穂乃果「伝えたくない言葉」
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穂乃果「二人ともおっはよーう!」
ことり「穂乃果ちゃん、おはよう!」
海未「おはようございます、穂乃果」
海未「さすがの穂乃果といえど、卒業式は遅刻しなかったですね」
穂乃果「もう!海未ちゃん!穂乃果をなんだと思ってるの!」
海未「そう思われても仕方ないでしょう!」
海未「この3年間何度貴女に待たされ、起こしに行かされたと思っているのですか」
穂乃果「卒業式の日まで怒らないでよー」
穂乃果「ことりちゃーん」
ことり「わ、穂乃果ちゃん」
ことり「よしよし」 海未「ことりからも言ってあげてください」
ことり「海未ちゃん!今日はちゃんと来たんだから、ね?」
ことり「怒らないで褒めてあげて?」
海未「う……確かに」
穂乃果「ほらー!海未ちゃんの鬼ー!」
海未「なっ!穂乃果ーっ!」
ことり「行っちゃった……」
ことり「最後まで賑やかだねっ!……最後……まで」 穂乃果ちゃんと海未ちゃん、それからことりは3人別々の進路になることが決まりました。
いつの間にか一緒にいるのが何よりも当たり前だったのに……。
穂乃果「こっとりちゃーーん!」
穂乃果「遅いよー!早く早く!」
海未「穂乃果が走ったからでしょう」
ことり「うん!待っててね!すぐ行く!」
大丈夫、叶わない叶ってはいけない願いだって分かってるから。 ことり「ごめんね、ついていけなくて」
海未「謝る必要ありませんよ、ことり」
海未「穂乃果が急に走ったのが悪いんですから」
穂乃果「あはは……ごめんねことりちゃん」
ことり「ううん、大丈夫だよ!」
海未「せっかくゆっくりとこの道を歩けると思っていたのに」
穂乃果「えー、帰りも歩くでしょ?」
海未「それはそうですが……」
穂乃果「それより学校のみんなに早く会いたいよ!」
穂乃果「ね!ことりちゃん?」
ことり「うーん、ごめんね穂乃果ちゃん」
ことり「私は海未ちゃん派かな」
穂乃果「ガーン」 海未「ほら見なさい!」
ことり「でも、早くみんなに会いたい気持ちもあるかな」
穂乃果「ほらぁ!」
海未「それは……私だって」
ことり「うん、だからゆっくり歩いて早く学校に行こう?」
海未「矛盾してますが……それもいいですね」
穂乃果「うん!楽しく行こうね!」
ごめんね、穂乃果ちゃん。
私は穂乃果ちゃんや海未ちゃんみたいに笑えない。二人の隣で上手く笑えない。
気付いて欲しい。でも、気付いて欲しくない。
だけど、もし……もし気付いたなら……笑ってくれると嬉しいな。 穂乃果「ゆっくり歩いたはずだけど、なんだか早く着いちゃったね」
ことり「通い慣れた道だからかな」
海未「そうかもしれませんね」
穂乃果「なんだか卒業式って感じ?おっきな看板とか」
海未「そうですね、この卒業式がこの先も続くことになって本当に良かったです」
ことり「穂乃果ちゃんがスクールアイドルを始めたおかげだね!」
穂乃果「そんなことないよ!ことりちゃんと海未ちゃんがいなきゃすぐに心折れてたかも」
ことり「穂乃果ちゃんが諦める姿は想像できないなぁ」
海未「そうです、何があっても私達を誘っていたでしょう」
穂乃果「えへへ、バレちゃった?」 海未「何年一緒にいると思ってるんですか」
穂乃果「それに、穂乃果達の力じゃないよ!」
穂乃果「音の木坂の魅力、みんなの頑張り、そこにたまたまμ'sがあっただけだよ」
海未「そうですね、そうかもしれません」
ことり「素敵な街に素敵な人達……そんなところにある学校だからね」
穂乃果「色んな運が重なって廃校がなくなった」
穂乃果「もしかしたら……違う未来があったかもしれない」
ことり「うん、そうだね」
海未「さぁ、立ち止まってないで教室に向かいますよ」
学校には当たり前だけど卒業式の雰囲気がただよっていて……。
本当は今日が来るのがとても怖くて、目を塞いで耳を塞いでその場でしゃがみ込んでしまいたくって。
なんで……どうして……。
ただ、二人のことが大好きなだけなのに。 ―卒業式―
穂乃果が無事に答辞を読み上げ、卒業式もすぐに退場の時間となってしまいました。
ことりは涙を目に浮かべながらもしっかりとした足取りで、穂乃果もしっかりした顔をしていますが、堪えているのだろうと思います。
私も最後毅然とした姿を見てもらいたいと堂々としていたつもりですが、他人から見れば変わらず泣き出しそうに見えてしまうのでしょうか。
穂乃果「これでおしまいかぁ」
穂乃果「卒業式って長いイメージあるけどあっという間だったよね」
海未「そうですね、実際の時間と自分の感覚では大きく違うように思います」
ことり「穂乃果ちゃんの答辞素敵だったよ」
穂乃果「そう?ありがと」 穂乃果「ことりちゃんと海未ちゃんがいっぱい練習に付き合ってくれたからだよ」
海未「すごく立派でしたよ」
穂乃果「海未ちゃんが褒めてくれるなんて!?」
海未「茶化さないでください」
海未「素直にそう思ったのですから」
穂乃果「海未ちゃん……ありがとっ!」
そんな感想をお話している間に先生が戻ってきて最後のホームルームが始まります。
その後は、音の木坂で出会えた大切な仲間と写真を撮ったりアルバムに落書きしたり。 穂乃果「海未ちゃんのアルバムにも私のサイン書いてあげる!」
海未「小さくですよ小さく!」
穂乃果「ええーなんでー、おっきい方がいいじゃん!」
海未「穂乃果のは大きすぎです!他のスペースがなくなるでしょう?」
ことり「そうだね、ことりの分も残しておいて欲しいかなぁ」
穂乃果「う……そうだよね、小さく書くね……」
海未「それでいいのです……って今度は小さすぎます!」
穂乃果「え?じゃあこのくらい?」
海未「もう少し……」 ことり「あはは……海未ちゃん結局スペースいっぱい取られてる……」
海未「うう……穂乃果のサインがマトリョーシカみたいになってしまいました……」
穂乃果「海未ちゃんごめんってば」
「穂乃果ー!慣れたところでこっちにもお願い!」
穂乃果「はいはーい!」
海未「……」
ことり「海未ちゃんどうしたの?」
海未「いえ、これを見るだけで私はこの学校でたくさんの大切な友人と出会うことができたのだなと」
ことり「うん、そうだね」 ことり「これを見るだけでどんなことでも頑張れそう!」
海未「そう……だといいですね」
ことり「む……海未ちゃんのにはまだ元気要素が足りないみたいなのでことりがいっぱい可愛くしちゃいます!」
海未「ことり!?あぁやめてください!私のアルバムをアルパカの絵でいっぱいにしないでください」
ことり「アルパカさんも大切な友達だもんね」
ことり「ほら、海未ちゃんもことりのアルバムにいっぱい書いて!」
ことり「みんなの……それに海未ちゃんのメッセージがあれば私あっちでも頑張れるから!」
海未「……はい、しっかりと書かせていただきます」 ことりへのメッセージを考えている間にみんなの名前やメッセージが見えました。
私達が入学したときにみんなのことをまだ知らなかったように、この先私達3人も知らない人と出会って同じように仲良くなるのでしょう。
それは至極当然のことでそう願っています。ですが、心の奥底に少し……ほんの少しだけ。
穂乃果とことりがそんな人とどうか出会わないで欲しいと思ってしまう自分がいて……そんな自分がひどく嫌いになります。
ことり「海未ちゃん?そんなに難しい顔して考えなくても……」
海未「ん?あ、いえ、そうですね」
海未「心に感じたままに……って私のアルバムがことりワールドじゃないですか!」
ことり「えへへ、可愛いでしょ?」 穂乃果「たっだいまー!」
穂乃果「これ海未ちゃんの?すっごい可愛い!」
海未「もうほとんどことりじゃないですか!」
海未「ことりのと交換しましょう!」
ことり「海未ちゃんダメだよ!海未ちゃんはこれが海未ちゃんのなんだから」
海未「そうですか分かりました……そっちがそう来るなら……」
海未「穂乃果!筆の準備を!」
穂乃果「へ?」
海未「早く!」
穂乃果「アイアイサー!」
こうやって笑い合った日々がなくなるわけじゃないことはわかってます。
だけど、忘れられてしまわないかと不安になり、嫌いな自分が姿を現します。
ただ、二人といるこの日常が大好きなだけなのに。 ―帰り道―
穂乃果「すっかり遅くなっちゃったね」
海未「あのままでしたらずっと学校にいてそうでしたけどね」
ことり「今回は学校にお泊まり!って訳にもいかないもんね」
穂乃果「今月までは高校生だからセーフじゃない?」
海未「セーフではありません、それに迷惑がかかるでしょう?」
ことり「そうだね、私達がいなくても下級生は学校を使うんだから……」 穂乃果「……よし!」
穂乃果「いつもの公園まで競争!」
穂乃果「よーいドン!」
ことり「え?穂乃果ちゃん?待ってよぉ」
海未「え?帰り道こそゆっくり帰るって……」
海未「穂乃果、ことり待ってください!」
三人が仲良くなった公園。
ことりちゃんと遊んで海未ちゃんと出会って、それからずっと。
大好きで大切な場所。 ことり「はぁ…はぁ…穂乃果ちゃん早いよー」
海未「急に……走り出さないでください」
穂乃果「あれ?あれあれ?海未ちゃん体力落ちた?ビリだよ?」
海未「なっ!貴女が急に走るからでしょう!」
ことり「でも、ことりも遅れたけど、ことりの勝ち……」
海未「ことりまで……」 海未「さぁ、寄り道してないで帰りますよ」
海未「ただでさえ遅くなっているのですから」
ことり「……そうだね」
穂乃果「待って」ギュ
海未・ことり「穂乃果(ちゃん)?」
穂乃果「お願い、もう少しだけ」
穂乃果「もう少しだけ海未ちゃんとことりちゃんと一緒に居させて」 穂乃果「二人の顔を見せて、声を聞かせて、手を繋がせて」
海未「穂乃果……」
穂乃果「ごめんね、わがまま言って」
穂乃果「でも、今日は、今は一生で今だけだから」
ことり「うん、一緒にいるよ」
穂乃果「私ね、この公園が好き、音の木坂が好き」
穂乃果「何よりも海未ちゃんとことりちゃんが大好き」 穂乃果「いつも迷惑かけてばっかりだったけど、二人がいてくれたから今があると思う」
穂乃果「本当にありがとう、ずっとずっと大好き」
ことり「穂乃果ちゃん……」
海未「そんなの……」
穂乃果「だからね!だから……離れたくない!ずっと一緒にいたい!」
穂乃果「明日も明後日もその先もずっと!」 穂乃果「ごめんね……ごめん、急に……」
穂乃果「すぐに泣き止むから……」
穂乃果「言葉にしたくなかったのに……しないって決めてたのに……」
海未・ことり「穂乃果(ちゃん)……」
ことり「そんなの……ことりだって……」
海未「別に最後ではないと分かっているはずなのに……どうして涙が止まらないんでしょうね」 穂乃果「ごめんね……笑顔でお別れしたかったのに」
海未「穂乃果が笑ってください」
海未「嘘でもいいです、穂乃果が笑ってさえくれれば……」
ことり「うん、私達きっと笑えるよ」
穂乃果「海未ちゃん……ことりちゃん……ありがとう……」
穂乃果「大好きっ!」 時期はずれですが……。
変なとこあればごめんなさい。 乙
卒業式っていつも通り振る舞っててもどこかしんみりする ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています