海未「歪んだ世界」
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よく聞いて下さい。
世界。
そう、この世界。
日本とか地球や宇宙じゃない。
それは世界じゃない。
今あなたがいるこの世界。
あなただけの世界。
ここはあなたの世界。
そう。
【歪んだ世界】 最近また暑くなってきた。
湿気が纏わりついて離れない。
私の名前は園田。
海未。
私の名前は・・・そのだうみ。
女子高生だ。
額の汗をハンカチで拭う。
ハンカチの色は青。
私のイメージカラーの青。
空や海と一緒の青。
湿気が纏わりついて離れない。
太陽が私を睨んで、ゆっくりと殺してるのかも。 穂乃果「おはよ海未ちゃん」
海未「おはようございます。穂乃果」
太陽が語りかけて来た。
友達の穂乃果だ。
みんなはもう知ってますよね?
穂乃果と私は幼なじみで、穂乃果が私に挨拶した時は。
ことり「おはよう海未ちゃん」
ことりも私に挨拶してくれる。
海未「今日も暑いですね」
穂乃果「本当だね」
ことり「梅雨に入ったから蒸し暑いよね」
額の汗をハンカチで拭う。
汗で濡れて、青は紫色に変わっていく。 三人で登校。
いつもの日常だ。
それにしても、この暑さどうにかならないものか。
三人で昨日見たテレビの話をしていても暑さが私の脳をおかしくする。
湿気は人の形となって、私の体をぺたぺたと触り、毛穴から吹き出た汗をハンカチで拭う。
ぺたぺた。ふきふき。ぺたぺた。ふきふき。
鬱陶しい。
ことり「あ、見て」
ことりがゆび指した方向を見る。
何にもない。
ことり「何もないよ」
穂乃果「わぁー本当だなにもないね!」
本当に何も無い。 私達は途方に暮れた。
何も無いと言う事は本当に何も無いと言う事。
私達が普段通ってる道もさっきまで前を歩いていた学生も私が暑さと戦っている内に消えてしまった。
あるのは真っ白な空間。
白が、私達の目の前に途方もなく広がっている。
穂乃果「な、なんだろ!?」
ことり「わ、わかんないよ・・・」
いつの間にか暑さは消えていた。
涼しい風が私達の体を癒す。
海未「あぁ・・・」
大体、察してしまい思わず声が出る。
海未「これは夢か」 穂乃果「夢?」
そうこれは夢。
現実ではあり得ない事が起きるとそれは夢を見てるという事。
ただの夢。
そして、夢で起きる事は現実とリンクしている。
急に涼しくなったのは、クーラーのタイマーが作動したから。
と言う事はもう起きる時間だ。
夢を見ている時に起きると目覚めが良いらしい。
今日は一日いい日になりそうだ。 目を開ける。
クーラーの音が聞こえる。
カーテンの隙間から日差しが差し込み。
舞う埃を照らし、一筋の綺麗な光の線となっていた。
光の線に触れてみる。
感触なんて感じるはずはないと思ったが、確かに触れたような錯覚をした。
温かいからそう感じたのかもしれない。
支度をしなきゃ。
ベッドから出ると、ボサボサの髪を手櫛で整える。
髪の綺麗さには自信がある。
手から水のように流れていく感触がとても心地良い。 眠い目を擦り、涼しい風を全身で浴びる。
涼しい風というのはどうしてこうも、浄化されていく気分になるんだろう。
大きく伸びをしながら考えた結果、そんな事考える暇があったら早く用意をしなきゃと言う考えに至った。
コンコン。
音がする。
コンコン。
部屋の扉だ。
海未「はい」
寝起きの第一声なので完全に発声しきれていなかったみたいで、微かに声が震えている。
ことり「おはよう。海未ちゃん」
海未「・・・?」 扉を開いたのはことりだ。
何故私の部屋に?
お泊まり会なんてした記憶は無かった。
ことり「ごめんね。びっくりしちゃった?」
海未「びっくりするもなにも・・・」
ことりは服を着ていなく。
下着姿だった。
光の筋が、彼女のお腹を照らしている。
海未「服をまず着て下さい」
ことり「いらないよ」
ことりは一歩一歩、歩み寄り。
私の手を握る。 力が入らない。
入れようとしても、私のこの手は今はことりの一部となってしまったかのように言う事を聞かない。
ことり「ねぇ、ここ」
私の手をことりは自らの胸へと押し当てる。
ことり「伝わる?」
ドクンドクンと心臓が脈動している。
私の心臓も同じように動いていた。
ことり「ここが心臓だよ」
ことりは心臓は早いペースで脈動し、緊張してる私はその振動だけが正気を保つ感覚だった。
ことり「ここをね。刺せば私はいなくなる」 ことりの目が怪しく光る。
微笑んでるその唇は薄いピンクで、とても綺麗で柔らかそうだ。
今だことりは私の手を離そうとしないまま。
さっき言った、物騒な言葉を私に今の私に更に分かりやすく言葉に出す。
ことり「この心臓を刺せば、私は死ぬ」
変わらず微笑んでいることりの顔と死ぬと言う言葉が噛み合わない。
こんな恐ろしい事を言う人じゃなかったはず。
海未「何で心臓を刺さないと・・・」
ことり「刺さないとダメだよ。海未ちゃん」
海未「だから何で・・・?」
ことり「私を殺さなきゃ」 何も答える事ができない。
まるで時が止まったかのように感じるが、ことりの心臓は絶えず動いている。
この心臓を刺せばことりは死ぬ。
そんなの当たり前だ。
当たり前の以前に何で私がことりを殺さなきゃいけない。
相変わらず微笑むことりは心の底から私に微笑んでる。
屈託なく、一切の汚れもなく。
まるで私に殺されるのを待っているかのように、微笑んでいる。
ことり「待っているかのようにじゃなくて、待ってるんだよ?」
海未「えっ・・・」
ことり「海未ちゃんが何を考えているかなんて分かるよ。殺さなきゃ、海未ちゃん私を殺さなきゃ早く」
海未「意味が分かりません!」
思わずことりの手を振り切る。
血液が熱く体内を駆け回る。
ただ一箇所、右手だけが冷たく重い。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています