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ダイヤ「欲満ちる夢の痕」
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0001名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 11:56:49.79ID:kl+v1VcJ
 
気づけば、車の中に連れ込まれていた。
叫び声も届かず抵抗していた手足も、二度殴られて鈍った瞬間に縛り上げられてしまって――

ダイヤ「っ……ぅ……」

なんで……どうして……
痛い……怖い……痛い……っ

気丈に振舞う余裕なんてなかった。
煩いからと殴られるのが怖くて、噛み殺すように耐える。

挿入を容易にさせるローションによって、
自分の体に関係なく、男性のそれが体に入ってくる

ダイヤ「ん……っ……はっ……」

ぐちゅり、ぐちゅりと音がする
摺り合わさる液体に空気が含まれ――ぐぷっ……と、破裂する

男性の荒い呼吸、腰をぶつけられて体が揺れる
何度も何度も、意思とは関係なく体を重ねられる

下腹部に感じる不快感
こじ開けられる嫌悪感

乳房を乱雑に扱われ、
心地よさなど微塵もなく、痛みと、悔しさと、悲しさばかりの時間が続いて
だんだんと激しく乱暴になっていく男性の動きが、不意に腰を打ち付けた状態で止まり、吐息が変わる

ダイヤ「ぇ……?」

動くのをなぜやめたのか。
高校生にもなれば、授業ですでに習っているであろうそれだと――察する。

ダイヤ「ぁ……」

「これからも、よろしく」

男性の厭らしいささやきが耳に残る
体からそれが抜かれて、下腹部が空気に晒されたのを感じながら
これで終わりではないのかという絶望感に、これが夢でありますようにと――祈るほかなかった
0002名無しで叶える物語(しまむら)
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2020/07/24(金) 12:00:07.64ID:5k0AqFc3
抜いた
0004名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 12:04:51.30ID:kl+v1VcJ
  
―――
――――――
――――――――

ダイヤ「はぁ……」

目を覚まして早々に、景気悪くため息をついてしまう。
じっとりと汗ばんで、熱を帯びる体
僅かに動くだけでも、張り付いた肌着の不快感が強調される

嫌な夢を見たのかもしれない。
でもと言うべきか、だからと言うべきか、わたくしはそれを一切覚えていない。
ただ、体には……その夢の痕が残っている。

ダイヤ「……」

あたかも粗相をしてしまったかのような下腹部の濡れそぼった違和感
摺り合えば、仄かに糸を引くそれだけが単なる粗相ではないと表す

掛布団を避ける
掛布団には被害はなさそうだが、寝間着は水分を含んでいて
シーツにまで浸っているのが一目でわかる。

ダイヤ「あぁ……」

高校生、それも三年生になってなんてことをしてしまったのかと、
朝から死にそうなほどに自己嫌悪することになった。
0005名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 12:15:10.28ID:kl+v1VcJ
ルビィ「あれ……お姉ちゃん?」

ダイヤ「ルビィ、悪いけれど今日は先に行ってて」

ルビィ「なにかあったの?」

ダイヤ「ちょっとね」

汚れたものをまとめ、シャワーを浴びながら汚れものを軽く揉み洗い
ルビィが起きてくる時間になってようやく浴室を出られたわたくしは、
ルビィに先に行くよう促してから、自室に戻ってため息をつく

朝から粗相のお片付け
汗を流してさっぱりしても、心まではさっぱりしていなかった
0006名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2020/07/24(金) 12:21:44.65ID:xdPXebCg
夢オチなのか....
0007名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 12:26:59.15ID:kl+v1VcJ
嫌悪ばかりの心持で、通学し、自席で頭を抱える
生徒会長としてどうなのかと言うものはあるけれど、わたくしだって一人の女子生徒
悩みくらい抱えるものだから許してほしいと……ため息が零れた

果南「どうしたの?」

ダイヤ「今は一人にしてください」

果南「そんな私悩んでます。みたいな恰好で言われても心配なんだけど」

私の席の前
他の級友の席を借りた果南さんが前に座る
一人にして欲しいと言ったのに、目を離してくれるつもりはないようですわね。

ダイヤ「……」

果南「ダイヤ?」

朝から粗相をしてしまったので。なんて言えるはずもなく
我慢できないため息を漏らして、頭を上げる
0008名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 12:31:15.70ID:kl+v1VcJ
ダイヤ「果南さんは、夢の内容を覚えていますか?」

果南「夢?」

不思議そうにする果南さんに頷く。
もしかしたら嫌な夢を見たのかもしれないと果南さんは心配そうにしてくれたけれど、
残念ながら、それを思い出せないと首を振る

ダイヤ「どんな夢を見たのかは覚えていないんです。ですが、体に不快感が残っていて」

果南「それ、過去の記憶とかは?」

ダイヤ「前世?」

果南「違う違う。ダイヤの過去」

ダイヤ「それは……どうでしょう?」
0010名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 12:35:02.12ID:gdcX2nW6
読ませる文章やなぁ
0012名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 12:37:58.56ID:kl+v1VcJ
果南「でも夢の内容は覚えてないんでしょ?」

ダイヤ「ええ、まぁ」

果南「だったら、小さい頃の怖いことを思い出しちゃったんじゃないの?」

果南さんは真剣にそう言ってくれるけれど、私はそうではないと確証が持ててしまう
私の感じた不快感は、体の火照りとそれによる下腹部の潤い
幼少期の夢ならば、感じるのはアンモニア臭であることが正しいと思う。

けれど、そうではなかった。

ダイヤ「いえ、きっと……そういう類のものではないんです」

果南「そう……?」

ダイヤ「怖いのではなく、不快だったんです」

果南「ん〜……そう言われてもなぁ」
0013名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 12:46:17.71ID:kl+v1VcJ
体をのけぞらせるように起こしながら、果南さんは教室の出入り口を見る
丁度入ってきた鞠莉さんと目が合ったのか、手招きする。

呼ばなくても来たとは思う。
けれど、一人にして欲しかったのにどうして呼ぶのかと……
いえ、その事を解決しようとする優しさは嬉しいですが。

鞠莉「はぁい、果南、ダイヤ。どうしたの?」

果南「ちょっとね」

ダイヤ「呼んでからはぐらかしてどうするんですか……」

鞠莉「ん?」

ダイヤ「夢のことで、少し悩んでいるんです」
0014名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 12:51:01.22ID:kl+v1VcJ
将来の夢だとありふれた勘違いをしてくれそうな鞠莉さんに、
今朝の夢で体に不快感が残っていたことを話す。
その夢が何だったのか。
それを知りたいとは思っていないけれど、とにかく不快で悩んでいたのだと話した。

鞠莉「なるほどね〜」

果南「鞠莉はそう言うことある?」

鞠莉「ん〜あんまり」

ダイヤ「でしょうね」

鞠莉「でしょうね?」

えっでしょうねって何、えっなに? と
わざとらしく詰め寄ってくる鞠莉さんに、冗談です。と笑ってごまかす。
鞠莉さんに悩みがないとは言わないけれど
夢までそれに侵される人ではないと、思っている。
0016名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 13:07:24.24ID:kl+v1VcJ
鞠莉「その夢による不快感って、具体的に聞いてもいい?」

ダイヤ「上手く言葉に出来ないんです」

果南「形容しがたいってやつ? 時々あるよねぇ」

鞠莉「そう……」

性的な不快感などとは口に出来ないので誤魔化したけれど、
果南さんは納得してくれて、鞠莉さんも少し悩まし気ながら頷く。
察されたとしても、流石に言葉にはしないでくれると思う。

鞠莉「そういう夢とか幻想的な話なら、善子に聞くと良いと思うわ」

ダイヤ「善子さん、ですか?」

果南「あー確かに、向いてるかもね。その手の相談」

二人は真剣に考えてくれたけれど、
具体的なことを語れないわたくしの言葉から答えを導くなんて難しかったようで、
その問題は善子さんへと投げられることになって

ダイヤ「いえ、明日の朝もダメそうだったら、ご相談します」

流石に、大事にしたいことではないので断った
0018名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 13:30:38.56ID:FPTOFUOt
 
――――――――
――――――
―――

まばらに人のいるバスの中、
いくつもの席が空いているのに、なぜだかその男性はわたくしの隣に腰を下ろした。
二人席、窓際に居たわたくしを隠すほどの大柄なその男性は窮屈そうに体を動かす。

ダイヤ「あの――」

「騒ぐな」

ダイヤ「っ」

男性は、その大きな手にはとても小さく見える刃物を、脇腹に押し付けてくる
少しだけ刺さった痛みを感じた瞬間に、これは冗談なんかではないと……体が強張る

周りに人はいる。
通路を挟んだ隣の席、二つ後ろの席
けれど、大柄な男性に阻まれて、唯一以上を察せられる隣席からは見えていない。

ダイヤ「人が……いるのに」

緊張感からか、声が震える
こんな場所で何をしようと言うのか
その戸惑いの声に、男性は嬉しそうに笑って

「バレたら殺すだけだから」

私にしか聞こえないほどの小さな声で、優しく言った。
0019名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 13:43:40.05ID:FPTOFUOt
ダイヤ「なにが……目的ですか?」

元網元であるわたくしの家は、普通に考えてもお金を持っている
それゆえに身代金目的の誘拐を考えているのか……そう、思ったけれど

「靴と靴下、脱いで」

ダイヤ「え……?」

「二度言わせるな」

ダイヤ「痛っ」

刃物がぐぐっと……脇腹に刺さる
まだ1センチにも満たない感覚は、それでもしっかりと痛みがあって
恐る恐る男性を見ると、早くしろ。と、顎で促してきた

ダイヤ「っ……」

狙っていたのか、偶然なのか
男性の刃物が刺さっている場所は屈むには支障がなくて、
少しばかり前のめりになって、靴を脱ぐ
右足、左足

ダイヤ「………」

恐怖に手が震えてしまう
靴下の先を摘まむだけなのに、ただ引っ張るだけなのに思っているよりも時間がかかる
0020名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 13:57:32.45ID:FPTOFUOt
バスが何かで止まる
刃物の痛みを体に感じているせいか、
その揺れに乗じることも出来ないまま、靴下も脱ぎ終わってしまう

ダイヤ「脱ぎ……ました」

「こっち側に寄越せ」

靴の中に靴下を押し込み、それを男性の足元の方に押しやる
素足で床を踏むひんやりとした感覚が、より現実味を帯びたものに感じさせた

男性はポケットから小さな袋を出すと、
折り畳みのバッグだったらしく、瞬く間に中型のバッグとなって……その中に靴が消える

ダイヤ「靴と靴下が欲しいのですか?」

「次は下着とスカートだ」

ダイヤ「それはっ」

「殺してから奪ってもいい」
0021名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 14:05:57.96ID:FPTOFUOt
ダイヤ「こんな、場所で‥…」

多くはないけれど、人のいるバスの車内
それも、自分の知らない赤の他人
こんな場所で、下着を脱ぐどころかスカートも脱ぐ
下半身を晒さなければならないということに、不快感が生じる

ダイヤ「あ――っぁっ」

男性の刃物が、横に動く
刺しこまれたわたくしの身体を抉るようなその動きに、耐えられず声が漏れる。
叫びそうだった、泣きそうだった。
けれどその口に、男性の手が宛がわれる。

「脱げ」

殺されて奪われるか
自分で脱いで、辱めを受けるか
どちらも受け入れがたいけれど……死んだ自分の体が裸に剥かれて好奇の目に晒されるか
生き延びて、その仇をぶつけるか

ダイヤ「……はい」

震える手で強く握り拳を作って、歯を食いしばった
0022名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 14:18:46.98ID:YxtFduuL
わたくしの力では、大柄な男性に怪我をさせられない
不意を突けても、男性がわたくしを殺すまでに誰かに助けて貰えるとは思えない

だから……従うしかなかった。

まずは、ショーツ
少しだけ腰を浮かせて、スカートの中に入れた手で縁に指を入れて一気に引き下げる
膝のあたりまで下げた白いショーツを、前屈みになりながら足首にまで落として
左足、右足
それぞれを浮かせてショーツを完全に外す

ダイヤ「ぅぅ……」

ショーツの隔たりがあったスカートの感触
それが無くなっただけで、不快感と嫌悪感が押し寄せてくる
床に落ちているショーツを手に取ると、まだ温もりが残っていた

「寄越せ」

ダイヤ「………」

「寄越せ」

男性は語気を強めるのに奪わない
あくまで、わたくしの意思でさせようとしているように感じた
0023名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 14:32:53.75ID:YxtFduuL
ショーツを渡すと男性はそれを袋に入れずに、自分の口元へと持っていく
何をされるのか――すぐに分かってしまう

ダイヤ「やっやめ――痛っ」

「すー……っ、ふぅー……っ」

ダイヤ「っ……」

止めようとした体は刃物に止められて、
彼の鼻ではなく、口がわたくしのショーツを楽しむ音が聞こえた。
気持ち悪く、吐きそうで、なによりも――恐ろしかった。

「スカートもだ」

男性はショーツを口に宛がったまま、スカートも脱ぐようにと求めてくる
スカートも、同じように男性に弄ばれるのだろうか
一番肌に接していたショーツが目の前で遊ばれていることに、
どうしようもなくなった動悸が、もはや痛いとさえ感じて、嫌な汗がじっとりと体を包んでいく

ダイヤ「か、嗅ぐのを、やめて……」

「スカート」

ダイヤ「お願い……」

男性はわたくしを一瞥すると、
クロッチの部分を私に見せつけてから、にゅる……っと、伸ばした自分の舌を絡ませて

「じゅりゅ……」

わざとらしく、音を立てた
0024名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 14:56:53.04ID:YxtFduuL
「さっさとしないと、もっと楽しませて貰うが?」

ダイヤ「ひっ……」

ショーツを咥えて楽しむ男性の、もっと楽しむという言葉に血の気が引く
それ以上に酷いことだと思わされる頭には恐怖ばかりで、
いかにして穏便に終わらせるかと言う考えに支配されていくのを感じた
感じたとしても……どうにもならない。

慌ててスカートのホックを外してからジッパーを下げる。
ただただ、怖かった。
理解の出来ない男性の異常さが。

ダイヤ「脱ぎます……脱ぎますから……っ」

これ以上、自分の大切な部分を覆っていたものを汚されるのが耐えられなくて
勢い任せに脱いだスカートを男性に渡す。

ダイヤ「やめて……もう、やめてください……」

懇願をすると、男性は汚らしく濡れたショーツとスカートをバッグの中に隠して
刃物を持っていない方の手で、わたくしの頭を撫でた

「次」

ダイヤ「痛っ」

脇腹を抉っていた刃先が抜かれて、紅く濡れたそれが目に入った
0025名無しで叶える物語(ぎょうざ)
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2020/07/24(金) 15:07:11.01ID:Y9E8wDxj
読みにくいしゴミ
0026名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 15:13:04.64ID:gdcX2nW6
ちんぽビンビンですよ、ことり
0027名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 15:13:42.93ID:YxtFduuL
「足、開いて」

ダイヤ「はい……」

疑問はなかった、抵抗もなかった。
男性の指示を素直に受け入れて、何も纏っていない足を開いた。
閉じていた部分が僅かに開いて、空気が触れた。

バスが停まって、揺れて、扉が開いて誰かが降りる。
誰も、わたくしがこんなことになっているなんて気付いていない、わからない

ドキドキと早まる鼓動、流れる汗、
恐怖と緊張感からか体が熱くなって、頭が痛くなってくる

男性は刃物を開いた足の間に突き立てて、そこに映るものを見る
他人になんて見せたくない、隠し通すべき場所
それを鏡写しに男性は見ていて……わたくしは同じようにそれを見ていた

汗だと思いたい艶やかさを感じるその部分に、男性の指が伸びる
閉じれば足が切れてしまう
だから、耐えた
0028名無しで叶える物語(しまむら)
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2020/07/24(金) 15:15:15.78ID:agqcBfiH
なんで書いたの?
0029名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2020/07/24(金) 15:24:36.28ID:xdPXebCg
普通に名文やんか
キャラがキャッキャしてるだけのもんしか受け付けないゴミは無視で
0030名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 15:29:57.30ID:YxtFduuL
ダイヤ「んっ……」

男性の指が、筋をなぞる。
汗ばんでいるせいか男性の指の感触は強く感じられて、
変な声が出てしまう

男性の指は、脅迫する厭らしさほど厭らしくはなくて
とても優しく、丁寧に身体に触れてくる
人差し指と中指で閉じた割れ目を開く

にちゅ……と、音がして
男性の指が霞めると、じわりといけない感覚が滲む

ダイヤ「っ……」

幼少期に自分の親、それ以降は自分でしか触れたことのない部分を、
見知らぬ異性に侵されているのに……体は拒否するどころか受け入れる
抵抗して殺されるかもしれない
もっと酷いことをされるかもしれない

それが怖くて……怖くて。
男性の指先が入り込むのが見える刃物から目を逸らす。
それでも、くぷぷ……っと、挿入される感覚と音ははっきりとしていた。
0031名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/24(金) 15:31:05.16ID:fJXw2kGN
普通に駄文やんか
ゴミが書いたゴミしか受け付けられないゴミは無視で
0032名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/24(金) 15:49:41.86ID:cMrOjS5X
応援しとるで
>>31みたいなアホは無視して続けてくれ
0033名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 15:59:21.46ID:YxtFduuL
ダイヤ「っふ……っ……」

刺しこまれた男性の指は、
無作為に出し入れするのではなく、内と外を擦るように動く。

ダイヤ「んっ……」

脅迫するような男性とは思えない指の動き
体は正直で……その感覚に喜んでいるのが分かる
自分で触れるのとは違う、予測のつかない他人の指先

ダイヤ「っは……ん……」

降りる予定のバス停だと音声が流れたけれど、
わたくしはそこで降りることを許されなかった。
男性の指は、わたくしの体を知っているかのように的確に動いて……侵して
まだ渇きの感じられた音は、にゅぷ……にゅぷ……っと、滑らかになる

男性の指はその先ではなく、根元の方にまで湿り気が伸びて
人差し指と親指を触れさせると……糸が伸びる
男性は、その指をわたくしの唇に塗りつけた
0034名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 16:10:39.65ID:YxtFduuL
ダイヤ「っ……ん……」

その汚らしくなった唇に、男性は唇を重ねた。
怯えていたから、抵抗しなかったのか
抵抗しなくていいと、受け入れたのか
自分自身が分からないままに、男性の唇は離れていく

唇を通る空気に、男性を感じる
接吻の間だけ止まっていた男性の指がまた動き出す
にちゅ……くちゅ……と、
だんだんとはじけるような水音が強まっていく

ダイヤ「っ――」

そうして……わたくしは、バスの中で赤の他人に快感を覚えさせられた
0035名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/24(金) 16:36:18.61ID:YxtFduuL
 
―――
――――――
――――――――

ダイヤ「っあぁぁぁっ!」

掛布団を跳ね飛ばして、飛び起きる
なにがなんだか分からない
けれど、体が火照っているのは分かる。

ダイヤ「んっ……っぁ……」

下腹部が疼く。
染みの出来た寝間着、シーツ、またぐらの感覚
ショーツがダメになっているのも、明白だった。

ダイヤ「はぁ……はっ……んっ……」

少し動くだけで、体に張り付く寝間着とショーツが擦れる
その微かなはずの刺激でさえ、声が漏れるほどに感じてしまう

ダイヤ「っぅ……ぁ……」

四つん這いになって垂れる髪を見つめながら首を振り、
今なお体中から感じる熱を耐えるように歯を食いしばって――乱れた敷布団に顔を埋める

頭が、おかしくなりそうだった
0036名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 16:37:08.85ID:YxtFduuL
続きはまた後程
0038名無しで叶える物語(かぶらずし)
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2020/07/24(金) 16:50:28.99ID:cCugP9ET
おっほぉ
0039名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 16:53:59.37ID:gdcX2nW6
お疲れ様です
全裸待機してます
0040名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/24(金) 16:59:18.09ID:FF3p7iDN
自演でステマしてて草
0043名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 18:17:00.63ID:YxtFduuL
昨日の夜、普通に眠った。
普通でないとしたら、
変な感覚を覚えてしまったことが怖くて、中々寝付けずにいたことくらい。
それでも、いつの間にか眠っていて……起きたら全身が酷い状態だった。

汗だくで、下腹部は刺激を求めて脈を強くしていたし、
触れたくてたまらない、触って欲しい。そんな欲求に呑まれる寸前だった。
飛び起きたときに達したであろう淫らな液体が、ショーツを脱いだ時に糸を引いたのを……忘れることが出来ない。
明日はもっと酷いのではないか。と。

ダイヤ「なぜ……どうして……」

体がおかしいのか、頭がおかしいのか。
一昨日までは普通だったのに、
昨日の朝……月曜日から急変してしまった。

起きたら体が熱を帯びていて、
眠っている間に感じてしまったであろう厭らしい臭気が漂う。
そんな、さわやかさの欠片もない目覚め

ダイヤ「……怖い」

これは明らかに異常としか言えない。
それも、人に言うことも憚られるような――はしたない異常さ。
恐ろしくて、ただ事ではなくて
息を飲んで……鞠莉さんの言葉を思い出す。

ダイヤ「善子さん……」

善子さんなら、夢の話に詳しいのではという話。
端末を手に取って、善子さんの名前を探して……少し躊躇いながら電話をかける。

ダイヤ「……善子さん、ご相談があります」
0044名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/24(金) 18:33:40.28ID:YxtFduuL
昼休み、果南さん達には生徒会の用事があると言って教室を出て、
善子さんを呼び出しておいた生徒会室へと入る。
入室すると、すでにいた善子さんは困ったようにわたくしへと振り向く。

善子「生徒会長の使う手じゃないんじゃない?」

ダイヤ「内密にして欲しかったので」

善子さんが振った手には、生徒会室の鍵がぶら下がっている
わたくしがこっそりと善子さんに渡した鍵
そのこっそりが、善子さんにとっては悪い手だったのでしょう。

ダイヤ「善子さんが生徒会役員になって下されば、合法ですわ」

善子「そんなの良いから」

善子さんは受けるでも断るでもなく、先を促す。
わたくしの密談の要求を重く見てくれている辺り、善子さんの優しさが感じられる。

ダイヤ「このことは誰にも話さないで下さい」

善子「わかった」

ダイヤ「それと……その、可能であれば軽蔑しないでください」

私の言葉に善子さんは動揺していたけれど、
逡巡するように視線が泳ぐと、善子さんは分かった。と、もう一度言ってくれた
0045名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 19:05:00.95ID:YxtFduuL
ダイヤ「何事かって、聞かないの?」

善子「ただ事じゃないことだけは分かるし」

なんでその相談が自分に回ってくるのか分からないけど。と零した善子さんは、
これも運の悪さだったりするのかも……と、少し項垂れる

犯罪とかだったら絶対にお断りすると言いつつ
善子さんはそれで? と、促した。

善子「私が軽蔑するかもしれないことって何なの?」

ダイヤ「昨日から体がおかしいのですが、どうやらその原因が夢にありそうなんです」

善子「……それ、私よりも病院に相談するべきじゃないの?」

ダイヤ「今日、部活には出ずに通院予定です」

善子「あぁ……ごめん」

謝る必要がないのに謝ってくれた善子さんは、
笑うこともなく、わたくしの夢と体の関係について、考えてくれているらしい

善子「寝落ちしたことってある?」

ダイヤ「……時々」

善子「なら、あのビクってする感覚分かるでしょ? ああいう感じではないの?」
0046名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 19:18:26.45ID:YxtFduuL
善子さんの話している感覚は確かに経験がある。
けれど、それとは一線以上に違えているもので、
そんなありふれたものではないと確実に言えてしまう

善子さんに首を振ると、
そっか。と、神妙に息をついて深く考えに没頭していく
昨日は、果南さん達に話さなかったこと。
不快感だと誤魔化したこと。
それを……話すべきかと考えて。

ダイヤ「朝起きると、凄く汗が出ていて……体が火照っているんです」

善子「お風呂入った後みたいに?」

ダイヤ「それと近いのですが……その、性的、な感じに」

善子「あぁ……あー……あぁ」

ポリポリと頬を掻いた善子さんは気まずそうにわたくしから目を逸らして、
納得したような吐息交じりの声を漏らした。
なるほど。という呟きもしっかりと聞こえた。

善子「そうなる原因の夢を見る理由が知りたいってやつ?」

ダイヤ「可能なら、それを見ない方法もです」
0047名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 19:37:04.26ID:YxtFduuL
善子「夢の内容は、あっち系ってことくらいしか分からない?」

ダイヤ「それも曖昧ですが、そうだろうという推測ですわ」

善子「前に調べた話だと、別に欲求不満だからとは限らないらしいから、そこは安心して良いかもね」

ダイヤ「なるほど……」

善子さんは考える姿勢のまま、記憶を掘り起こして話してくれた。
相手や、そのシチュエーションによって大きく意味が変わってくること
わたくしが、目が覚めて不快感などを感じているということから、
それが決して吉兆ではない可能性が高い……と、心配そうに。

善子「最近疲れてるんじゃない?」

ダイヤ「今までと変わりませんわ。昨日今日を除いて……ですが」

善子「気づいてないだけとか」

善子さんはわたくしをじっと見つめる
頭から、つま先までじっくりと観察した善子さんはため息をついて

善子「大丈夫そうに見えるけど、せっかくだし暫く練習休んだら? 生徒会の仕事も」

ダイヤ「簡単に言わないでください」

善子「生徒会の仕事くらいなら……手伝っていいやつだけ手伝ってもいいけど」
0048名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 19:52:28.05ID:YxtFduuL
ダイヤ「本当ですか……?」

善子「これで嘘つくわけないじゃない。さすがに」

疑われたと思ってムッとした善子さんだけれど、
私を見る目はとても優しくて、ふと、照れくさそうに笑った

善子「話しにくい相談まで、してくれたわけだし」

力になれることは力になりたいと言った善子さんは、
本気で、わたくしを助けようとしてくれているのが伝わってくる
普段はおふざけしていることもある善子さんが、とても真剣で
それが自分に向いていると分かるからか、胸の奥に温かいものを感じてしまう。

ダイヤ「……ありがとう、どうしてもダメそうだったらお願いします」

善子「いつでも連絡してくれていいから」

善子さんは優しくそう言ってくれたものの、心配そうに眉を顰める
自分だけで力になれるのか心配していると思ったけれど、違う。
わたくしのことを、心配してくれている。

善子「病院で、解決すると良いけど」

ダイヤ「ええ、本当に」

二人で、明日こそは問題がないことを願った
0049名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 22:30:14.63ID:4UGg3c+U
 
―――
――――――
――――――――

「会長、こんにちは〜」

「おっはよ〜ございま〜す」

生徒会室に入ってきた浦の星女学院の女子生徒二人
少し前に生徒会長一人じゃ大変じゃないですか〜? と、声をかけてきて
気付いたらその友達も付いてくるようになって、二人になっていた。

書類の確認はわたくしがしていても、その整理を担当してくれる二人は、
おちゃらけた言動とは裏腹に真面目で、とても助かっている

ダイヤ「おはようございます。いつもありがとう」

「いえいえ〜」

嬉しそうに明るい女子生徒の声が耳に入ったかと思った瞬間――頬に鋭い痛みを感じ
その痛みに混乱している間に、両の手が後ろに引っ張られていく

ダイヤ「なっ、なにをっ!」

「大人しくしてくださいね〜」

ばたつきかけた足も椅子へと縛り付けられて、
体を縛り付けられた椅子がガタガタと揺れる程度で、動きが取れなくなる
わたくしの頬を引っぱたいて縛り付けた女子生徒二人は
いつもと変わらない様子で、わたくしの前でニコニコと笑っているのが見えた。
0050名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 23:04:49.62ID:4UGg3c+U
ダイヤ「なぜ……こんなことを?」

「生徒会長さ〜も〜ちょっと、緩い女になったほうが良いですよ〜?」

髪先を緩やかに巻いている方の女子生徒は、
質問に答えることなく長い定規を手で弄んで、わたくしの方に向けてきた

緩い女という言葉の意味が分からないと察したのか、
ニコニコとした笑顔はそのままに、
会長の机に腰かけて、定規で頬を叩いてくる
馬鹿にされていると感じるその所作にいら立ちが募るけれど……どうしようもない

「会長さ、人と付き合ったことないでしょ」

ダイヤ「人付き合いくらい、ありますが?」

「違う違う〜。恋愛だよ。れ・ん・あ・い」

ぺちぺちぺちと定規で頬を叩きながら言う女子生徒の友人は、
あんまり叩かないようにしなよ〜と、ふわっとした声で制止する。
分かっていると答える女子生徒だけれど、その手の動きは止まらない

「叩かれたところ痛くない? 大丈夫?」

ダイヤ「痛むので、今すぐ解放して頂きたいのですが」

「もう一回叩いてもいいんだよ〜?」
0051名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/24(金) 23:54:16.58ID:4UGg3c+U
穏やかな女子生徒はわたくしを気遣うけれど、
もう一人の危うい女子生徒は、わたくしのことを全く気にしてくれてはいない
さっき頬を叩いたのも、彼女だと分かる

「今度は、この定規でね〜」

ヒュンッ……ヒュンッっと、音がする。
時折、ブンッと少し重い音になって、また軽い風切り音に戻る。
平手でも叩かれるのは痛い
けれど、定規で叩かれるその痛みはその比ではないだろうと……緊張してしまう

ダイヤ「何か、わたくしに恨みでも?」

「恨みがあるか無いかっていえば〜ない、かな〜?」

ダイヤ「なら、なぜ?」

「そうしたかったからだよ。生徒会長があまりにも固そうだったから」

「そうそう、解してみたくなっちゃってさ〜」

恨みがない
と言うことは、わたくしがいくら謝っても許されたり解放して貰えないということ
これは彼女たちの娯楽
その標的に、わたくしが選ばれてしまったということ

「今からあたし達が、会長のことゆる〜くしてあげるね〜?」

ダイヤ「今なら……なかったことに出来ますが」

「いやいやいや……終わった後に、生徒会長があたし達の言いなりになりように叩き直しちゃえば、同じことだから」
0053名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 11:36:35.75ID:diCLOMib
ダイヤ「しょ、正気……ですか?」

「その顔好き〜」

ダイヤ「っ……」

定規を持っている女子生徒は、わたくしの嫌がる姿が好きなのか、
とても嬉しそうに定規で頬を叩いてくる
ぺちぺちぺち……と、軽い音なのに状況に合わない彼女の笑顔が、恐怖を煽る

「叫んでどうにかなるとも思わないでね」

「生徒会室の周りがどういう状況か、ちゃ〜んと、調査してあるからね〜」

彼女たちは、生徒会の仕事を手伝うようにしたのは生徒会室の周囲を調査するため、
助けを求められたとき、逃げられたとき
どの程度ならば、バレることなく収束させられるかを調べ、考え、計画していたと語った。
お茶らけた言動と雰囲気と違って、とても思慮深いらしい

目頭が熱を持つ。
瞬きをすると、頬を何かが伝っていくのを感じる

ダイヤ「信頼していたのに……っ」

「そりゃぁ生徒会長の負担を軽くしてあげよう。って言うこと自体は本心だったからね」

「可愛いところあるね、生徒会長」
0055名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 12:12:44.07ID:diCLOMib
女子生徒の指が頬をなぞって涙を拭う
その手先はとても優しいのに、
彼女の心がわたくしを傷つけることに悦びを得ていると知らされたからか、落ち着かない。

「……しょっぱいというか、普通の水じゃないんだねぇ」

躊躇なく濡れた指先を彼女は舐めて、不思議そうに感想を述べる
彼女はわたくしの常識からは外れた考えを持っている
傷つけることを厭わず、行動することに躊躇がない。
裏切られたことが悲しくて、彼女たちの行動力が恐ろしい

「それじゃ、処置を始めよっか」

ダイヤ「っ」

「ビクビクしてて、可愛いよ。生徒会長」

ぺちぺちとした渇いた音が頬から聞こえるたびに、
それがいつ振り切られるのか警戒してしまう体が強張って、震えて
女子生徒は嬉しそうにわたくしの頬を手のひらで優しく包んで揉むように擦る。

一度平手で打たれ、ほんのりと赤らんだその頬への優しさ
処置を始めると言いながら、優しくされることに理解が出来ないまま――

パシンッ!

ダイヤ「っ!」

手のひらの温もりが、プラスチックの鋭い痛みへと変わった。
0056名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 13:02:50.41ID:diCLOMib
「痛い?」

ダイヤ「痛くないわけが――」

バシンッ!

反抗的と取られたのか、さっきよりも強い力で振り切られた定規は、
頬に弾むような痛みを残して、横へと抜けていく。
同じところを、二回
叩かれたひりつく痛みがじわじわと熱を帯びる

それからは、ぺちぺちぺち……バシンッ! と、
馴染ませるような力で叩いてから、振り切って引っぱたかれるのが三回続いた
全て左頬で、何も感じない右側と叩かれ続ける左頬の感覚の違いに、
余計に痛みを強調させられて――意思に関わらず、泣きそうになってしまう。

ダイヤ「っ……はっ……」

「赤くなっちゃったね。チークしてるみたい」

腫れたように赤みがかっている頬を叩いていない方の女子生徒が撫でる
叩かれた痛みの残る頬は指先が霞めるだけで、ピリッとした痛みが走る
その痛みに顔を顰めると、女子生徒はまた優しい声をかけてきて、触れる手が優しくなって
彼女に目を向けると……笑みが返ってくる
0057名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 13:32:11.05ID:diCLOMib
「唇は切れてないね」

ダイヤ「騙されませんわ……」

「騙すなんて人聞きの悪い。こっちは生徒会長虐めたい人だけど、私は一応仲良くしたいって思ってるんですよ?」

仲良くしたいとは何を言っているのか
体を縛って、頬を叩いている友人を止めもせずに放置していて、
赤くなってしまった頬を擦っているだけの人が。
本当に仲良くなりたいというのなら、今ここで友人を止めて助けてくれるべきだ

「まだまだ固い感じするね〜」

ダイヤ「申し訳ありませんが、いくら打たれてもわたくしの心は折れませんわ」

「そういうところだよ、そういうところ〜」

はぁ。と、
溜息をついた女子生徒は定規をアーチ状に歪めて遊び、
私の傍に居る友人に目を向けると、次やっていいよ。と、促す

ダイヤ「何をするのか存じませんが、痛いことをされてもわたくしは――っ」

その一言を終えるよりも先に、唇が塞がれる。
潤いの感じられる、少しふっくらとした肉感
それが唇によるものだと理解できたのは、彼女が離れてからだった。
0058名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 13:57:49.18ID:diCLOMib
ダイヤ「な、なん……え?」

「照れるよりも驚くんだねぇ」

不意を突いた行いに驚いて固まるわたくしをよそに、
彼女は痛みではない赤さのある自分の頬を指で掻いて、困ったように言う。
思ってもいなかったことをされたら驚くのなんて当たり前なのに

「ほら、生徒会長」

彼女の両手がわたくしの頬を包む
優しく、温かく、友人に傷つけられたのを気遣って
そうして……彼女はまた唇を重ねてきた。

ダイヤ「ん……っ」

押し付けるようなものではなく、触れさせるような接吻
唇の表面だけが接触するようなそれを、さっきよりも長く彼女は続ける
柔らかく、僅かな厚みのある彼女の唇は……きっと、女の子らしくて

ダイヤ「っ……ふ……」

彼女が離れると同時に、無意識に途絶えていた呼吸が再開して、
花のあるふんわりとした彼女の匂いが、体の中に入ってきた
0059名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 14:40:48.73ID:diCLOMib
「どう? ドキドキしてきた?」

ダイヤ「こ、こんなことで……別に」

「そういうのは、目を見て言わなきゃ」

一回目は驚きが上回っていたけれど
されると分かっての接吻ははっきりと感じさせられてしまった。
異性としたことは当然ないし、同性とだって全くない。
だから、わたくしにとっての接吻……キスは、これが初めてで。

彼女の目を見れば、否応なしに感じた肉感の正体である唇が目に入る
そうしたらきっと、視線はそこに向いてしまう
意識してしまう。

目を見てと言われても目を向けられずに背けていると、
彼女たちは楽しそうに笑った。

「ほんっと、生徒会長可愛い反応するね〜」

「初心だよ初心。高校三年生になって、恋愛経験0の可愛いバージンだもんね〜」

ダイヤ「っ……普通のことでは?」

そう答えると、定規を持ってる方の女子生徒はいやいやいや〜と、
定規を大げさに振って、机を何度も叩いた。
0060名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 15:51:13.10ID:diCLOMib
「普通は恋くらいするもんなんだよ。それをしてこなかった可愛い生徒会長は、キスだけでドッキドキだね」

ダイヤ「馬鹿にして……」

「してないしてない。可愛いは褒めてるんだよ」

接吻をしてきた女子生徒は、
痛みがだんだんと薄れつつあるわたくしの頬を撫でる
可愛いよ。可愛いよ。と、
小動物を愛でるかのように言う彼女は、親指でわたくしの口元を押し伸ばして――また、重ねてきた。

軽く、優しく、柔らかく
馴染ませるようなその甘い唇は、すぐに離れてしまう。

ダイヤ「っふ……」

「欲しそうな顔しちゃ、駄目だよ」

ダイヤ「そんな顔――っ」

していない。
していない……はずなのに。
彼女はわたくしと唇を重ねて
その感触はしっかりと……唇に残っていた。
0061名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 16:24:49.07ID:diCLOMib
「もう止めちゃうの? って顔してるよ〜?」

接吻をしない方の女子生徒の嘲笑を感じるようなくちぶりを、
もう一方は「いいじゃん、可愛いし」と一蹴して、わたくしの頬を触る。
撫でて、擦って、揉むようにも動くようになってきたけれど
定規の痛みも引いてきているからか、痛みは感じない。

「触ってても、嫌がらないし」

ダイヤ「抵抗して叩かれても嫌なので」

「あたしが叩くのと生徒会長の抵抗は関係ないから安心して良いよ?」

きょとんとした表情で、女子生徒は定規を弄る
その言葉に安心できる要素は欠片もない
こうして捕まっていることもそうだけれど、
わたくしがどうこうしても無関係に手を出されるというのが……不安になる。

「え、触られるの嫌なの?」

ダイヤ「加害者に触れられるのなんて、嫌がるものでは?」

「キスは受け入れてくれるのに」

ダイヤ「逃げられないだけですわ」
0062名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 16:42:21.39ID:diCLOMib
どうせ、抵抗しようがしまいが関係ないのなら
せめて心だけは強く、言葉はしっかりと向けようと。
女子生徒は残念そうな顔をするが、怒った様子はなくて、
友人も言った通り、わたくしを叩こうとはしてない。

「残念だなぁ……キスはそれなりに自信あったんだけど」

「じゃぁ交代ね」

ダイヤ「また、わたくしを叩くんですか?」

離れていく女子生徒を一瞥し、定規を持つ女子生徒に問いかける
彼女はニコニコしたまま答えてくれなくて

ダイヤ「顔はもうやめてください……」

そう言いながら、歯を食いしばる。
自分が何を言っても言動に変わりがないのなら、
顔を止めてと願っても顔を叩かれる可能性はある。
それを警戒して、やや俯きがちに固く唇を結んでいたわたくしの視界を、何かが横切って
バシンッ! っという強い衝撃は、頬ではなくスカートを挟んで太腿から伝わってきた。
0063名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 17:12:27.60ID:diCLOMib
ダイヤ「痛っ……ぁっ……っ」

反射的に跳ねた体に連動して椅子が揺れる。
じんわりとした痛み、熱
頬に感じさせられたのと同じものが、足に満ちていく

耳元で風が吹く
空気を振り払う定規の音が頭の中に摺りこまれて
その音が途切れると……叩かれるのではと体が強張ってしまう
けれど、彼女は叩かない

少しだけ間をおいてから――引っぱたく

ダイヤ「っあぁぁっ!」

「生徒会長、良い声だよね〜」

「それは同意するけど、傷はあんまりつけないでよ?」

「解ってるって」

二人はとても楽しそうに会話する。
まるで合いの手を入れさせるかのように、定規で足を打ちながら
痛みに呻くわたくしがいる傍で、とても……幸せそうに。
0065名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/25(土) 17:16:30.02ID:fB2EHypb
読んでてドキドキする
0066名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 17:35:00.14ID:vsT7oll+
こういうのやめてください
リョナライバーだからちんこビンビンになります
0067名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 17:49:29.10ID:diCLOMib
ダイヤ「はっ……はっ……っ」

叩かれて、休まされて、叩かれて
休ませて貰える時間は数秒から十数秒
それはバラバラで、
わたくしの耐えようとする仕草を見抜いているかのように、合間を縫う

――バシンッ!

ダイヤ「っ……あ゛あぁぁっ!」

鋭さのある痛みのせいで声を我慢できなくて
荒くなった呼吸が落ち着く間もなく、また悲鳴が漏れる

彼女の定規は、太腿の至る所に赤い痕跡を残す。
全く同じところは打たず、満遍なく叩かれる中で、
重なったところだけが一際強い赤色になっている。

ダイヤ「あ……ぅ……」

「生徒会長、汗凄いね」

ダイヤ「っ……」

定規を振るっていた女子生徒は、
なぜか、自分のハンカチを使ってわたくしの頬に浮かぶ汗を拭い、
激しい運動後のように、とぎれとぎれのわたくしに顔を上げさせる
0069名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 18:23:44.41ID:diCLOMib
「ん〜生徒会長Mっ気ないねぇ〜」

ダイヤ「えむ……っけ?」

「良いじゃない。それはそれで面白いよ」

彼女に支えて貰わなければ項垂れてしまいそうな頭では考え切れない言葉
それを理解している女子生徒は、楽しげに言う。
支えられ、上がる視線に映る女子生徒は、
私の視線に気づいたからか、にこっと笑って。

「大丈夫? 足……震えちゃってるね」

ダイヤ「痛……っ」

女子生徒の手が触れると、やっぱり痛みが走る。
頬には感じられた温もりも、今の太腿には、少しひんやり感じられる
散々叩かれた足は熱を持って赤く
彼女が言うように、カタカタと震えてしまっている

「ねぇ会長。私にキスされるのと、この子に叩かれるのどっちが好き?」

ダイヤ「ぇ?」

「キスが好きなら、交代してあげる」

ダイヤ「……っ」

頷くしかない。
ただただ痛くて苦しいことか、優しい接吻か
選択肢なんて――なかった。
0071名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 20:29:34.04ID:diCLOMib
「生徒会長、顔上げて」

ダイヤ「なん、ですか……?」

彼女はわたくしの前に膝をついて
赤く腫れて震える足を一瞥して、促してくる。
指示に従って顔を上げると、彼女は嬉しそうに笑みを浮かべて

「生徒会長なら、さっきの私とのキス。覚えてるよね?」

ダイヤ「……はい」

「じゃぁ、今度は生徒会長からしてくれるかな?」

ダイヤ「接吻……を?」

「ううん、キスだよ」

彼女は、私の接吻と言う言葉を否定してキスと言う
どちらも同じ言葉ではあるけれど、彼女はそう言って欲しいと言うことだと思って、頷く

ダイヤ「キスを、したらいいの?」

そう言ってあげると彼女は嬉しそうに微笑んで、
わたくしの縛られている椅子の空いている部分に手をついて、ぐいっと顔を寄せてきた。
首を動かせば、キスが出来る位置
その絶妙なところで、彼女は動きを止めて目を瞑る
0072名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/25(土) 22:21:28.73ID:diCLOMib
「心配しなくても大丈夫でしょ。下手でも」

躊躇いを感じたのか、定規を持つ女子生徒が口を開く。
彼女たちが言っていたように、恋愛をしてこなかった。
額ならともかく、唇になんて……キスだって彼女からされたのが初めて。
そう迷うわたくしに、女子生徒は苦笑する。

「上手にキス出来るかどうか気にするのってさ〜生徒会長だから? それとも、気に入っちゃった?」

ダイヤ「……生徒会長だから、です」

自信はなかった。
彼女が終始優しくしてくれる保証なんてなく、
もし機嫌を損ねたら叩かれ続けることになるかもしれなくて。
そう思って、彼女に気に入られるように上手くやろうとしていることを否定できない。
胸に手が当てられなくてもわかる

わたくしは――緊張していると。

ダイヤ「……」

目の前で目を閉じ、待ち続けている女子生徒
どうしようもなく唇が渇く。
舌でぺろりと舐めると、空気に触れる潤いを感じて、もう一度。
そうしてゆっくりと……彼女と唇を触れさせた。
0074名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 00:42:13.40ID:ycO1ZzcE
軽く触れる。
傾けるでもすり合わせるでもなく、ただ接触させるだけ。
それでも、彼女の柔らかさが伝わってくる。

ついさっきも触れた、彼女の唇の感触
頭の中にはもうそれがあるからか――これだ。と、心に感じる。

ダイヤ「っ……」

ほんの数秒、呼吸の必要もない時間
彼女と唇を触れ合わせて……離れる。
彼女はわたくしが離れてから、その瞼をゆっくりと開いた。

「緊張してるね、震えてた」

ダイヤ「……」

「大丈夫、最初はそれでいいんだよ」

彼女は穏やかな声色で言うと、頬を静かに撫でる
小指から親指までの、指先だけが触れるような柔らかな優しさ
人肌の温もりのないそれは、けれど、温もりを感じるもので。

「……かわいいね、会長」

彼女に触れられ、瞼を閉じていたわたくしを彼女は嬉しそうに褒めて、唇を重ねた。
僅かに傾けられた唇は、少しねじれて交わるように重なる。
表面だけだったキスの面積が、ちょっぴり深まって。
ほんの少し……彼女との距離が縮まった錯覚に陥る。
0075名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 08:53:45.32ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「ん……」

彼女が離れると、ちゅぷ……っと可愛らしい音がした。
キスがちゅーと呼ばれる要因のようなその音は耳に残り、余韻を感じさせる。
離れた彼女はわたくしの頬を愛おしそうに撫でる
わたくしが妹であるルビィにするようなものと似て非なる、愛情のある触れ方。

ダイヤ「っふ……っ」

彼女の感触の残る唇が、どこか空虚な感じがして
上下の唇をすり合わせて、舌で舐める。
自分の唇なのに自分のものではないように感じる
そんなわたくしを嬉しそうに見つめてくる彼女のその視線から、思わず逃れてしまう
叩かれてもいないのに、頬が熱くなる。

「かわいいよ、会長」

ダイヤ「やめて……」

「そうやって顔を背けるのが……かわいいんだよ。生徒会長」

ダイヤ「っ」

そうしてまた、彼女とキスをする。
かわいい。かわいい。
そう、褒めてくれる彼女の唇が自分の唇から感じられて
不意を突くキスに驚いて見開いていた瞼を……閉じる
視覚が失せて、呼吸が止まって、唇の触覚だけとなって、埋没していく
0076名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 09:14:25.28ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「っぁ……はっ……」

わたくしの意思に関係なく、彼女は離れる。
止まってしまう呼吸をさせてくれようとしているのかもしれない
けれど、けれど。

「……離れて、欲しくない?」

ダイヤ「そんなっ……こと、は」

声が消え入る。
視線が彷徨う。
自分の両手が後ろ手のまま動かせないのがもどかしい。

「抱きしめたい? 抱きしめられたい?」

ダイヤ「何も言わないで……」

想像してしまう。
彼女を抱きしめている姿、彼女に抱きしめられている姿
そうしながら……キスをしている自分
唇を内側に含む
彼女を視界の外に追いやるために、俯く。
0077名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 09:40:11.79ID:ycO1ZzcE
「抱きしめてくれるなら、腕、解いてあげてもいいよ」

ダイヤ「え……」

「私だって……生徒会長に抱いて貰いたいからね」

思わず彼女を見てしまうと、
彼女は本当にそうして欲しいと思っているような笑みを浮かべて言う
少しだけ困ったように歪んでいる眉
強制するのではなく、そうして欲しいと求めている瞳

ダイヤ「……抵抗するとは、考えないの?」

迷う。戸惑う。
抵抗させないように両手を拘束したはずなのに
それを解いてくれるというから。
馬鹿正直に口から出てしまった疑問を、彼女たちは笑って
定規を持っている女子生徒は呆れ混じりだけれど、
キスをする女子生徒は、頷いた。

「手の拘束なくなったくらいで、逃げ出せるほどではないでしょ?」

ダイヤ「……逃げられるかもしれません」

「ううん、逃げないよ。だって、生徒会長……したそうな顔してるもん」
0078名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 10:34:51.24ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「見れないからと、そんな嘘を……」

わたくしがしたそうな顔をしているなんて
そんなの、嘘に決まっていると否定する。
けれど――分かる。わたくしの心がどうしようもなく昂っていると。

こんな状況で。
無理矢理にされているはずなのに。

「どうする? そのまま先に進む? それとも、私を抱いてくれる?」

ダイヤ「……」

「生徒会長がしたいわけじゃないなら、私がさせたいって、思ってくれればいいよ?」

彼女は話す間もわたくしの頬を撫でていた手を離して、
もう一度、どうかな。と、寂しげに言う。
したいわけじゃないなら、強制されていると思えばいい。
そうまで言って、彼女は求めてくる

拒否権はある。
私が断っても、彼女はそのまま相手してくれると思う。
しかしもう一人と交代になって、また痛い思いをさせられるかもしれない
そう思えば、拒否は出来ないと思えてしまう。

ダイヤ「……わかりました。抱かせてください」

そう言うと、定規を持っていた女子生徒が後ろに回って、
本当に、両手の拘束を解いてくれた
0080名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 11:12:17.75ID:ycO1ZzcE
縛られていた両手首、椅子の背もたれに密着していた肩の辺り
少し痛むところはあるけれど、問題はなかった
彼女はわたくしの両手を取ると、わずかに赤い手首を揉むようにして
手のひらではなく、指と指を折り合わせるようにしてぎゅっと握る

「生徒会長の手、思ってたよりも小さいね」

「たぶん、あんたの手が大きいんだと思うけど」

ほっといてよ。と、吐き捨てた彼女は手を離して
椅子に座っているわたくしの身体を抱きしめてくれる。
座ったままの姿勢なせいで、彼女はとても抱きにくそうではあるけれど、
わたくしが、それを受け入れるように腕を回せば……丁度良くなる。

「生徒会長、ドキドキしてるでしょ」

ダイヤ「……聞かないでください」

「どっちの話かな?」

彼女の声が耳元に聞こえる。
優しく、穏やかな声。
頬と足、唇に感じていた彼女の温もりが体中に満ちていく
ふんわりとした彼女の匂いがして、鼓動が早くなる。
0081名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 11:36:54.00ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「……」

「……」

暫く抱き合って、緩く離れた彼女と視線が重なる
そうして、一言交わすこともなく目を閉じた彼女と唇を触れさせて
離れて……キスをしながら抱きしめる。

抱きしめる力に対しての抵抗はなく、
彼女はむしろそれを受け入れて、触れさせる唇を強くしていく。
抱いている分、体の密着はより深くなって、
キスをする唇の触れ合いも、少しばかり入れ込んでしまう。

ダイヤ「ん……っ」

唇が離れる。
瞼が開いて目が合って、そうしてまた……キスをする。
優しい感触、暖かい感触
触れる彼女の体に溶け込んでしまいそうになって――

ダイヤ「っんんんんっ!?」

太腿を力強く引っぱたかれた悲鳴が、彼女の中に消えていった
0082名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 11:59:25.45ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「っぁ……ぁ……」

彼女が離れると、痛みに呻く声が漏れ出てしまう。
彼女との触れ合いの間、手は出されないと思っていたけれど
警戒はしていたはずなのに。
なのに……彼女と抱き合って、キスをして、浮ついて
その隙間を……引っぱたかれて。

ダイヤ「ぅ……」

自由になった手で、叩かれたところを庇う。
唇をかみしめて……でも、涙が零れ落ちていく。

「あちゃ〜……泣いちゃった」

定規で叩いた女子生徒は、
なぜか、張本人なのに困った様子で呟いて
もう一人の女子生徒が頬を拭ってくれる

「生徒会長……会長」

ダイヤ「っ……」

彼女はわたくしの頬に触れて、
親指で涙をぬぐいながら、キスをする。
深く、深く……初めて、唇が割れた。
0083名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 12:36:18.14ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「ん……っ」

ただ触れさせるものではなく、
唇同士を抱き合わせるように、絡め合わせる
合わせては離れて、また合わせて……

小さな吐息交じりに、なんども重ねて
唇から弾ける微かな潤いの音に、自分たちがキスをしていることを深く感じる
痛みがだんだんと忘れられていく
彼女と交わることに心と頭が寄せられてしまう

ダイヤ「っふ……っ」

足を押さえていた手から力が抜けていき、やがて、自然と彼女の体を抱きしめる。
彼女は拒絶しなかった。
唇を離した時には、ふと……小さな笑みをこぼして。

「生徒会長。少しずつ、気持ち良くなっていこう?」

ダイヤ「ぇ……ぁ……」

――バシンッ! っと、足が力強く叩かれる。

抱きしめる彼女への力が強くなっても、彼女は嫌がらずに受け止めてキスをしてくれる。
叩かれて、キスをして、叩かれて、キスをする。
彼女と唇を合わせ、体中に広がっていく熱
痛みか高揚感かも分からない鼓動の音
それが、体を叩く定規を誤魔化してくれて……。

キスに没頭したくなる。
そればかり……考えてしまいたくなっていく。
0084名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 12:58:44.61ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「はっ……はぁ……っふ……」

真っ赤になった太腿が視界の端に見える。
気付いてしまうと痛みが強くなって、緩んだ目元から涙が滴り落ちていく。
ひりひりとした痛み、ズキズキとした痛み
どうしようもなく足は震えてしまっていて、
それなのに、定規が見えると体がビクンっと跳ねて余計な痛みを産む

ダイヤ「やめて……っ」

「汗びっしょりだね」

定規を持っている女子生徒は定規を空振りするだけで苦笑いを浮かべ、
それを机に置くと、汗を気にするもう一人に自分のカバンから鋏を差し出す。
彼女自身ももう一つの鋏を出したけれど、
必要ないよと言われて、鞄に戻して代わりにタオルを引っ張り出した。

「生徒会長、脱がしていい?」

ダイヤ「な、にを……」

「制服。汗、拭いてあげるから」

まぐわっていた彼女の指示に、わたくしは疑いなく頷く
震える足では、たとえ拘束がなくても逃げられない
なにより、逃げるのに失敗してしまった結果が恐ろしくて。

自分で脱ぐとも言えず、彼女の手がタイを引き抜き上着を掴み、
一つ一つ丁寧に肌が晒されていくのを、受け入れた。
0085名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 13:22:00.72ID:ycO1ZzcE
ブラジャーとスカート、ショーツは残して脱がされ
体を傷つけた女子生徒の手で、汗が拭われていく
そのタオルが触れるたびに体が強張ってしまう
叩かれることを怖がっていると悟ってか、
もう一人の女子生徒が、わたくしの視界に入っていた定規をカバンに入れる

「大丈夫だよ、会長。今は奇麗にしてあげるのが先」

彼女はそう言うと、またキスをしてくれた。
体を抱こうとしてしまったけれど、
拭く邪魔になるからダメだよ。と、笑いながら除けられて
代わりに、彼女の手に包み込まれる。

ダイヤ「っん……」

彼女とのキスがとても心地よくて、救われてしまって
離れていく彼女の瞳を見ていると、自分が見えるような気がした。

――離れて欲しくない。そう、求めている自分が。

まるで、恋人のように。
0086名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 13:56:11.73ID:ycO1ZzcE
「会長、キス好き?」

ダイヤ「好き……ぇっ?」

きっと即答だった。
考える前に彼女の問いに答えてしまった。
それに驚いたわたくしを、彼女は嬉しそうに笑って。
涙のあとが残る頬を撫でてくれる。

とても優しい、愛情のある手つき
わたくしに好意を抱いてくれていると錯覚するような温もり
思わず瞼を閉じてしまう、感覚

違う。
目を閉じるのは、彼女が応えてくれると解っているから。
だから目を閉じ、委ねて……重ねてくれる唇を愛してしまう。

ダイヤ「ひぅっ」

「かわいい」

不意を突いた、脇腹を走るもう一人の指にあげさせられた悲鳴
それを可愛いと笑ったその女子生徒は、自分の指先を舐めると……また脇腹に線を描く
くすぐったくて体が震える
びくん、びくんっと、くすぐったさに悶えて彼女たちを笑顔にさせる。
痛いのではなく、くすぐったいだけ。

「もっと可愛い声聞かせて、良いでしょ?」

叩いていた女子生徒のふんわりとした声が耳元で囁かれて
わたくしはそれに言葉もなく、ただ頷いた。
痛くないならその方が良いと思って。
0087名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 14:38:08.24ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「ゃっ……はっ……っぁっ」

女子生徒の細やかな指使いはくすぐったくて、
でも可能な限り声は我慢せずに受け入れる。
もう一人の女子生徒は、声を殺させちゃうからとキスを避けて
代わりに腹部を撫でた。

「かわいいね、会長」

Aqoursのこともあるけれど
常日頃から習い事をしていたわたくしは、確かに、それなりのプロポーションだという自負はある。
それを彼女たちは愛でてくれている。
足こそ、手ひどく叩かれてしまったけれど
赤くなっているくらいで、内出血も出血もない

ダイヤ「ん……っ」

お腹周りを触るその手はとても優しい
一度力を入れてしまえば砕けてしまうガラス細工を扱うように
触れるのは薬指から人差し指までの三本だけ
それで臍の周りを擦りながら、指の隙間を開いたり閉じたりと
ほんの少しだけ、揉むような力が加わる

ダイヤ「っは……はふ……んっ……」

キスとは別の感覚で体が温まっていく
なぜか、キスをして欲しくなって彼女を見ると
彼女は友人を一瞥して、キスをしてくれる。

なぜだか――甘いと、感じた。
0088名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 15:45:05.26ID:ycO1ZzcE
「生徒会長、少しは緩くなったんじゃない?」

ダイヤ「緩く……?」

「最初よりもかわいい顔してる」

彼女はそう言うと、またキスをしてくれる。
わたくしはもう、それを拒めない。
受け入れて……キスをして、浸ってしまう。
彼女が愛おしそうに触れてくれるのが……嬉しく感じられてしまう。

「会長、もっとえっちになってみよう?」

ダイヤ「えっち……?」

「そう、会長が良く言う……破廉恥な子」

彼女はそう言うと、わたくしのスカートの中に手を入れて、
その内側に触れる素振りを見せて……キスをすると
耳元へと顔を近づけて。

「そうしたら、もっと……気持ち良くなれるよ」

離れる彼女の笑顔が見えた。
それはまた近づいてきて……受け入れようと目を閉じてしまう。
キスは、して貰えなかった。
0090名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 16:34:50.89ID:ycO1ZzcE
 
――――――――
――――――
―――

ダイヤ「っは……はぁ……はぁ……」

目が覚めた瞬間に気付いてしまうほど、体は酷い状態だった。
体中が汗に塗れていて、下腹部は卑猥さに乱れていて。
ショーツが擦れるだけで、びくんっと、体が跳ねる。

ダイヤ「っんっ……っあっ……」

刺激が流れる
けして強くはない……でも、感じられてしまう心地よさ
体が震えるたびに、自分が淫らに堕ちていくのを理解して
けれどその手を止めることが出来ない。

ダイヤ「んっ……ふ……ぁっ……」

蒸し暑い掛布団の中に酷いにおいに満ちていく
あってはいけない、それではいけない
けれど、どうしようもなく浸ってしまう
鏡は見えない。自分の顔は分からない。
でも何となく、悦んでいるのだろうと感じる声が耳に残る

ダイヤ「ぁっ……んっ……」

そうして――わたくしは初めて、学校に遅刻した。
0091名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 16:53:17.14ID:ycO1ZzcE
二限目が終わるころに学校についたわたくしは、
心配してくれる果南さんと鞠莉さんに、気分が悪かっただけだと誤魔化してしまった。
朝から淫らなことをしていただなんて言えない
それに耽って準備も何も怠っていただなんて言えない
ただ……何かあったことを確信している善子さんの呼び出しだけは受けた。

昨日も密談に使った生徒会室、
善子さんよりも先に入室したわたくしは、変な空気を感じて首を振る。
ドキドキとして、唇が渇く
生徒会長……わたくしが使う椅子を、なんとなく触れて

ダイヤ「っ……」

理由は分からない
けれど、お腹の辺りに不思議な感覚を覚えて、触れる。

ダイヤ「違う……」

ただの気のせいかもしれない
でも、胸の高鳴りは収まらなくて……椅子に座ると
下腹部が疼いて、目を見開いてしまった。

ダイヤ「え……ぇ……?」

それは間違いなく、性的な高ぶりそのものだった。
0092名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 17:42:57.17ID:ycO1ZzcE
自分の体の異変が恐ろしくて、戸惑っていると、
生徒会室の扉が叩かれて、体が大きく跳ねてしまう。

ダイヤ「はっ、はぃっ!」

声も酷く上擦って、まるで自分のものではないような感じがしたけれど、
入室してきた善子さんは笑いながら、なんて声してんのよ。と言う。
わたくしが思ったように、彼女も黒澤ダイヤとは思えないと感じたらしい。
椅子から立ち上がろうとすると、善子さんはそのままでいいと制して近づいてきた。

善子「変だったけど、可愛い声だったわよ。ダイヤ」

ダイヤ「か、可愛いなんて、そんな……」

善子「えっ、なに? 照れてる?」

興味津々と言った様子で顔を覗いてくる善子さんを、しっかりと見ることが出来なかった。
かわいいと言われたからだろうか。
それとも、今朝からの体の異変のせいだろうか。

善子「ほんとに大丈夫?」

ダイヤ「っ……」

善子さんが屈んで視線が合って
けれど、わたくしの瞳はどうしてか……言葉を紡ぐ唇に向かう
0093名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 18:18:02.04ID:ycO1ZzcE
善子「遅刻までしたんでしょ?」

ダイヤ「ええ」

善子「病院で薬は?」

ダイヤ「精神安定剤を処方していただきました」

リラックスしていると夢を見やすいとのことで、
逆に悪いことになるかもしれないとなったけれど、
わたくしの様子が少しおかしいからと……昨夜はそれを飲んでから眠った

しかし、その結果が今朝の惨状
薬を飲んでしまったから、と言うだけでは明らかに異常だった。
善子さんはこのままじゃ危ないんじゃないかと不安そうに呟いて

善子「今日、泊まりに行く? 私の方に来ても良いけど」

ダイヤ「それは……駄目です」

あんな姿を見せたくない
見られたくない
なにより……あの汚れを、善子さんにつけたくない
もちろん、ほかのみんなにも。
0094名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 18:58:59.04ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「善子さん、ビデオカメラをお貸しいただけないでしょうか」

善子「カメラ……? どうしてまた」

ダイヤ「夜、わたくしの体がどうなっているのかを確認したいんです」

善子「誰かに悪戯されてるって?」

善子さんの疑問に、軽く頷く
もちろん、その可能性は殆どないと思っている。
むしろそうではないようにと願っている。

だって、もしもそうだったとしたら
わたくしの知らない何者かが、私室にいるかもしれない
知っている誰かが、夜中に忍び込んで体を好き放題に弄んでいるかもしれない
そう考えると……怖くて仕方がない。

善子「確認のために動画撮影ね……電気は消して寝る人?」

ダイヤ「そうです」

善子「だったら私のやつの方が良いか……良いわ。放課後一緒に帰りましょ」
0095名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/07/26(日) 19:17:41.26ID:l0HSe3l5
エロノーマルアクティビティか
0096名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 19:46:56.15ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「ありがとうございます」

善子「気にしなくていいわよ。出来ることなら何でも言って」

善子さんはとても気遣ってくれる
真剣に考えて、アドバイスをくれて、
きっと高いはずのビデオカメラを貸してくれると言ってくれて
それなのに、出来ることなら何でも言ってと言ってくれている。

なんでも……。

善子さんを見ると、笑みを浮かべる
大丈夫? と、問いかけるような優しい笑み
善子さんにはきっとそんな気はないだろうけれど、ドキドキとしてしまう

ダイヤ「善子さんが、平気ならお願いがあります」

善子「なにそれ」

ちょっと怖いんだけどと言いながらも、
聞こうとしてくれている辺り、やはり善子さんは優しくて善い子だと思う
だから、多少の無理なら聞いてくれる。
早鐘を打つ心臓を押さえようと胸に手を当てる
渇いてしまう唇を舐めて、潤わせてからもう一度舐めて。

ダイヤ「キスを、させてください」

求めてしまった。
0098名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 20:13:29.20ID:ycO1ZzcE
善子「はっ!? キス? えっ、キスって、キス……?」

善子さんは驚きに戸惑いながら、
自分の唇に指先を当てて、ここへのものかと訊ねてくる
わたくしは、その唇に目が釘付けになるのを感じて
どうにもならずに、頷く

頷いた私を善子さんはしばらく黙って見つめて来て、
わたくしが本気であると、理解してくれたのだろう。
ちょっと待って、と、手を前に出して息を吐く

善子「……それ、今回の件と関係ある?」

ダイヤ「分かりません。ですが、ここに来てからずっと……善子さんの唇が気になってしまって」

ドキドキしてしまって、熱っぽくなっていって
なんでもが許されるのなら、キスをしてみたい。
善子さんが許してくれるのなら、キスがしたい。

ダイヤ「お願いします……善子さん。わたくしと、キスを」

そう願うと、善子さんは眉を顰めて。

善子「ダイヤらしくないわね……そんな要求」
0100名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 21:11:41.48ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「すみません……」

善子「いや、むしろだからこそなのかもね」

善子さんは困ったように言うと傍へと近づいてきて
わたくしの目をまっすぐ見つめてくれる
たとえ、わたくしの目が善子さんの唇を見てしまっていると解っていても。

善子「良いわよ、しましょ。ダイヤ」

ダイヤ「良いのですか?」

善子「シチュエーションは悪いけど、まぁ、相手がダイヤなら」

これも悪くない。
そう言う善子さんは顔を近づけてくれる
わたくしがさせて欲しいと言ったからだと思う。
自分からではなく、わたくしにさせてくれようとしている

目を閉じ、委ねてくれる
善子さんの優しいにおいを感じる。
体育があったのか、少しだけ制汗剤の匂い混じりだった

ダイヤ「……ありがとう、善子さん」

善子さんと、キスをする
柔らかく、優しく、触れさせる程度の軽いキス
善子さんはわたくしと同じように呼吸を止めていた。

ほんの数秒……だけど少し、違うように感じた。
0101名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 21:13:35.79ID:p1C4lcZ5
アンタ天才だよ
0102名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 23:03:16.16ID:ycO1ZzcE
善子「っは……はぁ……」

ほんの数秒間息を止めていただけなのに
離れると、善子さんは苦し気に呼吸をして胸を撫で下ろす。
わたくしはそんな善子さんを見て……手を掴む

ダイヤ「もう一度、させてください」

善子「もう一回?」

ダイヤ「今度はもう少しだけ、深く」

善子「深くって……」

善子さんの手を引いて、体を抱きしめる
制汗剤のにおいが少しだけ強くなって、混じる善子さんのにおいに浸りそうになって
まるで、そうすることを覚えていたかのように
善子さんの唇に、唇を重ねた。

触れ合わせるだけでなく、
少し傾けた、唇同士を絡め合わせるような、ちょっぴり深いキス
善子さんの潤いが、唇を通じて体に染み込んでくる
離れてしまうのを惜しく感じて……けれど、離れなければいけなくて
ゆっくりと、余韻を味わうように離れた
0104名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/26(日) 23:13:35.03ID:ycO1ZzcE
ダイヤ「っふ……は……ぁ」

善子「ん……」

熱っぽい吐息が零れてしまう。
善子さんも少しだけ頬を赤らめていて、
ちゃんと見てくれていた目を逸らして……二歩、三歩後退りする

抱きしめたままでいればよかった。
そう、無意識に抱く心に首を振って、善子さんへと目を向けた

ダイヤ「善子さん……すみません、その、わたくし……」

善子「いや……うん、ま、まぁ……満足、した?」

ダイヤ「え、えぇ……おかげさまで」

善子さんの声も動揺が前面に出ていて、
キスを求め、深めた自分ですら上手く言葉に出来ない
わたくしが満足したと頷いたのを見て、善子さんは良かったというけれど、
まだ顔は赤くて、逃げ腰だった。

気まずい空気が流れるのを感じ、ふと会話が途切れて沈黙してしまった生徒会室に、
善子さんの咳払いが不思議と大きく響く。

善子「そ、それにしてもさ……あれね。ダイヤもキスっていうんだ」

ダイヤ「と……言うと?」

善子「勝手なイメージかもしれないけど、ダイヤならこういうことは接吻ってちょっとお堅く言うと思ってた」
0105名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/26(日) 23:37:48.43ID:c7MOUP49
男からの強姦と脱衣強要にレズ調教そしてキスへの力の入り具合…守備範囲広そうな>>1だな
0107名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/27(月) 05:56:49.51ID:yel8A64D
ダイヤ「接吻……ですか」

善子「うん。そっちの方がダイヤらしくない?」

ダイヤ「キスでは、いやらしいと?」

善子「どちらかと言えば」

善子さんは離れたままではあるけれど、
だんだんといつものような声色に戻りつつある

キスと接吻はどちらも同じようなもので、
しかし、キスと言う言葉はいやらしいらしい。
そして、わたくしには不向きだと思うらしい。

善子「というか、いやらしいって……破廉恥じゃないの?」

ダイヤ「わたくしだって、別の言葉を使うことくらいありますわ」

善子「まぁそうなんだけど」

善子さんは納得いかないようで、
わたくしを一瞥して、考え込むように深く息をついた。
昼休みが終わる前の予鈴が鳴って、善子さんはまた優しく、戻りましょ。と笑う

善子「HR終わったら校門で待ち合せでいい?」

ダイヤ「分かりました。すみません……宜しくお願いします」

善子「そんな下手に出ないでよ。調子狂う」

頼むわよ。と、善子さんは言い残して
一足先に生徒会室を出て行った
0108名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/27(月) 06:13:42.24ID:yel8A64D
用事があると一言言って、HRが終了してすぐに教室を出る。
1年生のHRはもう終わっていたようで、生徒玄関口で善子さんと再会したけれど、
昼休みに何もなかったかのように、平然としていた

ダイヤ「ルビィ達は?」

善子「まだ教室。本当なら練習あるし」

ダイヤ「そうでしたわね……無理を聞いてくださってありがとうございます」

善子「気にしないで、大変なんだから」

善子さんは優しく言って、微笑んでくれたけれど
すぐにはっとして、顔を背けて行きましょ。と前を歩く
善子さんは気にしていないように見えて、気にしているのだろう。

生徒会室でのキス
もう約三時間立っているのに、まだ唇に善子さんを感じる。
それにいつまでも想起させられて、胸の高ぶりは休まらない。
善子さんのカバンを持っていない方の手を掴もうとして――空ぶる

ダイヤ「……」

手を握りたい。握って欲しい。
意味も解らず、なぜか頭に浮かんだそれをどうにか振り払って善子さんの後に続いた。
0109名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/27(月) 06:56:03.79ID:yel8A64D
キスのこと、手を繋ぐこと。
どうしても意識してしまうわたくしが無口だったせいで、
バスでの会話も薄く、やや気まずい雰囲気のまま善子さんの家へと辿り着く。

親はまだ帰っていないそうで、
善子さんの家で二人きりと言う状況になったけれど、
生徒会室ほど……ドキドキとはしていない。

善子「何か飲む?」

ダイヤ「お構いなく」

これから色々お借りすることにする。
あれがファーストキスだったのかは分からないけれど、
善子さんに、唇まで差し出して貰った。
飲み物くらい、遠慮したほうが良い。

善子「そう? まぁ麦茶くらい用意するから」

善子さんはそう言って、
それなりに手慣れた様子で麦茶二杯を用意して、リビングのテーブルに置くと
カメラを用意するから。と、一人自室へと向かう。

部屋に入れてくれないのかと言うと、
汚いから。と、照れくさそうな答えが返ってきた
0110名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/27(月) 07:14:35.12ID:yel8A64D
善子「電源はここ。で、ここを押して録画と写真に切り替え、ここで撮影と録画開始、終了」

こうすれば削除もできるから。と、
善子さんは明らかに値が張りそうなビデオカメラを持ち出してきて、
わたくしが必要としているであろう機能とその使い方を教えてくれる。
ちょっと使ってみて、と手渡されたカメラは重く、
手で持って撮影するのには向いていないように感じた

善子「色々パーツ付けて持ちやすくできるし、私の場合は三脚立てて使うのが基本だから」

これね。と、差し出された三脚は折りたたんだ状態で約30cm程度
伸ばせば、わたくしの身長ほどにまでなる
善子さんは、定点カメラとして使うなら、
これが必須だと思っていいと、セッティングの方法を教えてくれた。

ダイヤ「何から何まで……ありがとうございます」

善子「良いってば、ダイヤに頼られてるってだけで役得みたいなもんよ」

ダイヤ「そうは言われても、わたくしが納得いかないので……お礼は必ず」

善子「ちゃんと解決したらね。しなかったら……ごめん」

ダイヤ「いえ……」
0111名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/27(月) 07:41:43.75ID:yel8A64D
このまま一生、毎朝性的興奮に悩まされることになるのなら、
わたくしは、入院することも検討しなければならないと思う。
身体的なものではなく、精神的なものだろうから
入院するのは……精神病院かもしれない。

そうなったら、Aqoursのみんなとはお別れになって
善子さんにお礼をすることはままならない
黒澤家にでさえ、多大な迷惑をかけることになる

善子「ダイヤ、夢は本当に覚えてないのよね?」

ダイヤ「はい……」

善子「でも、多分だけど……ダイヤさ、無意識に夢の影響が出てくるかもしれない」

ダイヤ「夢の、影響……?」

善子さんは、お昼のキスもそう言うことなんじゃないかと思う。と、
悩みながら話してくれる。
夢は覚えていないけれど、潜在意識に結び付けられて、
それが、起きている間の言動に影響を及ぼしている。
それはきっと、今朝の遅刻するほどに耽ってしまった醜態もそうだろう

善子「だから、気を付けて。私も一応、何かできること無いか考えておくから」

ダイヤ「……ありがとうございます」
0114名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/27(月) 14:52:22.87ID:2KcnATx2
エロけりゃなんでもいいんだよ。文章に説得力があるんだから
0115名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/27(月) 19:29:34.14ID:q8XgJF8l
40レス使った調教で女子二人の可愛いが途中からかわいいになってたりダイヤの心象でキスをされるからしてくれるになってたり…内容はエロだから評価されないだろうけど良作感ある

エタったら許さない
0116名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/27(月) 21:55:21.39ID:yel8A64D
夜になってから、善子さんから借りたビデオカメラと三脚を袋から出す。
説明だけで大丈夫だったのに、一応これも……と、
善子さんが入れてくれた説明書とメモ書きを布団の傍に置いて、確認しながらセッティングを行う

ダイヤ「……はぁ」

朝、家を出る前に振り撒いた芳香剤のにおい、
外から流れ込んできたにおいがどうにかしてくれているのに
隠れ潜むようにして、卑猥な雰囲気を感じてしまう。

ダイヤ「ん……」

胸の高鳴りは感じない、下腹部が疼くようなこともない
けれど、どうにも……唇が渇く。
善子さんが貸してくれた袋は、善子さんのにおいがする
あのキスの時、体を巡った善子さんの匂い

ダイヤ「キス……」

自分の唇に指で触れる
ただの指……唇とは全然違う、寂しい感触
空虚な感覚に陥りそうになって……

ルビィ「お姉ちゃん、ちょっといい?」

ダイヤ「っ!」

ノックと共にルビィの声が自室に入り込んで、
現実へと引き戻され……はっとする。
0117名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/27(月) 22:13:08.38ID:yel8A64D
変なところはないかと一通り確認してから、どうぞ。と、声をかける
ルビィは少し扉を開けて中を見ると、自分が入れる分の隙間を空けて中に入り、
すぐに扉を閉める。
ルビィの顔色は悪くない
でも、何か悩みがあるとその表情は語っている

ダイヤ「どうかしたの?」

ルビィ「ぁ、あのね……あの……お姉ちゃん……」

ダイヤ「なに?」

ルビィの声は消え入りそうなものだった。
もう少し広い部屋だったら、半分も聞こえなくなってしまうような……小さな声
ルビィはわたくしを一目見るだけで、俯いて

ルビィ「こ、これっ……あげるっ!」

ダイヤ「ルビ……」

唐突に声を上げてテーブルにプリンを置いたルビィは、
その勢いのまま部屋から走り出て行ってしまう。
慌ただしいその流れに、机の上に置かれたプリンは横向きに倒れて
部屋の扉は半開きで止まってしまっていた

ダイヤ「ルビィ……」

追いかけられない。
たとえ追いかけても、ルビィは何も語ってくれないだろうと思った。
0118名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/27(月) 22:36:17.20ID:yel8A64D
ダイヤ「……」

朝はなかった。
夕食の時に開けた冷蔵庫の中でも、プリンは確認できなかった。
ならいつ用意したのだろうと疑問を抱かせるプリンは、しっかりと冷えている

ダイヤ「隠してたのね」

冷たいプリンは手のひらに収まる
コンビニで売っているプリンではあるけれど、
その中でも少し高い、数百円のものだった
お母様たちの買ったものじゃない……ルビィが自分のお金で買ったもの

ダイヤ「……そう」

もしかしたら夜中、お手洗いに起きた際に部屋の異質な音に気付いて覗いてしまったのかもしれない
そうでなくても、
わたくしが学校を遅刻したということを重く考えているのかもしれない。
プリンの蓋をめくる
プラスチックの小さなスプーンをかすかに押し戻すような弾力が指に伝わって、
つぷっ……と、入り込む

一口はとても甘い。
最下部に潜むほろ苦いカラメルを前提としたそれは、しっかりと卵の風味を感じさせながら、
差し入れるスプーンへの抵抗に反して、すぅっ……と、溶けるように舌に馴染む
0119名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/27(月) 23:00:24.91ID:yel8A64D
ダイヤ「ありがとう……ルビィ」

一口、ひと口を大切にすくって、口に運ぶ。
その甘さはルビィの優しさ、そのほろ苦さはわたくしへの思い。

ルビィは、なにに悩んでいるのかまで分かっていなくても
わたくしが悩んでいることには、気付いている。
それを聞くためにここにきて、でも、力になれるか分からないからプリンを置いて出て行ってしまった。
でもその置いていたプリンが雄弁に語ってくれるのだから……涙が零れる

ダイヤ「ごめんなさい……」

言えない。
絶対に……ルビィにだけは。
ルビィが大好きと言う姉が、理想としている姉が
卑猥な夢を見て、眠りながらに淫らに乱れ、目を覚ましては自慰に耽っているだなんて。

ダイヤ「ごめんなさい……ごめんなさい……っ」

情けなくて、苦しくて、辛くて……頭を抱え、声を押し殺した
聞かせてしまわないように。
ルビィの前では、姉でいられるように。
耐えきれない涙が、止まってくれるように。
0120名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 00:21:50.79ID:v7fwqz6Z
 
―――
――――――
――――――――

「黒澤ルビィ、だっけ? 可愛い妹さんだよね」

人気のない、おそらくは廃ビルの一室で、男性はわたくしにそう言った。
男性の隣には、猿轡を噛まされて両手足を縛られたルビィが怯えて震えている

男性の手には包丁が握られていて、その横の部分がルビィの頬を叩く
ぺち……ぺち……と、
ルビィの命を奪えるとは思えないほどに、軽快な音で。

ダイヤ「……ルビィには手を出さないでください」

「優しいお姉さんじゃないか」

わたくしの願いを笑うかのような声が、ルビィの隣ではなく……部屋の隅から聞こえる
ルビィの傍に居る男性とは別に、倒れた収納に座る男性の仲間
少し目を離した隙にルビィを脅して……わたくしに着いてくるように言ったその男性は
自分の手にもナイフを持っていて、
それをとても器用に扱いながら、わたくしを見る

「なぁ、お姉さんよ。妹は可愛いかい?」

ダイヤ「当然です」

「命よりも大事か?」

ダイヤ「当然です」

ルビィを見つめて、泣き出している瞳をしっかりと見据えて
わたくしは力強く即答する。
考える必要はないし、悩むようなことでもない。
問を投げかけてくる男性はわたくしの目が自分へと向いていないと気づいてか、
わざわざ立ち上がって、ルビィとわたくしの間に割り込んできた
0121名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 00:50:49.53ID:v7fwqz6Z
「なら、お姉さん。今ここで服を脱げ」

