ
絵里「・・・っ」ギュッ
花陽「ね、花陽がお家まで送るから、今はゆっくり飲もう?」
絵里「・・・うん、ありがとう」
ダイヤ「・・・ふふ、ほんとに仲がよろしいんですのね」
花陽「えへへ、私達も長いですから」
絵里「まあね・・・ふふっ」ゴクッ https://youtu.be/1Xl08exRswg
カランカラン・・・
ダイヤ「今日はありがとうございました、花陽さん、絵里さん」
花陽「こちらこそ、美味しいカクテルをありがとうございます」
ダイヤ「いえ、恐縮ですわ・・・ところで」
花陽「はい?」
ダイヤ「・・・絵里さん、大丈夫ですか?」
絵里「ほへぇ〜・・・はなよがふたりぃ・・・」 花陽「大丈夫じゃ無さそうなので私が責任もってお家にお届けします!!!」
ダイヤ「は、はい!宜しくお願いしますわ!」
ハナヨォ~ナンデフタリイルノォ~?
ワタシハヒトリダヨエリチャン! ダイヤ「・・・絵里さん、本当にお疲れなのね」
ダイヤ「私には・・・せめて絵里さんにとって、この店が安らげる場所である様、精進する事しか出来ない」
ダイヤ「・・・また、来て下さいね、絵里さん」 久しぶりね、ここまで飲んだのは
懐かしい友に会ったから?
花陽の屈託の無い笑顔に惹かれたから?
存外、頭は回るものだ
足取りは・・・まあ、さもありなん 絵里「花陽ぉごめんねぇ・・・」
花陽「もう、謝らないの!」
絵里「あうぅ・・・」
駄目だ、頭もぼんやりしてきた
ごめん花陽、せめて肩は離さないで・・・
花陽「・・・でも、ちょっと嬉しいかも」
絵里「んえぇ・・・?」 花陽「昔は怖い人だなって思ってたけど、皆と活動し始めてからとっても良い人だって気づけた」
花陽「あの時は、絵里ちゃんの事は知り尽くしたつもりだったの、ちょっとおこがましいけどね」
花陽「でも今、こんなへろへろの絵里ちゃんが見れて嬉しいんだ」
花陽「今日会った時だって、どこか薄い壁を張ってた絵里ちゃんだけど、どうやら壊せたみたいだね?」 ・・・流石花陽ね
絵里「・・・流石花陽ね」
花陽「え?」 全部気づいてたのね、あなたは
絵里「全部気づいてたのね、あなたは」
今日、あなたは言ってくれたわね、癒してくれるって
絵里「今日、あなたは言ってくれたわね、癒してくれるって」
大成功よ、このKKEの酩酊姿を見られたんだから
絵里「大成功よ、このKKEの酩酊姿を見られたんだから」 花陽「・・・ふふっ、絵里ちゃんったら」
花陽「・・・わっ見て絵里ちゃん、もうこんな時間だったから、ほら・・・」
絵里「・・・」
ビルとビルとの間から
眩しい眩しい、陽の光
でも、今の私は頭が回らない
だから・・・ 絵里「・・・綺麗ね、日の出」
花陽「・・・ね」
あのビルの隙間から見える、日の出と
今、私の隣にいる、"日の出"と
どちらが本物の太陽なのか、今の私には分からないのーーーー 暑い中お疲れ様です 過去作もいくつか宜しければ
絵里「雨の日のコーヒー」
穂乃果「第一次音ノ木坂抗争」
絵里 「ゲームセンターに行きましょう!」 にこ 「拒否」 希 「話を聞こう」
にこ 「絵里って」 希 「映画の影響」 ことり 「受け過ぎだよね」
絵里 「真夜中に」 にこ 「愚痴を肴に」 希「姦しく」
花陽「都市伝説!」 絵里「対決よ!」
穂乃果&ツバサ「聖♡おねえさん」
絵里「ノッキン・オン」 にこ「ヘブンズ・ドア」
絵里「青き」 海未「サムライ」
孤独のエレナ
海未「ふぁ〜あ・・・眠いな・・・」 ことほの「「!?」」
絵里「ただ、ありふれた夜」
穂乃果「今日も今日とて」 英玲奈「いつものあの店」 ダイヤ「BAR Aqua Vitaeへ」
聖良「夜も更けて」 ダイヤ「姉会ですわ」
聖良「私達の」 ダイヤ「日常」
絵里「壊れた世界で、ただ1人」
海未「あなたは」 ことり「サマーガール」
希「ライブ?」 真姫「そうよ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています