善子「秘密」
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善子「……」ボーッ
キーンコーンカーンコーン
善子「……」
善子(六時間目、もう終わっちゃったのね……)
ワイワイガヤガヤ…
善子「……」
テクテク
スッ
ルビィ「……善子ちゃん?」
善子「……」
ルビィ「今日も昨日の続き、しよ?」
タッタッ
善子「……」
クンクン
善子(……甘い、ルビィの香り)
ルビィ「善子ちゃん……?」
善子「……ええ、私もすぐ行くわ」
スタスタ 〜空き教室〜
善子「ふっ……!!!!」
グラグラッ!!
善子「!!!!」
バタン!!
善子「はぁ……はぁ……はぁっ…………!!!」
ルビィ「善子ちゃん!すごい!!またちょっと力強くなってる!!」
善子「はぁ……はぁ……」
善子(ダメ……この力……使うと、頭、真っ白……で……)
善子(何も、考えられ……ないから……)
善子「はぁ……はぁ……」
ルビィ「……お水、いる?」
善子「……」コクコク
善子(のま、せて……) ルビィ「はい、善子ちゃん、いくよ」
クイッ!
善子「んくっ……んくっ………」
ゴクッ!ゴクッ!
善子「…………ぷはっ!!!」
ルビィ「どう、おいしい?」
善子「……」
コクリ
ルビィ「うん、良かったぁ」
善子「はぁ……はぁ……」 ルビィ「……善子ちゃん、大丈夫?」
善子「え、ええ……もう、大丈夫、だから……」
ルビィ「でも凄いね〜、善子ちゃん、手を使わないで物を動かせちゃうなんて〜」
善子「……」
善子(……そう、私の特技は念動力。最近急に、使えるようになってしまった)
ルビィ「その力、いつから使えるの?」
善子「つい最近よ。二週間くらい前かしら?」
ルビィ「ふ〜ん……」
ルビィ「……でも凄いね!こんな重そうな物ちょっとでも動かせるなんて!!しかもどんどん力も強くなってるみたいだし!!」
ルビィ「いいなぁ〜、ルビィもその力欲しいなぁ〜……」
善子「別にそんないい事ばかりじゃないわよ。力使うとすっごく疲れるし」
善子(それに、もし他の人にバレたらなんて言われるか……)
善子「……」
善子(別に目立つことは嫌いじゃないけれど、好奇の視線にさらされることだけは、なんとしても避けたいし……これ以上痛いヤツだって思われたくなかった)
だから……バレてしまったのが偶然にもルビィだけだったのは……不幸中の幸い、だったのかもしれない。なんとなくだけどそんな予感が、私の中に確かにあった ———
一週間前のことだった
善子「ヤバ……今日早く帰ってこいって言われてるの、すっかり忘れてた……」
タッタッタッ
善子「うぅ……バス、間に合うのかしら、これ……」
善子「とにかく、急い……んにゃぁっ!!!?」
ガッシャーン!!!
バサバサッ!!!
善子「い、いたた……!!誰よ!!こんなところにバケツ置きっぱにしたの!!」
善子(うわっ!?ご丁寧にもにカバンの中身全部ぶちまけちゃったし……)
善子(ど、どうしよ……バス、間に合わなくなる……)
善子「……!!!」
善子「……えいっ!!!」 ファサッ!
善子「!!?」
善子(い、一瞬で教科書とかカバンの中戻せた……)
善子「へぇ〜、こんなことまで出来るのね……」
善子「……って感心してる場合じゃないし!!急がないと……」
タッタッタッ
善子「……んにゃっ!?」
ドンッ!
ルビィ「ぴぎっ!?」
バタン!
善子「ル、ルビィ!?」 ルビィ「いたた……」
善子「だ、大丈夫……?」
ルビィ「うん……」
善子「そ、そう、なら、いいけど……」
ルビィ「……」
善子「じゃ、じゃあ、私、急いでるから、もう行くわね……」
ルビィ「……待って!」
ガシッ!
ルビィ「ねえ善子ちゃん、さっきの何?」
善子「!!?」 善子「さ、さっきのって……」
ルビィ「善子ちゃんさっき教科書触らないで動かしてたよね?」
ルビィ「どうして善子ちゃんがその力を使えてるの?」
善子「そ、それは……」
善子(えっと、何から説明したらいいんだろ……)
善子「じ、実は……」
………
… 善子「……っていうわけなの。私にもよくわかんないけど、いつの間にか使えるようになってたのよ」
ルビィ「ふ〜ん……」
善子「で……お願いルビィ!このことはみんなには黙ってて欲しいの!!」
ガシッ!
善子「これ以上変なヤツだって思われたらいよいよヤバイし!!だからお願い!!」
ルビィ「……うん、いいよ」
善子「や、やった!じゃあ
ルビィ「でもルビィからも一つだけお願い。善子ちゃんの力を調べさせて欲しいの」
ルビィ「ルビィその力にちょっと興味出てきちゃった。だからその力を調べさせて欲しいな?」
ルビィ「善子ちゃん、お願い!」
善子「……ええ、いいわそれくらいなら。協力してあげる」
ルビィ「うん!ありがと!善子ちゃん!」
こうして二人だけの探求が幕を開けた
——— ルビィ「でもすごいね!!こんなに重そうな教卓さんまで動かせちゃうなんて!!」
善子「ま、まぁ……練習してるし……はぁ……はぁ……」
善子(してる……というより、させされてる……って感じだけど……)
ルビィ「ねえ善子ちゃん、善子ちゃんのこと、もっとルビィに教えて欲しいな?」
私の、こと……?
ルビィ「うん!まずねまずね、善子ちゃんってその力を使ってる時、どんな気持ちなの?」
善子「どんな気持ちって……」
ルビィ「どういうこと考えてる?えいっ!って感じなのかな?」
善子「そうね……」
善子「……」
善子「……動け〜!!って感じなのかしら?」 善子「頭の中で『アレを動かしたい』って強く願いながら、力を籠める感じ……よね」
ルビィ「なるほど〜……」
メモメモ
ルビィ「……じゃあ次の質問ね。初めてその力を使った時のこと、ルビィに教えて欲しいな」
善子(初めて……?)
善子「……」
善子「……部屋で勉強してるときよ」
善子「ちょっと遠くにあるプリントをとろうとして、動くのも面倒だったから紙の方からこっちにこないかな〜って思って、気づいたらプリントが手元にあって……」
善子「それで……」
ルビィ「勉強中、ね……うん!ありがと!」
ルビィ「あとは……」
善子「まだあるの?ねえ、もうよくない?やめにしましょうよ」
ルビィ「だーめ。だってもっと善子ちゃんの秘密、二人だけの秘密にしたいんだもん」
善子(二人だけの……)
ルビィ「うん。ルビィと善子ちゃんだけの、二人だけの秘密だよ」 ルビィ「あのね善子ちゃん、だからね、善子ちゃんにはこの力のこと、内緒にしてて欲しいの」
ルビィ「もちろんルビィも誰にも話さないから、ね、お願い?」
善子「え、ええ、私は構わないけど……」
ルビィ「じゃあお願いね!善子ちゃん!」
パタン!
ルビィ「あ!そうだよ!!ねえねえ!!ルビィね!試してみたいことがあるの!!」
タタタッ!
善子「あっ!ちょっ!?」
ルビィ「ほーら!善子ちゃんも早く早く!!」
テテテッ!!
善子「ルビィ!?待ちなさいよ!!」 〜屋上〜
善子「……って、屋上じゃない」
善子「一体こんなとこきてどーするわけ?」
ゴロン♪
ルビィ「ん〜!!風が気持ちいいよぉ〜!!」
ルビィ「ほらほら!善子ちゃんも一緒に寝っ転がろうよ!!」
善子「……はぁ」
ゴロン
善子「……そうね」
善子(確かに、風、気持ちいいかも……)
善子「ん〜……!!」
善子(爽やかって言ったらいいのかしら……?この季節特有のムシムシ感を、全て取り去っていってくれるって感じね……)
善子「……」
善子「……で、なんでわざわざ屋上まで来たわけ?」 ルビィ「あのね善子ちゃん!学校の屋上ってね!パワースポットなんだって!!」
善子「パワースポットぉ?」
ルビィ「うん!図書室の本に書いてあったの!!」
善子「へ、へぇ〜……」
ルビィ「善子ちゃんってこういうお話、好きでしょ?」
善子「まあ、嫌いじゃないけど……」
善子「……」
善子(……こういった類の話って、どうも胡散臭くも感じちゃうのよね)
善子(でもそんな折に、そろそろ中二病も卒業しなくちゃ、なんて考えてた矢先にあんな不思議な力を手に入れちゃうものだから)
善子(ホント、世の中って不思議な物よね……) 善子「……」ボーッ
ルビィ「……」スヤスヤ
善子「……」
善子「……えいっ!」
フワッ!
善子「……」
善子(どうして、急にこんな力が使えるようになったのかしら……?)
善子(……ま、そんなこと考えたって、わかるはずもないんだけどね)
善子「……」ボーッ
ルビィ「……」
善子「……」
ルビィ「……」
善子「……ルビィ?」
チラッ
ルビィ「すや、すや……」
善子(……って寝てるし)
善子「はぁ……」
善子(……しばらく、このままにしといてあげようかしら)
………
… 善子「……」ボーッ
善子(……)
善子(……実は私にはルビィにも隠している秘密が、もう一つだけある)
善子(それは……)
善子「……」
善子(……私はルビィに、少なからず好意を抱いているということ)
善子(ルビィは不思議な娘だと思う。私の力のことだってすんなりと受け入れてくれたし)
善子(自分自身でさえ、受け入れるまでには相当の時間を要したというのに)
善子(だから……秘密を共有することになった相手がルビィで本当によかったって心から思ってるわ) 善子「……」
チラッ
ルビィ「すぅ……すや……えへへ……むにゃ……」
善子「……ふっ」
善子(赤みがかった純粋な髪とあどけない笑顔、つややかな頬と幼さの残る顔立ちは、つい庇護欲をそそられてしまう)
善子(私が……この笑顔を守ってあげられたらなって)
善子(この笑顔を私だけのものにしたいなって)
善子「ルビィ……」
ルビィ「すぅ……すぅ……」
善子「……」
善子(……ルビィの小さな口元は、呼吸に集中しているかのように、小さくゆっくり動いている)
善子(その仕草がとっても尊くて、つい包み込んでしまいそうになってしまう)
善子(もし……私色に染め上げられたなら、どうなるんだろう、って) 善子「……」
ルビィ「すぅ……すぅ……」
善子「……」
スーッ
善子「……//」ソーッ
ルビィ「………」
善子「……//」ドキドキ
ルビィ「………んっ」
善子「なっ!!!?」
ガバッ!!! 善子「……!!!!?//」
ドキドキドキドキ
善子(お、起きてない……わよね……?//)
善子「……」チラッ
ルビィ「すぅ……すゃ……」
善子「……//」
ドクン!ドクン!!!
善子(あ、危なかった……)
善子(……って何やってるのよヨハネ!!)
善子(いくらルビィが好きだからって、寝てるところをいきなり襲うなんて)
善子「そんなことして、いい、わけ…………んっ!!?」
気づいたらすぐ目の前に、ルビィの顔が迫っていた 善子「んっ……ぷはぁ!!」
ドキドキドキドキ!!
善子「ル、ルビィ……?//」
ルビィ「えへへ〜♪しちゃったね、キス♪」
善子「キ、キスぅ!!?」
善子「!!?///」カァァッ!
善子(私の舌の上には、ほのかな甘さと暖かさが残り続けている)
善子(口の中のサラサラとした感触。こ、これが、ルビィの唾液ってこと……なのかしら?)
ドキドキドキドキ
そう想像するだけですごく生々しくて……頭から火が出るほどに恥ずかしい
善子「……//」
善子「ル、ルビィ……//あんたいったい何考えてるのよ……//」
ルビィ「なにって、多分、善子ちゃんとおんなじことなんじゃないかなぁ?」
善子「おんなじって…………ひゃぁ!!?」
ハムッ
ルビィ「んっ……………んっ………」
善子「……………んっ」
………
…
二回目のキスは遥かに長くて、まるで永遠のように私には思えた ———
部活のないとある土曜日の午前、私はルビィに学校に呼ばれた
〜部室〜
ガラガラッ
ルビィ「あ!善子ちゃん!おはよ!!」
善子「……おはよ」
ピシャッ!
善子「どうしたのよ、今日は……?」
ルビィ「えっとね、善子ちゃんのその力のこと、もっと調べてみたいなって思って……ほら!花丸ちゃんから図書室の鍵預かってるんだ!!」
善子「ふ〜ん……」
スタッ
善子(……眠い)
せっかくの休日だというのに朝からこんなとこまで呼び出されて……まだ頭がしゃっきりしない
善子「ふわぁ〜……」
私はルビィの隣の席に座り込み、だらーっと体を休めることにした 善子「……」ポーッ
ルビィ「〜♪」
善子(ルビィ……)
薄っすら開けた目で見えるのは、いつもと変わらないルビィの可愛さだった
あの日……初めてキスをした日から、ルビィと過ごす時間は日に日に長くなっていき……私の中のルビィの大きさは、はち切れそうなほどに膨らんでしまったのを感じている
善子(それが、なんとももどかしくて、愛おしいって言うか……)
善子(ルビィ……)
善子「……」
善子「……ねえルビィ、貴女もしかして今日化粧してるんじゃない?」 ルビィ「あっ!善子ちゃん、気づいてくれたの!?えへへ〜、嬉しい!!」
ルビィ「実はね!今日はマスカラ付けてきてるんだぁ!!授業ない日ならいいかなって思って……」
ルビィ「ほら!!」パチパチ
そういってルビィは、私に軽くウインクをして見せた
善子「……可愛い」
ルビィ「ほんと?ありがと!!」
善子「……」
ルビィ「……あ!ルビィお化粧ポーチ持ってきてるから!善子ちゃんにもやってあげよっか?」
善子「……いいの?」
ルビィ「うん!」ガサガサ
善子「じゃあ……」
善子(ルビィと、おそろい……) ルビィ「ほら善子ちゃん!ちょっとおめめ閉じてて?」
善子「え、ええ……」
ルビィ「……」
善子「……//」ドキドキ
ルビィ「……」
ルビィ「……いくよ」
善子「……」コクコク
ルビィ「……」
善子「…………んっ!!?//」
ガバッ!
善子「んっ!!………んんん〜っ!!!///」 ルビィ「んっ……ちゅっ………」
善子「んっ……」
レロッ
ルビィ「…………んっ」
善子「…………ぷは」
善子「ルビぃ……」トロッ
……ルビィの口元からはとろりと糸が垂れている。これだけで自分がどうなったのかがわかってしまう
ルビィ「えへへ〜……しちゃった♪」
善子「……もう」
ルビィ「善子ちゃん、じゃあもう一回、しよ?」
善子「ふぇ?え、ええ……」
ハムッ♪
ルビィ「ちゅっ……んくっ……」
善子「んっ………………」
目を閉じて口をすぼませる。ルビィの舌が私の口の中に絡みついて、放そうとしない
私はただ目を閉じてそれを想像しながら味わうだけなんだけど……なんでだろう、すごく、満たされてるって感じがした
善子(好きな人をこんなにも近くに感じられて、確かにこの糸で繋がってるってその事実が、こんなにも安心させてくれるなんてね……) ルビィ「んっ……」
善子「……ぷはっ!」
トローン♪
善子「ふわぁ、ルビぃ……」
ルビィ「よ〜しこちゃん♪」
善子「な、なによ…………ひゃっ!?」
ルビィ「んっ……んっ……」レロッ
善子「あ…………んっ!!……」
いつの間にかルビィの顔は私の鎖骨の下にまで迫っている
鼻先にはルビィの髪の毛が触れ、そこから彼女の香しいにおいが直接脳に伝わってきた
善子「んっ!!…………ひゃっ!!…………」
ルビィ「……」レロレロ
善子「あっ………んっ、そ、そこ、だめぇ、だからぁ…………//」
口元を手の甲で抑えて声が漏れないように我慢する。ルビィに情けない声を聞かれるわけにはいかなかった
快楽だけが体を支配する。この喜びを知ってしまうと、もう元には戻れそうにない ルビィ「……」
ピトッ!
ルビィ「んしょ……んしょ……」
善子「……なに、してるの?」
ルビィ「……」
ルビィ「……善子ちゃんは、暑くないの?」
善子「暑い……?」
ルビィ「ほら……」
サワッ
善子「ひゃっ!?」
ルビィ「善子ちゃんのここ、すごくドキドキしてる」
善子「ル、ルビィ……//」
ルビィ「あのね……」
モニッ
善子「ぴゃっ!?」
ルビィ「えへへ……ルビィもだよ?」
善子「………//」
ルビィの胸に手を当てると、彼女の小さな胸の奥からドキドキとした律動が伝わってきた ルビィ「善子ちゃん……?」
ファサッ!
善子「ルビィ……//」
ルビィ「……えへへ」ニッコリ
ルビィの制服は完全にはだけ切り、一糸まとわぬ美しい裸があらわになっている
白く透き通るような綺麗な素肌。細い手足にはまだあどけなさが残っていたが、まるで性徴をアピールするかのように少し膨らんだ胸とくびれは、私にはとても魅力的に映った
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「……」
ルビィ「……」
ルビィ「ルビィともっと気持ちいいこと、しよ……?」 善子「……」
善子「……//」コクリ
ルビィ「……うん」
サワッ!
善子「きゃぁっ!//」
ドクン!ドクン!
ルビィに秘部を少し触られただけで、ピリリとした刺激が脳を駆け巡った
ルビィ「……濡れてる」
善子「……//」カァァッ
ルビィ「善子ちゃん、ルビィでこーふん、してくれたんだ……」
ルビィ「……嬉しい」サワッ
善子「んっ!!………んっ………ふわぁ……」
キュンキュン♡
ルビィは舌で私の胸をいじりながら、指を器用に使いピンポイントで快感を刺激してきた
それはまるで、同じ十五歳の女の子とは思えない芸当だった
ルビィ「ほら……善子ちゃんも、来て……?」
善子「ふわ……え?……ええ……」
堕ちていく、深き深淵の闇の底まで、ルビィと一緒に
………
… 〜シャワールーム〜
シャアー
善子「ん〜っ…………!!」
シャワシャワ
汗だくになった全身に、適度なお湯が心地いい。浦の星のオンボロ校舎だけど、体育棟にはちゃんとシャワールームが付いてることだけは、私のお気に入りだ
善子「……」シャワシャワ
ルビィ「あ!善子ちゃん!そっちのボディソープちょうだい!こっちのなくなちゃったみたいなの……」
善子「……はい」
フワッ
ルビィ「わわっ!」
シュタッ!
ルビィ「ありがと、善子ちゃん」
ルビィ「でも便利だね〜、動かなくても物渡せちゃうんだもん!すごい!」
善子「……まあね」
そう言われても、特に悪い気は起らなかった ………
…
ジャァー…
善子「ふぅ……」
キュッキュッ
善子「……ん〜っ!すっきりしたぁ〜!!」
ルビィ「うん!ルビィも!!さっきまで体ベトベトだったからぁ……」チラッ
善子「……何よ、私のせいだって言いたいわけ?」
ルビィ「だってぇ……善子ちゃん、すっごい張り切っちゃうんだもん……」
善子「なっ……!!//あ、あれは!!だってそっちが誘ってくるから……//」
善子「だ、だから!!全部ルビィのせいなんだからね!!」
ルビィ「えへへ〜、ごめんねぇ〜♪」ニコッ
善子「……」
善子(……その顔はずるいわよ。だってそんな表情、見せられたら)
善子(あざとさも愛嬌も全部、許したくなっちゃうじゃない) 善子「……で、ルビィ。いいの?図書室は」
ルビィ「あっ!忘れてた!ルビィ図書室に行かなきゃだったんだよ!善子ちゃんと!!」
モソモソ
ルビィ「ほら善子ちゃん!早く早く!!」
善子「ちょっ!ルビィ!待ちなさい!!」
ボフッ!
ルビィ「わっ!善子ちゃん!?」
善子「ちゃんと髪拭かないと!風邪ひく、わよっ!!」
ワシャワシャ
ルビィ「ぴっ!善子ちゃん!くすぐったいよぉ!!」
善子「我慢しなさい!病気になるよりましよ!!」 ルビィ「よ、善子ちゃん……きゃっ!!」
ワシャワシャ
大胆に、でも丁寧に。ルビィの綺麗な髪を拭き上げていく
ルビィ「善子ちゃん、きもちい……えへへ……」
ルビィ「まるでお姉ちゃんみたい……」
善子「……そう」ワシャワシャ
善子(……まあ私の方は小動物のトリミングをしてる気分なんだけどね、どちらかと言えば)
口には出せない感謝の言葉は、いつも胸に大切にしまってある 〜図書室〜
ドスッ!
ルビィ「はい!これ!」
善子「……こんなに読む必要ある?」
ルビィ「うん!だって善子ちゃんの力のこと、もっと知りたいんだもん!!」
善子「……そう」
善子(まあ元を辿れば私にこんな摩訶不思議な力が宿ったのが始まりだったし、ちょっとくらい付き合ってあげるのが道理よね……)
ルビィ「じゃあルビィこっち半分読むから!善子ちゃんはそっち半分お願い!!」
善子「ええ、わかったわ」 ………
…
善子「ふわぁ〜……」
善子(つかれたぁ〜!!)
探しても探しても、一向に不思議な力についての情報は得られなかった
善子「……」
善子(……そもそもこういうオカルトの類については大好きだし、私だって積極的に調べていたはずだったんだけど)
善子(それでも未だに何の成果もあげられてないてことは、調べ方が間違っているような気がしてならないのよね……)
善子「……」ペラッ
ルビィ「……」
善子「……ねえ、ルビィ」
ルビィ「……」
善子「ルビィ……?」
ルビィ「……」
善子「……ルビィ!!」
ルビィ「ぴぎっ!?よ、善子ちゃん!?どうしたの急に!!?」
善子「さっきから呼んでたわよ、もう。そっちは何か見つかったわけ?」
ルビィ「え?……あ、ううん、特に……」
善子「……そう」
ぬるい温度の図書室の中で、時間だけがただ過ぎて行った 善子「……」
ルビィ「……」ペラッ
善子「……」
二人きりの図書室の中には、ページを繰る音だけが響いている
善子「……」
ルビィ「……」
善子「……」ペラッ
ルビィ「……」
ルビィ「……ねえ、善子ちゃん」
善子「……なによ」
ルビィ「……」
ルビィ「……不思議な力を手に入れるのって、どんな気持ちなの?」 善子「どんな気持ち……?」
ルビィ「うん。自分だけ力使えて、嬉しい?」
ルビィ「それとも……」
善子「……」
ルビィ「……怖さ、とか、ないのかなって」
ルビィ「善子ちゃんだけヘンなことに巻き込まれちゃって……その……怖くないのかな……って」
善子「……」
ルビィ「この先どうなっちゃうかもわかんないし……ほら、ね?」ニコリ
善子「……そう、ね」
そう言われて私は胸に手をあて、少しばかり考えてみた
善子(怖さ、か……)
善子「……そんなこと、考えたこともなかったわね」
力をどう使えばいいか、なぜ私だけ特別なのかを考えることに精一杯で、そんなことは考えたこともなかった
善子(ただ……)
善子「……ねえ、ルビィ?」
ルビィ「うん?どうしたの?」
善子「あ、あのさ……」
ルビィ「……うん」
善子「……」
善子「……特別な私と特別じゃない私、どっちが好き?」 ルビィ「うゅ?どういうこと?」
善子「……」
ルビィ「善子ちゃん……?」
善子「……私とルビィが特別な関係になれたのって、ほら……この力の巡り合わせじゃない?」
善子「だから……この力、消えちゃったら……私たちも、もう、終わりなのかなって」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「……」
ルビィ「……」
善子「……何よ!黙ってたらわかんないわよ。答えなさいよ……ねっ!?」
モゾッ!
善子「きゃっ!?//」 ルビィ「……♪」ニコッ
善子「んっ……//」
ルビィ「〜♪」
モゾモゾ
善子「ちょっ……//ルビィ……やめてよ、ね……ひゃっ!!」
ルビィ「ん〜、やめるって、何を?」
モゾモゾ
ルビィは右足を私へと押し付け、秘部だけを器用にピンポイントで刺激してくる
善子「ルビィ……んっ……んっ…………んあっ//」
ルビィ「ほ〜ら、善子ちゃん、図書室だよ?ちゃんと声、抑えて?」
モゾッ
善子「お、抑えろって、言われてもぉ……………んっ//」
ルビィ「〜♪」
善子「……//」モジモジ
気持ちいい。ただルビィに為されるがままなのに、すごく気持ちいいの ルビィ「……」
善子「……んっ//」
ルビィ「……」
ルビィ「……好きだよ、善子ちゃん」
ルビィ「力じゃなくて……ルビィは善子ちゃんが好き」
善子「!!?//」
ルビィ「えへへ〜、言っちゃった♪」
善子「な、なによ、急に…………んっ//」
モゾッ
ルビィ「善子ちゃん、可愛い♡」
善子「ルビィ……//」
……秘密が見つかった相手がルビィで、本当に良かった ルビィ「〜♪」
善子「んっ…………//」
ダメ……早く……もう我慢、出来ないのに……
もっと深く、堕ちていきたいのに……
善子「ル、ルビィ……」
ルビィ「なあに、善子ちゃん?」
善子「ね、ねえ、もう……」
ガラガラッ!!
善子「!!!?」 花丸「ルビィちゃん、様子を見に来たよ」ヒョコッ
ルビィ「あ、花丸ちゃん!」
スッ
善子「!!?」
花丸「ルビィちゃん、大丈夫?暑くなあい?図書室って、冷房ないから……」
ルビィ「うん!大丈夫!ちゃんと扇風機回してたもん!」
花丸「そう、ならいいけど……善子ちゃんは?」
善子「!!?」
花丸「……善子ちゃん?大丈夫?顔、赤いよ?熱中症?」
善子「そ、そんなことないわよ……大丈夫よ……」
善子(あ、あっぶな……ずら丸に、声……聞かれるところだった……//)ドキドキ
下着の中では不完全燃焼の不快感が、ぐちょぐちょと残っていた 花丸「それで、ルビィちゃん……今日の用事は調べものだっけ?」
ルビィ「うん!そうだよ!」
花丸「善子ちゃんは、その付き添いってこと?」
善子「え?ええ……まあ、そんな感じね」
花丸「ふーん……」
ルビィ「あっ!読み終わった本返してこないと!!」
グラッ!!
善子「ルビィ!?危ない!!」
フワッ!
ルビィ「!!?」
花丸「……?」
善子「ふーっ、危なかっ
ルビィ「だめぇっ!!」 パシッ!!
善子「!!!?」
ズサン!!
ルビィが立ち上がった衝撃で崩れかけていた本の山は、私の支えを失って、音をたてて崩壊した
花丸「わわっ!?大丈夫!?ルビィちゃん?」
ルビィ「う、うん……ルビィは、大丈夫だけど……」
善子「……」
善子(……私、無意識のうちに、あの力を使ってたってこと?)
ルビィ「善子ちゃん!だめだよ!!花丸ちゃんがいるのに!!」ヒソヒソ
善子「そ、そうね……気を付けるわ……」
善子(秘密はちゃんと守らなくちゃよね、だってそれが、ルビィとの約束なんですもの) ルビィ「よいしょ……よいしょ……」
ルビィ「……お片付け、終わり!!」
ルビィ「花丸ちゃん!ルビィに鍵貸してくれて、ありがとねっ!!おかげで調べものも順調だよ!!」
花丸「うん。お役に立てたなら、マルも嬉しいずら」
ルビィ「じゃあルビィたちもう行くね!ほ〜ら善子ちゃん!行くよ!!」
善子「ちょっ……待ってよ!ルビィ!!」
タタタッ!
花丸「……」
善子「ずら丸……ごめん!あとよろしく!!」
花丸「……うん、任されたずら」
善子「ルビィ〜!!!」
タタタッ!
花丸「……」
………
… トコトコ
ルビィ「ねえ善子ちゃん、今日ルビィのお家、お泊りしていかない?」
善子「えっ!?そんな急に……」
善子「……いいの?」
ルビィ「うん!多分だけどお姉ちゃんも許してくれるよ!!きっと!!」
善子「じゃ、じゃあ……」
善子(……お言葉に甘えちゃおうかしら?) 〜黒澤家〜
ルビィ「ただいま〜!!」
ダイヤ「あら、ルビィ。おかえりなさい」
ダイヤ「それと……善子さん?」
善子「お、おじゃまします……」
ルビィ「ねえねえお姉ちゃん!今日善子ちゃんとお泊りしたいんだけど!だめ?」
ダイヤ「お泊りって……貴女またそんな急に……」
ルビィ「いいでしょっ!今日だけだから!ね?お願い!!」 ダイヤ「……はぁ」
ダイヤ「……わかりました。では夕食の方は追加で一人分、用意しておきますわ」
ルビィ「わーい!ありがとお姉ちゃん!!」
善子「……なんかごめんなさいね、ダイヤ。急に」
ダイヤ「いえ、善子さんが気に掛けることではありませんわ」
ルビィ「善子ちゃん善子ちゃん!ルビィのお部屋いこっ!!」
テテテッ
………
… 善子(流石に家ではダイヤの眼もあるし、いくらルビィでも誘惑してこないと思ってた)
善子(そう、思ってたのに)
善子「ねえママ?今日はルビィの家に泊まってくから……うん……うん……わかってるわよ……」
善子「じゃあ、そういう事だから……ええ……明日の朝には帰るわ、じゃあね」
ピッ!
善子「ふぅ……これで、よし、と」
ルビィ「……」
ルビィ「……善子ちゃん?」
善子「……なによ、ルビィ?」
ルビィ「……」ポンポン
善子「……?」
ルビィ「……」ポンポン
ルビィ「……隣、来て?」 ルビィ「ねえねえ……善子ちゃん……」
ルビィ「一緒に、寝ようよ……♡」トントン
善子「……//」キュン♡
ルビィはニヤリとした小悪魔のような微笑みを浮かべながら、小さく私を挑発してくる
善子(……もう、全く。そんなこと、言われちゃったなら)
善子(私だって、スイッチ、入っちゃうじゃない……)
ルビィ「ねえ、善子ちゃん……?」
ルビィ「あの力……もっと使いこなせるようにならないとだね……」
善子「ええ、そうね……」
善子「そのためにも、もっと特訓、しないといけないわね……」
ペロッ
ルビィ「ぴっ!?……もう、善子ちゃんの、えっち……」
善子「……お互い様よ」
チュッ
ハムッ!
ルビィ「んっ………んっんんっ………」
善子「………んっ、ぷは」
トローン
二人の口元を結ぶ細い糸だけが、永遠の関係性を保証してくれていた
………
… ———
チュンチュン…
善子「ありがとね、ルビィ。泊めてもらっちゃって」
ルビィ「ううん、ルビィも楽しかったよ!善子ちゃん!!」
ルビィ「じゃあまた学校でね!ばいばい!!」
善子「ええ、また明日」
プシュー
善子「……」テクテク
スタッ
ガタゴト
善子「……」ボーッ
……昨日は結局一晩中、ルビィと快楽を貪ってしまった
善子(まあ別にそれ自体はいいんだけど……ダイヤに声を聞かれてないかだけが、心配なのよね……)
もし妹に手を出しているなんてことがバレたら、一体どうなってしまうことか……
善子「……」
善子(……一応ルビィに連絡しとこ。お礼も兼ねて) 善子「うん、それがいいわ」
善子「えっと、スマホ、スマホ……」
ガサガサ
善子「……」
ガサガサ
善子「……ない」
善子「……」
善子(……多分だけど、ルビィの家に忘れてしまったんだわ)
善子「はぁ……」
善子「……戻ろ」 〜黒澤家〜
善子「……」
ピンポーン
善子「……」
ピンポーン!!
善子「……いないのかしら?」
連絡しようにも、スマホが無いと連絡のしようがない。こういう時スマホがないって言うのは、すごく不便に感じる
善子「……」
善子「……失礼、するわね」
ガチャッ!
私はあの力を使って、内側から鍵を開けることにした 善子「おじゃましまーす……」
善子(……スマホ、回収したら早く帰らなくちゃ。泥棒しに来たわけじゃないし)
善子「……」
ソロソロ
こういうときに、不思議と足音を殺しながら歩いてしまう自分がいる。別にやましいことをしてるわけじゃないってのに
善子「……」
ソロソロ
善子「……あった」
ルビィのベッドのすぐ横に、私のスマホは置き去りにされていた
善子「これで、よし……と」 テクテク
………
…
ルビィ「おねえ、ちゃん……」
善子「……?」
善子(今の、ルビィの声……よね?)
善子「なんだぁ〜、いるんじゃない……」
善子(勝手に入って来てるわけだし、ちゃんと謝っておかなくちゃ……)
スタスタ
善子「ねえ、ル
チラッ
善子「!!!?」 善子(う、嘘……でしょ……!!)
善子(何で……どうして……!!)
善子「う……あ……!!」
ヘナヘナ
パタン!
善子「ル……あ……え……?」
善子(何よ、あれ……どうなって……)
……その光景は、言葉にならなかった 善子「……くっ!!」
ルビィ「……?」
ルビィ(何……?)
ルビィ(……!!!)
ルビィ(善子ちゃん!!?)
善子(ルビィ!!?)
今、目、あって……
ダメ……何も、考えられなくて……
うそ……どうして……なんで……
だって……あなたたち……
ルビィ、私と……
ダイヤ「……ルビィ?集中なさい」
ダイヤ「これも大事な儀式の一つ、なのですから」
善子「……!!!?」
タタタタッ!!
善子「はぁ……はぁ……!!!」
気づけば私の足は勝手に、無我夢中に走り出していた 善子「はぁ……はぁ……」
なんで!!どうしてよ!!ねえ!!
善子「はぁ……はぁ……!!!」
ドン!!
善子「ねえ!!どうして!!どうしてよ!!」
どうしてダイヤが!!ルビィとキス!!してるのよ!!
しかも裸で!!お風呂場で!!
ねえ!!あんな深いキス!!いくら姉妹だとは言っても……
まるで……………恋人みたいじゃない!!
ねえ!!説明してよ!!誰か!!
善子「はぁ……はぁ……」
血液が逆流してくるみたいだ。寒気と不安、吐き気に襲われて、我慢できない。何も考えられない 善子「……」
善子「ルビィ……」
善子「……ぐすっ」
……もしかしてルビィにとって、あの程度のキスは、日常茶飯事なわけ?
私とのキスは、全部……その程度だったってわけ……
善子「ふ、あっ……」ヘナヘナ
ストン
善子(……ダメ、もう何も考えられない。私じゃ何もできないわよ)
糸の切れた操り人形のように、私はその場に座り込む
善子「……」
善子「……………ぐすっ」
善子「ひくっ……ひくっ……」ポロポロ
ルビィ……
……私、本気で好きだったのに
初めて誰かを好きになって、ずっと、本気で愛してたのに…… なのに……貴女は私を、裏切るの……?
私のこの想いを……そうやって簡単に踏みにじるのかしら!!ねえ!!
善子「ぐすっ…………」ポロポロ
答えて!!答えてよ!!誰か!!
善子「ねえ!どうして!!どうしてっ!!!」
ドン!!
善子「うっ、…………」
善子「……」
善子「はぁ……はぁ……」
善子「ルビィ…………」
もう何が何だか、まるでわけがわからないわよ、これじゃあ……
………
… ———
〜翌日、月曜日〜
ガラガラッ
ルビィ「……おはよ」
花丸「ルビィちゃん、おはよう」
善子「……」
スタッ!
ガシッ!!
ルビィ「……!!!?」
善子「ルビィ、来なさい」
ズルズル
スタスタ
ルビィ「……」
………
… 〜校舎裏〜
ドン!!
ルビィ「ぴぎっ!?」
善子「……」ゴゴゴゴ
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「……」
ルビィ「……」
善子「……説明して」
ルビィ「……」
善子「気づいてたんでしょ?昨日、私がいたこと」
ルビィ「……」 善子「……このっ!!なんとか言いなさいよ!!」
ルビィ「ぴぎっ!?」
バン!!!!
善子「ねえルビィ!!説明しなさいよ!!ダイヤと昨日何やってたか!!」
ルビィ「……」ウルウル
善子「ねえルビィ!!答えてよ!!私の質問に!!」ギロッ!
ルビィ「……」
善子「……」
ルビィ「……ごめん」 善子「はぁ?私が聞きたいのは!!そんなんじゃなくて!!」
モニッ!
善子「!!?」
ルビィ「……」
ルビィは私の手を自分の胸に当てさせてくる
その手のひらからは柔らかい感触が伝わってきて……
善子「!!?」
善子「ちょっ!?あんたなんで下着付けてないの!!?」
ルビィ「……触って、ちゃんと」
善子「!!?」 ルビィ「最後にするから、お願い」
善子「……!!」
善子「……このっ!!」
ルビィ「ぴゃっ!!」
善子(くそっ!!くそっ!!)
モミモミッ!!!
ルビィ「んっ………んっ………///」
善子(どうして!!どうしてこんなことしなきゃいけないのよ!!ねえ!!)
善子(くそっ!!全部!!全部あんたが悪いのに!!)
ルビィ「んっ………あっ…………//」
善子「……」プルプル
ルビィ「よ、しこちゃぁ………きも、ちぃ………//」
ルビィ「ふーっ…………ふわ、ふーっ………♡」ピクピク
善子「……このっ!!」
ルビィ「ぴゃっ!」
善子(知らない!!もう知らないんだから!!)
くそっ……!!くそっ……!!なによ!!!
善子「……ぐすっ」ポロポロ
邪さも穢れも、悩みも疑問も全部、こうやってルビィにぶつけた ………
…
ルビィ「んっ…………ぴっ!!!//」
ビクン!!
ルビィ「はぁ……ふわぁ……♡」トロッ
善子「……」
善子(……もしかして、イっちゃったの……?)
こんな人気のない、校舎裏で……?
ルビィ「ふーっ…………ふーっ………♡」
ルビィ「善子ちゃぁ……♡」
そうやってルビィはキスをせがんでくる ルビィ「……あっそ」
スルスル
善子「!!?」
ハムッ!
善子「きゃっ!!」
ルビィは私の下着を脱がすと、秘部に顔をうずめて来た 善子「ちょっ!?ルビィ!?何するのよ……!!」
ルビィ「……」
レロッ
善子「ぴっ!!」
ルビィ「……善子ちゃんも、興奮してたんだね」
善子「んなっ!?そ、そんなわけ……//」
ルビィ「……ちゅるっ」
善子「にゃっ!?//」ガバッ!!
反射的に両足を閉じようとする。太ももがルビィの頬を包み込み、温かい
ルビィ「……」サワサワ
善子「……//」
ルビィは私の太ももを五本の指で優しく撫でた。ゆっくりと、くすぐるように
ルビィ「大丈夫だよ、善子ちゃん」ナデナデ
善子「な、なにがよ……//」
ルビィ「……いくよ」ペロッ
善子「ひゃっ!?」
ルビィが舌を伸ばすたび、ピリピリとした刺激が頭を駆け巡る 善子「んっ……あんっ…………//」プルプル
ルビィ「よ〜しこちゃん、我慢、だよ?」
善子「ふぁ、な、なによぉ……ルビぃ……//」トローン
足はピン!と張っている。お腹の奥の方からはキュンキュンとした感情がこみあげてくる。ルビィの温かさがなんとももどかしくて、早く出して、早く出してって叫んでいるのを感じる
ルビィ「……んっ!」
善子「きゃっ!//」
私の不満に呼応するみたいに、ルビィは刺激を強くした。愛する人が自分の全てを受け入れてくれることへの安心感は、よりいっそう心の奥の方をキュンとさせた
善子「んっ……………だ、だめぇ………//」
ルビィ「……」ペロペロ
善子「ル、ルビィ……やめ、なさいよ、こんなこと……んっ……//」
私はただシャツの裾を押さえて、興奮を隠すことしか出来ない ルビィ「……」レロッ
善子「ちょっ……んっ!!//」
嫌だ。嫌なのに。だって私がいくらルビィを好きでいても、私の恋は届かないのに
善子「くっ……!!ああっ………んっ………//」
ルビィは私の体……力にしか興味なんてなくて、ただそれだけの関係だっていうのに……
なのに……
ルビィ「……」
善子「んっ……だめっ……//」
どうして……どうしてこんなにも、気持ちがいいのよ……
………
… 善子「ふぁ……はぁ……///」
ビクン!!ビクン!!
善子(ダメ……なんでだろ……頭……真っ白……)
快楽を貪るルビィに必死に抵抗すべくあの力を使ったのか、全身から感覚が抜け落ち、気づけば私は座り込んでいた
ルビィ「……」
善子(ルビィ……)
ルビィ「……」
ルビィ「……ごめん、善子ちゃん」
善子「あっ……」
スタスタ
善子(ルビィ、いかないでよ……)
善子「……ねえ」
ルビィ「!!」ピタッ!
善子「まだ、私……聞いてないんだけど……あの事……」 ルビィ「……」
善子「ねえ……どうして……どうしてよ……」
ルビィ「……ごめん」
善子「あっ……」
スタスタ
かすれゆく意識の中で、ルビィの姿が視界の隅に消えてゆく
善子「ルビィ……」
善子(待ってよ、まだ……)
………
…
この出来事以降、ルビィを学校で見かける日は、最後まで訪れなかった ———
それから、三日ほどが経った日のことだった
〜教室〜
善子「……」ボーッ
ペチッ!
善子「あたっ!」
花丸「……善子ちゃん、どうしたの?空ばっか見上げて」
善子「……別に」
花丸「そう……」
スタッ
花丸「……もしかして、ルビィちゃんのこと?」 善子「……」
花丸「心配……?」
善子「……」
……あれからずっと、色んな疑問が頭の中をぐるぐるしていた
全部ルビィを問いただせば解決すると思ってたんだけど……本人がいないのだから、お話にならないのよね
もちろんあれからルビィのお家も尋ねたんだけど……性懲りもなく、また……
人の気配は感じられず、誰もそこで暮らしてはいない様子だった 善子「はぁ……」グテー
花丸「……」
善子(ホント、謎が多くて困るわね……)
花丸「……」
善子「……」
花丸「……ねえ、善子ちゃん」
花丸「あのさ……おらじゃ、ルビィちゃんの
善子「そうだ、あんたは何か聞いてないの?」
花丸「えっ、マル……?」
善子「ええ。なんでもいいから知ってることがあれば教えて欲しいの。お願い」 花丸「……」
花丸「……ううん、マルは、何も」
善子「そう……」
善子(……完全に当てが外れたわ。八方ふさがりってやつね)
善子「……」
スタッ!
花丸「あっ!善子ちゃん!?どこ行くの!?」
善子「ごめんずら丸!今日はもう帰るね!!」
タタタッ
………
… 〜ホテルオハラ〜
善子「鞠莉、いる?」
ガチャッ
鞠莉「あら、いらっしゃい善子。歓迎するわ」
善子「……」
鞠莉「さ、入って入って」
善子「……ええ」
スタスタ
鞠莉「それで、マリーに聞きたいことって、なあに?」
善子「…………あのね」
善子「ダイヤのことなんだけど」 そう、ルビィから辿ろうとするからダメなのよ。この二人ならダイヤともずっと親密だし、彼女の足跡なら何かつかめるんじゃないかと思った
鞠莉「ダイヤ……」
善子「ええ。ダイヤがここ最近学校に来てないことは、鞠莉も知ってるのよね?」
鞠莉「え、ええ……それくらいは、まあ……」
善子「なら話は早いわ。単刀直入に聞くけど、鞠莉」
善子「ダイヤたちの居場所、知らない?」
鞠莉「居場所……」
善子「そう。鞠莉ならダイヤと仲いいし、何か知ってるんじゃないかって思ったの」 善子「お願い鞠莉!どんな些細なことでもいいから!お願い!!」
鞠莉「……」
善子「鞠莉……?」
鞠莉「……」
クルッ!
鞠莉「……ごめん善子。その質問には答えられない」
鞠莉「私は知らないし……知ってたとしても教えてあげられないの」
善子「……」
鞠莉「……だからごめんね、善子」
善子「……」
善子「……ふざけないでよ」 ゴゴゴゴゴ…
……鞠莉は何か隠している。絶対何か知っている
善子「……ふざけないで!って言ってるの!!」
ビタン!!
鞠莉「きゃぁっ!!」
バチン!!
善子「ねえ!私がどんな思いで!!どれほどルビィを大切に思ってるか!!知らないんでしょ!!」
やっと掴んだ手がかりなんだから!!手放すわけにはいかないの!!
鞠莉「うっ……よ、善子……なんで……どう、して……?」
善子「はぁ……はぁ……」
ビタン!!
渾身の力を込めて、私は彼女を壁へとたたきつけた 鞠莉「どう、して……善子が、その、力を……うっ……」
善子「まずは私の質問に答えなさい、鞠莉!!」
鞠莉「うっ……苦しい、わよ、善子……げほっ……」
善子「私の質問に答えてよ!!嘘偽りなく!!ねえ!!」
果南「善子!何やってるの!!?」
ガシッ!
善子「うぐっ!!」
ズサッ 果南「ねえ善子ちゃん!!あんた一体どういうつもりなの!!鞠莉にこんなことして!!」
鞠莉「はぁ……はぁ……」
善子「う、うぐっ……!!」ジタバタ
善子(く、くるしい……果南に胸、締めあげられて……)
善子(ぐ、あがっ……!!)
善子(…………このっ!!)
私は無我夢中で机の上にあった菓子折りを、あの力で飛ばそうとした
パシッ!
善子「!!?」
善子(どうして、果南……予知できたの!?私の攻撃!!)
果南「……やっぱり善子ちゃん、その力使えたんだね」
善子「か、なん……あな、たも……ぐえっ……げほっ……!!」
ズサッ!
善子「ごっ!!!……はぁ……はぁ……げほっ!!げほげほっ!!!」 果南「……ねえ善子ちゃん」
鞠莉「やめて果南!違うの!!!善子はそういうことしようとしてたんじゃなくて……」
果南「……」
ストッ!
善子「うぐっ!?」
善子「うっ、はぁっ……はぁっ……!!」
果南「……」
善子「はぁ……はぁ……」
果南「……ねえ、善子ちゃん」
果南「……鞠莉とダイヤに変なことしようとしたら、タダじゃおかないから」
善子「……」
果南「あと……」
果南「……」
果南「……その力だけは、使わない方が身のためだよ」
善子「……」
果南「……忠告、したからね」
スタスタ
………
…
善子「……」 >>71と>>72の間って抜けてない?
話の繋がりが不自然な感じするけど >>89
コピペミスです。本当に申し訳ないです
普段から確認はしているつもりですが、より一層気をつけます >>72訂正
善子「……いや。ルビィが質問に答えてくれるまで、ダメ」
ルビィ「……あっそ」
スルスル
善子「!!?」
ハムッ!
善子「きゃっ!!」
ルビィは私の下着を脱がすと、秘部に顔をうずめて来た ———
善子(ルビィ……)
善子「……」
……考えても考えても頭の中のパズルは完成しなかった
善子(それもそうよね……だってピースが明らかに足りないんですもの)
善子「……」
鞠莉は明らかに何かを隠している。ダイヤは確実にこの問題に関わっている。果南には私の知らない信念がある
そして……
善子「……」
善子(……ルビィもまた、私に嘘をついている……ってこと?) 善子「……」
……たった一つの、秘密だったのに
お互い信じてるって、そう思ってたはずなのに
善子「ルビィ……」
……ここ最近はずっと疑念に悩まされている。ほんの軽い懐疑心が心の隙間に忍び込み、私の心を貪っている
もう何日も、眠れない日が続いていた 善子「……」
善子「はぁ……」
トボトボ
善子「はぁ……」テクテク
花丸「あっ、善子ちゃん。おはよう」
善子「……」
善子(ずら、丸……)
善子「……ごめんずら丸。私今あんたと遊んでる時間ないのよ」
善子「早くなんとかしなくちゃ、いけ、ないから……」
善子「だか、ら……」
コクッ
花丸「善子ちゃん?大丈夫?お顔、青い、けど……」
善子「……」
善子「……じゃ」
フラッ
花丸「わわあっ!?善子ちゃん!?無理しちゃだめだよ!!」 善子「無理なんて、してな……」
花丸「善子ちゃん……」
善子「……」コシコシ
花丸「……ごめんね」
シュパッ!
善子「わっ!!?」
花丸「……」 〜保健室〜
………
…
善子(………あれ?)
善子「……」
ムクッ
善子「……ここは?」
善子(さっきまで教室にいたはず。考え事、してて)
善子(ずら丸に会って、それで……)
善子「……」 花丸「あっ!善子ちゃん、起きた?」
善子「ずら丸……」
花丸「もうお昼だよ?よっぽど疲れてたんだね」
善子「……」
花丸「……悩みごと?」
善子「……」
花丸「……もしかして、ルビィちゃんのこと?」
善子「……」
善子(ルビィ……)
善子「……」
……鞠莉と果南は何か知っているみたいだった。きっと私だけが知らない大切な何かがあって、ダイヤはそれに大きく関わっている
何となくだけど、そんな予感が私の中にはあった
善子「……」
善子(……もしかしたらこいつも、何か知っているのかも) 善子「……ねえ、ずら丸」
花丸「ん?なあに、善子ちゃん?」
善子「ルビィのこと……ダイヤのこと。何か知らない?」
花丸「……」
花丸「……前にも話したと思うけど、おらは何も知らないよ?」
善子「……ホント?」
花丸「……」
善子「……ねえ!!なんでもいいの!!どんな些細なことでも、私にはプラスになると思うから……」ユサユサ
花丸「……」
善子「だからお願い!!ずら丸!!なんでも!!どんなことでもいいから!!」 花丸「……」
スッ
善子「ずら丸……?」
ずら丸は顔をぐいっと私に近づけ、自分の手を私の頬に当ててきた
花丸「……ねえ、善子ちゃん」
花丸「もし……もしも、だよ?」
花丸「マルがそれを知っていたとして……善子ちゃんはどうするの?」
善子「そ、それは……」
善子「……」
善子「……そんなの決まってるじゃない。ルビィを問いただしに行くのよ。私との関係はなんだったのかって」
花丸「……うん、そうだよね」
花丸「だったらなおさら、教えるわけにはいかないよ」 善子「ど、どうしてよ…………きゃぁっ!!」
ガシッ!
ドン!
花丸「……」
善子「ね、ねえ、どきなさいよ、そこ……」
花丸「……善子ちゃん」
善子「な、なによ……ひゃっ!?」
チュッ
花丸「んくっ………んくっ……」
チュルッ
善子「んっ!!んんんっ!!!んんんんっ〜〜〜!!!………ぷはぁ!!」
善子「はぁ……へぁ…………//」
花丸「……えへへ、善子ちゃん、可愛い♡」
善子「ちょっ!!なにするのよいきなり!!!//」
花丸「……ねえ、善子ちゃん?」
花丸「ルビィちゃんのこと、きれいさっぱり忘れてくれるなら……ダイヤさんの秘密教えてあげるよ」
善子「!!!?」 花丸「……って言ったら、どうする?」
善子「な、何よそれ!!?ってかやっぱりあんたも何か隠してるんじゃない!!」
花丸「……」
善子「ねえ!!ずら丸!!どいて!!放して!!私こんなところで遊んでる暇ないの!!」
花丸「……」
善子「ねえっ!!いい加減に……ひゃぁっ!!」
ガバッ
花丸「んっ…………」
善子「んんっ!!…………んんんんっ!!!!」
ずら丸とのキスは、苦く湿った味がした 善子「はぁ……はぁ……//」トロン
善子「何してるの、ずら丸……?」
花丸「……」
善子「……ねえ!!あんた自分が何してるかわかってやってるの!!?」
花丸「……」
花丸「……わかってないのは善子ちゃんの方だよ!!」
花丸「マル、ずっと好きだったのに、善子ちゃんのこと」
花丸「ルビィちゃんより先に。ルビィちゃんよりも早く」
善子「!!?」
ブチッ!ブチッ!
花丸「……」
善子「ず、ずら丸!!?ちょっ、やめっ!!!!……ひゃっ!!//」
チュッ
花丸「可愛いよ、善子ちゃん」ナデナデ 善子「きゃっ!!……い、いやぁ!!やめてよずら丸!!私こんなことされたくない!!ねえ!!」バタバタ
花丸「……善子ちゃん、うるさいずら」
パクッ!
善子「んっ!!?」
花丸「んっ……んくっ…………れろっ…………」
善子「や、やめてぇ………んっ………//」ジタバタ
ずら丸は舌を器用に使いこなし、私の唇をこじ開けようとしてくる
それに必死に抵抗するのだけで、私の意識は精一杯だった
善子「んんっ!!………やめっ!!!………」ウルウル
花丸「……えいっ♪」
コチョッ
善子「んにゃっ!?」
ハムッ!
善子「んんっ!?」
花丸「んっ……じゅるっ…………じゅるじゅる〜っ…………」
善子「んっ!!んんん!!んんんん〜っ!!!…………………ぷはぁ!!!!」
花丸「えへへ〜、いただきました♡」
善子「はぁ………う、ふぁっ…………//」
善子(やだぁ!!イヤっ!!だって私にはルビィが……) 花丸「よ〜しこちゃん♡」ナデナデ
善子(ルビィ………)
善子「はぁ………はぁっ…………」
善子(………ルビィっ!!!!)
ドシン!!!
花丸「わわわっ!!!?」
ズサッ!!
善子「はぁ………はぁ…………」
花丸「え………今の、何………?」
善子「はぁ……はぁ……」
花丸「まさか、善子ちゃん……?」
善子「はぁ……はぁ……」
善子(どう……ずら丸……)
善子(私には……この力、あるのよ……)
善子(守りたいものくらい……守らなきゃいけないものくらい……自分の力で、守って見せるんだから……) 善子「はぁ……はぁ……」
花丸「……」
善子「はぁ……んっ!!?」
チュッ!!
善子「んんっ!!!んんんんっ!!!!」
ドンドン!!
花丸「はむっ……ちゅっ……じゅる…………」
ずら丸の両手は私の顔をがっちりと抱え込んで、全く放そうとしなかった 善子「んんっ!!んんんんっ!!!」ジタバタ
ずら丸の舌はなおも、私の中に侵入してくる
善子(やだ!!やめてよずら丸!!こんなことしないで!!乱暴なことしないでよ!!)
心の中で叫んでも、声はずら丸には届かない
善子「んん〜〜っ!!!」ジタバタ
抵抗しようにも上手く力が入らない。連日のショックと、さっき力を全部使い果たしてしまったみたいだ
善子「……ぷはっ!!」
善子「はぁ…………はぁ…………//ひゃっ!!//」
かき乱される。めちゃくちゃにされる。私の体も、大切な想いすらも
唯一信じられたものでさえも、簡単に踏みにじられていった ………
…
善子「ううっ……ひくっ……」
体に力が入らない。悪魔に生気を吸い取られでもしたかのような、そんな感覚
花丸「……」
善子「……」グッタリ
花丸「……」
花丸「……ルビィちゃんはね、ダメなんだよ」
善子「……?」
花丸「……おいかけてちゃ、ダメなんだよ、きっと」
花丸「だから……善子ちゃんには、マルとの将来を、選んで欲しいの」
花丸「その方がきっと、善子ちゃんだって、幸せになれると思うから……」
善子「……」
スタスタ
善子「あっ……」
花丸「……」テクテク
善子「……」 善子「……げほっ!!げほげほっ!!」
ずら丸が立ち去ると急に、さっきまでの痛みが、苦さとなって襲いかかってきた
善子「はぁ……ごほっ!!おえっ!!!」
善子「はぁっ……はぁっ…………おえっ!!!」
ジャーッ
急いで水道へと駆け寄り、必死に口の中を洗い流す
善子「んくっ!!………んくっ………おえっ」
善子「はぁ……はぁ……」
……頭の中は鉛色で、全く釈然としない
善子「げほっ……おえぇっ!!」
善子「……」
善子「はぁ……」
涙も枯れ果ててしまったのだろうか、悲しみすらも浮かんではこなかった ———
〜黒澤家〜
善子「……」
善子「……結局、ここしかないのよね」
この前のずら丸の様子だと、彼女でさえも何かを隠している様子だった
そしてその鍵はきっと、黒澤ダイヤと……黒澤ルビィ自身にある
だからここ……ルビィの家には、多分ヒントが眠っている
私はそう読んで、再びここに訪れた
善子(というか、これしか現状、やりようがないのよね……)
善子「すぅ〜……はぁ〜……すぅ〜………」
善子「……よし」
ガチャリ
善子「……えいっ!」
ピキッ!
覚悟を決めて、私は家に侵入した 善子「……」
善子(し、失礼します……)
テクテク
善子(……考えてみれば、あの力を悪用すれば、不法侵入なんてたやすいものよね)
善子(ま、流石に少しは心が痛むけど)
テクテク
善子「……?」
善子(……でも、何をしたらいいのかしら?)
手がかりを探すって意気込んできたのはいいけど……それがどんな形をしたものなのかがわからない以上、探しようがない 善子「……」
善子(うーん……)ムムム
小さな頭をフル回転させて、ひらめきの素をひねり出す
善子「……」
善子(一端整理しましょう。まず一番に考えないといけないのは、ルビィと……ダイヤの消息よね、ルビィにもう一度会って色々確かめることが、私の目的なんだもの)
善子(ということは……)
善子「……」
善子「……ルビィの考えを辿ればいいってこと?」
善子(というか他に方法が見当たらないのよね) 善子(えっと……)
善子(ルビィは……)
善子「……」
善子(……懐かしいわね)
ルビィと過ごした、楽しかった日々が、私の脳裏によみがえる
二人でいろんなことをした。といっても大半が力に関わることと……
善子(……淫らな関わりだったような気がするんだけど)
善子「はぁ、はは……」
善子(……もう、まったく)
善子(ほんと、純真なんだから……) 善子「……」
テクテク
善子「……?」
善子(書斎、かしら?)
善子「……!!」
善子(うわぁ……大きい……!!)
流石は地元の名家とだけあって、その蔵書数も目を見張るものがある
善子「へぇ……」
善子(……そういえばどうしてルビィは、あの日、図書室で力のこと調べようとしてたのかしら?)
善子「……?」
善子(本の数だけだったら、ここだって同じくらいあるのに……) 善子「……」キョロキョロ
スッ!
善子「!?」
善子「な、なによ……?」
善子「もしかして、誰か
ギィッ…
善子「!!!?」クルッ!
善子「ね、ねえ、誰か……いるの?」
シーン…
善子「び、びっくりさせないでよ!!ねえ!!」 ギィッ…
善子「!!?」
善子「やっぱり!!だ、誰かいるんでしょ!!隠れてないで出てきなさいよね!!」
善子「わ、私には……!!」
フワッ!
善子「……こ、この力!!あるんだから!!あんたなんて怖くないのよ!!」
シーン…
善子「……な、なによ、まさか私に怖気づいて
ガバッ!
善子「!!?」
善子(う、うそ!!?いつの間に、背後、とら、れ……)
善子「んっ……」グテッ
………
… ………
…
善子「……」
善子「ん、ぅ………?」
善子「い、いたた……」
善子(あれ……?)
善子(ここ、どこかしら……?)
善子「……うっ」
頭の中はスッキリしない。まるで靄がかかってるみたいだ
善子「……」
善子(確か、さっきまで、ルビィの家にいて……)
善子(書斎、調べ途中で……)
善子(そしたら、誰かに、襲われて、それで意識、失って……)
善子「……!!?」 ダイヤ「……お目覚めになられましたか、善子さん」
善子「ダ、ダイヤ!!?」
ダイヤ「……はい」
善子「ねえ!あんた今までいったいどこにいたの!!ねえ!!」
ギチッ!!
善子「!!?」
善子(縄!!?)
良く見ると両手がロープのようなもので縛られ、ぎっちりと壁に繋がれてる
善子「な、何よこれ!!?あんたがやったの!!?」
ダイヤ「……どうかご無礼をお許しください、善子さん。私だって本意ではないのですわ」
善子「はぁ?……ってか!!全部説明しなさいよ!!全部!!」ギチギチ 善子「全部あんたが原因なんでしょ!!こっちにはお見通しなんだからね!!」
ダイヤ「……」
善子「なんとかいいなさいよ!!このっ!!」
ダイヤの胸ぐらをつかもうとした。力で押し倒して、優位に立とうとした
けど
善子「!!?」
ダイヤ「……無駄な抵抗はやめてください、善子さん」
善子「む、無駄って……!!」
ダイヤ「……見ていてください」
そういってダイヤは袂から、小さな布切れを取り出した 善子「……」
ダイヤ「……いきますわよ」
クルクルッ!!
善子「!!?」
布切れはダイヤの周りを舞い、右へ左へ、ふわふわと漂い始めた
まるで誰かの意思にでも、操られているかのように
善子「……まさか!!」
ダイヤ「ええ、そのまさかですわ」
ダイヤ「私も同じ力を使えますの……善子さんと全く同じ力を」 善子「!!?」
善子「ど、どうしてダイヤが、私の力を……」
ダイヤ「……」
善子(なにが、いったいどうなってるのよ……)
善子「……説明しなさいよ!!あんた何か知ってるんでしょ!!」
善子(もうわけがわからないわよ……)
善子(どうしてダイヤが……だってダイヤは、ルビィの姉で……)
善子(じゃあ、ルビィは……?)
ダイヤ「……」
善子「全部あんたが悪いんでしょ……?あの日のことも!!突然ルビィがいなくなっちゃったことも!!」
ダイヤ「あの日……?」
善子「あんたルビィの居場所知ってるんでしょ!!ねえ!!ルビィは無事なの!!会わせなさいよ!!」 ダイヤ「……」
善子「黙ってないで答えなさいよ!!ダイヤ!!じゃないと………んっ!!?」
ムチュッ
善子「んっ!!?んんんっ!!?」ジタバタ
ダイヤ「んっ………」
善子「んんん〜っ!!!…………このっ!!ぷぁっ!!!」
善子「はぁ……はぁ…………い、いきなりなにするのよ!!///」
ダイヤ「……」
善子「はぁ……はぁ……//」
善子「……//」
善子(……甘い)
不意に訪れたダイヤとのキスは、想像よりずっと甘くて、まるで……
善子「……」フルフル!!
ダイヤ「……おわかりいただけましたか?」
善子「わかったって、なんのことよ……?」
ダイヤ「私とのキスは、ルビィと全く同じ味がしたでしょう?」
善子「!!?」 善子「は、はぁ?あんた一体何の話してるわけ?」
ダイヤ「今の事実が何よりの証拠ですわ」
善子「証拠……?」
ダイヤ「……ええ。あなたがルビィを求めるその気持ちは……ルビィがあなたを必要としているその理由は」
ダイヤ「愛や恋などといった浮ついたものでは決してありませんわ。全てあなた自身に宿るその力に起因するものです」
善子「!!?」
善子(な、なによそれ……)
善子「……」
ダイヤ「……他の状況証拠も並べてみましょうか」
善子「……?」
ダイヤ「……花丸さんとのキス、苦く苦しいものだったのではありませんか?」 善子「!!?」
善子(ど、どうして!!?どうしてダイヤが、そのことを……)
ダイヤ「はぁ……私はやめておくように忠告したのですが。受け入れられない体に変質していることくらい、わかってましたのに……」
善子「……」
ダイヤ「……とにかく、貴女の体は、もう私とルビィ以外を受け入れることはないという事ですわ」
ダイヤ「それがその力に刻まれた宿命……本能なのですから」
善子「……」
ダイヤ「……もちろん、ルビィにだって言えることです。ルビィが善子さんに近づこうとした理由は全てその力を求めるためで、それ以上でもそれ以下でもありませんの」
善子「……」
ダイヤ「ですから……貴女がルビィを求める欲求は……全部まがい物、偽りなのですわ、善子さん」
クルッ
ダイヤ「もし私で満足いただけるのなら、いくらでも代わりになりますわよ?」 善子「………」プルプル
ダイヤ「善子さん?」
善子(……何よそれ、バカじゃないの)
善子「いい加減にしてよ」
ダイヤ「……」
善子「……!!」キッ!!
善子「あんたなんかに私の大切な想い、勝手に決めつけられたくない」
ダイヤ「……」
善子「私の大切な想いを、勝手に踏みにじらないで」
善子「たった一回他人に体を許したくらいで、そんな簡単に消えるものじゃないから」
ダイヤ「……そうですか」
スタスタ
善子「……」
ダイヤ「……いずれわかりますわ」 ———
それからいったい、何時間が経ったのだろうか
ギィーッ…
善子「……」
善子(ダイヤ……?)
暗闇の中、目を凝らす
善子「……」
視界に見えるのは、真紅の赤髪を肩の辺りまで伸ばした、凛とした雰囲気の女の子
ルビィ「……善子ちゃん」
善子「……!?」
善子「ルビィ……?」 伸ばされた髪はストレートに下ろされていて、その様子は彼女の姉を彷彿とさせる
それと……整った和装は、まるで神職に携わる者のようだ
ルビィ「……」
善子「……ねえ!ルビィなの?ルビィ!!」
ルビィ「……」
善子「良かった……無事で……」
ルビィ「……うん、ごめん」
善子「……」ホッ
とりあえずは愛する人の無事を確認でき、ほっと胸をなでおろした
善子「ルビィ……」
ルビィ「……」
聞きたいことは山ほどある。どうして私の前から逃げたのか。あの日ダイヤと何があったのか
そして……
……私のことをどう思ってるのか 私のこの想いは……ルビィが私を求めるその心は、ただの好奇心だったのか
それとも……
善子「……ねえ」
ルビィ「……」
善子「……私のこと、好き?」
ルビィ「!!?」
善子「……私のこと、どう思ってるのか。ルビィの気持ちが知りたいの」
善子「ルビィの言葉で、教えて欲しい」
……嘘だと言ってよ、ダイヤの言葉なんて ルビィ「……」
善子「ルビィ……?」
ルビィ「……」ポロッ
善子「……」
ルビィ「うっ……ひぐっ……」ポロポロ
善子「ルビィ……」
ルビィ「……」
善子「……」
ルビィ「……ごめんね、善子ちゃん」
えっ……?
善子「ど、どういう意味……ひゃっ!!!」
ルビィ「んっ………んんっ……」
善子「んんんっ………ぷぁ!!」 トロン
善子「ふぁ……はぁ………//」
善子「ルビィ……//」
口と口を結ぶ細い糸は、あの日と変わらず私たちの関係を照らし出している
ルビィ「……もっと、欲しいの」
ルビィ「ダメ……?」
善子「……」
ルビィ「……いくよ」
善子「ちょっ!?ああっ!!///」
チュッ
ルビィ「んっ……んぅっ………ちゅっ………ちゅる………」
善子「んっ………んっ………」
ルビィの舌が入り込んでくる。いつもより激しく、私の舌は吸い込まれていく
絡み纏わり、一つに繋がる。ルビィの暖かさが口内に伝わる
それがすごく気持ちよくて……もっと知りたくなってしまう
もっと欲しい。もっとめちゃくちゃにされたいの。ルビィに、ルビィの舌で ルビィ「……ぷはぁ!」
トローン
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「ルビぃ……//」
ルビィ「……こっちも、気持ちよくしてあげる」
ペロッ
善子「ひゃぁっ!!//」
ルビィ「……」ペロペロ
善子「んっ……あっ………あああっ!!!」
お腹の奥がキュンキュンするのを感じる。もっと、もっと欲しいって言ってるの
もっと深く、もっと果てまで 善子「ルビィ……るびぃ……!!」ガチッ
ルビィ「ぴぎっ!?……もう、そんなことしなくても逃げないよ?」
両足でルビィの頭をがっちりと捉える。もう二度と放したくないから
善子「ルビィ、もっと、もっとぉ!!んっ!!!」
善子「おく!いじって!!私のこと、めちゃくちゃにしてっ!!」
ルビィ「……うん」
グチュグチュ
善子「あっ!!………んっ……きも、ちぃ………//」
愛液が体の奥の方から溢れてくるのを直に感じる。ルビィに、全部を受け入れて欲しい。そして全部を受け入れてあげたい
善子「ふーっ………♡ふーっ………♡」
ルビィ「……」
善子「ルビぃ……もっと、おくのほう、お願い……//ぐちゅぐちゅって、してぇ……ひだひだの、とこぉ…………//」トロン♪
ルビィ「……うん」
グチュッ!
善子「あっ!?んっ//」
堕ちていく、深き黒の底まで
溶けていく、白き虚構の中枢へ
二人だけの、無の世界へと ………
…
善子「……お水」
ルビィ「……」
ヒョイ
善子「んく……んく……ぷは」
ルビィ「……?」
善子「……いらない。食欲ないから」 ルビィ「……」
ルビィは毎日時間になると、私に食べ物を届けに来る
もちろん縛られた両手じゃ食べることもできないから、ルビィが物を食べさせてくれてる
善子「……」
善子「……もういい」
ルビィ「……そ」
善子「……」
善子「……ねえ、ルビィ?」
ルビィ「……?」
善子「ダイヤが言ってた……私の気持ちは……ルビィの気持ちは、能力によるまやかしなんじゃないかって」
ルビィ「!!?」 ルビィ「……聞いちゃったんだ」
善子「ええ、聞いちゃったのよ」
ルビィ「……そう」
善子「……」
善子「……ねえ、それ、本当なの?」
ルビィ「……」
善子「ルビィは、どうして……どうして私にこだわるの?私であることに意味はあるわけ……?」
ルビィ「……」
善子「ルビィ……」
ルビィ「……ごめん」
善子「……」
ルビィの返事はいつもこればっかり。謝ることの繰り返しだ
私が欲しいのは、そんな空虚な言葉じゃなかったのに
善子「……」
ルビィ「……ごめんね、善子ちゃん」 善子「……」
ルビィ「……ルビィのせいで大変なことに巻き込んじゃったみたいで……本当にごめんなさい」ペコリ
善子「……」
ルビィのせいだなんて考えたことは……一度もない、絶対にない
ルビィ「あとね……」
ルビィ「……ルビィとお友達になってくれてありがと、善子ちゃん」
善子「……え?」
善子「何よそんな改まって……まるで明日には会えなくなちゃうみたいな……?」
ルビィ「……」
善子「ルビィ……?」 ルビィ「……」
善子「……ねえ!待ってよルビィ!!」
善子「嘘だって言いなさいよ!!ねえ!!」
ルビィ「……」
ルビィ「……ごめんね、善子ちゃん」
善子「ちょっ!待ってよ!ルビィ!!」
ルビィ「……」スタスタ
善子「ルビィ!!」
善子「このっ!くそっ!!」ギチギチ
ギィーッ…
善子「……」
善子「ルビィ……」 ———
それからもまた、永遠ともとれるような時間が流れた
ガチャッ
善子「ルビィ……?」
ギィーッ…
ダイヤ「……残念ながら、今日の当番は私ですわ」
善子「……」
ダイヤ「……善子さん、お食事の時間ですわよ?」
善子「……いらない」 善子「いらないから、出てってよ」
ダイヤ「……そうですか」
スチャッ
ダイヤ「……」
善子「……」
ダイヤ「……」
善子「……私の話、聞いてなかったわけ?」
ダイヤ「……少しだけお話をさせてくださいな、善子さん」
善子「は、はぁ?あんたなんかと話すことなんて、何も
ダイヤ「善子さんの、私の力の秘密に関わることです。貴女にとっても十分有益なことだと思いますわ」
善子「!!?」 善子「あ、あんたまだ何か隠してるわけ……?」
ダイヤ「……そうですわね、まずは私たちの住んでいる町の話から始めましょうか」
そう言ってダイヤは、体を私の正面に向けた
ダイヤ「善子さんは『ムラ』という概念をご存知ですか?」
善子「……」
善子(……日本史の授業で習った。共同体意識をもった集落のようなもの……だったはず)
ダイヤ「昔からこの辺りでは漁業が盛んで……その反面、農作物は得にくい環境にあったそうです」
ダイヤ「まあ、周囲を山と海に囲まれた地形という特性を鑑みれば、至極当然のように思えますが……」 善子「……」
ダイヤ「農作物の少なさは食糧難に直結します。安定した食糧源を確保できないのですから」
ダイヤ「貧しさは争いを呼び、それが破滅へと導くことを避けるために、村落が団結をする。このような流れの下でムラが形成されていくことになるのですわ」
ダイヤ「これが、黒澤家に伝わるこの辺りの歴史です」
善子「……今の話が何か関係あるわけ?」
ダイヤ「……」ツカツカ
ダイヤ「村落が形成されれば、当然他の村落との競争が始まっていく。自分たちの生き残りをかけて、集落をまとめ上げていく必要がある」
ダイヤ「そのような過程の中で……統治の中心となった力、それがこの力であると私は考えておりますわ」
善子「……はぁ?どういう意味?」
ダイヤ「統率者は統率者たる資質が求められる。時には歯向かう者や……敵対する者を力で圧倒する必要があったのでしょう」
ダイヤ「そのための礎となった力……他を圧倒するほどに人智を超えたこの力が、統率者の証として機能したのですわ」
善子「……」
ダイヤ「集落をまとめ上げる立場にある者……網元たる黒澤家の血筋に乗って連綿と受け継がれてきた異能力の名残……それがこの力の正体である、と私は解釈していますわ」 ダイヤ「もちろんムラ意識が希薄となりつつある現代においてもそれは変わらずに……現に私は、この力を身に宿しているわけです」
ダイヤ「網元の……黒澤家の、次期当主として」
善子「……待って」
善子「あんたさっき……黒澤の血筋で力が伝わっていくって言った?」
ダイヤ「……ええ」
善子「だったら……ルビィはどうなのよ」
善子「ルビィだって……あんたの妹じゃない」
ダイヤ「……」
善子「もしかして……ルビィも……何か特別な力を、宿しているわけ?」
ダイヤ「……」
善子「ダイヤ……」
ダイヤ「……」
ダイヤ「……ルビィの力は、私のものとは少々異なってます」 ダイヤ「私の力の本質が、自らに眠る異能の力を引き出すところにあるとすれば……あの子の力の本質は、他人の異能の力を引き出す力である、と言えるでしょうか」
善子「……?」
善子「どういうこと……?」
ダイヤ「つまり……端的に言えば……」
ダイヤ「……」
……そう言ってダイヤは少し言葉を詰まらせる
まるで真実を伝えるべきか否か、考えあぐねているかのようだった
ダイヤ「……」
善子「ねえダイヤ、お願い……もう、これ以上隠してほしくないの……」
ダイヤ「……」
善子「お願い……お願いだから……」
私、ルビィのことは全部ちゃんと知った上で
そのうえで正面から、受け止めてあげたいから……
ダイヤ「……いえ、そうですわね。これは善子さん自身にも大きく関わることでしょうし」
善子「……?」
善子(私に……?)
ダイヤ「……はっきりと申し上げますわ。善子さんがその力を身に宿してしまったのは……善子さんがこのような事態に巻き込まれてしまったことは」
ダイヤ「全て、ルビィにその原因があると私は考えているのです」 善子「……」
ダイヤ「先程申し上げた通り、ルビィは自身に異能力を宿らせるのではなく……他人に異能力を産みつける方向に大きく長けてしまっている」
ダイヤ「その過程において力が共鳴し合ってしまうというのもまた事実……ですから善子さんは、無意識のうちにルビィに魅かれてしまったのかもしれませんわね」
善子「……」
善子(……そんなわけ、そんなわけないわよ)
ダイヤ「もちろんルビィの力だって有効的に活用できれば能力者の更なる潜在能力を引き出すことも可能かとは思いますが……他の人間に作用してしまった場合、その力は大きな脅威になるのですわ」
ダイヤ「既に説明した通り、この力は集落の統率の中心となる重要な力。その力が多くの人に譲渡されることとなってしまえば……共同体が根底から覆ってしまう可能性さえありますから」
ダイヤ「ルビィはそのような危険と隣り合わせの忌み子である。少なくとも家の者は、このように考えているのですわ」
善子「……」
善子(忌み子……生まれてきちゃ、いけなかった……) 善子「……なによ、それ!!」
ダイヤ「……」スタスタ
ダイヤ「もちろん私だって様々な可能性は模索してきたつもりです。どうにかルビィと共に生きる道はないのかと」
善子「……」ギロッ!
ダイヤ「……善子さん、そんな目で私を見ないでください」
ダイヤ「私だって、私だって……」
善子「……」
ダイヤ「……幸いなことにルビィの力は主として体の交わりによって他人に影響を及ぼすことが判明して……どうにか反応を抑え込もうと、色々試してきたつもりではあるのです。このことは善子さんだって思い当たる部分があるでしょう?」
善子「……」
ダイヤ「ですが……それももう、限界」
ダイヤ「反対意見をこれ以上抑え込むというのも、もう限界……なのですわ……」
そう言ってダイヤは、疲れ切った表情を私に見せる
まるで……許しを乞う幼子のように
でも……
……私には到底、許すことなんてできない
許容するわけにはいかない。だって……
善子「……」
善子「……ふざけないでよ、ダイヤ」 ダイヤ「……」
善子「……ルビィに……実の妹に生まれてきてはいけなかっただなんて、本気でそう思ってるわけ?」
ダイヤ「……」
善子「……私の質問に答えなさいよ!!ねえ!!」
ダイヤ「……」
善子「……」
不条理すぎる。だってルビィは生んでくれなんて頼んでないのに
勝手に生を授けて、跡取りが決まったらもう不要だからと捨て置くとか、そんな残酷なことなんて、許されるはずがないのに
ダイヤ「……」
ダイヤ「……私だって、ルビィのことは大切に思っているつもりですわ」
ダイヤ「それこそ……善子さんがルビィを想う気持ち以上には」
善子「じゃ、じゃあ、どうして……」
ダイヤ「……それが黒澤家の長女たる私に課せられた、使命なのだからです」
ダイヤ「この摂理が……この不条理が、ルビィと私で血を分かち合った故の悲劇であるとするならば……私が責任をもって片を付ける、というのが筋なのでありましょう」
ダイヤ「それが……私とルビィに因果
善子「そういう言葉を聞きたいんじゃないのよ」 ダイヤ「……?」
善子「私が聞きたいのは……私が求めた答えってのは……」
善子「家の方針だとか因果とか宿命だとかそんな軽い言葉じゃなくて……」
善子「あんたの……ダイヤの素直な気持ちなのよ」
ダイヤ「……」
善子「ねえダイヤ……お願い」
善子「ルビィを……ルビィのことを、助けてあげて欲しいの……」ポロポロ
私じゃ、どうすることもできなかったから…… ダイヤ「……」
ダイヤ「……善子さん、私は、ルビィの姉である前に、黒澤家の次期当主なのですわ」
ダイヤ「ですので……」
善子「じゃあどうして……どうして……!!」
どうしてあんたは、そんな悲しそうな顔をしてるのよ……!!
善子「どうして……!!そんな残酷なこと、打ち明けるのよ!!私なんかに……!!」
ダイヤ「……」
善子「ダイヤ……」
ダイヤ「……」
善子「……」
ダイヤ「……もしかしたら、もしかしたらですけど」
ダイヤ「こうなることも運命で、誰かが仕組んだイタズラで」
ダイヤ「全部誰かの空想で、本当の幸せな世界がどこかにちゃんと存在して、起きたら全部元通り、なんて空言を望んでいたのかもしれませんわね、私自身も」 善子「……」
ダイヤ「……私自身、この因果の連環から、抜け出したかったのかもしれませんわね」
善子「……」
ダイヤ「……すみません、愚痴のような形になってしまって。ですが善子さん、善子さんは何も心配することはありませんわ」
ダイヤ「もうすぐ全部、終了いたしますから。安心してください善子さん。貴女の日常は私がちゃんと取り戻しますわ」
善子「あっ……」
ダイヤ「……」スタスタ
善子「ダイヤ……待ってよ!!」
ダイヤ「……」
善子「絶対!!絶対あんたの思惑通りになんてさせないから!!」
ダイヤ「……」
善子「必ず!!ルビィは私が助け出してみせるんだからね!!」
自分が囚われの身であることを棚に上げて、強く言い放つことしか出来なかった 善子「くっ……くそっ……!!」
ギチギチッ!
両手を動かせばそれだけ縄は手首を圧迫する。その締め付けからは絶対に私を逃がさないぞという強い意思が感じられ、物凄く気分が悪い
善子「はぁっ、うぇっ…………」
善子(ルビィ……)
ギィーッ…
ルビィ「善子ちゃん、ご飯だよ?」
善子「ルビィ!?」
ギチッ!
善子「ルビィっ!!ルビィ!!!」
ギチギチッ!!!
善子(もうっ!!この縄さえ両手にかかってなければ!!)
善子(今直ぐルビィを抱きしめてあげたいのに!!この腕で包み込んであげたいのにっ!!)
善子(どうして!!どうしてそれすらも許してくれないのよ!!) ルビィ「……善子ちゃん、無理だよ。痛いこと、やめよ?」
善子「私の心配はいいの!!今はルビィの方が大変でしょ!!」
善子「ダイヤから聞いた!!全部!!ルビィのこと!!ルビィの身に何が起こってるのかも!!全部!!」
ルビィ「……」
善子「はぁ……んっ……!!」ギチッ!!!
ルビィ「……うん」
善子「どうして!!どうしてそんなに平然としてられるのよ!!だって要らないって言われたのよ!!実の姉に!!」
ルビィ「……」
善子「ねえ!!ルビィ!!!」ギチッ!!
ルビィ「……うん、なんでだろうね」
ルビィ「ルビィ、自分でもよくわかんないや、あはは……」 善子「ルビィ……」
やめてよ、笑わないでよ……
辛いときはつらいって言いなさいよ……そしたら私、包み込んであげるのに……
私はそんな真っ当な関係を、あなたと築いていたかったのに……
ルビィ「……」
善子「ルビィ……ルビィは、これから……」
善子「あなたはこれから、どうしていたいわけ……?」
ルビィ「……」
善子「ルビィ……」
ルビィ「……」
チュッ
ルビィ「……善子ちゃん、大好きだよ」
善子「ルビィ……」
彼女の口づけは小鳥のさえずりのようにか細くて、だからこそ切ない味がした ルビィ「善子ちゃんはルビィの宝物なの。善子ちゃんが無事でいることが、ルビィの一番の幸せなの」
ルビィ「だからずっとありがとうって言いたかった。ルビィとお友達になってくれてありがとうって」
ルビィ「もうルビィはね、後悔すること、何もないよ?」
ナデナデ
善子「……」
ルビィ「……」ナデナデ
ルビィは私の頬を暖かく撫でてくれた。無理に笑おうとしてくれてることが、より一層私の胸を締め付けた
善子「ルビィ……」
ルビィ「……善子ちゃん、大好きだよ」
テクテク
ルビィ「……お水、ここにおいておくね」
善子「……」
ルビィ「じゃあね、善子ちゃん」
スタスタ
善子「あっ……」
ルビィ「……」
ガチャッ
ルビィ「ぐすっ……」
ルビィ「……」フルフル
ルビィ「もしも、もしもだよ?」
ルビィ「……もし今度また善子ちゃんに巡り合えたなら、次こそはちゃんとした恋、できるといいな」 善子「ぐすっ……」
善子(ルビィ……)ポロポロ
……上手く考えがまとまらない。それほどに明かされてきた事実は衝撃的過ぎて
手に負えるわけなんてなかった。だってヨハネはただの高校生で、日常を、ルビィとの日々をただ楽しもうとしていただけで
それなのにすべてが根底から、逆転してしまっているみたいだった
善子「……」
私には正しさなんてわからない。誰が間違ってるかなんて知り得ない
自分の気持ちすらもわからない。どうして自分は泣いているのか、悲しいのか、悔しいのか
何が一番大切なのか、誰のことを想うのか
……誰のために、私は在ればいいのか 善子「……」
……ヨハネになんて何もできない。力を持っても何もできなくて、大切な物を失った挙句に暗い監獄へと堕ちて来た
私は所詮一人の人間で……本当に、ただそれだったのよ
善子「……」
なのに……どうして……
善子「……」ポロポロ
何よりも私に問いかけるの。ルビィの諦めたような表情が。ダイヤの揺らいだあの覚悟が
私はこれでいいのかって。このまま生きる価値はあるのかって
……私にできることはもうないのかって、そう強く尋ねてくるの
私に出来ること、その正体がつかめない
何をするべきなのか、何をすればいいのか
ルビィのために何ができるのか、ルビィの幸せが何なのか
それがこの力の正しい使い道だと思った。ダイヤの言う「責任」は、きっとここにあると思うから ———
あれから、何時間、いや、何日が経過したのだろう
ギィーッ
善子「……」
善子(誰……?ダイヤ……?)
ギィーッ
鞠莉「善子……」
善子「鞠莉!!?」 鞠莉「……」
善子「どうして、鞠莉が、こんなところに……?」
鞠莉「……」
ギラッ!
善子「……ねえ、何よその右手に持ってるものは」
鞠莉「……」
善子「まさか……嘘でしょ……?」
鞠莉「……」
スタスタ
善子「……ねえ、やめてよ、嘘でしょ……?」
善子「いや……来ないで……近づかないで!!」
鞠莉「……」
スタスタ
善子「やだ、やめ……ひっ!!やぁっ!!来ないで!!あ、や、やめ!!きゃぁぁっ!!!」
シュパッ!! 善子「ん!!んん〜っ!!」
鞠莉「ふーっ……ふーっ………」
善子「……え?嘘……?」
つむっていた両目を開けると、鞠莉は寂しそうな表情で私を睨んでいた 鞠莉「……善子、一つだけお願いがあるの」
善子「おね、がい……?」
縄で縛られていた両腕には自由が戻ってきている。どうやら鞠莉が縄を断ち切ってくれたみたい
鞠莉「……そう。ダイヤのことよ」
善子「……」
鞠莉「あの子を助けてあげて欲しいの。囚われ縛られ、もがき苦しんでいるあの子を」
善子「……」
鞠莉「善子……あなた、不思議な力を持ってるんでしょう……?だから……」
鞠莉「おね、がい……」ポロポロ
善子「鞠莉……」
鞠莉「お願い、善子にしか、頼めないことなの……」 善子「……」
鞠莉「善子……」
潤んだ瞳をじっと見開いて、真っ直ぐに私を見つめる彼女の眼は、とても美しかった
鞠莉「善子……ぐすっ…………」ポロポロ
善子「……」
善子「残念だけど……それは出来ない相談だわ」
鞠莉「え……?どうして……」
善子「だって私には別に関係ないのよ、そんなの。ダイヤがどんな事情を抱えているかなんて私には関係ないし、私には私の成すべきことがあるから」
鞠莉「善子……」
善子「……ごめん鞠莉。他人に構っている暇はないの。私には私の事情ってものが
鞠莉「ルビィが関わってるって言ったら?」
善子「!!?」
鞠莉「……あのね、善子」
鞠莉「今日の夜……村祭りで」
鞠莉「……」
鞠莉「……ルビィはその身を、海に捧げなくちゃいけないのよ」 善子「……」
もう私は驚かない。だって覚悟はできてたんですもの
それがこの力と……ルビィと、ともに生きることだって思ってたから。心の片隅ではどこか、ずっと
ダイヤに出来ないことだとしたらそれは、きっと私の役目なのかもしれないって
鞠莉「善子……?」
善子「ありがと鞠莉。今のでようやく決心がついたから」
鞠莉「あっ……」
善子「もう絶対、私は泣いたりなんてしないから」タタタッ
鞠莉「……善子!!」
鞠莉「一つだけ!一つだけ約束して欲しいの!!」
善子「!」ピタッ
鞠莉「ダイヤのこと……」
鞠莉「あの子だけはどうか、傷つけないで……」
鞠莉「あの子が一番苦しんでること……私は知ってるつもりだから……」
善子「……」
善子「……善処するわ」
タタタッ
鞠莉「あっ!善子!!」
鞠莉「……」
鞠莉「善子……」 ———
善子「はぁ……はぁ……」
タタタッ!!!
善子「うっ!うわぁぁっ!!!ルビィっ!!!」
重い体に鞭を打ち、私はがむしゃらに走っていた
善子「ルビィ……!!ルビィ……!!」
目的地なんかわかりっこなかったけど、ただルビィを助けたいっていう信念だけが、体を突き動かしている
善子「だって、だってまだ何にも!返せてないんですもの!!」
善子「まだ何もしてあげられてないじゃない!私は!!」
善子「愛もキスもたくさんもらった!!たくさん愛してもらったのに!!」
善子「ずるい!!ずるいわよ!!求めるだけ求めて!!それで自分だけ逃げるっていうのは!!」
善子「私だって、私だってルビィのこと!!」
ガツッ!!
善子「あうっ!」
ズシャーッ!!
善子「い、いたっ……」 善子「……くそっ!」
ズシャッ!!
善子「はぁっ………はぁぁっ!!!」
善子「ルビィっ!!ルビィ!!」
言いたい想いはここにある。伝えたい言葉は溢れてくる
私、自分が思ってるよりずっと、ルビィのことが好きだったのよ
ルビィのことが大好きなの。どんな事実が判明してもこれだけは揺るぎようがなかったのよ、結局
ルビィがどんな娘であっても、誰とどんな関係を築いていようとも
私はルビィの全部を愛してあげたい。全部を知って、そのうえで包み込んであげたい
それがたとえ私のエゴだったとしても、例え誰かの真実でなかったとしても、私にとっての正解だって信じてるから
もう絶対その手を放さないって、今度こそ貴女に誓って見せるわ
だから、もう一度、もう一度だけ
善子「その手を、握らせなさいよね、ルビィ……!!」 善子「……わっ!」
ドシャッ!!
善子「はぁ……はぁ……もう!どうしてこういうときに限って転ぶのよ!!」
善子「私、時間ないんだからね!!」
善子「ルビィ……!!」
テテテッ
大切な想い、それ以外は全部振り払って、世界をぶっ壊しに行くのよ、私は!!
あなたのために、私のために!! 善子「ふぅ、ごほっ!はぁっ…………」
善子「こ、ここで、いいのかしら……?」
村の外れ、私の想いなんかとは裏腹に、祭りは恙なく盛り上がていた
善子「ルビィ……ルビィは……」
村の……こっちの方の祭りなんて、参加するのは初めてだった。だって私はこの人達から見れば余所者だったわけだし……
善子「ルビィ……!!お願い!!返事して!!」
善子(……集落の排他性、というのも理解しているつもりだったもの)
善子「ルビィ……!!!」
善子(海に、捧げる……)
善子「と、いうことは……」
善子「港……?」
善子「……!!」
タタタッ!! 善子「はぁ……はぁ……」
善子(あった!いっつも果南が登校の時に使ってる場所!!)
善子「ルビィ……」
テテテッ!
テテテテテテッ!!!
周囲を探しても、赤髪の少女の姿は見当たらなかった
それどころか、冷たく厳かな雰囲気が……
周囲の、凛と張り詰めた凍てつきが……
……どうにも、私の不安を掻き立てる
善子「ルビィ……!!ルビィ……!!」
落ち着きなさいヨハネ!!まだ!!まだきっと何か出来るはず!!
だって私は!!誰も持ってない特別な力!!持ってるんだから!!
この力があれば!!なんだって出来るはずなんだから!! 善子「ルビィ……ルビィ……!!」
お願い……!!届いてよ!!私の声!!
今だけ……今だけ、この想いのかたっぽだけでいいから……
善子「お願い、だから……」
善子「……」
善子「ルビィ……」
善子「……くそっ!」ドン!!
人智を超えた万能な力なら!!テレパシーくらい使わせなさいよ!!全く!!
善子「ルビィ……!!ルビィ……」
善子「ルビィ……」
………善子ちゃん?
善子「!!?」 善子「ルビィ!!?」
あれ……変だな?善子ちゃんの声が聞こえるや……
善子「ルビィ!!ねえ!!ルビィなの!!?どこにいるの!!?」
ひょっとして善子ちゃんも……ルビィのこと考えてくれてるのかな?
善子「ルビィ!!いるの?いるんでしょ!!」
善子「お願い!!お願いだから答えて!!返事してっ!!」
もしそうだとしたら……ルビィ、嬉しいな……
善子「ルビィ!!聞いて!!私の声!!お願い!!答えてよ!!」
善子「もう少しだけ!!もう一回!!一回だけでいいから!!」
善子「最後にするから!!話したいことあるの!!私には!!ヨハネには!!」
善子「ルビィ!!ルビィ!!」
善子「はぁっ………はぁっ………」
善子「ルビィ………」
善子「……なによ、そうやってまた逃げるつもりなの?」
善子「いい加減に、いい加減にしなさいよねっ!!」
善子「ルビィっ!!!」
ヒュンッ!!
善子「わわっ!?」 〜沖〜
ダイヤ「……」
ルビィ「……」
キコキコ
ダイヤ「……」
ルビィ「……」
ダイヤ「……ルビィ、ごめんなさい」
ルビィ「えっ……?」
ギュッ!!
ルビィ「お姉ちゃん……」
ダイヤ「ごめんなさいルビィ、不甲斐ない姉で、本当にごめんなさい」
ルビィ「……」
ダイヤ「私がもっとしっかりしていれば、正しく皆を導けていたなら、もっと違う選択肢もあったかもしれませんのに……」
ダイヤ「だから……本当にごめんなさい、ルビィ」ポロポロ
ルビィ「……」 ダイヤ「……」
ルビィ「……ううん、お姉ちゃんは悪くないよ」
チュッ
ダイヤ「ルビィ……」
ルビィ「全部決めたのはルビィだもん。ルビィの意思で、ここまで来たんだよ?」
ルビィ「だからね、お姉ちゃん、笑って欲しいな?」
ルビィ「笑顔でバイバイしてくれないと、ルビィ、寂しい」ニコッ
ダイヤ「ルビィ……」
ルビィ「……」
ルビィ(ううん、本当はルビィだって寂しいよ)
ルビィ(だってまだたくさん、やりたかったこと残ってるんだもん) ルビィ「……」
ルビィ(あ〜あ、もっと善子ちゃんと楽しいこと、していたかったのになぁ……)
ルビィ(もっと遊んだり、お話したり、それからそれから……)
ルビィ!!
ルビィ「!?」
ダイヤ「ルビィ……?」
ダイヤ「どうか、したのですか……?」
ルビィ(善子ちゃん……?)
ルビィ!!?
ルビィ(あれ……変だな?善子ちゃんの声が聞こえるや……) ルビィ「……」
ルビィ「……ううん、そんなわけないよね」
ルビィ(だってこのお舟には、ルビィとお姉ちゃんしか乗ってないもん)
ルビィ(あはは、善子ちゃんに会いたすぎて、声が聞こえるようになっちゃったのかなぁ……?)
ルビィ!!ねえ!!ルビィなの!!?どこにいるの!!?
ルビィ「……」
ルビィ(ひょっとして善子ちゃんも……ルビィのこと考えてくれてるのかな?)
ルビィ(もしそうだとしたら……ルビィ、嬉しいな……)
ルビィ!!聞いて!!私の声!!お願い!!答えてよ!!
ルビィ(だって初めてできた恋人さんだもん。大切な人だもん)
ルビィ(そんな人がルビィのこと考えてくれてるってだけで、ルビィの心の中、すっごくぽわぽわしてくるから……)
善子「ルビィっ!!!」
ヒュゥン!!
ルビィ「ぴっ!?」
ダイヤ「きゃぁっ!?」
善子「わわっ!?」 ボフン!!
ルビィ「ぴぎゃっ!!」
善子「い、いてて……」
善子「ここ、どこ……?」
善子「……ってルビィ!?」
ダイヤ「善子さん!?」 ダイヤ「善子さん!?どうしてここに!?」
善子「ルビィ!!ルビィよね!!」
ルビィ「あ、うん、そうだよ……」
ルビィ「えっと……」
善子「ルビィ!!」
ギュッ!
ルビィ「わわっ!?善子ちゃん!?」
善子「やっと!!やっと捕まえたわよ!!」
ギュッ!
善子「もう!!どんだけ逃げようとするのよ、ルビィ……」
善子「おかげですっごく大変だったんだからね、こっちは……」
ルビィ「え?あ、うん、ごめんなさい……」
善子「ルビィ……」
ギュッ
ルビィ「善子ちゃん……」
ダイヤ「……」 善子「……」
ルビィ「……」
善子(言わなくちゃ、伝えたかった、あの想い)
善子「……ルビィ、あのね」
善子「私ね、ルビィのことが好きなのよ」
善子「ルビィがいないとどうしようもなくて、生きていられなくなるくらいなの」
善子「それくらい好きよ、ルビィ」
ルビィ「……」
善子「だからルビィの心を、奪いに来たの」
ルビィ「……」
善子「ルビィ、貴女さえよければ、私のものになって欲しい」
善子「必ず幸せにして見せるから、貴女のこと」
善子「この力を使って、絶対」ギュッ
ルビィ「善子ちゃん……」 善子「……というわけで、ルビィは頂いていくわよ、ダイヤ」
ダイヤ「……」
ルビィ「……」ギュッ!
善子「ルビィ……?」
ルビィ「ぐすっ……ずるいよ、善子ちゃん」ポロポロ
善子「……ええ、だってヨハネ、堕天使なんですもの」ナデナデ
ルビィ「えぅっ……ぐすっ………」
ルビィ「うん、善子ちゃんカッコイイ、ずるい………」
ルビィ「いっつも善子ちゃんルビィのこと守ってくれてるから、今度はルビィが善子ちゃんのこと、助けてあげる番だなって思ってたのに……」
ルビィ「ルビィだってホントはもっとカッコつけたかったのに……」
善子「……ええ」
ルビィ「ほんとはもっといっぱい、楽しいことしていたかったよぉ……ぐすっ……」 ルビィ「放課後にお買い物行ったり、たくさんデートしたり、ちょっとイケないこと、二人でしてみたり、それからそれから……」
ルビィ「あのねぇ、ルビィだって普通の恋愛、善子ちゃんとしていたかったの……」
ルビィ「普通に善子ちゃんのこと好きになって、普通にお付き合いして、毎日笑って一緒に帰るの。そんな関係になりたかったの、ルビィ。ぐすっ」
善子「……ええ、私もよ」
善子「でもね、そんなのまたやり直せばいいじゃない。二人で幸せになりましょう、ルビィ」
ルビィ「……ううん」
パシッ!
善子「えっ……?」
ルビィ「無理だよ善子ちゃん。だってルビィ普通じゃないもん」 ルビィ「無理だよ善子ちゃん。だってルビィ普通じゃないから」
ルビィ「ルビィはね、普通の女の子じゃないから。可哀そうな女の子だから」
ルビィ「ルビィがいるとお姉ちゃんも困っちゃうし、善子ちゃんだって普通じゃなくなっちゃうの。ルビィはそれがね、すっごくイヤなんだ」
ルビィ「ルビィのせいで誰かが傷ついちゃうのは、もうイヤなんだ」
善子「ちがう!!ルビィのせいなんかじゃないわよっ!!この力だってきっとそう!!ルビィのために存在してるのよ!!だから私!!絶対に
ルビィ「ごめんね善子ちゃん。ルビィの最期のわがまま、許して欲しいな?」
善子「あっ!!」
チャポン!
善子「ルビィっ!!!」
善子「……このっ!!!」
ドピュン!!
ダイヤ「善子さん!?」 ブクブク…
善子(うっ、くる、しい……っ!!)
当たり一面は深き黒が覆っている。光も差し込んでこないのか、右も左もわからない
水が体を纏わりついてくる。重力も感じることが出来ない
上下の間隔すらなく、ただそこに漂うのみ
ゴポゴポ…
善子(んっ!がぼぁっ!!!)
自分がどこから来たのかすらもわからない。もちろんどこへ向かうのかさえも
でも、その中でも揺らがない、ただ一つの光陰 善子(ルビィ!!!)
暗き黒の中でも確かに光る紅の色。彼女の放つ輝きは、その名前にも引けをとらない
善子(ルビィっ!!ルビィっ!!)
スカッ!!
善子(お願い!!声!!届いて!!返事してよ!!)
ルビィの体は煌めきながら、ゆっくりと底へと落ちていく
善子(お願い!!手!!届いてよ!!)
スカッ!
善子(あと少し!!あと少しなのに!!どうして!!どうして届かないの!!?)
善子(そうだ!力!!)
スカッ!
善子(動いて!!動きなさいよ!!動け!!!)
ボコボコボコ!!
善子(はぁっ!あがっ!!もがっ!!)
善子(うぐっ!!い、いき、くるし……がぼぁっ!!)
善子(せ、せめて、最期だけでも、ルビィと一緒に……)
パァァッ…
善子(うっ、ルビィ……ルビィぃっ!!!!!)
シュイーン!!!
必死に伸ばそうとした指先は、超えて行ってしまいたい程だった ———
善子「……」
ガチャッ
鞠莉「あら善子、おはよ」
善子「ええ、おはよう、鞠莉」
善子「……」
ドポポポ…
善子「……はい、コーヒー。鞠莉の分も注いどいたわよ」
鞠莉「あら気が利くのね、ありがと」
善子「……」ゴクゴク
鞠莉「……ルビィは?」
善子「さあ?まだ寝てるんじゃない?」
鞠莉「そう……」 善子「ちょっと起こしにいってくるわね」ガタッ!
鞠莉「え、ええ……」
スタッ!
鞠莉「善子!」
善子「なに?」
鞠莉「えっと、その……」
鞠莉「ひ、一人で抱え込もうとはしないでよね……マリーがずっと、ついてるから……」
善子「……ええ、ありがと」
ガチャッ 善子「ルビィ?」
コンコン
善子「お邪魔するわよ」
ガチャッ
ルビィ「あ、善子ちゃん……おはよ……」
善子「ええ、おはよう。ルビィ」
ルビィ「えへへ……」
善子「……何よ?」
ルビィ「ううん、ただ幸せだなぁって思って」
ルビィ「朝起きたら善子ちゃんが隣にいて、おはようって言ってくれることがすっごく幸せだなぁってこと、ルビィ気づいたんだぁ」
ルビィ「だからルビィ、すっごく幸せなの」 善子「……そ」
ナデナデ
ルビィ「ん、気持ちいい……」
善子「……」ナデナデ
ルビィ「……ねえ善子ちゃん」
善子「……何よ」
ルビィ「おはようのキス、欲しいなぁ……」
善子「……さっきおはようって言ってくれるだけで幸せだって言ってなかった?」
ルビィ「え〜?それとこれとは別だよぉ〜」 善子「……」
チュッ
善子「んっ……」
ルビィ「ふぁ………//」
トローン♪
善子「……これで満足?」
ルビィ「ううん、もっと♪」
善子「……もう、しょうがないわね」
ハムッ!
善子「んっ……んっ………」
ルビィ「んっ………あんっ………」 あの日あの後、鞠莉のとこのヘリポートに打ちあがっていたところを、私たちは発見された
第一発見者は鞠莉。私たち二人の状況で察しがついたのか、すぐにホテルに匿ってくれた
だから私たちは世間的には死んだことになっているらしい。少なくともダイヤの中ではきっと
善子「……ぷはっ!」
善子「ほぁっ!………もう、朝からがっつき過ぎよ」
ルビィ「えへへ〜、ごめんねぇ」
フキフキ
ルビィ「く、くすぐったいっ……」
善子「我慢しなさい、口元拭いてあげるから」
サラサラ 私たち二人の命が助かったのは、奇跡だと思ってる
だってあの時、記憶の糸がプツンと切れたその瞬間に、死んだものとばかり思ってたんですもの
この奇跡が神様のいたずらなのか……はたまた私の力によるものかはわからなかったけれど、それでもルビィは生きている。私にはその事実だけで十分よね
善子「……ご飯、食べる?」
ルビィ「うん!食べる食べる!!」
カチャカチャ
ルビィ「ねえねえ善子ちゃん!今日の朝ごはんなあに?」
善子「ポテトサラダよ。私が作ったの」
ルビィ「わーい!ルビィ、ポテトサラダだいーすき!!」 善子「食べさせてあげるわ。ほら、口開けなさい」
ルビィ「……善子ちゃん、お口で食べさせてくれたりしないの?」
善子「なっ……!!//ばっ!!そ、そんなことするわけないじゃない!!//」
ルビィ「ぷ〜っ、ケチ〜」
善子「ほら、バカなこと言ってないで口開けなさい」
ルビィ「はーい……」
モグモグ
善子「どう、美味しい?」
ルビィ「……善子ちゃんの方が美味しいよ?」 善子「……」
ペチッ!
ルビィ「ぴぃっ!?」
善子「……〜♪」
ツンッ
ルビィ「きゃっ!?よ、善子ちゃん!!スプーンでほっぺたつんつんするのやめてぇ!!」
善子「さっきのお返しよ、ルビィ♪」
ルビィ「くすぐったいから!きゃっ!あはははっ!!」 ルビィ「はぁ……ふわぁ………」
ルビィ「善子ちゃん、ルビィはしゃいだら喉乾いちゃった。お水、欲しいな?」
善子「ええ、ちょっと待ってなさい」
善子「よっ!っと!!」
フワッ!
善子「キャッチ!」ストン!
ルビィ「うわぁ〜、やっぱりすごいねぇ〜、その力!!便利!!」
善子「そう?まあ否定はしないわ」
善子「それよりほら、はい、お水。ストロー付けたらルビィでも飲めるでしょ?」
ルビィ「あっ!ありがと!善子ちゃん!!」
ゴクゴク
ルビィ「んくっ………んくっ…………」 善子「……」
あの日以来、ルビィはあまり体が動かなくなってしまった
それが力の代償によるものなのか、副作用なのか、はたまた海中に深く潜ったことによる障害なのかは、私にはわからなかった
でも一つはっきりしてるのは、私の力はルビィのためにあるってこと
だから私はずっと、ルビィのそばで、この娘を支えてあげなくちゃいけない
ルビィ「善子ちゃん……?」
善子「えっ?なに?ルビィ」
ルビィ「善子ちゃん、さっきからぼーっとしてたけど、考え事?」 ルビィ「ルビィね、善子ちゃんの力になりたいんだ!困ってたら、ちゃんとお話してね!」
善子「……ええ、ありがとルビィ。その気持ちだけで十分よ」ナデナデ
ルビィ「〜♪」
善子「……」
ルビィ「よ〜しこちゃん!」
ルビィ「ごちそうさまのキス!欲しい!」
善子「……もう、しょうがないわね」
チュッ♪
ルビィ「んっ………んっ………//」
善子「んっ……んっ…………//」
世界も道理も干渉できないところで、こうやって二人だけでキスをしていたい
ルビィと結ばれた細い唾液の糸に、そんなか細い願いを私は託した ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています