しずく「栞子さんと私」
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「しずくさん…しずくさん…」
そう呟いて彼女は私の肌に歯を突き立てる。
じゅるっじゅぷっ…なんとも間抜けな音を立てながら、ご馳走でも食べるような顔でわたしを貪る。
あぁ…これは夢だ。そう直感的に悟る。
なんて悪趣味な夢。彼女は私をそんな風に呼ばないし、物語に出てくる食人鬼でもない。
「好きですよ。しずくさん」
その告白を聞いた瞬間、夢の世界の幕が下りた。 ーーーーー
しずく「変な夢…栞子さんが私を…」
今度のお芝居の影響かな?うーん…少し引っかかる事もあるし昼休みに誰かに相談してみようかな。
いつも通りの身支度をして学校へ向かう。
通学の電車の中でもあの夢が頭から離れなかった。 〜お昼休み〜
朝練の時に歩夢さんに昼休みに部室に来て欲しいと伝え、相談の約束を取り付けた。
授業が終わりすぐに部室へ向かうと既に歩夢さんが待っていた。
しずく「歩夢さん!私から呼び出したのに、お待たせしてすみません」
歩夢「私も今来たところだから大丈夫だよ。それより相談があるんだよね?」
しずく「はい…今朝見た夢の話なんですけど」
そう切り出して朝見た夢の事を話し始めた………… 歩夢「そっか…確かに変な夢だね。栞子ちゃんがしずくちゃんを食べるなんて…」
しずく「それも変なんですけど、栞子さんが私に好意を持っている事の方が不思議で…」
歩夢「ふふっそれは女の子だし分からないよ?」
しずく「そ、そういうものでしょうか…」
歩夢「そうだよ。それよりも食べられる方が大変だよ。そういう夢をみる心当たりはあるの?」
しずく「はい。演劇部でやる次の舞台がそういうテーマなんです」
歩夢「えぇっもしかして怖いお話?」
しずく「いえ!ホラーではないんです。産まれたことが罪とまで言われる主人公が、その運命に抗って生きようとする物語なんです」
歩夢「へぇ…しずくちゃんはどんなに役なの?」
しずく「私は食人鬼の恋人で、人しか食べられない恋人の為に殺人を犯している女性の役です」
歩夢「恋人の為に人殺しを……その2人は最後はどうなるの?結ばれるんだよね?」
しずく「いえ。恋人の為に自ら首を差し出して食べられてしまうんです。その後恋人も狩人の手で…」
歩夢「……悲しいね」
しずく「はい。とても…」
歩夢「…じゃあそのお芝居の影響って事なのかな?」
しずく「多分そうなのだとは思うんですけど、やっぱり栞子さんが私に好意を持っている事の方が気になってしまって…」
しずく「だから栞子さんと仲のいい歩夢さんに相談したんです!」
歩夢「うーん、そんなに気なるならこんなのはどう?」
そう言って歩夢さんはいたずらっぽく笑った。 〜放課後〜
栞子「なぜ2人で買い出しなんて…」
しずく「やっぱり私と2人は嫌ですか?」
栞子「いえ、そういう意味では。ただ衣装の布とボタンくらいなら1人でも十分だと思ったので」
しずく「でもお互いの事を知るいい機会だと思いませんか?」
衣装の材料を買いに2人で街に出た。
一緒に買い出しに行けば何か分かるかもしれないと、歩夢さんからの提案だ。
栞子「何をしているんですか?早く行きますよ」
しずく「栞子さん待ってください〜」
デートみたいだねと歩夢さんは笑っていたけど、どうもそういう雰囲気には程遠いなぁ。 すみません、勢いで書き始めちゃったのでストック切れです……夜にはまとめて投下出来ると思います。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています