希「今まで隣にいて当たり前だった人が急に居なくなる」

秋穂「………」

希「普通じゃいられないよ、そんなことあったら…」

希「ウチだってそう……口ではあぁ言ったものの、実際にはわかってるんだと思う、それを心の奥底にしまっているだけで……」

秋穂「………」

希「……秋穂ちゃん」

秋穂「…ん?」

希「16年前の事覚えてる?」

希「穂乃果ちゃんがお母さん達を疎開させた時の事」

秋穂「……その時の事は……とにかくおばちゃんと別れるのが悲しくて……あんまり、覚えてない」

希「無理もないよ、まだ小さかったしね」

希「……海未ちゃんから聞いたんやけどあの時、電車が発車した後に穂乃果ちゃん」

希「……自分にもしもの事があったら秋穂ちゃんは海未ちゃんに預けたい……って言ったんやって」

秋穂「…ほんと?」

希「うん、ほんとだよ」

希「海未ちゃんも……最初はその責任感から秋穂ちゃんを育ててたのかもしれない」

希「……でも、今は違うと思うよ?」

希「親以上の愛を持って……秋穂ちゃんと接してる、実は秋穂ちゃんも知らんぷりしてるだけで、本当はわかってるんとちゃう?」

秋穂「……私は」

希「……海未ちゃんもウチも……きっと絵里ち達も……秋穂ちゃんのことは希望と思ってる」

希「ウチ達の一縷の……最後の希望」

秋穂「私が……希望?」