ダイヤ「……なるほど」

黒澤家の娘として、身代金目的にさらわれた可能性も捨てられなかったけれど、
結局は、男にとっての道具として選ばれたのだと、判断する。
拒絶は出来ない。したらルビィが傷つけられてしまう。

ダイヤ「ルビィ、大丈夫ですわ」

必死に首を振るルビィに笑みを向けて、まずはカーディガンを脱ぐ。
ルビィだけでなく、男性二人の視線を感じる
纏わりつくような、粘ついた男の視線
気色が悪くて、吐きそうになるようなそれをルビィのためだというだけで耐え凌いで。

ブラジャーとショーツ
たったそれだけになった途端、ルビィの傍の男性の口から洩れた厭らしい笑い声に体が強張ってしまう
けれど、男性たちはそれを許さない
ルビィを脅す男性は包丁を木製の机に何度も突き刺して、
大きな音をたてながら、お〜い。と、楽しそうに声を上げた。

「そこで手を止めるなよ。妹さんでもいいんだぞ〜?」

ダイヤ「わかってますっ!」

ブラジャーはフロントホックのもので、
外すために前に持ってきた手は……震えてしまっている。
ルビィのため。
ルビィのためだと強く思っていても、怖いものは怖くて嫌なものは嫌だった。

それでも。
そう、唇をかみしめながらホックに手をかけた瞬間……待て。と、声がかかる。
0122名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 01:12:49.98ID:v7fwqz6Z
「そのままでいいよ。それの方が面白い」

ダイヤ「……」

脱げと命令してきた男性は、
手を止めるなと言った男性を制して、笑いながらわたくしを見ると
ゆっくりと近づいて、わたくしが自分らしくなく脱ぎ捨てた洋服を集める。

ダイヤ「どうするつもりですか……?」

「女装趣味はないからな。こうするんだよ」

男性は収納ケースの中に洋服を投げ込んで、
一瞬の迷いもなく、ライターの火をつけて燃やす。
廃墟のおかげか、煙は充満せずにどこかへと流れて、
ほんの数分燃やした洋服に持っていた水をかけて……消火する。

中がどうなっているのかは分からないけれど、
少なくとも、自分の身を護れるものではないだろうと見ずに感じて……察してしまう。
男性は、わたくしを辱めたいのだと。

「お姉さん、名前は何だったっけ」

ダイヤ「……ダイヤ。黒澤ダイヤです」

男性はわたくしの体を値踏みするように上から下
そうして、また上へと視線を遊ばせて、ふと……嫌な笑みを浮かべた。

「ふぅん。じゃぁ、ダイヤお姉ちゃん。次はオナニーしようか」

ダイヤ「オナ……えっ?」

「わかんないの? 一人でやるやつだよ。一回くらいはやったことあるでしょ?」

男性の言葉に、ルビィの傍に居る仲間から卑俗な笑い声が漏れ出して、
それはいいねぇ。と、まるで……芸を楽しむかのようにわたくしを指さして。

「お姉さんは脱いだから、今度は妹がやるべきかな?」

明らかにそうするつもりの感じられない、
わたくしを脅すためだけの言葉を、ルビィに向けて汚らしく……言い捨てる。
0123名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 05:55:11.21ID:lkxLOBQe
ダイヤ「ルビィには手を出さないで……」

たとえ、今は相手の言葉にその気が感じられなくても
わたくしがやらないと分かれば一転してルビィへと矛先が向かうのは目に見えている。
今は、下賤な遊びのためだけに自由にされているこの手足が縛られて
代わりに、ルビィが両手を自由にされ……不自由な目に遭う

あぁ……なんて、なんて。

食いしばる奥歯がぎりっ……と、音を立てる
自分らしくもない怒りに満ち満ちているその音を、体の奥に隠して
男性たちの不快な視線から庇うように自分の体を抱く。
胸と下腹部
体全体で見ればほんのわずかな範囲しか護ってくれない下着の頼りない感覚が強くなる

「ダイヤお姉ちゃん、ちゃんと顔上げてこっち見てよ」

ダイヤ「なにを……っ」

「ん? 見て分からない? 可愛い妹さんのためのショーを、記念に撮影するんだよ」

ダイヤ「それは……それは、ルビィのものです」

男性の言うショーではなく、
男性が向けている、スマホと呼ばれた端末がルビィのもので。
わたくしの不快感を感じたのか、男性はにやにやと笑って

「それが? 妹のためのものを妹の記念として残すのは何か間違ってる?」
0124名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 06:08:40.49ID:lkxLOBQe
男性のその言葉自体は何も間違っていない。
けれど、これがルビィの記念になんてなるはずがなくて
もしも解放されたら、忘れ去りたいトラウマになるのが確定しているようなこと

男性はルビィが必死に首を横に振ってもがいているのを一瞥すると、
わたくしの方に端末を向けて、にっこりと下品な笑顔を浮かべた。

「解ったら、撮影しようか」

ダイヤ「……勝手にしてください」

「あのさぁ……ダイヤお姉ちゃん」

男性の声が急激に冷めたのを感じた。
穏やかな声色からの突然な変わりように体がビクッと震えて、
わたくしと比べればまだ距離のあるルビィでさえ、うめき声が途絶える

男性は端末越しではなく、直接わたくしを見ていた。
笑うでも怒るでもなく……感情の失せた能面に通ずる表情

「こっちはさ、君の妹には手を出さないでってお願いを聞いてあげてるんだよ。わかる?」

ダイヤ「はい……」

「なのに、勝手にしてくださいって。どういうこと?」

ダイヤ「それ――」

答えようとした瞬間、男性の近くにあったプラスチック製の何かがわたくしの横を通って壁にぶつかる
壁に激突する大きな衝撃音に続いて、破砕音
振り返れば、バラバラに砕け散ったプラスチックが小さな音を立てて転がっていく
0125名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 06:32:52.31ID:lkxLOBQe
「こっちは怯えてくれる可愛い子をおいて、お前で我慢してやってんのにさ」

ダイヤ「す……」

「ただ頭下げるだけか?」

ダイヤ「……っ」

謝罪を口にしようとしたのを制するように割り込んだ男性の声
怒りを感じないのに、それがむしろ恐怖心を煽って……緊張感に胸が痛くなってくる
頭を下げて、謝罪の言葉
そうではないとする男性の指摘は、土下座しろと言うことだと受け取って膝をつく

ダイヤ「……失礼なことを口にして、大変申し訳ございません」

手を床について……平伏して頭を下げる。
額が薄汚れた床に触れるのも厭わずに、男性が何かを言うまで姿勢を維持する。
たとえ、男性たちが悪人であるとしても、今この場で上の立場に当たるのはその悪人で
なぜどうしてこうならなければならないのかと
怒りと悔しさで心が一杯になっていくのを感じる

「じゃぁ撮影始めようか。ダイヤお姉ちゃん、見せるんじゃなくて見て貰うってことは解ってるよね?」

ダイヤ「それは……その、なんと言えば……」

気に障る言い方をするのが怖くて、震えた声になってしまう。
緊張感で喉が渇いて、つばを飲み込む音がやけに大きく聞こえる気がした

「ダイヤお姉ちゃんが見て欲しいことを誤魔化さずに言えば良いんだよ。こっちに向かって」
0126名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 06:53:49.88ID:lkxLOBQe
誤魔化さずにというのは、男性が使った下品な言葉を用いて、
ルビィの端末に向かってお願いをしろということだろうと思う。
あまりにも悪趣味な話……けれど、断れるはずがない。
口答えは許されない。

ダイヤ「っ……」

「言わされてるような言い方はするなよ〜?」

「あんたが妹の為に、自ら進んでやるんだからな」

強く、握り拳を作る
果南さんたち曰く大して力のない握り拳は、それでも骨が痛むような感覚を覚えて
男性たちの沈黙に嫌なら言わなくても良いけど。といった空気が混じる
良いけれど……代わりにルビィを使うとなるのは言われなくても分かってしまう。

胸に手を当てて、うまくやらなければいけないという思いに激しい心臓の音を感じる。
深呼吸する。
それだけでは、なにも治まらない。

ダイヤ「わ、わたくしの……」

「やり直し」

ダイヤ「わたっくしの……」

「やり直し」

口が震えて、うまく言葉が出てこない。
言うべき言葉は頭の中にあるのに
それが上手に引き出すことが出来なくて、男性のやり直しを何度も受ける

ダイヤ「わたくしのオ……オナ……」

「やり直し。そんな顔で言われてみてくれると思うか? 笑えよ」
0127名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 07:24:46.27ID:lkxLOBQe
ダイヤ「っ……」

「良い顔してるじゃないか」

笑えと言われて笑えるわけがなくて……なによりも悔しい気持ちに俯いてしまうと、
男性は嬉しそうに言いながらわたくしの顔を持ち上げて、覗く
悔しさに満ちた顔は、そうさせた相手にとっては甘美なものらしい
笑えないわたくしの分笑顔を見せてくれている男性は顔から手を離す

「出来るのか? 出来ないのか?」

ダイヤ「できます……」

出来ないだなんて言えない
だから、出来ると言って目を瞑る。
二人の男性、廃墟、拘束されているルビィ
見ていては絶対に笑顔になれない光景を一度頭の中から取り除いて。

一番、笑顔を求められるAqours……スクールアイドルでのことを思い出す。
ルビィ達の笑顔、輝かしいステージ、観客たちの熱気
緊張感の動悸が、その時の胸の高鳴りに重なってしまいそうになって……唇を噛む
そこから先は現実逃避になってしまうから。

ダイヤ「わたくしのオナニーを見てくださいっ」

笑顔も言葉も、勢いに乗せて吐き出す。
独り言でも口にしたくない言葉を、公に叫んで
そうするために、楽しい思い出を……みんなとの幸せを利用してしまった罪悪感
冷静ではない今も、死にたいと思った。
0128名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 07:52:09.39ID:lkxLOBQe
気持ち悪い笑い声がする
早く見せろと要求が聞こえる
べたべたする視線を感じて……吐き気がしてしまう

ダイヤ「はぁ……っ」

息を吐く。
高鳴る心臓の音が鮮明になって鮮明になって
ゆっくりと自分の下腹部に手を伸ばす。

黒澤家の長女とはいえ、わたくしも一人の人間
だから、やり方を知っている。
誰にも言えないけれど……手を出したことだってある。

ダイヤ「っ……」

たった一回。
その一度だけで、あまりにも卑しく、厭らしく思えて二度とやらなかった自慰行為
それを、赤の他人に強要されて……見せなければいけないなんて
言葉にもできない感情が湧きたつ
0129名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 08:24:33.78ID:lkxLOBQe
ダイヤ「っ……ふ……」

ショーツの上から、デリケートなところを擦る
指先で丁寧に、柄に従って優しく……
自分の指と下腹部からショーツの生地感が伝わってくるばかりで、
中々、初めて触れたときのような気持には至らない。

ダイヤ「……」

はたから見れば、とても動きのないものだと思う。
けれど男性たちの目はわたくしを見ていて、催促も要求もない。
触れる指先に込める力を、少しだけ強くする
ショーツ挟んだ向こう側にある陰部の裂け目が少しだけ割れて、
指に押されたショーツが食い込んで……下腹部の形を浮き彫りにする

ダイヤ「は……」

食い込みを直し、一息
ショーツの中に手を入れてみると、
乾ききっており、性的興奮の欠片もないのが良く分かる
それでもやらなければならないから……自分の指で割れ目を擦って、
中指を使ってぐるり、ぐるりと円を描く。

小さな隙間が押し広げられては閉じ、
そのたびに敏感なところが刺激を受けて、ほんの僅かに体の芯が揺れる。
0130名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 08:44:15.30ID:lkxLOBQe
「もっとこっちに見えるようにやれよ」

ダイヤ「っ……」

「足を広げるんだよ。見えるように」

ルビィの傍に居る男性のやや苛立ちを感じる声に強張る体を無理に動かして、
指示通りに、男性の方に体を向けて足を開く
体育座りの姿勢から、大きく足を広げたような恰好
ショーツの前面が良く見えるだろうその姿勢に喜ぶ男性の興奮した声が部屋に響く。

ダイヤ「ぅ……」

恥ずかしい所を見られている
それを喜ばれている
耐えがたい屈辱感と、捨てきれない羞恥心に体が熱くなり始めて、
今にも泣きそうなほどに、心苦しさを思え初めていたけれど
男性の早く続きをやれ。という要求に、手を動かすことしかできない

男性の微かに荒くなっていく呼吸、体に感じる厭らしい視線
それが自分以外の存在を強く感じさせる中で、指先で何度も何度も繰り返し秘部をなぞる
少しでも他の存在をかき消そうと目を瞑って指先に集中していると、
小さな隙間に隠れている敏感な部分の熱を感じて……

ダイヤ「っふ……」

軽く指ではじくと、一転した感覚に思わず声が漏れる。
たった一度経験した自慰の記憶が、少しずつ……頭の中に描かれていく
0131名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/28(火) 08:57:22.32ID:8pBFQmHU
朝っぱらからどえらいもの書いてて草生える
>>1がダイヤさんを好きなのか嫌いなのか分からなくなってくるわ
0132名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 09:25:18.80ID:5fZuvXgb
思い出してきた自慰の感覚は、だんだんと頭だけでなく体にも広がっていく

横になっていた布団の温もり、肌に纏わりついていた夏場の熱気
膝のあたりまで下ろしたショーツ、胸の下にまで引き上げられていた肌着
汗ばんでいて、流れる汗が微かにこそばゆくてびくんっと震えていた体
性的興奮か、ただの暑さか……嫌に乱れて感じた自分の呼吸音

自分の手が触れていたもの、指先に感じていたもの
体が厭らしいと拒絶した感覚

ダイヤ「っん……」

記憶をたどり、自分の体が反応しそうなところに触れてみる。
声が漏れて、体が熱を帯びる
男性たちのまとわりつくような熱い視線はその日の空気のように思えて……
目を閉じているからか、過去に戻った錯覚に陥る

ダイヤ「っふ……は……」

指が、触れるべき場所を思い出して走る
薬指と人差し指で股の付け根を軽く圧迫して閉じていた入り口を開き、
中指で、割れ目のふちを掠めていく
0133名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 09:41:45.78ID:LhOODPjS
潤いの足りない張り付くような質感
デリケートな場所なのに、どれだけ清潔にしていても汚らしく感じるその場所を傷つけないように、
押し広げる人差し指と薬指
そして、刺激を得るための中指に神経を集中させる

ダイヤ「っは……っ」

息を吐いて、中指を動かす。
以前は入れることを躊躇った膣口、
普段から時折触れることのある尿道口
そして……かつて、自分が一番体を震わせることになった小さな突起
一つ一つの場所を確かめる間も、びくびくと……揺れてしまう。

ダイヤ「……んっ」

小さな突起を指先で軽く擦る
くにゅ……くりゅ……と
剛柔半々のそれは触れるたびに反発を強めていき、
上り詰めてくる刺激が、吐き出す吐息を熱っぽくする

ダイヤ「はぁ……はっ……」

押すようにしていた指先に、今度は小さな丸を描かせる。
敏感なところを起点とした動き
やがて、その刺激に温められた下腹部に熱がこもり始めたのを感じたのと同時に、
その周囲がほんのりと……潤いに満たされていくのを指先が感じ取る
0134名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 10:05:04.14ID:q1I9m8vA
にちゅ……っと、糸を引くような厭らしい水の音がして
次第に汗ばんでいく体からは卑猥なにおいが発せられているかのように
体の中に入ってくる空気でさえ、性的な興奮を助長する

ダイヤ「んっ……っぁ」

始めてからどのくらいの時間が経過したか分からない
頭は自慰の感覚を思い出して、その流れを辿ってもう一度わたくしの身体を蝕んでいく
指先は努めて優しく、敏感なところを弄んで
爪の間に入り込む淫らな水分を使って、隆起したそれへの痛みを緩和する

ダイヤ「んく……っは……」

性感帯と言える小さな突起の下、
入れてはいけない小さな穴を通り過ぎたもう一つの場所を、中指で蓋をする。
少し押せば入ってしまいそうなほどの潤いが、くぷっ……と、音を立てる

どきどきとする胸が痛む。
喘ぐように開いた口からは熱っぽい吐息が漏れて
呑み込むことも忘れていた唾液が零れそうになって……ごくりと、喉を鳴らす。

ダイヤ「はっ……ふ……っ、ん……」

指先に力を入れる。
少しずつ、慎重に……勢いあまることがないように確かめながら
不可侵の場所に、指を沈めていく
満ち足りた性的衝動の後押しがあっても、
窮屈なその場所には指先の1センチほども入れられないまま、きゅっと……閉じてしまう
0135名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 10:22:26.65ID:eJ2yRL1C
締め付けられた指先を引き抜くと、ちゅぷり……とした感覚が指先から伝わる
指の抜けたその隙間はすぐに閉じたけれど、
ものを挟んだ不思議な感覚は尾を引いて、指先が触れてしまう。

最初にしていたように、馴染ませるような優しさで縦に擦って、
温まってきたら、弧を描くように動かして

ダイヤ「はっ……っ……ぁっ……」

割れ目を広げて、なぞる薬指から人差し指までの三本。
そして……親指で小さな突起を弾く
耐えることを良しとしない甘い声が零れ落ちて
びくんっと体が跳ねるように震えて……指先にかすめ取られた潤いを取り戻していく

ダイヤ「んっ……っは……んっ」

指の動きが、だんだんと意識から外れる。
無意識的に、この場所に触れたいとする刺激は心地よくて
まるで自分の指ではないようで
燻っていた高ぶりが……一気に引き上げられていく

ダイヤ「っんんぅ……っ」

一際大きく体が揺れて、震えて、ショーツにシミが出来ていく。
失禁と呼ぶにはあまりにも熱っぽく、ぬるりとしているそれは
引き抜いた指先をてかてかと艶めかしく着飾らせて、すり合わせて離した指と指の間で糸を引く

体に感じる僅かな虚脱感と、幸福感
吐き出す吐息は熱を帯びていて、頭は少しばかりぼんやりとする
けれど……その熱が冷めていくことに酷く喪失感を覚えて手が動こうとする

ダイヤ「っ……」

自慰行為の卑しさを感じ……わたくしは自分の醜態をようやく思い出した。
0136名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 10:32:08.15ID:eJ2yRL1C
「ずいぶんと楽しそうにしてたな」

ダイヤ「ち……ちがっ……」

にやにやと笑う男性の視線は、厭らしいものを見るもので
投げかけられた言葉に反論しようと声を出したけれど、
男性二人の嘲笑入り混じる笑い声にかき消されてしまう。

自慰で感じた高揚感は、今は戻った羞恥心と不快感を忘れるには十分だった。
いつからだろう。
いつから、赤の他人の前であることを忘れていたのだろう。

頭の中がぐちゃぐちゃになっていく
没頭してしまった、やり切ってしまった……そんな恥ずかしさに涙が零れて
わたくしを見ているであろうルビィのことを、直視できなくなってしまった。

「ふぅん……じゃぁ、動画見る?」

男性が持っていた端末を操作してわたくしの方に画面を向ける。
見たくなくて顔を背けたけれど、
動画に映る卑しい女の声はしっかりと耳にまで届く
それは紛れもなく、わたくしのものだった。

「美しいねぇ……妹の為にここまでするなんて」

ダイヤ「もう……もう……もう……やめてください……」
0137名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 10:40:46.01ID:eJ2yRL1C
感嘆の声を漏らす男性に、躊躇なく頭を下げた
膝をついて、手をついて、床に頭をつけた。
恥ずかしくて、みっともなくて……誰か助けて欲しいと祈りながら、
お願いしますと懇願する。

ダイヤ「お金ならいくらでも払います……ですからっどうか……っ」

「ん〜……別にお金が欲しくてこうしてるわけじゃないんだよね」

ダイヤ「え……」

男性は、わたくしの懇願など気にも留めていない。
とても、軽い声で楽し気に笑う。

「俺たちはさ、ただぶち壊しにしたかっただけなんだよ。お姉さんたちのこと」

ダイヤ「ぶち壊し……?」

「姉妹揃って、楽しそうに買い物してたでしょ? だから、あぁ、この二人は幸せなんだろうなぁ……って」

男性は、わたくし達を見たときのことを思い出しているのか、
とても、とても恍惚とした表情を浮かべながら語った。
幸せそうだったから、壊してみたくなったのだと。

身代金……お金なんて要求はしない。
安易に殺してしまう気もない。
ただ、幸せをぶち壊したかったのだと……男性は夢を語る少年のように、話した。
0138名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 11:00:29.81ID:OnB8Zvex
「可愛い妹に向かってちゃんと言いなよ。気持ち良かったって」

ダイヤ「っ……やめて……やめてくださいっ」

「今更隠すことじゃないだろ? あんなに、良い声出してたんだから」

ダイヤ「やめてっ!」

叫ぶように拒絶する。
頭を大きく振って、乱れる髪も厭わずに遮って……
しかしそれでも、男性の持つ端末から流れる音声は鮮明だった。

やめてと言っても男性は止めてくれない
わざと大きくした音を部屋中に響かせて、動画が終わるたびにまた再生を繰り返す。
聞きたくなくて耳を塞ぎ、頭を抱えて蹲る
それでも音はなくならない。
頭の中で何度も何度も声が反響しては、体を巡ったあの快感に体が熱を持つ

「認めなきゃ、ずっとこのままだけど?」

ダイヤ「うぅっ……ぅあっ……」

「えっと……そのままなら、このAqoursってグループのところに動画乗っけるぞ?」

ダイヤ「それだけは……っ! それだけは……っ」

「うわっ……反応早いな……なるほどねぇ」
0139名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 11:13:19.27ID:mP7iretW
ルビィの方に、体を向ける。
ルビィの顔は無意識に視界に入れないようにしてしまっていたのか、どんな顔をしているのか分からない
でもきっと、軽蔑しているだろうと……心が痛む

ダイヤ「ごめんなさいルビィ……わたくしは、自慰で……」

「違うでしょ。もっとちゃんと言わなきゃ」

ダイヤ「っ……」

男性の横槍
それは違うという意地悪で厭らしい指摘
口の中に溜まっていた唾ごと息を飲んで……汗の浮かぶ額を手の甲で拭う

ダイヤ「ごめんなさい、ルビィ。わたくしはオナニーで気持ち良く……」

「そうじゃないって言ってるだろ。わたくしなんて格好つけるなよ」

ダイヤ「え……」

「人前で楽しむような変態で淫売な姉でしょ? ちゃんと言いなよ」

そんなこと言いたくない。
そんなこと認めたくない。
どうしてそこまで言わされなければならないのか
悔しさと苛立ちが募って、ぐちゃぐちゃな頭の中が余計に分からなくなっていく
汗ではなく、涙が落ちる
目頭の焼くような熱さに産み落とされるそれを、手で何度も拭う
0140名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 11:22:09.08ID:mP7iretW
やれと言われたからやった。
やらされたからやった。
あんなことしたくなかったし、思い出したくもなかった。
なのに……やらされて。

現状の苦しさから逃避するように過去を巡って
しなければならないという義務感で下腹部を弄って……

けれど……耽ってしまったのは紛れもない事実。

ダイヤ「ごめんなさい……ごめんなさい……ルビィ」

泣くことを我慢できない。
あまりにも惨めで、悔しくて、申し訳なくて
悲壮感に濁った声ではあるけれど、男性の制止も入らないまま、先に進む

ダイヤ「変態で……淫売な姉は、見られながら……オナニーを楽しみました……」

「はぁ……まぁ、そんなもんで良いか」

男性はあまり納得がいっていないという様子で言うと
わたくしのことをじっと見つめて……もう一人の方を指さす

「次はあいつとセックスな。どうしてもやりたいらしいから」

ダイヤ「やっ……いや……」

ルビィを脅かしていた男性が入れ替わりに近づく
大柄な体、あまり清潔とは言えない服、汚れた手……鼻をつく嫌なにおい
生理的に無理だと全身が訴えてくる相手の手が……わたくしの頭に触れた。
0141名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 11:34:12.85ID:DEIj/38P
 
――――――――
――――――
―――


ダイヤ「いやぁぁぁぁぁっ!」

跳ね起きて、体を抱きしめる。
体が震える、心臓の音が激しい運動の後のように高鳴っていて
全身から噴き出したような汗に張り付く肌着の不快感に……だんだんと意識が戻ってくる。

ダイヤ「っは……はっ……はぁ……」

何が怖くて跳ね起きたのか、叫んだのか
何一つとして理解できないまま荒々しい呼吸を整えていると、廊下を走る足音が聞こえて――

ダイヤ「入らないでっ!」

きっとルビィだと思って、叫んだ。
こんな姿は見せられない、部屋の酷い悪臭に触れさせたくない。
あまつさえ、これの後始末を手伝われるようなことがあったら……わたくしは多分、死を選ぶ
走ってきた足音は途絶えたものの、離れた様子はなくて
少しの間沈黙が続いて、ノックが聞こえた

ルビィ『お姉ちゃん……』

ダイヤ「解ってます……でも、お願いだから……」

ルビィ『……』

ルビィの沈黙
悩んでいるであろうその数秒間の後に、
ルビィの足が動いたのか、わずかに軋む音が聞こえた

ルビィ『大丈夫なんだよね……? お姉ちゃん、大丈夫なんだよね……?』
0142名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 11:35:42.04ID:DEIj/38P
 
回線が不安定なので続きはまた後程
0144名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 14:27:42.40ID:xOuOlG4I
ダイヤ「……」

走っては駄目と怒られる廊下を躊躇なく走ってまで駆けつけてくれたであろうルビィに、
それを呼ぶほどの悲鳴を叫んだ口で大丈夫だなんて言えるわけがない。

大丈夫と言ったところでルビィは信じられないだろうし、
何かあると解っているのに、頼られないことを悲しむと思う。
けれど……この一線を超えさせるわけにはいかなくて、大丈夫と口を開く。

ルビィ『そっか……』

ダイヤ「ルビィ……わたくし……」

ルビィ『ううん、平気なら良いよ』

ルビィのそよ風にも似た声が、かえって心に来る
そのたった一言で、
ルビィが信じていないこと、相談して貰えない無力感を感じていること
なによりも、わたくしの身を案じてくれていることが、よくよく伝わってきたから。

ルビィ『学校、休む?』

ダイヤ「ちゃんと行くから安心して」

ルビィ『待ってようか?』

ダイヤ「準備に時間がかかるから……先に行ってて?」
0145名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 14:48:13.06ID:xOuOlG4I
ルビィはすぐに答えなかった。
握り拳を震わせているかもしれない、唇をかみしめているかもしれない
俯いて、泣きそうな顔をしているかもしれない
一枚扉の向こう側にいる愛妹の悲嘆に沈む姿を幻視して

ルビィ『……わかった』

ルビィが後退りしたであろう床の軋む音がする。
そのあとに続くのを待たずに、首を振った

ダイヤ「ルビィ、昨日のプリンありがとう。とても美味しかったわ」

ルビィ『うんっ、いつものお礼っ』

明るい声
無理して弾ませた痛ましさを抱かせる心
そうして足音が遠のいていくのを確認して……やり場のない気持ちを抱きしめるように
びしょ濡れになってしまったアンモニア臭い布団を抱きしめる

ダイヤ「ごめんなさいルビィ……」

こんなみっともない姉で、汚らしい姉で
毎朝卑猥なにおいを漂わせている変態な姉で
ごめんなさい。ごめんなさいと……許されるあてもなく謝り続けた。
0146名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 15:07:37.83ID:xOuOlG4I
気を利かせてか、早々に家を出てくれたルビィに感謝をしつつ、
精神病棟まっしぐらになりそうな汚らしい後始末を手短に済ませて、
昨夜セットしておいた善子さんのビデオカメラの録画を確認する。

昨日の夜から、今日動けるようになるまでの数時間
要領の大きいその動画の冒頭は、何も変わりがないように見える

ダイヤ「……ふむ」

電気を消して布団に入ったわたくしは、
特に動く様子もなければ、音も特に出していない。
一時間が経過して……おそらくは眠ったであろう頃に軽い寝返りを打ってまた時間だけが動く
それからまた数時間経った午前三時頃に、急に声が入る

ダイヤ「っ……」

それは誰かの声などではなく、まぎれもなくわたくし自身のいやらしい声
吐息を多く含んで、堪えるように押しつぶした一粒程度の声
体がびくんっと揺れたかと思えば、
連続して痙攣し……卑猥としか言いようのない声が映像の中の自分の口から溢れ出る

ダイヤ「どうして……」

部屋にはほかに誰もいない。
布団は自分の体が動く影響でズレていく程度で、
ただひたすらに、自分が喘ぎながら体を震わせる場面が流れて……数時間
不意に叫び声を上げながら、跳ね起きた
0147名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 15:47:13.85ID:xOuOlG4I
ダイヤ「こんなことって……」

不審者がいなくて良かったと言えば良いのか
不審者がいてくれた方が良かったと言えば良いのか
映像は最初の数時間を除いて淫らな声を上げる自分の醜態だけで終わった。

原因究明に繋がる何かは一切なし。
夢を思い出すことが出来るわけもない。
むしろ見なければよかったのではと思わざるを得ないけれど、
少なくとも、
眠っている間に悪戯されたわけではないことを確定させられたことで、納得しておく。

ダイヤ「たしか……」

善子さんの用意してくれたメモを確認し、ビデオカメラから醜態を削除する
いくら協力者とはいえ、あんなものは見せられない
着信点滅が激しく主張している携帯を手に取り、善子さんにビデオカメラの返却と
不審者はいなかったことを連絡する。

重い荷物と言うことで、帰りに寄って貰うことも考えたけれど
持ってきてくれればいいから。とのことで……準備をしてため息が零れた

ダイヤ「もう二度と……普通には戻れないかもしれない……」

今朝はルビィのこともあって、オナニーをせずに済んだけれど
明日はどうなるか分からない
もしかしたら今日しなかった分、明日が酷いことになるかもしれない

最悪の場合……それも考えておいた方が良いと、決心する
0148名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 16:43:14.15ID:xOuOlG4I
教室に着いたのは、朝のHRが始まる前ギリギリの時間
前日に遅刻したうえに、
今日も遅刻間近の危うい登校となったわたくしをクラスメイトは心配してくれて、
事情が事情なだけにその理由は言えなかったけれど、みんな深く聞かずに流してくれた
鞠莉さんと果南さん……二人を除いて。

一限目が始まる前に、
ちょっと来て。と、お願いではなく強制的に理事長室へと連れ出されたわたくしは、
果南さんと鞠莉さんに囲まれるような形で椅子に座る

鞠莉「ねぇダイヤ……なにがあったの?」

ダイヤ「なにも」

果南「なにもってさ……そんな嘘信じられると思う?」

ダイヤ「本当に何も……」

鞠莉「ダイヤ……」

言えない……言いたくない。
その一心で、二人の言葉に何もないと繰り返して
けれど、どちらもまるで信じてくれそうになくて……
鞠莉さんの声が、酷く物憂げなものへと沈んでしまう
0149名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 17:16:00.06ID:xOuOlG4I
鞠莉「……一昨日、善子が生徒会室に行くのを梨子が見てたの」

ダイヤ「え……」

鞠莉「そして、昨日。また、善子が生徒会室に行ったのを梨子の話を聞いた千歌っちとルビィが見てた」

話の表面だけ見れば、
わたくしを尾行しているなんて最低。とでも一言言うべきことかもしれない。
けれど、語る鞠莉さんの声はいつもよりも落ち着きのないもので
醸し出される雰囲気は、尾行と言う言葉が茶化しに聞こえてしまいそうなほど張りつめて感じる

果南さんは話を黙って聞いていて、しばらく口を挟む気はないようで
鞠莉さんはそのまま、話を続ける

鞠莉「そして放課後、ダイヤと善子が待ち合わせをして帰るのを、やっぱりルビィと千歌っちが見てたの」

一息入れた鞠莉さんは少し居心地が悪そうに苦笑を浮かべると、
善子と付き合ってるんじゃないか。なんて、浮ついた話も出たのよ。と、申し訳なさそうに首を振る。

――きっと、そうではないと悟ったから。

鞠莉「千歌っちと曜が二人がこっそり逢瀬を重ねてるのかもって言った時、ルビィは違うって言ったのよ」

ダイヤ「それはどういう意味――」

果南「ダイヤ、それ本気で聞いてる?」

鞠莉「果南」

組んでいた腕を解きかけた果南さんを一声で制してから鞠莉さんはわたくしを一瞥する
僅かな憤りの滲む瞳が、揺らいだ

鞠莉「ルビィが学校を休んだって知ってる?」

ダイヤ「そんな……待ってください、ルビィは――」

果南「学校を休みたいって連絡があったんだよっ!」

ダイヤ「っ……」

果南「泣いてた……ルビィちゃん、ごめんなさいって何度も言って、行こうと思ったって、でも。どうしても無理だって」
0150名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 17:30:40.65ID:xOuOlG4I
ダイヤ「そんな……」

鞠莉「その様子だと、ルビィも相当頑張ろうとしてたのね」

ダイヤ「……」

ルビィが学校に行けなくなる何か……原因
それが何かをわたくしは知っている……ううん、知っているも何も、自分自身だ
決定打は、絶対に大丈夫ではない大丈夫と言う言葉。
あれが、ルビィの心を深く傷つけてしまった……。

果南「ねぇ? ダイヤ……本当の本当に何もないの? ルビィちゃんが自分の力不足を感じて泣き出すくらいのこと……」

ダイヤ「……っ」

鞠莉「ルビィね、ダイヤのこと茶化そうと計画してた千歌っちと曜に怒ったの。お姉ちゃんを困らせないでって」

何かがあると知っていて
それが、ダイヤにとってこれ以上ないくらいに負担になっていると気づいていて
だから、善子との密談を笑い話にする千歌っちが乱入しないよう監視までしていたんじゃないか。と、
鞠莉さんは深刻な面持ちで呟く。

鞠莉「単刀直入に聞くわ。月曜に話してた夢の件でしょ?」

ダイヤ「………」

果南「ダ――」

ダイヤ「話して……話してどうにかできる確証があるなら、わたくしだって打ち明けますわ」
0151名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 17:44:55.34ID:xOuOlG4I
声を荒げそうになった果南さんをせき止めるように、割り込む。
簡単に話せることなら話しているし
解決して貰えそうなら、相談することだってもう考えている。

けれど、二人が推薦した善子さんですらお手上げで、
病院に行っても良くなる気配がなくて、ルビィを傷つけてしまって

だけれど、
無意味に自分の醜態を晒せるほど、わたくしの心は強くない。

ダイヤ「でも、お二人には絶対に何もできません」

果南「そんなの、やってみなくちゃ分からないでしょ」

ダイヤ「果南さんは夢の中にまでダイビング出来る特殊能力でもお持ちなんですか?」

果南「なにそれ……」

ダイヤ「原因は夢ですわ。夢の中で何かがあって、朝……わたくしは酷い精神状態に陥っているんです」

鞠莉「その夢を見る原因は?」

ダイヤ「病院にもいきましたが、そのことに対する欲求不満あるいはストレスなどによるものではないかと」

今はともかく、
月曜日に関しては、あんな夢を見るような性的欲求の不満も、ストレスも何もなかった。
だからたとえそれを解消したとしても、解決しない可能性の方がとても高い

ダイヤ「果南さん、鞠莉さん」

二人の名前を呼ぶ。
わたくしを見てと、この目を見てと

ダイヤ「毎朝、何も覚えていない夢のせいで心身ともに疲弊しているわたくしを……どう助けて頂けるのですか?」
0152名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 17:57:18.28ID:xOuOlG4I
果南「……それは、ごめん。勝手が過ぎるかもしれないけど、さっきは言いすぎた」

果南さんは海に潜れるからと言って夢に潜れるわけでもなく、
力になれないかもしれないと思ってか、わたくしに向かって頭を下げる
もとはと言えば、ルビィを傷つけてしまったわたくしの責任なのだから、
謝る必要はないと、頭を上げて貰うと……果南さんはでも。と、口を開いた

果南「夜、ルビィちゃんと一緒に寝たらいい夢見られるかもしれないとは思わなかったの?」

ダイヤ「それが出来なかった時の影響が計り知れないので」

鞠莉「そんなにひどい状態なの?」

ダイヤ「ええ。失禁している方がましなくらいです」

それはそれで大問題ではあるけれど、
あの惨状はただの失禁以上の問題だと思って言った
とはいえ、それはあくまでわたくし基準だったようで
二人は呆然と……まじで? と、口をそろえた。

ダイヤ「ですので、ルビィを巻き込みたくなかった結果が……これです。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません」

椅子から立って横にずれて、床に膝をついて手をつき、頭を垂れる
所謂、土下座をしながら謝罪すると、
鞠莉さんと果南さんの慌てた声と共に体が無理矢理に起こされた。

鞠莉「ちょ、ちょちょっと! ダイヤ!?」

果南「何してんのいきなり!」

ダイヤ「何って……謝罪はこれが普通だと……」

果南「土下座は違うでしょ、土下座は……」
0153名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 18:12:50.76ID:xOuOlG4I
鞠莉「でもじゃぁ……善子とは何してるの?」

ダイヤ「相談に乗って頂いているだけです」

果南「えっと……その、失禁以上のやばい内容は?」

ダイヤ「やんわりと伝えていますが、事細かくは」

善子さんの反応を見る限りでは、
その隠している部分についても悟られている気がしなくもないけれど。
ルビィも深く知っていそうではあるものの、
確実にわたくしが一番近しいと言えるのは善子さんだと話すと、
二人はなるほどね。と、考え込んで

果南「だったらさ、悔しいけど……善子に一緒に寝て貰えば?」

ダイヤ「ですからそれは……」

鞠莉「当然リスクも話したうえで。ね。もし善子がダメだっていうなら、わたしでもオッケーよ」
0155名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 18:22:24.24ID:xOuOlG4I
果南「ちょ、鞠莉!?」

鞠莉「ん〜……だって、明らかに普通じゃないことでしょ? 」

果南「だからダイヤが巻き込みたくないって……」

鞠莉「それを良いって言ってるの。失禁以上にやばい悩みを共有すること、巻き込まれること。オールオッケー」

ダイヤ「正気ですか……?」

鞠莉「当事者に正気を疑われると……ちょっと怖いわね」

鞠莉さんは引き目がちにそう言いつつも、
でも大丈夫よ。と、笑顔で申し出てくれる
巻き込むことで何が起きるか分からない
軽蔑されてしまうかもしれない
それが怖くて、協力も何もお願いできなかったわたくしにとって
その笑顔はまさしく……救いのようなものだったように思う。

鞠莉「それに、わたしの協力なら、ホテルが借りられマース! ルビィへの不安、後始末の不安。なんにもなーし!」

ダイヤ「……いいのですか?」

鞠莉「良いって言ってるでしょ。ダイヤ」

果南「私は二人がそれでいいなら口出ししないよ。ルビィちゃんへのフォローはしといてあげる」
0156名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 18:52:16.98ID:xOuOlG4I
ダイヤ「鞠莉さん……とても、ご迷惑をおかけしますがそれでもですか?」

鞠莉「ノープロブレム。わたしとダイヤの仲でしょ?」

鞠莉さんは親指を立てて、ウインクをして見せる。
果南さんは呆れ混じりに首を振ったけれど、
今のわたくしにとっては、その賑やかさが心地よくて
思わずあふれる涙を、両手で覆い隠した

鞠莉「ダイヤ……」

果南「これは相当だね……」

果南さんがそう言うと、鞠莉さんがわたくしの隣に来て体を抱き寄せてくれる
果南さんは困ったように息を漏らすと、何かを納得したのか仕方がないね。と、呟く

果南「ダイヤもあんまり大人数に知られたくないだろうから……私は早退してルビィちゃん探してくるよ」

ダイヤ「それはわたくしが――」

果南「良いから良いから。会ったって話すべきこと話せないでしょ?」

それに。と、果南さんは付け加える

果南「ダイヤは鞠莉と話しないと。ルビィちゃんのことは任せておいてよ」

ダイヤ「果南さん……」

ね? と、快活な表情を見せてくれる果南さんに、お願いします。と一礼する。
本当はわたくしが行くべきこと
けれど、果南さんが言うように、何も解決していない今はルビィを繋ぎ止める術を思いつけない
だから、果南さんにお願いして……送り出す。

二人が親友で良かったと……心から、思った。
0158名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 22:36:33.69ID:1CrnjrAr
 
善子さんとのお話もあり、それなら……と
事情を話すのは昼休みにまとめたほうが楽となって、
わたくしと鞠莉さんは昼休みに入ってすぐ、生徒会室へと向かった。

善子さんも丁度来ていたようで、後ろに鞠莉さんがいることに訝し気な表情を見せたものの、
わたくしが大丈夫です。というと、特に何かあるわけでもなく、本題へと移った。

善子「それで、動画は?」

ダイヤ「撮れましたが……その、あまりにもひどい内容だったので消去しました」

善子「それは良いけど不審者は?」

ダイヤ「確認できませんでした」

善子「それは……一先ずよかった? のかしらね」

善子さんはわたくしから受け取ったビデオカメラをチェックするのを止めて、
不審者がいない、完全にわたくしだけの問題だということが確定したことを
やや、不安そうな表情で噛みしめながら疑問符を覗かせる

そうして、鞠莉さんへと目を向けた

善子「話、聞かせるの?」

ダイヤ「ええ……その、ルビィがいないことは――」

善子「知ってる。その辺り掘られて隠せなくなったのね……仕方が無いか」
0160名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 22:53:00.15ID:1CrnjrAr
鞠莉「善子はわたしが話に加わるのが不満?」

善子「不満はないけど、申し訳ない……ほんと、申し訳なくて笑いたいくらい」

善子さんは自分自身を嘲笑しながら、
俯きがちに視線を彷徨わせて、ふとわたくしのことを見る
罪悪感を抱いて……苦虫を噛み潰したような表情

善子「二人だけの秘密で、さっさと解決してあげたかった」

鞠莉「善子……」

善子「良いのよ。鞠莉は何も悪くないでしょ。ただ私が力不足だっただけなんだから」

鞠莉さんまで落ち込んだ声色となったのを気にしてか、
善子さんはやや無理な笑い声を部屋に弾ませながら、鞠莉さんは悪くないと励ます。
でも、善子さんだって悪くない
善子さんは頑張ってくれているし、一番の協力者だった
それを力不足だなんて、わたくしは思わない。

ダイヤ「問題はわたくしです……わたくしの心が問題なんです……」

鞠莉「はいはーいっ! この話はここまで! 本題、続けましょ?」

鞠莉さんが手を叩き、
その渇いた軽い音で仕切り直しとして、空気を改める

ダイヤ「善子さんは一度約束してくださいましたが……鞠莉さん、善子さん。可能であれば、軽蔑しないでください」
0161名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 23:06:25.56ID:1CrnjrAr
わたくしの二度目の願いを、善子さんと鞠莉さんは息を飲んで頷く
どんな話であるか内容は語っていないものの、
失禁以上の惨状だったり、卑猥な状態であることは伝わっている

だから、どちらかは軽蔑しないで貰えるのではないか……なんて、
そんなことを思いながら、深呼吸
空気を含む体の内側、高鳴りが強く感じられた

ダイヤ「夢の内容は解りませんが、朝起きると……わたくしは常に性的興奮状態にあるんです」

鞠莉「性的興奮……? それって、どんな?」

ダイヤ「汗だくで熱っぽく、下腹部が疼いて仕方がない……これに尽きますわ」

今週の月曜日から、毎朝の自分を思い浮かべながら、二人に話す。
眠りながら何度も達したのでしょう……股の辺りはショーツがダメになるほどに酷い状態で
部屋中に淫猥なにおいが立ち込めていて、頭がぼんやりとすること
今朝に至っては、ついぞ失禁もしていて後始末で悲惨なことになっていたこと

ダイヤ「そのため……起きたらオナニーをするのが日課になりそうなくらいで」

鞠莉「オナ……っ、ちょ、ダ、ダイヤっ!?」

善子「夢の影響よ。鞠莉」

鞠莉「は……?」

わたくしの発言に取り乱す鞠莉さんの一方で
善子さんはとても冷静に、悲しそうな顔でその原因への答えを口にする。
鞠莉さんは何を言ってるのかと困惑を隠せていない様子で
善子さんは握り拳を解いて、ぎゅっと……少し強い瞬きをするのが見えた
0162名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 23:15:50.00ID:1CrnjrAr
善子「オナニーなんて、ダイヤらしくない……普通なら、自慰行為とかって思ったんでしょ?」

鞠莉「それは、そう……」

善子「でも今のダイヤの頭の中では、オナニーが普通なのよ」

鞠莉「よ、善子までそんな連呼しないで……」

顔を赤くする鞠莉さんは少し嫌がっているものの、
善子さんは容赦なく、オナニーが普通なのよ。と繰り返して
こんなことで恥ずかしがってる余裕なんてないの。と、吐き捨てた。

善子「分からない? ダイヤの常識が夢のせいで壊れるかもしれないのよ」

鞠莉「っ」

ダイヤ「わたくしが……狂うかもしれないと?」

善子「今はまだ接吻をキス、自慰をオナニー……こんな可愛い程度で納まってるけど行動に出たら?」

真剣な眼差しで、
危機感を感じる物々しい雰囲気を感じさせる善子さんの苦渋の滲む言葉に、
鞠莉さんがもしかして。と、切り出す。

鞠莉「土下座が当たり前だとか言って、いきなりしたのって……」

善子「っ……たぶん、夢の影響」
0163名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 23:27:02.12ID:1CrnjrAr
善子さんは悲しそうな目でわたくしを見る
鞠莉さんと果南さんは大慌てて土下座を中断させたし、そんなことはしなくていいと言った。
迷惑をかけたから土下座をする。そんな当たり前のことに驚いていた。

わたくしは謝罪の為に土下座をすることの何がいけなかったのか……分からない。
今も、鞠莉さんが頭を抱えるようにして絞り出したこの話が、重大なことだとは到底思えない
それが、夢の影響なのかと思うと恐ろしくて……。

善子「色々例えを考えたのが功を奏しただなんて言いたくないけど……」

善子さんはそんな不安なことを前置きして、神妙な顔つきで息を吐く
それでも落ち着かなかったのか、胸を撫でて。

善子「例えば夢の中で、家では服を着ないことが当然だと思い込まされたら、ダイヤは家では裸族になる」

ダイヤ「裸族って……そんな」

善子「今はそうやってありえない、恥ずかしいって感じるけど夢を見た後は、それの何がいけないの? ってなるのよ」

善子さんは冗談ではないと首を振る。
鞠莉さんも想像の上を行く話だったのか、口元を手で覆って首を振っていて
そんなの……そんなの……と、繰り返していた

善子「家の中ならまだいい。そういう人も少なからずいるし……でも、外でそうなったら?」

鞠莉さんは絶句して、善子さんは最悪どころじゃない。と、重苦しくつぶやいた。
0164名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/28(火) 23:44:34.74ID:1CrnjrAr
善子「寝ながら犯されて、朝は自慰に耽って、夢の中の常識に侵食されて壊れる。それが、ダイヤの状況ってわけ」

ダイヤ「……対策は」

善子「色々考えたけど……朝やるんじゃなくて、夜寝る前に自慰をして性欲発散してみるとか。ろくなのがない」

鞠莉「それじゃ結局、毎夜自慰行為に耽らなくちゃいけないってことじゃない……」

ダイヤ「それはこの際、仕方がありませんわ」

その程度で、夢に悩まされることがなくなり、
現実が侵食されていくことが無くなってくれるのであれば、
毎夜のオナニー……自慰は受け入れるくらいどうってことない
どう転んでもイヤらしくて、卑猥な姉なのは変わらないけれど……それも仕方がない。

鞠莉「問題は、それで解決するとは限らないってことよ」

ダイヤ「最悪の場合、入院も検討していますわ」

鞠莉「入院!?」

ダイヤ「ええ。体の異常ではありませんし……おそらく精神病院になると思っています」

精神病院だからと言って、酷い扱いをされるわけではないだろうし、
きっと、面会が一切できないなんてことになることもないと思っている
もっとも、今のような状態であれば……だけれど。

善子「治る見込みもないのに……」

ダイヤ「そうですわね。生涯入院で人生を終えることになるかもしれません」

言葉だけでなく、行動にまで影響が出るのであれば、
入院は避けられないし、行動が落ち着かない限り退院なんて出来るはずがない。
つまり……残りの数十年、わたくしは精神病院で過ごすことになるかもしれないということになる。
0165名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 00:01:05.72ID:vzSfG/op
鞠莉「入院なんて考えたくない……ダイヤを、そんな……」

鞠莉さんはわたくしのことを思って、泣きそうな声で言う
それほど愛して貰えているのだと思うと……嬉しくて
その体を抱きたいと思ったけれど、それですら普通のことではないかもしれないと……不安が募って
悲しげな鞠莉さんに近づくことさえ、出来なかった。

鞠莉「ねぇ……誰かと一緒に寝るって言うのを……試してみない?」

善子「それ私も考えたけど効果あるとは……」

鞠莉「あるかもしれないじゃないっ!」

善子「鞠莉、落ち着いて」

鞠莉「落ち着いていられると思う!?」

親友が精神病院に入院も検討するような状態で、
それが言葉と行動の常識を破壊しかねないようなことで、
打つ手がまるで考えつかない状況で……と、鞠莉さんは半狂乱に語って……不意に床を力強く踏みつけた

鞠莉「はぁ……っ、ソーリー。取り乱して」

善子「気持ちはわかる。確かに打つ手がない以上、もしかしたら……を、虱潰しに実行するべきよね」

善子さんはそう言いながら、
息を荒くしていた鞠莉さんを一瞥して、わたくしを見る。

善子「三人なら……鞠莉のところで泊まるって言うのはどう? 迷惑じゃなければだけど」

鞠莉「善子もいいの?」

善子「乗り掛かった船、今更逃げ出すなんて出来るわけないでしょ」

ダイヤ「善子さん……」

善子「言ったでしょ、私に出来ることならなんでも言ってって。最後まで付き合うわよ……それがどんなことだとしても」
0166名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/29(水) 00:17:11.25ID:Peu1C8fm
よくもまぁこんなえげつないSSを書くなぁ…エロいだけじゃないのがまた…
0167名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/29(水) 01:45:35.25ID:BvfYrYpb
善子いい子や
0168名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 09:45:36.90ID:VXcdX9J4
ダイヤ「ありがとうございます……」

鞠莉「ほんと、善子は善い子なんだから」

善子「ダイヤから直々に相談されたんだから仕方がないでしょ……茶化さないでよ」

そっぽを向いた善子さんだったけれど、
ただ照れ臭かったようで、ほんのりと頬を赤らめると……顔を顰めて

善子「鞠莉の方は平気なわけ?」

鞠莉「こっちも問題なしよ」

ダイヤ「ご迷惑をおかけいたしますが、宜しくお願い致します……」

善子「だからもう……そんなかしこまらなくたっていいってば」

まだ話を聞いただけだからそう言って貰えるのかもしれない
内容が内容なだけに、かしこまらないなんて無理な話だと、善子さんの困った反応に対して首を振る
わたくしの相談事は、相手からしてみれば触れるのも嫌悪するような汚らわしいこと
親しい間柄であっても礼儀が必要であるように、
そんなことに関わってくれるというお二人には……感謝してもしきれない

その優しさがあまりにも温かくて、幸せで
果南さんと鞠莉さんの前で泣いてしまったのに、また泣けてきてしまって
そんなわたくしを、鞠莉さんが抱きしめてくれる
0169名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 10:00:16.46ID:VXcdX9J4
鞠莉さんの体は柔らかくて、
入浴の多い鞠莉さんらしい、清潔な香りの中に仄かに感じるフローラルなにおい
ふんわりと包み込まれるような感覚に瞼を閉じると、
心地いい穏やかな心臓の音が、聞こえてくる

ダイヤ「鞠莉さん……」

鞠莉「ん〜?」

鞠莉さんの名前を口にすると、彼女の軽い声が返って
温もりを感じる体に、熱を帯びた何かが巡る
善子さんの声が聞こえたけれど、何を言っているのか頭の処理が追い付かなかった

鞠莉「えっ、よ……っ」

ダイヤ「ん……っ」

体は自然と動いて、抱きしめてくれる鞠莉さんを抱き返しながら、
優しい音を聞かせてくれる唇に、唇を重ねてしまう。
体よりも柔らかい唇の肉感
リップの微かに甘い匂いが唇を通じて、伝わってくる

ダイヤ「っふ……」

鞠莉「は……ぇ……ダ、ダイヤ……?」

一度唇を離すと、抱いてくれている鞠莉さんの力が弱まって
動揺を感じる表情を浮かべた鞠莉さんの口からは、驚きの声が漏れ出した
0170名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 11:22:24.85ID:VXcdX9J4
ダイヤ「もう一度……」

鞠莉「ちょ、ちょっとっ」

善子「ダイヤ!」

ダイヤ「っ……」

善子さんの大きな声と、体が揺らされて……はっとする
あともう少しで触れていた鞠莉さんの唇
小さく開いた口から洩れた吐息同士が重なって、
たった1センチ上から下りてくる視線が交錯する

鞠莉「大丈夫?」

ダイヤ「大丈夫……です」

鞠莉さんから離れる
腕に、胸に、心に感じていた温もりが急激に失われていくのを感じて
大丈夫といった言葉を覆すように、涙が出てきてしまう
二人の気遣う声を感じる
大丈夫と言いたいのに、涙を止めたいのに
どうしようもなくて……

善子「ダイヤ、ごめん」

背が低い善子さんはわたくしの腰に左手を当てて、
右手を頬へと触れさせてくれる
伝う涙を拭ってくれるその手は温かく、精一杯につま先を立てる姿が可愛らしくて

善子「ん……」

何も悪くないはずの善子さんの謝罪を産み落とした唇が、
わたくしのそれと重なって、呼吸が止まる。
鞠莉さんよりも力強くて、けれど優しいキスを……善子さんはしてくれた
0171名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 12:18:52.02ID:VXcdX9J4
ダイヤ「っは……ん……」

善子「ふ……ふぅ……」

善子さんの体が小さくなって、二歩分の距離が開く
善い子と言われたときのような照れくささを感じさせたりはせず
落ち着かせたがっているような様子で、自分の胸に手を当てる

鞠莉さんは目の前で起こったことに戸惑いながら、
なんとか受け入れたのか、善子さんに……どうして。と、問いかけた

善子「鞠莉、受け入れられそうになかったから」

鞠莉「……ソーリー、あまりにも急で」

ダイヤ「わたくしこそ、ごめんなさい……なんだか、ドキドキして……キスがしたくなってしまって……」

良いの良いの。と、鞠莉さんは言うけれど
善子さんとは違って気恥ずかしそうに頬を掻くと
自分の唇を指で触って、わたくしを一瞥するだけで……また顔を逸らしてしまう

善子「ダイヤは落ち着いた?」

ダイヤ「先ほどよりは……」

善子「ならよかった。キスがしたくなったら言って」

鞠莉「善子とダイヤって……付き合って、無いのよね?」
0173名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 13:34:33.48ID:VXcdX9J4
善子「はぁ? 付き合ってるわけないでしょ」

鞠莉「付き合ってないのに、キスするの?」

善子「ダイヤを少しでも助けたいし……それに、正直言って役得でしょこんなの」

善子さんは本心からと感じる笑みを携えながら、冗談めかして言う
わたくしとのキスが役得……として喜ばれると
ちょっとだけ、キスをすることが恥ずかしくなってしまう

その恥ずかしさを知ってか、善子さんは笑顔を見せてきて、
直視できなくなったわたくしは、顔を背ける
またキスがしたくなっても、善子さんはしてくれる
きっと、抱いて欲しいと言えば抱いてくれる
でも……そうするのが……

鞠莉「なるほどねぇ」

善子「何よその顔」

鞠莉「別に……ダイヤも隅に置けないわね」

ダイヤ「小突かないでください」

鞠莉「照れちゃって〜」

善子「からかってんじゃないわよ。鞠莉は? キスは無理なわけ?」
0175名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 14:30:40.49ID:VXcdX9J4
鞠莉「ん〜……不意を突かれなければ大丈夫だけど、わたしがダイヤとキスしちゃってもいいの〜?」

善子「別にいいわよ。それでダイヤを満足させてあげられるなら」

鞠莉「唇に自信があるわけだ」

善子「はいはい」

鞠莉さんの賑やかさが戻ってきて
善子さんは呆れたような空気を感じるけれど
でも、ちゃんと楽しんでいるように見える

けれど……わたくしのことでそういう話は、やめて欲しい
なんて、少しばかり思って
善子さんに目を向ければ、気付いてくれて……鞠莉には困ったものね。と苦笑して
高鳴ってしまうのを感じて、胸に手を当てる
唇を巻き込んで潤す

だけど……キスがしたいとは言えなかった。

善子「ダイヤ、大丈夫?」

ダイヤ「だ、大丈夫です……すみません」

善子「別に謝らなくていいけど……じゃぁとりあえず放課後に合流ってことで」

鞠莉「校門のところね」

善子「わかった。ダイヤ、授業中に何かあったら鞠莉を頼りなさいよ」

ダイヤ「ええ」

頷くと、善子さんも頷いて
その流れのままに、善子さんは鞠莉さんを見る

善子「力不足なのは悔しいけど、鞠莉が協力してくれることには感謝してる。教室じゃ私、何もできないから」

だからよろしくね。と、善子さんは鞠莉さんにわたくしのことを頼む。
鞠莉さんは少し驚いた様子で、でも、しっかりと分かったわ。と、応えてくれた。
0176名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 15:01:43.19ID:VXcdX9J4
そして、果南さんからルビィを見つけられたこと
とりあえずは落ち着かせられたことの連絡をうけて……一安心した放課後
鞠莉さんと一緒に校門まで向かうと、善子さんはもうすでにいて
あまり待つことなく、鞠莉さんの住んでいる淡島……そのホテルへと向かうことが出来た。

とりあえずは試験的に一日
それで効果があるか無いかを確かめて、
あれば、それでいいし無ければ……合宿という設定で宿泊を延長する計画だと鞠莉さん達は話す。

一日だけなら自宅から持ち出す必要があるものもないけれど
数日となると、色々準備が必要になってしまう
授業で使うものに関しては……最悪、朝に取りに戻るのもありではある
しかし、夏休みでもないのに合宿と言う設定がとても無理がある

ダイヤ「しかし……いつ見ても立派ですわね」

鞠莉「スゥイートなルームだもの」

善子「それでどうする?」

鞠莉「三人川の字で寝るって言うのはどう?」

ダイヤ「それはまさか……わたくしを挟んで、ですか?」

わたくしの疑問には、鞠莉さんの満面の笑みが返ってくる
ショーツや寝間着、シーツが大変な事になってしまうと話したばかりなのに、
よくも平気でそんな考えが出来ると、もはや関心思想にもなって……ため息一つ

ダイヤ「ダメです。そんなことしたらお二人を汚してしまいますわ」
0177名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 15:13:04.31ID:VXcdX9J4
善子「緊急事態だし、それはこの際仕方がなくない? この部屋なら他人に会わずにお風呂入れるし」

ダイヤ「わたくしが嫌なんですっ……自分のイヤらしいものでお二人を汚してしまうなんて……」

鞠莉「一つだけ汚さない方法あるけど、どうする?」

ダイヤ「そんなものがあるんですか!?」

あるわよ。と答えた鞠莉さんだったけれど、
言い出したはずの鞠莉さん自身は乗り気ではないし、
善子さんに至っては、渋い顔をしていて……良くないことだというのが察せられた

ダイヤ「あの、なんなんです?」

鞠莉「あるにはあるんだけどねぇ……ほら、おむつ。赤ちゃんとか、高齢者が履くようなやつ」

善子「おむつ履いてればそりゃ、お漏らしだって何とかなるけどダイヤは高3なのよ?」

鞠莉「でも、寝てる間に大洪水なんでしょ?」

善子「だからって……」

わたくしの代わりに、不服を述べてくれるのはとても嬉しいけれど、
鞠莉さんが言っていることは間違っていないし、
それを使う対象に当て嵌まるような……自制の効かない状態なのも事実
高校3年生に、改めておむつを履くなんて屈辱以外のなにものでもない
でも、そうすべきだと思って

ダイヤ「おむつ、履きますわ」
0178名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 15:41:38.15ID:VXcdX9J4
善子「っ……本当にそれでいいの?」

ダイヤ「背に腹は代えられません……それに、プライドを捨てるだけで済むのなら、安いものですわ」

思わず、笑ってしまう。
プライドを捨てるだけとは言ったけれど、恥ずかしいものは恥ずかしいし
この歳で失禁するなんて、みっともないという話どころでもない
慕ってくれる妹、後輩、仲良くしてくれている友人
そのみんなに申し訳が立たない
だから、これまでは考えることさえしなかった

ダイヤ「軽蔑……して下さってもかまいませんわ」

善子「軽蔑なんてしない!」

ダイヤ「っ」

鞠莉「そうよ。何の問題もないのに、おむつが好きって変態さんならともかく、ダイヤは違うじゃない」

二人はそう言ってくれる。
寄り添ってくれる
その優しさと温かさが嬉しくて
けれど、確実に裏切ると解っている自分自身の心の汚らしさが辛くて、苦しい

――死にたい。と、湧いてはいけないものが、湧いてしまったように思えた。
0180名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 16:40:48.32ID:VXcdX9J4
ホテルオハラでの夕食は、とても豪華なものになった
鞠莉さんは何も言わないけれど、
わたくしのことを考えて、少しでも元気になれるように取り計らってくれたんだと思う
その感謝を述べても、鞠莉さんはいつもと同じだと誤魔化して笑顔を見せてくれた

ダイヤ「はぁ……」

綺麗な景色を一望できるバルコニーで一人、ため息をつく。
鞠莉さんに用意して頂いたおむつの締め付けるような感覚が、優雅な雰囲気を一蹴してしまう。
この歳で自分が履くためにおむつのつけ方を確認するなんて思ってもいなかった
自分で決めたこととは言え、
ショーツを履かずにおむつを履くというのは……悔しくてたまらない

ダイヤ「……」

鞠莉さんは優しい
善子さんだって優しい
だから……だからこそ、いつまでも迷惑をかけ続けたくない
心配させるのも、気を遣わせるのも
困らせるのも、わたくしのことで何度も悲しませるのも……嫌

そう思いながら、手すりから顔を覗かせて眼下の暗い世界を見ていると
目を閉じて、手を離してしまいたくなってくる
肌に感じる弱弱しい風はきっと強くなって……ほんの一瞬の痛みはあるかもしれないけれど
たったそれだけで、苦しい今から抜け出すことが出来そうで――

善子「悪いけど」

ダイヤ「っ!?」

善子「止めるからね、私」
0181名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 16:57:06.49ID:VXcdX9J4
突然聞こえてきた内側の音に、思わず体が跳ねてしまう
驚きすぎじゃない? と、苦笑する闖入者……善子さんは飲む? と、ティーカップを差し出してくれる
とりあえず受け取って、一口
微かな酸味があって、仄かに甘い香りが抜けていく

善子「一人でこんなところいるから、驚いたわ」

ダイヤ「ごめんなさい」

善子「そのすぐに謝るの止めない? 口癖になってる」

ダイヤ「ごめ……いえ、その……」

善子「夢の中でそれだけ嫌な目に遭ってるのか、ダイヤの罪悪感がそれだけ重なってるのか。どっちかしらね」

善子さんはそう言うと自分の分の紅茶を口に含んで、
呑み込んでから渋い顔をして、もう少し砂糖入れればよかった。なんて、舌を出す。

善子「確かに大変だけど、迷惑だなんてこれっぽっちも思ってない」

ダイヤ「善子さんがそうでも、わたくしは……」

善子「話を聞いたくらいで理解してあげられるなら、自殺する人なんて一人もいなくなるんじゃないかな」

ダイヤ「え?」

善子「前にずら丸が言ってたのよ……まさにその通り。話を聞いたくらいじゃ、ダイヤの苦しさも辛さも全然分からない」

だからこうして平気でいられるのかもね。と、善子さんは申し訳なさそうに、笑みを零した
善子さんは平気なんかじゃない
笑ってはいても、心から笑っているわけじゃない。
でも、わたくしの心情よりは気楽だろうからと……そう言ったのかもしれない
0182名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 17:35:20.79ID:VXcdX9J4
善子「……ねぇ、ダイヤ」

ダイヤ「なんですか?」

善子「私、何でもするから」

ダイヤ「善子さん……」

善子「出来ることなら、ダイヤがして欲しいことなら……なんだってするから」

善子さんはバルコニーに出てきてから初めて、わたくしをまっすぐ見る
身長差のせいで、その瞳はわたくしを見上げているけれど、
それを感じさせない、強かさの感じられる善子さんには、迷いがなかった

善子「この状況だから仕方がなくじゃない。私がしたいの。ダイヤの為に」

ダイヤ「どうして、そこまで……」

善子「そんなの決まってるじゃない。私にとって、ダイヤは尽くしたい相手だからよ」

善子さんは力強く宣言すると、
バルコニーにある丸型のテーブルにティーカップを置いて距離を詰めて。
手に持つティーカップに別の力が加わったのを感じて委ねると、
それはすぐに手から奪われて……善子さんのティーカップに並ぶ。

善子「だから……諦めないで」

善子さんの背が少しだけ伸びて……わたくしはそれを受け止めた。
入浴剤のフローラルな香りと、ソープの清潔な香り
そして、善子さん自身の優しい匂いを感じて……音もなく、唇を重ねる。
紅茶の仄かな酸味が、緩やかな甘さとなって体に溶けていく。
0184名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 18:59:06.76ID:VXcdX9J4
―――
――――――
――――――――


「分かっていたけど古臭い女だね、キミは」

ダイヤ「古臭い……ですか」

「なんだ違うって言うのかい? 日本人形みたいに無駄に黒くて無駄に長い髪。今時の女の子はもっとおしゃれだよ」

文句は散々な割に人当たりは良く、両親への取り入り方も上手だった4つ年上の男性は、
わたくしを貶しながら、椅子にふんぞり返って足を組む

そんなに嫌なら結婚はお断りしたらよかったのに。と、思うけれど、
今回に限って、わたくしはそんなことを言うわけにはいかなかった。
本来なら長女であるわたくしが嫁ぐのではなく婿を迎え入れるというのが黒澤家の在り方だったのだけれど……
諸般の事情で傾く一方だった会社への融資の条件として、黒澤ダイヤが嫁ぐという条件だったからだ。

お父様もお母様も、その必要はないと言ってくれていたけれど、
それが強がりでしかないことは目に見えていたし、感じていたからこそ
わたくしは嫁ぐことを決めた。
いいえ、それ以外に道はなかった。

ダイヤ「申し訳ありません……長女として――」

「あー、いい、いい。そういうの。そういう言いわけも古臭いって言ってんの」
0185名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 19:10:24.28ID:VXcdX9J4
ダイヤ「……なぜ、わたくしとの結婚を条件にしたのですか?」

「ん?」

ダイヤ「古臭くて、そんな嫌悪されるのでしたらそんな条件要らなかったのではありませんか?」

聞くべきか迷いはしたけれど、
男性の態度がどうにも……わたくしに好意を抱いているようには思えなくて
結婚という条件を出してきた理由を訊ねる。

聞いた話、結婚を条件にしたのはこの男性だというのだから、
本当に、理解が出来なくて。
男性はわたくしを見ると、そうだなぁ……と、考えながら呟く

「初めて見たときに、この人はプライド高いだろうなって思ったからだよ」

ダイヤ「そんな理由で……?」

「自分と自分の家に誇りを持ってそうな人を奴隷のように扱えるって、素敵だと思わないかな?」

ダイヤ「妻は奴隷だと?」

「いや、普通なら違うけどさ。キミは融資の条件の一つだから。言っちゃえば、お金で買われた奴隷なんだよね。わかる?」

彼は笑いながら、侮辱する。
気付いてなかったのかと
そう考えなかったのかと
まさか、普通に愛されるとでも思っていたのか。と。
彼はとても……楽しそうに笑いながら、見下した
0187名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 19:28:57.82ID:VXcdX9J4
ダイヤ「それを、わたくしが外部に漏らしたら――」

「この家から出られたらね。秘書も使用人も全部こっちのだし、キミに外部との連絡手段なんてあげると思う?」

ダイヤ「……高校卒業まで待ったのはそれが理由ですか」

「最後のお別れをさせてあげたんだけどね。優しいと思わない?」

ダイヤ「どこが優しいと……」

男性は優しいと思うけどね。と、まるでそれを感じられない表情を浮かべながら、
デスクの上に置かれていた秘書との連絡用の機械を操作する。
それから数分もせずに、彼と同じ歳くらいに見える陽所の女性と
なぜか、男性がとても可愛がっている犬……ドーベルマンが部屋へと入ってきた。

「紹介するよ、彼女がボクの恋人」

ダイヤ「は……え?」

男性はわたくしを彼女に紹介するのではなく、
秘書である女性を、自分の恋人だとして……紹介する
結婚して、同棲することになってからすぐの不倫の告白
意味が解らなくて戸惑っていると、彼は嫌な笑みを浮かべた。

「キミは表面上は妻だけど、実際はただの奴隷だからね。子供もキミとは作る気ないよ」
0188名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 19:39:27.28ID:VXcdX9J4
ダイヤ「なる、ほど……わたくしはスケープゴートのようなものと言うことですか」

「日本人形の割に、良く知ってるね」

ダイヤ「彼女とでは親が認めてくれないからわたくしを使おうと考えたのでしょう?」

「まぁね。別にキミじゃなくても良かったけど、キミは奴隷にぴったりだったから」

男性は誤魔化しも何もなく、
本心からそう言って、わたくしではなく彼女に笑みを浮かべる。
親の前ではわたくしにも笑顔を見せてくれていたけれど、
それにはなかった愛情が、含まれているように感じた。

「それで、本題はこっちなんだ」

ダイヤ「本題……?」

男性は秘書から犬のリードを預かると、
涎を垂らしている犬の頭を軽く撫でて、わたくしと向かい合うように首輪を使って移動させる。
犬の世話をして貰う。
そういう指示がされるのだろうと考えていたけれど……

「キミは基本的にこの子……ドーベと一緒に暮らして貰うから」

ダイヤ「一緒って、部屋に入れるということですか?」

「違う違う。キミが、犬小屋に入るんだよ。前に見せたキミの部屋、あれは彼女のでキミのじゃないからさ」
0189名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 19:49:18.48ID:VXcdX9J4
屋内で暮らしている彼の愛犬は
家の中にある一室を専用の部屋として与えられていて
その中に、別の犬小屋を用意するから、そこで生活をしてくれ。と、彼は言う

何を馬鹿なことを言っているのかと思ったけれど、
彼は冗談でも何でもなく、本気のようで

「前は番の雌がいたんだけど、病気でね……キミはその代わりになってあげて欲しいんだ」

ダイヤ「言っている意味が……」

「解るでしょ。曲がりなりにも黒澤家の長女なんでしょ?」

ダイヤ「……犬と、結婚しろと?」

「犬じゃなくてドーベね。そう思ってくれてもいいよ」

ダイヤ「ふざけないでくださいっ!」

「本気だよ。言ったでしょ、キミはお金で買われた奴隷だって。ご主人様の言うことは聞かなきゃ」

男性はそう言うと、秘書に合図を送る
そうして彼女が部屋のドアを開けると、使用人の男性が数人入ってきて……わたくしの体を拘束した。
0190名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/29(水) 19:56:05.55ID:kpZAI0Pv
>>186
ただ好きなだけかもしれないだろ止めろよそういうの
ただでさえ夢の内容がえげつないんだから…今回は獣姦だろこれ
0193名無しで叶える物語(しうまい)
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2020/07/29(水) 20:46:14.01ID:uCNiXsLs
追いついた。
続きめっちゃ気になる!
0195名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 21:45:54.02ID:VXcdX9J4
10畳ほどの部屋は、
ドーベがぶつかって割れたりしないよう、高い位置に窓があり
端の方に、トイレ用のシートが2枚ほど連なっていて
それとは反対側に、水のための器
ボールやぬいぐるみといったおもちゃはあちこちにあって、
わたくし用と言われた小さな犬小屋が……ぽつんっと端に置かれている

ダイヤ「こんな……」

拘束されたわたくしの体は、
使用人の男性によって手荒に裸にされてしまって、
足は膝を曲げた状態、両腕は肘を曲げた状態で固められ
ドーベの首輪とは色違いの首輪が、首につけられていて……
まるで本当に、ただの犬のような扱いだった。

曲げられた状態の両手足では体を隠すこともままならなくて、
かろうじて出来る正座に近い座り方で何とかデリケートなところを隠して顔を上げる

ダイヤ「あの……お手洗いは?」

「お手洗いはあちらで済ませてください」

ダイヤ「あちらって……あれは、犬用の……」

「ええ、そこで行うようにと旦那様のご指示です」

男性使用人の指さした先、犬用のおトイレシートを一瞥して首を振る
ありえない、そんなことがあっていいはずがない
けれど、男性は天井にあるカメラで室内が常に確認されていること
トイレの片づけや、水の交換はそれを確認している世話係が行うこと
食事も、決まった時間に運ばれてくること
それらを説明してそのまま部屋を出て……鍵をかけた
0196名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 21:58:26.24ID:VXcdX9J4
ダイヤ「どうして……どうしてこんなことっ!」

わたくしは、人だ
高校を卒業するまでの間、黒澤家の長女としての自覚と誇りを持って
勉強も習い事も一切手を抜かずにやり続けてきた
普通の人たちに比べて、妻にして申し分ない人間だという自負がある

なのに……犬扱い。
裸にされ、四つん這いでしか動けないようにされ
お手洗いは犬用のシートで、四六時中の監視付き
この分だと、入浴させては貰えず、世話係に洗って貰うことになると思う

ダイヤ「わたくしが、なにをしたと……」

誰も答えてくれない。
ドーベは、新しく入れられたわたくしのことをじっと見て
ゆっくりと近づいてくる

ダイヤ「わたくしは、犬じゃ……やっ、やめてっ!」

鼻を鳴らしながら、ドーベはわたくしの体のにおいを嗅いで、
ぴったりと閉じている股の辺りに鼻を突っ込もうとしてきて
それに声を上げた途端、バランスが崩れて横に倒れる

ダイヤ「やっ、いやっ……嗅がないでっ!」

待っていたと言わんばかりに、
ドーベの鼻がわたくしのデリケートなところを嗅ぎまわって……肉の厚い舌が走った
0197名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 22:15:28.52ID:VXcdX9J4
ダイヤ「ひっ……ぃっ……」

一回、二回
ドーベの舌がわたくしの陰部を舐めて、
嫌悪感と不快感に体が無理矢理に動いて……膝がドーベの目の辺りを蹴りぬく
ぎゃんっと悲鳴のような声を上げたドーベは一目散にわたくしから逃げて、
恐る恐ると言った感じでわたくしの様子見ながら、うろうろする

ダイヤ「はっ……はっ……うぅ……」

デリケートゾーンを舐めた舌の感触、
涎がゆっくりと乾燥していく感覚に吐きそうになりながらなんとか体を動かそうともがいて
丁度……体が起こせたときに扉が開いた

「何をしてるんだ!」

ダイヤ「痛っ!」

世話係と思われる男性に頬を叩かれて、倒れこむ
髪を鷲掴みにされて引っ張り起こされ……また叩かれる

ダイヤ「やっいやっ……ごめっ……なさっ、ごめっ……」

なにしてるんだ、なにをやってるんだと
怒られ、叩かれ、ゴミを捨てるように手放されて

「今すぐドーベに謝れ!」

ドーベに対して……土下座をさせられた
0198名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 22:35:43.33ID:VXcdX9J4
「ドーベはお前よりも先に住んでたんだぞ! 解ってるのか!?」

ダイヤ「ごめんなさい……っ」

「怪我でもさせられたらどうなるか……股間くらい好きにさせたらいいだろ!」

ダイヤ「っ……わたくしは人ですっ!」

それだけは譲れない。
わたくしは人だと、それだけは捨てさせないと
わたくしは怒鳴り返して……けれど、男性は握り拳を振り上げて……殴る
彼も人なのに
わたくしが人だと解っているはずなのに……見下して、殴って

ダイヤ「どうして……どうして……っ」

「旦那様がお前を犬として扱えって言ったんだ。だから躾ける。それだけだ」

ダイヤ「わたくしが人であってもですか……?」

「はぁ……ちょっと来い」

首輪にリードが付けられて、強引に引き摺られる
首が締まって、苦しくて……歩かせてほしいと懇願する
肘と膝に特殊なサポーターをつけられて……四つん這いで犬のように歩く
男性の早くしろというリードに苦しめられながら、布団のある部屋へと入った
0199名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 22:48:06.92ID:VXcdX9J4
リードが外されて、布団の上に転がされる
世話係の男性が自分のズボンを脱ぐのが見えて……何されるのかすぐに分かった

ダイヤ「わたくしは曲がりなりにも旦那様の妻ですわっ!」

「違う。お前は犬であり奴隷だ」

縛られた両手足は惨めにばたつくだけで、
逃げることも抵抗することも出来なくて、男性の体が覆いかぶさってくる
犬のように扱われるのも嫌だけれど、
それを覚悟した結婚相手でもない人と体を重ねるなんて絶対に嫌だった
けれど……拒絶をすることができない。

ダイヤ「いやっ……やぁ……やめて……っ」

「泣いても叫んでも誰も助けになんて来ないぞ、むしろ相手が増えるだけだ」

ダイヤ「っ……」

「黙ってやられろよ。犬のように犯してやる」

粗暴に四つん這いの姿勢にさせられて、頭を強い力で押し付けられる
腰が浮いて、お尻が男性の方に向く
デリケートな場所はみっともなく男性に開かれて……

ダイヤ「ひぁ……っ」

なにか変な液体が塗りたくられて、みっともない声が飛び出してしまう
0200名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 23:02:48.35ID:VXcdX9J4
ダイヤ「お願い……やめて……やめて……っ」

「俺がやらなかったらお前の最初の相手はドーベになるだけだぞ」

ダイヤ「ぇ……」

ドーベ……ドーベは、犬だ
犬と人間の性的な行為なんてありえない。
けれど、この家の主人ならやらせかねない。
でも……あってはならないそれを、認めたくなくて

ダイヤ「犬と人間でなんて……子供もできないのにっ!」

「ドーベの番だったルーンの代わりだよ。まだまだ若いし去勢してないから興奮したりするんだ」

それを受け止めてやるのがお前の役割なんだよ。と、男性は笑う。
そのための準備が色々必要らしく、
それを行うためにこの部屋はあるのだと男性は説明する。

「喜べよ、お前のための部屋だぞ」

ダイヤ「っぁ……」

男性の手が、下腹部に触れる
お尻の肉を鷲掴みにして、汚らしい穴が僅かに開く
男性は躊躇なく、そこに指を差し込む

ダイヤ「ぃぐっ……」

今まで感じたこともない、不快感
それはすぐに抜けて……また入り込んでくる
入れられるべきでは無い場所への挿入感は、屈辱的で……心を強引に叩き折ろうとする
0202名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/29(水) 23:38:46.29ID:81KoczNx
続きがきになるけど、犬にやられると思うときつい
起きたら善子とまりで優しくしてあげてほしいわ
0203名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 07:37:15.57ID:35W93fMl
ダイヤ「んっ……ぅ……っは……」

指にしてはやや太め……きっと、親指だろうと感じる棒状のものが、
お尻の穴に入ってくる
閉じようとする力を容赦なく貫こうとする力は、
最初に感じた液体の潤いを味方に付けて、無造作に抉っていく

ダイヤ「ぅ……う゛……」

わたくしを人と思っていない、強圧的な行い
ただ出口である場所への押し込む力は背筋を通って、苦悶の声を吐かさせようとしてきていて
我慢しても挿し広げられるたびに、濁ったものを吐いてしまう
指と液体が絡まり、空気を含んでは細やかに弾ける音がして
無理矢理に広げられている穴からも、ときどき、汚らしい音が出ていく

ダイヤ「ゃ゛……めて……ぅ……やめ……っぁ」

「何言ってんの、お前を可愛がってくれる夫のための処置だぞ?」

ダイヤ「お……っと……?」

お尻の穴を緩めようとする指の挿入感が抜けて、少しだけ楽になる
絶え間なく押し込まれては抜かれ、押し込まれてを繰り返されて荒くなった呼吸を整えようとしていると、
自分の背後、男性の方から何か液体の押し出される音が聞こえてきた

「そう、夫。もちろん旦那様じゃなく、ドーベだ。賢いとは言っても犬は犬。誤ってけつに入れるかもしれないからな」

ダイヤ「ドーベ……わた、くしは……っ」

「犬のお嫁さんだ」

ダイヤ「ひぐっ」

何かが、お尻の穴に差し込まれて声が出る
指よりも細く、冷たく、固い
なにか分からないその不審物は小指ほど距離を押し広げて

ダイヤ「ぅぁ゛……ぁっ……ぁぁぁぁぁぁっ」

生温い液体を体の中に排泄されているような感覚に、どうしようもなく呻いた
0204名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 07:52:37.30ID:35W93fMl
ダイヤ「ぁ……ぅ……な、にをっ」

人の見ている前で、トイレでもない場所で、
しかもそれをするような恰好ではない状態で
出してしまうなんて……人としての尊厳を捨て去るような惨めで屈辱的で
お腹の中に注ぎ込まれた何かの液体
それを排泄しようとする体の動きを押さえるように力を込める

ダイヤ「はっ……はっ……っぅ」

「腹に溜まってるものを出すんだよ。ドーベが入れても良いように綺麗にしておかないとな」

ダイヤ「どう……っ、してぇ……っ」

「犬用のおもちゃを買ったらまず洗う。これは飼い主の基本だ」

男性はそう言うと、わたくしの腹部を意地悪に撫でる
男性の熱くてざらついた手のひらがぴったりとお腹に張り付いて、揉むような動きで擦ってきて
流し込まれた液体の不快感と圧迫感に、お腹を下してしまった悪い音がする
固く締めたお尻の穴を内側からはい出そうとする液体の力を感じて
歯を食いしばって……必死に抑え込む

ダイヤ「いや……ぜった……ぁ゛っいに゛ぃっ」

「頑張る雌犬ちゃんに、ご褒美で良いこと教えてあげよう」

ダイヤ「め、す……犬……」

男性の手が、褒めるように頭を撫でる
排泄を我慢させられているようなものなのに、男性はわたくしを雌犬と呼び……褒める
それはどうしようもなく屈辱的なのに、なぜだかだんだんと体は熱を帯びて、頭がぼんやりとしてきて
悔しさが押し流されていくような感じがした
0205名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 08:04:13.80ID:35W93fMl
「今入れたのは、媚薬とローションを混ぜた特製のものなんだ」

ダイヤ「っぅ……ぁっ」

「出すのを我慢すればするほど、媚薬が体の内側から溶け込んで……幸せになれる」

ダイヤ「しぁ……わせ?」

男性の声が、耳元で囁かれる
言葉はとても酷いのに……優しくて、穏やかで
人としては屈辱的でも、犬としてなら……愛されているような
お尻に感じる欲求の苦しさ、置かれている状況の酷さ
それを忘れさせてくれようとしている、体の内側から湧き上がってくる熱っぽさ

男性の囁いた幸せになれる。という言葉が嘘ではないと……頭が、覚えて
けれど……歯を必死に、食いしばった

ダイヤ「ふざっ、けっ……ないでっ」

「っと……」

ダイヤ「わたくしは、黒澤家……長女、黒澤ダイヤ……人として……女として、屈服、するわけにはっ」

呑み込む余裕のなかった唾液が口元から溢れ出て、みっともない汚らしさが滲む。
悔しさと苦しさと辛さが心をボロボロにして、涙が零れてくる
布団の上で土下座のようにお尻を突き出させられて、排泄の我慢……尊厳も何もない
でも、負けたくないと……わたくしは思った
0206名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 08:15:34.18ID:35W93fMl
「さすが、旦那様がブラフとはいえ結婚相手として選んだだけはあるな」

ダイヤ「はーっ……はっ……ふぅ」

「でもそんな強がり言ってていいのか? こうしてる今も、媚薬の効果で何も考えられなくなるぞ?」

ダイヤ「ふ……ぅ゛……ふふっ……わたくしは、黒澤ダイヤですわ」

媚薬……そんな薬は効いたことも服用したこともないけれど
体に満ち始めている熱っぽさと、幸福感に包まれつつある感覚の源だと考えれば、
その効果が、下種なものだというのは察しがつく
だからあえて……笑った。

ダイヤ「くだらないっ、ことを……」

「媚薬は初心な雌犬が少しでも幸せになれるようにって、思いやりなんだけどな」

ダイヤ「雌犬と……呼ばないで……っあぅっ……ぁっ」

そうしてまた、液体を流し込んできた何かが体の中へ侵入する
さっきよりも強く力が込められていたはずなのに、そのときよりも緩やかに、挿入を許して……

ダイヤ「はっあっっあぁっ……ぁぁっ」

体の中に排泄される屈辱的なそれに、
わたくしの声は酷く、甘さのあるはしたないものになっていた。
0207名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 08:30:40.36ID:35W93fMl
「体は正直で面白いね」

ダイヤ「ぅ……ぅぁ……はっ……ぅ」

どのくらいの液体が流し込まれたのか定かではないけれど
お腹の辺りが僅かに膨らんでくるほどの量が、二回に分けられて入ってきていて、
お腹の苦しさと僅かな痛みとお尻の排泄欲求に、吐きそうな感覚を覚えて……

ダイヤ「んぅ……ぁっなっ、ぁ゛」

男性の指でも、挿入器でもないまた別の無機質なものが、
わたくしのお尻に押し込まれていくのを感じて、悶えさせられてしまう。
先端は細く、入るにつれて丸みを帯びていくその何かは、
でようとしていたものを押し戻して、お尻の穴を広げているような感覚を持続させた状態で止まる

男性の手が腰のあたりに触れ、何かをはめる軽快な音がして
お尻と横の部分をゴムのようなものが叩く

ダイヤ「っぁっ……ぁぇ?」

「出したくないなら出さなくていいし、出したいと言っても出させない」

ストッパーを刺したんだよと言う男性は、
端末か何かで写真を撮って、わたくしの方にその画面を見せてくる
液体のせいで濡れそぼって艶がかる臀部
穴のところには何かが差し込まれていて……犬のしっぽのようなものが立っていた
0208名無しで叶える物語(茸)
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2020/07/30(木) 08:34:55.77ID:gvAsLkqs
純愛で書いてよ…文章力半端無いのが勿体ないよ
お願いだから純愛で使ってよ…
0209名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 08:56:34.08ID:35W93fMl
「自分を犬だと認めるなら、外してあげるよ」

ダイヤ「誰が……っ」

「そう……まぁ良いけど辛いぞ」

男性はそう言うと、一旦わたくしから離れて立ち上がって目の前に座り込む
男性の下半身は何も履いておらず、丸出しの男性器は強く反り立っていて
わたくしの身体を舐めまわすような男性の視線と、それを見てしまう自分の視線に
どきどきと心臓が脈打って、体がより酷く熱っぽさを持つ

口いっぱいに溜まった唾液を飲むたびに唾液が溢れてくる
下腹部が変に疼いて、お手洗いを我慢しているときような錯覚に陥りそうになって……
お尻を広げるプラグを思わず押し出しかけたけれど、少しも出せなかった

ダイヤ「ぁっはっ……はっ……はぁっ……」

「今、プラグが少し動いたぞ?」

ダイヤ「っ……こんな、お腹が張るほど……入れるからっ」

「ふぅん……そうか」

男性は興味なさそうに吐き捨てて、
わたくしの鼻先に、自分の男性器を差し向けて……触れさせる
酸味のある……鼻をつく異臭とも呼ぶべきそれのにおいが、容赦なく嗅覚を汚して
頭の中にこびりつく

ダイヤ「っ……ぅ……」

「ついつい興奮しちまってさ、咥えろよ」

男性は、不躾にもそう要求してきた
0210名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 09:10:50.65ID:35W93fMl
ダイヤ「そんな汚らわしい……もの、だれがっ」

「お前がだよ。嫌なら無理矢理するだけだが?」

ダイヤ「ぁ゛っぅ……ああっ」

男性はすぐそばの棚から両端にU字フックのついたバンドを取りだすと、
わたくしの頬を握りつぶすようにして強引に口を開かせ、そのフックを差し込む
バンドの部分を持った手が後ろに回ったかと思った瞬間……力強い締め付けが頭に加わって
口をだらしなく開いた状態で、固定されてしまった

ダイヤ「ぇぁ……ぁ……」

唾液が溢れ、口元を伝って落ちていく。
まるで、部屋で見たドーベのように動物染みただらしない姿
無理矢理開かれた口では、言葉らしい言葉が発せない

「されて分かるだろうけど、その開口具を使えば……」

ダイヤ「ぇぐっ……ぁ゛……ぉ゛っ」

「こんな風に、好き勝手に口を使うことが出来るんだ」

話半ばに頭を掴んだ男性の、汚らしい男性器が容赦なく喉にぶつかる
舌の上を走る男性器の微妙な柔らかさが食感のように残り、苦くてすっぱくてしょっぱくて……
不味いとさえ言えない腐った味が味覚を蹂躙する。
呼吸が出来なくて、苦しさしかない音が、口から洩れる

それでも男性は挿入を続けて……わたくしが大きくえずいた瞬間に、
上下に動かしていたわたくしの頭を離し、男性器を引き抜くと
取り付けた開口具を外した
0211名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 09:27:03.45ID:35W93fMl
ダイヤ「ぅぇっ……ぁっあっ゛……っげほっ……けほっ」

「解った? 自分でやれば自分のペースで、落ち着いてやれるぞ」

ダイヤ「この……下種っ」

口の中に、男性の感触が残る
飲み込みたくもない、臭くて不味いそれに滲んでいたものを、
唾液に絡めて……無理矢理飲み下して顔を顰める

「で、どうする? 個人的に強要する方が楽しいんだけど」

舌も、頬の裏も、喉も
何もかもを蹂躙する男性器と、男性自身の力
自分で咥えることを拒否したら、
また、容赦なく押し込まれて死にそうな思いをすることになる
そう思うと……拒絶は出来なくて

ダイヤ「わか、りましたわ……やります」

「初めからそう言ってればいいんだよ。分かる? お前は犬なの。人間様に飼われる犬。解ったら返事」

ダイヤ「……はい」

黒澤家の長女としての誇りも、人間としての尊厳も
今ここでは持つことが許されていなかった
犬として、男性の前で伏せをし……差し向けられる男性器を咥える。
わたくしに与えられたのは、ただ、それだけの権利だった。
0212名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 09:53:38.73ID:35W93fMl
「まず舐めて、お前の汚い唾で汚れたからさ」

ダイヤ「っ……」

「汚くて申し訳ありませんは?」

ダイヤ「きた……なくて……申し訳、ありません……っ」

勝手にしたのに、無理矢理されただけなのに
謝ることを強要されて
けれど、たった一度の蹂躙への恐怖が、反抗を抑圧してしまう
悔しくて涙が零れる
男性は自分が犬だということを自覚しろと言って、お尻を力強く引っぱたいた

ダイヤ「ひぁっ……ぁっぁっ」

広がった感覚の残るお尻
臀部の肉のじわじわと広がりつつある痛みの熱が、
内側から染み込んだ媚薬の熱と混じり合って……心地よく感じられる
疼いた下腹部へのその刺激は頭まで突き抜けて、ふやけた声が落ち、汚い唾液が滴って……
陰部からも似たようなものが、垂れるのを感じた

ダイヤ「ぁっ……ぁぅ……はっ、はっ……」

「効果が出てきたみたいだな」

ダイヤ「ん……っ……ぁっ、やめ、たた……ぁぅうっ」

また叩かれて、駆け抜けるような刺激に体がのけぞってしまう。
みっともない声、物欲しそうに滴る唾液、微かに震える体
自分のものと思いたくないわたくしの体の悲惨さを、しかし男性は頭を撫でて

「それでいいんだぞ、お前は犬なんだから。ドーベの番として、体が適応してきてるだけだ」

優しく、穏やかに……褒めてくれた
0213名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 10:12:40.99ID:35W93fMl
ダイヤ「てき……おう……?」

「そう、ドーベの妻として愛されるための体になるんだ」

ダイヤ「っ……」

ぼんやりとした頭に、彼の声はとても簡単に入り込んでくる
ドーベ……ドーベ……って
誰だったか、なんだったか……分からなくて
でも、妻というのなら……夫、なのかと、思って
けれど、男性は、犬だと自覚しろと言った

ダイヤ「わたくしは……犬……?」

「そうだぞ、今まで人のように扱われてきたけど、本当は犬なんだ」

ダイヤ「……っぁっ!」

お尻が叩かれて……揉まれて、気持ちのいい感覚に声が出て、
考えようとしていた頭が乱されてしまう。
黒澤家の長女……だったはず。
人として18年間生きてきて……頑張ってきたはず
なのに

ダイヤ「っぁっ……あっ……はっ……はぁっ……んぅっ!」

叩かれて、揉みしだかれて、犬だと褒められて……嬉しいような感覚が体に広がって
その快感に、どうしようもなく悦びを覚えてしまって。

「ほら、良い子だから……舐めるんだ」

ダイヤ「ぁ……」

男性の導きに従って、わたくしは雄々しい肉質の男性器に舌を伸ばした。
0214名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 10:25:24.87ID:35W93fMl
ダイヤ「はっ……はぁっ……はふ……」

「っ……」

ダイヤ「っふ……ん……っ」

男性器の先端の部分を、舌先で舐める
すでにわたくしの唾液で汚れている部分を、もう一度舐めて……汚れを掠めとるように
ゆっくりと、優しく、男性の声のように
広く、弱くも力を入れた、頭を撫でる男性の手のひらのように

緩やかな曲線を描いている先端には、
汚れの溜まりやすそうな影になっている部分と、
普段はそれを覆っている柔らかかったであろう皮の部分があって
どうするべきかと、男性を見る

ダイヤ「あの……」

「なんだ?」

ダイヤ「どのように、したら」

「任せるよ。ダイヤは人のように育てられた優秀な犬だからね。きっとうまくやれるって信じてるよ」

ダイヤ「ぁぁ……」

先ほどまでは厳しかったはずの男性が優秀だと褒めて
任せる、信じていると言ってくれる。
高鳴ってやまない胸には、その言葉がとても嬉しく思えてしまって……
下腹部の疼いている感覚が溶けだすような心地よさに、陶酔しそうになる
0215名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 10:44:41.68ID:35W93fMl
厳しかったのは自分が反抗的だったから
ちゃんと出来ていなかったから
だから、男性は厳しくせざるを得なかったんじゃないかと……思う

ダイヤ「任せて、ください」

その厳しさは男性による躾
しっかりできていないわたくしを躾けるため。
だから、しっかりできていれば褒めてくれるし、優しい

ダイヤ「躾なんて……不要だとお見せ致しますわ」

「ああ、宜しく」

人として育てられた犬だと彼は言った
でも、わたくしは自分が人だと思っているし、普通の犬とは違うという自負がある。
その思いと共に男性に対して宣言すると、
彼は少し驚いた顔をして、嬉しそうに笑顔を浮かべてくれた。

怒っていない、厳しくない、上手くできている……
そう思うと、少しだけ気分が高揚する。
0216名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 11:27:19.00ID:35W93fMl
ダイヤ「ん……」

まずは、もう一度先端に舌先を触れさせる
丸みを帯びた表面と裏側を一周させて、
筋があるように感じる裏側を舌の表面で支えるようにして、
表面から舌先へと流れるようにして、舐める

ダイヤ「っふ……っ」

男性の体が少しだけ揺れる
先端の膨らみの僅かに隙間のある部分に舌先を滑り込ませて、
そこにある汚れを、舐めとってみる

ダイヤ「はふ……はぁ……ん」

男性の体の揺れ具合を目安にして、
わたくしの涎が汚してしまったあとを綺麗にするように、舐めていく
波打つ薄い皮は舌の先端で触れてみて、男性が嫌がったりする素振りがないのを確認してから、
舌を滑らせ、少しだけ捲って……舐め戻す。

苦くて酸味のある変な味がだんだんと味覚に染み込んでいく
舌を口の中に戻すと、男性器の風味が口いっぱいに広がっていくような感じがして……思わず飲み込む
胸の奥で、激しい音がする。
なのに、下腹部に心臓が降りてしまったような鼓動を感じて、顔が赤くなる。

ダイヤ「ぁ……ん……っ」

液が伝う感覚が、突き上げた陰部の方からお腹の方へと流れてくる
布団の上に滴る滴の音が、微かに聞こえる
実際にしたことはないけれど、
人として育てて頂いた際に学んだ、性行為の図を思い出して……欲求が募る
0217名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 11:40:28.14ID:35W93fMl
ダイヤ「はっ……はぁっ……んんっ」

男性を見ると、わたくしを優しく見つめていた。
少し紅潮した頬は、気持ち良くなってくれているのが分かって
それをわたくしの舌で引き出せていることに、悦びを覚える

ダイヤ「咥えて、良いでしょうか」

「あぁ、任せるよ」

男性は嬉しそうに言うと、わたくしの頭を優しく撫でてくれる。
感謝と喜びを感じる男性の手は優しくて、男の人らしくて
それに褒められている心と体が、弾むのを感じて……わたくしは思わず笑顔になる。

ダイヤ「はふ……ぁ……」

口を閉じて、唾液をため込む
汚らしいわたくしの唾液ではあるけれど、
彼の体を傷つけず、傷めないためにはそれが必要な気がして。

ダイヤ「あの……ご主人様と、お呼びしても?」

「ん? あー……いいよ」

ダイヤ「では、ご主人様……その、わたくしの汚い唾液で汚すことをお許しください」

さっきは、ご主人様に躾として強引に咥えさせられたけれど、
今度は自分から、咥えさせて貰う
だとしても汚すことになるから、予め言っておこう。そう思って頭を下げると
ご主人様はまた、頭を撫でて良い子だ。と褒めてくれる

それが堪らなく嬉しくて、腰が左右に動く。
尻尾が揺れて、風が下腹部にかかるのを感じながら……ご主人様の大切なところを口に含んだ
0218名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 11:58:18.34ID:35W93fMl
まずは咥えたまま、少しだけ動きを止める
自分の小さな口のせいだけれど、
怪我をするのもさせるのも避けるためには、慣らす必要があった。

潤沢な唾液のおかげで、
ご主人様の性器は瞬く間に潤いで満たされて、滑らかになる
舌を少し動かすだけでも、ご主人様の性器に刺激を与え、
口の中の上部分に猛々しい温かさと少し柔らかい固さを感じる。

ダイヤ「んぐ……んぉ……」

鼻で呼吸をしながら、ゆっくり頭を動かす。
歯で噛まないよう気を付けながら、
舌で包み、唇で挟んでご主人様の大切なところを丁重に味わう。

ダイヤ「んぶ……ん……ぁ」

息苦しくて、時々……喉の奥にぶつかって吐き気がする。
けれど、ご主人様の信頼を裏切りたくなくて、休憩を挟んで自分の身体を落ち着かせながら、
ゆっくりと、優しく、時には素早く繰り返していく。

ご主人様の小さなうめき声は、だんだんと心地よさが混じり始めていて、
これで良いんだと、頭に摺りこみながら動かして……数分間
頭の中がそれで一杯になるころに、ご主人様の体が強張って精液と呼ばれるものが喉奥に向かって飛び出してきた
0219名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 12:18:01.30ID:35W93fMl
ダイヤ「んぐっ……ん゛っ……ん゛ぁっ」

逆流をご主人様の性器がせき止めた分、
上に流れて鼻の中にまで精液が通り抜ける。
傷つけないようにご主人様の大切なところを離して、
まだ口の中に残っていた精液を飲み込む

苦みがあって癖のある液体と呼ぶにはやや粘性の強いそれが喉を通る感触に、体が震える。
鼻の中に残った精液を、何とか戻そうと鼻をすすって……
嗅いだこともない、けれど、雄だと感じるにおいの強さに、また下腹部が高鳴って

ダイヤ「けほ……はっ……申し訳ありません……」

汚してしまったご主人様の性器を舌で舐める。
一際大きく揺れたご主人様は、優しく頼むよ。と、少し疲れ気味に求めて来て、
わたくしは気持ち良くさせることが出来た満足感と、褒めて頂ける幸福感を感じながら
ゆっくり、優しく、丁寧に
ご主人様の収まりつつある陰茎についた精液と自分の汚らしい唾液を舐めとって綺麗にする

ダイヤ「はっ……はぁっ……はぁ……んっ」

「偉いな、ダイヤ」

ダイヤ「ん……っ、ありがとうございます」

男性は頭を撫でてくれる。
それが嬉しくて心地よくて、感謝を口にすると
もう少しだけ男性は頭を撫でてくれて……尻尾を振ってしまう。
人……だと思っていたけれど
頭を撫でて、褒めて貰える犬の方が良いと体が疼いて、

ダイヤ「ご主人様……」

わたくしはご主人様に見えるように強く尻尾を振った。
0220名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 12:34:18.00ID:35W93fMl
「あぁ……」

ご主人様はそんなわたくしを見て、
何か察したように吐息にも似た声を漏らして、頭を撫でてくれる。
けれど、わたくしがして欲しいのはそれじゃない
頭を撫でて貰えて嬉しいけれど……心と体が求めているのは違っていて

ダイヤ「ごしゅ……」

「ダイヤ、お前にはちゃんとした交尾の相手がいるだろう?」

ダイヤ「え……?」

「ドーベ、お前の旦那様だ」

ダイヤ「ぁ……」

ご主人様は頭を撫でながら、諭すように言う
優しい声、穏やかで聞き入ってしまいそうな声
ドーベ……ドーベ、わたくしの旦那様

体の内側から湧き上がる熱でぼうっとする頭には、
ドーベと体を重ねることばかりが浮かんできて
じっとりとした下腹部からは、涎に似た滴りが絶え間なく続いてしまう
0221名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 12:47:34.79ID:35W93fMl
「あと一つだけしたら、すぐにお前の旦那様のもとに返してあげよう」

ダイヤ「はいっ」

ご主人様はあと一つと言って、何か液体の入った小瓶を棚からとると、
それを先端が針になっていない注入器のようなものに移し替える
少しびっくりするかもしれないけれど、我慢するんだぞ。と、ご主人様はわたくしの頭を撫でて

ダイヤ「っ……んっ……」

疼いて仕方がない下腹部に、何かが触れる。
ついさっき見た、注入器の先端と似たような無機質なものが
膣口から少しだけ入っていくのを感じて……目を瞑る

ダイヤ「っぁ……ぁんっ」

液体が体の中に入ってくるのを感じて、思わず嬌声が上がる。
甘くてふわふわとして覚束ない声
自分のものとは思えないけれど、間違いなく自分の口から出た音

「よく我慢したな」

ダイヤ「んっ……ぁ……」

ご主人様は注入器を棚に置くとわたくしの頭を撫でて、
リードを首輪に付ける
やっと部屋に戻れる、ドーベに会える
そう思うと体は鋭敏に反応して……すぐに四足姿勢になる

「ドーベはいい雄だから、愛して貰えるようしっかりと受け止めるんだぞ」

ダイヤ「はい……ご主人様」

ぼうっとする頭で……わたくしはご主人様の足に体を擦りつけるようにしながら、
彼の待っている部屋へと戻った
0222名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 12:58:29.09ID:35W93fMl
ダイヤ「ドーベ……旦那様……」

ドーベはご主人様のように体格のいい人ではなく、犬だった。
わたくしと同じように四つ足で、
最初の馬鹿らしい勘違いで傷つけてしまったせいか……少し怖がっているように見える。

ダイヤ「さっきはごめんなさい、でも、もう分かったから……」

自分は人として育てられた犬だと、ご主人様が教えてくれた。
人はわたくしにとってご主人様で、ドーベのような犬こそが同類だと。
だから、勘違いはしていけない

ドーベが鼻を陰部に擦り付けてきたのは好奇心
わたくしという犬を知りたかっただけ。
だから……

ダイヤ「ドーベ……わたくしに、貴方を感じさせて」

ドーベの股の辺りに鼻を近づけて、においを嗅ぐ。
獣臭くて、少し不衛生にも感じる雄の臭い
けれど、それこそが犬らしさ
自分は人として育てられたから、それを知らないだけなのだと……ドーベの体に自分の体を摺り寄せて、お尻を向ける
0223名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 13:11:07.30ID:35W93fMl
ダイヤ「んっ……っ」

ドーベの鼻が、わたくしの股のにおいを嗅いで、
尻尾のにおいを嗅いで……そうして、不意に彼の両前足がわたくしの腰のあたりを挟む
挟んで、もう一度体を引き寄せるように力が入れられたかと思えば、
ドーベの前足がわたくしの方を押しつぶすように乗り掛かってきて……

ダイヤ「お願い……ドーベ……」

もう我慢できないから、早く。と、彼に懇願する
彼はそれに気づいたのかは分からないけれど、
ご主人様よりもしっかりして見えた陰茎が、差し込まれてくるのを感じた

ダイヤ「っ……ん……」

人として生きてきたときに守り続けた純潔
それが今、彼の性器によって突き破られているであろう痛みに、少しだけ顔が歪む
けれど、その痛みはすぐに溶けだして、体の熱、高められた感度が忘れさせてくれた

ダイヤ「っぁっ……ぁっはっ……んっ」

ドーベはわたくしの体にのしかかり、腰を素早く振って体の奥を突いてくる
わたくしのイヤらしい液体と空気と彼の雄々しい陰茎が擦れ合い混じり合う
少しばかりグロテスクにも感じる音が響き渡り、
彼の押し付けてくる腰とお尻とがぶつかる軽快な音が気分をより高めてくれる
0224名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 13:20:19.97ID:35W93fMl
ダイヤ「んっ……ぁ゛、ぁっ……ん゛」

彼の陰茎はとても立派で……体の奥にある子宮にまで到達する
押し退けられるように内臓が上がってきて、思わず声が濁ってしまう
けれど、それはなんだか獣らしくて……悪くないと思えた。

肩を踏み潰すドーベの重みに、わたくしは幸せを感じていた。
人として生きてきたせいで培われてしまった無駄な自尊心を踏みつけてくれる逞しさ
一度は傷つけてしまった愚かなわたくしを躾けてくれるような力強い腰の動き

ダイヤ「んぁっ……はっ……ぁっ、ぁんっ」

彼は雄で、わたくしは雌。
あるべき形にようやく収まったような……そんな気がして、
彼の全力を一生懸命に受け止めようと思えた。

ダイヤ「ぁっんっ……ドーベ……ドーベっ」

貫かれ、突き動かされる子宮
膣壁が抉られ、かすめ取られ、彼の形になっていくのを感じながら
迸る快感に、口元から唾液が溢れ出るのも忘れて、喘ぎ、彼の名前を呼ぶ
0225名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/30(木) 13:27:50.24ID:35W93fMl
ドーベは、彼はわたくしを愛してくれると感じた。
雌として、雄に支配されていくような感覚に、わたくしはどうしようもない心地よさを感じて、
まだ、彼が満足していないのに、何度も達してしまう

ダイヤ「ぁっはぁっ……んんっ!」

それでも、ドーベは止めなかった。
やめることなく、突き続けてくれた。
わたくしがどうのではなく、自分が満足していないからと言う圧迫感
その激しさに、膀胱が押しつぶされて強制的に失禁させられて……

ダイヤ「ぁぁっ……んっ、っはぁっ……ぁ゛ぁっ」

わたくしの体はまた達してと、イヤらしい雌らしく液を漏らす。
彼はそんなはしたない雌であっても愛して、一生懸命に腰を振る。
わたくしに子供を産めと、力一杯に押し付けてくる

ダイヤ「んっ……ぁっ……ドーベ……っ」

産みたい
産んであげたい
立派な彼の子供を産んであげたい
その気持ちで、彼の陰茎を出来る限り包み込んであげると
子宮の口を貫いて入り込んだ彼の陰茎からたくさんの愛情が注がれてくるのを感じて……

ダイヤ「好き……愛して……ドーベ……」

わたくしは犬として、彼の雌になりたいと心から感じた。
0226名無しで叶える物語(鮒寿司)
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2020/07/30(木) 13:31:48.07ID:JNumqaNQ
可哀そうなのは抜けない
0227名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 13:37:51.80ID:35W93fMl
   
――――――――
――――――
―――

ダイヤ「ぁっ……」

ゆっくりと……目を覚ます。
体は汗に塗れていて、おむつの中からは酷く張り付いた重みを感じる
おむつだけでは耐え切れなかったらしく、
寝間着にまでシミを伸ばしたそれは、結局シーツと掛布団を汚してしまっていて
慌てて隣を見ると……善子さんも鞠莉さんもいなかった。

ダイヤ「っ……」

あまりにも酷くて、逃げ出してしまったのかもしれない。
そう思って……けれどそれも仕方がないと涙が零れていく
そして、別室の扉が開いた。

善子「……」

飲み物を持っている善子さんは俯きながら寝室の中を進んで、
テーブルに飲み物を置いた途端、はっとしてわたくしの方を見て

善子「ダイヤ!」

わき目もふらずに、わたくしの体を抱きしめてくれた
0228名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 13:47:25.03ID:35W93fMl
善子「良かった……起きたのね……良かった……」

ダイヤ「善子さん……」

善子「何やっても起きないから……ずっと心配で……」

わたくし以上に泣いてしまった善子さんに気付いた鞠莉さんが戻ってきて、事情を話してくれた。
夜中に喘ぎだしたわたくしに気付いた善子さんは、
鞠莉さんを起こして、一緒に夢から醒めさせようとしてくれたらしい

けれど、どれだけ揺すっても音を聞かせても叩いても
わたくしは一向に目を覚ます気配がないまま、
喘いで、達して、失禁して……そんな状態が繰り返し続いて、
眠ることのできなかった鞠莉さんと善子さんは
つい少し前に、一先ず休憩を入れようとしてここから離れたらしい。

善子「なんなのよ、何なのよ……っ!」

鞠莉「善子……」

善子「何やっても起きないって何!? 意味わからない……っ」

ダイヤ「……申し訳ありません」

謝罪を口をすると、善子さんはまた強くわたくしを抱きしめてくれる。
温かくて、優しい抱擁
こんな、人として育てられた犬には、あまりある愛情が感じられた。
0229名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 13:54:42.96ID:35W93fMl
鞠莉「それで……ダイヤ、体はどう?」

ダイヤ「今日は、珍しく……興奮はしていません」

不快感も嫌悪感もない。
眠っている間に垂れ流した液体と、糞尿はあるけれど、
昨日まであった、満足できていない体の高ぶりはない

鞠莉さんは少し考えながら、
それだけは良かったと言えるのかしら。と、怪訝そうに呟いて
不安をもみ消すように笑顔を見せた

鞠莉「とりあえず、入浴してきたら? そのままじゃ嫌でしょ?」

ダイヤ「え、あ、あぁ……」

鞠莉「ダイヤ?」

入浴……人としては常に怠らなかったことだけれど、
犬にそれが毎回必要なのだろうかと……首をかしげる。
鞠莉さんのところに泊めて頂いている以上、鞠莉さんが言うなら従うべきだろうかと考えて
ふと、自分の首に違和感を覚えた

ダイヤ「あの……わたくしの首輪はどこですか?」

善子「え?」

鞠莉「なに……言ってるの?」
0230名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 14:04:10.08ID:35W93fMl
驚きと戸惑い
強い動揺を感じる二人の視線が向けられる。
何かおかしなことを言ったようには思えなくて、
わたくしはもう一度、言葉を選んで訊ねることにした。

ダイヤ「わたくしの首輪です。犬として、飼って戴いている証ですわ」

善子「待って、やめて……冗談きつい……」

ダイヤ「冗談、とは?」

善子「うそでしょ……昨日までの自分を忘れたの?」

善子さんの今にも泣きだしそうな顔をますっぐ見つめて
彼女が嘘を言っていないと感じられて……考え込む。
昨日までの自分……人として育てていたから、首輪はつけていなかった

ダイヤ「すみません、確かにつけていませんでしたわ」

鞠莉「そうそう、だからそう言うのは無しね」

鞠莉さんの強張った笑顔から、目を背けて自分の首に触れる
善子さんの言っていることは正しい……のかもしれない。
けれど、首輪はつけているのが普通のような
そんな違和感が拭えなくて……何より、自分を人だと誤解してしまうのが怖くて。

ダイヤ「首輪を頂けませんか? なんだか、落ち着かないんです」

優しいお二人なら、贈ってくださるのではないかと……求めた。
0231名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 14:13:20.27ID:35W93fMl
善子「首輪って……ダイヤ、自分を何だと……」

ダイヤ「犬でしょう? 大丈夫です、人として育てて頂いているからといって忘れませんわ」

善子「違う。違うでしょ!?」

鞠莉「善子落ち着いて!」

わたくしに掴み掛ろうとした善子さんを鞠莉さんが組み伏せる
ベッドに押し付けられる形になった善子さんはそれでも藻掻いて、
叫んで……急に黙り込んで。そして……静かに嗚咽を零した。

善子さんが怒る理由が分からない
わたくしが犬である自覚を持ったことの何がいけなかったのかが分からない。
鞠莉さんが悲しそうにしている理由が分からない。

ダイヤ「善子さん……」

ベッドの上にある善子さんの頭に顔を近づけてにおいを嗅ぐ
昨日も嗅いだ、清潔なにおいがまだ残っていて、
キスをしたときの昂りを思い出して。

ダイヤ「すみません、善子さんは人であるわたくしを、愛してくれていたのに」

犬であるわたくしではなく、人であるわたくし
善子さんが愛してくれたのは後者だったから、怒ったのだろうと理解する。
けれど、わたくしは犬だから……申し訳ありません。と、頭を下げた。
0232名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 14:25:19.30ID:35W93fMl
鞠莉「信じられない……」

ダイヤ「わたくしが犬と言うことですか?」

鞠莉「ただ夢を見ただけで、そこまで壊れること」

鞠莉さんは怒りと悲しみの混じり合ったような不思議な表情で吐き捨てると
もう暴れないと思ってか、善子さんを離してベッドへと腰かける
壊れること……と言うのが良く分からなくて首をかしげて

ダイヤ「壊れるとは?」

鞠莉「ダイヤ、貴女……本当にただの人よ。人間。犬なんかじゃない」

ダイヤ「冗談はやめてください。人だと勘違いして、いずれ夫になる方を犬と罵ったら困ります」

鞠莉「鏡を見なさい! 今すぐに!」

ベッドから引っ張り出されて、床へと転び落ちる
履いているおむつの重みと感触に、
足が上手く閉じられないまま、四足で歩こうとした瞬間、
腕を取られ……強引に立たされた

鞠莉「冗談やめて……ダイヤ、人として。歩けるでしょ?」

ダイヤ「はぁ……分かりました」

家主のような立場に当たる鞠莉さんの指示ならば、と
犬としてではなく、人として歩く。
四足よりもおむつが気になって仕方がないけれど……鏡がある洗面台に向かった。
0233名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 14:34:37.48ID:35W93fMl
鞠莉「どう? 犬の耳は? 鼻は?」

ダイヤ「……ありません」

鞠莉「口は横長に大きく裂けてる?」

ダイヤ「いえ……」

鞠莉「わたしは人だけど、見比べてどう?」

ダイヤ「………」

言われて見比べてみると、
確かに多少の違いはあるけれど、鞠莉さんと同じ人のように見える。
端末を操作して、犬の画像を見せて貰っても
やっぱり、鞠莉さんの言うように人に見える。

だとしたら、
四つ足で歩くこと、頭を撫でて貰える幸福感
いつか出会い、結婚し、体を重ねる犬への期待感
わたくしが犬であるというこの頭の中で残り続けるものは何なのだろう

鞠莉「お願いよ、ダイヤ……自分を犬だなんて言わないで」

ダイヤ「……本当に、わたくしは犬じゃないのですか?」

鞠莉「ええ、ダイヤは人間。私達と同じ人。大丈夫、自信を持って」
0234名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 14:48:20.30ID:35W93fMl
ダイヤ「……わかり、ました。鞠莉さんを信じてみます」

鞠莉「本当にお願いね? 善子には……気が動転してたって」

ダイヤ「でも、どうしても自分が犬だと思えて仕方がないわ」

二本足、人として歩いていることに罪悪感があって
人と同じ視野であることにおこがましさを覚えて
同類である犬を、見下している自分への憤りを感じ、
彼らに組み伏せられて……支配して欲しいという欲求が湧いてしまう

鞠莉「頑張って忘れて」

ダイヤ「無理ですわ……きっと、忘れるのは絶対に」

自分が人だと自覚できる何かがない限り
わたくしはずっと、自分が犬かもしれないと悩み続けると思う。
鞠莉さんは、何度も人だと言ってくれるし、
それを信じたいとわたくしも思う……けれど、
どうしても、自分が犬だという考えが頭から抜けない。

鞠莉「お願い……善子の為に」

鞠莉さんは、頭を下げた。
犬としてのわたくしに怒り、人としてのわたくしを愛してくれた善子さん。
彼女の愛はとても強くて、温かくて、
犬であるわたくしには過ぎたもの……だったけれど。
0235名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 14:58:17.07ID:35W93fMl
ダイヤ「努力はします……犬と交尾したいって、もうすでに頭がいっぱいですが」

鞠莉「ダイヤ……」

ダイヤ「ごめんなさい。努力はしますわ」

悲し気な鞠莉さんに頭を下げて、
人としての生活を思い出して、おむつの処理をするためにお風呂場に向かう

おむつからは大分漏れてしまっていたけれど、
それ以上の被害は出さずに後始末を終えて、
体を清潔にして、
善子さんか鞠莉さんが用意していてくれた入浴を行う。

ダイヤ「……はぁ」

首に触れると、そこに何もないのが気になる
首輪だと怒られるから、チョーカーでもつけるべきかどうか。
そんなことを考えて、
鞠莉さん達に怒られそうだからと……諦める。

ダイヤ「黒澤ダイヤ……わたくしは、人ですわ」

鞠莉さんと善子さん
お二人が人であることを望むのなら、
その通りに頑張ろうと……意思を固める
0236名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 15:22:44.05ID:35W93fMl
結局、わたくしは精神状態がよろしくないということもあり、
理事長である鞠莉さんの指示で、善子さんと一緒に学校を休まされることなった。

ダイヤ「まったく、鞠莉さんってば」

善子「文句言わないでよ。あんな、自分を……」

ダイヤ「申し訳なかったと思っていますわ」

善子「ほんとよ……あのままだったら、ダイヤを殺して私も死ぬことだって覚悟したわ」

善子さんは冗談めいた声色ではあったものの、
その言葉自体は、半ば本気のように思えて……目を見開いてしまう
驚いたことに気付いたのか、苦笑して冗談よ。と取り繕いはしたけれど、
その言葉が嘘っぽいことは、わたくしにもよくよく感じ取れてしまった。

善子「ねぇ、ダイヤ」

ダイヤ「なにかしら?」

善子「セックス、してみる気ない?」

本当に、ごく自然な声で善子さんは切り出した。
ちゃんと聞いていたはずのわたくしが、数秒間理解できずに考えてしまうほどに、
まるで、それが他愛もないことのように、善子さんはセックスに誘ってきた。
0237名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 15:40:36.30ID:35W93fMl
ダイヤ「何を、言っているのか分かってる?」

善子「分かってるつもりだけど、何か? 女同士だって別に出来ないわけじゃないし」

ダイヤ「そんな軽々しく……」

善子「明日にはそこらへん歩いてるおっさんに跨ってそうな人が何言ってんのよ……」

ダイヤ「さ、流石にそんなことはしませんわ」

やっぱり、今朝の自分を犬と言った件が尾を引いているのかもしれない
善子さんは怒った様子でわたくしを見て、
それがあり得るかもしれないから言ってるのだと、声を荒げる。

善子「さっきも言ったけど、ダイヤが自分を犬と思ってるのは夢の影響なのよ。分かる?」

ダイヤ「え、ええ……それは何度も聞きましたわ」

わたくしが犬として自覚したのは、
夢による錯覚であり、その夢はわたくしにどれだけあり得ないことであろうと
それを常識だと思わせる力があるのだという
正直、信じられる話ではないと思ってしまう……けれど、
朝起きたときの今までの惨状を、人として考えれば異常だと思う。
犬であれば……躾がなっていないで済むかもしれない。

善子「今日の夜の夢で、目が合ったおっさんとエッチなことするのが礼儀だとかいう摺りこみがあったらどうするの?」

ダイヤ「それは、あまりにも極端と言いますか……できれば、犬の方が……」

善子「ダイヤ!」

ダイヤ「すみません……」
0238名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 16:04:46.30ID:35W93fMl
善子「別にダイヤが無理なら良いわよ」

ダイヤ「わたくしは……」

善子「私はダイヤとならしても良いし、欲求不満への対策になるかもしれないから言ってるだけ」

他意はないからね。と、善子さんは投げやりに言う
セックス……つまりは性行為、交尾
善子さんは犬であるわたくし……ではなく、
人であるわたくしとであれば、それをしても良いと言ってくれている

どうしてそこまでしてくれるのか……という問いには、昨夜の答えが返ってくると思う。
善子さんがしたい、尽くしたい
だから、そこまでできる。と

ダイヤ「……善子さん」

善子「何?」

ダイヤ「もしかして、その……わたくしのこと……」

善子「好き……だから、傷ついたり苦しんだり、壊れていくダイヤを見たくない」

善子さんは、それを言わせるの? とでも言いたげな表情を見せたものの、
溜息をつきながら、そう話してくれた。
困り顔、でも、笑みを携えた優しい表情
わたくしのことを思い、案じてくれている

善子「正直、誰かに壊されるくらいなら私の手で壊したいって……思うくらいに好き」

だから。と、善子さんは苦笑する。

善子「ダイヤが犬とかそこらのおっさんに抱かれる前に抱きたいって思ってる」
0239名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/07/30(木) 16:11:04.25ID:z38dKKvE
見てるぞ
0240名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 16:16:58.84ID:UrXhMJZC
このSSを読むのが生きがいになりつつある
0241名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 16:20:26.78ID:35W93fMl
彼女の語る言葉が嘘でなければ、
善子さんはとても強くわたくしを想ってくれているということになる。
ううん、それを疑う余地なんてないのかもしれないと、
自分の胸に手を当てながら……感じる

善子さんは普通にキスをしてくれる、受け入れてくれて受け止めてくれる。
昂りに関係のないそれは、とても愛情が感じられて……心地よかった。

昨日までの朝と、今朝
満足できていない体の高ぶりの有無に理由があるとすれば、
それはきっと、善子さんがしてくれたキス

ダイヤ「……キス」

言葉が零れ落ちる。
小さく、胸の奥で心が跳ねた。

善子「ん……」

ダイヤ「っ……」

善子さんはその流れ星に願うような一瞬の呟きを聞き届けて、唇を重ねてくれる。
ベッドに座っているからか、善子さんの背伸びは要らない。
柔らかで、優しい……潤いの少し足りない唇の触れ合い。

ダイヤ「っふ……」

少し離れて、舌を軽く舐めてからもう一度。
今度は潤いのあるキスをして、少しだけ……深く潜るようなキスをする。
善子さんは拒まない。
しっかりと受け止めてくれてくれる。

心が弾む。
体が熱を帯びて……この人になら。なんて、想いが生じるような感じがした。
0242名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 16:38:06.33ID:35W93fMl
ダイヤ「善子さん……本当に、わたくしと……して下さるのですか?」

善子「そんなに怯えないで……ダイヤ」

善子さんはわたくしを抱きしめたまま、体を横に倒す。
一緒に倒れたわたくしと並ぶ善子さんの顔には流れた横髪が垂れていて、
けれど……そんなこと関係ないと言うように、彼女はわたくしの手を握ってくれた。

小さな手。
でも、わたくしを支えてくれる大きな手
優しくて、強い……男の人とは違うけれど、しっかりとした手

ダイヤ「……」

目を瞑ってしまう。
期待してしまう。
して欲しい……その気持ちが伝わっているのかもしれないと。

ダイヤ「ん……っ」

唇が重なる。
直前に感じた善子さんのにおいが、
体中に満ちて……温もりにあふれていくのを感じる

ダイヤ「っは……ふ……」

どきどきとして、鳴りやまない心臓の音が
善子さんに聞こえてしまわないかと少しばかり顔が熱くなって
けれど、聞こえても良いから抱きしめて欲しいとも思って。

ダイヤ「善子さん……」

名前を呼ぶ、その声が
まるで自分のものではないかのように甘えきっていた。
わたくしは善子さんと同じくらいに、好きという自信はない。

ダイヤ「わたくしも……すき。です」

けれど……この心の高ぶりが恋じゃないとしたら、
わたくしはきっと、一生涯恋を出来ないかもしれない。
0243名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 20:14:00.67ID:35W93fMl
抱かれたい、抱いて欲しい
犬なんかよりも……ずっと。
頭の中では犬のことばかり浮かぶのに、心は人との……善子さんと重なることを望む。
心と頭の中での食い違う思いに、少し当惑してしまうけれど
善子さんの握ってくれる手の温もりが、こっちよ。と、導いてくれて

ダイヤ「んっ……」

善子「っふ……はっ」

キスをする。
何度も何度も、繰り返し
ただ唇を重ねるようなキスをして、潤いを分け合ってから、
時折、少し傾けた深いキスで、唇を覆い合う。

ダイヤ「っは……はふ……んっ」

善子「っ……」

微かに跳ねる潤いの音が、なんだかダンスのステップを踏んでいるかのように思えてくる。
柔らかく、優しく、穏やかながら……情熱的に
唇同士が合わさって、溶け合うようなキスに没頭していく。

ダイヤ「善子さ……んっ」

離れるたびに、目を開く
善子さんの綺麗な瞳が見えて、微笑んでくれるから。
その宝石のような瞳に恋をする。
世界で一番優しく甘い唇に酔いが回る。

善子さんの腰に手を回して、もう少しだけ……と距離を詰める
0244名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 21:55:00.00ID:9/a4cr11
体が温まって、身に着ける衣服が余計に感じてくる
吐息は熱を帯びて、ほぅ……っと、含みのある息が漏れる

善子「脱ぐ?」

ダイヤ「………」

善子「脱がして欲しい?」

そう言うと、善子さんは小さな笑みを浮かべながら、
わたくしの肩に手を乗せる
そうっと撫でるような手つきに、ブラジャーの肩ひもが僅かにずれる
二の腕から、肘を過ぎて手に届く
善子さんは手を握ると、ゆっくり胸の前にまで持ってきて……放す。

善子「答えないなら……続けるわ」

善子さんは自分の体を起こすと、
わたくしの右肩を押し込んで倒し、その上に覆いかぶさるようにして……陣取る
長い髪がレースのカーテンのように下りてくる
その艶々とした夜の帳にも似た幻想的な美しさが、
善子さんの潤った薄紅色の唇を引き立たせる

ダイヤ「ぁ……」

垂れ下がる天幕が地に落ちるかのように彼女の髪が顔の横に降りてきて
キス……と、条件反射のように目を閉じると、
何度も重ね合わせたふんわりとした感触が、わたくしの唇に重なる。

それはすぐに離れたけれど……数秒の呼吸も許してくれずにまたキスをする。
唇同士が離れる、小さくはじける音
もう聞きなれた甘いキスの音を合図に瞼を開けば、善子さんの微笑みが視界を埋めて

善子「脱がして、あげようか?」

それはまるで堕天への誘いのように魅力的な声で、
わたくしはぼんやりと……お願いします。と、願ってしまった。
0245名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/30(木) 23:20:17.94ID:9/a4cr11
善子さんの指先が、胸の間を縦に割いて
鞠莉さんの私服兼用の寝間着のおしゃれな小さいボタンを一つ、一つ……外していく
外されるたびに小さく胸が揺れて、
掠める善子さんの手先に、ドキドキと胸が高鳴る

善子「はい……外れたわよ」

ダイヤ「善子さ……っ」

はだけた上着の肩口から、善子さんの手が入り込んでくる
袖には少し余裕があるけれど、
二人分を入れるには狭くて……ちょっぴり、駄目な音がして慌てて逃げていく

ダイヤ「……大丈夫ですわ」

肩の部分が破れていないのを確認して、善子さんに声をかける
上着を脱いで傍に置くと善子さんも自分の上着を脱いで、その隣に並べる
薄い肌着と、それ一枚では少し不釣り合いに見える揃いのズボン
それはなんだか不格好で、一緒に脱ぐ

善子「なんか、変な感じ」

ダイヤ「そう、ですか?」

善子「だって、普通ならこんな状況にならないでしょ。私達」

肌着とブラジャー、そしてショーツ
たったそれだけでベッドの上にいるなんて、
自分はともかく、わたくしにはありえないことじゃないかと、善子さんは言う
確かに、家ではこんなラフとさえ言えないような恰好はしないけれど
でも……今は、特別

ダイヤ「普通では、ありませんから」

善子さんの細い腰に手を添えて、抱き込む
抵抗されることなく容易に抱き込んで……唇を重ねる。
薄着になって密着度のあがった肌の温もり
けれど、キスの心地よさはそれ以上に捨てがたくて
0246名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 08:05:59.82ID:igxnxi5a
善子さんと唇を重ねながら、その肌に触れる。
白くて柔い女の子の身体
自分も女の子ではあるけれど……それとはやはり違う

自分の上に折り重なる善子さんの体は、
身長差の分、不思議と華奢で身軽に感じてしまう

ダイヤ「っ……」

交わる唇を離して、一息
くびれのある腰に手をあてがうと、善子さんの足がわたくしの足に絡んで
太腿の柔らかさとふくらはぎのふっくらとした弾力がしっとりと伝わってくる

善子「ダイヤ」

彼女の艶がかった唇がわたくしの名前を呼ぶ
囁くように馴染ませるように……そうしてまた唇を重ねる。
柔らかな肉感、触れ合って歪み、絡み合って溶け合う。
離れて、もう一度

善子「ん……」

善子さんが手を握ってくれる
それぞれの指が抱き合う恋人の抱擁のようで
じんわりと膨らんでいく体の内側からの熱に、重なる唇の奥が潤いに満たされていく
0247名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 08:50:22.90ID:igxnxi5a
善子さんを抱くと力強い心臓の音がはっきりと聞こえる
自分の音か、善子さんの音か
どちらでもなく、二人の音だったらと……目を向けると
善子さんの綺麗な瞳がわたくしを愛でてくれているのを感じて、頬が熱くなる

ダイヤ「善子さん……もっと」

善子「ほんと、好きになっちゃって……」

善子さんの愛おしそうな声が耳をくすぐる。
自分を自分と思うことを忘れてしまった頭の中に、その声はとてもよく響いて
左手にあった善子さんの感触が消えたかと思えば、頬が擦られる

手のひらではなく、指だけの動き
なぞるように撫でる指先は親指だけが肌に触れてくれなくて
下るにつれて……唇の端に引っかかる

ダイヤ「っふ……」

小さな水の音が自分の唇から弾ける。
微かにいやらしいと思えてしまうようなそれを、
善子さんは黙って……受け入れてくれる。

今まで閉じていた唇が、開いたまま重なる。
善子さんの潤いがゆるりと流れ込んできて、わたくしの中に満ちていく。
善子さんの想いが、欲求が
しっとりと感じられて、愛おしくて……嬉しくて

ダイヤ「ん……っふ……んっ」

善子「っは……んぅ……」

唇同士の隙間から、空気を取り込む
僅かな酸素を二人で共有しながら……離れることなくキスを続ける。
少しずつ、深く沈んでいく
0248名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 09:12:58.49ID:J40jjeEN
言葉を交わすよりもキスをして
唇以上に体を重ねて
善子さんの胸の音、シーツの布擦れの音、唇から時折こぼれ出るキスの音
何一つとして取りこぼすことなく感じて

ダイヤ「っは……」

善子「ん……」

数秒か、数分か
時間の感覚だけが損なわれた長いキス
善子さんが離れると、細い未練が伸びる

善子「かわいい……けど、綺麗ね。ダイヤ」

ダイヤ「……っ」

善子「大丈夫……いやらしくない」

善子さんはもう一度、軽いキスをして
わたくしの肌着の裾を静かに引き上げていく
お臍の辺りが空気に触れる
胸を露出させることなく、お腹周りだけで善子さんは手を止めて

ダイヤ「んっ……」

脇腹とお臍の中間部分を彼女の手が擦る
ちょっぴりくすぐったくて、体がびくんっと跳ねてしまうと
善子さんは小さくごめん。と、囁いて……慎重な手つきでまた触れてくる
0249名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 10:03:28.10ID:J40jjeEN
ただ撫でるだけでなく揉むように、
指先から手のひらまで、善子さんの手全体を使って包み込むようなその手つきは
愛し合うというよりも、
まるで、お腹の中の子供に愛情を注ごうとしているかのように慈愛に満ちている

ダイヤ「っは……」

ただでさえ温まっていた体が、より一層温かくなって
触れたくて、手を伸ばしてしまう
善子さんは小さな笑みを浮かべると、その手を頬で受け止めてくれる

ダイヤ「善子、さん……」

瞼を閉じると、善子さんは応えてくれる
お腹に感じる善子さんの優しさはそのままに、唇が重なって
一番感じたいところに直接、彼女を感じさせてくれる
この温もりこそがきっと、幸せなんだろうと思う。

善子「ダイヤ、好き」

善子さんの手が、体を上り詰めていく
ブラジャーのホックを外すことなく、やや強引に割り込んできた手は、
揉んだりはせず、形を記憶するように留まる

心臓の音が一方的に手に取られてしまう気がして、
気持ちを知られてしまうような気がして
垂れている善子さんの肌着の裾から手を差し入れ……彼女の胸に触れる
0250名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 10:20:12.23ID:J40jjeEN
善子さんの胸はとても温かい
ゆっくりとしていて、大きい鼓動
表情は普通で、余裕が感じられるのに
心はとても昂っていて緊張していると感じられて
思わず口元が綻んでしまう

善子「何笑ってんのよ」

ダイヤ「なんだか……嬉しくて」

善子「ひとの胸触って嬉しいって、なかなかいい趣味ね」

ダイヤ「夢の影響……かもしれませんわ」

そう言って、胸から腰へと撫で下ろし、
ゆっくりと右側に押し込む
善子さんは抵抗なく倒れてくれて、横に並ぶ

最初とは逆の横並び、向かい合って重なりの甘い距離感
けれど胸に触れる善子さんの手と、善子さんの腰に触れる手
最初とは比べものにならないほどの高揚感

善子「先に進む?」

ダイヤ「……少しだけ」

決して寒い季節ではなく、むしろ暖かい季節なはずなのに、
肌着を脱ぐと、肌に纏わりつく空気がひんやりとして感じられる
それだけ、温まってきているのだと思うと……気恥ずかしさが強まって
善子さんと二人、ちょっぴり苦笑しながらキスをする。
少し離れて、抱き合ってもう一度。
0251名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 10:49:56.94ID:J40jjeEN
教科書で習った性行為なんて、異性同士の単純なもの
何をどうしたらいいかなんて指南書ではなくて、なんにも知らない
次はこうしたい……ただその一心で、善子さんのことを愛していく

善子「んっ……っふ……」

善子さんがわたくしを愛してくれているように
その、満ち満ちた愛情に少しでも近づくことが出来るように
彼女から受ける想いを、自分に照らし合わせて……返す

ダイヤ「っは……んっ……」

肌着の隔たりはとても薄かったのに
それ一枚が無くなっただけで、体に感じる善子さんがとても大きなものになっていて
唇を離した時に、まだ離したくないと……もう少し近くと思うようになっていき
善子さんはそれを口にしなくても近づいてくれる。
呼吸する時間さえも短く終えて――キスをしてくれる。

善子「っ……」

善子さんの身体に触れる
目を瞑っていても分かる、綺麗な曲線を描く腰
緩やかな膨らみの胸、丸みを帯びたお尻

少し間違えば崩れてしまう砂の城を扱うように
優しく、軽く、擦りながら愛でる
善子さんの体が小さく揺れる
思わず零れた吐息と聞き間違えそうな善子さんの愛らしい声を、唇で奪う
0252名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 11:33:29.57ID:m58fgpbv
ダイヤ「っは……」

善子「っ……んっ」

善子さんの胸元に触れて、ゆっくり背中へと手を回し……ホックを外す
指先への小さな感触
留め金が外れて緩んだブラジャーの紐が浮いて
善子さんの肩から垂れてくる

善子「こっちだけなんて、させないけど」

善子さんはそう言うと、
わたくしがしたようにブラジャーを緩めてくる
背中に感じた外れる音
抑えが緩んだ胸元の解放感は、彼女の手が許さない

ダイヤ「っん……」

細い指が、決して大きくない乳房を歪ませる
彼女の形に変えられていく
なのに、痛みはなく心地良い
零れる声には甘みが混じってしまう

善子さんに触れて欲しいと
もっと、愛して欲しいと
どうしようもなく……求めてしまう

善子「ん……やっぱり、きれい」

善子さんはそう呟いて、首筋にキスをする。
こそばゆい、でも、心地良く感じてしまう。
彼女からの刺激のすべてが……心にまで突き抜けていく
0253名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 12:10:21.66ID:m58fgpbv
身に着けているのはショーツのみとなって……でも、恥ずかしさはなかった。
善子さんも同じ格好で
善子さんの瞳がわたくしを見ているように、
わたくしも、貴女を見ているから。

貴女がきれいだと思ってくれているように
わたくしも、きれいだと思っているから

ダイヤ「ん……っ」

善子「っ……」

始まりから、もう数えきれないほどにキスをした
呼吸のないキスも、呼吸のあるキスも
唇だけのキスも、唇の奥にまで染み込んでいくキスも
どれも愛おしくて、甘く……心地いいもので

善子「ふ……っ」

キスをしながら、胸に触れてくる善子さんの力を受け入れて……ベッドに倒れこむ
手のひらを使わない愛情のこもった指先が乳房を模るように動いて、
小指から人差し指へと滑らかに滑り、受け止めて
手のひらが乳房を包み込んでふんわりと揉まれていく

ダイヤ「っ……んっ……ぁっ」

繊細で、優しい善子さんの手
どこか手馴れているようにも感じるその動きは、確実に体と心を感じさせてくれて
一方的になりつつある立場を、拒めない
0254名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 13:08:20.45ID:L4nLiYPb
ダイヤ「っは……っ」

少しずつ、確実に解けていく
自分が犬だなんて意味の分からない思想も
現実に多大な影響を与えるという、夢の話も

濡れそぼった舌が、首筋を伝う。
少しざらりとして……くすぐったくて、気持ちのいい善子さんの心
体が少し揺れると胸に触れていた善子さんの手が傾いて
その先端の、少し隆起してしまったところを弾く

ダイヤ「んっ……っ、はっ……」

体が熱くて、ため息が増える
熱を帯びて、湿度の高いため息は善子さんのそれと混じり合って空気中に消えて
体の中に入り込んでくる
わたくしも善子さんも汗ばんでいるせいか、手が滑って
けれど、その滑って触れ合い、密着する体の感触に高揚する

ダイヤ「よしこ、さっ……っ」

名前を零すと、彼女は決まってキスをしてくれる
何度も舌を這わせて、艶々とした唇で潤いを与えてくれる
静かに弾ける水の音はもう、いやらしさを感じない
清々しく、青々とした雨上がりの濡葉から滴る滴の音のように、美しいとさえ思えてくる

善子「っは……っ、んっ」

ダイヤ「んっ……っはっ……んっ」

唇が重なり合って、絡む
にゅるりと忍び込む善子さんの舌を受け入れるように開くと、
彼女は少しだけ瞼を開いて、嬉しそうな瞳を見せてくれる

嬉しいのは、わたくしも同じ。
幸せを感じているのは……貴女もだと嬉しい。

舌と舌を軽く触れ合わせて、恐る恐るといった慎重な動きで抱かせ合う。
少しばかり不思議な感覚だけれど、
嫌いじゃなくてむしろ好きになってしまいそうな、知る中で最も深くて大人びたキスに浸る
0255名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 13:30:12.98ID:L4nLiYPb
善子「っふ……ダイヤ……」

善子さんの唇が、名前を囁く
頭の中は薄ぼんやりとして考える力なんてなくなってしまっているのに
彼女のことだけは、しっかりと掴みとれている
涙を浮かべた視界のような状態でも彼女はとても鮮明で
その手が頬に触れてくれている感覚に、心が舞い上がっていく

善子「下、触るわよ」

善子さんのもう一方の手が、胸からお腹
そして下腹部へと下っていくのを感じてその言葉の意味を理解して、わたくしは頷く
他人には触れられたくない場所
誰にも見られたくなんてないところ
けれど、彼女にならそれも……許すことが出来る

ダイヤ「善子さん……っ」

許せるけれど、不安で、怖くて……キスをせがんで彼女と唇を重ねる
目を閉じると唇と下腹部の両方からの刺激が、より鋭敏に感じ取れるようになって
少しばかり緊張で体が震えてしまうと、善子さんは手を止めて

善子「大丈夫……任せて」

優しく囁いて、微笑んでくれる
まるで自分の方が子供のように感じてしまう善子さんの余裕
どれだけ先を歩んでいるのかもわからない彼女のキスは、
まだ子供のわたくしを翻弄するように甘く、導くように穏やかで

ダイヤ「んっっ……っはっ……ぁっ」

彼女の指先がデリケートな場所に到達した刺激と共に駆け抜けていく
0256名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 13:49:23.26ID:zEvZS1uY
ダイヤ「はっ……っ、んっ……」

自分で触れるのとはまるで違う、ひとの手の刺激
頭の中で身構えていても、善子さんの指先はその予測を裏切るせいで
指の動きから逃げ出してくる刺激が嬌声となって、口から洩れてしまう

ダイヤ「っ……ぁっ」

準備は万全で、昂っていた体
まだかまだかとドキドキとしていた下腹部の疼きに応えるように
善子さんは中指を使って、追い立てる

筋をなぞり、弧を描く
彼女はじっくりと料理を煮込むかのようにじれったい動きをさせつつも
時々、押し揉むようにして露わになった敏感なところを弾いてくる感覚に、体が震えてしまう

ダイヤ「んっ……ぁっ……っぁっ」

胸の奥でこれ以上ないほどに心臓が高鳴る
汗の浮かぶ額に髪が張り付いて
横たわるシーツも汗を吸って、心なしかじっとりとして感じる

ダイヤ「はっ……ぅ……んっ……」

呼吸も荒くて、胸が揺れて
なのに、善子さんは下腹部を責め立てる指先の動きも
呼吸をせき止めるキスも、胸を愛してくれるその手も止めてくれなくて

ダイヤ「っっ……っ!」

その三方向からの快感がひと固まりになって……体は一際大きく揺れて善子さんの手を汚してしまう
0257名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 14:03:05.49ID:zEvZS1uY
善子「……かわいい」

ダイヤ「か、わ……いい?」

善子「そ、かわいい」

乱れているわたくしと、余裕な善子さん
それはなんだか不公平に思えて
けれど、すぐには動ける気もしなくて……善子さんの嬉しそうな誉め言葉に瞼を閉じる

いやらしくて……えっちな黒澤ダイヤ
それを、善子さんはきれいと言って、可愛いと言った。
お世辞かもしれないし、場の雰囲気がそう言わせているのかもしれない
けれど、それがもし本心なのだとしたら――

いいえ、本心であって欲しいと、わたくしは思う。

ダイヤ「はっ……はぁ……っ」

なんとか呼吸を整えて、善子さんの体に触れる
何をされるか分かっているとでも言いたげに善子さんは笑みを浮かべながら横へと転がる
それはなんだか、負けている気がして……少しむっとしてしまう

ダイヤ「今度はわたくしの番ですわ」

善子「優しくしてよね……先輩」

余裕の笑顔と茶化す一言
その余裕を崩して差し上げますわ。と……まずは一度、キスをした。
0258名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 14:25:00.08ID:OLY+ZSOZ
善子「っ……んっ」

善子さんの唇はキスをされるときよりもする時の方が少しだけ柔らかい
余裕そうに見えて、やっぱりキスをするときは緊張していたのだと思うと、
なんだかとても、可愛らしく思えて……少しだけ余裕が持てる

ダイヤ「っふ……」

キスをして、善子さんの乳房に触れる
自分のものにもたびたび触れているけれど
善子さんは善子さんで少し大きさも違っていれば質感も違っていて
可能な限り優しく、丁寧に
わたくしの形に歪めさせながら、彼女の体を温めていく

善子「っ……はっ……」

ダイヤ「ん……」

熱っぽい善子さんの吐息
赤らんだ頬、潤んだ瞳
余裕のあった笑みが薄くなっていくのを目に映しながら
少しずつ善子さんの体を支配していく。

善子「っぁ……っ」

唇ではなく、首筋にキスを一つ
右手の人差し指で善子さんの胸を縦に割いて……乳房にキスを一つ
わざとらしく唇で挟んで、小さく弾けさせてあげると
善子さんの少し高い、甘い声が漏れる
0259名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 14:43:14.24ID:OLY+ZSOZ
善子さんの体はわたくしに比べれば少々、小さい
覆いかぶされば簡単に覆えてしまう二つ下の……後輩
さっきまで良いようにされていた分、お返しをするように彼女のそんな体を愛でて

ダイヤ「……触れても?」

善子「痛くしないでよね……」

ちょっぴり赤い、善子さんのせめてもの一言に思わず笑みがこぼれる
自分がこうだったとは思えないけれど、
でも、善子さんの言うかわいい。が理解できたような気がして嬉しかった。

善子「っ……んっ」

善子さんがしてくれたように、
彼女とキスをし唇を合わせながら、右手をゆっくりと下らせて
少し筋肉の感じられる柔らかいお腹から下腹部へと指を走らせて……触れる。

善子「っ……ぁっ」

中指で丸く円を描くようにしながら
時々……舌で舐めるように筋をなぞる
そうして人差し指と薬指で付け根の部分を押し込んで……開く

善子「っ……ふ……」

小指も入らないような微妙な隙間
そこを中指でなぞってあげると、小さな突起に触れる
可愛らしく震えた善子さんの体を押さえるように胸を撫でてキスを軽く
そうしてもう一度突起を愛でてあげると……重ねた唇の中に彼女の甘さがとけだしてきた
0260名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 14:54:24.48ID:OLY+ZSOZ
善子「っは……は……はふ……」

キスをしていた分、善子さんは荒々しく呼吸をして、
一度大きく深呼吸をすると、自分の胸を撫でてからもう一度息をつく

善子「あんなこと……私やってないんだけど?」

ダイヤ「あれは……」

自慰行為に耽っていた時に、何気なくやっていたこと
それも夢の影響なのかしら……なんて悠長に考えながら
染みの出来てしまったショーツのちょっとした不快感と
汗だくな体、乱れたシーツに目を背ける

ダイヤ「あれは、わたくしの技術です」

善子「何が技術よ……ったく」

ダイヤ「嫌、でしたか?」

善子「嫌じゃないけど負けた気分だわ」

善子さんは不満げに言うと、
まだ赤らんで見える頬を掻いて、困ったようにわたくしを見た

善子「満足できた?」

ダイヤ「え……」

どちらかと言えば……まだ物足りない。
もう少しキスがしたい
もっとキスをしていたい。
もっと、あの指先に体を弄ばれたい……なんて

善子「……もうちょっと付き合ってくれると嬉しいんだけど」

ダイヤ「ええ、喜んで」

そんなことは言わなくても……十分だった。
0261名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 15:04:26.59ID:OLY+ZSOZ
時間も忘れて没頭してしまった善子さんとの性行為
鞠莉さんは帰ってきて早々、
部屋の異常に蠱惑的なにおいに卒倒しそうになりながら、後片付けを手伝ってくれた。

鞠莉「えっ……じゃぁ何? 朝からずっと、やってたわけ……?」

ダイヤ「……はい」

善子「ついつい、盛り上がっちゃって」

ベッドの上での大人びた善子さんはどこかへと失せて
困惑する鞠莉さんに対して、善子さんは我関せずとでも言いたげに苦笑する。
盛り上がっちゃってじゃないんだけど……と鞠莉さんは大きくため息をついたものの、
怒っているわけではないようで、それ以上は突っ込まなかった

鞠莉「それで、なんでやったの? 朝大丈夫だったんでしょ?」

ダイヤ「それは、その……その大丈夫だった理由が昨夜のキスにあるのではと思いまして」

鞠莉「それで朝から夕方までぶっ続けで善子とまぐわってたの?」

善子「道具も何もないから、中々こう……終着点が見つかんなかったのよ」

鞠莉「終着点って……」

異性相手なら、相手の想いを受け止めた辺りで一区切りが付けられるかもしれないけれど
女同士ともなると、どうしても一番欲しい所にまで届かない。
その分、少しずつ発散していった結果が、あれだった。

鞠莉「ここがわたしの部屋だってこと、忘れてない?」

善子「正直忘れてた」

鞠莉「ラブホテルじゃないのよっ! もぉっ!」
0262名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 15:15:21.30ID:OLY+ZSOZ
何もかもを換気に総動員しているものの、
まだにおいの残る鞠莉さんの部屋。
テーブルに突っ伏す形で頭を抱えた鞠莉さんは、
二人がヤったベッドで寝るの……? とため息交じりに呟いて

鞠莉「わたし、今日は別の部屋で寝るわ」

ダイヤ「えっ、でも……」

鞠莉「良いから……今更。二人で仲良くベッド使って頂戴」

鞠莉さんはわたくし達よりもずっと疲れた様子でパタパタと手を振って、
テーブルに乗せた頭をぐりぐりと動かす。
鞠莉さんらしくない感じはしたけれど
流石に、自分たちがやりすぎたと……今は思う。

ダイヤ「すみません、鞠莉さん」

鞠莉「良いってば……気兼ねなく同行できる部屋を用意するって言うのも協力の条件だったし」

善子「問題は、これでダイヤが悪い夢を見た場合だわ。本当の本当に打つ手がないわよ」

鞠莉「問題はこれで解決した後もでしょ……まさか、毎日二人が
何もかもを換気に総動員しているものの、
まだにおいの残る鞠莉さんの部屋。
テーブルに突っ伏す形で頭を抱えた鞠莉さんは、
二人がヤったベッドで寝るの……? とため息交じりに呟いて

鞠莉「わたし、今日は別の部屋で寝るわ」

ダイヤ「えっ、でも……」

鞠莉「良いから……今更。二人で仲良くベッド使って頂戴」

鞠莉さんはわたくし達よりもずっと疲れた様子でパタパタと手を振って、
テーブルに乗せた頭をぐりぐりと動かす。
鞠莉さんらしくない感じはしたけれど
流石に、自分たちがやりすぎたと……今は思う。

ダイヤ「すみません、鞠莉さん」

鞠莉「良いってば……気兼ねなく同行できる部屋を用意するって言うのも協力の条件だったし」

善子「問題は、これでダイヤが悪い夢を見た場合だわ。本当の本当に打つ手がないわよ」

鞠莉「問題はこれで解決した後もでしょ……毎日夜伽するわけにもいかないでしょ?」
0263名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 15:24:12.46ID:OLY+ZSOZ
夜伽……よりは同衾と言ってくれた方があれな気もするけれど、
とにかく、毎日これだけの性的な接触は、わたくしも善子さんも体が持たないかもしれない。
短縮して、1時間程度で満足できれば……どうにかなるかしら。

そんな邪まな考えで善子さんを見ると
少し物思いに耽っていた善子さんはふと顔を上げて、わたくしに微笑む

善子「まぁ、私は全然いいけどね」

鞠莉「親がノーっていうでしょ。絶対」

善子「学校でやるから」

鞠莉「学校で破廉恥禁止!」

善子「でも、ダイヤのためよ?」

善子さんの一番の切り札になるそれを言うと、鞠莉さんはあぁもう。と、頭を抱えてしまう
流石に鞠莉さんに対しては狡い一言だった。
わたくしだって、叶うならばそれが良い
意味の分からない、覚えてもいない夢に蝕まれて壊されるなんて恐怖しか感じない
だから、それが解決できるなら毎日の性行為なんて苦にはならないし
その相手が善子さんなら……と思う。

けれど、周りに迷惑だというのなら……

ダイヤ「入院するから、大丈夫」

わたくしは、その方が良いと思った。
0264名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 15:56:34.09ID:OLY+ZSOZ
善子「ダイヤ……」

ダイヤ「善子さんはいいと言ってくれているけれど……やはり、周りに迷惑になるのは」

鞠莉「どうしてもっていうなら、どうせ空いてる教室も多いし使っても良いけど」

鞠莉さんはそう言うと、
でも……と、何か意味ありげに呟いて、けれど何も言わずに首を振った。
深刻そうな表情からは、それ以外の問題があるように感じられて
きっと……将来的な事だと思った

来年にはわたくしはここを離れ東京に出る予定でいる
その進学先を変えればいいのかもしれないけれど
県内なら、自宅から通うことになるだろうから、
善子さんとの逢瀬はどこか別の場所になる
その別の場所は……この決して広くない界隈では悟られやすい。

鞠莉「ねぇ、善子。善子は……何があってもダイヤと添い遂げる覚悟があるの?」

善子「想像のつく限りは」

鞠莉「その想像を超えた事態が起きて引き離されたとき、ダイヤが親の決めた相手と結婚しちゃうとしても?」

ダイヤ「精神に重大な病気を抱えているわたくしが……結婚なんて不可能な話ですわ」
0265名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/07/31(金) 17:12:04.27ID:H6mXga6q
善子「重大な病気って……それが解決したとしたら?」

ダイヤ「するとは限りませんし……今回の性行為が解決の糸口だとしても、毎夜抱いて頂かないといけませんわ」

鞠莉「じゃぁ、そこを受け入れてくれる相手がいたら?」

もしも性行為が解決の糸口で、
毎夜、わたくしと性行為に応じてくれる人がいたら……
いたら……? と、わたくしは思わず、善子さんを見てしまう

鞠莉「いや、善子以外で」

ダイヤ「善子さん以外で……?」

鞠莉「当たり前でしょ。何言ってるのよ、大丈夫?」

胸が痛くなる。
ただ高鳴って痛いのではなく
苦しくて、辛い……

鞠莉「ぇ……」

問い詰めてきていた鞠莉さんが、目を見開くのがぼんやりと見えた
視界はだんだんと歪んでいって……頬を伝う熱いものに自分が泣いているのだと気づかされる
また、泣いてしまう。
善子さん以外の相手……そんな当たり前のことを考えようとしただけで

鞠莉「ダイヤ……ごめんなさい。余計な質問だったわね」

ダイヤ「いえ……当然のことですわ」

子を成すことが出来ない以上、
将来的に破局する……させられることは言われなくても目に見えている事実
でも、考えられない
少なくとも、あれだけ愛し合った人以外の誰かなんて……そんなこと

ダイヤ「わたくしも、善子さんと一緒に居たい……もし、叶うなら、許されるなら」

でももし、それが許されないのなら――?
0266名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/31(金) 17:19:05.07ID:H6mXga6q
回線が不調みたいなのでまた後程
0269名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/07/31(金) 20:42:40.20ID:/AkLiSnL
なんとなくオチが見えてきた
0271名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/08/01(土) 05:57:41.70ID:le70Xepx
>>262 修正


何もかもを換気に総動員しているものの、
まだにおいの残る鞠莉さんの部屋。
テーブルに突っ伏す形で頭を抱えた鞠莉さんは、
二人がヤったベッドで寝るの……? とため息交じりに呟いて

鞠莉「わたし、今日は別の部屋で寝るわ」

ダイヤ「えっ、でも……」

鞠莉「良いから……今更。二人で仲良くベッド使って頂戴」

鞠莉さんはわたくし達よりもずっと疲れた様子でパタパタと手を振って、
テーブルに乗せた頭をぐりぐりと動かす。
鞠莉さんらしくない感じはしたけれど
流石に、自分たちがやりすぎたと……今は思う。

ダイヤ「すみません、鞠莉さん」

鞠莉「良いってば……気兼ねなくどうこうできる部屋を用意するって言うのも協力の条件だったし」

善子「問題は、これでダイヤが悪い夢を見た場合だわ。本当の本当に打つ手がないわよ」

鞠莉「問題はこれで解決した後もでしょ……まさか、毎日二人が毎日夜伽するわけにもいかないでしょ?」
0272名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/01(土) 06:50:15.95ID:LqttSvTN
>>265 からの続き

鞠莉「今朝の今ですっごい考えの変わりようねぇ……ダイヤ」

鞠莉さんの声で思考が中断させられて、首を振る
でももしそれが許されないのだとしたら……その話は、今は考えてはいけないような気がして
鞠莉さんの困り果てた疑うような視線を真っ向から受けながら
そうね。と、頷く

ダイヤ「善子さんと愛し合って……この人となら。って、心が感じたの」

胸に手を当てる
強い動悸は感じられない
けれど、今でも高鳴った想いを覚えている
それを考えるだけで、自分が少しだけ満たされるのを感じる

ダイヤ「善子さんに愛されたいし、善子さんを愛したい……でも、今朝の考えではわたくしが愛すべきは別物」

鞠莉「それで、自分の心に正直になったのね?」

ダイヤ「今でも頭の中では犬だと思う自分がいますわ……でも、それは善子さんが悲しみますし」

善子さんを見ると、彼女は微笑みを返してくれる
その温もりになんだか胸が温かくなってしまって
頬が紅潮していくのを感じて、目を逸らしてしまった

鞠莉「わたしが愛してあげてても、同じようになってたのかしら」

善子「さぁ? 鞠莉が本当にダイヤのこと好きならできたんじゃない?」

鞠莉「失礼ね。わたしだってダイヤのことはライクでラブで、フォーエバーなんだから」
0273名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/01(土) 07:21:37.47ID:LqttSvTN
冗談のように言う鞠莉さんには、
なぜか善子さんが怪訝そうな顔つきになって……ため息をつく
当事者のはずのわたくしよりも、善子さんの方が茶化されることに不満を抱いているように感じる
それだけ……愛してくれているということ……?

ダイヤ「っ……」

そう考えてしまうと、思ってしまうと
どうしようもなく……多幸感に満たされて
昂る心に赤くなることを我慢しきれなくなって両手で顔を覆う

善子「ダイヤ……やっぱかわいいわね」

ダイヤ「今はやめてくださいっ」

善子「はいはい。心の中で思うだけにしとくわ」

鞠莉「あーもう……分かった。分かったわよ……将来的な話は二人で好きにして頂戴」

わたしはもう知らないからね。と、
鞠莉さんは付き合いきれないと言った様子で言い切って、抱えた頭を手放す

鞠莉「可能な限りのサポートはしてあげるけど、二人の結婚とか駆け落ちとか。そこまでの面倒は見られないからね」

善子「それで充分よ。そこまで面倒はかけられないわ」

ダイヤ「……結婚、してくださるんですか?」

善子「それも含めて、今後話し合いを重ねていきましょ」

善子さんはそう言うと、わたくしの頭を撫でてくれる
小さい手、でも、なんだか初めてとは思えなくて
嬉しさと幸せを感じて……笑みがこぼれる

ダイヤ「……はい……っ」

鞠莉さんはため息をついて、頭が痛くなってきた。と、呟いた
0274名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/01(土) 10:13:10.05ID:ScHTwg/n
鞠莉「そうそう、一応、今朝は体調不良だから明日もこっちで様子を見るって話はつけておいたわ」

ダイヤ「すみません、ありがとうございます」

善子「ルビィ達、お見舞いに行くって言わなかったの?」

鞠莉「ルビィはお願いします。としか言ってなかったわねぇ」

鞠莉さんは思い出すように顔を上げて視線を流す。
千歌さんや曜さんはお見舞いも計画したらしいけれど
果南さんと鞠莉さん、花丸さんが止めて、
ルビィはそもそもお見舞いにはいく気がなかったらしい

ルビィは果南さんから、わたくしが夢に苦しめられていることを聞いていないはず
それでも、わたくしに何かがあることを知っているから、
鞠莉さんにお願いするだけで済ませたのでしょうね……。
きっと、ただ体調不良なだけじゃないのも察しはついているだろうし

善子「ずら丸……花丸も止めたの?」

鞠莉「ん〜? あぁ、体調悪いのに押しかけたら迷惑だよって、言ってたわ」

何か気になるの? と聞かれた善子さんは、
別に気になるって程じゃないけど……とつぶやいたものの、
眉を顰めているその表情は、明らかに何かあると言った様子で

善子「私も一緒に休んだじゃない? その事について何か言いそうだと思って」

鞠莉「あぁ……ほら。ルビィが一度怒ったし、欠席したし。茶化そうとは思えなかったんじゃない?」

花丸さんは冗談に乗っかったり
冗談で、もしかして……なんて嘯くことがあるかもしれないけれど
本当に駄目だと思ったらそういうことはしない
0275名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 13:38:30.04ID:5HQ3/Fzv
鞠莉「千歌っち達も茶化そうとしなかったわ」

善子「そう……変に首突っ込まれるよりはいっか」

ダイヤ「明日明後日はお休みですからどうとでもなりますが、月曜日は……」

土日を挟んでの来週、月曜日
そうなるとさすがに学校を休んでいられないとは思う
ううん、それ以前の話ですわね。
今はまだ、騙し騙しで事情を知ってるのは善子さん達だけだけれど
そこまで来ると、家にもルビィにも隠していられない

Aqoursのみんなにだってもちろん、
事情のすべてを話すことが出来ないにしても、
わたくしは脱退する必要もあるだろうし……多少は話さなければならない

ダイヤ「今週中に解決しなかったら、お父様たちに打ち明けようかと思います」

善子「でも、そんなことしたら……」

ダイヤ「入院させられますわね。異変はお手伝いさんに伝わっていると思いますし」

そこから、わたくしの様子がおかしいことがお父様たちに伝わらないとは限らない
むしろ、伝わっていないはずがない。
わたくしが毎日、自分でシーツなどを洗っていたり、
普段は掃除での入室を許可している自室に入らないよう厳命したりしているのだから
明らかにおかしいと思う。

ダイヤ「何度も言っているように、治る見込みがなければ入院する予定です」

善子「私達と会えなくなるとしても?」

ダイヤ「治らないということは、一生涯迷惑をかけるということですから」
0276名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/01(土) 14:06:21.81ID:5HQ3/Fzv
鞠莉「善子、わたし達が良くてもダイヤが辛いのよ」

善子「それは分かってるけど……」

ダイヤ「わたくしも……可能なら善子さんと離れたくありませんが、仕方がありませんわ」

同性である以上、子を成すことは出来ない
周りから善子さんとのお付き合いに関して色々と言われてしまうだろうし、
どちらかと言えば、その矛先は善子さんに向かうことになると思う
わたくしのせいで迷惑をかけることになるのに、
外部からの圧力がかけられるなんて……そんなの、我慢ならない

善子「やらなきゃ収まらないとしたら? 他の誰かにやって貰うの?」

ダイヤ「いえ、自分でどうにかします」

善子「満足できるわけない……っ!」

分かるでしょ。と、善子さんはわたくしを見る。
愛し合っている中で、自分の手ではまるで触れられないものに触れられた
感じることのできない者を感じさせられた。
それを知ったうえで……自力で満足できるかどうかなんて
考えるまでもなく答えは見えている

ダイヤ「ですが……善子さんに愛して頂いたこの体、ほかの誰かに汚されるなんて……」

かわいいと言ってくれた、きれいだと言ってくれた
それは、今のわたくしの体だからであって
他の誰かが染み込んだわたくしの体なんて
かわいいだなんて言われないかもしれない
汚らしい、醜い、イヤらしい……そう、思われてしまうかもしれない。

善子さんはそんな人じゃない。
それは解っている……けれど、自分が自分を許せない。
0277名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/01(土) 14:21:55.05ID:5HQ3/Fzv
ダイヤ「何とかしますわ」

善子「なんとかって……」

ダイヤ「どうにか……」

善子「………」

善子さんはわたくしを愛してくれている
だから、離れ離れになることですら……善子さんを傷つける
きっと、わたくしが苦しいように、善子さんも苦しい

それを嬉しいと思ってしまうのは罰当たり?
それを、幸せに感じてしまうのはいけないこと?
これだけ強く想われていることを喜ぶのは……

ダイヤ「善子さん、ありがとう。愛してくれて」

善子「な、なに……言ってんのよ……」

ダイヤ「今日でダメだったら……諦めましょう」

善子「っ……」

善子さんは何でもしてくれると言った
だから、諦めないで欲しいと言った
けれど……わたくしはだからこそ諦めるべきだと思ってしまった
善子さんを愛してしまったから
善子さんに辛い思いを半永久的にさせるなんて……耐えられない。
0278名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 15:05:08.30ID:+YAN/zgI
たとえ、夜が不安で
そこに至るまでの時間が果てしなく長く感じられたとしても
数時間ということ自体に変わりはない。
嫌でも時計の針は進んで……あっという間に就寝時間が近づく

ダイヤ「………」

わたくしが、諦めると言った時
善子さんはとても辛そうな顔をして、唇を噛みしめていた。
握り拳を震わせて……でも、何も言わなかった。

ダイヤ「好き……」

諦めて欲しくないのに、諦めようと言われてしまった
一緒に居たいのに、一緒には居られないと言われてしまった
愛したいのに、愛されることは出来ないと言われてしまった
善子さんは、わたくしに拒絶された。

これが逆だったら……そう思うと胸が苦しくなる。
どうにかできるのに、その出来ることを続けることを相手が望んでいない。
望んでいないから、それを強要することが出来ない。
愛しているからこそ、出来ない。
0279名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 15:11:16.99ID:+YAN/zgI
ダイヤ「善子さん……」

ぽつりと、呟く。
昨日と同じバルコニーに、善子さんの姿はない。
一足先に、寝ると言って寝室に向かってしまったから。
今なら。
今なら……ここから消えてしまうことも出来るのではと、思って

ダイヤ「……今日は」

引き返す。
今日はまだ、善子さんに愛されたばかり。
これが解決の糸口であることを願って……今日は眠る
けれど、たとえこれが解決の糸口であったとしても、わたくしは……

ダイヤ「入院……しないと」

生涯迷惑をかけるなんて嫌だから。
もし今日、問題がなくて
明日も問題がなければ……その時は。
そう思って、彼女の待つベッドへと向かった
0280名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 15:52:45.98ID:+YAN/zgI
 
 
 
―――
――――――
――――――――


――好きよ。ダイヤ


――――――――
――――――
―――
 
 
 
0281名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 16:12:56.31ID:+YAN/zgI
ダイヤ「………」

ゆっくりと、目を覚ます。
隣ですやすやと眠る善子さんの顔が見える
体の熱は善子さんの体温との相乗効果くらいで、
下腹部から感じる嫌な不快感も、性的欲求も……感じない。

ダイヤ「……っ」

物足りない――。
そう感じてしまうのは、今までが重すぎたからだと、思う。
今日もどんな夢を見たか覚えていない
けれど、昨日までとは明らかに違う夢を見たことだけは分かる

それでいい、それで間違っていない。
そうあって欲しいとわたくしも思っていた。
なのに……昨日までの夢の痕がきれいさっぱり消えてしまったかのように、
この体には余韻のひとかけらもなくて
どうしようもなく――物足りない。

ダイヤ「……善子さん」

名前を呼ぶ。
彼女は何も答えてはくれない
昨日のように、キスをしてくれることもない。
眠っているから、当然

けれど――

善子「っ……んっ……んんっ!?」

奪ってしまう。
欲しくて。
感じたくて。
愛したくて。
0282名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 16:43:06.36ID:Wf/g+NeO
善子「っは……はっ……は!?」

離れるや否や、
飛びのくように距離を取った善子さんは、
動揺しているのか、袖で自分の口元を覆うと
わたくしを見る目を大きく見開いて

善子「な、なにしてんの……?」

ダイヤ「……欲しく、なってしまって」

自分の唇に触れて、正直に答える。
なぜだか照れくささは感じない。
そんなことよりも……唇が欲しい

ベッドの上に手を置くと、ふんわりとした布団が重さを吸収して沈んでいく。
右手をついて、左手をついて
少しずつ、善子さんとの距離を詰める。

ダイヤ「善子さん、もう一度だけ……」

善子「ま、ちょっ……せめて寝起きは――」

慌てる善子さんの手を捕まえて、もう一度唇を重ねる
寝起きの乾いた唇を重ねて……ぺろりと舐めて、もう一度。
善子さんの呻きにも似た声を唇に閉じ込めながら、キスを重ねた。
0283名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 17:14:16.68ID:Wf/g+NeO
そのあと、受け入れてくれた善子さんの寝起きの身体を強く抱きしめて、
体いっぱいに満たされてから……手放すと、
善子さんは夢は大丈夫だったの? と、真っ先に心配してくれた。

念のために履いていたおむつには何も起きていなかったし、
叫ぶように目覚めたり、体に関しての不快感はなかったと、答えた。
ならなんで寝起きドッキリキスなんて……と、善子さんは不思議そうではあったけれど
わたくしがすでに理由を語っていたからか、特に追及はされなかった。

鞠莉「それで、様子見に行ったときに押し倒されてたのね〜」

善子「はぁ……次からはせめて軽く準備はさせてよね。寝起きのキスって意外に不衛生なんだから」

鞠莉「あら〜? 詳しいのね」

善子「そりゃ、ダイヤと初めてキスをした日に散々調べまくったからね」

照れるわけでもなく言い放った善子さんは、
鞠莉さんを一瞥すると、わたくしへと向き直る。

善子「セックスした次の日はキスだけで済んだって考えると……やっぱり正解だったんじゃない?」

鞠莉「その露骨にセックスって言うの止めない? なんだか、調子狂っちゃう」

ダイヤ「セックスだろうと性行為だろうと交尾だろうと、セックスはセックスですわ」

鞠莉「あぁ〜もぉ〜っ」

だから調子狂うのに〜っと、
一人頭を抱えて悶絶している鞠莉さんを横目に、善子さんに目を向けると
彼女もわたくしを見てくれていて……思わずはにかんでしまう。
0284名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 17:52:56.04ID:/Q+G6bYF
鞠莉「まぁとにかく、昨日のアレのおかげで今日は普通だった……?」

普通とは言えないんじゃない? そう呟きながら眉を顰める鞠莉さんは、
そのまま、言えないわね。と自己解決したけれど
解決の糸口になる可能性としては認めてくれるのか、困り顔ながら笑みを浮かべた。

鞠莉「あとは明日の朝、な〜んにも問題がなければオッケー」

ダイヤ「そうですわね……では――」

鞠莉「言っておくけど、今日は善子とのイチャイチャ禁止ね」

ダイヤ「なっ……」

当然でしょう? と、鞠莉さんは怪訝そうな顔つきで、
善子さんも不満気で、とても残念そうながら渋々頷いてしまう。

善子「これで私達が色々したら、解決したかどうか分からないじゃない」

ダイヤ「ですが……」

善子さんと離れたくない。
善子さんを奪われたくない。
リズミカルな心臓の音が、早さだけはそのままに一際大きく跳ねるのを感じて胸を押さえる。
痛くて、苦しい。
このまま血を吐いて死ぬのではないかと思うくらいに。

ダイヤ「っ……」

善子「ダイヤ?」

ダイヤ「いえ……そうですわね。そう……仕方がありませんわよね」

二人は正しい。間違っていない。
だって、わたくしの病気が本当に治ったかどうか……知る必要があるんですもの。
だから、善子さんとのお別れは、仕方がないこと。
そう考えて、出来る限りの笑みを浮かべる。
0285名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 21:23:43.85ID:24BnwQMT
善子さんと鞠莉さんと別れて自宅へと戻り、
今日も向こうに宿泊する―理事長と生徒会長の用事を理由に―ため、
自室で準備をしていると、扉を叩く音がして……ルビィの声が聞こえた。

ルビィ『お姉ちゃん……お帰り』

ダイヤ「ええ、ただいま」

ルビィ『体の具合は……大丈夫なの?』

ダイヤ「鞠莉さんのところでゆっくり休ませて頂いたから……大丈夫よ」

正直、今のわたくしは精神的に余裕がない
大丈夫などとどの口が言うのかと思うけれど、
大丈夫と言っておかないと、外出させて貰えなくなってしまうだろうから。
ルビィはならよかった。と、聞こえては締まったけれど、独り言ちて

ルビィ『ねぇお姉ちゃん……部屋に入っても良い?』

とても慎重に、ルビィは切り出してきた。
先日は怒鳴るようにして追い払ってしまったし、
わたくしに何か隠さなければならない悩みがあることも察しているルビィは、
考えに考えて、入っていいかどうかを聞いてきたに違いない。
そう、逡巡して――

ダイヤ「良いわよ。大丈夫」

わたくしはルビィを招き入れることにした
0286名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 21:52:27.99ID:LfjItkhg
ルビィ「ごめんね、こんな時に」

ダイヤ「ううん、大丈夫ですわ」

部屋に入ると、ルビィはきょろきょろと周りを見てから
わたくしのことを心配そうに見つめて、用意した座布団に座る。
しっかりと正座をして見せる辺りに、ルビィの本気が見て取れる。
それで? と、促すと、ルビィは背筋をぴんっと伸ばしてわたくしをまっすぐ見た

ルビィ「お姉ちゃん、善子ちゃんと付き合ってるの?」

ダイヤ「えっ……?」

思わず……それはもう、とても間の抜けた声が漏れた。
手で口元を隠すことよりも目を見開いてしまって、
けれど、ルビィには二言目はなく、視線を逸らす素振りさえもなくて。
単刀直入とはまさにこのことだと、身をもって知った瞬間だった。

ダイヤ「えぇっと……ルビィ、それは……」

動揺が隠せなくて、しどろもどろ
酷くみっともない姉だと自分でも思うほどなのに
ルビィと言えば、居住まいを崩すことさえせずに、真剣で

ルビィ「ルビィが、善子ちゃんとかお姉ちゃんのこととか色々知ってるのは知ってるよね?」

ダイヤ「ええ……」

ルビィ「お姉ちゃんの問題は、多分……ルビィじゃどうしようもないことだって思ってるから聞く気はないよ」

残念だけどね。と零したルビィは心底悲しそうな表情で
けれどすぐに、表情を正して、まっすぐに思いを打ち明けてきた。

ルビィ「でも、もしね。もしも……それが善子ちゃんとのお付き合いに関してだったら。ルビィは。ルビィはね、応援するよ」

違うかもしれないと思っているように感じる声
けれど、もしもそうだったら……という可能性を考え、本心から述べている言葉。
そんな風に、わたくしには感じられた。
0287名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/01(土) 21:53:38.72ID:LfjItkhg
回線が酷いのでまた後程
0292名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/02(日) 18:39:04.38ID:yJqFPm04
ルビィは、曜さん達の戯れのようなわたくしと善子さんに関してのうわさ話に対して、
そんなことはない。と、怒ったと聞いている。
それなのに、わたくしにはそれを応援する……だなんて。
それは、わたくしが酷く悩んでいるから、茶化されていることが気に入らなかったから。ですわね

ダイヤ「なぜ、わたくしが善子さんとお付き合いをしていると?」

ルビィ「だって、あんな……」

ルビィはいったん言葉を切ると、
不意に目を逸らして、唇をもどかしそうに歪ませてため息をつく
して当たり前の瞬きが、スイッチを切り替えてしまったかのようにルビィはまたわたくしを見る

ルビィ「あんなおっきな悲鳴を上げるような何かで、真っ先に善子ちゃんに頼ったよね」

ダイヤ「そう、ですわね……」

ルビィ「それに対して善子ちゃんは三日間、付きっ切りで……特別な感情がなかったらそこまでしないよ」

それは多分、わたくしが善子さんに。と言うよりは、
善子さんがわたくしに……と言う意味合いでの言葉だったのだろう
ルビィはそれに。と、付け加えて

ルビィ「ルビィを拒絶するくらいのことを話せちゃう相手だもん。頼り切っちゃう相手だもん。特別だって嫌でも分かるよ」

真っ先に頼ったのは、善子さんが夢に関して詳しいのではなんて言う期待があってのこと
けれど、それ以降も縋るように求め、協力をして貰い続けたのは
善子さんが汚らしい……ううん、いやらしいわたくしを受け入れてくれていたから
その事に精神的な安寧を感じ、救われ……惹かれていたから。
0293名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/02(日) 19:06:12.04ID:yJqFPm04
ダイヤ「……お付き合いは、していませんわ」

ルビィ「そ、そうなの?」

ダイヤ「ええ……ですが、その、可能であれば……お付き合い、したい……です」

それが許されないことだって言うのは、百も承知している
ルビィが応援してくれたとしても、
お父様たちが許してくれるわけがない
世間が許してくれるわけがない。

けれど……叶うならば、善子さんとお付き合いしたいと思う
別に毎日、性に乱れたいだなんて思わない
ただ、彼女と一緒に居られることが出来たら……

ルビィ「良いんじゃないかな」

ダイヤ「いいえ、簡単なことではないの」

ルビィ「すっごく難しいとしてもだよ。お姉ちゃんがそうしたいならそうしたらいいと思う」

ダイヤ「違うの……わたくしの抱えてる問題が、善子さんを永遠に苦しめることになってしまうから」

だから、付き合えない
善子さんが好きだからこそ付き合えない。
迷惑をかけ続けるなんて言う酷い話が、許せない。

ルビィ「善子ちゃんは、それを嫌だって言ったの? お姉ちゃんに迷惑かけられ続けるなんて嫌だって」
0294名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/02(日) 19:44:49.51ID:yJqFPm04
わたくしが首を横に振るよりも早く、ルビィはそんなはずないよね。と、否定する。
相談を始めた火曜日
続いての相談をした水曜日
鞠莉さん達を巻き込んだ木曜日に泊まり込んで
殆ど終日愛し合った金曜日
そして、今日……つきっきりの三日間、そうでないのも含めれば五日間も一緒に居る

それだけ付き合ってくれる相手が、
特別な感情を抱いてくれているだろうあの子が、
嫌がるはずがないと……ルビィは確信している。

ルビィ「善子ちゃんが嫌なのは、迷惑をかけられることなのかな。それとも、お姉ちゃんが辛いことなのかな」

ダイヤ「それは……」

ルビィ「ルビィはお姉ちゃんが辛いことが嫌だよ。迷惑なんていくらでもかけてくれたって良い」

ルビィはいっつも迷惑かけちゃってるもんね。と、
申し訳なさそうにしつつも明るい……罪悪感を抱いていなさそうな声色で言う。
照れくさそうな表情
頬を掻く指
いつもの愛らしい妹だ

ルビィ「きっと、善子ちゃんも同じだと思う。好きだからこそね」

ルビィは悲しそうに目を伏せる。
わたくしが辛いことが嫌だと言ったルビィを、
わたくしは今回の件に関わらないようにしている
そう……そう……そうなのね、ルビィ

ダイヤ「貴女と同じように……わたくしが離れることで善子さんも悲しい思いをすると」

ルビィ「悲しくて、辛くて……苦しい。だよ。お姉ちゃん」
0295名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/08/02(日) 20:12:07.04ID:/RnokoQP
ルビィは、泣きそうになりながら教えてくれる。
自分は力になれないことを知っている
だから、頼って貰えないことが悲しくて、力になれないことが辛いと。

けれど善子さんは力になれる何かがあるはずで
だからこそ……
頼って貰えないことが悲しくて、
力になれることがあるはずなのに、力になれないことが辛くて
苦しみ続けるだろうと分かっているから、苦しくなる。と。

ルビィ「ルビィは良い。でも、善子ちゃんは頼ってあげて……一度でも頼ったなら、最後まで」

ダイヤ「……ルビィ」

ルビィは涙をこぼす。
自分のことと善子さんのこと
溜まりに溜まった想いが伝うのを……わたくしは見てしまった。

ルビィ「善子ちゃんの気持ちを知ってるなら、お姉ちゃんが善子ちゃんを好きなら。お願い」

善子ちゃんを苦しませないで。
ルビィはそう言うと、自分の目元を袖で拭ってお願い。と、もう一度
そうして、部屋を出ていく

ダイヤ「……っ」

飽きらめると言った時、善子さんも同じような顔をしていた。
ルビィも善子さんもわたくしを想ってくれている
想ってくれているからこそ……わたくしが諦めることに傷つく。

ダイヤ「けれど……」

けれど、わたくしが黒澤家の長女として
その名をしっかりと継いで行かなければならない限り
たとえ、善子さんの協力でこの病気を抑え込めたとしても……彼女と一緒にはなれない。
0296名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/02(日) 20:54:23.19ID:0NaaDQXl
準備を終えた後、
ルビィと話をしないまま、わたくしは再び鞠莉さん所へと向かった。
善子さんはいないけれど鞠莉さんはいて、
戻ってくるのが早い。と、少し驚いた様子だった。

鞠莉「善子とデートでもしてくるって思ったのに」

ダイヤ「貴女が、そういうことはするなと言ったのでしょう?」

鞠莉「イッェーッス……でも、守るとは思わなかった」

鞠莉さんは飄々とした声色で言うけれど
その瞳はわたくしを見抜こうとしているかのように、鋭い。
本当に疑っている。
わたくしを、善子さんを。

ダイヤ「どうし――」

鞠莉「守って貰えなければ困るから」

ダイヤ「……」

本当に困るから。と、鞠莉さんは首を振る。
わたくしが善子さんと交流を重ねることで満たされて、
本当に解決したのかどうかが分からなくなってしまう。
それが、鞠莉さんの困ること。

ダイヤ「大丈夫ですわ。良く、分かっています……」
0297名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/02(日) 21:25:31.77ID:ow7rSN8M
わたくしだって、それが解決することが望ましい
そうでなければ、将来が潰える
黒澤家の長女としてどころか、
普通の人として生きることもままならない。
だから……解決して欲しい。

――ほんとうに?

ダイヤ「……解決、しないと善子さんに迷惑をかけ続けることになってしまいますから」

鞠莉「あら〜? わ・た・し・は?」

ダイヤ「ふふっ、そうですわね」

残念そうな声なのに、
面白がっているように感じる鞠莉さんに苦笑しつつ答える
鞠莉さんにも多大なご迷惑をおかけしている。
この部屋だって本当は鞠莉さんのお部屋
それを、わたくしと善子さんの為に一部貸し出してくれているし、
あんなことをしたのに、追い出さないでくれた上に協力を続けてくれている

鞠莉「まったく、善子のゾッコンね」

ダイヤ「ええ……ゾッコン。ですわ」

胸に手を当てる
善子さんのことを考えると、ドキドキして
今日は可能な限り離れていないといけないということに……苦しくなる。

だから、常に密着していられる理由である今が損なわれることを……本当は望んでいないのでは?

ダイヤ「っ」

鞠莉「ダイヤ?」

首を振る。
大丈夫、少し立ち眩みがしただけ。
そう言って、誤魔化した
0298名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/02(日) 21:57:22.57ID:5+dgVDBo
夕方になると善子さんも帰ってきて、
けれど、善子さんはわたくしに会おうともせずに、別室で待機しとく……とだけ言って籠ってしまった。
何かあったら助けられるようにとわたくしと一緒に宿泊することにはなっているけれど、
当然のように部屋は別で……可能な限り接触をしないつもりらしい

それだけ、善子さんは今回のことに賭けているのかもしれない。
わたくしが苦しんでいるから
わたくしがこれ以上辛い思いをしなくていいようにと。

ダイヤ「でも……寂しい……」

善子さんに触れられないことが、
善子さんの姿を見られないことが
善子さんの声を直接聞くことが出来ないことが

この気持ちがあってなお、夢を見なくて済むのかどうか
それが重要なことは解っている
だから我慢するけれど、胸の痛みがそれでなくなるわけではない。

解決したら、わたくしは元通りになる。
善子さんと逢瀬を重ねられても、ゆくゆくは別れることになり、
誰かと結婚し、抱かれ、子を産む

ダイヤ「それが、わたくしが本来歩むべき道のり……」

善子さんはそれを望んでいるのだろうか
わたくしが、善子さんとは別の誰かと生きていくことを。
そう考えて……唇を噛む。
そんなことは望んでいない。そう思いたくて。
0299名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/08/02(日) 22:45:55.16ID:/RnokoQP
善子「なんか死にそうな顔してるけど、大丈夫なの?」

ダイヤ「……大丈夫です」

鞠莉「そうは見えないんだけど……一回くらい、キスする?」

ダイヤ「水の泡になるので、遠慮させてください」

基本的には離れ離れでも、
夕食だけは一緒に取ろうという話になって、対面した善子さんと鞠莉さんは、
わたくしをとても心配そうに見ている。
死にそうな顔と言うけれど、二人がそう言うのならそうなのだろうと……頬に触れる。

善子さんが、わたくしがあんな将来を生きていくことを望んでいる。
そう考えたいせいだろうと、察しはつく。
解決を望んでいるからと言って、そうではないことくらい分かるのに、
わたくしの定められた未来が、悪いことばかり考えさせる。

ダイヤ「……善子さん」

善子「ん?」

ダイヤ「善子さんは、わたくしと……その、どんな問題があろうと添い遂げてくださるのですか?」

善子「何よ急に……本当に、大丈夫?」

善子さんは怪訝そうな顔つきで言って
昨日も話したでしょ。と、困ったように笑う。
善子さんは想像のつく限りの問題ならば、関係なく添い遂げてくれると言った。
そう……言って、くれていたのに。
0300名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 07:43:29.22ID:wcVSeIiH
ダイヤ「……っ」

泣いてしまう。
疑ってしまったことが、申し訳なくて。
弱い、本当に心が弱い。
こんなにも耐えられなくなってしまうなんて、
先週の自分は思いもしなかっただろう。

鞠莉「落ち着いて、ダイヤ。善子は大丈夫よ。貴女を本当に愛してるわ」

ダイヤ「ごめんなさい……っ」

昨日、善子さんは話してくれた。
なのに、わたくしはこんなことで悩んでしまって、疑ってしまって、
それを、口にまでしてしまって……。

ダイヤ「ごめんなさい善子さん……ごめんなさい……」

善子「大丈夫だから……ダイヤ、落ち着いて」

変な考え、悪い考えばかりで、
つい昨日の話すら忘れてしまうほど、頭の中が混濁している
もう、自分は壊れてしまっているんじゃないかと……不安になる。

ううん、壊れている。
朝を迎えるたびに見る、
わたくしの言動に対しての善子さん達の反応でそれは明白だった。

ダイヤ「善子さんと……一緒になりたい……」

一緒になれば
善子さんと添い遂げることが出来れば
わたくしはきっと、これ以上壊れることはない
壊れたくない。自分を失いたくい
善子さんを愛したいという気持ちを……奪われたくない
0301名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 08:54:35.83ID:Sz/HjAa7
鞠莉「今日だけよ。ダイヤ」

今日だけ我慢してくれたら、
あとは好きにしていいから。と、鞠莉さんは優しい顔をする。
わたくしのことを案じて、
それでも、今日の隔離だけは絶対にしなければいけないと。

けれど違う。
今日、これで解決したら
わたくしは善子さんと添い遂げることが出来なくなる。
黒澤家の長女としての役割を担わなければならない限り、わたくしは自由恋愛を許されない。
それは、異性に限らないし同性なんてもってのほか。

今日、これで解決しなかったとしても
両親に病気のことを黙っていなければ、善子さんと一緒に居ることは出来ない
けれど、黙っていればわたくしの長女としての役割も残り続けて
彼女との恋愛を許されない。

しかし、黙っていなければ
わたくしは入院をさせられることになって
結局、善子さんとは離れ離れになってしまう。

ダイヤ「……今日だけ、だとありがたいのですけど」

善子「ダイヤ……」

ダイヤ「どちらにせよ今のままでは、わたくしは……善子さんと引き離されることになりますわ」

きっとそうなる。
そうなることが分かっているのに、どうしようもないことが悲しくて
わたくしは、失笑してしまう。
善子さん達の心配そうな声が聞こえる
聞こえるだけで……いつか聞けなくなる最悪のことを想像する。

ダイヤ「ふふっ……ふ……っ……うぅ……」

そうしてまた、涙が零れ落ちる。
0302名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/03(月) 10:05:06.19ID:om8pNz0d
一人きりのベッドの上で、善子さんが使っていた枕を抱きしめる。
替えを断って貰った枕には、まだ……善子さんが感じられるようで
なぜだか、喪失感を感じて目頭が熱くなる。

相当、心に来ていると鞠莉さんが悲しそうに言ったのを思い出す。
夢に追い詰められて、その影響を受けてしまって
救ってくれる善子さんを愛してしまって……けれど、添い遂げることを許されなくて

ダイヤ「………」

死にたい。
善子さんへの愛情と、愛して貰えた記憶を持ったまま
夢に悩まされず、奪われる恐怖に怯えず、幸せになりたい。

ダイヤ「……けれど」

けれど、善子さんが悲しい思いをする。
ルビィの願いを無碍にすることになってしまう。
だから、そんなことは出来ない。
それもまた、許されないこと

ダイヤ「善子さん……」

目を閉じれば見える分かれ道は、どちらも最悪の未来に繋がっている。
どうしたらいいのか分からない。
善子さんと一緒に居たいのに、ずっと、愛し合っていたいのに。

ダイヤ「助けて……っ」

善子さんを抱くように枕を抱きしめる
一人きりには広くて……ただただ、寂しさだけが感じられた。
0303名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/03(月) 10:29:13.80ID:Pg3Rxm3H
 
―――
――――――
――――――――

ダイヤ「っ……」

額に当たる細やかな水滴の感触に目を覚ます。
天井をゆらゆらと揺れる頼りない電球に照らされる天井は、
薄汚れていて……とても自分の部屋だとは思えない。

ダイヤ「ぅ……?」

体を起こそうとすると両手首が引っ張られ、腰を押さえつけられる感覚に阻まれてしまう。
布団でもベッドでもない
病院の診察室の寝台よりも固い何かに拘束されていると、今更に気づく

何があったのか覚えていない。
いつものように学校に行って、みんなと過ごして、生徒会の仕事を片付けて……帰路についた
そして……
そして? どうなった? と、考え始めたところで、
わたくしの足の側にある出入り口らしき扉が開いた
重厚な金属でできた扉は、錆びついた重々しく耳障りな音を響かせて

「あぁ、目を覚ましたんだね。ボクの愛しい人」

聞き覚えのない声だった。
子供……あるいはまだ若い男性の声。
背丈は鞠莉さんよりも少し高めに見えるその人は、
顔を隠すでもなく、近づいてきて……子供だと分かった。

ダイヤ「あ、なた……は?」

「ボクはダイヤさんの恋人になる予定の人かな。いや、なって貰うの方が正しいかな?」

彼は照れくさそうに、そう言った
0304名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 10:43:40.63ID:r51QtKIV
わたくしは彼に誘拐され監禁され今に至る。と言うのは分かった。
目的は明快……というより普通に自白してくれましたが、
わたくしを自分の恋人にしたい。ただそれだけ。

ダイヤ「意味不明ですわね。わたくしが誘拐しあまつさえ監禁している貴方なぞを恋人にするなどありえませんわ」

「酷いこと言うなぁ……でも、そうやって強がってるダイヤさんの顔も、ボクは大好きだよ」

ダイヤ「……気色悪い」

「そうやって嫌悪してても、ダイヤさんはとっても綺麗なんだ。ほんと、凄いや」

恍惚とした表情を見せる少年は、とてもではないけれど……見ていられないほどに不気味だった。
嫌悪していると悟りながらも綺麗だと言い、
ましてや、嬉しそうな顔をするだなんて。
気色悪いという侮辱に対して激高することさえもない……異常者。

ダイヤ「わたくしは、貴方を知りませんが……?」

「ボクは良く知ってるよ」

彼はそういうと、自慢げに語る。
浦の星女学院三年で生徒会長、スクールアイドル部……Aqoursに所属していること。
身長体重、スリーサイズ……好き嫌い。
そして。

「朝は何時に起きて、何時に家を出るのか
 部活や生徒会の仕事の有無で変わる下校時間、何月何日、何曜日がもっとも遅くなりやすいのか。とかもね」

沢山調べたんだよ。と、彼は褒められるのを待つ子犬のような笑顔で語る。
スクールアイドルとして活動することで、多少の個人情報は流出している。
けれど、その情報以上のことを……彼は知っていた。
それはつまり、ストーカー……ということの証明に他ならない。
0305名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 11:05:15.20ID:r51QtKIV
ダイヤ「すぐに捜索願が出され、警察が来ますわよ」

「そうかな。すぐに取り合ってくれるといいね」

ダイヤ「わたくしは一応、この地でそれなりに有力な黒澤の娘ですわ。ただの家出でしょう。なんて放置されるとでも?」

権力を振りかざすなんて言うのは嫌いな話だけれど、
この際は致し方がないし、事実。
身代金目的の誘拐もあり得る家庭のため、
迅速に動いてもらえるのは、間違いない。

「そうだろうね。でも、ボクはダイヤさんの両親に金を出せ。なんて間抜けな連絡したりしないよ」

わたくしの下校時刻は……夕刻過ぎ
どちらかと言えば暗く、人気はなくなっていた
バス停までの間で襲われたのなら、目撃者も……

「ボクが欲しいのはダイヤさんであってお金じゃないからね」

ダイヤ「それでも、見つかりますわ」

「う〜ん……そうなんだよね。だからどうしようか迷ってるんだよねぇ」

ダイヤ「そんなの、迷わず諦めれば良いのでは? 諦めて、解放しなさい」
0306名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 11:21:10.68ID:Z9XozDp8
それで解放してくれるような人ではないと分かり切っているけれど、
言わずにいられなくて口にしてしまうと、
彼は違うよ。違う違う。と、とても楽しそうに首を振る。
わたくしの発言に対して、彼は全く怒る気がないのかもしれない。

わたくしがどれだけ罵倒しようと、侮辱しようと
彼の心には傷一つつけることは出来ず
それどころか、楽しませてしまうのではないか……という不気味さに体が震える

「ボクが迷ってるのは、ダイヤさんの体をどこまで軽くするかなんだ」

ダイヤ「か、るく?」

「そう。誘拐は頑張ったけど毎回同じようにして隠したりするのは辛いから、少しくらい軽量化すべきかなって」

彼はそういうと、鎖でつながれている足首から、ふくらはぎ……太腿へと手を滑らせて、
二の腕から、手首……指先までに触れ、握る。
その手つきは厭らしさに溢れ、気持ち悪かったけれど、
そこはかとない愛情が感じられて……顔を顰める

「ダイヤさんの手足、切り落とそうかと思ってるんだ」

ダイヤ「は……ぇ、なっ、なに……言って……」

「ボクもね、こんなに綺麗で魅力的な部分を落としちゃうなんてどうかしてると思う。でも、仕方がないよ……」

彼は悲しそうに眉を顰めて、
受け入れられないと言わんばかりに首を振る
俯きがちになってしまう彼の影の差した瞳には、本当に悲しさが見えた。
0308名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 11:32:50.01ID:Z9XozDp8
「そうしないと、ダイヤさんをデートにも連れて行けない」

ダイヤ「り、理解できませんわ……なぜ、どうして?」

「正当な手段じゃ、ボクがダイヤさんと付き合うことも友達になることも出来ないからだよ」

ダイヤ「そんなこと――」

「分かるんだよ。ボクとダイヤさんは陰と陽。なにより、顔なんてボクは下の下だから」

顔だけで判断しない人だって信じている。
けれど、それでも無理だと分かるくらいには釣り合わなくて……と、彼は呟く。
それは紛れもない彼の本心
わたくしを誘拐し監禁するにまで至った理由の一つ。

「だから、ボクはダイヤさんを連れてきた。でも、ボクとダイヤさんの思い出のすべてがここで終わるなんてつまらないじゃないか」

デートがしたい、
色んな所に出かけて、買い物を楽しんだりなんだりして、
とても楽しい結婚生活をしたいんだと。彼は輝かしい瞳で夢を語った。

ダイヤ「そ、それならわたくしに自主的に行動させればいいのでは? そう……脅せばいい」

「ううん、それだと逃げられる可能性があるし、僕の手が届かないところに行けちゃうよね? それは駄目」

なによりね。と、彼は続ける

「手足でもなくならなきゃ、ダイヤさんと結婚したい相手は減るどころか増える一方だし」

ダイヤ「手足のなくなったわたくしを、貴方は一生支えていくと?」

「当たり前だよ。ボクの好きは手足に留まらないからね。たとえ障碍者になっても、ボクはダイヤさんを愛し続けるよ」
0310名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 11:46:50.05ID:Z9XozDp8
最初からもう分かっていたことだけれど、この人は異常者だ
わたくしの話なんて聞く気がない。
問答はするけれど、それで自分の考えを改める気がまるでない

犯罪を犯すことに躊躇がなく、
目的のためならわたくしを傷つけることさえ厭わない。
なのに、そのことを悲しんだり辛さを感じる程度の心がある。

ダイヤ「狂ってる……」

「そうだね。ボクは狂ってるよ……だって、そうでなきゃボクはダイヤさんと結婚できない」

ダイヤ「変わろうとは思わなかったのですか? 自分を磨き、せめて友人となれる程度の努力をしようと思わなかったのですか?」

「思ったし、出来ることは頑張った……せめて太らないように気を付けて、せめて汚くならないよう手入れを頑張ったり」

勉強も頑張った、運動も頑張った、好きなものを調べ同じものを好きになれるよう努力し
そこから推測できる興味がありそうなものを調べたりもした。と、彼は空しそうに話して

「でも、頑張れば頑張るほどもっと上の人に見えてくる。一生かけても手に入れられない人に思えて仕方がないんだ」

ダイヤ「だからってこんなこと……」

「大丈夫だよ、ダイヤさん。ダイヤさんは汚さない。ただ天使の翼を削ぎ落すだけなんだ」

翼が無くなっても天使は天使。ボクはそう思ってるよ。と、彼は笑った。
0311名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 11:57:33.39ID:Z9XozDp8
ダイヤ「っ……考え直して……」

話が通じない。
だとしても、考え直してくれることを願わずにはいられなかった。
そうでなければ困る、そうでなければ
二度と誰かと手を繋ぐことも、触れることも出来なくなって
二度と誰かと並んで歩き、踊ることも出来なくなってしまう。

彼はそれでもかまわない。
そんなわたくしでも愛し、寄り添い続けるという誓いを立てている。
だから安堵する――なんて、ばかげた話はない

ダイヤ「お願い……わたくしを愛してくれるというのなら、どうか良識のあるあなたのままでいて」

「それはボクがダイヤさんを諦めないといけない願いだよ」

ダイヤ「真っ当に生きている貴方を、わたくしが愛する可能性はないと?」

「ないよ。だって、真っ当なボク以上にダイヤさんの好みに合う人は大勢いる。なにより、どうせ見合いでもあるでしょ?」

両家の息女なら、無きにしも非ずな婚姻話。
そうでなくても、優れた才覚もなく見た目も釣り合わない相手なんて、
両親が許可する可能性は万に一つない。そんな、彼の見解は間違っていない。

ダイヤ「ストーカー……していたなら話も聞いたのでしょう?」

「高校卒業後は、お見合いして貰うって話でしょ? 知ってるよ。まったく、どうにもならないほど優良なお相手だったね」

ダイヤ「会ったのですか……?」

「当然だよ。親の好みに合わせる目的として見ておかなきゃダメだと思ったんだ」
0312名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 12:12:45.05ID:Z9XozDp8
わたくしでさえ、そういう話があるから。という程度だったにもかかわらず、
彼はわたくしがお見合い予定であろう男性を探し当て、調査をしていたということになる。
それが事実であるなら……彼の行動力は、恐ろしい。という話ではない。

そもそも、こうして誘拐監禁されている時点で、
彼のわたくしに対する執着心は常人のそれではなくて
狂っている。と言うことを自覚しているだけに……その深刻さは異常者をも超えているのかもしれない。

「……だから、ごめんねダイヤさん。手足は置いていくよ」

ダイヤ「やめて、お願い……」

「大丈夫、ダイヤさんのことはボクが最後までちゃんとお世話するから」

お風呂も、食事も、着替えも、トイレも
どこに行くのだって、何をするのだってすべて手伝うよ。と、
彼は、とても申し訳なさそうに言う。

そんな彼の頬には涙が伝っていて
本当に、本心から悔やんで、悲しんでいるのだというのが良く分かってしまう。
泣いても叫んでも、怒り狂っても、暴れても
何をしても無駄だと分かり切っているからか……わたくしは叫ぶ気力もなかった。

「泣かないでダイヤさん。大丈夫、少しだけ眠っててくれれば……痛みもないから」

ダイヤ「っ……」

彼はとても優しく、頬を拭ってくれる。
異常者、狂人……犯罪者
そう思えないほどに穏やかな彼は、わたくしの頬を拭ったその手で、注射器を取り出す。
0313名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 12:27:48.22ID:jkfHNs8g
「協力してくれるお医者様に頼んで、これだけは僕にやらせてくれることになったんだ」

ダイヤ「素人の貴方が……」

「素人だけど、お医者様に見て貰って凄く……頑張ったんだよ。これなら大丈夫だって合格点を貰うくらい」

彼は照れくささを感じさせる笑みを浮かべると、
麻酔だけはボクがやりたかったんだ。と、繰り返し言って、
わたくしの腕に触れる

「ダイヤさんが最後に見るのがボクであって欲しいから。最初に見るのがボクであって欲しいから」

ダイヤ「ふざけた、ことを……」

けれど、わかる。
彼はふざけてなんていない。
全て本気で行っているし、言っている。
だから、絶望感を上回る諦念に、暴れる気力も奪われている

「ダイヤさん……」

ダイヤ「っ……」

「……柔らかいね。ダイヤさんの唇」

彼は身勝手にキスをして……そして、絶対に動いたら駄目だからね。と、腕に針を刺す。
抵抗してもしなくても助からない。
そんな状況で動けるわけがなくて……注射器の中身がだんだんと減っていく姿から目を背けた。

「目が覚めたら、まずはご飯を食べようね。ダイヤさんが好きな抹茶プリンも用意しておくよ」

ダイヤ「……貴方のことなんて、絶対に。絶対に……愛したりしませんわ」

「そうかもしれない。けど、きっとダイヤさんの心は動いてくれる。だって、ボクがいなきゃ……ダイヤさんは何もできなくなるんだから」
0315名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/08/03(月) 12:36:06.28ID:Ssdfv/Yu
そう。手足を奪われたら……わたくしは自分のことですら何もできない
まるで人形のように、手入れして貰わなければならない
だからきっと……彼が言うようにわたくしの心は動かざるを得ない

見捨てられないように、少しでも優しく愛情を持って接して貰えるように。
でも、それは愛してしまうのではなく、
依存してしまう。と言うのが正しいように思えた。
けれど、彼はそれでもいいと思っているのかもしれない

ダイヤ「……さい、てい……」

「そうかもしれない。でも、大丈夫だよ。その罪の分、ボクはダイヤさんに尽くすから」

ダイヤ「………」

尽くされたって嬉しいわけがない。
彼がそうしなければ、わたくしは今までと変わらず、普通に生きていけたのだから。
だんだんとぼんやりしていく思考、歪んでいく視界
少しずつ失われていく、二度と戻らないだろう感覚に思わず涙が零れる

彼はそれを、やはり優しく拭って

「愛してるよ、ダイヤさん」

心からの言葉を、囁いた。
0316名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 12:48:11.43ID:xtsSL3N1
 

――――――――
――――――
―――

ダイヤ「ぁ……」

目を覚ますと……頬に触れる空気の異質さに自分が泣いているのだと気づく
下腹部の違和感はなく、嫌なにおいもしない。
失禁してしまったような様子もないので、問題はない。
そう……安堵しかけてようやく、自分の両手足の感覚がないのだと分かった。

涙を拭うための手が動かない。
体を起こすための腕が動かない。
様子を見るために布団を蹴飛ばそうにも、足さえも動かない。

ダイヤ「善子さん……善子さんっ!」

必死に叫ぶ
ベッドの上で一人、別室で寝ているであろう善子さん達に届くように。

ダイヤ「お願いっ! 鞠莉さん……善子さんっ!」

寝起きで、たまたま動かない可能性もあったけれど、
そうではなく、
叫び声に気付いた二人が駆け付けてくれるまでの数分間が経過しても、
両手足の感覚は一切なく……動かせないままだった。
0317名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 13:11:17.43ID:xtsSL3N1
鞠莉さん達の通報で救急搬送され、
診察を受けたわたくしは、
頭部などへの外傷は一切なく、昨日まではまるで普通だったこともあり、
心理的な要因によるものではないか……という話があった。
その心理的な要因による障害が、転換性障害と呼ばれるものらしい。

宛がわれた病院の個室
検査中にとんできてくれた両親とルビィ達には、ごめんなさい。としか言えなかった。
自分でも何が何だか分からない。
今まで、ただエッチな気分になっていたり、言動に夢の影響があるだけで、
何かが出来なくなるなんてことは、一切なかったから。

なぜ娘がこんなことに……そう、病室の外で鞠莉さんと善子さんが酷く叱責を受けている声が聞こえてしまって、
お二人にも、申し訳ない気持ちばかりで……

ダイヤ「鞠莉さん達は悪くありません……ただ、わたくしの心が弱いばかりに……」

「その原因を作ったのでは――」

ダイヤ「いいえ、お二人はむしろ。こうならないようにと助けてくださっていたのです……」

色々なことを考え、場所を提供し
必要であれば自分の身を持って協力してくれた。

なぜ相談しなかったのかという両親には、
自分の体の異常が失禁や性的欲求となって出ていたことを正直に話すと、
両親は黙り込んで……責めてしまったことを謝罪した。
0318名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/03(月) 13:25:02.63ID:LxmA/dqh
体の異常の始まりは月曜日から
ただ、精神的な問題はその日以前までは何もなかったはず。
だけれど、今は、両手足が動かせないくらいにまでなってしまっていて……
お医者様は、数週間で戻る可能性もあるとお話してくれていたけれど
わたくしは、もう二度と動かせないのではないか。と、思っている。

それは、事情を知っていた鞠莉さんと善子さんも同じ意見で、
わたくしの体がまた元通りになることはないかもしれない。と、口にはせずに目を伏せていた

ダイヤ「お父様、お母様……申し訳ありません」

もう、土下座することも出来ない。
まるで口先だけの謝罪のようにしかならない。
黒澤家の長女としての役目なんて、担えるわけがない。

自分のことですら誰かに手を借りなければならない障碍者なわたくしが、
どうして、そんな大役を担えるというのか
どうして、そんな役に立たなくなった娘にすべてを委ねられるというのか。

婿を迎え入れればいい。
それだって、こんなわたくしを夫としてくれるような奇特な方がいなければ成立しない。
言ってしまえば、わたくしはお荷物になってしまった。ということ

善子「そんな悪いように考えてないで、突然なったんだから突然治るって考えときなさいよ」

ダイヤ「ふふ……無理を、言わないでください」

善子「ダイヤ……私は、私はたとえ一生このままだとしても、絶対に、傍に居るから」

善子さんは、目の前にわたくしの両親がいることなんて気にせずに、
わたくしの手を取り、そう誓ってくれる。
それはただの友人には程遠く……とても異質に見えただろうと、感じた。
0320名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/03(月) 20:26:01.51ID:1p4/bklt
また埋め立てですか? が表示されるようになったので、また後日
解除されなければ終了
0322名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/03(月) 20:52:00.54ID:CR8SZQBO
オチが気になりすぎて眠れないので完結させて欲しいです…
一先ずお疲れ様です
0323名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/03(月) 21:15:58.36ID:LgJ/G2lG
あれなら次立てたりしてでも続き書いて欲しい
最後まで見たい
ほんとにダメならこれからと終わりまでのシナリオを大まかにでも
ここまで書いてくれてありがとうございます
0325名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/04(火) 08:41:01.38ID:2ZFt284P
>>318 修正

体の異常の始まりは月曜日からだった。
ただ、精神的な問題はその日以前までは何もなかったはず。
だけれど、今は両手足が動かせなくなってしまうほどの影響が出ていて
お医者様は数週間で戻る可能性もあるとお話してくれていたけれど、
わたくしは……もう二度と動かせないのではないかと思っている。

それは事情を知っていた鞠莉さんと善子さんも同意見で
わたくしの体がまた元通りになることはないかもしれない。と、口にはせずに目を伏せていた

ダイヤ「お父様、お母様……申し訳ありません」

もう、土下座をすることも出来ない。
頭を下げる……そんなことですらできない。
まるで口先だけの謝罪のようにしか思えないような姿……。

黒澤家の長女としての役目なんて担えるわけがない。
自分のことですら誰かに手を借りなければならない障碍者になってしまったわたくし。
どうして、そんな大役を担えるというのか
どうして、そんな役に立たなくなった娘にすべてを委ねられるというのか

婿を迎え入れればいい。
それだって、こんなわたくしの夫となってくれるような奇特な方がいなければ成立しない。
言ってしまえば、わたくしはお荷物になってしまった。ということ。

善子「あんまり、悪いように考えないようにしなさいよ」

ダイヤ「ふふ……無理を、言わないでください」

善子「突然なったんだから、突然治るかもしれないじゃない」

善子さんはわたくしの手を握ってくれている。
視界に映るだけで、温もりも感触もまるで感じられないそれが、辛くて……
すっかり緩んでしまった涙腺から溢れ出ていく

善子「ダイヤ……私は、私はたとえ一生このままだとしても。絶対に傍に居るわ」

善子さんは目の前にわたくしの両親がいることなど気にも留めずに
握っていたわたくしの手を自分の額の方へと持って行って……誓ってくれる。
それはただの友人には程遠く……とても異質に見えただろうと、感じた。
0326名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/04(火) 08:59:10.70ID:Qe4T3i8r
ダイヤ「鞠莉さん……申し訳ありませんが、生徒会の……」

鞠莉「大丈夫よ。ちゃんと引き継ぐから」

ルビィ「ルビィも手伝うよ」

ダイヤ「ありがとう、ございます……鞠莉さん、ルビィ」

こんな体では生徒会の仕事どころか、通学も難しい
そして通学できたとしても、授業を受けてそれをノートにするなんてことも出来ない。
あとたった数ヶ月の高校生活を、わたくしは諦めるべきかもしれないと思って――

ダイヤ「お父様……家名に泥を塗るようで申し訳ありませんが……中退を……」

「何言ってるんだ……」

曜「そ、そうだよ! そんな、中退なんて」

千歌「数週間で治る可能性もあるって言ってたじゃないですか!」

数週間で治るという言葉を信じてくれている皆さんと、
それが淡い希望でしかないと分かっているわたくしの差は広く、
悲し気なみんなの一方で、わたくしは薄く笑いながら……首を横に振る動作をする。

ダイヤ「いいえ……これは、そう簡単な話ではないの。数週間で治るほど甘いものじゃない。そう、感じるの……」
0327名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 09:31:25.20ID:mS1CuMcm
ルビィ「学校に行くなら、ルビィが手伝うよ!」

ダイヤ「ルビィ……」

ルビィ「治らなくても……卒業までは、ちゃんとっ」

朝も早く起きて、顔洗ったり歯磨きしたり、着替えをしたりの手伝いをして、
食事だってちゃんと食べさせてあげて、
車椅子を押してバスに乗って、それで……と、ルビィは一生懸命に話してくれる。

その気持ちはとてもうれしかった。
普段は弱気に見えるルビィが、
わたくしの為に、力を振り絞ってくれているのが……凄く
けれど、それではダメ

ダイヤ「浦の星女学院には、車椅子に座らせたまま三学年の階に運ぶような手段がありませんわ」

階段を使わなければならない。
人一人抱えて階段を上るのなんてルビィには絶対に出来ない。
果南さんだって、少しは出来るかもしれないけれど、三階にまで上がるのは無理がある。
やっぱり、お荷物にしかならない。

ダイヤ「運んでいただいたって、わたくしは授業を聞くことしかできませんわ。ただ、座っているだけです」

果南「それでもいいじゃん……ノートなら私達が取るし、授業聞いてればそれなりに……」

花丸「学校だと、お手洗いに行かせるのも難しいよ。移動教室だってある」

善子「花丸っ!」

ずっと黙っていた花丸さんの一言に、
善子さんは掴み掛る勢いで振り返って……声を荒げる。
みんながわたくしを学校に行かせようとしている中で、
花丸さんのそれは、真逆だったからだ。

花丸「なにからなにまで、人にして貰わなくちゃいけないダイヤさんの気持ちを、ちゃんと考えてるの?」

けれど、花丸さんは善子さんの気迫をぶつけられても動じていない。
0328名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 09:47:18.54ID:mS1CuMcm
花丸「ダイヤさんが学校に行きたい、助けて。そう言ってるならマルも考えるし、手伝う意思はあるずら」

でもね。と、花丸さんは続けて、
わたくしが中退を申し出たこと、授業では座っていることしかできないこと
通学の時にも大変な事がある。という話をしていたことを指摘して、
わたくしがそれを望んでいないと……明確に代弁してくれる。

善子「だからって……そんな……」

花丸「それに、お昼もお手洗いも全部人にやって貰うって、きっと凄いストレスだと思うよ」

行きたくなったら、誰かにトイレに行きたいのだと自分で言わなければいけないし、
ショーツを脱がして貰わなければならないし、
終わった後の処理までやって貰わなければいけない。

和式を無理矢理に使うなら、誰かに姿勢を維持して貰わなければならないのだから
洋式の便座が空いていなければ、することだってできない。

ダイヤ「ごめんなさい……皆さんの気持ちは嬉しいけれど、花丸さんの言う通りですわ」

気持ちはありがたいし、
出来るなら、せめて卒業まではいたいと思う。
けれど周囲への負担が尋常ではないし、
わたくし自身、すべてを人に委ねている姿を大勢にみられるというのは耐え難い

鞠莉「それなら休学。休学扱いにしましょう」

梨子「そうですね。なにもいきなり中退なんてしなくても、まだ治る可能性があるんだし……」
0329名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 09:58:26.23ID:B4YqGeph
鞠莉さんの妥協案に、
花丸さん達も、わたくしがそれでいいなら。と、一旦治まってくれる。
わたくしとしては、治る見込みがまるでない以上、
休学なんて未練がましいと思えてしまうし、
結局駄目だった際にみなさんに失望させてしまいそうで避けたいけれど、
まだ分からないうちに自主退学なんて……許されるはずもなかった。

ダイヤ「そう、ですわね……申し訳ありませんが、お父様……お手続きを」

「あぁ、任せておきなさい。ダイヤはゆっくりと休みなさい」

ダイヤ「お父様……申し訳ありません」

「良いんだ。これ以上抱える必要はない。私達が、黒澤の名を重く抱えさせてしまったのも要因の一つだろう?」

お父様とお母様は、
わたくしを責めることなく、むしろ、自分たちの方に非があるとして頭を下げる。
そんなことはない。それはきっと関係ない。
それだったら、もっと以前から発症していたはず。
けれど……こうして手足が動かなくなった原因の可能性も捨てられなくて
大丈夫とは言えど、まったく関係がないとは言えなかった。
0330名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 11:10:30.98ID:NOgo74N2
自宅療養の準備を含めて、
念のためにと一週間の入院期間を取ることになったため、
わたくしの着替えなどを用意するために両親が一度帰宅し、
お昼時にまでなっていたこともあって、みんなにはお昼を取るようにと席を外していただいた一人きりの病室
しかし……

善子「手も足も動かせないのに、自分で食べるつもりだったの?」

ダイヤ「看護師さんが手伝ってくださる予定でしたし、そうでなくても……」

犬であれば、器に口をつけるのが当然の所作
別に問題はありませんでしたわ……なんて言えるわけもなく、
戻ってきてくれた善子さんには、適当に微笑む。

善子「それで、これからどうする?」

ダイヤ「どうもこうも、入院して……あとは自宅で余生を過ごすことになるかと」

善子「治る可能性はないって?」

ダイヤ「治るような病気ではありませんから……」

心の病気だという話だけれど、
もし、その原因が黒澤の名を継ぐということなら、わたくしは二度と動けるようにはならないと思う。
もちろん、動けるようになったとしてもお父様たちがまた何か申し付けてくることはないだろうけれど
それでも……わたくしは。

ダイヤ「これはきっと、わたくしが望んでいる姿ですわ」

善子「ベッドで寝た切りが?」

ダイヤ「ええ……だって、それなら、何か余計な責務を担うことなく自由にできますから」
0331名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/04(火) 11:32:58.56ID:h5SN5mfQ
手足を失って自由になるとは、聊か奇妙な話だと自分でも思うけれど
失わないままの人生は、わたくしにとって不自由でしかなかった。

黒澤家の長女として生き続け、自由な恋愛も許されない。
親の承認を得た異性とお付き合いし、結婚する。
善子さんの指、腕、唇、胸……そして……
そのすべてをその誰かに塗りつぶされていく苦しみを味わいながら、
義務的な愛情を捧げて、育てたくもない子供を育てて生きていかなければならなかったと思う。

善子「……だから、昨日あんなこと言ってきたのね。添い遂げてくれるかって」

ダイヤ「こんなことになるだなんて思っていなかったけれど……そう、ですわね」

善子「バッカじゃないの……」

ダイヤ「ほんとう……馬鹿、ですわ」

悲しそうに言う善子さんに向かって、自嘲気味に笑うと
彼女は首を振ってわたくしの頬を撫でてくれる。
耳元へと流れていくものを、その指先がせき止めて……隠してくれていた。

善子「自慰だって土下座だって犬だって……治る気配まるでないんでしょ?」

ダイヤ「……はい」

善子「なら、手も足ももう一生動かないって可能性の方が高いってことじゃない」

ダイヤ「ええ、ですから中退を希望したのに……みなさん、止めてくれて……」

善子「………」

善子さんは少し黙り込むと……ごめん。と、一言言って
わたくしの唇に唇を重ねてくれた。
抱いてあげられない、自分からキスもしてあげられない
善子さんの頬に触れてあげることも出来ない。
そのもどかしさがじんわりと心のうちに湧いてくる

彼女が離れていくと、空気に触れる唇に寂しさが騒ぐ
もっと欲しい、もっとして欲しいと、体が疼いてしまう。
善子さんはそれを悟ってか……何度も、キスをしてくれた。
0332名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 11:40:43.04ID:h5SN5mfQ
善子「私、卒業したら東京の大学に通おうと思ってる」

ダイヤ「東京……ですか? どうして……」

善子「そんな泣きそうな顔しないで、大丈夫だから」

そんなつもりはなかったのに、
善子さんにはそう見えて、感じられたのだろう
困ったように笑みを浮かべる善子さんは、
わたくしの頬を擦りながら、大丈夫だから。と、穏やかな声で言う

善子「ダイヤが行こうとしてたから、私が行こうと思って」

ダイヤ「そしたら、善子さんも……」

善子「そっ。東京に行く……でさ、頼み込んでダイヤのこと連れて行けないかなって思ってるのよ」

ダイヤ「わたくしを……? そんなこと、出来るわけがありませんわ」

多少なり自立できるならともかく、
一切合切の世話をして貰わなければならない生物を、
ただ一人の大学生が連れて行くなんてことを許可するわけがない。
本人の熱意が十二分にあっても、無理な話。
けれど、善子さんはそう思っていない。
0333名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 11:59:11.08ID:7pMyNIFy
善子「卒業までの二年ちょいで治るのがベストではあるし、それでも治らなかったらって嫌な話だけど」

善子さんは、
わたくしがやろうとしていたことを引き継いで、
それをわたくしにやって見せることで、自分でもやっていきたい。と、
動かすことを止めてしまった心を動かさせようとしていると、話す。

Aqoursがあって、学校があって
それでもやめてしまった心を動かせる保証はどこにもないけれど、
それでも……出来ることはしたいと。

善子「どう?」

ダイヤ「どう? と、言われましても……さすがにいち学生が求めているからと言って任せて貰えるとは思えませんわ」

善子「それはこれから信頼を勝ち取って……ダイヤにも私と一緒が良いってお願いして貰うのよ」

ダイヤ「確かに、わたくしの心の病気ですから、お願いしたら通る可能性はあるけれど……」

心の病気である以上、
わたくしがしたい。と求めたことを無理に阻もうとする可能性は極めて低く、
多少の条件は付くことになるとは思うけれど、許可して貰えるかもしれない。
ただ、それはとても狡い手段……なのだけれど。

善子「これから二年間、私……本気でダイヤの世話をする。時間があるときは必ず会いに行く」

ダイヤ「そんな、ご自分の時間を……」

善子「犠牲になんてしてない。私がやりたいことなのよ」
0334名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 12:26:28.64ID:7pMyNIFy
信頼を得たいという疚しい気持ちもあるけどと苦笑した善子さんは、
それがあろうがなかろうが、自分の意思は変わらないとはっきりと言う。
わたくしを見る瞳は力強く、気高い。

善子「ダイヤと一緒に居たいし、それを認めて貰いたい。そりゃ、色々問題はあるけど、ちゃんと覚悟はある」

どうしてそこまでしようとするのか、
なぜ、そんなにも熱意があるのか、
善子さんは下心なしにも語れると、明言して

善子「うちの親にもダイヤの親にも、一緒に居る文句は言わせない。邪魔もさせない」

ダイヤ「善子さん……」

善子「言ったでしょ、想像のつく限りの問題は関係ない。何があっても添い遂げるって」

介護の問題を主として、
解決しなければならない問題は多くあるが、
それをこの二年間でどうにかできることを証明して、
東京に連れ出したいと、善子さんは言う。

東京に行かなくてもこっちでもいいはずなのに。
それではわたくしが黒澤家に留まらざるを得ないから……わざわざ、
わたくしがしようとしていたことを追うように東京に出るとまで宣言して……。

善子「ダイヤが不自由になってまで自由になりたいって望んだなら、私はそれに答えてあげたいって思ってる」

ダイヤ「っ……生涯迷惑かけるなんて……嫌だって……」

善子「大丈夫。こんなの、ただ役得でしかないわよ」

善子さんはそう言って、微笑んだ。
0335名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 13:08:18.66ID:nJTAie9F
善子「だからまず、私……介護系のアルバイトすることにしたわ」

ダイヤ「え……」

手足が全く動かなくなるほどとは思っていなかったけれど、
何らかの影響があるかもしれないと考えていたという善子さんは、
少し……とはいうけれど、かなり調べて計画をしていたらしい。

善子「親とかを頼れるこの約二年半を使って、介護の実務経験をする。で、その給料で、研修を受ける」

ダイヤ「介護士を目指すのですか?」

善子「ん〜……大学は看護学校にしようと思ってるけどね、家にいるダイヤに何かあったときに対応したいし」

さも簡単なことのように、堂々と善子さんは答えてくれる。
今からアルバイトを始めたとしても、
大学入学までに介護福祉士の資格は取れないこと
状況が状況なだけに医療面の知識も欲しいから看護師を目指すということ
介護系のアルバイトで実務経験を積みつつ、看護学校に通い、介護福祉士と看護師の資格両方を取得する予定だということ。

善子「ただ、バイトと学校でダイヤを放置するようなことはしたくないから、介護士資格は今すぐ取れなくても良いとは思ってる」

三年以上の実務経験と、研修を受けるという条件での受験資格を得ようと考えている善子さんは、
その実務経験に関しては四、五年かけてクリアしてからにしようと考えてる。と、真剣に言う

善子「多くても週3日とか……まぁ、家賃、食費、光熱費等は最悪一部仕送りで、学費は奨学金で賄えるよう努力するしかないわね」

ダイヤ「それが、どれだけ大変か……」

善子「分かってる。ネットで情報漁っただけだから、本当に分かってるとは言えないけど……でも、かなり色々あるのは分かってる」

善子さんはやっぱりそこに突っ込んでくるわよね。と、
苦笑いを浮かべながらも、その意思が揺らぐような気配は全くなくて

善子「ダイヤと一緒に居るために必要だっていうなら……私はそれに全力を出すだけよ」

たとえそれがどれだけの苦行だとしてもね。と、善子さんは続けた。
0336名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 13:36:50.19ID:vQVxOTJK
そして善子さんは戻ってきたわたくしの両親に、本当にそれを話した。
今からやろうとしていること
これからやっていくこと、
どんな風に考えていて、どうしようと思っているのか

お父様達は、ひと様の子のこれからに勝手なことを言うことは出来ないと思ってか、
強く否定はしていないものの、あまり好意的ではなかった。
それはそうだと思う。
いくら、娘のわたくしのためだとは言っても……いや、だからこそ
善子さんの将来をわたくしに捧げさせるような話をおいそれと許可は出来ない。

「しかし……津島さん。キミに責任があるわけではないんだ。なにもそこまでする必要は」

善子「私がそうしたいんです。ダイヤ……ダイヤさんの為に」

「だが……」

やんわりと、そうするべきではないという話を続けても、
やっぱり善子さんは折れたりすることなく……そうしたい、との一点張りで
善子さんが冗談でも勢いでもなく、
本気で考えて行動しようとしているのが分かってしまうからか……困ってしまっている。

「親御さんには?」

善子「これから……でも、ダイヤさんのこともあるのでダイヤさんのご両親にも話を聞いてもらっておいた方が良いと思って」

善子さんは普段あまり見ないとても丁寧な言葉選びで、
親にも話すので、一緒に話して欲しい。と、要求する。
そうまで言われれば、お父様達も頷くしかなく……話の場を設けられることとなった。
0337名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 14:22:59.65ID:d5KiU4V+
善子さんが誓ってくれた翌日のこと。
わたくしは来るところまで来たからか体への異常……治ることもないまま朝を迎え、
お見舞いに来たルビィから、善子さん達の話し合いのことを聞くこととなった。

結果から言って、善子さんの計画には許可が下りた。
もちろん、東京に行くことになった場合、
向こうの家は介護のことも考え、バリアフリーの行き届いた場所にすること、
専門のお手伝いさんを雇い、日中のわたくしが放置されることがないこと、
時折、わたくしか善子さんの親が行くことを拒まないこと
バイトと学業を両立させ、わたくしに関しても怠らないこと
連絡は毎日すること……など、いくつかの条件があり

まず、前提条件として
アルバイトは許可するが、浦の星女学院で行われる学期試験では上位の成績を必ずキープすること。
遅刻や、欠席はせず、体調不良にもならないようにと言うものがある。
これは、善子さんが体調不良になった場合、わたくしともども何もできなくなってしまう恐れがあるからで
そのうえで成績の上位維持……それは、善子さんが自分で決めた奨学金を受け取る。というものを
仕事をしつつ本当にできるのかどうか……というののテストでもある。

それが出来た上で、東京の大学受験に合格することが必要なので、
正直に言って、かなりつらいとわたくしでさえ感じる
にもかかわらず、善子さんは二つ返事で承諾すると、
絶対に合格するから。と、それ以前の条件に関してはクリア前提だったらしい

ダイヤ「……まさか、本当に許可を取るなんて」

ルビィ「凄かったよ。善子ちゃんのお母さんが絶対に無理だから危ないからって言っても譲らなくて」

わたくしの家で行われたらしいその話し合いを覗き見していたというルビィは、
困ったように笑いながらも、嬉しそうに見える

ルビィ「学期試験の上位キープをするって言ったのは善子ちゃんだし……本気でダイヤさんの力になりたいのって」
0338名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 15:27:28.69ID:rTwJ+fkU
ダイヤ「わたくしがやろうとしていたことに連れ出すことで、感覚を取り戻させるなんて話、要らなかった?」

ルビィ「お父さん達はお姉ちゃんを凄く心配してたから、そのやりたいことをやらせる。っていうのは必要だったと思うよ」

そうでなければ、いち学生に要介護の娘を任せるなんてしない……のは、当然かもしれない。
介護を担ってくれる人を雇うのだって、お父様達が言い出したことのようで、
資金提供……というか、雇うのは黒澤家で、本当にしっかりとした人を雇うとのことで
今から人材を調べ、誰を雇うか……というのももう考え始めているとか。
両手足の不自由な娘を心配してのことを流石に過保護と呼ぶ人はいないと思う

ルビィ「善子ちゃん……本気だね」

ダイヤ「?」

ルビィ「本気でお姉ちゃんが好きで、本気でお姉ちゃんの力になりたくて、本気で……やり遂げようとしてる」

ダイヤ「ええ……まさか、自分がここまで愛されているとは思わなかった」

本当に、これまでほとんどそんな素振りを見せたことがなかったのに、
鞠莉さん達のもしかしたら夢に詳しいのではないか……という話に縋った相談から始まった関係で
一気に進展してしまうなんて。
善子さんには悪いけれど、想像もできなかった。

ダイヤ「ルビィは、善子さんの気持ちを知っていたの?」

ルビィ「う〜ん……お姉ちゃんのことを目で追ってるのは知ってたからもしかして〜とは思ってたけどね」

ダイヤ「何か?」

ルビィ「ただ好きなだけだと思ってた。ちょっと見くびってたかもしれない」
0339名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 16:27:20.35ID:XrHqCUYC
そういったルビィはとても悩まし気で
けれど、わたくしの視線に気づいてか、大丈夫だよ。と、笑う。
応援すると言ったのは本心からだし、
邪魔したりなんだりする気はないよ〜と、可愛らしく笑って見せてくれる

ルビィ「東京に行けるといいね」

ダイヤ「ええ……善子さんならやり遂げますわ」

ルビィ「善子ちゃんがあんなだと、夢を壊しちゃいそうで早く治るといいねって言えないのがあれかなぁ〜」

残念そうに
けれどどこか嬉しそうに困った様子で呟くルビィは、
どこか遠くを見据えるように顔を上げて、ため息をつく

ルビィ「でも、早く治るといいね」

ダイヤ「ええ……でも、治ったら治ったでまた悩まされそうなのが不安ですわ」

昨夜は、なぜかおかしな夢を見ずに済んだ―覚えていないので恐らく―けれど、
体が治ったらまた見る可能性がないとは言い切れない。
それは、体が動かなくなってから、見ていなくて
体が動くときは見ていた……という状況があるから、不安になってしまう。

ルビィ「大丈夫だよ。多分、善子ちゃんと一緒に居られれば」

ダイヤ「だと、いいけれど……」
0340名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 16:50:07.25ID:XrHqCUYC
ダイヤ「でもなぜ、急にあんなことになったのか……」

ルビィ「土日になにかしたとか」

ダイヤ「特に何も……普通にAqoursの部活に出て、帰宅して宿題をして……」

ルビィ「その時変わったことしたとか」

ダイヤ「変わったこと……」

土曜日は、特に変わったこともなく一日を終えたような覚えがある。
日曜日は、普段と違って午前練習を行い、午後は用事がある人もいるということで解散になった……
そして。

ダイヤ「日曜日は午前練習だったでしょう? その時に、善子さん達と花丸さんのお寺に行ったわ」

ルビィ「……ルビィも一緒に行ったやつだよね。宿題してないって言うのがバレて……」

ルビィはそういうと、
別に変ったことじゃなくてたまにあるやつだよね。と苦笑いを浮かべて、
笑い話ではありませんわよ。と、思わず叱ってしまう。
心の問題で手足が動かせなくなるような情けない姉になど、叱られたくないだろうに……。

ダイヤ「こんな状態の姉になんて、言われたくありませんわよね」

ルビィ「ううん、言わせたくないよ……でも、そうやって叱ってくれるといつもみたいでなんだか、ちょっと……えへへっ」

ルビィは笑う。
笑って、笑って……小さくごめんなさい。と言うと、
袖口を引っ張って、目元を拭う
抱きしめることも撫でることも拭ってあげることも、わたくしには出来ない。

ルビィ「しっかり、しなきゃいけないのに……」

ダイヤ「無理はしないように。わたくしの隣に並んで寝ることは許しませんわよ」

ルビィ「たまには添い寝……したい……っ」

ダイヤ「ふふっ……まったくもう、ルビィったら……」

ルビィの涙のとまらない笑顔から逃れるように、目を瞑る。
こんなにももどかしいのに……心は止まったままだった。
0341名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 17:31:08.15ID:XrHqCUYC
今日はお休みの日と言うこともあり、さっそく面接に行ってきたらしい善子さんがお見舞いに来ると、
ルビィはわざとらしく、そそくさと退散していってしまう。
そんな気を遣わなくても……とは思うけれど、
ルビィはルビィで、泣いていたことを悟られたくないのだろうと思うことにした。

善子「面接、OKだって」

ダイヤ「あっさりでしたわね」

善子「未経験だけど、若いし意欲あるし、理由も理由だからって」

ダイヤ「わたくしのことを?」

善子「いや、流石に祖父母って嘘ついた。友達とか言うと根掘り葉掘り聞かれそうだから」

面倒くさそうに言う善子さんは、
さっきまでルビィが使っていたパイプ椅子に腰かけると、ぐっと体をばして病室を見渡す。
お見舞いの果物もないなら勝ってきたらよかった。と零して

善子「ダイヤの両親に頼んで、ガラケーからスマホにして貰おうと思ってるんだけど、良い?」

ダイヤ「……というと?」

善子「ダイヤが使ってるやつ、完全な音声操作できないから出来るやつに変えて貰おうと思って」
0342名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 17:43:35.75ID:XrHqCUYC
善子さんは自分のものを取り出してベッドの上に置くと、
専用の言葉があって……と、その言葉を発する。
そうすると、ベッドの上のスマホから返事が返ってきて……

善子「ダイヤに、愛してる。って、メールして」

ダイヤ「っ……」

また返事が返って、善子さんは自分のスマホの画面をわたくしに向ける。
画面には、メールの送信が完了したことを知らせる文面が表示されていて、
善子さんに操作して貰ったわたくしの携帯には、確かに、愛してる。というメールが届いていた。

善子「こういうことが手で操作しなくても出来るわけ。まぁ過信は駄目だけど」

ダイヤ「なるほど……」

善子「これがあればもし何かあったときに連絡しやすいし、何もなくても連絡できるでしょ?」

ダイヤ「ええ、そうですわね……ありがとうございます」

善子さんは気にしなくていいから。と、スマホをしまう。
音声認識のことなんて頭になくて……もう気軽に連絡もできないと思っていたわたくしは、
それが早とちりだったことが恥ずかしくて、嬉しくて、思わず善子さんを見てしまう。

善子「バイト中とかは返せないけど、それ以外ならメールも電話なんでも返すから。用意出来たらもっと話しましょ」

ダイヤ「……はいっ」
0343名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 17:56:36.46ID:XrHqCUYC
善子さんはわたくしと添い遂げると言ってくれた。
それは嘘でも冗談でもなく……本気で
もうすでにそのための行動をしてくれている。
その善子さんに、わたくしは何が出来るのか、何を返せるのか。
今は愛してくれているけれど、愛想をつかされることはないか。
その恐怖に……泣いてしまいそうで

善子「ダイヤ、どうかした?」

ダイヤ「いえ、あの……わたくし……」

愛してる。と、言葉しか伝えられない。
手を握れず、抱けず、共に歩くことも出来ない
そんな私が、こんなにも尽くしてくれる人と一緒になんて――
そう、不安に沈んでいく思考を悟ったかのように、
善子さんの手が、頬に触れて。

善子「心配しなくても、私はダイヤを見捨てないし愛想尽かしたりしない。ずっとずっと、愛してる」

唇が重なる。
直前まで噛んでいたのか、フルーツ系のガムのような甘さが口の中に広がって
善子さんの心が混じり合っていく

ダイヤ「でもわたくしはなにも……っ」

善子「私だけを見ててくれればそれでいい。好きって言って愛してるって言って……唇を、体を……許してくれたらそれでいい」
0344名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 18:31:47.89ID:XrHqCUYC
善子さんはそういうと、布団をめくって
わたくしの胸元に手を触れる。
患者衣と肌着だけの胸には善子さんの手の感触がほとんど真っ直ぐ伝わってくる。
小さくて温かい、善子さんの手

善子「ダイヤは……無理?」

ダイヤ「無理だなんて……そんなこと、あるわけありませんわ」

もう一度、体を許した。
唇は何度も重ね合わせているし、胸と胸を触れ合わせるようなことも
下腹部を重ね合わせることも
きっと、女の子同士でできるようなことはあの半日でやりつくした。

ダイヤ「もっとキスをして欲しい……抱いて欲しい、触れて欲しい……」

善子「……んっ、全部してあげる」

善子さんはそういうと、キスをしてくれる。
体から湧き出してくる温かさが、善子さんから受ける愛情の強さのようで
とても、とても暑く感じてしまう。

唇が触れて、にゅる……っと、舌が入る。
善子さんの舌はそのままわたくしの舌に触れると、挨拶するように突いて……逃げて
離れた唇からは糸が引いてしまう
0345名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 18:37:35.63ID:XrHqCUYC
ダイヤ「っん……」

善子さんはまた、同じようにキスをしてくれる。
心地よくて、甘くて深い……自分が失われていくようなキス。
善子さんを愛している心がより一層、愛したいと騒がしくなる。
抱くことが出来ない分、触れることが出来ない分
体中で善子さんを受け止めようと……湧きたっていくのを感じる

ダイヤ「善子さん……好き、です……」

善子「ん……私もよ」

そういうと、善子さんは唇を重ねて、触れる胸を優しく撫でる
その手はとても愛情深く感じられる。
わたくしにはそれと同じように返すことは出来ない。
けれど、せめてキスだけは……と、
攻め込んでくる善子さんの舌を受けれて……抱きしめるように絡める。

善子さんは驚くことなく、けれど小さな声を漏らして受け止めて
キスは任せるから。と言わんばかりに胸への刺激を強めていく

ダイヤ「っふ……」

不自由な体では、善子さんに尽くせるものの限りはあるけれど、
それでも……尽くせるものは尽くせる限り尽くし、捧げよう。そう、思って

ダイヤ「愛してます……お慕いしています、善子さん」

わたくしは自身の両手を広げるつもりで……善子さんの愛を受け入れていく
0346名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 20:45:07.86ID:UUjVP5Vw
結局……善子さんが卒業するまでの二年半が経過しても、わたくしの体が元通りになることはなかった。
しかし夢による体の異常はそれ以降出てくることはなく、
だんだんと介護にも慣れてきた善子さんと、ルビィ達と明るく暮らしていくことが出来ていて

善子さんは本当に、
前提条件とされていたアルバイトと成績の維持そして大学受験を成功させ、
わたくしの両親が用意した―家賃等は黒澤持ち―大学生二人暮らしにはやや広すぎる賃貸に移り住むことになった
とはいえ、お手伝いの肩がたびたび来るので
基本的には二人暮らしとはならないので十分だろう。と、お父様は笑っていたけれど。

善子「これ私が男だったらダメなんでしょ。きっと」

ダイヤ「当然でしょう?」

異性で介護を兼ねた同棲なんて、自分たちが良くても親が認めるはずがない
善子さんも冗談のつもりだったらしく、まぁそうよね。と、まだ子供っぽい笑顔を浮かべて

善子「女同士って得よね」

と、誰もいないのを良いことにわたくしの体を抱きしめてきて
照れくささを隠すように視線を下げると、
周りには内緒で、こっそりと見繕われた指輪の嵌まった左手の指が見えた。
何か特別なことをしたわけでもないのに起きた体の異変
全く治る見込みもないもなく、手足の自由が奪われてしまったのはあれだけれど、
わたくしは……自由だったその頃よりもずっと自由で、幸せだと思える。

ダイヤ「善子さん……わたくし、ただ欲求不満なだけだったかもしれません」

善子「……そうだと良いわね」

善子さんはそういうと、キスをしてくれる。
わたくしを満たしてくれる善子さんのキスは、約2年半も経てばとても魅惑的なものになっていて
胸の奥で小さく心が弾んでしまう。

離れる善子さんは唇をぺろりと舐めると、笑みを浮かべる
大学生になって、少し大人びた微笑はどこか怪しく……妖艶だった。
0347名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 21:03:04.00ID:7qWPNe9d
終わり。
約二週間お付き合いありがとうございました。
0350名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/08/04(火) 22:43:16.78ID:VIHcQpCC
お疲れ様でした!
2人が幸せそうでよかった 確かにダイヤはこういう方が自由で幸せなのかもね
花丸は結局なんでもなかったのかな
0351名無しで叶える物語(茸)
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2020/08/04(火) 23:08:45.69ID:unt1kvuc
終了後がもんじゃばっかで自演っぽいの草

>>350
善子と花丸が裏でダイヤに仕掛けたんでしょ
善子が一度花丸気にしてたし
0353名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/05(水) 00:16:33.06ID:lbYPu0GY
全部事を書かないで謎を残して終わらせる感じ好きだ〜
他に過去書いたSSとかあったら知りたい
0355名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2020/08/05(水) 05:33:34.18ID:9dNxvhV3
ダイヤさん監禁の人かな?
0357名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/08/05(水) 07:31:02.19ID:B+0PkM51
バッドエンドよりのトゥルーエンドという感じでしょうか。何もかも失ったけど、まだ…というか。
這って行ってお椀に頭突っ込んでお菓子食ってるダイヤさんと、咎める善子ちゃんと…見たくないような。
0358名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2020/08/05(水) 17:56:56.33ID:wQ4+kPmc
ダイヤさん監禁とかなにそれ酷い

地の文で判断するなら 黒澤ダイヤと三年間 と 黒澤ダイヤなんて死ねば良いのに ってSSはこの人じゃないの?
たまに同時更新(別ID)してたから違うかもしれないけど
0361名無しで叶える物語(なっとう)
垢版 |
2020/08/07(金) 22:07:22.59ID:x03Ql/H8
昔ダイヤさんとマリーが果南ちゃんに監禁されるssあったけど作者同じ人かな?
書き方はにてるんだよね
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