曜「なんかこういうダクトを通って脱出って、映画みたいでカッコいいですね」

絵里「……っ」

ズリ…ズリ…

曜「それにしても、真っ暗ですね…」

絵里「と…当然よ…ここはこの刑務所の最深部…ライトなんてないんだから…」

曜「ですね…」

絵里「……え、えぇ」

曜「絵里さん?なんか…震えてる…?」

曜「どうかしました?」

絵里「べ、別に…」

絵里「……ッ!!シッ!」 ピタッ

曜「え?」

絵里「見て、前方の下の方から、かすかに明かりが見えてるでしょ?」

曜「あっ、確かに…」

絵里「おそらく、管理室か警備室か何かね」

絵里「あの部屋から避難路に出て、そのあと海に出る」

曜「でも…話し声が聞こえる、人がいるって事ですよ」

曜「ここは遠回りしてでも安全なルートに行く方が得策じゃないですか?」

絵里「ダメよ、私たちに遠回りしてる時間なんてない」

絵里「今この瞬間に私たちが脱獄した事がバレて、警備に人を回されている可能性がある」

絵里「下の部屋のヤツらが談笑しているのを見ると、まだバレてはいないみたいだけど…」

絵里「一刻も早くこの刑務所から出るに越した事はないわ」

絵里「もし警備に人を回されたら詰みよ」

曜「そ、そうですよね…」