ことり「ソラニン」
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私達が1つ歳を重ねて歩く4月の桜舞い散る通学路
私の隣には小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた幼なじみの穂乃果ちゃんと海未ちゃんがいます
私と穂乃果ちゃんと海未ちゃんの3人はどんな時も一緒でした
去年と少し違う私達の制服姿
リボンの色が赤色から緑色に変わっています
隣に歩く2人の姿が、少し前に卒業していった3人の姿に重なって見えました
ーーーそうか・・・私達も卒業していくことになるんだね。 いつからだったかな。
こうして春を迎えることが嫌になってしまったのは
冬を越えて、蕾が花開き、桜満開になるこの景色はとても綺麗で大好きだったはずなのに・・
いつからか、桜が散りこの景色も終わってしまうのだということばかり考えてしまう
春は物事の始まりと同時に終わりを告げる季節なんだと今になって分かってきました ほんの少し前まで私は「μ's」でいられて
あの「9人」で過ごしてたはずだった。
なのに、そのことが随分昔のように感じられて
今はそれがひどく寂しく思う
みんなで終わりにしようと決めたのに
最後に笑って終わりを迎えたのに・・・
臆病で寂しがりな私は今までも
その時間にすがりつこうとしています 私達「μ's」が9人になって少し経った頃
私と穂乃果ちゃんと海未ちゃんの3人でのいつもの帰り道
夕陽を眺めて少しセンチメンタルな気分になっていた私に穂乃果ちゃんは言ってくれました
「これからも3人ずっと一緒だよっ!」
その言葉を聞いた時すごく嬉しくて、これから先もずっと一緒でいられると思えたのに
μ'sが終わりを迎えたその時から
それも終わってしまうんじゃないかなって思うようになりました 私と穂乃果ちゃんと海未ちゃんは小さい頃からずっと一緒
私達は3人で1つでした
3人で同じものを見て、同じことをして、同じ時間を過ごした
いつも
いつまでも
いつまでたっても
そしてこれから先も
ずっと続くと思っていました 私達3人は・・・これからどんな大人になるのかな
穂乃果ちゃんは自分のお家を継ぐことになるのかな
それともμ'sでいられたあの時のように
歌やダンスで自分の思いをみんなへ伝えようとするアイドルになるのかな
海未ちゃんは成績優秀だし、いい大学に進学したりするのかな
家の道場を継ぐことに変わりはなさそうだけど
実はアイドルにも憧れてたりするのかな
海未ちゃんはバレてないと思ってるけど・・・
可愛いポーズの練習したりしている姿も今も見かけることがあるんだよ
2人の大人になった姿を浮かべてなんだか微笑ましくなりました。
私は・・・・
私は・・・・どうするんだろう・・・・
私はいつのころか自分が大人になった姿がイメージ出来なくなっていたんです・・・ そんな私は高校3年生になって妙な夢を見るようになりました
気が付くと私は何もない真っ白いお部屋にいます
そこには私ともう1人
にこちゃんの妹さんぐらいの小さい女の子がいます
自分でもこれは夢だなとはっきり分かるけど
その夢で過ごした時間のことはまるで現実であったことのようにはっきりしてるんです 私と夢の中で、一緒にいる女の子は下をむいてずっと泣いています
私はその女の子に泣いてほしくなくて、いつも声を掛けます
「あなたはだあれ?どうして泣いているの?」
その子はきまってこう言います
「ほんとうに私が誰か分からないの?」
顔をあげてその子は答えてくれるけど
その子の顔はまるで涙でいっぱいになった時の視界のようにぼんやりしていてよく見えないんです
分からない
でも・・・私にはどこかで見たことがあるような顔のように思えるの
「私は・・・・」
そしていつもその子が答えようとするときに必ず目が覚めてしまうんです なんとも言えないはっきりしない夢
起きてからもずっともやもやしています
あの夢は何だったのかな?
あの女の子は誰なんだろう?
怖がりな花陽ちゃんや絵里ちゃんが聞いたら泣き出しそうな夢だけど
なぜか私は怖くないんです
あれは何だったのかな
この夢をみたあとはもやもやを消そうと私は外へ出ます
どこへゆくわけでもなく、近所をすっきりするまでぶらぶら歩きます その日もいつものように家を飛び出し
ぶらぶらしていました
気がつけば、私達がよく練習していた神社についていました
神社の階段をあがるとそこには希ちゃんがいました
希「おはようことりちゃん。1人でここへ来るなんて珍しいね」
高校を卒業してからまだ時もそこまで経っていないのになんだかすごく懐かしい感じがして・・・
気がつけば涙が溢れていました 希「どうしたの?ことりちゃん・・・大丈夫?」
ことり「ごめんね・・・。なんだか懐かしく感じちゃって・・・」
希「ウチらが卒業してからまだそんなに経ってないよ〜」
「ことりちゃんも寂しがり屋さんなんやなあ」
少しも変わらない優しい笑顔
そのことになんだかホッとして・・・また涙が出てきちゃいました
私はどうしたんだろう・・・ 希「少しは落ち着いた?」
希ちゃんに声を掛けられてハッとする
どれぐらい泣いてたんでしょうか・・・はっきりとしてません
ことり「ごめんね希ちゃん・・・困ったよね」
希「ううん。大丈夫よ。でも突然泣き出したからびっくりしたかな」
「何か嫌なことでもあったん?」
そう聞かれて私はどう答えようかと迷ってしまいました
自分自身でもどうして泣いていたか分からずにいたから・・・
ふと思いたってこんなことを聞きました
「ねえ希ちゃん。大人になるってどんなことなのかなあ」 希ちゃんは少し考えたあと
「そうやねえ・・・ウチもよく分かってないんよ」と答えました
ことり「そうだよね・・・こんなこと聞かれても困るよね・・・」
希「せっかく頼ってくれたのに答えられんでごめんね」
「ねえことりちゃん。もしかして高校卒業したあとのことで悩んでるん?」
希ちゃんにそう聞かれてドキリとしました
思えばこうしてμ'sで過ごした時間にすがろうとしていたり、今までの思い出を振り返ったりしていたのは
私が将来のことが見えずにいて、目に見える学生生活の終わりから目を逸らそうとしていたからだと気づいたからです
ことり「私ね・・・。この先何がしたいのか分からないんだ・・・」 μ'sでいられたあの頃は廃校阻止やラブライブ出場という目標があって
それを目標に頑張ってこられました
でもこうしてμ'sで過ごした時間も終わり
突然目指すものもなくなり、私は心に大きな穴が開いてしまったような感じがしました
この先何を頑張れば・・・
μ'sでいられたら・・・穂乃果ちゃんと海未ちゃんがいてくれたら・・・・
私のしたいことってなんだったのかな・・・ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています