希「せかいがおわるとき」
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タロットカードをめくった
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希「ねえ、えりち」
絵里「どうしたの?深刻な顔して」
希「…世界がね、おわるんやって」
絵里「…そう」
絵里「それで……はあ。ねえ、今度はなにを企んでるの?」
希「悪戯にできるなら、そうしたかった」
絵里「えっ…?」
希「……でも、どうにもできないみたい」
絵里「…、……?」 絵里(希の手…震えてる。鳥肌も…)
絵里(でも、そんな……そんなことって、あるわけ)
絵里「っ…、ねえ…嘘でしょ?どういうこと」
希「………」
絵里「ねえ…!」
ガタッ
希「ーーわからないんよ」
希「これを知ったのはバグやから。そのバグを広げて、どうなるか…わからないんよ」 絵里「何を言っているの…?」
希「……」
絵里「ねえ……」
希「……、」
希「…………ふふ…あははっ、なーんてな♪びっくりした?んもう、えりちはやっぱからかい甲斐がーー」
絵里「とぼけないで」
希「ーっ、」
絵里「…顔、真っ青よ。手もまだ震えてる……ねえ、どういうことなの?」
絵里「…いいじゃない、なんだかよくわからないけど、世界が終わるんでしょう?それならもう…なんでも…」
希「……、うちが言ったら、うちもえりちも、消えちゃうかも」
絵里「一緒なら、いいわよ。希一人で消えちゃう方が嫌」
希「"この"世界が終わるのが、もっと早くなってしまうかも」
絵里「どうせもうすぐ終わるんでしょう?それならーー知りたい」
希「えりち……」
希「………、」 希「…1番上の次元がね、消えちゃったんやって」
絵里「え……?」
希「世界はみんな、情報でできてる。それがまとめておっきなサーバーみたいなんに詰め込まれてて、階層性になってるらしいんよ」
絵里「何を言って……」
絵里「……、ううん。続きを聞かせて?」
希「…うちらにとってのゲームやアニメ、漫画の世界…って、二次元やん?そして、うちらがいるこの世界は、三次元…少なくとも、そう認識してる」
絵里「そうね」
希「うちらはうちらより、低次元の作品ーー"世界"なら、作り出せるっていうわけやね。そして、それを鑑賞することも想像することもできる。」
希「…逆に、うちらより高次元の世界を作ることはできないし、認識することもできない」 絵里「ええ…それはそうよ。」
絵里「…まって、もしかして」
希「えりちは賢いからなあ…ちょっとわかってきた?」
希「うちらの上にも次元があって、その上ににも、その上にも……」
希「…でな、ついにいっっちばん上の次元が、なんらかの理由で壊れて、消えちゃったらしいんよ」
絵里「…そうすると、どうなるの?」
希「上の次元から順番に消えてっちゃうみたい」
絵里「……そう、なの」 希「…まあ、もう少し時間はあるみたいよ。幸いうちらの次元はかなーり下の方、ぺらっぺらや。」
希「上の階層ほど厚みもあるんやろうし…情報量もすごそう。消えるのにも時間かかるんやないかなあ」
絵里「……、まって」
希「うん?」
絵里「仮に希の言っていることが本当なら、私達は上の次元に作られた作品だって言うの?」
希「………流石えりちやね。そのとおりよ」
絵里「じゃあ、ラブライブで優勝したことも、何もかも…私が話したことも、やったことも、ぜんぶ、」
希「1番上の次元以外に、自由意志はないんよ」 絵里「そんなっ…そんなのって」
希「どうやら世界はボタン1つで簡単に構築することもできるし、漫画を描くみたいに一人一人に台詞をつけて、丁寧に作ることもできるみたい」
希「ひとつ上の次元では、マイクラっていうゲームが流行ってて…どうやらボタン1つで簡単な世界なら作れちゃう」
希「ふたつ上の次元では、ボタン1つでもーっと複雑な世界まで…作ることができるみたいよ?」
希「上の方の次元では、次元の移動手段まであるみたい。まぁこんな低次元までわざわざ降りてくる人間はいないみたいやけど、」
絵里「私達は」
絵里「…一体なんなの?私達って」
希「そうやなあ…」
希「うーん……、……主にアニメーション?なのかな」 絵里「アニメ…?」
希「そう。まあなかなか上の次元で人気だったみたいで…アニメ以外にも、ゲームやら雑誌やら、二次創作まで大充実」
希「そういえば、えりちはちょっとした特殊能力を与えられてるらしいよ」
絵里「特殊能力?」
希「…そう。ねええりち、ことりちゃんって…お鍋に何、入れちゃったんやっけ」
絵里「決まってるじゃない、チーズケーキよ。あのときはびっくりして……、え?」
希「……認識した?」
絵里「…あっ………、」
絵里「………」
希「…、えりち?……大丈夫?」
絵里「ええ……、」
絵里「………ねえ、」 希「……?」
絵里「私……、希と…指輪を交換したわ」
希「…うん」
絵里「ギターが趣味だったこともあるの」
希「うん」
絵里「穂乃果たちと幼馴染みだったことも」
希「うん」
絵里「Aqoursや…虹ヶ咲の子と仲良くしてたこともある」
希「…ふふ、そうやね」 絵里「他にも色々…野球をやったり、異世界を冒険したり、」
希「…どのえりちも、みんなかわいいなあ」
絵里「そんなことないわ。恥ずかしい私も、頭のおかしい私もたくさんいて…」
希「あはは」
絵里「……みんなと恋愛したこともあったわ。海未や、穂乃果……」
絵里「希とは、特に多かったわね」
希「そうやなあ。ふふ、おもしろいよね」
絵里「そう、ね……」
絵里「……」
希「えりち…?」 世界が終わるのはいいけど自分が太っちょなのは自覚しとるんか 量子化世界みたいな設定で密室のサクリファイス思い出した 絵里「…本当に、私達に意思はないのかしら」
希「……」
絵里「ごめんなさい…なんとなく、腑におちなくて」
希「そうやなあ…」
希「…仮に、一人の犯罪者がいたとして」
絵里「ええ」
希「その人が犯罪を犯したとき、どんな背景があったとしても…それでも周りは、本人の意思で止まることもできたはずだ、…って言うやろ?」
絵里「そうね」
希「でもなあ…生まれたときから人を殺したい人なんて、いないやん」
絵里「それは…そうだけど、」 希「人は生まれ持ったものと過ごしていく環境で選択する行動が決まっていく」
希「…その人は、そこで止まれないように育てられたんよ。周りの環境に。止まれる人なら、止まってる」
絵里「…じゃあ、周りが悪かったって言うの?たとえばそうね、親が悪かったのかしら?」
希「ううん…誰も悪くない。親もそういう人を育ててしまうように、育てられたんやから」
絵里「……それは…そうなるのかもしれないけど。でも、それだと」
希「どんどん遡ってくんよ。それで1番はじめまで行きつく。1番はじめは、場合によっては人間ですらなかったかもしれない。」
希「その一番はじめは、さっき言った通りボタン1つでできちゃったりするわけやね」
希「……一番はじめの要素さえ決めてしまえば、あとは勝手に全部出来上がっていってしまうんよ」 絵里「…っ、でも、生まれ持ったものはランダムだわ。だから全て確定してしまうなんてことはーー」
希「本当の意味での乱数なんて、存在しないんよ」
希「機械の出す乱数は、実は法則性が決められてる。サイコロを振っても、重力なんかの要素で…どの面が出るかなんて、初めから決まってる」
希「物理も得意なえりちなら…わかるやろ?」
絵里「…作用しているすべての物理的・力学的状態を把握する力がある者がいたとしたら、その人には未来が全て見える」
絵里「…はあ。そう、ラプラスの悪魔ね?」
希「ふふ…流石えりち。こんな雑学、よく知ってるなあ」 絵里「こないだ物理の先生が言ってたじゃない」
希「そんなの真面目に聞いてるの、えりちだけよ」
絵里「あいにくね、8割型の絢瀬絵里は真面目で有名なタイプなのよ」
希「ふふ…そういえば、そうやね」
絵里「…はあ。まあいいわ、ラプラスの悪魔が本当なら、未来を全て見通せる…つまり、未来は全て決まっている」
絵里「てことは、私達に意志はないのね」
希「うん……そうなんよ。バグが起きるまでは、そうだった」
絵里「えっ……?」
希「バグが起きたんよ。うちがこんなこと知ってるのは、さっき一瞬いろんな階層のものが見えたから…まあ特に、ここと一個上の」
絵里「なるほど…ね。」
絵里「…でも、どうしてそんなバグが…?」 希「さあ…でもたぶん、タロットカードを引く…っていう動作が、結構重い動作なんやろうね」
絵里「???」
希「シャッフルして、並べて…シャッフルして、分けて、並べて…うちが選んで好きなのを引く。カードの上下でも意味が違くて…」
希「…物理法則に基づいた動作と、うちの意思っていう原点まで遡らなきゃならないような要素。」
希「これらが複雑に絡み合ってる…これって結構、うちらの世界の中では複雑な方なのかもしれないなあ」
絵里「…言われてみると、たしかに複雑ね。全ての値や法則性を把握できるラプラスの悪魔でさえ、算出するのにいらいらしそうだわ」
希「ふふ。せやねえ…まあ、そんなラプラスの悪魔さえイラつかせそうな行為。きっと情報処理の量が多くて重いんよ。」
希「…今は一番上の世界が壊れて、削除されていくのでいっぱいいっぱい。どの世界もきっと、壊れやすくなってるんやね。」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています